>>599の続きだ
ファンタジスタなら出来ると思った
「…へ?」
気がつけば、自分の手から見せびらかすかのように持っていた鍵が床へ落ちようとしている
自分の声とは思えないぐらい間抜けな声がまた闇に吸い込まれていく
アーテルは、すぐに手から落ちた鍵を身を乗り出すかのように拾う
「あぶねぇ…」
大事そうに両手で鍵を握った
そういえば、鍵は細い鎖でくくりつけていたはずだが…
そう思って細い鎖を見ると鋭いもので綺麗に切られた跡がある
まさかと思い、後ろを振り返れば壁にトランプが深々と突き刺さっているのが確認できた
「うーん、鍵を手に入れれば何とかなると思ったんだけどね」
「おいおい、…強行突破する気だったのかよ」
うーん、どうしよっか?と考えるファンタジスタに向かいアーテルは声を掛ける
同時に、アーテルはここでファンタジスタの仮面の奥の瞳を"見た"
モスグリーン色の瞳は恐ろしく冷たく静かに怒りの炎を上げていた
怪盗ファンタジスタとしてではなく
織戸恭也としてではなく
花里恭也として自分なり大切にし、そして守っていた姉が酷いことになっていることが許せないのだ
一方アーテルは、冷静そうに見えるが内心では…
ートランプって、細い鎖を切り飛ばし壁に刺さるほどの斬撃力高かったけ…?
ーというか、あれどう見ても100均で売られているプラスチック製トランプじゃねーか!!
ーつーか、あれ程の威力出せるならプロの手品師じゃくて、プロの野球選手なれよ!!軽くメジャーにいけるぞお前!!
ーあと、美学はどうした!?そこは美学を貫いてこいよ!!
かなりファンタジスタに対してツッコミ…失礼、動揺していた
同時にまたもやSAN値(正気度)がゴリッと削られたような音もしたような気がする
どちらにしろアーテルのような化け物級の研究をする為に必要な実験体として狙う理由が改めて理解された気分だ
だかしかし、そんな相手だからこそアーテルは楽しく思う
だからこそこの依頼を受け取ったことに後悔はない
相手を生かさず殺さず精神と体を目茶苦茶にすることが出来ないことが残念だが仕方がないこと
そういう依頼なのだから
「いいね…いいねぇ!!その瞳っ!!」
アーテルは、狂ったかのように声を張り上げた
「俺の行動が許せないんだろ?憎いんだろ?」
赤いカードが剣として作り変わり、アーテルの背後で翼のように浮き始める
「さぁ、俺を楽しませろよ!」
その言葉と同時に、紅の剣はアスカ達に向かって飛んできた
>>598マジで!?
>>600アーテルダークサイド感出せてていいなぁ。葉爺場よりずっといいなぁ。でもアーテルってなんかいろいろな部分で抜けてたり笑えたりするんだよなぁ。ん?アーテルって人を自分に作り変えたり出来ないのかな?クローン的なアレで。
葉爺場「え?僕結構ダークサイド的なの出せてる気が・・・・・・・」
蒼太「クズ感なら出しまくってるなオイ」
葉爺場「ひいっ!青刃蒼太!」
蒼太「ん?斬られたいのか。」
ザシュッ!
葉爺場「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ご愁傷様です。
蒼太「ってか、あの赤い剣切れ味あるのかぁ?カードからだから切れ味・・・・・・・・・あ、そうか。ファンタジスタもあんだけ威力出したんだし出来るか・・・・・・ってか色々すげえなこの三人・・・・・・・俺以上かもな。(全員知り合い以上とかアスカからしたら友達、ファンタジスタからしたら姉、響からしたら護衛するはずの人というより自分の姉みたいにしたってたしなぁ。)」
長文失礼。
続きだ
・・・
『飛鳥、右だ!』
ケイの声と共に飛鳥は右に避ける
かつて飛鳥が立っていた場所は深々と紅の剣が突き刺さっていた
同時に、アーテルはふわりとシャンデリアから舞い降りては、次々と紅の剣を飛ばしていく
飛鳥達は、互いに目を合わせ作戦を開始した
何度も言うようだが彼らは、丸腰でアーテルと戦いに来たのではない
未確認生物に近い相手は確実に仕留めなければこちらがやられるのだ
「おいおい、攻撃しないのか?」
アーテルの声が響いた
その声は、相手の動きを少しだけ止めるぐらい悦楽に満ちた言葉だったが飛鳥達は、無視してバラバラに行動し始める
一瞬、アーテルは品定めをするような目で見つめ、追いかけ始めた
アーテルが狙ったのは…飛鳥だ
依頼では、怪盗レッドを優先的に捕獲してほしいという内容なので当たり前かもしれないが
「ケイ、分析お願い!」
『あぁ、わかった』
同時に、ケイに任せられた仕事は飛鳥のナビとアーテルという男の攻撃方法の分析だ
一方、飛鳥はアーテルに攻撃をせずに逃げるだけ
まぁ、こちらの作戦を気がつかせないための時間稼ぎという意味もあるのだが
どうやって、アーテルを確実に仕留めるかをケイが見極めているとき
丁度、最初の方で飛鳥が通った鎧が飾られている廊下に差し掛かった時
アーテルは、鎧が持つ槍をわざわざ作り変えてから投げ飛ばした
しかし、直線的に飛ばされた槍は
簡単にも避けられた
『…どうやら、変えたものしか操れないらしい。しかも、操られても直線的な動きしか出来ないのか』
「ケイ、他に分かったことってある?」
『あぁ、確証はないが…、相手は手の先から物とかを変えている。"手"さえ気をつければ何とかなるかもしれない』
ケイが分析結果を説明している間でも紅の剣の雨は止むことはなく飛鳥に襲いかかっている
そして、飛鳥は紅の剣を避けつつ距離を保つ
どれだけ安全な所まで離れてどれだけ見失わない位置でいられるのか
飛鳥は、走りながらその事を考えていた
何度も言うようだがこちらの作戦が早いうちに気がつかれると台無しになる可能性が高い
響とファンタジスタは、合流場所でもあり化け物を仕留める場所で最終確認をしている
『飛鳥、もうそろそろあそこに行くぞ!』
「了解!…出来るかどうか不安だけど」
飛鳥は、2階のとある部屋の中に入り込んだ
もちろん、アーテルも飛鳥のあとに続く
その部屋は、人が通れるぐらいの窓とタンスとベットがある簡素な所だ
部屋の面積そのものも広くはなく間違えれば飛鳥がアーテルに捕まえられる可能性が高くなる
「どうした?怪盗レッド?随分息が荒いが…お手上げか?」
「そんな訳ないじゃない!」
ここまで来るまでの間にアーテルから繰り出される遠距離系の攻撃を避け続けたいたのだから無理はないが、正直このことはバレたくなかった
相手は、さっきから本気で攻撃していない
ただ、紅の剣を飛ばしながら追いかけるだけ
ふと飛鳥は、響が言った悦楽の言葉と意味を思い出した
彼は、この状況を喜び楽しみ満足するだけの事しかやっていない
じわりじわりと浸食するかのように攻めていき弱った所にとどめを刺して喰い殺す
だからこそ、弱っている所を見せたくない