思い付きのヘンテコ小説を書いていきます。
設定:中学校の生徒、教師との見えない闘い
登場人物(現時点において、随時追加)
香山怜菜……ある教師が苦手な女子生徒。
渡井政人……体育教師。怜菜が苦手とする教師でもある。怜菜のクラスの担任の先生。
前嶋結衣……音楽教師。温厚な性格だが、怒るとギャップが激しく、怖い。
怜菜はこの教師のことを信頼している。
登場人物が増えすぎてよくわからなくなったら、そのうちまとめます。
今日は、怜菜が通う緑ヶ丘第三中学校の入学式だ。
怜菜は、新入生と話すことが好きだ。
まだ中学校、という新しい環境になれていない新一年生。
彼らの緊張した表情がほぐれていき、やがて自分との新しい生活が始まっていく。
怜菜は、多くの人と仲良くすることで、生活しやすい環境の中学校を作ろうとしていた。
ただし、それは生徒会の人に頼まれたわけではない。
むしろ、怜菜が生徒会に提案したことでもある。そして、自分がまず行動に移していた。
入学式も終盤に近づいたころ、
「それでは、担任の先生を紹介します」
という先生の声が聞こえてきた。
何も入学式の途中でやらなくてもいいのにな……とは思ったが、口には出さないでおいた。
新入生たちの、少しだけ慣れてきた顔が、その一言でまた引きつった。
私は、隣にいる杏奈を見た。
杏奈は、担任の先生が誰になるのか、春休み前、確か一番騒いでいたからだ。
しかし、今は騒いでいたようには見えなかった。
私のクラスは、三年三組だ。
「三年三組担任、渡井政人先生」
ステージの上でマイクを持って、担任の発表をしていた先生がこちらを見た。
「新しく入ってきた先生です。あなたたちの方が、緑ヶ丘第三中学校に関しては、先輩だから宜しくね」
そう、三年生のクラスにはよく、転入してきた先生が来る。
逆に、新入生のクラスにはよく、新卒の先生が来る。
「意味わかんねーよ、何でまた転入してきた先生なんだよ」
ほら、出た! 先生に対する文句。
叫んでいたのは、学年でもいたずらをよくする、大毅君だ。
「まーまー、そんなこと言わずに」
杏奈が適当に慰めているのを見ていて、少しだけ笑ってしまった。
そして、転入してきた先生……渡井政人先生が入ってきた。
第一印象は、熊。
がっちりした肩、ちょっと丸い顔、黒に近い肌の色。
どこをどう取っても、ザ・熊だ。
「えーと、隣の市から来ました、渡井政人です!」
挨拶する声が無駄に大きい気がする。
そして、顔がキラキラと、おもちゃを買ってもらって喜んでいる子供のような顔をしている。
大毅君が、
「熊じゃねえか……」
と、先生に聞こえる声で呟いているのを聞いてしまい、思わず吹き出してしまう。
隣の席の杏奈を見ると、吹き出すを超えて、笑い転げている。
「俺は熊じゃねえよ」
とニコニコしながら言う渡井先生を見る私達。
「しかし、よくあのタイミングであんな事言えたね」
「だって本当のことだろ?」
何か、また新しいいたずらを考えながらわくわくしている表情で、大毅君は言う。
でも、私は渡井先生に、良い印象を抱けなかった。
理由は、自己紹介の後に話したことだ。
「えーと、それじゃ、次は渡井が目指す学級、みたいなものを話すか。
まず、規則をしっかり守る! まあそれは、時間についても同じだ。
次に、みんなが毎日笑う! まあこれは当たり前だよな!
