第1章 D無くなった記憶の欠片2
僕は溺れて沈んで行く初音を、抱き抱えて水槽から脱出した。
凛は意識があるけど、初音は抱き抱えた時には意識がなかった。
「漣良かった、無事で…」
遥はホッと一息をしているけど、僕は無事だけど……
初音が無事でないから、冷静に落ち着こうと思っても出来ないんだ。
僕は初音に向けて、声をかける。
「初音,初音!」
必死に呼ばないと、いけないから何回も叫び呼んだ。
「もう1回だ…!」
「漣,芽衣子さんを呼び出して来たよ!!」
また呼ぼうとしている時に、凛がゴシックでいつの間にか解さんに芽衣子さんに伝えてくれたみたいだ。
「漣,初音の意識がないって凛から聞いて……!」
芽衣子さんは初音を見てから、崩れ落ちそうに座った。
「ごめんな…,漣」
解さんは僕の肩に手を置いて、情けなさそうに誤ってくる。
「………」
初音を抱き抱えながら、僕がいけなかったんだ!
腕を掴んでおいてと言った矢先で,こんなことになるとは思いもしなかった……
僕のせいだ、早くから抱き抱えてあげていたら良かったんだ。
そう願っていると、初音はぐったりとしていたけど小さく聞こえた声が僕の耳に届いた。
「んくん……」
初音!?
意識がある,僕はこの時に思い知ったんだ……
>>46は漣sideです。
第1章 D無くなった記憶の欠片3
横倒れになった私は、漣君の言葉で遠退いた意識が呼び覚ましてくれたみたいなんです…?
「んくん……」
私は漣君の名前を言い、少しずつ目を開けると心配する芽衣子お姉さんと解お兄さんが居た。
漣君は私のことを,ずっと抱いていたんだと思った。
「初音!」
強く抱き締めているけど、そんなに痛くないんです。
優しいぐらいに温かいと思っているぐらいなんです。