それはあまりにも唐突に起こった出来事だった。
誰しもが普段と同じ日常を過ごし、明日も同様の日々を送るものであると思い、眠りについた……
だが、目を覚ましたのはごく一部の者だけだった。
里も、山も、森も……
人妖も、動物も、植物さえもが眠りについたまま目覚めることがなく、幻想郷全体を深く冥い静寂が支配していた……
これは明確な"異変"だ。
"それ"は深き夢の世界から現れる悪夢の支配者。
微睡みの中に漂う無垢な精神を貪り、安息を求める者達に恐怖を与えるおぞましき幻魔の軍勢『エファ・アルティス』
現世を救うために悪夢を支配する幻魔との戦いが幕を開ける……
>>2 時系列と注意
>>3 異変側の勢力
【時系列と注意】
物語の舞台となる幻想郷は春雪異変が終わり、妖夢々のエクストラクリア後から数日後の時系列となっています!オリジナル要素が強めになると思いますので、東方projectについて知らない方でも参加しやすくなっていると思います!
また、「始幻想」と「夜想譚」と地続きの世界線となっています。
※キャラ崩壊あり
※死亡や再起不能になる可能性あり
※シリアス多め
※主は心情ロルがかなり苦手
※ロルは2行以上お願いします
※オリキャラは紫や霊夢以上になるとパワーバランスや世界観、敵対者の強さの調整が困難になるため禁止
以上が苦手な方や無理だと言う方はそっ閉じして下さると幸いです。
【エファ・アルティス】
幻魔の女王
「イライザ・インサーニア」
が束ねる幻魔(悪夢の化身)によって構成された一大勢力であり、人々の悪夢の数だけ存在する上に、一部の上位幻魔(幻魔の中でも強い力を持った者)は実体を持って現世に現れ、現世にも直接干渉する事が出来る。
幻想郷全域にかけた『超広域永続昏睡幻術』によってあらゆる存在が昏睡し、自力では目覚めることが出来なくなった世界の中で悪夢の世界へ乗り込む方法を探し、イライザを倒すことが目的となります。
【こんばんは!霊夢さんで参加希望です!】
5:◆3.:2021/03/29(月) 21:27勿論OKです!!
6:悪夢の始まり◆3.:2021/03/29(月) 22:28 【幻想郷全域】
春雪異変が解決し、紫と藍の二人との戦いも、異変解決後の宴も終わり、冥界と現世の境界も修復され、全ての騒動が収まり夜が訪れた……
だが、その日の夜は異様なまでの静寂に包まれていた。
思えば、この時から既に"奴ら"は動き始めていたのだろう。
夜が明けた後の幻想郷は何処までも沈黙に支配されており、人や妖だけでなく、鳥や虫すらもその深き眠りについており、誰も話さず、誰の声も聞こえてこない……まるで世界そのものが死滅したかのような不吉さを孕んだ沈黙が続いている……
そんな沈黙と静寂が支配する世界の中、偶然か、それとも必然なのか……ごく一部の者だけが目を覚ます……
・・・・・不気味なくらい静かね・・・・・まぁ、騒がしくなくて助かるっちゃあ助かるけど・・・・・
(恐ろしすぎるくらいに静寂が広がる夜・・・・・
夜が静かなのは寝る分にはいいのだが、博麗の巫女としての本能か、それとも人間という種族に元から備わっている本能か、なんて言えばいいのかはわからないものの、何か胸騒ぎがしていた・・・・・)
【早朝の博麗神社】
???
「おはようございます、霊夢さん。」
夜が明け、本来ならば鳥の囀りや虫のさざめき、妖怪や妖精の喧騒が聞こえてくるはずであるにも関わらず、何の声も聞こえて来ない……それはまるで幻想郷そのものが死滅してしまったかのように……
いや、命の気配ならば普段通りなのだが、まるで活動することを辞めたかのように不気味な静寂が続いている。
そんな異様な状態の中で、更に見たこともない、1m程の大きさの桃色のシャボン玉が浮遊し、霊夢の前に現れ、霊夢に向けて穏やかな声の女性の声で念話を行い語りかける。
博麗の勘ではこの水球がこの異変の元凶の一派ではないと言うことを告げているものの、完全に無関係ではないとも伝える。
・・・・・アンタ、何者・・・・・?