最後に、いじめは許さない! 人を傷つけないこと!」
まあ、やたらハイテンションでそう話していたのだが。
はっきり言って、バカみたい。
規則を守るって、そりゃ当たり前のことだし。
いじめについてもそうでしょ。まあ、人と人との関わりだから、絶対に、誰一人として傷つくことのないクラス、は
流石に無理だと思うけれど……。
みんなが毎日笑う、については文句を言いたくなった。
私は、多くの人と……主に新入生との関わりを取ることで、先輩後輩の壁が、分厚くなりすぎて堅苦しい、という
環境を避けたいから、多くの人との関わりを持つ。
けれど、人間関係が苦手、という人もいるのに、そんな無神経にそんなこと言われても、反発しか生まれない。
「今年は、ハズレかもね」
杏奈がそう言って、口元だけで笑う。
杏奈は、ほとんどの先生に対し、信頼することはないし、関わろうともしない。
今年入ってきた渡井先生に対しても、恐らく、杏奈が昔会った、差別、えこひいきをする
とんでもない先生と同じ印象を抱いたのだろう。
第一印象、熊(そして当たり前のことしか言わない)イコール渡井先生の姿を見るのが、何となく嫌だった。
だから、隣の三年二組の担任、前嶋結衣先生のもとへ行くことにした。
「ああ、あの先生ね。でもまあ、大丈夫だよ、怜ちゃんなら」
結衣先生は、私のことを『怜ちゃん』と呼ぶ。
結衣先生について、私はこんな印象を抱いている。
大人しい、けれどしっかり者で、見た目は可愛い。
ちなみに、年齢は知らない。渡井先生は確か、三十歳だっけ?
「でも、初めてあんなタイプの先生来たら、結構びっくりしちゃうよね〜」
結衣先生はそう言ってほほ笑んだ。ああ、女神様みたい……。
大毅君は、結衣先生に対して
「お母さんみたい……いや、保育士さん?」
と言っていたっけ。それを、偶然通りかかった結衣先生に聞かれたんだよなあ。
「別にお母さんらしいとは思わないけどね」
と、結衣先生が後ろで呟くように言ったから、私も大毅君も驚いて飛び上がったのを覚えている。
次の日の朝。
三年三組の教室は、朝から騒がしかった。
理由は一つ。渡井先生が踊っていたから……。
それを見て、結衣先生は
「写真に撮りたい」
と言いだして、とたんに踊るのをやめた渡井先生を見て、
「熊が踊ってた! マジウケる〜」
と大毅君がSNSに乗せる時のコメントのようなセリフを言ったことで、その場は盛り上がって……。
一時間目は音楽だった。
結衣先生は、音楽室に入ってきた私達を見て
「朝の渡井先生の踊り、面白かったわね。本物のクマさんみたいで」
と、何の悪意もない純粋な目で言ったから、また笑いの渦が巻き起こった。
給食の時間になると、渡井先生はうるさい。
「給食は残すなよ! 残しても無理やり食わせるからな!」
と、それは極悪人のような顔で言ったから、少食な杏奈は困っていた。
「それは酷いなあ……」
求職が終わってすぐ、結衣先生に話した。
「流石に、給食の量くらいは自分で調節したいよね。皆がたくさん食べられるわけじゃないし」
そう、まさにその通りだ。
第一印象が熊で、言ってることは自論を押し付けているだけとは、とんでもない教師に当たったものだ。
しかし、これがまた渡井先生のすごい所で、何故か他の先生たちは知らない。
バレないようにうまくやっているんだろう、どうしようもない。
>>8の誤字訂正 求職→給食
10:さくら:2017/12/14(木) 18:39 新しいクラスにも、一週間も経てば慣れる。
しかし、私は慣れなかった。何故なら、担任があまりにも苦手なタイプだったから。
「怜菜ー、ちょっといいか?」
大毅君が小さな声で私を呼んだ。
「ん、どうしたの? 大毅君が、私に何の用?」
「実は、さ……」
どうやら、熊(渡井)先生は、私が生徒会の人に提案(前に、新入生に話しかける、という)したことが
気に食わないらしい。
「えー、じゃあ何で本人に面と向かって言わないのさ、何かやだな」
「俺にそんなこと言うなよな〜」
もう、このお調子者が! でも、今は元気でたかも!
