ここは明確スイーツ研究部!

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 101- 201- 301- 401- 501-キーワード▼下へ
1:モンブラン:2017/01/27(金) 22:06

文才とかないですけど、
見てくださったら嬉しいです。

2:モンブラン:2017/01/27(金) 22:14

『ここは明確スイーツ研究部!1』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う少年6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。明確ゼミナールに通う少年6年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。

3:モンブラン:2017/01/27(金) 22:35

『ここは明確スイーツ研究部!』
1.昔のわたし
目立ちたくない…
意識して生きてきたはずなのに…
なのにぃっ!

パチパチパチパチパチパチパチパチ

めっちゃ拍手されてるんですけど!
わたし、どれだけ避けてきたか、あなた分かっておられます?
どうして拍手を浴びているのか…

「唯一、100点だった子がいます!真美ちゃんでーす!」
難しい学力テスト、わたしは100点だった。
みんな100は取れなくて…
余計浴びちゃってるんだよお。
「真美、100点取れたんだね。すっごおい!」

わたしの名前は、多田本真美。
彦宮学園初等部6年生です!
明確ゼミナールっていう塾に通っていて、国語が大のト・ク・イ!!!

「真美、すっごいじゃん!」
さっきも隣でほめてくれた、晴奈ちゃんーーー幼なじみは、笑ってほめ続けてくれる。
わたしの大切な友達。
「陽茉理と由里歌も思うよね!」
晴奈ちゃんの他、陽茉理ちゃんも由里歌ちゃんも仲良くしてくれる。
6年生になってできたーーー昨日できた友達なんだ!
「うん。真美すごい!わたし絶対無理だもぉん。ねえ、由里歌」
「由里歌、真美みたいに頭よくないもんなあ。羨ましいぃ」
陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんは、顔を見合わせて、「ねえ」「ねえ」と言い合っている。
「ねえ」「ねえ」「ねえ」
亜子ちゃんの声がかすかに聞こえる。

「ね〜え、ま〜みちゃん!」
「あこちゃん。どうかした?」
5年生のときの親友、あこちゃん。
人懐っこくて、可愛い。
「あこ、まみちゃんの真似することにしたんだあ。まみちゃん、部活何入ってるの?あこも移動する!」
あこちゃんが仲良くしてくれるのは嬉しかった。
でも………ベッタリかも…
そんなことは言えず…
「バトミントン部。あこちゃんと一緒にできて、わたし嬉しいなあ♪」

あこちゃんとハイタッチしたあの手の冷たさ。
今でも忘れることはできない。

「みゆ、かんな、さとこ。いいよ!」
同じバトミントン部の仲間。
みゆさん。かんなさん。さとこさん。
この3人に、悪口を言われた。
仕組んだのは…あこちゃんだった。

4:モンブラン:2017/01/27(金) 22:48

翌日
「ねえ」「ねえ」「ねえ」
あこちゃんとみゆさん、かんなさん、さとこさんに遠目で見られた。
クラスのみんなも、クスクス笑って。
その中に、……幼なじみの晴奈ちゃんも、、、入っていたんだ。

(でも、晴奈ちゃんのこと、信じてる。わたしのこと…そう思っていないってこと。)


2.明確ゼミナール
家に帰り、明確ゼミのカバンを持って明確ゼミに向かう。
あこちゃん、みゆさん、かんなさん、さとこさんとは、みんなクラスが違うけど、近寄らないようにしてる。
また大騒ぎになったら、……考えただけでぞくぞくするっ!

下駄箱に靴を入れて、明確ゼミの、わたしのクラスに向かう。
そのときにっ!

バンッ

「ひゃっ!」
思わず走っていたものだから、人にぶつかっちゃった。
「ごめんね。怪我はない?」
立ち上がって手を差し出してくれた男の子ーーー誰!?
知ってる人じゃあないし…
一体誰なのよう!
「ごめんなさい。失礼します」
急いでクラスに入るけど、誰も声をかけてくれる人はいない。
あこちゃんみたいな子だったら、こわくて話せないもの。
ひとりで地味に生きた方が、得すること、多いんじゃないの!?

フゥ

やっと授業終わった。
算数なんて長いとしか感じない。
ああ、めんどくさいめんどくさい。
塾なんてとっととやめちゃいたいよ。
「失礼します!ええっと…多田本真美ちゃんいますか?」
うわっ、さっきの男の子だ!
身を隠していくしかない…


切ります。

5:モンブラン:2017/01/28(土) 07:55

「キャー、キャーキャー!」
近くの女の子が騒ぎだした。
何?何?何なのっ!
「隅木田先輩がいるわよ!」
スミキダセンパイ!?
「ねえ、ところで、真美って誰よ」
「さあ、分かんない」
ますます通りづらくなってきたよ〜
どうしよう、どうしたらいいの?
隅木田先輩は、教室に入ってきて、ガッチリわたしの腕を掴んだ。
「あのお、何か御用ですか?」
「ちょっと、談話室に来てくれる?」
談話室…
明確ゼミナール一角の小さな談話室。
入ったことがないけど、ものすごく人気って評判。
「さあ、行こう」
え?……
わたしひとりで行くんじゃないの?
隅木田先輩と一緒だったら…
みんなに痛い目で見られてしまう!?
隅木田先輩は、わたしと手を繋いでえええええええっ!
談話室に向かったのであった。


3.イケメンあらわる
談話室につくと、隅木田先輩は、謎の男の子が座っているところに座った。
謎の男の子ーーールービックキューブをずっと回している。
わたし、この子たちと話す勇気ないんですけど〜

6:モンブラン:2017/01/28(土) 08:14

「おい、坂宮。矢本はまだか」
いや、まだいるわけ?
わたし、無理なんだよお、多いの。
「矢本です!あぁ、坂宮。隅木田」
誰か男の子来ちゃったよっ!
「みんな、自己紹介しよう。真美ちゃんもね」
「は、はい…」
坂宮君?が、手をあげた。
何、この子。
空気読めないのかなあ?
「お前、誰?どこから来た?」
わたしのことですか!?
礼儀正しく、しっかりした自己紹介をしてみせるから、よく見てなさいよ。
「こんにちは。わたしの名前は、多田本真美です。国語が得意な小学6年生です。よろしくお願いします」
隅木田先輩は、拍手してくれた。
う、嬉しい。
またほめられたよ。
「真美ちゃん。さっきはぶつかってごめんね。僕、隅木田優斗。中学2年生だよ。よろしくね」
中学生なんですか〜!?
すると、矢本君?が自己紹介した。
「俺は、矢本拓斗。中学3年生。これからよろしくね〜♪真美ちゃん」
何っ!
今、ドキッっとしたんだけど!
まあ、いいか。
空気読めない男の子ーーールービックキューブを置いて、自己紹介した。
誰よこの人ぉぉぉっ!
「俺、坂宮陽都。小学6年生。よろしくな」
だから、どうしてみんな、よろしくを言うわけ!?
普通言うけど、矢本君なんて『これから』がついてたんだよ〜
この人たち、カッコいい…
クラスの野郎と違って、とても。
空気読めないっていうのは置いといて、隅木田先輩も坂宮君も矢本君も。
どうしてわたしの前に現れたの〜?

7:モンブラン:2017/01/28(土) 08:20

人物紹介で、みんな小6でしたが、
↑に変えさせていただきます。
本当に申し訳ありませんでした。

8:モンブラン:2017/01/28(土) 14:08

4.スイーツ作りに参加
「真美ちゃん。僕たち、明確ゼミの受付の先生、船水先生がやめる話、聞いちゃったんだ。ちょっとでもいい思い出残してほしくて、」
隅木田先輩の途中で、坂宮君が口をはさんだ。
「俺、サッカー行っていい?練習遅れると、監督に怒られる。ワリィな」
いいよ、坂宮君がいなくたって!
空気読めないんだから。
「なんだよ、真美。そんな顔するなって。も〜」
いやいやいやいや、名前で呼ばないでってば!
坂宮君に、名前で呼ばれたくないよ。
「とっとと行けよ。大事な話中」
そうそう、早く行きなさいよ!
いい話中、勝手に出てきなさいよ!
「さあ、続きを話そうか。残してほしくて、スイーツ作って渡そうかって思ってるんだ。女の子がいた方が楽しいと思うし、ぶつかったのも、何かの縁だと思って。真美ちゃん選んだんだ」
隅木田先輩、そんな選び方してくれたんですか!
すごく嬉しい。
「矢本も真美ちゃん認めてるし。真美ちゃん、ぜひ一緒にやらない?」
「ハミーちゃん、やろうよ♪」
矢本君…
「わたし、やりたいです!スイーツ、一緒に作りたいです!」
「よかった。じゃあ、明日またここに来てくれる?今の時間に」
「はい!」
スイーツ…頑張って作ろう!

9:モンブラン:2017/01/28(土) 14:32

5.話しかけにくい?
翌日、学校に行くと、いつも通り晴奈ちゃんがとんできた。
「おはよう。真美ちゃん」
「おはよう」
陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんにもあいさつする。
すると、陽茉理ちゃんが渋々言った。
「晴奈ちゃん。あそこで、実柚乃が呼んでたよ」
いいムードだったからか、陽茉理ちゃんは渋々だった。
晴奈ちゃんは、実柚乃さんのところへ走っていった。
「陽茉理ちゃん、由里歌ちゃん。わたしに、気軽に話していいからね。わたしの昔を知っているからか分からないけど、話しづらそうだから」
「真美ちゃん。すごいね。わたし、真美ちゃんと晴奈ちゃんに少し話しかけにくくて」
由里歌ちゃんが下を見て言った。
でも、わたしは落ち込まない。
悲しまない。
そう思っているなら、仕方ない。
でも、これから思わないように、言えばいい。
そう思ってたのを、取り返すことは不可能。
取り替えることは可能なはず!
「これからはみんな気軽に話せる、楽しいチームにしようね」
「うん」「イェイ!」
わたしたち、作りたてのチームだけど、仲良しさは、作りたてじゃないはずだよねっ!


6.明確スイーツ研究部!?
「失礼します。多田本真美です」
ウキウキした気分で談話室に入る。
陽茉理ちゃんたちのこと、スイーツの話のこと。
今日はドキドキでいっぱいだよ!

10:モンブラン:2017/01/28(土) 15:05

あれ、誰もいない。
一番だったのかな?
時間とか、間違えていないよね?
談話室のドアが開くと、入ってきたのは坂宮君だった。
「真美。一番ノリだったんだな」
フン、だから何なのよ!
「へ〜、真美って結構かわいいんだね〜クラスの女子と違う」
はっ?
いきなりなんなのよ!
でも…ちょっと嬉しい、かな。
って、どういうつもり!?
「俺、真美ってタイプかも。よーし、決めた!俺、真美好きになった!」
はあああああっ!?
一体何言ってんのよ!
「矢本で〜す」
「失礼します。隅木田です」
矢本君に隅木田先輩!?
やっと、坂宮君とふたりだけにならなくて済むよ〜
「真美ちゃん、坂宮。僕たち、スイーツ作るの、グループ名を決めたんだ。その名は、『明確スイーツ研究部!』クックパッドで調べるんじゃない。自分たちで研究するんだ!」
おおお、明確スイーツ研究部!
「俺と隅木田と話し合ったんだ。学校でな。いいだろ」
同じ学校に通っているのかな?
「明確スイーツ研究部!略して明スイでいいと思う人、挙手」
4人ともみんなあげて、明確スイーツ研究部!略して明スイに決まった。
「さあ、何作る?」
矢本君の一声に、う〜ん?と悩む。
やめるんだから、それなりの物を作らないといけない気がするし…
「ねえ、ケーキはどう?チョコレートプレートに、ありがとうってかく」
う〜ん、いいと思うけど。
チョコレートプレート、ありがとうだけじゃあ、ねえ。
「じゃあ、クッキーにしたらどうかな?ひとつひとつデコレーションして」
クッキーもかわいいなあ。
「ケーキにクッキー付けたらどう?」
お〜、いいねえ。
「矢本君に賛成します!」
わたしが言うと、隅木田先輩も矢本君に賛成した。
ええっと、ケーキって、相当普通に渡す人いないし…
あ、そうだ!
パーティにしたらいいんじゃないの?
そうしたら、思い出づくりも完璧!
「ねえ、ケーキ渡すの、パーティにしたらどうかな?」
「いいねえ。じゃあ、みんなで食べる用と、船水先生に渡す用に分けたらどうかな?」
おお、隅木田先輩、ナイスアイデア!
「おおお!なら、明確ゼミの人みんな呼ぼうぜ」
矢本君の案も、ものすごくいい!
絶対、船水先生を楽しませてあげるんだから!

11:モンブラン:2017/01/28(土) 15:28

7.豪邸!?
翌日も、談話室に集まった。
「ケーキ作りとクッキー作りって、練習いるんじゃねえの?」
矢本君の一言に、練習無しに作る作り方を考えた。
でも、考えられない。
確かに、練習必要だよね。
研究する時間もいるのかもしれない!
あと、みんなを誘う時間も!
チラシ配るのはどうだろう。
なら、チラシも作らなきゃいけないじゃん!
「まだ、やることたくさんあるよ」
みんなうなずいて、考え始めた。
わたしは、研究の時間をどう取るのか考えた。

「お、大きい」
矢本君の家の大きさ。
豪邸としか言えない大きさ!
わたし、入ったことないよ。こんな大きな家。
矢本君の家に来たのは、理由がある。
あのときーーー

「俺んちで練習しねえ?」
矢本君が誘ってくれた。
隅木田先輩も利用に賛成してくれて、坂宮君も矢本君の家に来ることにした。
「ね〜え〜、拓斗〜。あれ?カッコいいイケメン君がいるじゃん!」
矢本君の家から来たのは、わたしと同い年くらいの女の子。
「おい、香音。来るな」
「え〜、いいじゃ〜ん!サッカーの坂宮君がいるも〜ん」
香音さんは、坂宮君が好きみたいで、坂宮君に付きまとっている。
どんどんくっついていいよ!
「おい、やめろよお」
坂宮君、ーーー坂宮は、香音さんに対して嫌がり始めた。
かわいそう…

12:モンブラン:2017/01/28(土) 19:32

8.梨歩佳さん
坂宮は、香音さんを振り払った。
「お前、邪魔って言ってんの聞こえねえの?」
坂宮、そんな言わないであげて。
矢本君も坂宮と香音さんを見ている。
止めなくていいの?
わたしの考えはお構いなしに、どんどん坂宮は言っていく。
「俺、香音っていうの?香音に興味ねえから。俺、真美が好きなの」
また言うの?
しかもここで?
坂宮何言ってんのよ!バカァ!
「坂宮君、わたしのこと邪魔って思ってるのね。なら、思わない女の子になれるように、頑張る!」
坂宮、頑張ってね…
香音さん、あきらめないで坂宮とくっついていいんだよ。
トコトン遊んでね♪

「ここが俺のキッチン」
オ・レ・の?
自分のキッチンがあるってこと?
さすが…お金持ち…
「俺、一生矢本の家来たくねぇ」
いいや、坂宮。
一生通うことになるよ。
「ケーキ作りは梨歩佳、クッキー作りは梨萌佳がいる」
梨歩佳(りほか)さんに梨萌佳(りめか)さん?
「梨歩佳と梨萌佳は、妹で、中1。ハミーちゃんの年上だね」
ちょっと、矢本君。
ハミーちゃん呼び何なの?
「どっちから作る?作る方によって、補助が変わるから」
梨歩佳さんと梨萌佳さん、補助なんだね。
妹が補助に付いてくれる。
なんて優しい妹なんだろう。
双子さんなんだよね、きっと。
「ケーキが元だし、ケーキからでいいんじゃない?」
確かに、ケーキがなきゃ、クッキー焼いても意味ないもんね。
ケーキ作りの補助、梨歩佳さんが来てくれた。
「梨歩佳さん!わたし、多田本真美です!今日はよろしくお願いします」
「真美ちゃん、よろしくね。小6なんでしょ?拓斗兄から聞いたわ。かわいい女の子って。かわいいわ〜」
か、かわいいって紹介したの!?
て、照れる…
「わたし中1だけど、ため口で話してほしいな♪」
「ありがとう!!!梨歩佳さん、よろしくね♪」
やった、梨歩佳さんと仲良く話せちゃったよ!
「さあ、ケーキ作り始めるよ!研究って聞いたけど、どんな工夫するの?」
あ、工夫のこと、全く考えてなかったよ…
「梨歩佳、決めてねえ」
「拓斗兄!言ったよねえ!?スイーツ作るなら、準備くらいしときなさいよって」
梨歩佳さん、すごい。
坂宮はドンビキしてる…
よ〜し、準備と工夫、頑張るぞお!

