こんにちは。前回のいじめ~女子の修羅場~が終わったので、新しく作りました。今回は虐めの加害者目線で書いていこうと思います。
ちなみに今までで書き上げた作品は
・オタク女が恋を知るまで…
・いじめ~学校という空間~
・いじめ~女子の修羅場~
です。是非見て欲しいです。
くそ、桜も澄恋も梨奈も他のクラスメイトも、好き勝手やりやがって!裏切られて苛められて先生から信頼されなくなった挙げ句、親に苛めがバレて梨奈に反発されて……最近本当にろくな事がない!
喉が乾いてきたので、飲み物を買うために私は財布を取りに家へ向かった。
そろりそろり……私は家に入り、母親に気づかれないようにひっそりと自分の部屋へ向かった。
「あんた!!ちょっと来なさい!」
階段を登っていると、下から母親の声が聞こえた。
ったく、私の顔も見たくないって言ったのは誰なんだよ。言っていることとやっていることがめちゃくちゃじゃないか。
「……何?」
私は階段を降り、素っ気ない声で返事をした。
「さっき、受かっていた高校から推薦を取り消すという電話が来たわ!高校に苛めの写真が送られていて、『人を傷つけるような生徒を入れることは出来ない』、と」
なんだって!?折角推薦で皆より早く合格したというのに!なんてことをする!
……校長か桜達しかいない!こんなことが出来るのは!だって、私の苛めの写真を持っているのは、あいつらしかいないんだから!
まずは桜と澄恋から写真を奪わねば!あいつら、これからもきっと何枚も写真を現像して、私に嫌がらせをするに決まってる!
「待ちなさい!あんた!」
私は財布も持たずに家を飛び出し、桜と澄恋の住んでいるマンションへ向かった。
ピンポン、ピンポン、ピンポン。私はダッシュで桜と澄恋のマンションに行き、桜の家のインターホンを連打する。いつもは桜の親の目を気にしてインターホンを連打することなんてなかったが、今はそんなことをしている暇はなかった。
ガチャリ。桜がドアから出てくる。
「うわっ、奴隷じゃーん。どうしたの?あんまり近寄られるとばい菌が伝染るから近寄らないでねー」
なんだその言い方は!人をばい菌扱いしやがって。そんなこと言うなら桜に近づいたらこっちだってずる賢さが伝染る!
「あははー、まぁ入ってよ。沢山あんたのことをけなしてあげるからさ。まぁ、あんたと一緒にいると私まで奴隷になるかもしれないから、あんまり長居しないでねー」
うるさい!今はそのような話を聞いている暇はない。こいつから写真を奪わねば!
私はイライラを桜にぶつけるように、桜の胸ぐらをぐっと掴む。
「あんた、よくも高校にあの写真を送ってくれたな……」
「あ、推薦取り消されたんだー。よかったね、あんたがいなくなったことであんたが惹かれていた高校の魅力が軽減されないまま守られたんだから」
桜は私を煽るようににっこりと笑う。
私をバカにしやがって!今に見てろよ、絶対に見つけてやるから!
「あんた!今すぐ写真を返しなさい!これ以上好き勝手にはさせない!」
私は怒りで息を荒くする。そんな様子の私とは対称的に、桜は余裕のある涼しげな表情をしていた。
「あはは!よく私の所に来てくれたね。奴隷の望んでいる写真は私が預かっているよー」
桜は私をからかうように笑う。
なんでこいつは、こんなときに笑える……?普通だったら、自分でこのような秘密を言ってしまったら戸惑うに決まっているのに!
「でもさぁ、奪ってどうするの?あんたがいじめをしたことに関しては何も変わらないんだよ?」
黙れ!こんなことで怯む私じゃない!今までのことを取り消すことは出来ないが、これ以上事実を広めないことは出来る!
「うるさい!これ以上事実を広ませないためだ!さぁ、早く写真を出せ!」
そう言っても桜の表情は変わらず、冷静なままだった。
「ははっ!だったらあんただって人の個人情報とか人の失敗を皆に広めていたよね?それと同じだよ」
おのれ!こいつと話すと色々な屁理屈を言われるので腹が立つ。
これだと何を言っても屁理屈を返されそうなので、私は桜の家を出た。
「奴隷、もう耐えられなくなったのー?まぁ、私にとってはこれで満足だけど!」
ふん、今はあんなのは無視しよう。少し最近感情的になりすぎているかも知れない。一回落ち着いて、次の作戦を練ろう。
私は家に帰ると、更に家の中で孤立するようになった。
今まではリビングで食べていた食事も、今日からは母親が私の部屋の前に置いたものを勝手に食べるようになった。その上父親からの暴力も止まり、私は完全に見捨てられた。
なんなの?この食事の仕方は。私をペットみたいに扱いやがって!親の癖に私を見捨てやがって。親だったら私が何をしようが優しくしろっての!
全く、感情的になったらあいつらの思う壺になるから表で感情を爆発させることもできない。
しばらく食べていると、母親が部屋に入ってきた。
「あんた、高校はどうするわけ?」
そうだ、高校……。待てよ、私が二番目に希望していた高校は確かまだ試験が開催されていない筈……。
「第二希望の高校を受験するつもり」
私は母親を見ずに食べながら言った。今態度を悪くしても、どうせもう叩かれることもないと思うから。
「そう。自分で何とかしてよね。あんたはもう、うちの子じゃないんだから」
そうして母親は出ていった。
……待てよ?見捨てられたってことは、もう叩かれることも怒られることもないってことだろ?じゃあ、何をしてももう怒られない。また私がいじめをしても……。
そうだ、私は家庭の中で自由なんだ、自由になれたんだ!