教室に入ると、熊(渡井)先生はいなかった。
「ラッキー!」
思わず、口に出してしまった。
近くでそれを聞いていた杏奈が、
「怜菜、口に出てる……」
と、言いながら吹き出してしまった。
そして、今日はすぐに家に帰った。
もう、担任の顔を見ているとイライラしてくる。
「そりゃダメだよ」
お母さんは熊(渡井)先生のことを知らない。
だからこそ、そんなことを言える。
「へぇ!怜菜先輩にも苦手な人っているんですね!」
仲良くなった、後輩の亜依が言う。
「そりゃいるよ、だって人間だし」
亜依にとって、私は明るく良い先輩らしい。
ちなみに、お母さんとは帰ってすぐに、亜依とは電話で話した。
ここで、登場人物(追加分)をざっくり説明します。
杏奈……怜菜の友人。基本静かな割に、騒ぎたいとき騒ぐ。
大毅……三年生の中でも有名ないたずらっ子。
亜依……怜菜と仲良くなった後輩。
熊……渡井先生のあだ名。
私は次の日、杏奈と一緒に学校に行った。
「うーん、何だか、渡井ダメだよね……怜菜、ドンマイ」
そう言い、杏奈は微笑を浮かべる。
やっぱり、杏奈はすごい。
まず、渡井先生を見て
「あ、こりゃダメだ」
と直感的に思ったらしい。
そして、それが見事に的中している。
「もう、結衣先生に言えば?」
「でもさ、何だか無理そうだよ?」
「え、どういうこと?」
杏奈はキョトンとした顔で言う。
そりゃそうだろう、渡井先生に言う事のどこが無理なのか。
誰にもわからないはずだ。
……その現場を見たことが無い人は。
私は正直に言う。
「昨日の放課後、佐野愛衣さんと、秋山悠太君が渡井先生と話しているのを見たんだよ」
それは、本当に偶然のことだった。
いつものように帰ろうとしたら、渡井先生の怒鳴り声が聞こえてきた。
「何言ってるんだっ!?」
一体何事だ、と私は走り出したが、すぐに忍び足に変えた。
すぐ近くに、佐野愛衣さんと秋山悠太君がいるのが見えたから。
「先生……」
「貴方達には、僕はそんな人間に見えていたんですか?」
「っ……」
悔しそうに、下を向いて唇をかむ佐野愛衣さん。
秋山悠太君は、それでも
「でも、先生明らかに差別していましたよね」
と食い下がっていた。
だけど、渡井先生は
「僕はそんなことはしていませんからね?」
と言うと、私に気が付いたらしく
「おや、香山怜菜さん。何しているんです?」
と笑顔で言った。
私は
「あ、帰ろうと思ったら、何だか大きな声が聞こえた気がして……気のせいですよね」
と言い、辺りを見渡す。
「そう言えば、さっき聞こえたね。でもそんな事ないよ」
と渡井先生はまた笑顔で言う。
私は、愛衣さんと同じ地区に住んでいることから、
「愛衣さん、一緒に帰ろう?」
と誘う。
「あ、じゃあ……うん」
小さく、一瞬でも目を放したら消えそうな笑みを口元に浮かべ、カバンを手にする愛衣さん。
その後ろで、「僕も一緒に帰っていいかな?」という悠太君。
「じゃあ一緒に帰ろっか! 先生、さようならー!」
「はい、さようならー!」
どこからどう見ても、不自然なところが無い笑顔。
だけど、私はその時、聞いてしまった。
「何でバレた……」
という渡井先生の小さな声が。
キャラ(新登場)
秋山悠太……クラスメイト。割と大人しめ。
佐野愛衣(あい)……クラスメイト。普段は大人しいが、意見を言うときはしっかりとモノを言う。
その日の帰り道、私は悠太君と愛衣さんに、渡井先生が小声で
「何でバレた……」
と言っていたことを話した。
「ああ、やっぱり合ってたんだな」
悠太君が言うには、愛衣さんと一緒に、先生の手伝いをするように言われたが、二人とも委員会の仕事があり、
それを断ったところ、理不尽に怒られたというのだ。