(純粋なシャボン玉ではないのは明白ではあるが、妖怪とも妖精とも違うような感じの、なんとも珍妙なその桃色のシャボン玉に対して、霊夢は何者なのかと問いかける・・・・・
得体の知れない)存在に対して、警戒しながら・・・・・)
???
「私ですか?私は……この"異変"について知る者です。」
シャボン玉では表情も素性もわからない。
念話ではその本心や考えを読み取れない。
だが、辺りの不気味なまでの沈黙の理由について知っていると言うのは本当だろう。
だが、まだ神社から出ていない霊夢は今、幻想郷がどうなっているのかが把握出来ていないと思われるため、その言葉も全て懐疑的なものになっている。
異変かどうか見定めるのは私よ、アンタみたいなぽっと出の得体の知れないシャボン玉が決めることじゃないわ・・・・・
(相手は・・・・・というか、シャボン玉は今の状況を異変と言ってはいるものの、やはり得体の知れないシャボン玉の言うことはそんなにすぐには信用出来ないからなのか、異変かどうか見定めるのは自分の役目であると言葉を返す・・・・・
今幻想郷に異変が起きているのなら、どこかに異変の黒幕がいるはずだが、不自然な程に静かなのはただ単に夜だからなのではとも思えてくる・・・・・
ただ、それにしても静かすぎではあるのだが・・・・・)
???
「そうですか……まあ、いきなりこんな事を言われて戸惑わない者はいませんからね、暫くは消えていましょう。」
《パチンッ》
謎の声は霊夢の言葉に対して軽口を返す訳でもない、否定や反論をする事もなく、拍子抜けする程あっさりと引き下がり、風船が割れるような炸裂音ではなく、気泡が弾けるような小さな音をたてて水球が消え、同時に念話も終了し、辺りには再び静寂が戻る。
魔理沙
「…………………。」
普段ならば元気よく箒またがってやって来る魔理沙が何を思ったのか神社の石段をゆっくりと歩いて登って来ている。気配や遠目に見た姿は別に普段の彼女と何の変わりも無いが、先程の声の主が話していた"異変"と言う単語が言い知れぬ不安感を伴う。
な、何だったの・・・・・今は・・・・・夢・・・・・ではないわよね・・・・・?
(幻想郷という、妖怪や妖精、魔女や不老不死までもがいるこの地においても、なんとも現実味がないというか、今のは現実ではなく夢だったのてはないだろうかと錯覚し始める・・・・・
そして、普段とは違って石段を歩いて登ってくる魔理沙に気づけば「・・・・・あら、魔理沙・・・・・どうしたの?こんな時間に・・・・・」と、さっきのこともあってか、少々警戒しながら聞いてみる・・・・・)
魔理沙
「……………」
【恋符「マスタースパーク」】
魔理沙は霊夢の問いかけに対して言葉を返すこと無く、黙り込んだまま右手に八卦炉を召喚し、そのまま何の躊躇もなく霊夢に向けて彼女の代名詞とも言える金色に輝く巨大な光線…マスタースパークを解き放ち、あまりにも突然かつ殺意に満ちた襲撃を仕掛ける……
普段から弾幕ごっこをしている事はあったものの、今回はごっこ遊びなどではなく、本気で霊夢を消し去ろうとした一撃をいきなり繰り出しており、位置的に霊夢が避けてしまうと神社が破壊されてしまうようになっている。
なっ・・・・・!?
ドゴゴゴゴッ・・・・・!!!!!
(霊夢はいきなりのことに理解が追いつかないままだが、なんとか防御しようと弾幕を放って魔理沙のマスタースパークを相殺してなんとか食い止める・・・・・
そして「ちょっと!いきなり何すんのよ魔理沙!」と怒鳴り散らす・・・・・)
魔理沙
「……………。」
魔理沙は一切の言葉を口にせず、そのまま追撃としてスペルカードを手に持つ。まるで意識が存在せず、肉体だけが何者かに操られているかのように……
このまま神社の境内で戦いを続けていれば、神社が破壊されるどころか、結界の要となっている神社の周辺にある木々が薙ぎ倒され、焼き払われてしまうだろう。
これじゃあキリがないっ・・・・・!魔理沙!やるんならもっと神社から離れて思いっきりやりましょうよ・・・・・!
