20XX年。
僕らは生まれた時から月に行くことを夢見ていた。
いよいよ、その夢が叶いそうだ。
僕ら「月虹探査団」は、早速ロケットへ乗り込んだ。
「此れを支配するものは、自分を、しいては作品をも支配しゆる!」
髪は女の命なのよ。
今は亡きおばあちゃんの口癖だ。椿油の染み込んだ飴色のつげ櫛で、ひと房ひと房慈しむように梳いてくれた朝。
昔は多少お顔が不細工でもね、髪の毛が綺麗だと良い結婚ができたの、なんて物語を読み聞かせるように言っていた。私はあんまり可愛い方じゃなかったから、その言葉を信じて髪の毛だけは大切にしていた。
おばあちゃんは白髪だったけど月みたいな銀色でツヤツヤしていて、W︎︎枯れW︎︎を感じさせない。私はそれがとても羨ましかった。私もいつか銀色の髪の毛が欲しい、なんて10歳の頃から白髪を望むくらいには見事な神だった。
おばあちゃんの遺髪からは、今もうっすら椿油の香りがしている。
我輩と母上は、テーブルに置かれた一通の封筒を不振そうに眺めておった。
「はて?何だ?この手紙?」
母上は、不思議そうに手紙を手に取り、宛名を確認するが……
宛名は妹。我輩は妹を呼び、封筒を開けさせた。
妹が封筒から、二通のメッセージを取り出し、一通目を読み出した。
そして我輩は叫んだ。
「ああ、あのときの人だ!」
5日前……
我輩はしぶしぶ母親を連れて、デパートのお客様感謝デーなどという
催し物にきていた。
良くある、お得意様しか入れない特別な日で、品物が安かったり、外れなしのくじが引けたりと……
いわゆる、おばさん達のパラダイスなのである。
しかし、そのような物に我輩は興味がない。
第一人が多い!あのようなところに入ったら、我輩は恐らくいらいらして
通行人を全て蹴っ飛ばして歩くであろう。
というわけで、我輩は駐車場に止めている愛車の中で、優雅に昼ねするのであった。
さて、どれくらい寝たであろうか……母上が、我輩の愛車のトランクを叩く音で眼が覚める。
また、大量に買い込んだものだ……トランク一杯に買い物袋を詰め込んで、
母上は、助手席に乗り込んだ。
そして、帰宅中、母上はこんなことを言っていた。
何でも、母上が店を出ると、家族連れの人が招待状が無くて入れなく、へこんでいたらしい。
母上は、どうせ捨てるのだからと、持っていた招待状を渡してきたのだといっていた。
しかしこれが、思いもよらぬ展開になるとは……
さて、舞台は我が家にもどる。
我輩は一瞬で悟った。
そう、この封筒はあの時母上が招待状を渡した人だったのだ。
なんともはや、便箋2枚に感謝の言葉がずらずらと……
母上は少し、気持ち悪そうにしていたのだが。
ゴミを渡して、感謝されるなんて正直我輩も驚いていた。
だが、ここまで感謝されると、何もしていない我輩も気分がいい。
二人の息子に、たまごっちも買うことが出来たと感謝文も書いてあった。
たったこれだけのことで、感動が生まれるのか……
人生面白いこともあるものだ。
さて、何故これが妹に届いたのか?