そうだ、私はこれから何をしても怒られない。つまり、何をしてもいい。それなら、また苛めをしても家庭で怒られることはない。だから、苛めをしても先生にバレなければ大丈夫なのだろう。私はそう思うと、突然何かから解放されるような気分になった。
私はご飯を食べながら、頭の中で桜と澄恋の写真の件と、梨奈をどうやって説得するかを考えた。
まずは冷静にならないとな。冷静にならないと、桜と澄恋の思う壺になる。それに、感情を表に出して梨奈を説得すると、梨奈がビビってしまう。
そうだ、まずは冷静に。後のことは物事を冷静に捉えられるようになってから考えよう。頭に血が登っている時に考え事をしても、ろくな事を思いつかない。
落ち着くんだ、私……。私は女王様なのだから、きっと勝てる……。
私は自分に冷静になるように言い聞かせると、一人寂しくご飯を食べた。
「あー、奴隷が来たー」
クラスメイトの中の一人が、私が教室に入ってきたところを指差す。
「高梨、橘。今日の最初のお仕置きはどうするの?」
「普通の暴力じゃ物足りないからさ、誰かが奴隷に馬乗りして二階の廊下を一周して貰おうよ」
冗談じゃない。中学生の平均体重がどれくらいなのかこいつらは分かっているのか?わかっていてやっているなら……それはあんまりだ。なんで私がそんなことされなくちゃいけない訳?
……でも、今感情を表に出すとあいつらの思う壺だからな。今は我慢しておこう。今だけは。
「じゃあさ、高梨と橘がやってよ。二人が奴隷いじめのリーダーなんだからさ」
「わかった。皆の分までしっかりとお仕置きしておくね」
は?なんであいつら?私が今一番嫌いなやつに乗られるなんて……。でも、今は感情を出すことも首を横に振ることも出来ない。本当に面倒くさい。
近くにいたクラスメイトが私を四つん這いにさせて、その上に桜と澄恋が乗る。
……重い。二人ともそこまで太っていたりガタイが言い訳ではないが、やはり中学生二人に乗られると重い。
「ほら、奴隷。早く進んでよほら、急いで!」
二人は私を本物の馬のように扱い、私をべしべしと叩く。
くそ、馬じゃないんだから叩かれても早く走らないっての!
キャスフィにいた、まりんさんですか?
182:愛羅 あいちゃん:2020/11/10(火) 18:51 >>181
キャスフィにいる橋本さんですか?私は「優芽」って名前でやってました(もう卒業したけど)。
まりんさんはこっちだと思います。
https://ha10.net/novel/1590721010.html
https://ha10.net/novel/1589930492.html
https://ha10.net/novel/1592039149.html
はいそうです。
184:橋本:2020/11/12(木) 21:12はいそうです。
185:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/15(日) 18:32 「はい、遅ーい。もっと早く走って」
相変わらず二人は私の体をべしべしと叩く。
くそっ、そんなに早く走って欲しいなら降りればいいだろ?本当に面倒くさい。こいつらが大人しくしていれば……。
「おい、奴隷。降りろ。水が飲みたいんだよ」
奴隷はどっちなんだよ。自分の立場を理解せずに女王様気取りしやがって!本当だったら私が女王様でこいつらが奴隷なのに……。
澄恋は、口の中に水を入れると、その水を私の顔に吹きかけてきた。
私の綺麗な顔を汚しやがったな……。許さない!本当だったら今すぐ殴りたい。だが、今感情的になったらこいつらの思う壺だからな………。全く、こいつらのせいで自由を次々と奪われて本当に意味がわからない。
「あっははは!あんたのその『苛めは遊び』だという汚い考えから目を覚ましてあげたから!感謝してよね?」
何が感謝しろ、だ。いじめと遊びが同じだと思っていることの何が悪い?人の考えなんて人それぞれだろ?そんなこともわからないなんて、頭の中小学生かよ。
「あ、あと三十秒ぐらいでなりそうじゃない?チャイム」
すると、桜が私のお腹を踏んづけてきた。
「じゃあ、私達は先に帰るから。じゃあね」
そう言って二人は私を置いて走って教室に戻っていった。
私は腰の痛さもあってか、二人はチャイム着席に間に合ったのに、私はチャイム着席に間に合わなかった。
「里中さん!チャイムはしっかりと守って下さい。この間まで苛めをしていたというのに……まだ反省していないのですか?」
うるせーな。最近まで私の事を信用していた癖に、何手の平返しているんだよ。……以前は泣いて上手いこと言えば大抵のことを許されていたが、今の状態じゃあ私の言い訳も通用しないだろう。
全く、あいつらのせいで私の道はどんどん壊れていって……本当に迷惑。早く復讐の方法を見つけないとな。
「はい、すみません。以後気をつけます」
