ーー攻略されていく
追い詰められていく
少しずつ
息の根を止められていく
影「おい!
いちいち凹んでらんねーぞ!次の一本取り返す!」
烏「絶対止められないスパイクなんかないんだ。迷うなよ」
田「次は決めたれ日向!」
西「ガッとな!!」
日「…はい!!」
第2セット 開始
何度打ってもブロックされる日向のスパイク。
烏(あの7番…マグレじゃねぇ…日向の動きに慣れて来たんだ…!)
研「……」
影「ーー…」
菅(中学の最初で最後の試合で完全にシャットアウトされて、
高校でも周りのみんなの高さに全然、勝てなくて…でも、
やっと手に入れた、自分よりずっとデカい相手と闘う方法
日向にとって、唯一で最強の攻撃
それが)
菅「たった一人のブロッカーに止められた
…日向…大丈夫か…」
菅原のいる方からは、日向の顔は見えない。だから余計、心配だった
日「………、…影山」
影山はただ黙って、日向を見つめる
日「ーーもう一回」
ーーーーーーーーーーーー
やはり、何度打っても止められる日向の攻撃。月島はチラ、とだけ烏養を見る
烏「なんで日向を交替させないのかって言いてぇのか?」
月「…別に…」
烏「これが公式戦なら替えてるかもな…でも今なら解決策を探すチャンス…
でも日向が、戦意を喪失してしまう様なら、一回下げた方がいいかもな」
東峰が打ったスパイクを夜久が上げる。その球は烏野側に降ってくる。チャンスボールだ
滝「…やっぱり…ここは割り切ってあのロン毛兄ちゃんか、ボーズ頭に球集めた方が良いのかもな」
嶋「あのちんちくりんも、もうちょっとって感じなんだけど…やっぱ身長差がキッツいよなあ…」
滝「ちんちくりんの全力ジャンプに対してデカい方は、少しタイミング遅れても追いつけるもんな」
日向が飛んだ。
影(躱した…!)
それに気が付いた影山は、日向のいる方へトスを打つ
しかし、それに負けじと犬岡が飛ぶ
また、球はこちら側へ落とされた。
田「! くそっ」
武「ダメか…」
猫「ーー気力を挫く“人の壁”
打てば打っただけ、心は折れてーー」
影山が感じたピリッとした空気
孤爪が感じたざわ、とした何か
全員が感じたぞく…とした悪寒
猫「ーーーわらった」
ーーーーーーーーーーーー
影「………、…オイ」
日「なんか…違うんだ…」
影「あ?」
日「ブロックで“向こう側”が全然見えなくて、どうすればいいのか全然わかんなかったあの頃の感じとはーー
なんか違う
音駒も、ギリギリでついて来てるの分かる…今まで、ブロックは恐くて嫌なだけだったのに
あいつが目の前に来ると、わくわくするんだ
お前のトスと、あと…何か…何かの工夫で…打ち抜けるんじゃないかって思うんだ
だから、
もう一回、俺にトス上げてくれ」
日向は真っ直ぐ影山を見つめる。
影山も真っ直ぐ日向を見つめた。
影「当たり前だ」
そして、もう一度試合へ集中を向けた。
【まさかの>>176から更新止まってる本編】
「ナイスレシーブ!」
日向が球を打つ為にドッ、と飛ぶがそれは日向が打つことはなかった
影「!!」
菅「えっ」
烏「!!」
日「あっ、オアッ、ギャッ」
日向の異変に気付いたのは、ほんの数名だけ
菅「今…
日向
トスを
見た…!」
自分の隣で驚く菅原に、さほど変わりない態度で山口は聞く
山「え…でも、それって当然のことですよね」
菅「普通はそうだけど!日向の場合、今までボールは完全に影山に任せて、ひたすらフルスイングだったのに!」
烏「っ…たっ…た、た、た、タイムッ!!」
ーーーー
影「……」
日「あっおっ、お前のトス信用してないとかじゃなくてだな…なんだろ…」
影「何焦ってんだ、お前」
烏「影山!」
オドオドする日向に少しギョッとする影山に、烏養が声をかける
烏「日向に、いつもより少し柔めのトス出してやれ。いつものダイレクトデリバリーじゃなくーー」
影「インダイレクトデリバリー…」
日「イン…?」
烏「いつもの『ズバッ!』っていう真っ直ぐな軌道のトスじゃなく、少しだけフワッとしたトスだ
イキナリ変えろって言われても難しいかもしんねえけど…」
影「……」
影山は、まだ何も分かってない日向をチラリと見てから言い放った。
影「やります」
ーーーー
武「トスを変えるのはどうして…」
タイムアウトが終わり、選手達がコートへ戻るなか武田が烏養に聞いた。
烏「空中で日向に余裕ができるようにだ」
武「ホォ…」
烏「さっき日向は、空中でブロックを避けようとした…」
武「え?」
烏「1セット目の影山のストレート打ち…あれを
ブロックを避ける技を、見様見真似でやろうとしたんじゃないか
全然できてはなかったけど」
ーー
影山の手から、先ほどとは違うトスが打たれる
日(今まで全然考えないで打ってたから、いざ自分で合わそうとすると分かんねえ…!)
何度も空振りをする日向を落ち着かせるため、烏野高校は2回目のタイムアウトを取った
烏「日向一回落ち着け!」
日「ハイッ」
烏「影山はベストなとこにトスくれっから」
日「ハイッ」
そして日向は、田中、東峰の方へ向かった
日「すっ…すみません…おれ…ミス沢山…」
田「何を言うか!!
俺はいっつもお前のお陰でフリーで打てるからな!
たまには俺の方がカッコイイ試合があっても良いんだ!」
ビシッと自分を指差す田中の後ろで東峰も頷く
西「旭さんの方が決めてるけどな!」
田「うるせえ!とにかくいいんだ!
ねっ?旭さん!!」
旭「あ!そうそう、うん、そうそう
点は俺達が取り返す」
日「!」
月「あんまりやらかすと替えられちゃうカモだけどね」
田「月島!!」
ニヤニヤしながら日向をおちょくる月島の肩を、グッと笑顔の澤村が掴む。
澤「大丈夫大丈夫。何か掴めそうならトコトンやりな
跳んでる時は独りでも、後ろにはちゃんと俺達が居るし」
そして澤村はドフッと東峰の背中に一発入れた
澤「点は“エース”が取り返してくれるらしいな!頼もしいなあオイ!」
すると菅原はビッと東峰を指差した
菅「大地!旭にプレッシャーかけんなよ!傷ついちゃったらどうするんだ!」
旭「……」
西谷も菅原のように東峰の指差す
西「そうですよ!ガラスのハートなんだから!」
旭「……」
田「もうやめてあげて!」
東峰のHPはゼロに等しい
音駒高校の点数は10
烏野高校の点数は5
この点差、巻き返せるか