13:モンブラン:2017/01/28(土) 19:55

9.難しいケーキ作り
「ケーキ作り、頑張るわよお!まず、わたしが振り分けるわね。坂宮君は、拓斗兄とスポンジ作り。わたしと真美ちゃんと隅木田君は、ケーキの生クリーム作りね。いい?」
「はい!」
あれ、思いきり返事したけど、みんな返事しないの?
「俺、真美とやりたかった〜」
坂宮、うるさい!
矢本君とできたんだから、いいじゃないの。
矢本君に失礼よ!
「あの、隅木田先輩。よろしくお願いします!」
「隅木田でいいよ。学校では先輩呼びだけど」
学校では?
学校、隅木田…君と違いますよね?
同じは…同じぃぃ?

わたしが通う学校は、初等部から高等部まである。
同じ学校も、おおいにありうるけど。
矢本君や隅木田君みたいな目立つ男の子がいたら、わたしでも知ってると思うんだけど。
知らないから違うんじゃないかな?

と、こと話は置いといて。
「生クリーム作り、頑張ろうね。まずは、工夫したこと、覚えてる?ここのレシピを、チョコレートに変えるんだよね?つまり、ここがチョコレートに変わる。分かる?」
チーズだけど、チョコレートに差し替えると言うこと。
なるほどなるほど。
「チョコレートを、こことは別で溶かし、溶かしたチョコレートをここに入れるの。そうすると、チョコレートの小さな塊プラス、チョコレートの本ができるわけ。分かるかな?」
つまり、チョコレートを溶かした物をスポンジに馴染ませると、チョコレート味のケーキになる。
そこに、チョコレートの小さな塊をプラスすると、噛みごたえもあって美味しいってこと。
「工夫であったことだから分かると思うけど、スポンジができたら、すぐチョコレートを溶かした物を馴染ませていくから、準備するよ」
梨歩佳さん、ときどき難しい言葉を使うけど、頑張ろうと思える。
わたしの周りには、梨歩佳さん、隅木田君がいるんだから。


10.
「おい、梨歩佳。準備してあるか?」
「もちろんよ。わたしだってボケーっとしてるだけじゃないんだからね」
梨歩佳さんは、チョコレートを溶かした物を矢本君に渡した。
甘い香り。
いい匂い。

14:モンブラン:2017/01/28(土) 19:55

すみません。
10.ケーキボロボロ
        です!

15:モンブラン:2017/01/28(土) 20:19

「よ〜し。で〜きた!」
オーブンを開けたとたん、いい香りに包まれる。
「真美ちゃん、坂宮君、隅木田君、拓斗兄。よくできてるわぁ」
(梨歩佳さんのおかげですよ!)
ずっと梨歩佳さんは褒めてくれて、嬉しかった。
坂宮がケーキを取り出して、机に運ぼうとした、そのとき。
「あ。ニャーミちゃん。来ちゃいましたか!かわいい〜」
ニャーミちゃん?
「わたしの猫よ。かわいいでしょ〜ニャーミちゃ〜ん」
「猫か!来るな!近づくな!」
坂宮、何言ってるのよ!
梨歩佳さんは気分を悪くしたようで、ニャーミちゃんを抱きしめた。
「坂宮君、大嫌い。香音に言わなきゃいけないわね。坂宮君はやめてって」
(あちゃ〜やっちゃった)
坂宮君が持っていたケーキ、気づかないうちに真っ逆さまになって崩れているし。
それに、梨歩佳さんも出ていっちゃったし。
「最悪だよ、もう。坂宮バカ!坂宮のせいで、梨歩佳さん行っちゃったじゃないの!わたし帰る!」
もう、絶対ここ来ないんだからね!


11.消えた時間
つまらない…
迫力足りなさすぎるし…
明確スイーツ研究部って、そんなに大きかったんだ。
「晴奈ちゃん。遊ぼう、今日。陽茉理ちゃんと由里歌ちゃん、部活あるもんね」
「いつの間に知ってるの?わたしと陽茉理が部活始めたこと」
フフフ、調べておいたんだ〜
陽茉理ちゃんは吹奏楽部。
由里歌ちゃんはバレー部。
わたし、仲良くなりたくて調べたんだよね〜

明確ゼミへ向かっても、誰も話してこない。
この、、、孤独さ。
わたし、明スイやめてやるもんね。
隅木田君に謝って、明スイやめるって言おうっと。
でも…つまらなくなってきた…
わたし、明スイ好きなんだなあって、すごく感じちゃったもの。
やっぱり、坂宮にも謝ろうかな。
モヤモヤが隠しきれず歩いていると、梨歩佳さんがいた。
「あの!梨歩佳さんですか?」
声をかけると、梨歩佳さんは振り向いてくれた。
ニャーミちゃんは、わたしは悪くないから、優しく気軽に話してくれた。
「真美ちゃん。ごめんね、急に暴走したりして。あと、割り振りもわたしがしちゃって」
「割り振り、もとすごく楽にできました!梨歩佳さんありがとう!あと、坂宮が悪いんだから。わたしも、坂宮とあのあと喧嘩…といいますか、をしましたから」
昨日のあのことを思い出す。
坂宮にバカって言っちゃったこと。
それに、やめるような発言をしてしまったこと。
ずっとあれから後悔してる。
やっぱり、わたし入り直したい。
明スイに入ったままがいい!
「梨歩佳さん、失礼します」

16:モンブラン:2017/01/28(土) 20:35

12.〆切迫る!
坂宮たちに謝る決心をして、談話室に行ってみた。
クラスは知らなかったし、もし知っていたとしても、呼び出せないから。
「失礼します。多田本真美です」
談話室は、シーンと静まり返っていたから、なんとなく怖かった。
誰か来て…
動けないから、動きたくないから。怖いから。
「失礼〜坂宮です〜って。真美がいるんだけど!どして?」
このとき、言おうって決めた。
絶対今言うしかない。
「ごめんなさい。昨日。坂宮が嫌な思いするって分かってたのに」
「いいんだよ。梨歩佳さん?の気に入りから逃げたんだから。ったく、アレルギーだから仕方ねえだろ」
アレルギーだったの。
あら、早く言えばよかったのに。
「隅木田、矢本。真美がいる」
「ハミーちゃん。帰ってきたんだね。俺、待ってたからね♪」
矢本君…
「真美ちゃんが来てくれて嬉しい。昨日、捜せなくてごめんね。捜したけど見つからなくて」
隅木田君…
「真美、ありがとうな」
坂宮…
やっぱり、明スイのメンバーでいたいって、心から思える。
「さあ、真美ちゃんも座って。先生を呼ぶ方法を考えてみよう」
船水先生を呼ぶ方法…
招待状じゃ、ダメかなあ?
「あのぉ、招待状って普通すぎ?」
わたしが小さい声で言うと、坂宮が賛成してくれた。
隅木田君も矢本君も賛成してくれて、船水先生には招待状を書くことに決まった。
「ねえ、船水先生、明日やめるんだってね。信じらんない」
明日!?
「そうそう。早すぎー」
明日ぅ!
みんな、サッっと顔色が曇る。
ヤバーーーーーーイ!

17:モンブラン:2017/01/28(土) 20:39

陽茉理と由里歌の話し方少し変わっててごめんなさい。
これからは、始めに合わせて書きます。

18:モンブラン:2017/01/29(日) 09:20

13.協力して
「ちょっと。君たち。船水先生、明日やめるのかい?」
「あら、矢本先輩。船水先生、明日やめられるって。残念よねえ」
明日やめられる…
〆切明日までってことじゃんか!
「矢本、坂宮、真美ちゃん。明確ゼミは休もう。みんなを誘わないと」
こうしちゃいられない。
パーティー会場も予約しないと。
みんなも呼ばなきゃいけないじゃん!
「まず、明確生に招待状を渡そう。船水先生のとは違う物をね」
「会場、俺んちじゃダメか?」
矢本君の家…もちろん!
「失礼します。矢本梨歩佳です」
梨歩佳さん?
「ちょっと!坂宮君。昨日のこと、しっかり教えてもらおうじゃないの!?」
「梨歩佳さん!わたしが言います。みんな、進めてて」
談話室を出ると、梨歩佳さんは振り向いた。
「どうして真美ちゃんが言うのよ」
「坂宮、猫アレルギーなんです。ビックリしちゃったみたいで、わたしも矢本君の家で怒ったんですけど、本当のことを知って、謝りました」
梨歩佳さんは、すっかり自分が悪いと反省したのか、談話室に入った。
「坂宮君、本当にごめんなさい」
梨歩佳さん…
坂宮君も、にっこり笑って席の隣を進めた。
「梨歩佳も一緒にやるのかよ」
矢本君だけが反対していたけど…
人手が足りないんだもんね!

「よ〜し、みんなのケーキ作るよ!みんなのケーキはチーズケーキだったよね?」
「うん!」
梨歩佳さんとわたしとふたりで、チーズケーキーーーみんなで食べるケーキ本番を作っている。
坂宮、矢本君、隅木田君は、招待状を作って、渡してから来るそうだ。
「まず、チョコレートケーキみたいに塊を作っていくよ!」
チーズを小さくしていって、あとから溶かした物に入れる。
美味しそうな香りが引き立つの。
「梨歩佳さんの兄弟って、何人いるんですか?」
「ええっと、1、2、3、4、5、6、7、8人」
えええええええっ!

19:モンブラン:2017/01/29(日) 09:34

「拓斗兄、拓哉兄、わたし、双子の妹の梨萌佳、香音、陽茉理、大地、大斗だよ」
陽茉理ちゃん?
「あの、香音さんと陽茉理さんって」
「香音と陽茉理は双子。香音が百合千学園、陽茉理は彦宮学園だよ」
陽茉理ちゃんって、矢本君の妹ってことなの〜?
「また、陽茉理さんに会いたいです。多分、学校で遊んでる子ですから」
梨歩佳さんはちょっと笑って、梨萌佳さんを呼んだ。
「イェ〜イ、矢本梨萌佳だよ〜」
梨萌佳さん。
「梨歩佳さんと梨萌佳さんとわたしと作るってことですか?」
「イェス!もちろん。真美ちゃんよろしくね〜」
梨萌佳さん、梨歩佳さんとタイプが全然違う。
「急いで作ろ作ろ!」
梨萌佳さんの掛け声で、チーズケーキ作りが再開された。

20:モンブラン:2017/01/29(日) 09:45

14.6人で
「お〜い、真美〜陽都だよ〜」
「坂宮、ハミーちゃんにそうやってくっつくの、やめた方がいいよ」
矢本君、当たりっ!
「拓斗兄、早くやるよ!真美ちゃんごめんね。いっつも拓斗兄があ」
梨萌佳さん…全然いいのに。
矢本君は気を悪くして、フンッってしている。
時計を見ると、9:30!
「みんな、急いでよ。時間ヤバいんだからね!」
あ、ママとパパ、きっと心配してる。
明確ゼミ、9:00に終わるから。
「真美ちゃん、気にしないで。お母さんとお父さんには、しっかり電話しておいたからね。勉強会するので、今日は真美さんの友達の梨歩佳さんの家に泊まるってね」
「ありがとうございます!」
隅木田君、すごく気が利く!
「変なこと話してる場合じゃない!早く作んねえと、本当に時間ねえんだからな!」
あああああっ!急げー!

21:モンブラン:2017/01/29(日) 20:03

15.誰かの悲鳴
「あとは、オーブンに任せるだけだ!よ〜し、梨萌佳頑張るよ〜」
クッキー作りに取りかかる頃、若い綺麗な女の人がキッチンに来た。
「拓斗、梨歩佳、梨萌佳。お友達さんたち。朝ごはんを持ってきたわよ。フレンチトーストだけど、嫌いな方いらっしゃる?」
みんな首を横に振るので、女の人はにっこりして、キッチンの机にフレンチトーストを置いた。
「切りがついたら召し上がれ」
誰だろう、お母さんかな?
女の人がキッチンから出ていくと、矢本君がフレンチトーストを食べた。
坂宮も、隅木田君も食べていく。
「あれ、梨萌佳のママだよ」
やっぱりお母さんだったんだね。
「キャーーー!」
誰なの、この悲鳴っ!
矢本君と梨歩佳さん、梨萌佳さんは、顔を見合わせてどこか走り出した。
「ねえ、待ってよ!ちょっと!」
「真美ちゃん。きっと、親族の人だ。無理に動かない方がいい」
でも…
隅木田君に止められた…でも…
黙っていられない。
「すみません。わたし、行きます。わたしのお母さん、看護師なんです。電話しましょうか?それとも…」
「真美ちゃん!ダメだよ!」
隅木田君っ。
そっか、やっぱりダメか…
「すみません」
フレンチトーストを食べながら帰りを待っていると、ふと明確ゼミが頭を横切る。
ちょっと待って!
明確ゼミ、授業しないで抜けてきたわけだよね?
電話するの忘れてた!
隅木田君を見ると、うなずいた。
なんだか、とっても機械みたい。
人の心を読んで、実行してくれる。
待ってってってってって!
船水先生のパーティーするのはいいんだけど…場所はっ?
「坂宮、真美ちゃん。僕たちだけで、クッキー作り進めてみよう。これが本番だから。クックパッドを真似するしかない。間違えることは許されないからな」
本番は一度きり。
失敗してもやり直せないことは知っているから。
フォローしてやっていくしかないってこと、知ってるんだから!
「早く作るよ!」
一発で作るのは難しい。
練習をしていないから。
でも、時間は取り戻せないから。
頑張って今をやるしかないんだ!

22:モンブラン:2017/01/29(日) 20:16

16.坂宮も一緒に
隅木田君のスマホ。
クックパッドを真似してクッキー作りをしている。
「ねえ、みんなで食べるケーキと船水先生にプレゼントするクッキーの工夫の違い、どうする?」
う〜ん?
確かに、味はチョコレートケーキに、バニラクッキー、チョコレートクッキーがいいのかなあ?
普通すぎちゃうのかなあ?
「とりあえず、今はチーズケーキの、チーズクッキーとバニラクッキー作るしかないんだ!」
坂宮の言葉に、チーズクッキー作りにまた専念する。

「ごめんな。ハミーちゃん。坂宮。隅木田。って、エッ?」
矢本君が来た2秒くらい前に完成したチーズケーキにチーズクッキーを付けた、その名は『明確チーズケーキ』。
梨歩佳さんと梨萌佳さんも褒めてくれた。
クックパッド通りに作って、ダメかもだけど、感情こもってるもんね。
「さあ、船水先生にプレゼントするチョコレートケーキ作るよ!」
「梨萌佳、クッキー担当だから、クッキー作りとケーキ作りに分担したい!真美ちゃんと一緒にやりた〜い♪」
梨萌佳さん…
さっきの駆け出した時とはうってかわって、いつもの調子に戻った。
「そっちの方が早いです。きっと」
確かに、分担したら早くできそう。
「でも、クッキーが早く焼けたら冷めちゃうよね?どうするの?」
「オーブンに入れっぱなし」
オーブンに入れたままなら、冷たくならないものね。
「梨萌佳と真美ちゃんがクッキー。残りはケーキでいい?」
「俺、真美とやる〜」
坂宮とやりたくな…やってもいいよね、別に。
「いいよ。坂宮。一緒にやろ」
「ヤッタ〜」
わたし、坂宮がイヤなこと言ってしまったり、思ったりしてた。
でも、もうやめる!
うん、やめよう!

23:モンブラン:2017/01/29(日) 20:28

17.わたしのせい
「クッキー、焼き始めたよ。あとはケーキに付けるだけ」
わたしが言うと、ケーキのスポンジに生クリームを馴染ませていた矢本君が振り返った。
すると、スポンジが真っ二つに割れてしまった。
「「「「「「あああっ!」」」」」」
スポンジがみるみるうちに倒れ、元に戻そうとも戻せそうにない。
「拓斗兄何やってんのよ!ちゃんと集中してって言ったよね?」
「梨歩佳さん、怒らないであげてください!わたしが悪いのだから」
意を決してわたしはキッチンにこだまする大きな声で言った。
「わたし…わたしが、ケーキに付けるだけって、焦らしたから。わたし、スイーツ作るの、むいてないのかな」
悲しいけど、自分に言い聞かせるようにそう言った。
むいていないのに、参加したからいけなかったんだ。
わたしがいなければ…
そう思うと、涙があふれてきた。
「わかひがやりょうちょおもわなきぇればあ。あぁぁぁ」
(訳:わたしがやろうと思わなければ。あぁぁぁ)
もう、わたしやめた方がいいのかな?