一家三人、しばし考え込み我輩がこたえる。
「招待状、お前のじゃないのか?」
我輩は、妹を指差した。
なるほど、納得。
僕は中国で生まれて、そのままダンボールに入れられて日本にやってきた。
でも、なぜか……
やっと外にでれたかと思ったらいきなり、箱の中に入れられてしまった。
箱に入って一週間、なぜか僕そっくりな奴がひしめき合っていた。
「押すなよ、あっちいけよぅ」
「うえにのっかるなようぅ」
皆文句の言い合いだ。
でもみんな口をそろえて言うお決まりの言葉。
「ココから出たいなぁ」
何人かはココから出て行った。
ココから出て行った奴は人間に抱かれそれはもう幸せそうな顔をしている。
いわゆる僕たちの夢である。
僕たちの憧れは人間に抱っこされること。
人間に愛してもらうこと……
ああー想像するだけで……
早くココから連れて行ってよ。
でも僕は下の方で埋もれている。
いつになったらでれるのか。
今日も何人か外に出て行った。
みんな抱っこされて幸せそうだった。
……いいなあ。
……いいなあ……羨ましいなぁ……
赤い服の人たちが掃除を始めた。
ああ。
今日はもうお終いか。
又明日……
誰がそとに出れるのかなぁ……
次の日のお昼。
僕は有頂天だった。
だって今僕一番上に居るんですもの。
ウフフ。
今日は絶対出れる。
外に出れるぞぅ。
いやぁー嬉しいなあ。
誰か早く来ないかなぁ。
あ、女の子が来た。
あ、お金入れたぞぅ。
あ、僕のところに愛の手が……
あ、僕の首についてる紐に愛の手が引っかかったぁー。
やったーこれで外にでれる。
女の子に抱っこしてもらえるぞぅ。
え、あっちょっと待って。何で帰っちゃうの?
待ってよーーーーーーー。
赤い服着たお兄さん呼んできたら外に出してもらえるのに。
でも……
女の子はそれが分からなかったみたい。
少し涙ぐんで外に出て行った。
僕は愛の手にぶら下がったまま。
愛の手は僕にすまなそうにこういった。
「ごめん。せっかくのチャンスだったのにな。」
僕は涙があふれてきた。
外に出れると思ったのに。
抱っこされたかったのに……
赤い服のお兄さんがやってきた。
ああ、元に戻されるのか。
ちくしょう、もう少しだったのに……
だけどなんか違う。
僕を手に取りきょろきょろしてる。
元に戻さないのかな?
ひょっとして捨てられるのかなぁ……
え、え?
赤い服のお兄さん僕を持ったまま外に走り出した。
外にはしょんぼりしているあの女の子?
え?え?え?
僕は女の子に手渡された。
「ハイこれ。おめでとう。」
赤い服着たお兄さんはニッコリ女の子に僕を差し出した。
「わー。ありがとう」
女の子は僕をギュッって抱っこしてくれた。
うわぁー。
気持ち良い。
これか。これかぁ……
なんて気持ちいいの。
まるで天国のようにあったかいよぅ。
赤い服着たお兄さんは大事にしてねと言いながら入り口から姿を消した。
女の子は僕を眺めつつニッコリ。
そして僕にキスをくれた。
僕はただのリラックマ。
でも今一番幸せだ。
ああーーーーーー最高だぁーーーーー。
僕は今チャットを楽しんでいる。
不思議なチャット。
何が楽しいのかって?
不思議なんです。
此処のサイトコンテンツが豊富なんです。
ゲームやアニメ、ニュースやスポーツ。
ありとあらゆるコンテンツがあるのに何故か稼動してるのが・・・・
チャットのコンテンツだけなのです。
しかもこのチャット、登録制で常時1億人がログインしている
「マンモスチャット」なのです。
僕がこのサイトを知ったきっかけが友チャット仲間からの招待でした。
・・・…いい所だから一度おいで……そう言って彼もまたこのチャットに夢中になっていたのです。
色々なテーマがあり、趣にあったチャットで皆と会話を楽しんでいました。
あるときそのチャット仲間から登録を迫られました。
登録するともっと楽しいチャットが出来る。
そんなことをチャットの仲間が言っていました。
僕は登録することを決心しました。
ID・パスワード・住所に・メールアドレス。
全ての項目を入力し登録完了した瞬間、不思議な利用条約が出てきました。
【楽しいひと時の代償に貴方の人生を束縛するかもしれません。】