私が苛めをしたということは先生方にも知れ渡っている。なので先生の中での私の評価をこれ以上下げないために、先生の前では大人しくしておこう。
「里中は本当に反省しているのー?」
「苛めをした挙げ句チャイム着席に遅れるとか……調子乗り過ぎ!!」
皆が私をからかっている。
ごちゃごちゃうるさいな。こっちは一ミリも悪くないのに。私の楽しみを潰したお前らが何を言う。
「こら、貴方達もはやしたてないの!」
そうして私は皆から罵声を浴びせられながら自分の机に向った。
茉莉ちょっと可哀想…
でも、自業自得だよね…
>>187 ありがとうございます
席に着くと机の中に色紙が入っていた。中身を見てみると、そこには「しね」や「クズ」などの私を中傷するような単語が寄せ書きされていた。
酷い、どうしてこんなこと……。あいつらにこんなことする権利なんてないのに。
「生きる意味無し」や「害虫」など、私を邪魔者扱いをするような言葉もあった。
どうしよう、この色紙。………そうだ、梨奈の机に入れて嫌がらせしよう。梨奈が私の下僕にならないと、毎日梨奈に嫌がらせをする……。いいじゃない。これなら絶対に梨奈も諦めてくれるだろう。
私は桜と澄恋に感情を読まれないように、できる限り冷静を装った。
最初からこうしておけばよかった。これなら、嫌がらせを受け続けられるか苛めをするかの二択だからな。皆、自分が嫌がらせを受けられるより、苛めをする方がよっぽど楽しいに決まっている。誰かを傷つけるというのは、人生の最高のスパイスだから。
そうだ、梨菜に対してのメッセージも書いておこう。
私は筆箱からメモ帳を取り出して一枚千切り、シャーペンを走らせた。
「梨奈へ
これ以上私に反発したら私があんたに嫌がらせをする。嫌なら私の下僕になりな。 茉莉」、と。こんな感じでいいかな。
私は他のクラスメイトに見つかると色紙を取り上げられると思ったので、こっそりと梨奈の机に入れた。
……よし、無事に入れられたぞ! 後は梨奈が私の下僕になるだけだ。
さっさと私に従っていれば良かったのに、ずっと反発していた梨奈……なんて生意気なのだろう。梨奈を下僕にしたら、梨菜にきつく説教しなきゃ。……そうだ、梨奈を下僕にしたら梨奈のことも陰で苛めよう。
私が心の中で一人ウキウキしていると、突然クラスメイトに後ろから背中を蹴られた。私は反射的に後ろを向く。
「何? お前の体があったから蹴っただけだけど?」
私の背中を思いきり蹴った男子は、余裕な表情をしてその場を去っていった。
ああ、もう! どいつもこいつも生意気な奴ばっかり! ……もう、梨奈には桜と澄恋以外の奴らも苛めさせよう。
絶対に私の手で、こいつらを絶望の底に落としてやるんだから……!
はじめまして!!小説すごく面白いです^-^
梨奈ちゃんがかわいそう、、、
「止めてください! これ以上私に近づかないでください!」
私が梨奈の机に色紙を入れた後、私に向って叫んてきた。
「私、言いましたよね? 下僕にはならないと」
下僕にはならない? これ以上近づくな? ふん、ブスの癖に何調子に乗ったことを言っている?
私の中で何かが切れた。
気づくと、私は梨奈のお腹を蹴り飛ばし、馬乗りになっていた。
「下僕にはならない? これ以上近づくな? ブスの癖に生意気なことを言ってんじゃねぇよ!! お前や桜や澄恋、それ以外の奴らは本来なら私の奴隷であるべきなんだよ! なのに最近私の下僕共は私を苛めるし校長に私がやったことをバラすしよぉ……。こんなのは本当ならあってはいけないんだよ!」
はぁ、はぁ……。怒鳴ったせいで、私の息は荒くなる。
もう、面倒な作戦とかも一切立てない! 私はもう、ただ手当たり次第にこいつらを苛めていく!
「だからよぉ……ブス子も桜も澄恋も、最近調子乗り過ぎなんだよ。だから、これからな私を傷つけた人全員の事を手当たり次第苛めるからな!」
私が言い終わると、一つの影が私達の前に立ちはだかった。
>>190 ありがとうございます
「ふーん。やっぱり奴隷は私達の事を下僕としてしか見ていなかったのね」
桜が立ちはだかった。その後ろに澄恋もいる。
しまった! 梨菜に気を取られていて周りを全く気にしてなかった………!
どうしよう、今の話聞かれたよね?
「私達の事を苛めようとしていたなんて、最低ね!」
うるせーな。私の何が悪いんだよ。最低なのは下僕の身分で私にはむかったお前らだろ?
「澄恋、こいつにどんな罰を与える?」
「そうね、それなら………」
二人が何かを話している。コソコソと話しているが、私にはしっかりと聞こえた。
……ふざけるな! 何が罰を与える、だ。何故私が下僕共に苛められなきゃいけない?
私は、クラスでカースト最上位の女王様だ!!!
「やっぱり、もっと苛めの強さを上げるしか無さそうだね」
澄恋が口にした。
苛めをもっときつくする? ふざけるな。何故スクールカースト最上位の女王様である私が下僕共を苛めただけでこうなった?
