こんにちは。前回のいじめ~女子の修羅場~が終わったので、新しく作りました。今回は虐めの加害者目線で書いていこうと思います。
ちなみに今までで書き上げた作品は
・オタク女が恋を知るまで…
・いじめ~学校という空間~
・いじめ~女子の修羅場~
です。是非見て欲しいです。
登場人物紹介
里中茉莉(さとなかまり)
クラスのボス的な存在。気が強い。
佐崎梨奈(さざきりな)
気が弱く、控えめ。目立つのが好きじゃない。
高梨桜(たかなしさくら)
茉莉の手下のような存在。クラス1の秀才
橘澄恋(たちばなすみれ)
茉莉の手下のような存在。男子と女子の間で態度が変わる
私は里中茉莉。中学三年生だ。
私はクラスの皆を使って遊んでいる。毎日同じことの繰り返しの学校生活、つまらない授業……誰かと遊ばないと退屈で仕方がない。
今私が遊んでやってるのは、地味で目立たない佐崎梨奈だ。こいつは友達が少なくて隙間がたくさんあるから、遊びやすい。そしてこいつと遊ぶのに都合がいいのが、高梨桜と橘澄恋だ。この二人は私が美人で気が強いからって私についてきている。私が美人で気が強いから二人は逆らえない。
全く、どいつもこいつも私に遊ばれるのが怖いからって逆らえない弱いやつばかりでつまらない。だがしかし、気が弱いクラスメイト達は私の退屈な心を満たすのには最適だった。
まぁ私は悪くない。だって気が弱いクラスメイト達のメンタルを鍛えてあげてるんだから。感謝してほしいね。クラスメイトのメンタルを鍛えられて、私の心も満たされて、まさに一石二鳥だ。
さて、今日は何をして梨奈と遊ぼうか……
わぁ!この小説もめっちゃ面白そう!
今回も応援してます✨
>>4
ありがとう!
さてと、今日は梨奈の上履きに画鋲を入れて遊んでみるか。
私は桜と澄恋と一緒に学校に早く来て、家にある大量の画鋲を持ってきた。桜達にも持ってこさせた。そして私達は梨奈の上履きに入れられるだけ画鋲を入れた。
待っている間、退屈だったので教室に行って梨奈の机に落書きをしてやった。「ブス」「ぼっち野郎」など。あいつの気が弱いからいけないんだよね。私はメンタルを鍛えてあげてるだけ。
「ねぇ茉莉、梨奈の足に画鋲が刺さったらどうするの?」
「は?あいつがよく見てないから悪いんじゃん。私は一切責任を取らない」
「だよね、言うと思った!」
「茉莉は本当に、遊びを考えるのが上手いね!」
当然。だって私は今までもこうやってクラスメイトで遊んできたんだから。まぁ、桜も持ち前の頭脳で面白い遊びを提案してくれるが。でも桜には一切感謝していない。だって二人が私を楽しませるのは当たり前なのだから。
そう言う他愛のない会話で梨奈が来るのを待った。
しばらくして、梨奈が学校に来た。
クスッ、何あの不格好な姿。よくあんな外見で学校来れるね。私が梨奈みたいな外見だったら絶対不登校になってるわ。
梨奈が自分の上履きに手を出した。私は画鋲に刺さるか刺さらないか、とてもワクワクしながら遠くで見ていた。
「っ、、痛い、、」
どうやら、手に画鋲が刺さったようだ。
……なんだよ、足に刺されば良かったのに。それでブスな顔がもっとブスになればよかったのに。
私達はすぐに梨奈の所へ行った。
「ぷっ、、あははははは!画鋲にも気づかないなんてだっさーい!自分で画鋲片付けといてねー」
そう言って私達は梨奈の返事を聞かずに教室へ向かった。梨奈が自分の机を見たときの顔を写真に納める為だ。人ががっかりしている顔を見るのはなんとも清々しい。
梨奈は、自分の机を見て泣きそうな顔になっていた。しかし、決して本当に泣くことはなかった。
またしても失敗。そのまま泣けばよかったのに。……まぁいいや、人の不幸の顔はどんな顔でも心地よい。
私はこっそりと、梨奈の顔を写真撮った。
梨奈、がっかりしないで……私は今とっても幸せなんだから。あんたのその顔を見る度に、私の退屈な心は満たされていくんだよ……だからずっとその顔をしてくれ。
それにしても、他のクラスメイトも梨奈を助けない弱いやつばかり。私に遊ばれたくないからって皆梨奈を助けない。
「ねぇ梨奈、どう?画鋲で痛い思いをしてからの落書きって」
「え……うん……その……」
全く、梨奈は話すのが遅くてイライラする。私はお仕置き代わりに、梨奈のペンケースを踏んづけてあげた。
「ちゃんと話そうねー。あと、誤解しないでね、私は梨奈がちゃんと話せないから説教してあげてるだけ。虐めてるわけではないから」
友達のいなくて気の弱い梨奈の相手をしてメンタルを鍛えてあげてる私……優しすぎる
https://i.imgur.com/0RMNX9n.png
茉莉です。
https://i.imgur.com/RPHEXqL.png
梨奈です
https://i.imgur.com/QPpXbJn.png
桜てす
こんにちわ!
ももです!
今回も頑張ってください!
とっても楽しみにしています!
入力ミス
てす→です
https://i.imgur.com/fjQeum2.png
澄恋です
>>9-10-14
あの………キャラメーカーで作ったやつですかね?
よければメーカー名を教えていただけると嬉しいです
>>15
ピツメーカーというアプリで作りました
>>12
ありがとうございます
さてと、次は何をして梨奈と遊ぼうか……
ぼんやりとそんなことを考えていると、後ろから桜が私をつついてきた。
「ねぇ茉莉、次の遊びを考えたんだけどさ、こんな遊びはどう?梨奈が彼氏出来るまで手当たり次第男子に告白させるゲーム」
ああ、なるほど。梨奈に彼氏が出来るまで告白させるゲームか。ふふ、悪くない。
「うん、いいと思う」
「よかったぁ、結構自信あったんだよね!」
自信あった?いやいや、私を楽しませるのはあんたの役目でしょ?桜がアイデアを考えるのは当たり前なんだよ。何自分のお手柄みたいな態度取っているの?本当にイライラする。
イライラが修まり、私は遊びの内容を梨奈に教えるために梨奈を探し回った。
私は図書室で梨奈を見つけた。私は梨奈の肩をがしっと掴んだ。
「ねぇ、梨奈!新しい遊び考えたよ!」
梨奈は一瞬戸惑った顔をした。だがしかし、私にとってこいつの気持ちなんて知ったことないので、私は言葉を続けた。
「あんたに彼氏が出来るまで手当たり次第告白させるゲーム。誰に告白するのかとか告白の時の台詞は私が考えるから。どう、楽しそうでしょう?」
「あ、いや……その…………」
「はい、すぐ答えられなかったから決まりね!……そんな嫌そうな顔しないでよ。地味でブスでなんの取り柄もないあんたでも、好きになってくれる人は必ずいるって!」
と、私は口では言っているが内心、梨奈なんかに彼氏なんて出来る訳ないと確信していた。皆こんなブスで地味な女より、美人な私を選ぶに決まっている。梨奈のことが好きな人がいるとしても、かなりの物好きかイケメンに引き立て役に使われるなど、その程度だと思った。
すっごく面白い✨
梨奈がどう行動していくのかが、凄い気になる……!
続き気になります!
楽しみにしています!
