【まさかの>>176から更新止まってる本編】
「ナイスレシーブ!」
日向が球を打つ為にドッ、と飛ぶがそれは日向が打つことはなかった
影「!!」
菅「えっ」
烏「!!」
日「あっ、オアッ、ギャッ」
日向の異変に気付いたのは、ほんの数名だけ
菅「今…
日向
トスを
見た…!」
自分の隣で驚く菅原に、さほど変わりない態度で山口は聞く
山「え…でも、それって当然のことですよね」
菅「普通はそうだけど!日向の場合、今までボールは完全に影山に任せて、ひたすらフルスイングだったのに!」
烏「っ…たっ…た、た、た、タイムッ!!」
ーーーー
影「……」
日「あっおっ、お前のトス信用してないとかじゃなくてだな…なんだろ…」
影「何焦ってんだ、お前」
烏「影山!」
オドオドする日向に少しギョッとする影山に、烏養が声をかける
烏「日向に、いつもより少し柔めのトス出してやれ。いつものダイレクトデリバリーじゃなくーー」
影「インダイレクトデリバリー…」
日「イン…?」
烏「いつもの『ズバッ!』っていう真っ直ぐな軌道のトスじゃなく、少しだけフワッとしたトスだ
イキナリ変えろって言われても難しいかもしんねえけど…」
影「……」
影山は、まだ何も分かってない日向をチラリと見てから言い放った。
影「やります」
ーーーー
武「トスを変えるのはどうして…」
タイムアウトが終わり、選手達がコートへ戻るなか武田が烏養に聞いた。
烏「空中で日向に余裕ができるようにだ」
武「ホォ…」
烏「さっき日向は、空中でブロックを避けようとした…」
武「え?」
烏「1セット目の影山のストレート打ち…あれを
ブロックを避ける技を、見様見真似でやろうとしたんじゃないか
全然できてはなかったけど」
ーー
影山の手から、先ほどとは違うトスが打たれる
日(今まで全然考えないで打ってたから、いざ自分で合わそうとすると分かんねえ…!)
何度も空振りをする日向を落ち着かせるため、烏野高校は2回目のタイムアウトを取った
烏「日向一回落ち着け!」
日「ハイッ」
烏「影山はベストなとこにトスくれっから」
日「ハイッ」
そして日向は、田中、東峰の方へ向かった
日「すっ…すみません…おれ…ミス沢山…」
田「何を言うか!!
俺はいっつもお前のお陰でフリーで打てるからな!
たまには俺の方がカッコイイ試合があっても良いんだ!」
ビシッと自分を指差す田中の後ろで東峰も頷く
西「旭さんの方が決めてるけどな!」
田「うるせえ!とにかくいいんだ!
ねっ?旭さん!!」
旭「あ!そうそう、うん、そうそう
点は俺達が取り返す」
日「!」
月「あんまりやらかすと替えられちゃうカモだけどね」
田「月島!!」
ニヤニヤしながら日向をおちょくる月島の肩を、グッと笑顔の澤村が掴む。
澤「大丈夫大丈夫。何か掴めそうならトコトンやりな
跳んでる時は独りでも、後ろにはちゃんと俺達が居るし」
そして澤村はドフッと東峰の背中に一発入れた
澤「点は“エース”が取り返してくれるらしいな!頼もしいなあオイ!」
すると菅原はビッと東峰を指差した
菅「大地!旭にプレッシャーかけんなよ!傷ついちゃったらどうするんだ!」
旭「……」
西谷も菅原のように東峰の指差す
西「そうですよ!ガラスのハートなんだから!」
旭「……」
田「もうやめてあげて!」
東峰のHPはゼロに等しい
音駒高校の点数は10
烏野高校の点数は5
この点差、巻き返せるか
【久々の本編更新。>>551の続き】
「旭さん!」
ドギュッ
「ナイスコース!!」
じっ…とコートを見つめる日向。
菅(…すごい集中…リベロと交代中も全然途切れない…)
音駒15:烏野12
ーーーー
影山のトスを日向は見て、強く打つことができない。
武「ああっ!また返すので精一杯…どうすれば上手く行くんでしょうねぇ〜」
烏「けど、よくあの目茶苦茶な体勢から返すモンだ。バランスがいいんだな
…初めてのプレーをすぐできないのなんて当然だ。でも、
どんなことだって、“やってみる”から始まるんだ。」
烏養と武田の目に映るのは、コートで懸命にスパイクを打とうとする日向と、それに応じてトスを上げる影山。
烏「ちびでへたくそで単細胞。でもなんか、うちのじーさんが言ってたことを思い出す」
武「烏養前監督ですか?」
烏「“小さな巨人”て前に烏野にいたろ」
武「日向くん憧れのエースですね!」
烏「名前のまんまだけど身長は170pそこそこで、最初はブロックに止められてばっかだった。
それが2年の後半には、空中戦で右に出る奴はいなくなった。
ブロックの高さに敵わないなら、その隙間を狙って打つ…わざとブロックの指先に当てて弾き飛ばす…そうやって、小柄な自分の戦える道を作って行ったんだ」
烏養の脳裏に浮かぶ、10を背負った“小さな巨人”
烏「…うちのじーさんがそいつについて言ってたことを、すげーよく覚えてる」
『“翼”が無いから
人は飛び方を探すのだ』
重なる日向と“小さな巨人”の影
日向はくんっ、とブロックを避けて
ブロックに捕まることなく、スパイクを決めた。
勢いよく打たれたそれは、誰も拾うことができなかった。
ピッ、と笛の音のあと、スッと審判の両手が上げられる。
武、菅「あーっ!アウトかーっ!」
犬「…すげぇ…すげぇな!ショーヨー!!」
日「ーーー…
…もう一回。」
その眼はまるで、“獣”のようだった。