24:モンブラン:2017/02/03(金) 22:04

18.改善方法
梨歩佳さんは、優しく声をかけてくれた。
「真美ちゃん。拓斗兄がちゃんと見ていないからダメだったのよ。真美ちゃんは悪くないわ。気にしないの!」
梨歩佳さんの言うこと、今回ばかりは間違っているよ。
間逆なんだから。
ねえ、聞いていますか?梨歩佳さん。
「真美ちゃんっ!!!」
梨歩佳さんが急に大声で言ったので、わたしはもちろん、隅木田君も、矢本君も梨萌佳さんもビックリしていた。
「真美ちゃん。やってしまったの。時間を取り戻す方法があるの?ないから苦労するのよ。さあ、改善方法を考えてごらん」
改善方法…
時間を取り戻すことはできない…
切れたケーキ、小さなケーキ、食べやすいケーキ、ミニケーキ…

ショートケーキ!!!

「梨歩佳さん、ありがとうございます!ショートケーキに変更しても良さそうですか?」
「ええ。いけるわよ」
やったー!
ショートケーキに決まりー!
で、いい?
チロッっと後ろを振り向くと、みんなうなずいてくれていた。
わたしを認めてくれるように見える。
ここにいれて、とても嬉しい。
「あの…わたしは入ったままでいいのかな?」
「「「もちろん!!!」」」

25:モンブラン:2017/02/03(金) 22:09

19.運命のパーティー
「船水先生に、入場して頂きたいと思います。船水先生、お願いします!」
隅木田君の司会の中、梨歩佳さんと梨萌佳さんの美人姉妹が誘導していた。
パーティー会場は人でいっぱい。
『明確スイーツ研究部!』でやっていったから…
「真美。時間が空いたら、家空けとけよ。俺が真美の父さんと母さんに挨拶に行くからな」
はああっ!?
「父さんと母さんによろしく言っといてくれよな」
えええええええええええっ!!!
坂宮君、本気だったの〜!?


             (つづく)

26:モンブラン:2017/02/03(金) 22:18

あとがき
           モンブラン
こんにちは。
明確スイーツ研究部!作者のモンブランです!
略して明スイ、いかがでしたか?
今回は、いろいろなシリーズをお手本に書かせていただいたので、似ていたりしませんでしたか?
次回からは、明スイらしく、頑張りたいと思いますので、応援のほど、よろしくお願い致します。

さてさて、皆さんは明スイ、キャラクターは誰が好きですか?
坂宮が絶対!
隅木田君カッコいい!
矢本君チャラくていい!
梨歩佳さんカッコいい!
いろいろな方がいると思います。
もしよろしければ、書き込んでくださると強みになります!

挨拶などでいっぱいになってしまいましたが、実はこれがデビュー作です。
誤字等たくさんあると思いますが、優しく受け流してください。

次回の明スイは、新たな強い女の子グループが出てきます。
真美ちゃんは耐えきれるのか?
次回もよろしくお願いします。

27:モンブラン:2017/02/04(土) 19:12

モンブランからメッセージ
こんにちは。
明スイ作者のモンブランです。
2巻を書かせていただく前に、言いたいことがあります。
1巻は、「完結をうまく」ということを意識していました。
ですが、今回は面白いいい作品を書くことを意識して書かせていただくので、読んでいただけると嬉しいです。
では、読んでください。

28:モンブラン:2017/02/04(土) 19:15

『明確スイーツ研究部!2』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う少年6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

29:モンブラン:2017/02/04(土) 19:36

1.新しい部活
「由里歌、テニス部入りた〜い」
「わたしはバトミントンやってみたいな〜」
「わたしは美術部に入りたい!」
春のひざしが心地よい春の日、部活を変えてもいい時期がきた。
わたしたちの通う、彦宮学園は、選手並みの人は変えられないけど、大会に出ない人は部活を変えられるーーー部活変更委員会が現れるの。

部活変更委員会って言うのは、4、5、6年生の中で4人代表で委員になるんだ。
部活の変更は、部活変更委員会に紙を書かなくちゃいけない。
わたし、多田本真美も、幼なじみ、晴奈ちゃんも、陽茉理ちゃんも、由里歌ちゃんも変更できるんだ。

「どうしよう、どうしよう、どうしよう!」
いきなり廊下を走ってきた女の子にぶつかった。
あぁ、いた〜い。
それより、女の子は大丈夫かな?
女の子は、スカートについたゴミをていねいにはらい落としながら、わたしに言った。
「ごめんなさい。わたしがしっかり見ていたら良かったのに」
その子は初等部5年のバッジをつけていた。
わたしが先に謝る立場じゃん!
高学年なんだから、いいお手本を…
「では、急いでいますので。失礼します。本当にごめんなさい」
すると、また女の子は走っていってしまった。
「あ〜あ、せっかく真美が言う機会だったのにぃ〜」
晴奈ちゃんが女の子を見つめてつぶやいた。

彦宮学園には、初等部、中等部、高等部がある。
わたしは初等部で、来年中等部に入るんだ!
まだまだだけどね。

「本当。真美ちゃんの話も聞きなさいって感じ!」
「走ってぶつかったのに、まだ走るつもり!?」
みんな口々に怒鳴った。
まあまあ、みんな、わたしたちが迷惑しちゃうと、大変だよ?

30:匿名 hoge:2017/02/04(土) 19:39

書き込み失礼します。
名前のネーミングセンスに惹かれました(*^^*)

31:モンブラン:2017/02/04(土) 19:48

2.変なわたし
「真美。部分的に国語で聞きたいとこあるの。明日教えてくれない?」
「いいよ。陽茉理ちゃんのためになるなら、何でもするから!」
陽茉理ちゃんは算数が得意で、わたしとは大違い。
でも、国語は苦手なんだ。
明日は土曜日だし、明スイの集合もかかっていない。

明スイって言うのは、明確ゼミナールに通う、わたし、坂宮、矢本君、隅木田君の4人でやっている。
明確スイーツ研究部!の略し。
スイーツの中身を工夫する、研究部なんだ。
誰が集合をかけるのかも決まっていないし、初めの船水先生のパーティーの後、続けることを誓いあったけど。
どう続けていいのか分からないし…

「真美?真美?」
「フェッ?」
「昼休み終わっちゃうよ。早く食べないと」
気づけば、ボッっとしてて、学食のご飯ーーーオムライスが残ったままだ。
「も〜う、ちゃんとしてよね!」
陽茉理ちゃんが背中を叩いた。
晴奈ちゃんも由里歌ちゃんも笑っている。
この空間が好き。
ここにいていいって素直に思えるからかな。
「ちょっと、真美?本当に大丈夫?ケチャップじゃなくて、七味だよ?ケチャップたくさんかけてあるじゃん!」
ああ。
って、ど〜してこんなになっちゃうのよ〜

32:モンブラン:2017/02/04(土) 19:51

>>30
ありがとうございます。
初めてこのシリーズで褒めていただきました。
読んでいただいた?かは分かりませんが、名前も見てくださってとても嬉しいです!
ありがとうございました。
ちなみに、誰が好きですか?
読んでいなかったら分からないかもしれませんが、どうですか?

33:アテナ:2017/02/04(土) 20:07

>>32おおっ返信が速いヽ(・∀・)ノ

あ、読んでますよ!楽しみにしてますん。

もちろん(と言うべきか)
主人公ちゃんですね〜。

友達になりたくなるタイプですよ。
自分の回りはもっとヤバいやつが多いので笑


自分もここで何か書きたいなーと実は思ってるんですが
なんせ内容が重いのでね。

34:アテナ:2017/02/04(土) 20:08

あ、あと何を作ろうかとか考えてるところが可愛らしいですよね(*^^*)

もっと見たいなあとか思ったり♪(/ω\*)

35:モンブラン:2017/02/09(木) 17:34

>>33-34
アテナさん、ありがとうございます!
とても嬉しいです。
返信遅れてすみません!

アテナさんも書こうと思ってます?
では、今から作る、ここに来てください!

[モンブランとアテナのリレー小説]

ここで、ふたりでリレー小説しませんか?
ここでは、感想くらいにしておいて。
いかがですか?
イヤだったらいいですよ。
返信いただいたら、スレ作るかどうか決めようと思います!

真美ちゃんのこと、褒めていただいてありがとうございます!
アテナさんは男の子の中で誰が好きですか?

36:モンブラン:2017/02/10(金) 19:49

3.彦宮学園名物時計
「由里歌、部活の仮入部の紙を出しちゃったの。悪いけど、部活行くね」
「行ってら〜」
「ファイトだ由里歌!」
「頑張ってね!」
由里歌ちゃんは仮入部の部活に行き、残ったわたし、晴奈ちゃん、陽茉理ちゃんと帰ることになった。
「ねえねえ、明明後日(しあさって)、彦宮学園名物の時計が生まれた日だったよね?」
突然陽茉理ちゃんが切り出した。

彦宮学園名物の時計ーーー彦宮時計は、その名の通り、彦宮学園の名物の時計なんだ。
伝説的に伝わっている話によると、時計職人が、100年かけて作ったんだって。
世代、世代、世代…
と、いろいろな人が作った時計が完成した日が明明後日なの。

「あぁ〜、すっかり忘れてたよ。で、彦宮時計がどうしたのさ」
晴奈ちゃんがすぐさま反応する。
陽茉理ちゃんは、胸を張って彦宮時計の話を始めた。
「わたしのお姉ちゃん、梨歩佳姉と、梨萌佳姉の話によるとだよ?」
うんうん。
「彦宮時計が一度盗まれたことがあるらしいの」
へ〜、ふむふむ。
「怪盗でね、一応戻ってきたらしいけど、加工されていたらしいの。そんな時計には、怪盗の涙がついていたって言ってた」
涙がついていたの?
「その涙で、調べた結果、怪盗日本(ジャパン)ということが分かったそうよ。その涙、かなり貴重で、より貴重な時計になったそうよ」
彦宮時計に、そんな歴史があっただなんて。
「陽茉理、それ、ジャパンが仕掛けてくるんでしょ?明明後日」
「晴奈ちゃん、よく分かったよね。明明後日に盗むと、ジャパンから予告状が届いているみたいよ」
晴奈ちゃんも、情報早〜い
陽茉理ちゃんも、怪盗日本なんて、情報得るの早いな〜
「わたしこっちだから。バイバイ」
「バイバイ」「バイバイ」
陽茉理ちゃんと方向が別れて、すぐ晴奈ちゃんとも別れた。
家に向かって歩いていくと、大きな黒の車がわたしの隣に停まった。

37:モンブラン:2017/02/10(金) 20:05

4.怒れること
「あら?真美ちゃんじゃないの。ひとりぼっちなのね。晴奈たちは?」
「え?」

この人は、彦宮美華(ヒコミヤ ミカ)ちゃん。
お金持ちで、毎日送り迎えがある。
クラスの女子リーダーで、お祖父さんが彦宮学園の校長先生なのだ。
先生すら、美華ちゃんに逆らうことはできない。
とても大きい存在なのだ。

「あらぁ〜?もしかして嫌われた?ごめぇ〜ん、こんなこと聞いてぇ〜」
美華ちゃん、悪口にしか聞こえないんだけど、やっぱり悪口なの?
すると、美華ちゃんは薄い笑みを浮かべた。
「彦宮学園の名物、彦宮時計。真美ちゃんに差し上げましょうか?わたしが持っているのよ。どう、いる?」
美華ちゃんが車の中から言うと、車の中に乗っている人が言う。
「美華お嬢様、おやめください。こんなブスなお方とお話するとは、なんということを。彦宮時計も差し上げてはなりませぬぞ」
ブスとはなんだ、ブスとは!!!
「あら、じい。もちろんよ。彦宮時計を渡す相手が真美ちゃんですって?差し上げるわけないではないか」
ちょっと、美華ちゃん!?
ヒドイ、ヒドすぎるから。
「あの、彦宮時計なんていりません。失礼ですが、わたし帰ります!」
もう、なんなのよ!?!?

38:モンブラン:2017/02/11(土) 08:19

5.明スイ活躍
「あらぁ〜、はいはい。今帰ってきたところですぅ」
ママが電話相手にキラキラした顔で話している。
わたしは、明確ゼミのカバンを持って、明確ゼミに向かおうとした。
すると、急いでママが呼び止めた。
「真美にこんな友達がいたのねぇ」
美華ちゃんじゃないよね!?
一体誰なのよ。
「もしもし。真美ですが」
「真美ぃ!!!」
って!坂宮かぁ!!!
「一体何の用なのよ。明確ゼミ行かなきゃならないの。後にして」
わたしが電話を切ろうとすると、坂宮が大きな声を出して止めた。
もう、用件は何なのよ!
「隅木田から集合がかかった。放課後談話室な」
明スイの集合がかかったのね!
なんなら、早く言えばいいのにさ!

「失礼します。多田本真美です」
談話室に入ると、いつもの席にみんなが座っていた。
ここの談話室、中学生の棟にあるから遠いんだよね。
坂宮、なのに早いなあ。
「今日集めた理由は、明スイの活躍があんまりないということだ。あれから、やってください!と依頼がたくさん来ている」
依頼まで来ているのね!
矢本くんが続ける。
「依頼を、ひとつひとつ数えてみても、全てできる量ではない」
明スイは信頼されてるのね。
いいことだ。うんうん。
「どうすべきかということで集まってもらったんだ」
そういうことだったのね。
すると、坂宮が手を挙げる。
「俺に教えてくれねえか?その依頼」
「わたしも見てみたい」
隅木田くんの小さなメモ帳を取り出した。
メモ帳に書いたのかな?
「真美ちゃんと見てみて」
ええっと…

名前:尾崎 桃音 オザキ モモネ
友達の夏那の誕生日パーティーがしたい。

名前:尾崎 桃乃 オザキ モモノ
おばあちゃんの死んでしまった日に、天国のおばあちゃんにケーキを渡したい。

(超たくさんあって…)

名前:宝雨 姫子 タカラウ ヒメコ
誕生日パーティー(自分)の大きいケーキが食べたい。

すご〜い、たくさん!

39:モンブラン:2017/02/11(土) 17:01

6.聡日ちゃん
「たくさんの方が書いてくださっていますね」
わたしが呟くと、隅木田くんが小さな紙を取り出した。
「この紙が、坂宮の学校の子だよね?雲野聡日(クモノ サトカ)ちゃん」
すると、坂宮は目をそらした。
あんまりいい関係じゃないのかな?
隅木田くんも矢本くんも気付いたのか、黙って紙を見つめる。
少し時間が経って、坂宮は紙を取り上げた。
「聡日の依頼は断れ」
「どうして断るんだよ。聡日ちゃんも平等な依頼人だろ?」
そうだよ、坂宮は何でも勝手すぎ。
ちゃんと言わないもの。
「俺の幼なじみなんだ、聡日」
かわいい名前。
幼なじみなのに断るなんて。
「今日、喧嘩したんだよ。内容は…俺のサッカーの立ち位置が変わったからなんだ!」
えええ!?
そんなことで喧嘩!?
「俺の立ち位置、聡日気に入ってて、変わったら許さないって」
強い気持ちだね。
でも、どうして許さないんだろ?
別に変わったくらい、大きいことじゃないのに。
「お前らには関係ないだろ。聡日は入れるな、頼む」
坂宮が頭を下げる。
ちょっとかわいそうに見えて、隅木田くんと矢本くんと目を合わせて、今回は坂宮の通りにすることにした。

7.美華の暴走
「晴奈ちゃん。仮入部何にしたの?」
今日は仮入部の入部届を出す最終日。
提出忘れは、部分的に苦手な勉強会になってしまうのだ。
休んでいた人は別だけど。
「わたしは、由里歌とテニスやることにする!!!」
晴奈ちゃんも由里歌ちゃんもテニス部かぁ。
わたしと陽茉理ちゃんは、まだ決まっていない。
晴奈ちゃんはさっき提出してきて、仮入部がテニス部に決まった。
「真美と陽茉理だけ決まってない。早く決めないといけないよ!?」
うん…そうだけど。

今日は土曜日。
でも、学校に来ています。
どうしてかというと…

「彦宮学園生徒に連絡します。生徒会の会議により、明日は学校に来てください。月曜日、彦宮時計を守るためです。月曜日は休みとなります。
       児童会長 杉田 ふみ」

「ねえ、真美〜。ふみ会長からメール入ってるわ。明日学校って」
え〜〜!?
ふみ会長、どうしてなの〜?
って!彦宮時計のためか!
なら、仕方ない。学校行くか。

ってことで。
「真美。今日は無理だから、国語また今度教えてね」
「うん、いいよいいよ」
勉強会は後でもいいもんね。
それにしても、本当に彦宮時計いいのかなあ?
「ちょっと、ふみ!」
美華ちゃんがふみ会長を突き飛ばしている。
ふみ会長は、学食の扉にあたり、しりもちをつく。
い、痛そうだよ…
「ねえ、どうして今日学校にするのよ!ねえ!!!」
美華ちゃん、メール見ていないの?
ふみ会長がかわいそう。
でも…
足がふるえる。
どうしよう、どうしようっ!