僕は意味が分からなかったがそのまま登録してしまいました。
そして届いたメールから本登録をした瞬間。
ディスプレイから手が生えて僕の腕をひしとつかみました。
驚いた僕は振り払おうとしましたが力が強くて振り払えませんでした。
そして、僕はディスプレイの中に引きずり込まれてしまいました。
でもね、引きずり込んだのが僕のチャット仲間だったんです。
そして、暗闇を抜けると其処には物凄い数の人とパソコン。
皆無言でキーボードを叩いてるんです。それも殆どが僕と同じ子供。
そして、チャット仲間が口を開きました。
「此処はいいぞ、チャットするだけで勉強なんてしなくていい。
チャットが終わったら、好きなことして遊べるんだ。
食事も寝床も何でもある。」
僕は案内をしてもらう。
チャット場をでると、其処には大きな町があった。
レストラン、ゲームセンター、玩具屋。
お金なんか入らない。チャットすれば好きなものを持っていっていいのです。
僕は嬉しくなりました。
「がんばってチャットして誰かこっちに紹介すると、もっと
楽しい場所にいけるんだぞ。」
「ただ、元の世界には帰れないけどな。」
元の世界には帰れない。でもいいやと思いました。
最近、お父さんもお母さんも家に帰ってこないしつまらなかった。
「こっちで楽しくやるよ。」
僕はにこやかの答えました。
「じゃあ、早速チャットしようぜ。」
僕とチャット仲間は、チャット場に向かいました。
その頃、元の世界で僕のお葬式をやってたみたいだけど
そんなことは僕には分からなかった。
僕は今、豪華な食事と楽しいひと時を「人生」を代償に楽しんでいます。
君もこっちにキマセンカ?
あんまり深く考えずに書いていく
感想くれたら嬉しいです!!
感想くれたら嬉しいです!
(ブラッドオブドラグーン)
「待った!もう一回じゃ」
老人は、あわててチェスの駒を新たに並べなおす。
「爺さんいい加減にしとけよ、もう20回目だよ」
勘弁してくれといわんばかりに一人の剣士が呟く。
「まだじゃ、ワシが勝つまで返さんからな。」
「マジかよ、勘弁してくれよぅ」
結局、老人が勝てたのは夜も更けシンと静まり返った頃だった。
「あぁーこんなに真っ暗じゃ山道帰れないじゃないかよーまったくぅー」
「明日、昇格試験があるのに……」
剣士は恨めしそうに老人を睨みつける。
「分かった分かった、此処まで付き合ってもらった礼じゃ。町の近くまで送ってやろう。表で待っておれ」
老人は、剣士を自分の住んでいる洞窟から外に出すと、みるみる姿を変えていった。
「相変わらずでかいねぇ」
剣士は自分の何倍もある「龍」を見上げ感心していた。
「さて、背中に乗りなさい。振り落とされんように気をつけるのじゃよ」
老人は、この森に住む最後の「龍」であった。
この世界の龍は、人間達のくだらない妄想のためにその命を奪われ続けていた。
龍の血は龍の力を与えると……
年老いた龍は、身を隠し全ての人間とのつながりを絶った。
たった一人この剣士を除いて。
「うひょー気持ちいいー」
剣士は龍の首にまたがり、地表を眺めつつ空中飛行を満喫していた。
「どうじゃ、フィーグよ。昇格試験は受かりそうかの?」
「あぁ、今回はちぃと厄介かも。」
剣士はフィーグという、金髪で赤眼の右目を持つ町の自衛団に所属している剣士であった。
今回の昇格試験は、単独でモンスターと格闘し、相手を戦意喪失させれば合格らしいのだが……
「厄介とな?お前が厄介というからにはかなりの化け物か?」
「ああ、アンデッドらしいんだ。聞いたところによると」
「ふむ、それは、厄介じゃのう」
アンデッドとは、命亡き者という意味でふじみである。
流石に生ではない者をたおすことは不可能、かなり厄介ではある。
「まぁ、なんとかなるわさ」
フィーグは、わりとあっけらかんとした口調でそう答えた。
「お前さんらしいのう」
「お互い様だよ」
こんな会話が空中で繰り返されるのが一人と一匹の日常だった。
少なくとも、一週間後の昇格試験の日までは。
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