【街頭は知っている】
恵理子・作
目次
>>2・1,立花彩のモノローグ
>>2・2,転校生
1,立花彩のモノローグ
本と同じ
2,転校生
「初めまして。私は、瀬野田うらら。同じ、うららって子がいるみたいだから、『瀬野うら』って呼んでください!よろしくお願いします。」
今日、転校生が来たの。
瀬野田うららちゃん。
『瀬野うら』って呼ぶらしい。
佐田さん達は、おっとりしてそうな瀬野うらちゃんにキリッっとした視線を向けている。
「瀬野田さんは、あそこの席へ行ってください。七鬼君の後ろね。」
薫先生が指差しながら、瀬野うらちゃんを誘導する。
忍は、いつもよりニコニコしている。
もしかして、瀬野うらちゃんが好きなのかな?
いや、いきなりそれはないか。
でも、ふんわりしてて、可愛いよ、瀬野うらちゃん。
「アーヤ、瀬野うらのこと、どう思ってる?」
翼っ!
実は昨日の席替えで、翼の隣の席になったんだ。
忍は、結構遠いんだけど。
すると、ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「瀬戸田さんも、仲良くしましょうね。はい、解散。」
薫先生が言うと、佐田さん達は瀬野うらちゃん達の所へ走っていった。
瀬戸田ではありません。
正しくは、瀬野田でした。
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>>2・1,立花彩のモノローグ
>>2・2,転校生
>>3・3,カッコいい?
3,カッコいい?
「おい、瀬野田ぁ。」
佐田さんの後ろの子、山内さんが上目遣いで言う。
山内さんの隣にいる見合さんも言う。
「アンタ、髪の毛切りな。」
瀬野うらちゃんは、戸惑いを隠せずにいる。
瀬野うらちゃんの髪の毛は、ふわふわしている感じで、胸の辺りまである、二つ縛りの癖のない髪の毛。
きっと、自分以上の物を持っていて、悔しいんだ。
自分が一番でいたいから。
「瀬野田さぁ、私らのグループ入る?楽しいよ。」
佐田さんが、瀬野うらちゃんを誘う。
きっと、悪用するだけだ。
でも、優しい瀬野うらちゃんは、
「ありがとう。入りたいか、」
瀬野うらちゃん、止まった?
もしかして気づいたのかな?
「みんなと平等でありたいから、グループには入らない主義かな。誘ってくれてありがとね。あと、髪の毛は伸ばしてるから、無理。あなたも髪の毛伸ばしてみたら可愛いと思うよ。」
おお、瀬野うらちゃんカッコいい!
周りの男の子達も、「おおっ!」ってしてる。
翼もっ?
「アーヤ、瀬野うら、めっちゃ可愛いじゃん。かっけえし。」
私の前で言われると、ちょっとイラッってするんだけど!
んんんんっ!もう!
「ちょっと、用事。」
翼は、クスッっと笑って、私を見送った。
見送らなくて、いいっ!
目次
>>2・1,立花彩のモノローグ
>>2・2,転校生
>>3・3,カッコいい?
>>4・4,告白っ?
4,告白っ?
それから、普通に授業を受けて帰ろうとしたんだけど。
「ねえ、瀬野田さん。ちょっと。」
え、男子、瀬野うらちゃん気に入ったんだ。
初日で告白!?みたいな。
佐田さん達は、瀬野うらちゃんを睨んでいるし。
まあ、関係ないからいっか。
「立花さん。一緒に来て。私みたいなひとりの子、あなたしかいないから。ね?いいでしょ?」
わ、私?
突然の瀬野うらちゃんの発言に、私以外のみんなも驚いている。
でも、いつもクラスで私が浮いていることを軽く見ているようで、もっと言ってくる。
「立花さん、ひとりでいたいんじゃなくて、ひとりでいなくちゃいけないんでしょ?私が、それを変えてあげるから、来てね。」
ちょっと、何その言い方っ!
浮いているってこと、強調したいだけでしょっ!
「プッ!わはははは!お前、超絶受けるわ。」
佐田さん達は、瀬野うらちゃんに近付く。
受けるって、面白いってことだよね。
「本当にのったんだね、瀬野うら。」
佐田さんは笑いながら言う。
の、のった?
それって、ある計画に手を貸したってことだよね。
…瀬野うらちゃん、もしかしてっ!
「いいのよ。真理子ちゃん。まあ、本当よね、立花さんがめっちゃ浮いてるの。さあ、立花さんは来なくていいのよ。真理子ちゃん、着いてきて。」
うっ、いきなりいじめっ!
酷すぎるでしょっ!
翼、忍、言ってくれるよね?
期待を込めて見たけど、、、翼も忍もいないってどーゆーことっ?
もう、こういうときに!
「瀬野田さん。ここでいいよ。」
瀬野うらちゃんを呼んだ男子が言う。
ここでいいって、まさか、ここで告白するのっ?
ああ、聞きたくないっ!
ひとまずここは、逃げるぞっ!