40:モンブラン:2017/02/11(土) 17:20

「わたし、初等部には送ったはずよ。みんな来てるもの。彦宮先生も知っているはずよ」
ふみ会長、わたしは何になれる?
会長!
「わたし、お母様に行きなさいって言われたから来ているの。来る理由なんて聞いていないわよ」
すかさず美華ちゃんが言う。
でも、ふみ会長はひるまない。
「でも、こうして来ているからいいのよ。月曜日はお休みだから」
すると、美華ちゃんの後ろにいる、ユウちゃんこと優佳ちゃん、ほのこと穂乃果ちゃんも言い返す。
「どうして美華に言い返すのよ!ねえほの。そうよねえ!?」
「ええ。美華に言い返すなんて、どういう頭してるのよ!ねえ、ユウ」
美華ちゃんも優佳ちゃんも穂乃果ちゃんもふみ会長に言い返す。
これじゃ言い返し合ってるだけ。
「彦宮時計のためだから」
ふみ会長はそう言い残すと、学食から出ていった。
美華ちゃんたちも、学食のおばさんたちから隠れて出ていった。
「嵐の吹き回しだよね」
「本当に」
「ねえ」
晴奈ちゃんたちも言う。
本当。
嵐の吹き回しだよ。

41:モンブラン:2017/02/11(土) 19:36

8.怪盗日本からの予告状
「皆さんに連絡します。ただいま、怪盗日本から予告状がきました。皆さんは多目的ホールに集まりましょう」
ふみ会長のアナウンスが入る。
怪盗日本…
多目的ホールに急がなきゃ!
「早く行こう!晴奈ちゃん、陽茉理ちゃん、由里歌ちゃん」
わたしが声をかけると、みんなノートに向ける手を止めて、多目的ホールに向かって走った。
ふみ会長の言葉に、初等部、中等部、高等部が一斉に動く。
初等部と高等部の生徒会長さん、活動が少ないらしいからなあ。
「ちょっと、真美!急いで」
う、うん!
さすがに美華ちゃんもしつこく言ってこないで、多目的ホールに向かって走っていた。
ふみ会長も放送室から出てくる。
「ふみ会長。怪盗日本から予告状がきたって、詳しくどういうこと?」
陽茉理ちゃんが聞くと、ふみ会長はいつものキッっとした顔で言った。
「多目的ホールに集めた理由を考えてごらんなさい。みんなに話すためよ」
陽茉理ちゃんはふみ会長に頭を下げ、多目的ホールに向かってラストスパートを走った。

「初等部児童会長、杉田ふみ」
「中等部生徒会長、森小路なお(モリコウジ)」
「高等部生徒会長、船水琉水(ルミ)」
多目的ホールにこだまする声。
ふみ会長、森小路先輩、船水先輩が前に立つ。
「怪盗日本から予告状がきました。皆さんは多目的ホールで待ちましょう。彦宮時計はここにあります!なので、怪盗日本が引くまで、ここで待機となります」
え、ということは…
100年怪盗日本がここにいたら、100年多目的ホールで過ごすってこと!?
どんどんブーイングの声が大きくなっていく。
「静かに!!!」
船水先輩の声がかかると、急に静かになる。
「食べ物も、漫画も、小説も、何でもありますので、自由に過ごしてください」
ふみ会長が言うと、みんな自由に動き始めた。
漫画を読みまくる子。
小説を読んではジュースを飲む子。
お菓子を食べ散らかす人。
ちゃんばらを始める子。
「これからどうなるんだろうね」
「由里歌、怖い〜」
「わたしも怖いよ〜」
もう、一体どうなるの〜?

42:モンブラン:2017/02/14(火) 21:40

9.矢本兄弟
「ねえ、ふみ〜!もう飽きてきたんだけど」
美華ちゃん、飽きるの早すぎる。
もうちょっと何かないのかな?
「暇つぶしになることないの〜?ふみって会長でしょ?できることあるはずでしょ?」
あるわけないでしょ!
ああ、また足が動かないよ!
わたしって本当に弱いよね…
「真美ちゃん。ちょっと」
誰?誰が呼んだの?
あちこち見回したけど、正体は分からない。
幻覚じゃあないよね?
「真美ちゃん、上を見て」
そのまま上を見上げると、隅木田くんと矢本くんがいた。
なんでこのふたりがいるの?
隅木田くんと矢本くんは、多目的ホールの二階にいた。
すぐ階段で降りてきて、わたしの目の前に降り立った。
「隅木田くんと矢本くん?」
「それ以下誰が考えられる?」
「隅木田と矢本だよ」
このふたりって、彦宮学園に通っていたの〜?
え、絶対目立つのに、気付かなかっただなんて…
「あれ、拓斗兄。真美、こっち」
「陽茉理か?」
あ、そっか。
矢本くんと陽茉理ちゃんは兄弟だもんね。
「ねえ、矢本くん。梨歩佳さんと梨萌佳さんも彦宮学園にいる?」
「もちろん」
矢本兄弟、彦宮学園にいたんだ…
全く気付かなかったな…

43:シフォン:2017/02/14(火) 23:26

すっごく面白いです!入っても良いですか?これからも感想書かせて頂きたいのですが・・・

44:モンブラン:2017/02/17(金) 22:02

>>43
すっごく嬉しいです!
ありがとうございます!
もちろん、入ってください!
感想書いてくださるんですか!?
改めまして、モンブランです。
あと、返信遅れてすみません。

45:モンブラン:2017/02/17(金) 22:19

10.わたしにできること
「真美ちゃん、ちょっと」
隅木田くんに呼ばれて、二階に上がる。一階よりは狭いけど、ホールっぽい空間。
「明スイで、できることないかな?」
「キッチンもないけどね」
ホールなんて、スイーツ作る場所じゃないもんね〜
「中等部2,3年生、高等部の皆さん。隣のホールを空けました。移動してください。お願いします」
隅木田くんも矢本くんも行くよね…
「出入り可能にするから。できたら、こっちに来るよ」
「ありがとうございます」

「ハル、お腹空かない?」
晴奈ちゃんが反応する。
さっき決めたニックネーム。
「え、ヒマお腹空いたの?」
ヒマもお腹空いたんだ。
って!ハルはお腹空かないの!?
「ユリもお腹空いてきたよ〜!!!」
お菓子は空っぽ。
食べられる物なんてちっともない。
わたし、ずっと我慢してるんだよ!
「会長、まだ怪盗日本来ないの!?」
美華ちゃんが暴走しちゃう!
ふみ会長、手がまわらないよ!
わたしでできるかなっ?
「美、美華ちゃんっ!」
「何よ」
「怪盗日本、来ていないから待ってるんだよ。もうちょっと我慢しなきゃ。美華ちゃんの生活で有り得ないと思うけど」
ふみ会長は、目を見張っている。
やっぱり、こんなわたしだもんね…
「わ、分かってるわよ。もう!」
美華ちゃん、伝わったのかもっ。
「マミやるじゃん!」
「言ったね〜」
「これからも言ってやんなよ!」
ハルとヒマ、ユリが背中を叩いた。
エヘヘ、美華ちゃんに伝わった!
「多田本さん。ありがとう」
「いいえっ!いつも助けてもらってるもんね。ありがとう」
なんか…照れくさいっ!

46:モンブラン:2017/02/17(金) 22:40

11.明スイ始動!
「真美ちゃん!」
あ、隅木田くんと矢本くんだ!
進歩できたのかも!?
「マミ、行ってらっしゃい。隅木田先輩が呼んでるよ」
ハル…
行ってこよっと!
「行ってきます!!!」
隅木田くんの方に走っていくと、ふたりとも満面の笑みで言った。
「俺んち、彦宮学園にたっぷり金出してんだよ。キッチン空けてもらって、ガードマン付けてもらった」
お金出してるの?
さすが大きい家のお金持ち。
お坊っちゃまだもんね〜
「坂宮は学校違うから、梨歩佳さんと梨萌佳さんも含めて作ることになったんだけど」
「もちろんやります!」
さあ、何を作るのか決めないとね。
キッチンの冷蔵庫の中は自由でしょ。
材料は問題ないでしょ。
作るもの決めたら作れるね。
「でも、打ち合わせ無しの、研究でいくからね」
打ち合わせ無し…
だけど研究ってことは忘れずに…
「たくさん作れるものがいいよね」
「梨歩佳さんと梨萌佳さん、先に呼ぼうよ」
わたしが言って、矢本くんが呼びに向かった。
お坊っちゃまが、お嬢様を呼びに…
「真美ちゃん。何がいいと思う?」
改めて聞かれると…う〜ん???
思い浮かばないなあ。
「僕の案は、クッキーだけど」
クッキーかあ。
少し時間かかりそうだよねえ。
シュークリームイヤかなあ?
わたしが食べたいだけなんだけど。
「連れてきたよ。梨歩佳と梨萌佳」
「これ、チョーキツいね。早く作ろ。ガードマン呼んできて」
早速キッチンに行くのか!
「わたし、パン作りたいな〜」
「俺はマドレーヌ食べたい」
「僕の案はクッキーだよ」
「わたしはシュークリームがいいと思ったけど」
「わたし、絶対ムースがいい!」
みんなバラバラだよ!
どうしよう、決まんないじゃん!
「マドレーヌ抜きでいいよ、もう!」
「僕のクッキーもいいよ、抜きで」
「わたしのシュークリームも」
明スイメンバーが退いた。
後はお嬢様ふたりだけ。
「パンがいいと思うわ」
「いいえ、梨歩佳。ムースよ!」
パンの方が簡単にできそうだなあ。
「俺は梨歩佳派」
「僕は梨萌佳さん派かな」
「さあ、真美ちゃん/ハニーちゃんはどっち!?」
梨歩佳さん派だけどぉ!
言いにくいよね!?
ふたつ作ればいいんじゃないの?
いやいや、時間が足りないよね。
う〜ん。
ど〜しよ〜う!

47:モンブラン:2017/02/18(土) 09:06

12.合体案
「わたしの案はシュークリーム。隅木田くんの案はクッキー。矢本くんの案はマドレーヌですよね?そして、梨歩佳さんと梨萌佳さんの、パンとムースの案が出ています」
うぅ、ちょっと緊張しちゃう!
「全て作ることは、できないのかと思ったんですが」
シュークリーム、クッキー、マドレーヌ、パン、ムース。
これをどうするのか。
だけど…
「いいと思うわ。シュークリームの中に、クッキーのチッコイの入れればいいじゃん!」
「わたしも賛成。マドレーヌの中に、ムースの生地を入れれば問題ないわ。パンはどうしましょう?」
「シュークッキー、マドレムースって名前でいいよね?」
「パンはパンでよくない?」
うん!バッチリじゃん!

「シュークッキーのクッキー、梨萌佳取って」
「はい、拓斗兄」
わたしの担当は、マドレムース。
ムースの生地を作る仕事。
「真美ちゃん。そこのストロベリーの生地取ってくれる?」
「はい。チョコレートの生地取ってもらってもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
マドレムースのムースの味は、ストロベリー、チョコレート、チーズの三種類。
わたしはストロベリーの生地を作っていたんだ。
「隅木田先輩。チョコレートの生地できましたか?」
梨歩佳さんがマドレーヌを作る手を止める。
「もうちょっと待ってもらってもいいかな?」
「はい!…あと真美ちゃん。真美ちゃんのストロベリーの生地は、梨萌佳に渡してね」
「はい、分かりました!」
ストロベリー、美味しいものにしないとね。
「梨歩佳さん、チョコレートの生地」
「ありがとうございます!…あとさん付けじゃない呼び方で呼んでもらってもいいですか?」
「いいよ。じゃあ、梨歩佳ちゃんで」
梨歩佳さんは赤くなって、マドレーヌ作りに戻った。

48:モンブラン:2017/02/18(土) 09:13

13.謎の音
「完成したね〜」
梨萌佳さんがマドレムースの生地をしっかり入れると、全てが完成した。
やった、できた!
「じゃあ、多目的ホールに持っていこう。僕と矢本は高等部側。真美ちゃんと梨歩佳ちゃん、梨萌佳ちゃんは初等部側に持っていこう」
あとはちゃんと運ぶだけだね。
わたしは、シュークッキーを持って、梨歩佳さんはパンを持って、梨萌佳さんはマドレムースを持って行くことにした。
わたしがお盆を持った瞬間っ!
  ブーッブーッブーッ
な、何の音なの?
「みんな、お盆を置いて机の下に!」
隅木田くんが言って、机にお盆を置いて、机の下に隠れた。
多目的ホールから、悲鳴が聞こえる。
初等部一年生だろう。
これ、何なの〜!?

49:シフォン:2017/02/19(日) 01:10

あ〜読んでるとお腹が空いてきたぁ〜

50:モンブラン:2017/02/19(日) 07:09

シフォンさん、読んでくださってありがとうございます。
それに、深夜ですからね。
お腹空いたなら、何か食べてください!シフォンさんの好きなキャラクターは誰ですか?

51:モンブラン:2017/02/19(日) 07:30

14.怪盗日本あらわる
しばらくしてから、放送が入った。
「ただいま、怪盗日本が見えました。怪盗日本から、呼び出されている人がいます。矢本梨歩佳さん。矢本陽茉理さん。多目的ホール前にふたりで来てください」
呼び出しかかってるの、梨歩佳さんとヒマ!?
何されちゃうの、ふたりとも。
「梨歩佳。絶対怪盗日本の言いなりになるなよ!」
「分かってるって。先、多目的ホールに持っていって。みんな待ってる」
矢本くん…妹だもんね。
梨歩佳さん、ヒマ、帰ってきてね。
「じゃあ、行ってきます」
梨歩佳さんを送り出したところで、作ったものを多目的ホールに運んだ。
「あら。真美ちゃん、スイーツ作ってたの?気楽でいいわねぇ」
「美華ちゃんたちが食べるためなんだから。気楽とか言わないで!」
舞台上にスイーツを持っていって、ふみ会長に言ってもらった。
「皆さん。この多田本真美さん、矢本梨萌佳さん、その他たくさんの人が、スイーツを作ってくれました。ありがたくいただきましょう」
まわりからは、歓声が聞こえる。
作れてよかった…
「梨萌佳さん。よかったですね」
「ええ。高等部の方は大丈夫かしら」
ああ…隅木田くんと矢本くん。
「マミ!」
「ハル!ユリ!…あの、友達来たので、先行きますね。梨萌佳さんも友達のところ行っていいですよ」
わたしがハルとユリの方に行くと、梨萌佳さんが動いたのが見えた。
悲しい目をしていた気もした。
気のせいかな?