放課後、早速私達は梨奈にで一番カッコいい常磐に告白させた。校舎裏で告白するよう言っておいたので、私達は校舎裏で梨奈を待った。
しばらくして、梨奈と常磐の姿が見えた。私は笑いをこらえるのに精一杯だった。桜と澄恋も私ほどではないけれど笑っていた。
私はボイスレコーダーとカメラを用意する。
「私より、可愛い女の子は世界中どこを探してもいないよ?だから、私と付き合ったら損するよ?」
ああ、簡単。全てが私の思い通りに行く。
「ごめん、タイプじゃないから」
私達は梨奈のところに行って大爆笑した。
「ぷっ……………うっわー!自分のこと可愛いと思ってるの?そんな顔で?あー、おっかしー」
梨奈は何も言わずにその場を去っていった。
「桜、澄恋、明日あんたたち二人で梨奈が常磐に告白していたことを広めてよ!振られたことも、ね」
「うん、わかった!」
この二人も随分と都合がいいな。
読んでいて気になったことがあったのですが…。
「私より、可愛い女の子は世界中どこを探してもいないよ?だから、私と付き合ったら損するよ?」
これは、「私より可愛い女の子は居ないよ、付き合ったら損するよ」という意味になっていて、少し矛盾(?)して居ます。これはわざとなら申し訳ないのですが、そこを明白にしたいので答えて頂ければ幸いです。
新しい作品も、頑張って下さいね!応援しています。(乱入&長文失礼しました)
>>23
すみません、そこは間違いでした。次からは間違えないように気をつけますね!
正しくは、「私より、可愛い女の子は世界中どこを探してもいないよ?だから、私と付き合わないと損するよ?」です
26:みぃ◆VZbV1gU:2020/06/14(日) 10:15 翌日、あの梨奈がまさかのリップクリームを持ってきていた。しかも結構可愛いデザインのものだ。
は?こんなブスがリップクリームを塗っても何も変わらないでしょ?何こいつ、可愛くなりたいとでも思ってるの?……黙ってみていられないね。
「何あんたブスの癖に可愛いデザインのリップクリーム持ってきているの?ブスの癖に夢見てんじゃねぇよ」
私は梨奈のリップクリームを取った。
「あの…………これ…………自分のお小遣いで買ったんですけど………………」
梨奈の事情なんて、私が知る訳ない。それに、私みたいな美人が使ったほうが、リップクリームも嬉しいはず。こんなブスに使われたらリップクリームが可哀想だ。
「あのねぇ、こういう可愛いリップクリームは、可愛い子が使うものなの!一回自分の顔を鏡で見てきな」
可愛いリップ……これを梨奈が使うのは勿体なさすぎる。どうせなら唇が乾いてバリバリに皮が剥がれてもっとブスになればいい。
私は可愛いリップを手に入れられてとてもいい気分だった。だがしかし、私のお気に入りのシャーペンが壊れていた。今日は少し家を出るのが遅かったので、走っていた時の振動で壊れたのだろうか……
「先生ー、佐崎さんにシャーペン壊されましたー」
その瞬間、直ぐに先生はしかめた顔をした。
「佐崎さん、何回里中さんの物を壊しているのですか?気をつけて下さい」
「え……あ……はい………」
そう、私は何か物が壊れていたりなくなっていたら梨奈のせいにしている。そしてその度に担任に嘘の告げ口をしている。何回も梨奈が壊したことにすれば梨奈の成績が落ちると思ったから。
それにしても担任も馬鹿だな。何回も梨奈にやられたと告げ口しているのに怪しまれないなんて。私が担任の立場だったら、絶対に疑うわ。まぁ、担任といつも話している私と、担任と全く接点のない梨奈だから、担任も私の方を信じてるんだろうけど。
本当に人間って弱くて馬鹿な生き物なんだな。
梨奈可哀想………どうなるんだろ?
てか、茉莉ムカつく!
私はブスの癖に調子に乗った梨奈に腹が立ったので、梨奈に命令をしようと思った。ブスは前に出てはいけないという教訓をしてあげるのだ。
「ねぇ梨奈、私前からハンドクリームが欲しかったんだよね。だからあんた薬局屋で盗んできてよ。それで明日私に渡してよ」
「え………あの…………それは………」
梨奈の返事が遅かったので、私は梨奈の返事を聞かずに言葉を発した。
「は?ブスの癖に前に出ようとしたあんたが悪いんでしょう?言っとくけど放課後あんたがちゃんと万引きしているか見るつもりだから。絶対逃げられないよ」
「………はい」
やっぱりこいつは都合がいい。なんも反抗できない弱いやつ。心までブスなんだな。
まぁいいや。放課後梨奈が万引きをしているところを遠慮なく堪能するか。
放課後、私は梨奈の後をつけてきた。約束通り、梨奈は薬局にいた。私も薬局の中に入る。
ハンドクリームの場所を見つけ、私は遠くで梨奈の様子を見た。梨奈は不安そうな顔で辺りを見回した。
……おお、このまま盗むのかな……
私はスマホのビデオをつけた。盗んだ瞬間を録り、あとでクラスラインに載せるつもりだ。
そしてしばらくすると……梨奈はフルーツの匂いのするピンク色のハンドクリームを鞄の中にしまった。そして私は同時にスマホのビデオの録画を止めた。
フルーツの匂いか……中々良い物を盗ったじゃないか。でも私の心を満たすのがブスな梨奈の役目なんだから当たり前か。
よし、じゃあ家に帰ってゆっくりとクラスラインに写真を載せるか。私は鼻歌を歌い、スキップをしながら家に帰った。
「見てみてー!さっき薬局に行ってたんだけど、梨奈が万引きしているところを見ちゃったー!」
私はさっき撮ったビデオを送信した。すると、直ぐに既読がついた。
「うわぁ、梨奈最低!」
そう真っ先に返信してきたのは澄恋だった。続いて桜も頷いた顔をしているスタンプを送信してきた。
まぁ、あんたたちがすぐに返信するのは当たり前なんだけどね。桜と澄恋は私がラインをしたら10分以内に返さないといけないというルールがある。
こっちがあっちにいい思いさせてあげてるんだから、桜たちからも何かしてもらわないと困るからね。なんならもっと私の雑用を引き受けて貰いたいが、心の広い私は我慢してあげている。
そして何人も既読がついた。しかし、返信してきたのは桜と澄恋だけだった。
まぁいいや。皆梨奈が万引きをしたということはわかったようだから。
あぁ、明日梨奈は皆になんて言われるのだろう
すごい……好きです…。
33:アル ◆6.:2020/06/16(火) 17:16 凄い展開!めっちゃ好き!
これからも頑張れ、みぃちゃん😉
わぁ!
続き気になる〜!
これからも頑張って!!
朝、私が学校に行くと誰かの叫び声が聞こえた。
「あんた何昨日薬局で万引きしていたの?この間も常磐に告白していてさー、最近ブスの癖に調子のってない?キモいんだよ!」
そう言って澄恋が梨奈を叩いた。すると他のクラスメイト達がクスクスと笑い声を立て始めた。
「ぷっ……あんたその顔で常磐に告白したの?身の程を知ればぁ?」
誰かがそう言い始めてから、次々と皆は梨奈のことを馬鹿にしていった。そんな中私は私の机に座り、梨奈の机にあったハンドクリームをこっそりと取った。そして私は机に顔をうつ伏せて笑った。
こんなにクラスメイトが薄情だとは思ってもなかった。誰かが梨奈の肩を持ち、思い通りに行かないこともあるのではないかと予想していた。
だって、「身の程を知れ」って、要するに梨奈が常磐みたいなカッコいい男子と付き合ってはいけないと言う事でしょ?
