>>31のつづき
『ジム戦でなんとかなった俺たちだったんだが、強力な攻撃で負けたんだ』
「う、嘘でしょ?」
「意外だな。サトシが負けることもあるなんて……」
みんなは、本当のことが嘘のように聞こえていた。
その気持ちは分からなくもない。俺はあのとき、焦っていた……。そんなことなんて初めてだった。
『その後…1人で森へと行ったんだ…』
そのとき、ふと思い出したことがあった。
ごめんな、ゲッコウガ…俺のせいで、あのチカラを発揮できなかった……。
俺が…俺が……もっと、しっかりしていればッ……
今でも、思っていた。昨日あった出来事も、それに近かった…。
>>32のつづき
『それで、みんなが俺を探しに来てくれたんだけど、ついカッとなっちゃったんだ…』
「そこまで、つらかったんですね……」
リーリエが、不安そうな顔をして心配してくれた。だけど、『リーリエ、気を使ってくれてありがとな。で、変に考え込んでいたんだけど、やめて全力で走ったんだ』とリーリエを心配しながら、笑顔で言った。
「サトシらしいね」
『…そうかな?』
「コウガ」
ゲッコウガがウンウンと頷いた。
なんか、照れくさいな……。
『まぁいいや、それで走って行ってきたときに吹雪が酷くなったんだ…』
「大丈夫だったの!?」
「それだったら、サトシはここにいないよ」
また、スイレンに突っ込まれた。マオは「あ、そっかぁ〜」と呑気に言った。
『それで、俺は洞窟の中で休んていたんだ。』
実は、こんなことが1回だけあった。ヒトカゲの炎が消えそうになったり、みんなが凍死しそうになりそうだったから、モンスターボールを出して戻そうとしていたけど、誰も戻ってくれなかった。どころか、みんなが温めてくれた。俺は、雪の壁が空いていたから体を張って穴を塞いでいた。それを見たみんながほっといてくれなかった…。
今回はそんなことに酷くなかったけど、今回の場合は、野生のポケモンが寒そうにしていた。
『野生のポケモンが俺のとこに来てくれて、一緒にあったまっていたんだ。』
「どんな神経してんだ……」ボソッ
「カキ、そんなこと言っちゃ駄目だよ。というか、ポケモンに懐かれているんだね!」
「だからサトシのポケモンは、仲が良いんですよ!!」
マオとリーリエは、俺のことを尊敬していた。リーリエはポケモンに触れることが苦手で仲良くできるのかも不安、だけどポケモンは大好き、俺は絶対出来ると信じている。