怪盗レッドのオリジナル小説書いてみます!(4)

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599:神出鬼没◆A. Simulata Deus:2016/06/29(水) 20:32

>>597の続きだ

白いリンドウの花言葉
正義と誠実、固有の価値
そして、悲しんでいるあなたに寄り添う

花里琴音
彼女は、心優しき女性であり簡単に挫けることもなく
他人を騙したり操ったりするこなんていうこともなく対等に人と接し
大切な人が危険に晒されると自分の体がどうなろうと守ろうとする正義の心を持ち
彼女の弟である花里恭也の存在も知らないはずなのに寂しげな瞳をする怪盗ファンタジスタに愛おしげに寄り添うかのような瞳をする女性

『まさか!でもそんなはずが…』

「ケイ!大丈夫?」

『大丈夫だ、ただ今回の敵は…想像以上に厄介だ』

「それって…どういう意味?」

『正直、信じられないが相手は…魔法使いのような技を使うの可能性が高い』

もう、ここまで言えば誰でもわかるだろう
花里琴音がどこにいるのか
もう一度思い出してほしい
アーテルは、【作り変える】という能力を持つ化け物であるということを
花里琴音は現在、怪盗ファンタジスタの手にある鳥籠の中の白いリンドウとなっているのだ
流石にそこまでの能力はケイは知らないが大体あっている
とはいえ、あまりにも非科学すぎて信じがたいことだ
もちろん、響もそのことに気づき唖然していたが
鳥籠を持ち、白いリンドウの存在にいち早く気がついていたファンタジスタが一番ショックを受けていた
そして飛鳥は…残念ながら、いまいち理解していなかった

「やっと気がついたみたいだな…一人を除いては」

「なんで私の顔を見ながら言うの!?」

「んじゃ、自己紹介させてもらう。俺の名前はアーテル、今回の目的はお前たちの生け捕りだ」

飛鳥の言葉を無視しながら簡単な自己紹介を終えたアーテルは、おもむろに赤いカードみたいなものを取り出した
いや、赤というより赤黒い色に近く血を固めてカードにしたかのようにも感じる
そして、カードを握るアーテルの手先から小さな雷が発生した瞬間、カードと同じ色の剣が宙に浮いていた
摩訶不思議な光景にファンタジスタを除いた飛鳥達は、また口を開けてしまった
本日二度目の開いた口が塞がらないという顔だ
予想通りの反応にアーテルは楽しげな声音で口を開く

「ちなみに、その鳥籠から取り出せば花里琴音は元の姿に戻るぜ。まぁ、この俺特製の鍵を奪えばの話だが」

そういって、アーテルはパチパチと電気が流れているような鍵を見せつける
アクセサリー用の細い鎖でつけられているため簡単に千切れることはないだろう
アーテルは、この後勝負に持ち込むつもりでいた
そうすれば、自分なりにルールというもので相手を拘束も出来る
これで全てが決まった
心の底でアーテルは確信していた

「本当に、その鍵を使い鳥籠から出せば元に戻るのか?」

「もちろんだ。なぜ、わざわざ嘘をつかなければならん?」

「そうか…」

今まで黙っていたファンタジスタは、初めてアーテルの前で言葉を発した
正直仮面をつけているため、いまいち表情はわからない
とはいえ、今のアーテルにはファンタジスタの表情はどうでも良かったが
その瞬間、何かが掠めた


神出鬼没◆A. Simulata Deus:2016/06/29(水) 20:35 [返信]

>>599の続きだ
ファンタジスタなら出来ると思った

「…へ?」

気がつけば、自分の手から見せびらかすかのように持っていた鍵が床へ落ちようとしている
自分の声とは思えないぐらい間抜けな声がまた闇に吸い込まれていく
アーテルは、すぐに手から落ちた鍵を身を乗り出すかのように拾う

「あぶねぇ…」

大事そうに両手で鍵を握った
そういえば、鍵は細い鎖でくくりつけていたはずだが…
そう思って細い鎖を見ると鋭いもので綺麗に切られた跡がある
まさかと思い、後ろを振り返れば壁にトランプが深々と突き刺さっているのが確認できた

「うーん、鍵を手に入れれば何とかなると思ったんだけどね」

「おいおい、…強行突破する気だったのかよ」

うーん、どうしよっか?と考えるファンタジスタに向かいアーテルは声を掛ける
同時に、アーテルはここでファンタジスタの仮面の奥の瞳を"見た"
モスグリーン色の瞳は恐ろしく冷たく静かに怒りの炎を上げていた
怪盗ファンタジスタとしてではなく
織戸恭也としてではなく
花里恭也として自分なり大切にし、そして守っていた姉が酷いことになっていることが許せないのだ

一方アーテルは、冷静そうに見えるが内心では…

ートランプって、細い鎖を切り飛ばし壁に刺さるほどの斬撃力高かったけ…?
ーというか、あれどう見ても100均で売られているプラスチック製トランプじゃねーか!!
ーつーか、あれ程の威力出せるならプロの手品師じゃくて、プロの野球選手なれよ!!軽くメジャーにいけるぞお前!!
ーあと、美学はどうした!?そこは美学を貫いてこいよ!!

かなりファンタジスタに対してツッコミ…失礼、動揺していた
同時にまたもやSAN値(正気度)がゴリッと削られたような音もしたような気がする
どちらにしろアーテルのような化け物級の研究をする為に必要な実験体として狙う理由が改めて理解された気分だ
だかしかし、そんな相手だからこそアーテルは楽しく思う
だからこそこの依頼を受け取ったことに後悔はない
相手を生かさず殺さず精神と体を目茶苦茶にすることが出来ないことが残念だが仕方がないこと
そういう依頼なのだから

「いいね…いいねぇ!!その瞳っ!!」

アーテルは、狂ったかのように声を張り上げた

「俺の行動が許せないんだろ?憎いんだろ?」

赤いカードが剣として作り変わり、アーテルの背後で翼のように浮き始める

「さぁ、俺を楽しませろよ!」

その言葉と同時に、紅の剣はアスカ達に向かって飛んできた


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