自分が遊ばれたくないからって誰も梨奈を助けない挙げ句梨奈の悪口を言うなんて……人間の愚かさを改めて知った。
ますます面白そうな展開になってくる予感がした。
本当に人間って、怖いなぁ。
37:みぃ◆VZbV1gU:2020/06/19(金) 14:49 それから梨奈は、「ブスの癖に常磐に告白した生意気な女」というレッテルを貼られ、更にクラスで孤立するようになった。
可哀想に、誰にも相手にされなくて……可哀想だから私が相手をしてあげようか。
「桜、澄恋、梨奈とトイレで遊ぼうと思ってるからさ、逃げられないように3人で梨奈を連れて行こうよ」
「うん、わかった!じゃあ梨奈を呼びに行こう」
そうして私達はただ一人で座っている梨奈に声をかけた。
「ねぇ梨奈、トイレで一緒に遊ぼうよ。ほら、早く来て!」
私達は梨奈の返事を聞かずに梨奈の腕を引っ張った。私は梨奈の腕が千切れそうなくらい強く引っ張った。強く引っ張ったほうが梨奈の体も丈夫になりそうで、梨奈のためになりそうだからだ。
そうして私達はトイレにつき、梨奈を思いっきり床に突き落とした。
ああ、突き落とした時の梨奈の醜い表情ときたら……
私は一歩後ろに下がった。そして桜が声をあげた。
「あんたさー、最近調子のってない?……こういう生意気なブスには、ちょーっとお仕置きしないとねー」
そうして桜と澄恋は掃除用具で梨奈を叩いたり、トイレの水をバケツですくって梨奈にかけたりした。
……本当に都合がいいなぁ。まぁ、私みたいな可愛い女の子は体を汚したくないんでね。こういう体が汚れるような遊びは大して可愛くないこいつらにやらせるのが一番だね。
いつの間にか梨奈の体はあざだらけになっていた。桜達が何度も叩いたからだろう。
「仕上げにトイレの水に顔をつけてお辞儀して。『私みたいなブスが調子にのってすみませんでした』って敬意をこめて」
そうして桜と澄恋は二人がかりで梨奈を押さえつけ、無理矢理梨奈の顔をトイレの便器に突っ込ませた。
「………あの、なんで私を虐めるんですか?私、茉莉さんに何かしましたか?」
珍しく梨奈は淡々と話した。その言葉で私は堪忍袋の緒が切れた。
何?「虐めるんですか?」って。遊んであげているのに。
「……は?あんたがブスで気が弱いからに決まってんだろ?ていうか何勘違いしてんの?私は虐めているんじゃなくめあんたの心を鍛えているだけ。っていうかブスの癖に気安く下の名前で呼ばないでくれる?あと、わざわざ梨奈の相手をしてやったんだから、あんたがトイレを片付けておいてよね」
そうして私達はトイレを出ていった。
私は梨奈が戻ってきたことを確認したら、椅子から立ち上がった。そして私は口を開いた。
「皆さーん!梨奈のあだ名を考えたので聞いてくださーい!梨奈はブスで何の取り柄もない、心までブスな子なので『ブス子』というあだ名を作りましたー!なので『佐崎梨奈』という女の子はいなくなり、代わりに『佐崎ブス子』という女の子がやってきましたー!」
辺りを見回すと、少し戸惑っているような人や、私に目をつけられたくないから一緒になって遊んでいる人、近くの人と何か話している人など、様々な人がいた。
まぁいいや。私は言葉を続ける。
「なので、今日からこの子を『ブス子』と呼ばなかった人がいたら、次の日からその呼ばなかった人と遊ぼうと思いまーす!」
私はかなり大きな声で、満面の笑顔で言い切った。弱いクラスメイト達は、私に遊ばれるのが嫌なのか、全員揃って首を縦に振った。
私は梨奈の方を振り返り、梨奈にしか聞こえないぐらいの大きさの声で話した。
「よかったね、あだ名をつけられて。これで少しは友達できるかもね」
と、口ではそう言った。だがしかし、こんなブスで地味で話すのが遅くて頭もそこまでよくない梨奈が、友達なんて出来るわけないと思っている。
人間こわwwww
41:みぃ◆VZbV1gU:2020/06/23(火) 17:51 それから、クラスの皆は梨奈に何か用があるときは梨奈のことを「ブス子」と呼ぶようになった。しかし、元々皆あまり梨奈と話さないので、あまり皆が「ブス子」と読んでいる姿は見かけなかった。
だがしかし、私と桜と澄恋は色々な理由をつけて「ブス子」と呼ぶ機会を作っていった。
……あ、梨奈が扉のところにいる。これは「ブス子」と呼ぶチャンスだ。
私達は扉へ向かった。そして私はわざと梨奈を思い切り蹴った。
「おい、そこ邪魔なんだよ!早くどけよ、ブス子!」
梨奈は何も言わずに悲しそうな顔で扉から離れて言った。
まぁ、扉の向こうに行く気は一切ないんだけどね。ただ単に「ブス子」と言いたかっただけ。「ブス子」という言葉をたくさん使って、梨奈なんて絶望のどん底に落ちてしまえばいい。そして自分に自身をなくしてもっとブスになればいい。
「誰か、この宿題のチェックを昼休みまでにしてくれませんか?」
先生が、今日提出の宿題を誰が出したか確認しろと言った。私はすかさず手を上げる。
「先生!私やります!」
「里中さん、いつもありがとうございます。いつも里中さんに任せてしまって」
「いえいえ、お役に立てて嬉しいです!」
先生は申し訳なさそうな笑顔で教室を出てった。
……ばーか。本当にお前のことを手伝う訳ないだろ、この馬鹿教師が。
私は梨奈の方をくるりと回り、プリントとくらすの名簿を梨奈の机にドサっと置いた。
「昼休みまでにやっといてね」
「は……………はい……………」
先生から信頼されたほうが色々と有利だろうが、こういうのをやるのは面倒くさいからやりたくないんでね。こういう地味な仕事は梨奈みたいなクラスの脇役にやらせればいいんだよ。
どっちにしろ私が先生に渡すから得するのは私だしね……
梨奈は一人で黙々とプリントのチェックをしていた。
「ねぇブス子ー、はかどってるー?」
「え、あ、はい…………」
話している暇があるならとっとと手を動かせよ。早くしないと昼休み過ぎちゃうでしょ?