52:モンブラン:2017/02/19(日) 07:48

15.怪盗日本が来た!
「マミたちが作ったスイーツ美味しいよ。シュークッキーとか!」
「ユリ、パンが好き〜♪」
わたしが作ったマドレムース美味しいかな?
ちょっと不安な気持ちでいると、小さな女の子グループが来た。
「お姉ちゃんって、スイーツ作った人だよねえ?マドレムース美味しかったよぉ!シュークッキーもパンも今から食べるんだ〜」
気に入ってくれたんだ!
「ありがとう、ありがとうね。たくさんあるから、どんどん食べてね」
わたしがにっこり笑うと、女の子グループたちはニカッっと笑った。
「イヤーーー!」
「キャーーーーーー!」
「大人しくしろ!」
か、怪盗日本!?
梨歩佳さんとヒマの悲鳴?
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。怖い…。会長さんに言ってよ」
「分かった。じゃあ、このお姉ちゃんたちといてね」
女の子グループをハルとユリに預けると、急いでふみ会長に言った。
「皆さんは、ホールの椅子の下に隠れましょう」
ふみ会長が言って、みんなが椅子の取り合いになった。
とりあえず、近くの椅子の下に隠れれた。
「うわぁ〜ん、うわぁ〜ん!」
誰!?
椅子から顔をあげると、わたしに話しかけてきた女の子がいた。
軽く女の子を手招きして、わたしと一緒に椅子の下に隠れた。
シーンと静まり返っている。
「お姉ちゃん。真美っていう名前なの?わたしは、子日向」
子日向ちゃん(コヒナタ)…
「お姉ちゃんは、真美だよ。多田本、真美」
子日向ちゃんは、わたしを見て、またニカッっと笑った。
するとっ!
「ここが多目的ホールかあ。んんん?誰もいないじゃねえか!」
怪盗日本が多目的ホールに来た!
見えないけど…
「お姉ちゃん、何?」
「シーッ。ちょっと静かにしててくれるかな?」
子日向ちゃんはコクンとうなずく。
「もうひとつ多目的ホールがあるはずだ!案内しろ」
高等部の方に行っちゃった!
隅木田くん、矢本くん、逃げて!
高等部からは、まだ声が聞こえるから!しばらくすると、高等部の方から悲鳴が聞こえる。
「もう、いいの?」
「ダメだよ。お姉ちゃんが、いいって言うまで」
子日向ちゃん、ごめんね。
もうちょっと待ってね。
わたし、高等部の方に行ってくる!

53:モンブラン:2017/02/19(日) 17:18

16.戦闘少女3人組
「か、か、怪盗日本っ!」
多目的ホールに入って叫ぶように言うと、怪盗日本が振り向いた。
ん?どこかで見たことがあるような顔だな〜。
「マミ、来ないで!お願い!」
「真美ちゃんっ!どこかへ行きなさいよ!早くっ!」
ヒマ…梨歩佳さん…
でも!わたしは逃げない。
すぐ近くの椅子の下に、中等部の制服の女の子が見える。
この人たちを犠牲にしちゃダメ!
どうにかできる物はないかな?
「ちょっと!怪盗日本、待ちなさい」
え、ふみ会長に美華ちゃん?
美華ちゃん、どうしてここにいるの?
「真美ちゃん、ひとりで行くとか、死ぬ気?死にたいならいいけど、一応…友達でしょう?」
「美華ちゃんっ!」
いつもの、ふみ会長のキッっとした顔が見える。
お、怒られちゃう…
「ふみ会長。美華ちゃん。怪盗日本を追い出そう!」
なんか、戦闘っぽいけど、女の子だからってなめんなよ!?
わたし、空手習ってんだからね!?
ふみ会長柔道やってるし、美華ちゃんはレスリング趣味だもんね♪
合わないけど、戦闘少女3人組って呼ばれてるんだから!
「さあ。かかってきなさいよ!」
怪盗日本はきれて、わたしに襲いかかってきた。
するとっ!

  ピーポーピーポーピーポー

この音って、もしかして!

54:モンブラン:2017/02/19(日) 17:31

17.ハッピーエンド
「こちら、警察ですが」
ケーサツさんキターーーー!
怪盗日本は、あっさり見つかった。
多目的ホールで鬼ごっこしてたんだけど、これまたあっさりふみ会長に捕まった。
「彦宮時計、守れたね」
わたしが言うと、ふみ会長はあっさりした顔で笑っていた?
ふみ会長、いつも強気だもんな。
美華ちゃんは、校長先生に今のことを話していて…
わたしたち、いいことしたかも。

「お姉ちゃん。わたしを助けてくれてありがとう!お姉ちゃんかっこよかったよ!」
子日向ちゃんに、見られてたんだ。
ハルとユリに見られなくてよかった!
空手、わたしがやってたらビックリするもんね。
もうちょっと延ばそっと。
「いたたたた。マミ、ありがとう」
ヒマが小さな声で言った。
「わたしとヒマの秘密ね。怪盗日本と闘ったこと。わたし、空手やってるから。幼なじみのハルも知らないの」
ヒマはビックリした。
やっぱりビックリするよね〜。
ゆびきりげんまんをして、ハルたちと会話に戻った。
「真美ちゃん!」
「隅木田くんですか?」
また上を見上げると、隅木田くんがいた。
「また作り直そう。食べれる状態じゃないよ」
「はい!」
わたしの髪の毛が揺れる。
わたし、スイーツ作りの才能あったりするかも?
「真美ちゃん。美味しいスイーツ、待ってるから。…ほら、早くしなさいよ!待ってる人がいるのよ!」
美華ちゃん…
「ありがとう!!!」
多目的ホールから解放されたわたしたち。
明確スイーツ研究部、学校でも人気になっちゃったりして?

             (つづく)

55:モンブラン:2017/02/19(日) 17:38

あとがき
            モンブラン

皆さんこんにちは。
明確スイーツ研究部!略して明スイの作者、モンブランです。
今回の2巻、いかがでしたか?
怪盗日本という怪盗を作ってみました。作者のわたしも、ぞくぞくして…
怪盗日本怖いな〜

皆さんは、友達関係うまくいっていますか?
わたしは絶好調!
今度の明スイ、友達関係が関わるので、いろんな友達関係など、友達に関わること教えてほしいです。

読んでくれた皆さんありがとう!
明スイ3巻でもよろしくお願いします。引き続き明スイを読んでください。

56:モンブラン:2017/02/19(日) 17:41

明確スイーツ研究部!
〜次回予告〜
真美の友達関係は崩れちゃう?
ハルとわたし、ヒマとユリ!?
どうして分裂しちゃうわけ!?

57:モンブラン:2017/02/20(月) 21:13

『明確スイーツ研究部!3』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

58:モンブラン:2017/02/20(月) 21:34

『明確スイーツ研究部!3』


1.恐怖!ジェットコースター
ハル、ヒマ、ユリと来ているここは!
サマーサマーパーク!
夏限定の遊園地で、小さな子から大人まで、いろんな人が来ている。
「ねえねえ。あのジェットコースター乗ろうよ!思いきって!」
ユリが指差したジェットコースター。
それは…
サマーサマーパーク一番大きいジェットコースターじゃん!
めちゃくちゃ怖いよお。

わたし、多田本真美。
サマーサマーパーク初入場です!

「思いきって…ジェットコースター行ってみますか!」
ハルまで〜。
ユリとハルが、スキップしながらジェットコースターに向かった。
ヒマと顔を見合わせる。
「プッ!」「ワハッ!」
ふたりとも吹き出したりして。
本当、楽しい。
ヒマと一緒に、ジェットコースターに向かうと、ハルとユリはまだスキップしていた。
その場でだよ?
「マミ、ヒマ。これ、二人乗りなの。わたし、ユリと乗っていい?」
「ユリも、ハルと乗りたい!」
ジェットコースター好き同士、意気投合しちゃってる…
ああ、どんどん前に進むよ〜。
ジェットコースターに近づく〜。
「マミって、好き?嫌い?」
「何が?」
「あぁ。ジェットコースター」
好きか嫌いかと言われると…
苦手だけど…怖いから。
でも、それが醍醐味(だいごみ)だから好きな人は…
「わたしは、苦手なだけ」
「ヒマも?わたしも苦手なだけ」
ヒマと似てるとこ、多いなあ。
「お次のおふたり、どうぞ」
「行ってきます!」
あぁ、ハルとユリ行っちゃった!
次がわたしたちだぁ。
すると、ハルの叫び声が聞こえた。
「ヒマ。ハルの叫び声すごいね」
「ホント」
ふたりでクスクス笑っていると、わたしたちが乗るジェットコースターが戻ってきた。
「お次のおふたり、どうぞ」
うぅ、乗らなきゃ…
足がブルブル震える…
「マミ、乗って。わたし乗ったよ」
ヒマ、乗るのが早いよ…
わたしが震えながら乗ると、スタッフの人のアナウンスが聞こえ、ジェットコースターが動き出した。
「ヒマ、ヒマ、ヒマ、ヒマ〜〜〜!」
「イヤァァァーーー!」

ジェットコースターから出てくると、わたしとヒマはフラフラだった。
「マミ、ヒマ。大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
「わたしは大丈夫」
ヒマ、本当に大丈夫なの?
わたしはもういいけど…
「まあ!ヒマの好きな昼ごはん!」
あ、ヒマが楽しみにしていた昼ごはんじゃん!
気を取り直したのか、ヒマはスキップして昼ごはんを買いに行った。

59:モンブラン:2017/02/20(月) 21:50

2.サマーサマーパフェ
「う〜ん、美味しい!美味美味!」
ヒマ、急に笑顔が戻った。
「さあ。毎回恒例にしたいと思っている、陽茉理の食レポコーナー!」
ハルがコーナーを作る。
ヒマも初耳だったみたいで、ヒマが買った、サマーサマーパフェの食レポをするよう、うながす。
ヒマ、アナウンサーになりたいんだもんね。
「ん〜。このチョコレートがとても濃厚で、バニラと混じるんですよね。口の中で、パチパチ弾けるストロベリー、とっても美味しいです!」
「はい、カット!」
ハルがカットをかける。
食レポうまいな〜。
「食べたくなってきたよ!さすがヒマだね。買ってくる!」
ハルが、サマーサマーパフェを買いに行った。
ユリも、サマーサマーパフェを後からハルを追いかけて買いに行った。
「マミは買わないの?」
「わたし、パフェって苦手なの」
「マミ!このパフェ、他のパフェと違うんだから!明スイの参考になるから食べてみて!」
ヒマがそんなに言うなら…
わたしもんハルとユリを追いかけてパフェを買いに行くと、美華ちゃんみたいな人を見かけた。
あの子、美華ちゃんとは別人だ。
友達と一緒に来ているようで、名前が出ることを待つ。
早く名前呼んで!
「聡日はさぁ。陽都くんより思いが強いと思うよ」
聡日さん?陽都くん?
もしかして、坂宮くんのこと?
聡日さんって、幼なじみの聡日さん?
「斬新〜!」
イマドキの子って、すごい格好してるんだ。
「マミ?マミ?」
「ふぇい?」
「本当に大丈夫なの?」
笑ってごまかすと、ハルの微妙な笑みが見えた。
ハル、こういうとき怖い〜。

60:モンブラン:2017/02/21(火) 21:47

3.聡日ちゃんと美華ちゃん
「ねえ。マミ。このコーヒーカップ乗らない?わたしとユリが乗りたい乗り物乗ったし。マミとヒマの乗りたい乗り物乗ろうよ」
ハルが提案して、近くのコーヒーカップに乗ることにした。
ハル、覚えててくれたんだ。
わたしがコーヒーカップ大好きって。
さすが幼なじみ!
「4人乗りだからちょうどいいね」
う〜、楽しみっ!
サマーサマーパークって初めて来たけど、こんなに面白そうなコーヒーカップがあるなんて!
乗らなきゃ損だよね。
「はい、お次の方どうぞ」
やった、入れる入れる〜!
コーヒーカップは8台あるね。
わたしの好きな色は、この中では薄いあのピンクかな。
「とりゃあーーーー!っと、取った!薄ピンク取ったーーー!」
ハルたちも、後からついてくる。
ああ、ひとりで暴走しちゃった。
「マミの以外な一面だから。ちゃんと覚えておくといいよ」
ハルったら〜!
「では、動きます。スタート」
スタッフの人のアナウンスで、コーヒーカップの床が動く。
わたしたちも、コーヒーカップを思いっきり回す。
やっぱりコーヒーカップ面白い!
「マミが回すと怖いよ…ヒマが回してみたら?」
ハンドルがヒマのところにいくと、もっとビュンビュンになった。

「楽しかった〜!ねえ、ハル。ヒマ。ユリ」
みんなを見回すと、あいまいな感じでうなずいている。
ちょ、ちょっと〜!
楽しくなかったって言うの!?
「聡日、何乗る?」
「え?何でもいいわ。美華選んで」
美、美華?
「じゃあ、久しぶりにメリーゴーランドで」
美華ちゃん…
着いてく!

61:みかぜ◆63Y:2017/02/23(木) 22:05

スゴく面白いですね!!

62:モンブラン:2017/02/24(金) 19:20

みか、ありがとう。
これからも頑張って書く!

63:モンブラン:2017/03/04(土) 14:47

4.消えたユリ
っと、その前に。
「みんな、メリーゴーランド行こ!楽しそうだもん」
みんな賛成してくれて、メリーゴーランドに向かった。
もちろん、人通りが少ない道じゃなくて、美華ちゃんと聡日さんに着いて行って。
「ねえマミ。こんな道選ばないでよ!人が多い道を!」
「後から理由を話すから!」
やっとメリーゴーランドのところに行くと、ハル、ヒマ、ユリがいない!
わたしが早く行きすぎたからだ!
「ちょっと、マミ!ユリがいないじゃんよ!」
「ごめん。探してくる!」
あぁ、わたしってなんでこんなことしちゃったんだろう。
「ユリー!ユリー!ユリー!」
メリーゴーランドに行くって言ったから、ユリも来てるかも?
でも、人通りが多い道を選んだし。
「ちょっとマミ!わたし、ユリと一緒にいて、学んだことたくさんあるの!その時間、失いたくないの!だからマミって嫌なのよ!」
えっ!
ヒマ、わたしが嫌?

「ねえ。わたし、まみちゃんといて、利益はないのよ。それに楽しくもないし。本当。」
え?あこちゃん?

わたしのせい。
わたしがどうにかしなきゃ。
もう!
「いやーーーーーー!」

64:モンブラン:2017/03/05(日) 19:09

5.突然の絶交
「うわっ!あ、マミ!」
ん…あ、ユリ!
「ユリっ!ごめんね、本当にごめんね」涙目のユリは、一欠片も怒りを抱いていないようだった。
「気にしないで。それより、ずっと迷子にならなくてよかった」
人通りが少ない道に来ると、ユリはヒマとガッチリ手を繋いでいた。
「マミ。どうして早く行ったのか、教えてもらってもいい?」
「わたし、聡日って子を知ってるの。その子と美華ちゃんが一緒にいたから秘密を探りたくて」
「人の秘密なんて探ろうとしないで!マミの秘密、わたしが探っていい?隠したくないの?それに人のこと考えないなんて許せない」
そうだよ。
そうだよね。
ヒマの言う通りだ。
わたしなんて、友だちじゃない。
人のことを考えなかったんだから。
「ヒマ。でも、もう見つかったことだし、反省してるし、これからだよ」
ハルの言うことも一理…
「マミの味方するんだ。もういいわ。わたしはユリと一緒にいる!ハルとマミのふたりでいて!絶交よ!」
「ぜ、絶交!?」「絶交…」「ヒマ?」

65:モンブラン:2017/03/05(日) 19:26

6.思い出カレー
「ごめんね、晴奈ちゃん」
「いや。わたしも、陽茉理の考え方に反対だし」
晴奈ちゃん…
わたしたち、ニックネームで呼びあっていたけど、4人合わせてだから、名前で呼ぶことにしたの。
「真美、何にする?わたし、久しぶりにカレー食べようかな」
「じゃあ、わたしもカレー」
ここは学食。
カレーなんて本当に久しぶり。
確か、陽茉理ちゃんたちと遊び始めた日も、カレーだったなあ。

「いいですか?キャンプは、4人グループなので。今から4人グループを作ろうと思います」
はぁ〜、キャンプかぁ〜。
6年の始めにある、キャンプ。
わたしは、いつも晴奈ちゃんとふたりで遊んでたから…。
「ねえねえ!陽茉理と由里歌もふたりだよ!あのふたりと組もう!」
晴奈ちゃんの提案でできたグループ。
 キーンコーンカーンコーン
「あぁ。時間になってしまいました!ここで終わります。決まったグループは来てください!」
担任の清水先生が言う。
「これで終わります。礼」
あぁ、お腹空いた。
「えっと、晴奈さん。真美さん。陽茉理さん。由里歌さんね。次」
今日は何食べようかな〜?
学食へ向かう足をなんとか止めようとしていると、陽茉理ちゃんが提案した。一緒に食べようって。
「みんなでカレー食べない?」
由里歌ちゃんもカレー屋さんを指さして提案する。
あ〜、あのときのカレー美味しかったなあ〜。
また食べたい。
でも…。
わたしが自分でなくしたんだから。