「それを言ったら、周りがドン引きするくらい渡井怒ったんだよ」
まさか自己中……いや、でもそんな人先生になれないと思うけれど。
「でも、実際教師になれてるよね」
そう、そこだ。
もし、悠太君、愛衣さんが言う事が本当ならば、人間としてどうかと思うレベルだ。
教師云々以前の問題だ。
「で、でもっ……」
愛衣さんが下唇を悔しそうに噛み、うつむいた。
「わかってるよ、嘘じゃないって言う事でしょう?」
愛衣さんに対して、何をどうすればいいのかはわからないけれど。
でも、私はさっき、見ていたのだ。
だから。
「実は、さっき植え込みの陰から見てたんだよ」
私は、二人にそう伝えた。
だって、私は、あの時の渡井先生を見て思ったんだ。
――絶対に、二人の味方になってやるって。
「見てたの?」
流石に、普段リアクションが薄い悠太君ですら、私が偶然でも見てしまったことに驚きを隠せないようだ。
「まあね……帰ろうと思って、通りかかったその時に、二人の姿が見えてさ。その前に誰かの怒鳴り声が
聞こえたから、すごい気になったんだ」
でも、まさかそれが渡井先生の怒鳴り声だとは思わなかったけれどね。
そう言うと、私は二人を見つめる。
「……香山さんは、誰の味方なの?」
「え?」
突然の、愛衣さんの言葉に私は面食らった。
「どういう意味?」
「私達、いつか絶対に渡井先生に勝ちたいの。でも……」
そこで、悔しそうに顔を歪める愛衣さん。
「僕も同じだよ。あまりに渡井がひどいと思うんだ。委員会の仕事、絶対やらないといけない仕事だったし。
でも、渡井はそれを知っていて、自分の都合で僕たちを叱った」
あまりに理不尽な行動が、悠太君の口から語られていく。
「だから、僕は一緒に行動していた愛衣さんと、渡井先生の上に立とうと思った」
一体、この二人のどこが悪かったというのだろう?
これは、どう考えても渡井先生が悪いのに、何も知らない人が見たら、二人の方が悪くなってしまうのではないか?
それなら、私は。
「私、協力する」
「えっ……!?」
私の言葉に、目を見開く二人。
「だって、そんなの見捨てられないよ」
先生は、普通は生徒の味方であるべきだ。
信頼される、生徒も安心できる存在であるべきだ。
なのに、これじゃあ安心できないし、信頼なんて当然できない。
「いいの? 香山さん、人気だし大変だよ?」
あくまでも私のことを心配する愛衣さんに、私は微笑む。
「そんなこと気にしないから」
「ありがとう!」
とても嬉しそうに言う愛衣さんを見て、私はこれでいいんだ、と思った。
「ただいま」
家に帰ると、いつもは
「おかえり」
と返してくれる妹はいなかった。
そっか、宿泊学習に行ったんだっけ。
自分の部屋で、私は渡井先生に対抗する手段を考えてみた。
あまりいい考えは思い浮かばなかった。
それに、中学三年生にできることなんてごくわずかだ。
それでも、私は戦うと決めたんだ。
「怜菜、最近どうかしたの?」
朝、杏奈に声をかけられた。
どうも、いつもと違って、何かをずっと考えているような感じがしたらしい。
「あはは……ちょっと、ね」
適当に誤魔化す。
杏奈は、渡井先生のことは苦手みたいだけど、流石に巻き込みたくはないからね。
「怜菜は嘘が下手だよ」
突然ズバッと本音を言う杏奈に、私は戸惑った。
「え?」
「だって」
杏奈は冷静に指摘する。
「昨日、渡井が怒ってた。あ、これは愛衣さんから聞いた」
「で、怜菜が愛衣さんと悠太君の二人と一緒に帰ったってことも聞いた」
「それで、朝、渡井と会った時のリアクションが薄い。という事は」
「……」
成程、杏奈の言う事には一理ある。
「その二人に協力した、それが自然な答えだと私は思う。でも、大丈夫?」
「何が?」
杏奈も、大丈夫かどうかを?