手を止めて口を開いてる梨奈に対して怒りの気持ちが沸いてきた。なので私はそのお仕置きに梨奈の机をひっくり返し、プリントをあちこちに散らばらせた。
「あっ、ごっめーん!手が滑っちゃったー」
すると近くにいた桜と澄恋も一緒になって笑った。
「クスッ、ブス子大丈夫ー?」
「プッ、茉莉怖ーい」
それに続くように、私は口を開いた。
「まぁ、ブス子が手を動かしてないのが悪いんだよ!早くプリント拾っておいてね。じゃないと昼休み過ぎちゃうから」
ふー、すっきりした。やっぱりこいつと遊んでいると心が満たされるなー。
「さ、里中さん……………終わりましたよ」
「は?遅かったじゃん。どうやったらこんなに遅くなるの?馬鹿じゃない?」
私は梨奈の髪をぐいっと引っ張った。梨奈は少し痛そうな顔をしたが、私は全く気にしない。
「まぁいいや。今度からはちゃんと早く終わらせてよね」
私はプリントを職員室へ届けるために、プリントを持って職員室へ向かった。
「先生!終わりましたよ」
私はにこやかな表情で先生に渡した。すると、先生がぱっと顔を明るくした。
「いつもありがとうございます。里中さんにばかりやらせて申し訳ないです」
「いえいえ!また困っていたら言ってください。失礼しました」
そうして私は教室へ向かった。
……ばーか。誰が本当にこんな馬鹿教師を助けると思ってるんだよ。いっつも私にやることが沢山あるからって雑用を押し付けやがってよ。自分のことは自分でやれよ、糞教師が。
「ねぇブス子、今日は私の仕事を手伝ってくれてありがとー」
私は教室へ戻り、にっこりと梨奈に話しかけた。梨奈は思わずびっくりとする。
「でね、そのお礼にさ、またあんたに告白させようと思ってるんだよねー。次に告白させようと思うのは既に彼女のいる、3組の佐藤にしようと思ってるんだー」
「あの……その………」
相変わらず梨奈は応えるのが遅い。なので私はまた梨奈の返事を聞かずに口を開く。
「はい、また応えられなかったから決まり!場所は、放課後の教室で。放課後に3階の多目的室で待っていてね。台詞の紙はまたあとで渡すからー!」
そう言って私は桜と澄恋の所へ行った。告白の時の台詞はいつも大体桜と澄恋に書かせている。桜の文章力と、澄恋の妄想力なら、きっと痛い告白の内容が生まれると思うからだ。
「桜、澄恋ー、また告白の台詞書いて。相手は既に彼女のいる佐藤で、告白の場所は放課後の多目的室だから。それに添った痛々しい告白の内容を書いて」
「うん、分かった!楽しみにしててね」
「じゃあブス子、頑張って。彼氏できるといいねー」
私は桜と澄恋に書かせた台詞を梨奈に渡した。
私はわざと嫌味らしい笑みを浮かべ、ヘラヘラと笑いながら紙を渡した。
しばらく私達は教卓にしゃがんで梨奈の様子を伺っていた。すると、佐藤が多目的室へやってきた。私はラインの録音ボタンを押した。
「あのさ、佐藤って彼女いるんだよね?なんであんなブスで何の取り柄もない子を選んだの?私のほうが可愛くて賢くて性格もいいんだよ?だからあんな彼女とは別れて、私と付き合おうよ」
桜と澄恋は、二人に気づかれないようにスマホで写真を撮った。
なんて素晴らしい光景なのだろう。
しばらくして佐藤が口を開いた。
「なんで俺の彼女をそんなに悪く言うの?お前は俺の彼女のことが嫌いなのかもしれない。でも俺にとってあんないい彼女は他にいないんだ。頼むから俺の彼女の悪口を俺の前で言わないでくれ。………あのさ、何の取り柄もないのは、お前のほうじゃないの?」
佐藤がいなくなり、私は録音ボタンを離した。そして私達は梨奈の所に行った。
「クスッ、また彼氏できなかったねー!」
「え、あ……………はい」
「大丈夫!次はもっとレベルの低い人を選んであげるからー!次こそ出来るといいね!」
私達は梨奈の肩を嫌味ったらしくポンポンと叩いた。
「皆ー、おっはよー!!」
「お、おはよう……」
皆の弱々しい挨拶が返ってきた。
「皆さーん、昨日のボイスメッセージは見ましたかー?昨日ブス子はー、既に彼女のいる佐藤に告白しましたー!」
すると、クラスからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「うわっ、そんな顔して彼女持ちの男に手を出すとか」
「どんだけ自分のこと勘違いしてんだよ」
あー、いい光景。弱いクラスメイトを見ているのはやはり飽きないなぁ。皆が梨奈を笑う度に人間の愚かさを感じる。
私は梨奈の机に近づき、梨奈の匂い付きの消しゴムを盗った。
「なーにブスの癖に調子こいてんの?ブース」
私は消しゴムを地面に落とし、踏みつけた。すると梨奈がばっと立ち上がった。
「や、やめてください……!この消しゴムは気に入っていて、そうやって踏んづけられると匂いが消えてしまいます……!」
梨奈がこんなに自分の言いたい事を言うところなんて初めて見た。
……ああ、いい気味。梨奈が本当に嫌がっていることをして梨奈のメンタルを鍛えてあげている私……なんて優しいのだろう。
もう匂いが消えたかな?と思い、私は消しゴムの匂いを嗅ぐ。
よっしゃ!匂いが消えてる。私の勝ちだ!
「ざんねーん!消しゴムの匂いは消えましたー」
「…………!?」
その瞬間、梨奈が涙を流した。梨奈の涙を見たのは初めてだ。
「あんた何泣いてんのー?ブスがもっとブスになってて笑えるー!」
私はお酒を飲んだおじさんぐらいのテンションで、大笑いをした。
たかが消しゴムでしょ?しかも匂いは消えたけど使えるし。バカバカしい。
「っ……………!」
梨奈は無言でどこかへ行った。
「あーあ、消しゴムごときで何泣いてんだか。アホらしい。メンタル弱すぎ」
私はため息を吐きながら梨奈が教室を出ていった方向を眺めていた。
その後、梨奈はどこかへ行ったきり帰ってこなかった。
アホらしい。たかが消しゴムでどこかに出ていきやがってよ……なんなの?アイツ。
私はイライラし、爪を強く噛む。親指の爪を凄い強く噛んだので、凄い痛いが気にしない。今は爪ではなく梨奈のことのほうが大事だ。
その時、誰かがポンポンと肩を叩いてきた。
「里中さん……隣のクラスのブス子と小学生が同じだった人が言ってたんだけど……」
クラスの女子が話しかけてきた。
「ブス子は、昔からお爺ちゃん子だったみたいなの。ブス子のお爺さんが消しゴムはんこを作る人でね、ブス子にも消しゴムはんこを結構プレゼントしていてさ、中でも気に入っていたのがさっき里中さんが踏んづけていた匂い付きの消しゴムはんこなんだって。そこにはお爺さんがブス子に書いたメッセージもあって……でもその消しゴムはんこをブス子にあげてすぐにお爺さんは死んじゃったみたいでさ……だからブス子はお爺さんの形見として大事に持っていたんだって」
なるほど、どうりでもう一つ消しゴムを持ってたわけだ。
「だから結構今回のは酷いんじゃない?」と、女子は付け加えた。
ハッ、それがなんだっていうんだよ。アイツの事情なんて私は知らないし。ていうかよく梨奈を「ブス子」って呼んでるお前が言えるな。
お前も同罪だろ?
私は女子の髪をぐいっと引っ張った。
「は?お前も見ていたんだから同罪だろ?ていうか『ブス子』って呼んでるあんたがよく言えるね」
「きゃあっ!」
そして私は女子をドンと付き倒した。そして私は女子の胸ぐらを掴んだ。
「今度私に逆らったら……次はお前を虐めるからな?この弱物が!」
「は、はい……」
そうして女子はびっくりした顔で走って逃げていった。
全く、弱い奴が。ちょっと髪を引っ張って脅した程度で逃げやがって……どいつもこいつも弱すぎる。ちっとも相手にならない。
まぁいいや。弱い奴らは皆私の下僕。一番強くて美人な私が一番上の立場にいるのは当たり前。この世は弱肉強食なんでしょ?