私は苛めをしても良い人間なのに……。許せない。
それから私は、本格的にクラスの奴隷になった。
今私は、机の中にゴミを沢山入れられ、油性ペンで机に「しね」「クラスのゴミ」等の悪口を掛かれた。そして、落書きをクラスにある洗剤で消し終わるまで、私は蹴られたりゴミ箱のゴミを投げつけられたりする。
「早く消し終われよ! ずっと蹴っている私の気持ちも考えろよ!」
間違えて途中で送ってしまいました🙇
私は強く蹴られる。その様子を見ている他のクラスメイトは、遠くで私を見てクスクスと笑っている。
そして横からはゴミを投げつけられ、おかげで私の制服にホコリが沢山ついている。
そう、私はターゲットになった。
もう、スクールカースト最上位にいた面影なんて無い……。私は一瞬でスクールカースト最底辺になった。
私がスクールカースト最底辺に落ちたおかげで、クラスの隅で細々と生きている奴らは急に教室の真ん中で調子に乗り始めた。スクールカースト関係なく、皆が敵になった。
私がクラスの奴隷になったことは桜と澄恋のせいでクラスの外にも一瞬で広まり、歳やクラス関係なく苛めていた私はクラスの外の人達からも睨まれるようになった。
なんで私がこんな目に……。私は何も悪くないのに。私の下僕達が大人しく私に従っていれば……。でも、今反発したらもっと酷い苛めが待っているんだよね。
桜も澄恋も、本当に許せない。様子を見計らって、タイミングが良い時に絶対に復讐してやる……!
休み時間、私は携帯を眺めていると、一つのニュースの記事が目に入った。
なんとそこには、私が苛めをしていたというニュースがあったのだ。
そのニュースには、私が唯一自殺にまで追い込んだ百々麻莉奈の事を中心に書かれていた。
百々麻莉奈を私が死なせた事、他にも何十人者人を苛めていた事など。とにかく分かっている分だけ書かれていた。私の顔写真も載ってあり、私が苛めをしたという事は誰が見ても分かる内容だった。
これもきっと、桜と澄恋の仕業……。だって、これらの写真、桜と澄恋の顔だけ上手く切ってあるから。絶対にあいつ等しかいない。
なんで自殺に追い込んだだけでこんな事書かれないと行けないんだよ。確かに百々には色々と遊ばせて貰ったけど、勝手に自殺したのは百々の方でしょ? あんな事で死ぬなんて思ってなかったし、あいつのメンタルが弱すぎなんだよね。
もう終わった事をどうしてあいつ等はネットに載せるのかな? 私は怒りを通り越して悲しみの気持ちで溢れた。
桜も澄恋もそうだけど、百々もふざけるなよ。お前が死ななければネットに挙げられる事もなかったかもしれないのに。お前のメンタルが弱いせいで……。私の遊びで死んだやつなんて、お前以外はいないんだよ!
さて、このニュースの記事をどうしよう……。早く消さないと大変な事になるぞ。いち早く記事を消す方法を探さないと。
そんな気持ちで携帯をいじりながら帰っていると、横から強くボールが当たってきた。
痛いなぁ……。誰がやったんだよ! 私には今こんな事をしている暇はないんだよ!
「やーい、人殺しー」
「おいおい、あまり近づくなよ。俺らまで殺されるぞ」
後ろを振り返ると、そこには近所の小さい男の子達がいた。
なんだよ、人殺しなんて。私は人を殺したなんかいねぇよ。あっちが勝手に死んだんだろ?
その瞬間、私は心臓が大きくドクンと鳴った。
待てよ、何故あの餓鬼共は私の事を人殺しと行ったんだ……? もしかして、もうあの事件の事が全国に広まっているのか?
嫌な予感がして、私は走って家に向かった。
私の勘違いであって欲しい……。何故私がこんな目に会わないといけないのか……。全く理解が出来ない。
私は悪くない。悪いのは勝手に死んだ百々の方……。
そう自分に言い聞かせた。
息を荒しながら家に着くと、そこには数台のパトカーが止まっていた。
う、嘘でしょう……? 悪い予感が当たっていたなんて……。この光景を見たら、信じがざるを得なかった。
家の前に立つと、そこには数人の警察官と両親がいた。一人の警察官がこちらに気づくと、両親がこっちを睨んできた。
「君は、里中さん家のお嬢さんかな?」
一人の警察官がにっこりと聞いてきた。私はその圧力に圧倒され、無言で頷くしかなかった。
「少し貴女に聞きたい事があるんだ。一緒に来てくれないかな?」
警察らは、私の応えを聞かずに私を何処かに連れて行った。
一体何をされるの? 不安で仕方がない。なんで私がこんな目に……。どうして……。
私は、何も悪くないのに……。
桜と澄恋が大人しく私の下僕でいてくれれば、私がクラスの奴隷になる事もなかった。あいつが死ななければ、こんな大事になる事もなかった。親が私が苛めをしている事を知っても、私に愛情を注いでいれば、家の中で孤立する事もなかった。私の奴隷だったクラスメイト達が調子に乗らなければ私はずっとクラスの女王様だった。梨奈が私の下僕になっていれば、私は今苛められずに済んでいた……………。
そう、全ては周りの奴らが悪い。
私の心の中は、周囲の人間に対する憎しみでいっぱいだった。
私は交番で、今までどれくらい苛めをしたのかという事など、とにかく苛めに関する事を全て丸裸にされた。
なんでわざわざ丸裸にするんだよ。たかが苛めだろ? 私の何が悪いんだよ。
そりゃあ、頭が良いだけで顔もそこまで可愛くない桜とかが苛めをするのは良くないと思う。けど、私は顔も成績も、世間の評価も高かったんだから。そんな私が苛めをするのは悪い事ではないと思うのだが。
「貴女のせいで、百々さんの遺族は大変辛い思いをしているんだぞ?」
警察が私に尋ねてきた。
ふん、何が辛い思いをしている、だ。そんなの知った事ない。勝手に死んだ奴の事で悲しむなんて……大人の癖に随分と意気地がないんだな。あー、笑っちゃう。
だが、ここで本当に思っている事を言うと更に嫌な目に会いそうなので、取り敢えず謝っておこう。
「はい………。こうやって警察沙汰になって、自分の愚かさを知りました。遺族の方には大変酷い事をしたなと……。そして、百々さん以外にも私は沢山の人を苦しめました。被害者の方々にはこうやって謝る事しか出来ませんが……非常に反省しています……」
私は心にも思ってない謝罪をした。
くす、我ながら上手い演技だな。昔から自分の手は汚さない様に何かと演技をしてきたので、演技は大得意だ。
私はその後も、警察の小言を適当に相槌をうってやり過ごした。
だって、たかが苛めだろ? なんで私より勝手に死んだ奴の肩を持つんだよ。意味が分からない。それに、私にはもっとやる事が沢山あるんだよ。ネットのニュースの記事を消したり、世間の評価を上げたりと。警察なんかに付き合ってられるか!