(そう言うと霊夢は、人気のない場所へと移動する為に飛び始める・・・・・
今の魔理沙なら、自分についてきて簡単に誘導できると思ったからなのか、森の方へと、それも、森の中でも特に戦うに十分な場所へと飛ぶ・・・・・)
《ゴオッ》
魔理沙との戦闘による神社への被害を避けるために森に向かって飛ぶ霊夢に向けて全長5mもある巨大な氷柱が放たれる……
ちょっ・・・!?移動すらままならないっていうの・・・・・!?
(幸い、避けてそのまま氷柱が地面に落ちても平気なように人気のない場所の上空までこの時点で既に移動していた為、霊夢は間一髪のところで氷柱を避ける・・・・・
にしてもまさか、移動すらままならないほどに追撃をしたけてくるとは思わなかったのか、霊夢は驚きを隠せないでいる・・・・・)
チルノ
「……………………。」
魔理沙からの突然の襲撃に加えて氷柱が迫って来ている事に驚いている霊夢の前に氷柱を放った張本人であるチルノが現れる、チルノの表情は完全な無であり、死んでいるにしては肌色が良く、眠っているにしてはあまりにも生気の感じられない昏睡した状態である事がわかる。
昏睡状態であるにも関わらず、霊夢の前に現れたチルノは両手を広げて自分の周囲に無数の氷の塊を形成し始め、その氷塊から無数の小さな氷弾を霊夢に向けて放ち、空中で撃ち落とそうとする。
くっ・・・・・!
バッ・・・・・!
(避けるぐらいならまだ簡単に出来る・・・・・
だが、魔理沙同様にチルノまで、しかも続け様に襲ってきた・・・・・
この様子だと、恐らくほかの住人達も同じように何者かに操られている状態であるということが容易く想像出来る・・・・・
そう考えると、これはまだ序章に過ぎないとも思える・・・・・)
《ゴオォォォォォォォォ…》
対話による意志疎通は不可能。
前方からはチルノが放つ吹雪のごとき氷弾の暴風が霊夢を呑み込もうとする……まだ魔理沙の姿は見えないものの、前から迫り来る氷の弾幕にも明確な殺意が感じられる。
まったくもう・・・・・!どうなってんのよ・・・・・!!!!!
ゴッ・・・・・!
(霊夢は負けじと弾幕で抵抗しながら、同時に回避もこなしていく・・・・・
しかし、魔理沙に続いてチルノまで殺意全開で襲ってきているのを見ると、操っているであろう黒幕は近くにいるのか、それとも遠隔操作のような感じで操っているのか、霊夢は辺りを見渡しながら怪しい人物の影はないかどうかを伺い始める・・・・・)
【恋符「マスタースパーク」】
《ゴオォォォォォォォォ》
少し意識を周りに向けると周囲に……いや、幻想郷全域を何か得たいの知れない"何か"が包み込んでいるようなものが感じられる。
眼前から迫るチルノの弾幕を避け、或いは相殺している中、後方から巨大な金色の光線が迫り、目の前のチルノに気を取られているであろう霊夢に対して不意打ちをするようにして破壊エネルギーの奔流に呑み込もうとする。
少しは大人しくしなさいよっ!!!!!
(操られているからか、親しい間柄でも容赦なく攻撃してくる・・・・・
だが、もっと言えば、攻撃している側の本当の意思ではないということ・・・・・
攻撃を回避しながら、少しずつ距離を縮めながら魔理沙に近づいてゆく・・・・・
これで少しでも隙を突ければ・・・・・)
チルノ
「………………。」
【凍符「パーフェクトフリーズ」】
眼前から迫る氷弾、後方からの金色に輝く光線の二つを掻い潜り、チルノに向けてではなく、この場において火力が最も高い魔理沙に向かう霊夢に対して背中を向けられた事で攻撃チャンスと判断したのか、チルノは両手に冷気を集束させて冷凍光線を放ち、霊夢の体を凍り付かせようとする。
そうやすやすと凍るわけないでしょーがっ!!!!!