弱いクラスメイトはすぐに勝てるが、私の心を満たすのにはとても丁度いい道具だ。
全てが私を中心にして回っている……ああ、なんて素敵な世界なのだろう
私は帰りに梨奈の家に行った。梨奈を明日学校に行かせるためだ。このまま梨奈が不登校なんかになったら、次のターゲットを選ぶのに一苦労だ。散々皆で遊んだので、次のターゲットはいないに等しい。
えっと……梨奈の家はこのアパートの203号室だよね。
私は「佐崎」と書いてある表札の隣にあるインターホンをならした。しばらくして梨奈が出てきた。
「さ、里中……さん……」
梨奈は私の顔を見て少しびっくりとした。
「ほら、学校来なかったんだから一緒に太陽の光浴びよう!」
私は梨奈を外に出させてから、梨奈を階段から転げ落とさせた。
「う………………痛………………」
梨奈は地面に横たわった。私は階段を降り、梨奈のことをお構いなしに言葉を発した。
「あのさ、なんで今日消しゴムごときで休んだわけ?退屈だったんだけど」
「あのさぁ、あんたの家知ってるから。だから明日来なかったら無理矢理迎えに行くよ?だから明日は絶対来いよ?」
「は、はい……」
私は梨奈のお腹を強く蹴った。
「ったく……ほんとこのブス使えないわな」
さてと、言いたい事も言ったし、梨奈のことを蹴ってストレスも解消出来たから帰りますか!
ストレスが無くなり、るんるんとした気分で帰っていると、桜からラインが来た。
「ねぇ、明日の遊びを澄恋とラインで話してたんだけどさ、ブス子の顔を油性ペンで落書きするのはどう?私達じゃなくて、クラスの女子皆で!」
なるほど、キモい顔をもっとキモくするのか……中々いいではないか。その顔で誰かに告白させたら、更に面白くなりそうだよね。
私は桜に返信した。
「中々いいアイデアだね!その落書きさせた顔で誰かに告白させるのはどう?」
「わかった!じゃあ澄恋と告白の台詞とかを考えておくね!」
「桜、澄恋、おっはよー」
「おはよー」
「考えたんだけどさ、朝とか休み時間にブス子の顔に落書きしたら、授業の時に先生に落書きがバレちゃうからさ、帰りの会が終わってから女子を集めてブス子の顔に落書きしない?」
梨奈の顔の落書きが先生に見つかってもし梨奈が先生にチクるとかになったら、溜まったもんじゃないからね。
まぁそれでも私は美人で性格もいいからあの馬鹿教師は私のことを信じると思うけどね。でも桜とか澄恋とか特別可愛くない奴が可哀想だからわざわざ放課後にしてやってるけど。
「じゃあ落書きしたあと告白させるんだね?」
昨日言っただろ?ばーか。こいつらは私の遊びの内容を覚えることすら出来ないのかよ。
「うん、そうだよー」
「わかったー!じゃあ放課後楽しみにしているね」
「ねぇ梨奈、授業中にあんたにラインを送るから、着信音とか振動をつけたまま授業を受けて」
放課後まで待つのは退屈なので、私は梨奈に授業妨害をするように命令した。
つまらない授業……たまには授業妨害があってもいいのではないか。じゃないと退屈過ぎる。しかし、私が授業妨害をするとなると内申点に響くかも知れないので、梨奈に授業妨害を命令した。
「は、はい……………」
キーンコーンカーンコーン。国語の授業が始まった。私は早速梨奈にラインを送る。
ピコーん、ピコーん、ブーッ、ブーッ。「ブス」「しね」などと言った2文字で終わる言葉を連続で送っているので、かなり着信音や振動がなっている。
「誰ですか?携帯をマナーモードにしていないのは!」
「すみません、私止めたんですけど……佐崎さんがどうしてもマナーモードにしたくないとおっしゃったので……」
「佐崎さん、今すぐマナーモードに切り替えて下さい!」
クスッ、無駄無駄。だって梨奈には、何があっても着信音と振動を切るなと言ったのだから。
「嫌です、授業が眠くて仕方ないので眠気覚ましに使っているだけです」
すると、国語の先生は顔を真っ赤にして梨奈を怒鳴った。
「……まぁ!なんなんですか?その態度は!私の授業が嫌いなのかも知れない……ですが携帯の着信音を鳴らすのは立派な授業妨害です!」
あーあ、私の嘘にまんまと引っ掛かって。国語の先生も全く手応えがないわ、本当に。退屈過ぎる。
昼休み
私達は校庭で弁当を食べていると、校庭の隅で一人で弁当を食べている梨奈を見つけた。私達は梨奈の所に向かった。
「ブス子ー、そのお弁当不味そー!私が美味しそうにしてあげるー」
そうして私は梨奈の弁当を箸でぐちゃぐちゃにした。その横で桜と澄恋が笑っていた。
「ブス子ー、自分のお弁当がぐちゃぐちゃにされてるのに嫌といえないなんてダッサーい!」
「やっぱりダサい奴は心もダサいんだね!」
桜と澄恋が私の隣で好き勝手言ってる所で、私は「もういいかな?」と思ったので手を止めた。
「はい、終わったよー。ブスで汚いあんたの弁当をわざわざ綺麗にしてあげたんだから、感謝してよね!」
「あはは、茉莉やっさしー!」
そうして私達は笑いながらさっき食べていた場所へ戻っていった。
ようやく帰りの会が終わり、放課後になった。先生がいなくなったのを見ると、私は大声で叫んだ。
「女子の皆さーん!これからブス子の顔にマジックペンでブス子のキモい顔をメイクして可愛くしようと思いまーす!黒板の前に来てくださーい」
私と桜と澄恋は、梨奈の背中をぐいぐいと押して黒板の前で付き倒した。それに続いて、他の女子達も皆マジックペンを持って黒板の前にやってくる。
「制限時間は5分まで!それまで皆好きなようにメイクしてね」
私の合図で、皆は落書きを始めた。顔だけだと満員なので、私と桜と澄恋は首や腕などにも落書きをした。
「ブス」「キモい」などの悪口はもちろん、瞼を黒く塗りつぶしてアイシャドウのようにしたり、唇を黒く塗りつぶして口紅を塗ったような感じにしたりなど、本物のメイクみたいな落書きもあった。
楽しい時間はあっという間で、5分経ってしまった。
「あー、楽しかった。ノーメイクの時よりずっと可愛くなってんじゃん。まぁ告白頑張ってね」
「いや茉莉ー、どこが可愛いの?ブスがもっとブスになってるー」
澄恋が梨奈を指差して笑う。
「はっ、まぁブス子なんてメイクしててもしなくてもどっちにしろブスでしょ!」
「あっはははははははは!!!」
女子全員で梨奈を笑った。
流石にヤバイ気が………
でも面白い!更新楽しみにしてます!