「怜菜は、隠し事下手。つまり、渡井に感づかれる可能性、高い」
あくまでも冷静に指摘する杏奈。
私は、その可能性を全く考えていなかったし、思いつきもしなかった。
「私、協力しようか?」
「え?」
だから、と杏奈は少しめんどくさそうに
「私が協力する」
有無を言わせない迫力で、私に迫る杏奈に、私はただ頷き返すしかない。
「でも、どうするの?」
少しの間を開けて、杏奈は言う。
「決まってるでしょ。精神的に追い詰める」
そう不敵に笑う杏奈。
怖いよ、杏奈……。
昼休み。
愛衣さんが私のもとに来た。
「昨日の、お礼……ありがと」
少し照れたように言う愛衣さん。
「いいよ、そんなこと気にしてないから。むしろ、仲良くなれるきっかけだったと思うし」
「そ、そう?」
何だか嬉しいな、と無邪気に愛衣さんは笑う。
「ねぇ、愛衣さん。もう普通に、呼び捨てでもいい?」
「むしろ、それは私が聞きたいことだったよ」
さくらさん!頑張ってください!
この小説好きです!
真奈さん、ありがとうございます!
更新頻度はバラバラですが、宜しくお願いします!
愛衣さん、いや、愛衣は思っていたよりもいい人だ。
ただ、愛衣は、圧しに弱い所があるらしく……。
「愛衣、コレ職員室にもっていって!」
「あ、うん……」
担任にお願いをされると、断れないのだという。
「まあ、これは仕方ないよ」
「そうかなあ……」
本当は変わりたいの、と小さな声で言う愛衣。
「じゃあ、もう徹底的にやるしかないね」
「え、どういうこと、杏奈さん」
杏奈でいいよ、と言った後で
「だって、今のままじゃ、担任と潰すことはできないでしょ」
あっさりと言い捨てる。
「このままだと、私達不利だよ。秋山君にも、どこかからネタを仕入れてもらおう」
「ネタ?」
もちろん、渡井のボロが出てる話のこと、と杏奈は言い、
「ちょっと外に出て来る」
どこかへと走っていった。
※>>30は私です。(トリップ間違えました)
「ネタって言われてもな」
秋山君に聞いてみたけれど、流石に無理があるかな……と思っていた私達。
「でも、俺の家、学校のグラウンドに面してるから、担任の声聞こえるよ」
「何それ、近所迷惑じゃん」
憐れむ目をして、愛衣が言う。
「じゃあ、部活の様子が見えるってことだよね」
「まあそうだな」
そんな事でいいなら、と、秋山君は言う。
「それで、どんな作戦なんだ?」
「実は」
まだ、作戦は決まってないことを話す。
「じゃあ、野生の勘か?」
「いや、違うけどね……これといった作戦はないみたい」
何だそれ、と今度は秋山君がキョトンとする。
さくらさんすごい!
更新頑張ってください!この担任最低ですね(笑)
じゃあ、と秋山君が立ち上がる。
「僕が作戦を考えようか?」
ちょっと待って、何を言ってるの?
