【>766の続き。あ、トビオちゃんノットにょたです】
「ごめん、待たせたね」
「大丈夫だべ」
及川と、部活終わりに会う約束をしていた。いつもならみんなで坂ノ下商店に寄るところだが、今日は近くのファミレスに寄る。
「…あの、及川が俺を呼び出すって珍しいよな。てっきり、影山を呼び出すと思ってたよ」
気まずい。そもそも、バレー以外で接点がないのだ。しかも敵として。だから話が盛り上がらない。
「……なんで、俺が飛雄じゃなくて爽やか君を呼び出したと思う?」
及川の、いつもより低い声。
「なんでって…分かんないべ、そんなの」
「まあ、そうだよね…
…そういえばさ、爽やか君ってば飛雄に告白したんだって?」
いきなりそんな事を言われたので、驚いてメロンソーダを吹き出してしまった。
「あはは、本当なんだ」
「な、なんでそれをお前が!?」
「この前飛雄が教えてくれたんだよ。嬉しそうだったよ、あいつ。」
嬉しそう、だった?
じゃあなんで、あいつは俺を振ったんだ?
「ここで問題です」
「えっ」
「爽やか君には時間がありません。さて、なんの時間でしょうか。」
「俺に時間がない…?」
まったく意味が分からない。
(なんだ?課題…はちゃんと期限内に出した。進路希望も出したし…)
「ヒントが欲しいって顔だね。いいよ、特別だ。
ヒントは、今までの飛雄です。
今までの飛雄の行動を思い出して。これは大ヒントだ。」
「今までの影山の行動…」
ーー
『おいお前!もっと速く飛べるだろ!』
『うるさいな!飛んでるだろ!!』
『うーわ、王様の機嫌悪っ』
『王様って言うんじゃねぇよ』
『お、落ち着いてください皆さん!影山君も!』
『……誰、でしたっけ』
『えっ…ーー』
『お、おい!本当にどうしたんだよ影山!』
『うるせぇな。お前も誰だよ』
ーー
『すいません、名前とポジション教えてもらっていいですか』
『え、今さら?』
『すみません…』
『まあいいけど…烏野高校3年の菅原孝支。ポジションはお前と同じセッター』
『えっ、俺と同じセッターですか!?』
『おう。っていうかどうした?前から知ってるだろ〜』
ーー
「…影山の、記憶が…失くなっていってる…」
「正解」
【>>767の続き】
「なん、で…どうして…」
「ちょっと、そんな変な声出さないでよ。
一番苦しいのはお前じゃないだろ。
一番苦しいのは本人である飛雄だ。」
そうだと分かってる。頭では理解してる。
「でも、涙が止まらないんだ…っ」
「なに…飛雄の気持ちが分かったようにいんの?爽やか君に分かる!?
記憶を失くす恐怖を一人で背負う飛雄気持ちが!仲間を、相棒を忘れる飛雄の気持ちが!やっと想いが通じたのに記憶が失くなっていくから爽やか君の気持ちに応えられない飛雄の気持ちが!!
分かる訳ないだろ!!様子がおかしかったのに気付かなかったんだから!!!」
及川に胸ぐらを掴まれる。
いきなり大声を出した及川を、他の客がなんだなんだと注目する。
「なんで及川は…影山の記憶の事を知ってるんだ…?」
「…一番最初に忘れられたのが、俺だったからだよ。」
ドン、と何かで殴られた気がした。
「一瞬だったけどね…久しぶりに会ったから話してたらいきなり、「名前なんでしたっけ」って言われたんだ。あいつが俺の名前を忘れるなんて有り得ないだろ?だからおかしく思って、問い詰めた」
俺よりも先に、忘れられた奴がいる。
それがすごく、衝撃的だった。
「話を戻すよ。だから爽やか君、君に時間はない。飛雄は今も君を忘れていってる。
明日には、もう一度名前を教えないといけないかもしれない。」
「……だから、俺にどうしろと?俺は影山のその病気を治せない。」
キリ悪いけど切ります。
凛茉さん、私のTwitterの名前はお香しゃちょーでござるんるん。よろるんるん。