今日の告白の相手は学校1のブサイク、高橋だ。学年で一番のイケメンの常磐……既に彼女のいる佐藤……流石に難易度が高すぎだろうと思ったので、うんと難易度を下げてあげた。
「はいこれ、パパっと覚えて。今回の場所は屋上だから」
私は桜と澄恋に書いてもらった台詞の紙を梨奈に渡した。
この落書きされた顔で告白とか……絶対成功しないことが目に見える。
私達は梨奈を屋上に連れて行った。そして私達は端っこでスタンバイをする。しばらくして梨奈は口を開いた。
「あんたみたいな世界一の不細工には、私みたいな世界一の美人がお似合いだよ?そうすれば、私の可愛さが引き立つもん!」
梨奈が告白している最中、私達は顔を見合わせて笑っていた。
やばい、やばすぎる……。これは傑作だ。
あまりにも夢中になってしまって、私達はカメラで写真を撮るのをうっかりと忘れてしまった。
「興味ないから」
高橋は怒ったような表情で消えていった。
「うっわぁ、あんな不細工にも振られるなんて、だっさーい!」
「あー、おっかしー」
私達は大笑いをした。
「まぁいいや。可哀想だから一緒に帰ってあげる!」
そうして私達は梨奈に自分達の通学バッグを投げて渡した。梨奈は通学バッグも満足に受け取れなく、私達の通学バッグを床に落としたのだ。
その様子に私は苛立ち、梨奈の髪を引っ張った。
「は?振られた惨めなあんたと帰らせてあげてるって言うのに……何通学バッグもろくに取れないんだよ?早く拾えよ!」
そして梨奈は私達の通学バッグを拾い、それが重いのか凄いふらふらしている。
クスッ、いい気味だ。
「茉莉、やっさしー。こんなブスと一緒に帰ってあげてるなんてー」
「しかも荷物を持たせてブス子の握力を鍛えさせてあげてる」
「やっさしー!」
あーあ、こいつらも馬鹿だなぁ。私はこいつらの事を友達と思ったことは一度もないのに、こいつらは私のことを友達だと思ってる……こいつらも随分と傑作だ。
「ブス子ー、大丈夫ー?次はもっと難易度下げてあげるからねー」
「ほらほら、そんなに落ち込まないで」
私達は嫌味ったらしく梨奈をヘラヘラと笑いながら慰めてあげた。落書きされてもっとブスになった顔で落ち込み、私達の荷物を持ってる梨奈の顔が絶景すぎる。
しばらくすると、梨奈の家が見えた。
そうだった、私達四人だと梨奈が一番家が近くて私が一番遠いんだった……
私は梨奈の腕をぐいっと引っ張る。
「ブス子の家が見えたけど、まだ帰らせないからね!振られた惨めでブスなあんたを慰めてあげてるんだから、荷物ぐらい最後まで持ってよね!」
「は…………………はい…………………」
「あっはは!茉莉さっすがー」
わざわざこんなブスに付き合ってあげているんだから、このぐらいしてくれないと困る。そして桜と澄恋も、私のおかげで苛められなくて済んでいるのだから、私の言う事を聞いてくれないと困る。
ブスな梨奈や特別可愛くない桜と澄恋が美人な私の言う事を聞くのは当たり前。
しばらくして、桜と澄恋のマンションに着いた。二人は同じマンションに住んでいるのだ。
「じゃあ茉莉、あとはこのブスを宜しくねー!それじゃー」
「うん、バーバーイ」
くそっ、なんで引き立て役が二人もいなくなるんだよ!このブスがいるだけでも私の美しさは引き立つと思うが、特別可愛くないあいつらもいた方が、よっぽど引き立ってるに決まってる。
私は気持ちを切り替えて、人目のつかない道に入ると梨奈と背中をドカッと蹴った。そして梨奈がその場に倒れた。
はぁ、すぐに倒れるんからつまらないのなんのって。
「あっはっは!こんだけで倒れるとか弱ーい。私の家につくまでみっちり鍛えさせてあげる!」
そうして私は通学バッグを持ってる梨奈のことを叩いたり髪を引っ張ったりした。
楽しい時間はあっという間で、私の家が見えた。
「じゃっ、明日も遊んであげるから!じゃーねー」
「はい……………」
梨奈は弱々しく返事をした。
朝、梨奈がガラガラと教室のドアを開けて入ってきた。私は梨奈の方に行く。
「おっはよー!ブス子」
そう言って私は梨奈のお腹をグーでパンチした。そうたら梨奈は痛そうにお腹をさすった。
あーあ、すっかり弱っちゃって。いい光景だ。
私はトドメを刺すように、梨奈の腕を雑巾絞りにした。
あー、楽しー。人が苦しむ姿は実に美しい。
「あっはっは!随分と弱っちゃって笑えるー。まぁ、今日も面白い遊びを考えて来たから、今日もよろしくねー」
そうして私は自分の机に戻り、今日の遊びのメニューを一人で考えた。
はぁ、暴力とか悪口とか……ありきたりなものばっかでそろそろ飽きてきたわな。もっと梨奈を絶望の底に落とすような……自殺を考えるぐらいの遊びじゃないと私の心が満たされないわ。
そういうことを私は机にうつ伏せてぼーっと考えていた。
私は桜と澄恋の所に行った。
「あのさ、最近暴力とか悪口とか、ありきたりな遊びばかりでネタがなくなってきたんだよねー。何かアイデアとかある?」
すると、二人はしばらく首を傾げてからひらめいた様な顔をした。そして澄恋が口を開く。
「そうだ!ブス子の歌を作るのはどう?ブス子の欠点を並べた歌を作るの!」
なるほど。確かにそれは精神的に傷つくかもしれない。だって、自分が気にしているであろう欠点を歌にされてからかわれたら、誰だって嫌でしょ?
「私は賛成だよ。茉莉はどうするの?」
「私も賛成!」
「よかったー!結構自信あったんだよねー」
ばーか。お前が面白い遊びを考えるのは当たり前なんだよ。私のおかげで苛められなくて済んでるんだからさ。何回心の中でそう思わないといけないんだよ。
「じゃあ歌の内容は二人でまた考えておいてね。それじゃーまたあとで」
「うん、楽しみにしててね!」
「茉莉、出来上がったよー!」
しばらくして、桜と澄恋がやってきた。
「どれどれ?ちょっと歌ってみて」
「さーざき じーみこ ブースこ キーモイ……っていう短い歌なんだけどさ、どう?」
おお、結構梨奈に似合っている歌じゃないか。梨奈の名前と梨奈の悪口を並べた歌……まさに完璧だ。
私は思わず恐ろしい笑顔を顔に浮かべてしまう。
「いいね!大賛成。じゃあさ、桜と澄恋でこの歌を広めておいてよ。そして梨奈がうちらの近くに来る度にこの歌を歌おうよ!」
まぁ、所詮こいつらは私達の手下でしたないけれど。
「うん、わかった!じゃあ広めてくるね」
「うん、ありがとー」
そして桜と澄恋は私の元を去っていった。
「ありがとう」だなんて口だけで、本当は思ってもないんだけどね。
私は梨奈に近づき、背中をバシッと叩いた。
「何…………です……………か?」
「あんたに対しての歌を作ったのー。ぜひ聴いてねー。それでは行きまーす」
私はクラスの皆にも聞こえるように、わざと大きな声を出した。
「さーざき じーみこ ブースこ キーモイ」
すると、梨奈は暗い顔をして俯いた。しかし、私は構わず言葉を続ける。
「これから、あんたが教室に入ってきたりしたら毎回歌うつもりだから。よろしくー…………もちろん皆も歌ってよね?」
私はわざとらしく辺りを見回した。
まぁ、皆も歌うに決まってるけど。自分が苛められなければいいという愚か者ばかりなのだから。
ほら、予想通り……クラスメイトは多少戸惑いながらも教室にいるクラスメイトは皆こくりと頷いた。
教室にいないクラスメイトはまだ知らないけどまぁいいや。あとは桜と澄恋にひろめてもらおう。
私はポケットに忍ばせておいた鋏を取り出す。そして私はわざと怖い表情をした。
「その長くて緑色の髪がうざったいんだよ」
そうして私は梨奈の髪を耳辺りまで切り落とす。梨奈の髪の毛が床にパラパラと落ちていく。クラスメイトはこっちを見ていたが、何も言ってこない。
「里………中……………さん?!」
私はにこやかな笑顔を作る。