「どうにかしなきゃいけないなら、すぐに行動すべきだろ。それに、香山さんも杏奈さんも忙しそうだし、その方が
助かるでしょ?」
そりゃ、助かるかもしれないけど。
でも、仮にも相手はあの渡井だ。
もしも、感づかれたら困る。
「その点は心配はないと思う」
それならいいんだけどね……。
>>32の匿名さん
ありがとうございます! ちなみに実話をもとにしてます(笑)
次の日の朝、杏奈が私の家に来た。
「あれ、杏奈?」
「おはよ、怜菜」
いつもより、空気がどす黒い気がする……。
「ああ、昨日渡井がうるさくてね」
それでイライラしてたのか……。
「一発、ぶっ飛ばしていい?」
いやダメだよ!
「だよね、でもそんくらいイライラする」
だから怖いって。
「おはよう」
教室に入ると、秋山君が近くに来た。
「昨日、渡井うるさかった。これ、ボイスレコーダー」
「ふーん。って、え!?」
ボイスレコーダーって高いんでしょ?
「兄が持ってた奴、もらったんだ」
何でお兄ちゃん持ってたのよ。そんで、よくバレないように録音できたよね。
「そりゃあね」
ちら、と杏奈の方を見る秋山君。多分、杏奈がとったんだろう。
「いつか、潰せるかな?」
「いやいやいや、潰すだけじゃダメでしょ」
「どうして?」
教師としてどうかと思うし、いいと思うけどな。
ちょっと糾弾するだけで。
「もっと徹底的にやらないと」
秋山君も怖いよ。味方でよかった……。
>>35は私です。
※試しに色々いじってみました。>>23の真奈さんではありません。
朝のホームルームが終わると、愛衣が悲しそうな顔をしていた。
「愛衣、どうしたの?」
愛衣は小さく微笑み、
「一時間目から体育じゃん……渡井の授業」
「あ……」
今日は厄日なのかな?
グラウンドに行くと、渡井だけがいた。
「あれ、体育の女の先生いなくね?」
大毅君がボソッと言う。
何でまだ名前覚えてないの、と言おうとしたとき
「今日は奈月先生いないから、女子と合同だぞ!」
「えー!?」
渡井がそう言った瞬間、奈月先生のことが好きな女子の何人かが悲痛な叫び声をあげた。
「もう最悪!」
「まあまあ抑えて」
渡井の顔を見た瞬間にイライラする、と杏奈は走ってきた。
愛衣は、教室にいた時よりも表情が硬くなっている。
そんな私たちの様子に気が付かない渡井は、ずかずかと近づいてきて
「頑張って走れよ!」
と言い出す。
全く、どこの誰が原因なのか、わかっちゃいないな。
グラウンドを二周走り終え、体操をやろうとしたその時、雨がぽつぽつ降ってきた。
「じゃあ、体育館に行くぞ!」
え、自習じゃないの?
「えー、何でよー! 渡井のケチ!」
杏奈がブツブツ言っている。
体育館に行き、体操を終えると、
「今日はバスケやるぞ!」
突然、バレーからバスケに帰る渡井に、バレー部員は文句を言う。
シュートの見本を見せようとして、派手に秋山君は転んでしまった。
それを見ていた渡井が、
「何だ、こんなのもできねえのか」
とニヤニヤしている。
「だから何だよ」
秋山君は、渡井の足を思いきり踏んづけていた。
秋山君が足を踏みつけたから、バランスを崩して、秋山君よりも派手に転んだ渡井。
「先生こそ何派手に転んでるんですか?」
笑顔で言う秋山君。それを見ていた杏奈は
「秋山君やるね、あれも復讐の一つだって」
堂々としていたなあ。
私なら、偶然を装って……。
「ああ、偶然を装った復讐も考えてるって」
「すごいね」
渡井を見て、それから私達を見て、秋山君は小さくガッツポーズをして見せた。
杏奈は、私に向かって
「怜菜、渡井に気付かれないように慎重に」
と、昨日十回言われた言葉をまた言った。
「わかってるよ」
と返事はしたものの、正直不安だった。
もしも、感づかれたら……。
もしも、渡井と話し合う事になったら……。
間違いなく、私は慌ててしまう。最悪の場合、秋山君、愛衣、杏奈まで巻き添えになる。
それだけは絶対に避けたい。
とにかく、今はそんなこと考えないようにしよう。
「ねえ怜菜」
体育の授業中、愛衣が話しかけてきた。
「どうしたの、愛衣」
愛衣の顔が、いつになく暗かった。
「何だかね、渡井の態度がまた悪化してる。面倒だし嫌だ」
愛衣が指さした方を見ると、美咲がいた。
美咲は、美人というよりは可愛いタイプの顔立ちで、あけっぴろな性格だ。
つまり、誰とでも分け隔てなく話す。
その美咲が、渡井と仲良く話している。
「ほら、私の時は杏奈に嬉しそうな顔しないのに……」
「それは私もだよ」
何で容姿だけで判断するのだろう。
中身がよければ、見た目なんてどうだっていいものじゃないのかな。
とにかく、こんなのは許せない!