家に帰ると、親は私にもっと冷たくなった。夜ご飯も持って来ない。お腹が空いたら冷蔵庫の物を勝手に漁って食べるだけ。
父親はもっと酒を好むようになり、母親はいつも機嫌が悪い。私の家はどんどん崩壊していった。
ジリリリリリ、ジリリリリリ………。うるせーな。ろくに休めもしないじゃないか。
お風呂に入っていると、家の電話が物凄い頻度で鳴っていた。母親が出て切ったらまた電話が鳴る、切っても切ってもキリがない、そんな感じだった。
恐らく、私の苛めの事が原因だろう。その証拠に
「はい、本当に申し訳ありません! この事に関しては、何度謝罪をすればいいのか……」
と、何度も母親が謝っているから。
私がした事は近所に一気に広まり、近所内で私は「殺人鬼」扱いだった。
少し携帯から目を話すと、自分の携帯に「殺人鬼」「お前がしね」「お前がいなくなればこの世は平和になる」などの言葉が書いてあるラインやメールが百件以上あった。
なんで、どうして……。
メールやラインだけでなく、電話の履歴も溜まる一方なので、携帯は常に振動が鳴りっぱなしだった。私は携帯の振動に耐えられなくなり、携帯の電源を切ってクローゼットに携帯を放り投げた。
嫌だ、嫌だ……。どうしてこんな事に……。
「茉莉!!」
体育座りで蹲っていると、母親が急に部屋を開けてきた。
なんだよ、こっちはお前の顔なんて見たくないのに……。
「あんたが受験する予定だった高校からも『人を傷つけるような人はいらない』と、断られたわ!」
__?! 嘘だろう?
許せない、あいつ等のせいで私の人生をめちゃくちゃにされるなんて……。
「どうするかは自分で決める事ね。あんたのせいでこうなったんだから」
そう言って母親は部屋を出ていった。
あんたのせい? 何故? こうなったのは私を追い詰めた桜と澄恋____いや、この世の奴ら全員だろう?
もう、こうなったら……なるべく遠い所の私立高校しかないじゃない。どうしてくれるんだよ!
次の日、学校に行く為に家を出ると周りの人達から冷たい視線を向けられた。
その光景に耐えられなくなった私は、家からマスクとサングラスを取りに行き、学校に着くまでサングラスを掛けて登校した。日本人には珍しい私の生まれつきの金髪等で何人か気づく奴もいたが、何もつけないよりはマシだ。
教室に入ると、そこには澄恋が私を待ち構えていたかの様にドアに立っており、そのまま私の頬をバチッとビンタしてきた。
……いってーな。いきなり何なんだよ。
そのまま机に向かうと、今度は桜が私にカッターを向けてきた。
危ねーじゃないか。当たったらどうするんだよ!
「お前がしねよ、殺人鬼! お前がいなくならないとこの世は平和にならないんだよ!」
な、何なんだよ………。
すると、桜はカッターを私の近くで振り回してきた。そのおかげで、私の制服は見事に切り裂かれた。
「あーあ、外しちゃった。もう少しでお前の心臓に当たりそうだったのに」
その言葉に私はゾッとした。
もしかして、本当に桜は私の心臓を狙う気だったのだろうか……? いや、そんな事はないか。桜は自分の手を汚す様な大事を起こす者じゃない。
それにしても、その制服どうしよう……。家に代えはあるが、学校には持ってきていない。これじゃあ授業に出れないじゃないか。
「何してくれるんだよ、桜!」
私は桜をキッと睨んだ。すると、桜は一瞬私の格好を嘲笑い、この後桜も私を真似するかのように私を睨んだ。
「お前……そのまま授業受けろよ。お前みたいな殺人鬼に人権なんてないんだから。その程度なら上着を羽織れば何とかなるし、お前は席が後ろの方なんだから先生も中々気づかないでしょう?」
はぁ? ふざけるなよ。なんで私が下僕共の言う事を聞かないといけないんだよ! もうこっちは懲り懲りだ!