「いやぁ、そのうざったい髪を切ればブス子でもちょっとは可愛くなれると思ってさ。……ほーら、古風な感じの髪型でいいじゃん。感謝してほしいね」
本当は梨奈が可愛くなれるだなんて思ってないけど。本当はブスをもっとブスにしたかっただけだ。
「おっと、もうちょっとでチャイムなるじゃん。自分の髪なんだから自分で拾っといてねー」
「は、はい………」
そうして私は笑いながら自分の席へ戻った。
私は休み時間、梨奈の机に行った。
「ねぇー、あんたの携帯貸してよー。新作コスメが通販限定なんだよねー」
コスメは欲しいが、自分のお金でネットショッピングをするのは面倒な上に送料が掛かる。なので私は梨奈のお金でネットショッピングをしようと思った。
私は梨奈の返事を待たずに、無理矢理梨奈の携帯を取った。
何回も梨奈の携帯でネットショッピングをしているので、もう梨奈が携帯はポケットに入れてるということは把握済みだ。
「おっ、結構お金残ってんじゃんー。あはは、たくさん買っちゃおーっと」
私は梨奈のお金で高級の口紅やチークなどを沢山買った。
「あ…………あの………私のお金なので……………あまり………使いすぎないように…………」
その瞬間、私は梨奈の机をドカンと蹴った。
「は?今は私が携帯を持ってるんだから、私の携帯でしょ?何しようが勝手じゃん」
そうして私は気にせずに買い物を続けた。
やっぱりインターネットには可愛いコスメがいっぱいだなぁ。見逃せる訳がない。
なので私は、梨奈のことを気にせずにコスメを買うのだ。沢山買っていると、すぐに0円になってしまった。私はすかさず梨奈の胸ぐらを掴む。
「お前なんでこんだけなんだよ!もっと持っていろよ、貧乏女」
これだけで足りるわけがない。美人な私は普段からしっかりと美容やメイクに励まなければいけないのだ。
地味でブスで外見に気を使わなくて済むこいつとは違って、ね。
「あ、その………ごめ………」
「謝って終わりになんてさせるかよ!謝って終わりになんてしたら私が楽しめるわけないじゃない。……だから今回は許してあげる。次ブス子の携帯を借りる時までに今日の倍は持ってきて。そしたら許してあげてもいいかも」
「は、はい」
本当は許す気なんてない。だって、それで本当に許したりなんかしたら、ゲームが終わってしまう。私の負けだ。
今までこいつは、私が何人人を不登校にさせたり、学年の人を転校させたと思っているのだろう?……私の力はそこでは終わらないからな……
梨菜が手を洗い終わって、教室に戻ってきた。私は先生がいないことを確認する。
よかった、歌を唄う絶好のチャンスだ……
私は大きな声で歌を歌い始めた。
「さーざき じーみこ ブースこ キーモイ」
それに続いて、クラスの皆も歌い始めた。
「さーざき じーみこ ブースこ キーモイ」
梨奈は下を向いて落ち込んだような顔をした。おかげでブスな梨奈の顔がもっとブスになっている。
「ちょっとブス子ー、何下向いてんの?ブスがもっとブスになってるよー。ブスなんだからさ、せめて笑顔でいたほうがいいよー」
そうして私は梨奈のほっぺを両サイドに思いっきり引っ張った。そのまま縦や下に動かしたりと、梨奈のほっぺで私は遊んだ。
あー、やっぱりブスは何やってもブスなんだな。
「あ、笑顔になってるのにもっとブスになってるー。やっぱりブスは何やってもブスなんだねー。さーざき じーみこ ブースこ キーモイ」
……おっと、先生が来てしまった。
なので私は梨奈にあっかんべーをしてから自分の席へ戻った。
「梨奈ー、一緒に食べよー」
私達は、梨奈の机に向かった。
「は、はい……」
断ることも出来ないとか……どれだけ弱いのだろう。やっぱりブスは心までブスなんだな。
私達は先生のいない校舎裏で食べようとした。校舎裏につくと、私はどすんとピロティに体育座りをして座った。
「ねぇブス子ー、売店のフレンチトーストが凄い美味しいって噂でさー、私の分買ってきてよ」
そして私は、梨奈に聞こえないよう、桜と澄恋に小さい声で言った。
「ほら、あんたたちも何が梨奈に注文して」
すると、二人が口を開いた。
「じゃあ緑茶買ってきてー」
「私カレーパンー」
「は、はい………」
そうして梨奈は財布を持って売店の方に言った。
はーぁ、相変わらず私の言うことを何でも聞く下僕のこいつらは扱いが楽だなー。
梨菜がいなくなってから、桜と澄恋はクスクスと笑い始めた。
「それにしてもブス子って都合がいいよねー。まぁ、過去に茉莉が苛めていた人達よりは耐えている方だと思うけど!」
……確かに、な。最初に苛めをしたのは小学一年生の頃だ。今まで通算三十人ほどの人を苛めてきた。梨奈以外の人達は、苛められてニ、三ヶ月ほどで転校したり不登校になっていった。梨奈を苛めてかれこれ半年ぐらいか……結構手応えあるじゃないか。
「嫌々、ブス子の都合がいいのもあるけど、茉莉が強いからだよ!」
クスッ、いい事言ってくれるではないか。そうだ、私は何十人もの人を絶望の底に落とさせた、凄い人なんだ。
まぁ、はっきり言って、こいつらも何言ってもいいと言ってくれるイエスマンなので、梨奈と同じくらい都合がいいとこっちは思ってるが。
「ねぇねぇ、茉莉っ遊び相手が全員不登校になったり転校したりしていなくなったらどうするのー?」
澄恋が話しかけてきた。その様子に私は余裕ぶった表情で応える。
「その時は、さ。先生を苛めればいいじゃん」
私は話し終わると、梨奈の姿が見えた。
「あの、これ………」
そうして梨奈は私達が頼んだ食べ物を持ってきた。
遅い。遅すぎる。三分以上経ってるじゃないか。走れば三分ぐらいで買えるでしょう?
「は?持ってくるの遅すぎ。何やってんの?このブス!」
「それは…………あの……………今日はすこし売店が混んでいまして……」
私は更にイライラした。思わず眉間にシワが寄る。
は?ブスの癖に何言い訳してんの?そんな言い訳私は知らねぇよ。美人な私はブスな梨奈の言い分なんて聞かなくてもいいでしょ?
私は梨奈の背中を思いっきり蹴った。そして梨奈が床に倒れる。
「は?そんな言い訳聞くかよ。罰としてブス子の弁当は今日はなしだからね!」
そして私は梨奈のおにぎりを取った。私はおにぎりをペロリと食べた。
「あははっ、茉莉強ーい」
「ブス子ー、あんたメンタル弱いねー、かっわいそ!」
桜と澄恋の言葉に、私も続いて言葉を発する。
「大体、あんたは顔が可愛くないんだからさ、スタイルぐらいはよくしようよ。感謝してほしいね」
まぁ、ブスでスタイルがいいだなんてもっと笑い者にされるだけだと思うけど。
昼休み、私は担任に呼び出しをされた。なので、私は今職員室にいる。
まーた担任の雑用に使われるのかな。可愛い私はこういった雑用に使われるから嫌だね。
しかし、担任が口にした言葉は思いもよらない言葉だった。
「里中さん、クラスの女の子から、貴方が苛めをしているという話を聞いたのですが……」
誰がチクったんだよ……。
私の心臓の鼓動がドクドクと早くなっていく。
「成績優秀で正義感のある里中さんが苛めをしているだなんて、先生も信じたくないのですが……」
そうだ、私は担任から信頼されているんだ。ここはうまいこと言えばきっと免れるぞ……。
私は目に涙を浮かべた。
「う、うぅ……グスッ。先生は、私のことをうたがぅんですかぁ……?ヒクッ、私は、そんなこと………全然してないのにぃ……」
「っ、ごめんなさい!そうですよね、里中さんがそんなことする訳ないですよね……。本当にごめんなさい!」
担任が深々と頭を下げ、私は職員室を出ていった。
ばーか。涙なんかに騙されちゃって。まぁ、こういうのは泣いたもんがちですから。あーあ、大の大人が中学生なんかに、騙されちゃって。かっわいそ!