私は、美咲のところに行き、話を聞くことにした。
「美咲、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「あ、怜菜。何?」
純粋な瞳で私を見る美咲。
少し躊躇ったが、言った。
「美咲って、渡井と仲良いの?」
突然の質問に、美咲は面食らったらしい。
目が点になっている。
少し考えて、美咲は言った。
「普通、かな? なんか渡井先生が話しかけてくるから、みんなと同じ受け答えをしたけど」
そこで、不思議そうに私を見る美咲。
私は、
「親しげだったから、元々知ってるのかと思ったんだけど、私の勘違い?」
「うん。だって、前に会っていたなら、存在感ありすぎる位だし、絶対忘れないよ」
それもそうだ。素直な美咲を疑う筋は無い。
それでも、一応確認しておきたかった。
つまり、美咲は渡井の本性を知らないということだ。
厄介なことになりそうだ。
不意に、冷たい風が吹いた。
そんな私達の会話を知るわけがない渡井は、私と美咲を見て、
「何だお前ら、バスケは余裕って感じじゃねえか」
そんなことはない。
ぶっちゃけ、私の体育の成績は普通。
バスケは、普通より少し上、といったところだ。
美咲を見て、見てるこっちが引くくらいニコニコして、
「美咲〜、今日も元気だな」
「先生もじゃないですか」
こりゃダメだ。
私達の様子を見ていたのか、愛衣が
「感じ悪い、渡井」
と吐き捨てた。
愛衣のことを、渡井は美咲より良く思っていない。
秋山君に対してもそうだ。
あの時何で、強く当たり散らす様に愛衣と秋山君に怒鳴り散らしたのだろう。
もしかして、と私は思う。
渡井は、自分にとって都合の悪いことを隠しているのではないか。
それを、愛衣と秋山君が勘づいたから、隠蔽するために怒鳴り散らしたのではないか。
こんなこと、許さない。
私に対しても、美咲のように接しない。
どんな神経をしているんだ。
私は迷っていた。
このまま、すぐにでも職員室に行くか、秋山君、杏奈、愛衣に相談してから決めるべきか。
美咲はすごくいい子だ。
それはわかった。だから、美咲を仲間に引きずり込むのはやめる。
今の状況を考えると、もう充分に渡井が差別をしている、という証拠は集まっている。
今すぐ、職員室でこれらの証拠品を見せて、渡井の素顔を暴露したい。
でも出来ない。
きっと私が意気地なしだからだ。
「そんなことないっしょ」
「え、な、聞いてたの!?」
そう言ったのは、愛衣だった。
「怜菜さ、無理しすぎなんだよ」
真っすぐに私の目を見て、どこか優しく言う愛衣。
「確かに渡井はダメダメ。だから、そんな渡井に秋山君は怒ってるし、杏奈は呆れてる。
でもさ、私も同じだし、怜菜も知ってるでしょ?」
小さく私は頷いた。
「別に怜菜一人の戦いじゃないから。私、いや、私たちがいっしょ」
愛衣が後ろを振り向くと同時に、杏奈、秋山君が出てきた。
杏奈は私を見て
「相変わらず、怜菜は無鉄砲なんだから」
という。
秋山君は
「これ、ボイスレコーダー。とりあえず中古品を見繕ってきた。学校から家、多分僕一番近いし、渡井の暴言を記録しておくから」
ついでにレシートまで見せて来る。
私たちは、図書室に集まった。
