>>385
ビッチ先生を助けるため、僕らは防衛省から支給された超体育着を使って、死神が指定した場所にやってきた。
扉を開けて、そっと入る。
死「来たね。じゃ、閉めるよ」
扉が閉まっていく。
緊張感が、あたりに漂った。
カ「フン、こっちの動きは丸見えってわけね。死神っていうより、覗き魔だね」
ガコン
奇妙な音がした。
杉「なんだ⁉」
渚「へ、部屋全体が、下に⁉」
僕らが慌てふためいている間に、部屋が下に下りていった……。
い、いったいどうなってるんだ⁉
死「捕獲完了、予想外だろう?」
こ、こんな方法で捕まるなんて!
死「大丈夫、あのタコがおとなしく来れば誰も殺らないよ」
岡「た、例えば。俺らが反抗的な態度をとったら、殺したりしないか?」
岡島くんの言葉に、死神はクスッと笑った。
死「するわけないだろう。子どもだからってビビりすぎだろ」
岡「いや、それを聞いて逆に安心したよ」
三「ここだ、竹林! 空間のある音がした」
竹林くんが壁の方へと近寄っていく。
竹(指向性爆薬!)
奥(カプセル煙幕!)
爆発音と、もうもうとたつ煙の中、僕らは壁の向こう側へと走った。
磯「チーム分けをしよう」
磯貝くんの指示に、僕らはうなずいた。
海「悪いけど、私パス」
渚「海?」
カ「どういうつもり?」
海「死神を相手にするのに、いちいち手段なんて選んでいられない。私は単独行動する」
磯「こんな状況で単独行動のほうが危険だろ」
海「……油断をしなければ殺られないなんて考えは、捨てたほうがいい。あいつがもし私の知っている死神なら、今までの暗殺方法では勝機は見えない」
……海。
渚「そ、そこまでわかっているのなら、海も一緒に行こうよ!」
海「無理、できない」
カ「海らしくないね」
海「……どうとでも言えばいい。ともかく、私は1人で殺る。それから、先輩にも気をつけて」
矢「先輩って、ビッチ先生のこと?」
矢田さんの言葉に、海はうなずいた。
それから海は大きく息をはいた。
茅「え⁉」
渚「なっ!」
僕らは、驚いた。だって、海の姿が。
まるで、黒い霧に包まれているかのように。
渚「消えた?」
海「雰囲気を操るスキルだよ。私が持っているスキルを半分以上、あるいは全て使わないと。あいつには勝てないから!」
そう言って、海は音もたてずに走りだしてしまった……。
原作通りになりそうだから、E組のみんなが死神につかまってからの話を書きます。
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カルマside
海の言う通りだったな。
そう思いながら、俺はビッチ先生を見た。
B班が捕まった理由は、ビッチ先生の裏切りらしい。
死「あとはもう、人質としておとなしくしてればいいよ」
渚くんはさっきからぽけーっとしてる。
茅「渚……」
なすすべなし、か。
死「うん? 1人足りないな」
ビ「海でしょ。ガキども、海はどこに行ったの?」
倉「海ちゃんは単独行動してるよ」
ビ「なんですっ……⁉」
ビッチ先生の言葉がそこでとまった。
茅「う、海ちゃん⁉」
海「今すぐ全員を解放しろ」
海がビッチ先生の肩に乗りながら、日本刀をビッチ先生の首にあてていた。
海「じゃねぇと、こいつの首、根元からいくぞ」
ビ「海、あんた正気?」
海「たりめぇだろ。裏切った人間はもう仲間じゃねぇし、仲間が捕らえられてるとなったら、手段なんか選ぶ必要もねぇよ」
口の悪さ的に、カイじゃないかって思うけど、どうやら海みたいだ。
死「いいのかな、海さん。もしも君がイリーナを殺したら、僕はこの子たちの首にある爆弾を残らず爆破させるよ?」
海「……人質だろ?」
死「別に人質は1人でも事足りる」
海「要するに、私ってことか」
海は日本刀をいったん、背中にある鞘にしまった。
何をする気だ?
海「だったら……」
バァンッ
渚「⁉」
あれは、死神が渚くんにやったのと同じ。
渚「クラップ、スタナー……」
死「へぇ、まさか君もそのスキルを身に着けているなんて」
ビッチ先生が音をたてて崩れ、その瞬間。海はビッチ先生から飛び降りた。
海「てめぇを先に!」
死「君になら、わかるだろう?」
海「何をだ」
死「僕のスキルさ。君が仮に僕を殺せたとするよ? でも、それと同時に僕がこの爆破スイッチを押すことなんて容易さ。そうだな、例えば出席番号……」
海が鞘から日本刀をだしながら、構えの姿勢をとった。
死「1番、7番、11番。そこらが君と仲の良いお友達かな」
海「⁉」
杉「1番と7番と11番って……」
岡「カルマと茅野と渚か⁉」
カ「………」
死「彼らの爆破を先に済まそうかな。それとも……」
死神の顔が、不敵な笑いをみせた。
死「理由は知らないけれど、君が命を懸けてでも守ろうとしている子が先、か」
海「!」
死「さ、どうする?」
海の顔が、牢屋の中の俺たちに向いた。
追い詰められて、どうしようもない顔をしている海を、俺たちは初めて見た。
海「チッ」
海はすぐに日本刀を遠くの方へぶん投げた。
死「うん、正しい判断だね」