66:モンブラン:2017/03/06(月) 21:23

7.児童会室に呼び出し
「ごめん。晴奈ちゃん。陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんと遊び始めた日もカレーだった。今日はカレー食べたくないかな」
あいまいな顔でわたしが言うと、晴奈ちゃんもカレー屋さんの列から退く。
晴奈ちゃんも、早く忘れたいのかな?
 ピーンポーンパーンポーン
「お呼び出しを申し上げます。真美さん晴奈さん。児童会室に来てください。繰り返し連絡します……」
え?わたしたち?
「ねえ。何か頼んでからにしない?」
「うん。わたし、和食にするね」
「じゃあわたしも」
和食の列に並んでいると、向こうから坂宮がひとりで入ってきた。
「真美じゃん!呼び出されてんのに。俺が並んでやる。何なんだ?」
「いいの?坂宮」
「もちろん」
「晴奈ちゃんのもよろしくね。わたしは和食定食。晴奈ちゃんは、焼き魚定食ね。よろしく」
学食を出てきたところで、晴奈ちゃんが肩をバシンと叩いた。
「真美の未来のご主人様、優しい〜」
「今日、すごい優しかった」
晴奈ちゃん、坂宮のこと気に入ったのかな?
気に入ったなら、坂宮がくっつくの晴奈ちゃんにしちゃえばいいのに。
「真美。ノックして」
 トントン
「失礼します。多田本真美です」
児童会室を開けると、腕を組んだ陽茉理ちゃんと、縮こまっている由里歌ちゃんがいた。

67:モンブラン:2017/03/06(月) 21:43

8.関わらない
「ふみ会長。お願い」
陽茉理ちゃん、何をやってくるの?
ふみ会長は、軽く咳払いして陽茉理ちゃんの肩に手をのせる。
「わたし、あなたたちが仲良くしないの、どうしてかって陽茉理ちゃんに聞いてみたの。喧嘩したらしいわね。真美ちゃんと呼ぶわ。真美ちゃんが原因でね」
「でも真美も反省してるし」
「晴奈ちゃん!わたしが悪いんだからダメだよ。否定しちゃ」
そう、そうだよ。
わたしに原因という袋が覆い被さっているんだから。
これを脱ぐことは、今できないの!
「あなた…真美ちゃんの配慮が足りないのも、陽茉理ちゃんの強すぎる意思も良くないわ」
ふみ会長の言う通りかも。
わたしはやっぱり配慮が足りなかったみたいだし。
「お互い仲良くやっていきなさいよ。卒業生なんだから。まだ6月だけど」
「わたしたち、行きます。あと、真美さん。お兄ちゃんとお姉ちゃんと関わらないでほしいわ」
「えっ!陽茉理ちゃ…」
え、行かないでよ。
あと、真美さんって呼び方…。
お兄ちゃんとお姉ちゃんと関わらないでって!
明スイやめてってこと!?
「失礼しました」
…って、えええええええっ!!!
坂宮って、彦宮学園生徒だっけ?
だって、学食でお願いしたもんね。
怪盗日本(ジャパン)のときいたっけ?
「おっ!真美ちゃん!梨歩佳だよ〜♪なんか久しぶりな気がする!」
梨、歩佳さん…、、、とも、関わっちゃダメだよね。
遠くで陽茉理ちゃんが見ていたら…。
「梨歩佳先輩、急いでるので失礼します!すみません!」
「ねえ、真美ちゃん!」
ごめんなさい!
梨歩佳先…輩…。
わたし、もう関われません。

68:みかぜ◆63Y:2017/03/06(月) 21:47

モンブランやっぱりスゴいね!見やすくすき間とか開けた方が良いと思うよ!

「やっぱりそう思った?」

○○はニッコリしてとても嬉しい表情をしていた。

フフ…かわいい♪

みたい感じかな。私小説下手だけど意味がわかればいいんだけど

69:モンブラン:2017/03/08(水) 21:06

みか、ありがとう!
アドバイスを生かして書いてみます!
本当にありがとう!

70:モンブラン:2017/03/08(水) 21:18

9.キツい言葉

「真美。坂宮くんのところ行こう」

ああ、学食で並んでたんだ。
梨歩佳さんに心の中で謝りつつ、学食へ向かう足を早くする。

「ねえ。真美。ちょっと」

「由里歌ちゃん?ど、どうしたの?」

急に腕を引っ張られて、2-3のクラスに入っていた。

「ごめんなさい。あの、陽茉理ちゃんが、ふみ会長に言えば味方になってくれるって言うから」

「大丈夫だよ。初めから、悪いのはわたしなんだから」

由里歌ちゃんは、頭を下げたまま動かない。
二年生の先輩も、由里歌ちゃんを遠目に見て避けている。

「でも、陽茉理ちゃんといるべきだから、わたしと一緒にいちゃダメだよ。お願い。陽茉理ちゃんといて」

「でも、わたしは、4人で一緒に」

「お願い!わたしが悪いのは分かっているの!でも、今はふさわしくない!陽茉理ちゃんといることがふさわしいことだよ!」

あ、あ、由里歌、ちゃん…。
わたし、由里歌ちゃんを…。

「いいんだよ。真美。真美が言ったこと間違ってないから。行こ」

由里歌ちゃんごめんなさい。
でも、本当にわたしは一緒にいられないから。

71:モンブラン:2017/03/10(金) 20:44

10.あのふたり
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

休憩所のドアを開けると、坂宮、矢本くん、隅木田くんがいた。
今日は、明スイで集合がかかったの。
でも、矢本くんと関わらない方がいいっていうか…。
明スイ抜けた方がいいのかな…。

「じゃあ、始めよう。最近、依頼をほったらかしにしているから、依頼に対応しよう」

「聡日の依頼はやめろよ!」

あ、聡日さん。
美華ちゃんといて、どうなったんだろう。

「ねえ。尾崎姉妹あったよね?ふたりとも同時に対応は無理かな?」

矢本くんが提案する。
隅木田くんは、スマホを取り出して、メモのアプリに書き込んでいる。
尾崎姉妹、ねえ。

「これが尾崎姉妹の依頼」

えっと、桃乃さんと桃音さん。
ふたりの性格、すごく違いそうだな。
わたしに合えばいいんだけど。

「ねえ。あの彦宮学園のお嬢様が来るってウワサよ」

「ええ。そのお母様とお父様離婚されたけど、お母様に着いていった美華様も、お父様に着いていった聡日様も来るらしいわ」

美華ちゃんと聡日さん、姉妹!?
なのに、別れちゃったんだ。
でも、明確ゼミで会うことになる。
このふたり、会うほど仲良しなんだ。

「明スイで、尾崎姉妹をやる話に戻っていいよね?」

「あ、いいです」

「作る物とかじゃなくて、場所とか考えよう。どこがいいかな?」

それなりに広いところがいいよね…。
わたしの家は狭いし、人とかたくさん入れないし、うるさいし!
いいところなんてないじゃん!

「俺んちのパーティー会場使う?」

矢本くんの家のパーティー会場!?

72:モンブラン:2017/03/10(金) 21:04

11.初電話
「さあ、美華様。聡日様」

あ、この人、この前の爺だ!
ブスって言った人だ!
何が美華様よ!
何が聡日様よぉ!!!

「へ〜、清潔なのね。あら?真美ちゃん?ここに通ってたの?成績伸びていないのに」

「そんなことないよ!」

美華ちゃん、みんなの前で言わないでほしかったよ!
成績伸びてないとか!

「爺。ここはなしよ。真美ちゃん、伸びてないもの。伸びなきゃ意味がないわ。聡日もやめたら?」

「いや。ここにする。陽都がいる」

聡日さんの目当てそこ!?
でも、坂宮がベッタリしてこないと思えば、楽になれるかも?

「明スイに戻るよ。真美ちゃん」

「すみません!」

「じゃあ、尾崎姉妹でいいね?」

「はい!」

みんな尾崎桃音さん、桃乃さんの依頼を対応することに賛成して、みんなスマホを取り出した。
メモアプリを開いて書き込んでいる。
わたし、スマホ持ってないや。
恥ずかしい気持ちで、メモ帳にメモしていく準備をした。

「えっと、桃音さんが、夏那さんの誕生日を祝いたい。桃音さんの依頼は、ケーキでいいかな?桃乃さんは、亡くなったおばあさんの誕生日だね。これは、ケーキでいいんだよね」

「あの。携帯電話の番号書いてあるじゃん。だから、それ見て電話かけてみたらどう?」

尾崎姉妹に電話するってことだね。
誕生日は、ケーキでいいか。
おばあさんの誕生日のは、何がいいのか。
おばあさんの誕生日はいつなのか。
とかだよね?

「真美ちゃん、女の子と話すんだから真美ちゃんが話したら?」

「わたしですか!?」

「うん。やってごらん」

ん、うん。
わたし、同級生に電話したの、初めてかもしれない。
何て話せばいいのか。

「頑張って。はい」

隅木田くんのスマホを借りて、尾崎姉妹の桃音さんに電話をかける。

 プルルルルプルルルル ピッ

「もしもし。尾崎桃音です。誰?」

73:モンブラン:2017/03/10(金) 21:09

12.大きなお菓子の家
「明スイメンバーの多田本真美です。依頼ありがとうございます」

「明スイ?依頼?わぁ!」

あぁ〜、緊張して声がふるえるかも。
っていうか、もうふるえてる?

「で?で?わたしの依頼通ったの?」

「は、はい。夏那さんの誕生日をお祝いしたいということで」

「やった〜!明確スイーツ研究部って最高だよぉ!」

「ありがとうございます。誕生日ってケーキでいいんですか?」

「悪いけど、お菓子の家ってできる?わたしたちが、お菓子の家に入るの」

えええええっ!

74:モンブラン:2017/03/11(土) 15:06

13.針本早弥花さん
桃音さん、難しい依頼を…
ピッ
電話が切れて、緊張の糸が切れた。

「真美ちゃん、どうだった?」

「桃音さん。お菓子の家を作ってほしいそうです」

みんな、じっと考える。
この…難しい課題をどうしたらいいか。
時間がだんだん過ぎていく。
休憩所の中には、女の子たちの声が聞こえる。
いい案が浮かばない。
お菓子の家なんて作れない。って。

「君たち、明確スイーツ研究部?」

「はい。そうですが」

「私、早弥花って言うの。あなたたちに依頼したわ」

「はい。ありがとうございます。針本早弥花さんですね」

針本早弥花さん。
ああ、マカロンをたくさん食べたいって依頼の人だ❗
たくさんってどれくらい?って覚えてたんだ。
で、針本早弥花さんが何の用?

75:モンブラン:2017/03/11(土) 20:53

14.ジャンルわけ
「針本早弥花さん。何の用ですか?」

隅木田くんが聞いて、早弥花さんはちょっとうつむく。
耳まで真っ赤。
隅木田くんファンかな?

「わたし、マカロンお願いしましたよね?どうなりましたか?」

「すみません。日付が限られている依頼がありまして。その後でもいいですか?」

「はい!」

早弥花さんは、返事して軽い足どりで帰っていった。
早弥花さんなんだったんだろ。
さあ、戻んなきゃ。

「お菓子の家なら、今まできた依頼を全部引き受けたらどう?聡日以外」

坂宮、ひどい!
聡日さんかわいそうだよ!

「聡日さんは、別でやる?」

「それがいいと思います!聡日さんだけは別で!」

坂宮は、そういうことじゃないと言いたそうだけど。
聡日さんも幸せになるし、いいもんね。
「じゃあ、ひとつひとつ書いてみようか。それぞれ願いが違うけどいい?」

確かに違う。
誕生日のケーキ。
おばあちゃんが亡くなって。
自分が楽しみたくて。
これをひとつにまとめるのは無理がある。

「ジャンルわけして、ジャンルごとに会を開いたらどうですか?」

わたしが言うと、隅木田くんは賛成してくれた。
矢本くんもうなずく。
多数決的にも、ジャンルわけすることに決まった。

「ケーキ。誕生日。楽しむ。お別れ。誕生日。ケーキ。ケーキ」

うぅ、ジャンルわけ、キツい。
誕生日が多すぎる。
はぁ。頑張るぞっ!

76:モンブラン:2017/03/12(日) 20:07

15.メンバーを大切にする心
「ねえ。多田本」

それは、ハニーちゃんとか、ハミーちゃんって呼んでくる矢本くんが、多田本って呼び方をしてきた。
矢本くんに近づいちゃダメ。
陽茉理ちゃんに言われたんだもの。

「何?」

「ど、どうしてそんなに冷たいの?」

「冷たくないですよ」

冷たくしてたけど、ダメ!
ダメだよ、真美。
矢本くんとなるべく話さない!
そう言い聞かせて、矢本くんの逆の方を見た。
まるで、わたしの大切な物を失っていくみたい。
なんというか、自分で捨てているような感じ。
心がムズムズする。

「真美ちゃん。ちょっと」

隅木田くんに言われて、休憩室を出る。何を言われるんだろう。
隅木田くん鋭いから、矢本くんのこと避けてることバレてる?
ちょっと行ったところの廊下で、隅木田くんは止まった。

「真美ちゃん、明スイがキライ?」

え?
わたしが明スイをキライがどうか。
これは、みんな知っているはず。
もちろん、大好き。
なのに、大好きに見えないかな。

「明スイのこと、大切に思ってくれてるかな?」

「もちろんです!大好きです!」

「ははは。嬉しいよ」

なんだろう。
隅木田くんの心から笑っていない笑い方。
全然嬉しそうじゃないし。
なんか、隅木田くん変。

「どうしてですか?」

わたしが聞くと、隅木田くんは天井を見上げた。
わたしも、天井を見てみる。
何もない。
何も起こらない。

「真美ちゃん、メンバーを大切にする心がない気がする」

「そんなことありません!」

メンバーを大切にする心?
絶対あるよ!
晴奈ちゃんだって、ずっと大切な友達と思ってるし。
みんな友達としてっ!
…陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんはどうだろう。
仲間と言う意識、ないもの。
もう、敵のよう。
これが大切にしていないのかもしれない。
陽茉理ちゃんに言われたから矢本くんから避けている。
矢本くんに申し訳ない。
わたし、ダメだ!
自分らしく生きなきゃ!

77:モンブラン:2017/03/12(日) 20:34

16.昔のサイフ
「確かに、メンバーを大切にする心、今のわたしにはありません。今から、その心を取り入れます」

隅木田くんはにっこり笑って、休憩室に戻っていった。
後に残されたわたしは、ポケットがチャリチャリいうのに気付いた。
さっきから、うるさい。
いい話だったのに。
ポケットを手で探ってみると、サイフが入っていた。
どうしてだろう。
あ、もしかして!

「まみちゃん。美味しいね」

「うん。もう最高に美味しい!」

ここはクレープ屋さん。
あこちゃんとふたりで来たの。
このチョコレートバナナクレープ、美味しい!

「おサイフ、ポケットに入れておけばいいよ。邪魔でしょ」

あこちゃんに言われて入れたサイフ。
確かに、クレープ食べるのに邪魔だしポケットの中に…。

あのときから入れっぱなし、かあ。
サイフを開けると、そのときのレシートとおつり、プリクラの写真が入っていた。
ああ、なつかしい。
でも、もう戻りたくない。
後に悔いが残るだけだから。
あれから、このズボン一回もはかなかったんだもんね。
洗濯、サイフも一気に洗ったのかな?
サイフ、すごくいい匂いだし。

「おい、真美!早く戻れよ」

「はい。今行く」

今楽しいことは明スイ。
あこちゃんたちのことは、早く忘れちゃおう。
いい例がないんだから。

78:モンブラン:2017/03/13(月) 19:21

17.預かる
「真美ちゃん。これ、もう終わったからさ」

隅木田くんが依頼書をわたしの前に出してくる。
綺麗な字で、誕生日、お祝い…。
などと、ふせんで表してある。

「これ、真美ちゃん持っててくれる?僕、いろいろ持ってるの大変で」

隅木田くんは、さっきのことがなかったみたいに接してくる。
何でだろう。
わたし、接し方迷ってたのに。
まあ、楽だからいいけど。

「わ、分かりました。持っておきますね。えっと、いつまで持ってたらいいですか?」

「僕が言うまでいい?」

「はい」


「ただいま」

家に帰ると、ママとパパの声が大音量で聞こえた。
も、もう。
うるさいなあ。
そう思いながら、ふと目にとまった人形を手に取ってみる。
古びていて、茶色のシミがたくさん付いていた。
わたし、使い方よくなかったかな?
ちょっと悲しくなって、人形を抱きしめる。
ひとりっこのわたしが使っただけだもの、わたしの使い方が荒いとしか思えない。
 プルルルルプルルルル

「真美ぃ〜、電話出てぇ」

ママ、めっちゃ酔っぱらってる気がするんですけど!