「お前らだって、私と一緒に苛めていた癖に!!」
私は桜と澄恋に向かって言う。その様子を二人は呆れて見ていた。
「いや、私達はずっと奴隷に復讐しようと思っていたよ? 苛めは良くない事を奴隷に分からせようと思って。ねぇ、澄恋」
桜の問いに、澄恋は頷く。
屁理屈ばかり___悔しい、こんな下剋上……許せない!
「学級会の時間まであと十分ぐらいあるじゃん。だから奴隷、少し来てよ」
今度は何なんだよ! ふざけるな、私のした事を校長にバラした挙げ句ネットにも載せるなんて……許さない!
続きが気になる!頑張ってね!
204:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:47 >>203
元愛羅です( ^ω^ )
>>203 ありがとうございます
桜と澄恋はトイレに入ると、再びカッターを目の前に出して来た。
……今度は何?!
「澄恋は鋏を持って。カッターと鋏でこいつの制服をボロボロにしていこう」
澄恋がニヤリと笑って頷くと、二人はカッターと鋏をそれぞれ構える。
制服をボロボロに……? ふざけるなよ、セクハラじゃないか。
「奴隷、そんなに眉間にシワを寄せないの。あんただって梨奈とかの制服を散々切り刻んでいたんだから、やられてもいいんでしょう?」
それは、梨奈がブスだからやっているだけ……。ブスの制服なんて何でもいいと思ったから……。だから、私の制服を桜と澄恋が切り刻んでいい訳がない!
「ふざけるな……………」
私は二人を睨んで言う。二人は、そんな私の状況をからかうかの様に笑う。
「へぇー、自分がされて嫌な事を他人にもやっていたんだー。その程度の奴がクラスで女王様を気取っていたなんて……面白過ぎて笑っちゃう」
二人はクスクスと笑い始めた。
なっ………、何が面白いんだ! ランクの高い人間がランクの低い人間を苛めて何が悪い!
「まぁいいや。取り敢えずあんたには罰を与えないと。桜、行くよ!」
澄恋が桜にそう言うと、二人は刃物をこちらに向けてきた。
「きゃあ!!」
二人は私を無理矢理床に倒し、制服を切り刻んでいった。
二人がかりなので、制服は物凄いスピードでボロボロになっていった。
「あはは、いいねぇ澄恋。どんどんやっちゃって!」
二人は、私を挑発する様に声をかけながら切っていく。
………ガリッ! 痛い……! 足に当たった! 私の自慢の白い脚が……。これはわざとなのか? それともまぐれなのか? ……どっちにしろ私の脚に当たった事は同じなんだよね。私の制服をズタズタに切るんじゃねぇよ!
三分経つ頃には、私の制服は端切れ同然の様になっていた。
「うわぁ、露出狂じゃん! だっさーい」
二人は私を指差してゲラゲラ笑う。
「さぁ、帰ろう。皆奴隷の事を待っているよ」
それって私を苛めるために待っているんだろう? そんな教室に戻るなんて御免だな。
「何奴隷立ち止まっているの? ほら、早くついてきなよ!」
二人は私の腕を笑顔で掴み、腕が痛くなるほど強く握りしめて来た。
ふと、切られた脚を見てみると……やはり脚に血が流れていた。
ふざけるな、覚えておけよ。いつか絶対に復讐してやるから。
私が教室に入ると、皆が私の姿を見て爆笑して来た。
「奴隷、何その格好! そんなに皆に見せたいんだったらもう全部脱いじゃえよ!」
皆が私の事をからかって来る。
……私だって好きでこんな風になった訳じゃねぇよ。皆好き勝手に私の事を笑いやがって。お前らのせいで私は受かっていた高校にも入学を拒否されて、世間からも冷たい目で見られる様になったんだよ!
ジャージに着替えよう。こんな姿を先生に見られるなんて絶対に御免だからな。以前だったら私を心配してくれるだろうが……今だと私の敵になるかも知れないからな。
ジャージに着替えようと私はサブバッグを取り出すと、澄恋が足をドンと鳴らした。
「奴隷、ジャージに着替えるの? 着替えるんだったら教室で着替えてよね」
はぁ? こいつ、何言っているの? 出来るわけないだろ、そんな事。
しかし、クラスメイト達は澄恋に続く様に文句を言ってきた。
「俺だって散々お前に皆の前で脱がされたんだから、お前もやれよ!」
「そんなに制服がボロボロなんだから、制服来てない状態とほぼ同じでしょ?」
うるさいなぁ。お前らみたいなランクの低い人間はともかく、何故私が皆の前で着替えないといけない? ふざけるな。
すると、桜と澄恋が私を押さえつけてきた。
「ほら、早く着替えなよ。着替えないとずっと離さないよ?」
二人に押さえつけられて身動きが出来なくなった私は、仕方なく皆の前で着替え始めた。
皆がこっちを指差してヘラヘラと笑っている。
「あっははは!!! 奴隷ー、その汚い体を見せるなよ。殺人を犯しているんだから、血とかついているんじゃないの?」
クラスメイトの一人が私を馬鹿にしてきた。
私は人を殺してなんかいない。あいつが勝手に死んだだけなのに……。てか、あの事を思い出させるなよ。折角事故という形で問題は済んだのに、桜と澄恋のせいで……。
カシャッ。クラスメイトが私の着替えているところを撮ってきた。それも、バシャバシャバシャバシャと、連続で。
「はは、これネットに匿名であげちゃおうかなー」
その内、一人だけでなく色々な奴らが私を撮ってきた。
「そうだ、学年ラインに送ろう。それで学校の後輩達に広める様頼もう」
………は? ふざけるな、それはセクハラだぞ?!