昼休みなのに、誰一人として本を読む人はいない。
グラウンドには、半分くらいの生徒がいるから、外に行くのは危険だった。
渡井も、一緒になって遊んでいる。
「ハイリスクハイリターン、ということで特攻するのはアリじゃない?」
「ナシ。危なすぎ」
確かにそうだ。
ボイスレコーダーを、みんな一つは買っておいた方がいい、という話になった。
証拠はあるけれど、私たちだけで特攻しても変わらない。
きっと笑われるだけだから。
それなら、しっかりした物的証拠をたたきつければいい。
「じゃあ、今日は解散!」
杏奈が元気に言う。ちなみに集まった時、作戦リーダーは杏奈に決まった。
「今日はって何?」
杏奈以外の三人が聞く。
杏奈は不敵に笑って言う。
「決まってるじゃない。一週間に一度は必ず、何も起きなくても集まって話し合うのよ」
「どうして?」
愛衣が首をかしげる。
「もちろん、何かあったら毎日ね。情報の共有は素早く。これに尽きるでしょ」
杏奈の言う事は一理あるように感じる。
杏奈。
前世はスパイだったのか、と疑いたくなるくらい冷静で的確な指示をする。
渡井を最初見た時の嫌悪感はどこへやら、今は復讐に燃えている。
(一応)人物紹介
美咲……クラスメイト。純粋でかわいい。
渡井のお気に入り第一号?
杏奈に意見を聞いてよかった。
でなければ今頃、私は渡井の追及の手を受け流すことはできなかったと思うから。
そう、渡井に感づかれた。
かもしれない、というだけだ。
でも危ない。
何故感がいいのかはわからないが、気を付けないと。
あ、友人のパソコンからでした(^^;
半値ミスです。。
『真奈』は友人の半値です(笑)
私は、渡井から逃げた。
文字で表すと『逃げた』の三文字。
でも、実際はそんな簡単ではなかった。
私のもとに渡井が来て
「香山さん、最近ちょっと様子が違う気がする」
と言うのだ。
まだ出会って一ヶ月の人間に何がわかる、と言い返しそうになるのを我慢した。
「ほら、今もなんか違った」
私は、そんなことはない、と普通に返事をしたが、内心ヒヤヒヤしていた。
多分、変わったということは、渡井への反抗、復讐のことだ。
それが表に出ている、ということならまずい。
愛衣、秋山君がまた怒られる。
というより、渡井の価値観を押し付ける。
教育という名の脅し(または差別)だ。
ふと思う。
なぜ、こんな酷いことをしておきながら、教師という立場でいられるのか。
露呈しないこの仕打ち。
今の段階では、味方をすぐにつくることは不可能だ。
時間をかけて、ゆっくり且つ慎重に事を進めることが苦手な私。
ああ、そうか。
だから杏奈は、私の耳にタコができるほど、気を付けて、と言ったのか。
杏奈の鋭さに、今更ながらに驚いた。
「だから気を付けてってあれほど言ったのに」
渡井と話しているところを、通りかかった杏奈に見られてしまった。
「とりあえず、目立った行動は避けよう。愛衣と裕斗に言っておいて」
「杏奈は?」
愛衣と秋山君。杏奈がその中に入っていない。
「私は、とりあえず単独でアクションを起こす」
とりあえずって……。
そんな単純にどうにか出来るわけがない。
「大丈夫。でも怜菜は動かないように」
「う、うん」
杏奈の鋭い目に、逆らえない。