「もしもし多田本です」

「もしもし。僕は隅木田優斗です。多田本真美さんいますか?」

あ、隅木田くん。
…って、わたし、いつみんなに電話番号教えたっけ?

「真美ですが」

「真美ちゃんだったんだ。あのさ。僕たち、みんなで話し合ったんだけど」

79:モンブラン:2017/03/17(金) 19:44

18.お泊まり!?
「何を話し合ったんですか?」

「みんなの会は次回。尾崎桃乃さんの依頼を先にしよう。天国のおばあさんの誕生日、明後日だから」

明後日!?
何をすればいいのっ?
尾崎桃乃さんーーー天国のおばあさんの誕生日にケーキを渡したいだった。
誕生日が、、、明後日。

「今から、俺たちは試しで作ってみるんだ。矢本の家で。真美ちゃん来れそうかな?」

時計を見上げると、短い針が8に近づいていた。
何て言えば通じるんだろう。
勉強?お泊まり?明スイのこと言う?

「ちょっとお母さんに代わってくれる?いるかな?」

「はい、代わります」

ママに電話を代わって、また時計を見上げてみる。
短い針が8。
長い針が12になった。
ちょっきり、20時。

「本当にありがとうね。隅木田くん。真美、きっと成績伸びるわ。じゃあ、お泊まりお願いしますね」

お、お泊まりっ!?
矢本くんの家で寝るの!?
ママが電話を切って、こちらを振り返った。

「真美。お泊まりの用意しなさい」

えええええ!
本当にお泊まりなの!?
でも、明スイの活動に参加できてよかった。
ありがと、隅木田くん。
お泊まりの用意をしていると、部屋を誰かがノックしてきた。
扉を開けると、そこには陽茉理ちゃんがいた。

80:モンブラン:2017/03/17(金) 19:56

19.仲直り
「真美ちゃん。ごめんなさい」

手を止めて、陽茉理ちゃんと向き合ってふたりで話す。
その時思ったこと。
ああ、どうして今日はこんなに刺激があるの?

「夜遅くにごめんなさい。私、由里歌といて学んだことあるわ。でも、同じくらい、真美ちゃんと晴奈ちゃんといて学んだことあるの」

陽茉理ちゃんも、由里歌ちゃんと同じくらい学んだことあるんだ。
わたしと一緒。
まるで、今まで学んだことが、ケムリみたいにどこかに消えるの。
ポッカリなくなっていて、周りには何も残っていない。

「ヒドイわたしだけど、やり直すことはできるかなっ?」

「わたしもっ!わたしもやり直したいよ。陽茉理ちゃん」

なぜか、自然に涙が出てくる。
きっと、仲直りできないって思っていたわたし。
弱いよね、わたし。
そう思っているから、前に進めないんだもの。
陽茉理ちゃんと仲直りするため、動いたことはない。
わたしこそ、本当にヒドイ人だね。
でも、そんなわたしを受け入れてくれた陽茉理ちゃん。

「さあ。陽茉理ちゃん、帰ろう。わたしも、今から陽茉理ちゃんの家に行くから」

「拓斗兄たちと明スイ?」

「うん!」

陽茉理ちゃんと笑いあって、泣きあっている今。
なんか、とっても嬉しいよ!

81:モンブラン:2017/03/17(金) 20:12

20.試作品作り
わたし、坂宮、矢本くん、隅木田くんに、梨歩佳さんと梨萌佳さん、いきなり参加の陽茉理ちゃんの7人で作ることにした。
お、お菓子の家。
尾崎さん、すごい依頼だなぁ。
これも、ボランティアみたいな感じだから、報酬もなしなんだよね。
あ!報酬ならある。
仲良くなれるし、人の本当の笑顔が見られる!

「床のクッキー担当は、梨萌佳ひとりでできるな?壁一面は、多田本と陽茉理のふたり。陽茉理は普段作ってるだろ。がんばれ!家の中の細かなお菓子を、俺たち3人。梨歩佳はサポート」

矢本くんがうまく振り分けて、お菓子の家の試し作りが始まった。
これ、あくまでも試しだからなぁ。
試作品ってことだ。

「マミ、わたしたちの友情みたいに、うまく壁一面を作ろうね」

「ヒマ、頑張ろうね!」

わたしたち、本当にいいグループだったのかもしれない。
わたしの勝手な行動が、大きな存在を呼んだんだから。

「真美ちゃん、陽茉理、できそう?」

「梨歩佳姉は向こうで待ってて。わたしたちだけでやりたいの」

陽茉理ちゃん、必死だ。
梨歩佳さんは、呆れて違う方のサポートに行った。


「壁一面、完成〜!焼いてる間に作ってたもう一枚の壁も、焼くだけだ!」

「ヒマ、やったね!壁一面完成しちゃったよ!」

き、き、奇跡かもぉ〜〜〜!!!
隅木田くんも、振り返って褒めてくれた。
なかなかの出来映えだよね、これ。

「多田本。陽茉理。ボーっとするな!次は細かなお菓子だ!坂宮と隅木田、壁作りに移動!」

矢本くん、手際いい!
この調子なら、本番もうまくいくかも?

82:モンブラン:2017/03/17(金) 20:19

21.報酬
「全体完成したね〜!すごい!」

梨萌佳さんが、スマホで写真をたくさん撮っている。
小学生と中学生だけだから、かなりすごいと思う、これ!

「おい、これを使ってもいいんじゃないか?本番で」

矢本くんがふとした顔で言う。
確かに、こんなにうまくできたのに、二回目を作る必要ないじゃん!

「拓斗兄。これをホールに運びましょうよ」

陽茉理ちゃんが言って、みんなでお菓子の家をホールに運んだ。
一番近い、矢本くんのホールに。

「皆さん、本当にありがとうございました。おばあちゃんの額縁です。ここに置いてもいいですか?」

矢本くんがうなずいて、お菓子の家の前に、桃乃さんのおばあさんの額縁を置く。
溶けないよう、うまくしまった。
このお菓子の家はすごいよ!

「明スイ、本当にありがとう!おばあちゃんも喜んでいるはずよ!」

きっと今、みんな報酬をもらったと思うな。
桃乃さんの、本当の笑顔。


               続く

83:モンブラン:2017/03/17(金) 20:29

あとがき
            モンブラン

こんにちは!
ここは明確スイーツ研究部!略して明スイ作者のモンブランです!
ついに3巻に来ましたね!
ここまで、無事書けていること、とても嬉しく思います。
ありがとうございました!

さてさて。
今回の明スイいかがでしたか?
陽茉理ちゃんたちと喧嘩してしまいましたね。
でも、新の友達みたいに仲直りできましたね。
みんなは、こんな経験ないですか?
わたしは、微妙に似ています。
こんな経験味わったな〜。
思い出しながら書きました!

それから、みんなに謝りたいことが!
誤字等ございましたらごめんなさい!
そして、>>73の、桃乃さんは、夏那さんではありません!
そして、陽茉理ちゃんが、自分のことをわたしと言っていますが、漢字で私となっているところがありました!
本当にごめんなさい!
以後もっと気を付けて書きます!

次回はですね。
また4人で仲良くしますよ。
明スイは、みんなの会が開かれますので、楽しみにしていてください!
もし、感想等書いてくださったら嬉しいです。
最後になりましたが、明スイとわたしのこと、応援よろしくお願いします。


追伸
昨日、小学校を卒業しました。
無事に卒業できて幸いです。

84:モンブラン:2017/03/17(金) 21:28

短編小説板にたてました。

『莉愛の短編集』

ここではモンブランですが、莉愛という名前でやりたいと思います。
明スイの短編も書く予定です。
ぜひ読んでください。

85:モンブラン:2017/03/18(土) 19:58

『ここは明確スイーツ研究部!4』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。
明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う少年6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

86:モンブラン:2017/03/18(土) 20:15

1.学食戦争
 グ〜
お、お腹空いたよ〜!
っていうか、めっちゃ暑いし!
7月まっただ中。
本ッ当に暑いんだよぉ!

わたしは多田本真美。
暑いの大嫌いですぅ!!!

「学食学食!」

ヒマが言いながら学食に走る。
あぁ、ヒマお得意の食レポかぁ。
将来の夢がアナウンサーのヒマは、たまに食レポを披露してくれる。
このテンションは、きっと食レポ披露間違いなしだ。

「ねえねえ。わたしたちが遊び始めた日さぁ、カレー食べたじゃん?今日、シチュー食べない?」

シチューっ!
カレーの姉妹、シチュー。
汗だくだくになるけど、美味しいからいいもんねっ!

「わたし、ヒマに賛成っ!」

わたしがヒマに賛成すると、ハルもユリも賛成する。
やった!
またヒマの食レポが見れるし、みんな一緒だし!
この前わたしたちはケンカして、絶交までしたほどだった。
なのに、こうしてまた仲良くできる。
あっさり仲直りしたんだよね。

「シチュー4つね。お金ちょうだい。600円。席取りしといて。」

ハルがみんなのお金を回収して、ひとりで並ぶ。
わたし、ヒマ、ユリは、席取りをするんだ。
自分で持ってきたお弁当を食べる子、わたしたちみたいに学食で買う子。
たくさんの子が学食を使う。
とても広いけど、初等部、中等部、高等部の全員で使う場所だから。

「マミ、ユリ、ボーっとしないの!」

はっ!
席取られちゃうじゃん!

「マミ、ユリ。目指すはあそこ。走るよ。…よ〜いっどんっ!」

いつも座っていた24の机。
急げ、急げ、急げ〜!!!

「取った〜!」

「みんな、取りましたよ。」

あれ?
24の机、ヒマともうひとり、誰かも取ってるじゃん!
ここの席以外空いてないよ!
ここが無理なら、屋上の学食スペースに移動するしかないっ!

「あの、どちらが先でしょうか?」

この子、優しそうでも、譲れなさそうな瞳。
こんなに暑いのに屋上!?
絶対イヤだよ〜!!!

87:モンブラン:2017/03/18(土) 20:30

2.屋上の日向でランチ
あ、でも、屋上も空いてなかったら、校庭に机出すんだよね。
教室とかじゃ食べちゃダメだし。
校庭に机出すの、いやだな〜。
だって、重たいし、めんどくさいし。
あと、外って暑いもん!!!
外に置く机は、余分に100個くらいあるから、絶対あるんだ。

「どうする?みんな」

ああ、あの子、本当に譲らない気だ。
学食はクーラー効いてるし。
とても気持ちがいいし。

「あの、あなたたち何年ですか?」

「初等部6年よ。あなたたちは?」

「初等部5年です」

わたしたちの勝ちだ!
あの子たちは、帰ろうとしている。
偉いよ、君たち。
ちゃんとあきらめようとするから。

「あの。君たち、ここ使いなよ。わたしたち屋上行くから」

ヒマァァァ!!!
どうして暑いところ行くの!?
女の子たちは、みんなで見つめあって一言。

「ありがとうございます!」

え、いいんですか?とかないの!?
この子たち、礼儀知らないのかな?
かわいそうかも。
お母さん、どんな教育してるんだろ。
まあ、いいか。

カンカン照り。
暑すぎるよ。
これでシチューなんて無理かも。

「良かったね。屋上の席空いてて」

「でも、日向だよ。暑いじゃん」

「机出すよりいいでしょ」

ユリ、いい子だなあ。
わたし、ちっともそうは思わない。
思わないって言うより、思えない。
絶対にいやなんだもん!

「それにしても、美味しいですよね。この暑い日にシチュー。まるで、シチューが太陽を呼んでいるようです」

あ、始まった。
ヒマの食レポ。
さあ、今日の食レポはどんなのかな?
楽しみっ!

88:モンブラン:2017/03/19(日) 18:59

3.地獄の算数
「ただいま〜」

「お帰り、真美」

 プルルルルプルルルル

「真美、出てくれる?」

「はいは〜い。もしもし、多田本です」
「もしもし隅木田ですけど、真美ちゃんいますか?」

「真美です。隅木田くん、どうしたんですか?」

ちょっと沈黙があって、隅木田くんは話し始めた。
今日、談話室で集合とのこと。
荷物はノートということ。
今日は家に帰るのが遅くなるとのこと。
「ママに、どうやって言えばいいと思いますか?遅れるって」

隅木田くんは、クスッっと笑った。
え、何が笑えるの?

「真美ちゃん、お母さんに代わって」

渋々ママに電話を代わって、ちょっと時間が経つと、ママはすぐに電話を切った。
ちょっと!
わたし、電話中だったでしょ!
それに応えるように、ママはニコッっと笑って言った。

「将来、隅木田くんと結婚しなさい。あの子すごいわ。真美が算数苦手だから、仲良くしてくれているお礼で算数教えてくれるって」

隅木田くん、そんなこと言ったの?
遅くてもいいことはいいけど…。
結婚とか、本当にないからね!
まあ、クラスの野郎と比べて魅力的だし素敵だけど。
結婚とか早すぎだし!

はぁ〜、算数長かった。
永遠に続くみたいで怖かったな〜。

「これで終わります!」

算数の先生ーーー高橋先生が立つ。
みんな立ち上がって、礼をする。
よし、これで終わりだ。
あとは、明スイの集まりだけだね。
ワクワクするし、楽しい。
算数のこの時間が挽回できるんだよね。

89:モンブラン:2017/03/19(日) 19:18

4.書記の仕事
「失礼します。多田本です」

談話室は静かで、落ち着く。
たまに声がうるさい子も来るけど、だいたいがおしとやかだ。

「真美ちゃん、こっち」

隅木田くんが手を挙げたいつもの席には、もうみんなが揃っていた。
わたし、ベリだ…。

「さあ。今回はみんなでパーティだ!頑張ってやっていこう」

パーティパーティ!
みんなの依頼を一気に受けとる。
ケーキや誕生日、パーティなどなど。
たくさんのジャンル分けしたもんね!

「真美ちゃん、紙お願い」

紙は、依頼書のこと。
明スイの集合がかかったら、絶対に持っていくんだ。

「ありがとう。ケーキ担当の、坂宮と真美ちゃん。誕生日担当の、矢本。その他担当の僕と、補助の梨歩佳さんと梨萌佳さん」

隅木田くん、振り分けもしたんだ。
頭の回転速いな〜
っていうか、梨歩佳さんと梨萌佳さんやってくれるんだ。
どうせなら、明スイ入ればいいのに。

「じゃあ、真美ちゃん、ノートに書いてくれる?」

よし、わたしの出番だ!
で、でも、どうしてわたしがノートに書いていくの?
別にいいんだけどね。

「ケーキ担当からその他担当まで書いてくれる?」

えっと、ケーキが坂宮とわたし。
誕生日が矢本くん。
その他が隅木田くん。
カッコの中に、梨歩佳さんと梨萌佳さんでいいのかなっ?

「うん、さすが真美ちゃん。すごく見やすいね」

あぁ、そういうことか。
わたしはこの時、初めて気づいた。
どうしてわたしが書記なのか。
隅木田くんも、明スイのみんなが彦宮学園だから、わたしが拍手に包まれたの知ってるんだ。
隅木田くん、周りをすごく見ているから、頭の回転も速いのかもしれない。
わたしも、もっと周りを見よっと。

「じゃあ、各自その決められた仕事がうまくいくようにね。決めたら、僕か真美ちゃんに連絡ね」

またわたしぃぃ!?

90:モンブラン:2017/03/20(月) 19:26

5.ママが倒れた!?
家に帰ると、ママが苦しそうな顔でフラフラしていた。
何してるんだろ。
酔ったのかな?
ママ、そういうの飲まないのに。
パパは帰ってきてないし、ひとりであんまり飲まないよね。
すると、バタッっと倒れた。
酔いすぎ?
いやいや、全然動かないけど!
さっき苦しそうだったし…。
パパに電話だ!
 プルルルルプルルルル  ピッ

「もしもし」

「パパ?わたし!真美!」

「どうしたんだ、急いで」

パパ、もっと焦ってよ!
わたしだけに焦りを押し付けないで!