(博麗の巫女として、常人よりも警戒しながらの戦闘は得意だ・・・・・
チルノや魔理沙の攻撃は当たれば脅威だが、避けてしまえばそうでもない・・・・・
チルノの攻撃の時は魔理沙に、魔理沙の攻撃の時はチルノに警戒心を強めながら、それでもギリギリの紙一重で攻撃を避けてゆく・・・・・)
【苛烈なる挟撃】
前方には魔理沙の放つ星型光弾やレーザーによる弾幕、後方からは当たれば体が凍り付く氷弾の弾幕と言うように種類の異なる多彩な弾幕による挟撃が霊夢を襲う。
だが、挟撃としての弾幕の性質上、チルノと魔理沙は互いの放つ弾幕を避ける必要が出て来ており、霊夢への攻撃を仕掛けると同時に弾幕を避けることも行っている。もし、上手く二人の弾幕を利用して同士討ちさせるような形に出来れば……
《とりあえず、この状況を打破しなければ何も進まないわね・・・・・》
(そう思うと、霊夢は魔理沙とチルノの攻撃を逆に利用しようと考え始める・・・・・
どうにかして同士討ちさせることで隙を突ければ、この異変の解決にも近づく・・・・・
霊夢は早速、ただ自分を攻撃しようとしてくる二人の攻撃を、上手いこと誘導しようと飛行し始める・・・・・)
魔理沙&チルノ
「………………。」
魔理沙とチルノは意識を失っているため目を閉じているものの、霊夢の動きに合わせて顔を動かし、霊夢を真っ直ぐに追尾しながら弾幕を放ち続ける。
少しでも気を緩めれば魔理沙の放つレーザーによって体を撃ち抜かれるか、チルノの放つ氷弾によって凍り付かされてしまうと言う危機的状態となってしまっている。些細な判断ミスは死へと直結する……
生と死が紙一重となる異変……幻想郷の守護者は常に試練に見舞われている。
《笑えない状況ね・・・・・》
(この攻撃を相殺させるにしても、一歩間違えれば取り返しのつかないことになる・・・・・
チルノはまだ妖精だから魔理沙の攻撃や自分の攻撃に巻き込まれたとしても、まだ平気だろう・・・・・
問題は魔理沙、攻撃を相殺させようとして魔理沙が攻撃に巻き込まれてしまったら、魔理沙自身の攻撃もそうだが、チルノの攻撃は特に命を落とすことにも繋がりかねない・・・・・)
チルノ
「………………。」
【氷符「アイシクルフォール」】
魔理沙
「………………。」
【魔符「スターダストレヴァリエ」】
操られている二人の事を思い反撃や攻撃の誘導について悩む霊夢とは対照的に自分自身の意識を奪われ、その力を利用されている二人は躊躇い無く追撃を行う。
チルノは両手を振り上げて霊夢の頭上に無数の氷柱を形成して雨のように降らせ、魔理沙は両手を交差させて少し力を溜めた後に勢いよく両手を広げて巨大な星形の弾幕を広範囲に解き放ち、頭上からと正面からの二方向からの猛攻を繰り出す。
もし、チルノの放つ冷気系統の技を上手く魔理沙に当てることが出来れば魔理沙を一時的に凍らせて動きを封じることが出来るかもしれない。
・・・・・こうなったら・・・・・イチかバチか・・・・・!
(霊夢は、このままでは本当にやられてしまうと感じたのか、こうなったら一時的に魔理沙をチルノの攻撃を利用して凍らせて動きを止めてチルノとの一対一に持ち込むしかないと判断して、魔理沙の攻撃をギリギリで避けながらチルノの攻撃を誘導し始める・・・・・
下手をすれば、自分が命を落とす可能性もあるかもしれないが、やるしかない・・・・・)
《ドドドドドドドドドドドドドド》
雨のように頭上から降り注ぐ氷柱と視界を奪うように放たれる巨大な星形光弾の弾幕が霊夢を仕留めようとするが、そのどれもが本来の彼女達のものに比べると密度や精度が甘く、二人を操っている黒幕はスペルカードをただただ相手を打ち倒すためだけの武器としてしか使っていないのだと言うことがわかる。
そんな中、チルノは両手を合わせて冷気を集中させ始め、先程の強力な冷凍光線、パーフェクトフリーズを放とうとしている。本気で放たれた場合、この技に掠るだけでも体が凍り付く効果があり、これを上手く誘導する事が出来れば魔理沙を凍らせて最低限のダメージで戦闘不能にする事が出来るかもしれない。