「っ………おい!!」
学年ラインに送ると言った奴に文句を言おうとすると、桜が私の口を抑えてきた。
「どうしたの? 着替えたなら大人しく座っていなよ」
また私の邪魔をしやがって……。ふざけるな!
私は着替え終わると、ドスンと椅子を鳴らして座った。
着替え終わって席に着き、一時間目の用意をしようとしたら、私の机の中に沢山のちり紙があった。ちり紙を見てみると、そこには「しね」「人殺し」「疫病神」等、少し前より酷い悪口が書かれていた。
来た時はこんな物なかったぞ………? ……そうか、桜と澄恋が私の制服をボロボロにしている時にクラスメイトの奴等がちり紙を入れたんだな。
あいつ等………どれだけ悪知恵を使ってこっちを苛めてくるんだよ。こいつ等のせいで私は世間から殺人鬼扱いされるしよ……。こんな事になるんだったら桜と澄恋を下僕にするんじゃなかった。
その様子に気づいたのか、澄恋がこっちに来てちり紙をばっと取ってきた。
「茉莉、ちり紙見たの? ちり紙見たなら早くしんでよ」
死ぬわけないだろう? お前らに復讐をしてない状態でしねるわけがない。じゃないと私はきっと成仏できずに、永遠に現世をさまようだろう。
「ちり紙を学校のごみ箱なんかに捨てないでよ。そしたら先生達に私達の事がバレるかも知れないから」
澄恋はそう言うと、私の鞄の中に紙を奥の方に入れてきた。
……言われなくても学校のごみ箱なんかに捨てねぇよ。だって、きっと先生達も私の敵だから。
苛めは人の心を壊すとか綺麗事ばかり言いやがって。ふざけるなよ、どいつもこいつも。
訂正
茉莉、ちり紙見たの?→奴隷、ちり紙見たの?
休み時間、私は窓際でぼーっと空を見ている。
鳥が羨ましい。鳥は人間と違って裏表が無く、苛める事もない。私も鳥に生まれて鳥の中の女王様になっていたら……。
曇り空を飛んでいる鳥を眺めていたら、突然誰かに背中を押された。
………危ないじゃないか!! 落ちたらどうするんだよ!
イライラした私は誰がやったのか確かめる為に後ろを見てみると、そこにはクラスの男女四人が立っていた。
「はぁ、最悪。もう少しで奴隷を殺せそうだったのに」
その中の女子が言う。
はぁ?! 殺せそうだった? こいつら、私をころす気だったのか……? ふざけるなよ。
「奴隷の身分だから分からないかも知れないけど、日本では人を殺したら大抵は死刑を執行しないといけないの。たから奴隷の事も殺さないと」
……私は、殺人なんて犯してないのに。自殺と殺人なんて全く別の物だろ? 何故私が殺した事になっている?
「皆ー、奴隷の死刑を執行しよう。窓から突き落としてね?」
その人は、近くのクラスメイト達に呼びかけた。そこには桜と澄恋の姿もあり、二人は誰よりも早くこちらに駆けつけてきた。
「このぐらい集まれば執行には十分かな。じゃあ、皆で協力してこいつへの恨みを晴らそうね!」
「落ちーろ、落ちーろ!」
皆がおしくら饅頭をする様に私をぐいぐいと押してくる。
……やめろ、このままじゃ本当に落ちちゃう!
皆は、ぐいぐいと私を押している最中に次々と「しね」「殺人鬼」「あの子にあの世で土下座しろ」等の罵声を言ってきた。私はクラスの女王様から、小さな殺人鬼になっていた。
ええい! 私が殺人鬼だなんて絶対に認めないぞ! 私は殺してなんかしないんだ、あいつが勝手に死んだだけの話だ!
キーンコーンカーンコーン。皆が私を押している最中にチャイムが鳴った。私を押していた人達は舌打ちを鳴らしたりと、残念がりながら席に戻っていった。
「あと少しであいつを落とせそうだったのに………」
誰かがそう呟いた。
くそ、昔の私だったらこんな時は間違いなく呟いた奴を殴っていたが、今だと見事に私が悪者のように仕立てられるから嫌がらせも出来ない……。本当に腹が立つ。
私は心の中でクラスメイトを憎みながら机に向かった。
「消えろ、殺人鬼!」
放課後、家に向かっていると名前も知らない子供や学生に「しね」「消えろ」等の言葉を浴びせられた。
変装していても私だと分かるなんて……。
家が見えると、そこには空き缶や使用済みの煙草がわざとらしく大量に捨ててあった。きっとその辺のを誰かが集めたのだろう………。
更に、窓の門を開けると家のポストに手紙が大量に入ってあり、何枚か手紙が落ちていた。
……ふん、誰かこんな手紙等を開けるか! どうせ私に対しての悪口が書かれているんだろう? どいつもこいつも私を悪者にしやがって! 許さんぞ!