「ママがっ!ママが倒れた!」

「すぐ帰る。お母さんに電話して、それから病院に電話しなさい」

お母さんーーーおばあちゃんと病院。
パパが電話を切ってから、すぐ病院に電話した。

「もしもし」

「もしもし多田本と言います。今塾から帰ってきたら、母が倒れました」

「住所をお願いします」

病院の人にもいろいろ行って、すぐ来てもらうようにした。
おばあちゃんに電話しなきゃ!

 プルルルルプルルルルプルルルル

おばあちゃん、なかなかでないっ!
早く出てよお!

「もしもし。どちら様?」

「多田本真美だよ!おばあちゃん!」

「あら、真美ちゃん。どうしたの?」

「ママが倒れたの!わたしの家に来てくれる?パパと病院の人も来てくれるの!お願い」

「今から行くわね」

おばあちゃんが電話を切ると、救急車の音が聞こえてきた。
パパ、おばあちゃん、早くっ!

91:モンブラン:2017/03/20(月) 19:38

6.ママを信じて
赤いランプが消える。
ここは、病院。
静かな感じと、薬品の匂い。
ママ、大丈夫かなっ?

「お父さん。ちょっと」

パパ、行っちゃうの?
どうして?
ママの何かがひどいから?
それとも、死んでしまってないよね?

「真美ちゃん。こっちにおいで」

おばあちゃんが手招きしてくれる。
でも、足も、何も動かない。
口すら。
だから、物を伝えられない。
じっとしていると、おばあちゃんがこっちに来てくれた。
おばあちゃんが、私の肩に触る。
暖かい。
ママのママだから、温もりが似てる。

「真美ちゃん。心配だけど、菜和のこと信じてくれる?」

菜和というのは、ママの名前。
わたしが、ママを信じる。
そう考えると、ママと一対一で話した日が思い浮かぶ。
テストの点が悪くて泣いたとき。
ママは、「真美は伸びる子だから。いつか伸びるわよ。今は、飛ぶための準備中よ。ママを信じて。ママは真美を信じてるわ」って言った。
あのあと、わたしはいい点とれた!
ママを信じたから。
ママもわたしを信じてるし、今回もママを信じよう!
病室から、パパが出てきた。
目頭が熱くなってくる。
パパの顔が、妙だったから。
いつも温厚なパパは、こんな顔しない。
「優樹さん、どうだったんですか?菜和は、大丈夫ですか!?」

パパの名前は優樹。
パパの目からも、涙がこぼれている。
おばあちゃんも、どんどん顔が赤くなって…
涙があふれてきていた。

92:モンブラン:2017/03/20(月) 19:57

7.おばあちゃんがママ!?
「菜和は、妊娠してるらしいんです。ですが、その子が大きくなりすぎていて、苦しくなりやすいって」

に、妊娠してるの!?
わたしに、弟か妹ができるの!?
でも…ママが苦しくなるかわりに、赤ちゃんが産まれるんだ。

「真美。ママは、赤ちゃんが産まれるまで病院にいるんだ。塾は、一旦やめなさい」

明スイの活動も、できないよね。
パパが、家のいろいろをするの?
ものすごく忙しいのに?
わたし、家事ならできる。
でも、明スイはスイーツだし、ご飯の準備は難しいかも。

「優樹さん。空き部屋ありますか?家に。なければ、菜和の部屋空けれますかね?」

おばあちゃん、何を言い出すの?
空き部屋、あったっけ?

「菜和の部屋なら空けれます」

「ありがとう。じゃあ、菜和が退院するまで、わたしがお母さんでもいいですか?真美ちゃんにも、塾へ行かせてあげてください。お願いします」

おばあちゃん、お母さんになるの?
パパもビックリしたみたいで、口は開けているのに何も話していない。

「わたしがお母さんじゃ、足りないと思います。ですが、真美ちゃんにも、優樹さんにも、健康に過ごしてほしいじゃないですか」

おばあちゃん…。
おばあちゃんと結婚したおじいちゃんは、今天国にいるから、おばあちゃんはひとりぐらし。
だから、家を空けることはできる。
でも…

「お母さん、疲れますよ。大丈夫ですよ!僕がやります!」

「いいえっ!わたしがやります!」

ああ、もうどうなってくんだか。

93:モンブラン:2017/03/21(火) 09:24

8.隅木田くんと下校!?
「真美ちゃ〜ん!ご飯よ!」

おばあちゃんの声が、家中にこだまする。
わたしの家ーーー多田本家に、おばあちゃんがママとして来た。
急いで制服に着替える。
彦宮学園は制服登校だから、毎日制服を着る。
公立は、ジャージで登校するって聞いたけど。
制服の方が涼しいよねっ!

「おはよう、おばあちゃん。パパはいないの?」

「優樹さん?今日は早いらしいから、ちょっと早めに行ったわ。さあ、朝ごはんよ」

おばあちゃんのご飯、久しぶり。
トーストに目玉焼き、サラダとみかんが置いてあった。
ん〜、いい香り。

「いただきます」

勢いよくトーストを食べる。
なんか、いつものトーストより美味しい気がする。
やっぱり、おばあちゃんは昔、喫茶店でモーニングやってたからかなあ。
焼き方にも、工夫があるのかな?

「真美ちゃん、美味しい?」

「うん。とっても!これなら、元気よく登校できそうだよ!ありがとう」

おばあちゃんはにっこりして、わたしの前で一緒に朝ごはんを食べてくれた。
もうそろそろ行く時間かな。

「おばあちゃん、行ってきます」

「元気に登校するのよ。行ってらっしゃいな」

ドアを開けると、家の前でブツブツ何かを言いながらウロウロしている人がいた。
誰よこの人。
不気味でならないよ。
おばあちゃんよりわたしの方が強いはずだし、追い払おう!

「あの、すみません!ここの家に何か御用ですか?ここの家の娘、多田本真美です!」

「ちょっと、真美ちゃん。どうしたの?さあ、行こう」

え、隅木田くん!?
行こうって、わたしひとりで行くんだよ!
だって、地味に生きてこそがわたしなんだもん!
明スイ楽しいけど、目立つところがキズだよね。

「真美ちゃん。パーティだけど、日付が決まったよ。1学期の終業式の日に決まった。この辺りは、私立も公立も終業式の日は同じだから」

終業式の日ね。
パーティ…明スイの大イベント。
みんなの依頼を一気に解決!ねえ。

「で、僕がいろいろ家でしたいんだ。紙をもらってもいい?帰りでいいよ」

「では、帰る前に来てください」

「真美ちゃんと一緒に帰るよ。今日は全校下校だろ?」

隅木田くんと一緒に帰るの!?
無理に決まってますよ!
すごく目立つじゃないですかぁ!

94:モンブラン:2017/03/21(火) 09:33

9.ユリのあいさつ
「じゃあね。今日は急がなきゃいけないから」

やっと別れれる。
このまま校門なんて行けないよ。
隅木田くん大好きさんの目が怖いもんね。
ただでさえ目立ってきてるんだから。

「おはようございます!」

校門のところに、ふみ会長が立ってあいさつしている。
今日は、全校あいさつ大作戦日か。
児童会で決めたあいさつ運動。
児童会にあいさつしないと、校内にも入れないんだ。

「おはようございます!」

「多田本さんいいわよ」

やった、一発で通過!
後ろで、ふみ会長があいさつを大きな声でしているのが聞こえる。
何度も、何度も。
本当に必死にやってるな〜。

「矢本さん合格よ」

「マミ〜!合格したよ!」

ヒマ!
校門からヒマがダッシュしてくる。
この前みたいな楽しさ。
喧嘩したの、バカみたいだよね。

「ユリがふみ会長と対決してる」

「ユリ〜!頑張って!」

わたしがユリを応援すると、ユリはものすごく大きく息を吸って…


『おはようございますーーー!』


「あああ…。利等万さん合格!」

ユ、ユリの声、すごい…。
この日、彦宮学園新聞部が、利等万由里歌、あいさつフルパワーという記事を出した。

95:モンブラン:2017/03/21(火) 20:36

10.柚礼菜衣子
「マミ、ヒマ、ユリ!学食行こ!」

やっと算数終わった〜!
四時間目が算数って多いな〜。
お腹が空いて無理だよ。
得意な国語にしてくれたらいいのに。
カンカン照りの日…。
学食の席が取られちゃう!

「ちょっと、マミ?」

「ああ、ごめん。本当に暑いなって思って。席取られちゃう!」

みんなで学食へ走っていく。
結構な子たちが座っている。
四人用の席、四人用の席……。

「見っけ!行こ行こ行こ行こ!」

わたしが席ーーーいつものじゃないけどねっ!に走る。
昨日のヒマみたいに!

「ここの席取った!」

「みんな、また取れちゃったよ!」

き、昨日の譲れない子たちだ!
ヒマと目があって、会釈しあって、目で何かを話しているみたい。
お願い、今日は勝ってよ!

「じゃあね、バイバイ」

えええっ!
ヒマ譲ったの?
それとも負けたの?

「あの子、柚礼菜衣子ってニックネーム付いてるのよ」

ユズレナイコ!?
何その正直ピッタリなニックネーム。

「本当の名前は鍵野愛菜って子」

かぎのあいなちゃん。
どうしてそんなニックネーム付いちゃったの?
なんか可哀想。
心の中で思ったさっきの、取り消したいよ!

「美華ちゃんと調べたのよ。あの子のこと」

あぁ、美華ちゃんっていうのは、ここの彦宮学園校長の孫。
学園内のことは、美華ちゃんならほぼ知っている。

「辛かったのよ。あの時間。まあ、得られたものは名前とニックネームだけだけどね」

でも、柚礼菜衣子可哀想だよ。
何か隠れてる気がする!
こういうとき、隠れてないで出てきてほしいんだよ!

「でも、どうしてヒマは譲ってばかりなの?暑いのに」

ユリがヒマに聞く。

「昨日は、またああなったらわたしたちが譲ってもらえると思ったから。先にわたしたちが我慢したらいいって思ったの。今日は、鍵野さん、悲しそうだったのよね」

悲しそうだった?
わたし、そんな気しなかったけど。

96:モンブラン:2017/03/21(火) 20:50

11.おばあちゃんの気遣い
今日はみんな悲しいのかな?
ヒマは、新しい学食メニュー、彦宮限定焼きそばが入って喜んでたけど。

「ただいま」

「お帰り。真美ちゃん。菜和から電話があって、塾にはお弁当持っていってもいいって?持っていったこともあるのよね?でも、家で食べましょう。間に合うんでしょう?」

「うん。間に合うよ」

おばあちゃんはにっこり笑って、またキッチンに戻って行った。
家事を頑張ろうとしてくれているおばあちゃん。
塾とか、難しくて分からないと思うんだけどな。

「真美ちゃん。今日は塾の日でしょう?お休みの日は何曜日?」

「日曜日と水曜日だよ」

「今日は火曜日だから、明日はお休みなのね。明日はゆっくり食事しましょうね」

おばあちゃん、わたしの健康第一に考えてくれてる。
これだ!
これが明スイの考えるべきポイント!
下校の時…

「隅木田先輩〜!どうしてその子と帰るんですか〜」

隅木田くん大好きさんがすごかったのに、どんどん進んでくもん。
坂宮も怒ってたな〜。

「今取ってきますね!」

おばあちゃんも聞こえないくらい猛スピードで二階にかけ上がる。
紙を取って、また聞こえないくらい早く隅木田くんに渡す。
目立つから、一刻も早く帰ってほしいんだから!
ごめんね、隅木田くん。


「真美ちゃん。宿題あったでしょう?早めにやっておきなさいな」

なぜかママが言うと、はいはい、分かってる。って思うのに。
おばあちゃんが言うとは〜い。って思うのはなぜ?

97:モンブラン:2017/03/21(火) 21:04

11.グレードアップ
「真美ちゃん、待って待って!送っていくわよ。遅れちゃったら大変!」

おばあちゃん、自分が凝ったご飯作ったから?
ママ、絶対歩いて行かせたのに。
歩いて15分でしょう?行きなさい。って。

「歩いて行けるよ!おばあちゃん疲れちゃう。おばあちゃんも倒れちゃったらわたしヤダ!」

「真美ちゃん?大丈夫よ。おばあちゃん強いんだから。運転くらい簡単よ。さあ、乗って」

おばあちゃんの車に乗って明確ゼミに行くのは、5分くらいで着いた。
安全運転だし、話しかけてくれるし、楽だし。
おばあちゃんがママなのもいいね。
やっぱり、ママのママだもんね。

「お母さんは、自慢よ。誰よりもすごいんだから。ママの憧れ」

そうママはいつも言ってた。
おばあちゃんのことを、憧れとも言っていた。
わたしは、ママもおばあちゃんも、憧れかな。
強い、優しいおばあちゃん。
いつでも見守ってくれてたママ。
わたしの一番の憧れは、このふたりなのかもしれない。
そんなことを考えながら、明確ゼミに入っていった。

「真美さん。ちょっと」

国語の立花先生が呼んだ。
わたし、国語下がっちゃった!?
どうしよう、どうしよう!

「おめでとう、真美さん。今のクラスからグレードアップ!」

クラスが上がるってこと!?
どうしよう、嬉しさが込み上げてきちゃう!

「立花先生のおかげですよ!本当にありがとうございます!」

「これからは渋谷先生ね。今まで本当にありがとう」

立花先生から受け取ったプリントを見ながら教室に向かった。
あ、このこと、おばあちゃんに教えてあげよっと。
ママとパパにも!
ママには、お見舞いか手紙で知らせてあげよう!
毎日手紙を書いたらどうかな?
明日レターセットを買おう!
明日から手紙を書くんだ!
そう考えるとウキウキして、次の算数の時間も楽しく受けることができた。

98:シフォン:2017/03/22(水) 01:05

お久しぶりです!返事遅れてすみません(*´-`)
私は主人公ちゃんが好きですね〜
そういえば私も小説書いてるのでよかったら今度見てください(≧∀≦)駄作だけど・・・
題名は『世間知らずな私の初恋!?』です
新体操をやってる主人公のお話です〜
題名に初恋ってある割には恋愛要素は
まだまだ先ですね(笑)

99:モンブラン:2017/03/22(水) 08:45

シフォンさんお久しぶり!
読んで見ます!
あと、ありがとうございます!

100:モンブラン:2017/03/22(水) 09:09

12.海のびんせん
今日は明スイ、集合かかってない。
いつも通り歩いて帰ろうとすると、明確ゼミの狭い駐車場におばあちゃんの車が停めてあった。

「真美ちゃん。こっちよ、こっちこっち!」

おばあちゃんが、車の側から手を振っている。
急ぎ足でおばあちゃんの所に行く。

「お帰り、真美ちゃん」

「ただいま、おばあちゃん」

「今、家に陽子さんがいるの。優樹さんとふたりで話しているわ」

陽子さんは、パパのママ。
ばあばって呼んでる。
きっと、ママの話だよね。

「ちょっと、時間潰しましょう。どこか行かなきゃいけない所、ある?」

「おばあちゃん。ママに手紙を書きたいから、文房具屋に行きたい」

おばあちゃんはにっこり笑って、車にわたしを乗せてくれた。

「真美ちゃんは本当に優しいねぇ。菜和は幸せ者だわ〜」

運転しながらおばあちゃんが言う。
確かに、ママは幸せ者なのかもしれない。
パパと仲良くて、いつも笑ってるし。
新しい子も産まれるんだし。
…わたしのことはどうだろう?
幸せって思ってくれてるのかな?

「手紙セットが欲しいのよね。菜和はどんなデザインが好きかしら?」

「季節に合わせて、海のびんせんあるかな?」

「真美ちゃんはセンスもあるのね」

センス…。
わたしってセンスあるんだ!

「ここの文房具屋でいい?」

わたしはにっこり笑って大きくうなずいた。
本当は明日買うつもりだったのに、今日連れてきてくれて、それに大きな文房具屋に。

「海のデザインあるといいけど。さあ、おばあちゃんも探すから」

レターセットコーナーに行って、海のびんせんを探した。
う〜ん、浮き輪は違うよね。
スイカ、虹!?
すごくキレイだな!

「真美ちゃん、あったわよ!」

「え、ありがとう!どこどこ?」

おばあちゃんが指差していたレターセットは、淡い海のびんせん。

「これ!これがいい!」


続きを読む 全部 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新