家に入ると、とどめを刺す様に父親の携帯や家の電話が鳴りっぱなしだった。きっと誰かが私に文句を言いたいのだろう。
相変わらず父親は酒に溺れて寝ている。私はふと、母親に苛めがバレた時の事を思い出した。父親は私のせいで酒に溺れるようになったと言っていたからだ。
……ふん、父親は私のせいで酒に溺れるようになっただと? そんなの知った事はない。子供のお遊びと酒が何の関係があるんだよ。
私は部屋に入ると、いきなりどっと疲れが出てきた。
私、もう疲れた……。下僕共から下剋上をされた挙げ句ネットに私の遊びの内容を書かれて……。そして今は街の殺人鬼扱い。この日本人には珍しい金髪も、完全には隠せない。この街にいる限りどこにいても冷たい目で見られる……。もう、高校に入学するまで不登校になった方が良いのではないか……。
私は不登校を決意した。私の事を見放した両親は心配する気配もなく、私は誰にも文句を言われずに不登校になれた。
文句の声や電話の音が聞こえるのが嫌なので、私はお腹が空いた時以外は絶対に部屋から出る事はなかった。
そして、自分の部屋からでも文句の声は聞こえるので、私は勉強して一日一食食べ終わると直ぐに眠りについた。
夜の十時に寝るようになり、朝は毎日九時に起きる。そして受験の為に三時間勉強して少し経ったらご飯を食べる。そして四時間ほど昼寝をしてお風呂に入ったら部屋で漫画を読んだり桜達の復讐方法を考えるなど、自由な時間を過ごしたら眠る。こんな日々が続いた。
一日一食だと足りないのではないか、そう思う人もいるかも知れない。しかし、脳しか動いていない私は全くお腹が空かないのだ。なので、一食で十分だ。もしかしたら全く動いてないのでお風呂も要らぬかも知れない。
……もう、全てが面倒だ。学校の女王様じゃない私なんて私じゃない。高校入学まであと一ヶ月半もあるのだ。それぐらい経てば苛めなんて皆忘れるだろう。高校も電車で一時間ほどかかる隣の県の高校だし……。きっともうすぐで私は救われるだろう。
そして私は今日もお風呂に入ったので眠りにつく。
部屋にいても文句の声は聞こえる、いつ外に出ても人はいるので外に出れば文句は言われる……。そんな事から私は家から出られなくなり、少し脂肪がついてきた。
仕方ない。だって、ストレスが溜まって体も一切動かさない、食事も一日一食。そりゃあ太るだろう。
以前は折角の私のいいスタイルが崩れるのが嫌だったが、最近私は太った自分の体型を好きになってきた。何故なら、太る事で少しでも自分の見た目を変える事が出来るから。これなら私立の受験で会場に向かう為に外に出る時も少しは暴言を吐かれる回数が少なくなるだろう。
そう思い、私はお風呂に入りながら自分のお腹を見る。自分の柔らかいお腹を見ながら、私は段々と怒りが込み上げてきた。
そもそも下僕共が下剋上をしなければ私が太る必要もなかった筈……。どうしてくれるんだよ! もしドヤえもんがこの世にいたらあいつ等をぶん殴りまくって外に出られない顔にしてやりたいわ!
……たく、最近本当に下僕共のせいでストレスが溜まる。下僕共のせいでどんどん太ってくるわ。許さない、絶対に。
寝てばかりの日々が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか私立高校の受験日になっていた。
なので私は帽子を深く被ってサングラスを掛け、筆記用具や受験番号の紙を持って電車に乗った。外に出るのなんて半月程久しぶりだ。
ガタンゴトン、ガタンゴトン………。電車の中で私はクラスメイト達を激しく恨んだ。
なんで私が遠くの私立高校に行かなければならないんだよ! 折角推薦で都立に受かって梨奈を苛め放題だったのに……。私を不登校にした挙げ句、私の自慢のスタイルを奪いやがって!
あ、でも、もうこれで開放されるんだったな。私立高校は隣の県の高校だから苛めがバレる可能性も低いし、桜と澄恋にどこの私立高校なのかというのは教えていない……。
これならきっと私はまたクラスの女王様になれる!
いけないいけない。今は受験の事を考えなくては。持ち点は十分高いがそれでも頑張らないと。じゃないと私の生きている意味がないからな。
そう思い、私は暗記の本を開いた。
勉強三昧の日々だったので私は暗記の本を丸々暗記していた。これ以上暗記をする必要は無いと思った私は、心を落ち着かせる為に会場に着くまで仮眠を取った。
――――――――――――――
車掌の声で目が覚め、そこは丁度会場がある駅だった。
これで受かれば、私はまた学校の女王様に__! 私はようやく開放されるのだ!
高校に入学したら、私は早速下僕を作って、苛めの最初のターゲットを決めて、クラスの女王様になって……。ああ、考えただけでワクワクする。
不登校になった分沢山勉強をし、学校の成績も良かったので持ち点も高く、受かる自信しかない。
それでも受からなかったら私は大変な事になるので、念には念を入れて私は受験会場に入るともう一度暗記の本を開いた。
理科社会等の暗記教科だけでなく、数学の公式等もしっかりと覚え直す。最初は国語から始まるので、特に国語の漢字や古文等を覚え直した。
そして国語の試験が始まり、私は試験に挑んだ。
続きが楽しみですっ!!
219:TACOWASA◆DU:2022/11/22(火) 02:56続きをご期待!
220:匿名 o:2023/02/04(土) 17:43続きはいつですか?
221:徒食芽癒◆gA:2023/02/14(火) 17:31 >>217
続き楽しみにしています
めちゃ面白いです!
つづきまってますっ
>>221それなです
224:八神太一 ◆6E:2024/04/20(土) 23:33続き待ってるで
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