昼休み、私は担任に呼び出しをされた。なので、私は今職員室にいる。
まーた担任の雑用に使われるのかな。可愛い私はこういった雑用に使われるから嫌だね。
しかし、担任が口にした言葉は思いもよらない言葉だった。
「里中さん、クラスの女の子から、貴方が苛めをしているという話を聞いたのですが……」
誰がチクったんだよ……。
私の心臓の鼓動がドクドクと早くなっていく。
「成績優秀で正義感のある里中さんが苛めをしているだなんて、先生も信じたくないのですが……」
そうだ、私は担任から信頼されているんだ。ここはうまいこと言えばきっと免れるぞ……。
私は目に涙を浮かべた。
「う、うぅ……グスッ。先生は、私のことをうたがぅんですかぁ……?ヒクッ、私は、そんなこと………全然してないのにぃ……」
「っ、ごめんなさい!そうですよね、里中さんがそんなことする訳ないですよね……。本当にごめんなさい!」
担任が深々と頭を下げて、私は職員室を出ていった。
ばーか。涙なんかに騙されちゃって。まぁ、こういうのは泣いたもんがちですから。あーあ、大の大人が中学生なんかに、騙されちゃって。かっわいそ!
間違えて2回送ってしまいましたm(_ _;)m
76:みぃ◆VZbV1gU:2020/07/19(日) 19:29 「なんで……なんで騙されたんだよ………」
………ん?今誰かの声が聞こえた気が……。まぁいいや。さっさと教室に戻りますか!
私は教室に入って梨奈を見つけてから、梨奈の髪をぐいっと引っ張る。
「お前………何先生にチクったんだよ!」
私は自分でもびっくりするぐらいの声で叫んだ。
「あ、あの……なんのことですか………」
言い訳をする梨奈に、私はますます怒りが湧いてくる。私は更に大きな声で怒鳴る。
「とぼけんじゃねぇよ!お前担任に私が苛めをしているということをチクったんだろ?おかげでさっき職員室に呼び出されたんだわ!」
ところが梨奈はますます戸惑ったような表情になる。こうやって表情で自分のしたことを誤魔化そうとする人、私は嫌いだ。
「し、知りませ…………」
「そんな言い訳聞くかよ!!」
そうして私は怒りに狂って梨奈の机をガシャンとひっくり返す。周りのクラスメイト達はびっくりして呆然としているが、気にしない。
私はようやく我に返り、ハッとした。そこには机などが荒々しくひっくり返っている、無残な教室が見えた。クラスメイトが端っこで怯えながらこっちを見ていた。
だがしかし、この荒々しい教室を私一人で片付けるのは面倒くさい。しかもこれは梨奈がチクらなければ起きなかったことだし………。
「っ……お前がチクったから私が怒り狂ったんだろ?責任とってブス子が戻せよ!」
「は、はい…………」
そして私は梨奈に机などを戻させた。こいつがチクったのが悪いのだから、これぐらいしてもらわないと困る。
「あ、もちろんクラスメイト達に手伝わせるのは反則だからね?それじゃー昼休みまでにしっかりと、綺麗に教室を戻しておいてね?」
そうして私は廊下に行った。梨奈のあのキモい顔をずっと見ているとストレスが溜まるからだ。
ふーっ。暴れ回っちゃったのは失敗だが、チクリ野郎の梨奈を苛めることができてラッキー。
ふぅ、昨日は少しやり過ぎたかな。なので今日は何もしないであげておこう。やり過ぎた次の日に何もやらないて、軽い日はラッキーなんだと思わせるのだ。そして次の日からもっと苛めのレベルを上げて、もっと精神的に苦しませるんだ!
朝、教室に入ってから私は桜と澄恋の所に行った。
「ねぇ桜、澄恋。今日は軽い日はラッキーだと思わせたいからさ、何もしない日にしようと思ってるんだ」
すると二人は納得したように頷く。
「うん、分かった!何もしないときのブス子の様子を遠くからじっくりと見よう!」
「うん!分かってくれてありがとう!桜と澄恋は私の自慢の友達だよ!」
「いやいや、それはこっちの台詞だよ。だって、茉莉のおかげで私達も色々と楽しい思いをしているんだから、ね!」
なーんて、ね。こっちはあんたたちのことなんて都合のいい道具としか思ってないけれど。
すごい!
続き楽しみ‼
これからも応援しています!
頑張って👍
あーあ、梨奈に何もしない日は本当に退屈だなぁ。本当にストレスが溜まる。
「それでは皆さん、さようなら」
ふーっ、やっと終わった。退屈だったー。
今日の梨奈の様子は極々普通で、私と遊んでいるときと対して変わらない感じだった。正直、もっとのびのびとしていると思った。
まぁいいや。明日からもっと苛めのレベルをあげるんだから。今日は一秒でも早く帰って明日からどんな風に苛めのレベルアップをするのか考えないと。
「茉莉ー、帰ろー」
桜と澄恋がよってきた。
はーぁ、いつもいつも私の所に来てうざいんだよね。
「ごめんね、今日は明日からの苛めの内容を考えたいからまた明日ね!」
すると、二人は少し残念な顔をした。そしてその後二人は小さく頷いた。
「うん、分かった!じゃあ明日、どんな風にレベルアップしているのか楽しみにしているから!」
「うん、じゃあねー」
私は家に帰ってから、携帯をいじった。そして私は本当にあった苛め事件を調べた。
ふーん、苛め自殺って学生が多いんだなぁ。今まであまりそういうのを参考にしてなかったからびっくりとした。
ぼーっと記事を見ていると、面白そうな苛めの内容を見つけた。
何これ、葬式ごっこ……?ははっ、確かにこれは精神的に来るねぇ。これを梨奈にやったら、流石に梨奈の心も折れるかなぁ。……ふーん、結構楽しそうじゃん。
私は桜と澄恋との三人のグループラインにメッセージを打つ。
「桜、澄恋!ネットの苛め事件を調べていたら、凄い面白そうな内容の苛めを見つけたんだよね!」
数分後、二人から返信が来た。
「え、なになに?!」
「聞きたい!!」
私は素早くメッセージを打つ。
「葬式ごっこっていうやつでさ……まだあまり記事は詳しく見ていないんだけど、結構面白そうだったよ!」
「そうなの?じゃあその記事を詳しく見てから内容を教えてよ!」
「うん、じゃあ詳しく内容を見てみるね!」
私はその事件の内容が詳しく書かれているサイトを見つけた。
なるほど、色紙にメッセージを書いて葬式のようにしたのか……。それだけじゃあ地味だから、花瓶とか写真も添えてもっと派手にしたいな。
私はクラスのグループラインにメッセージを送った。
「ねぇねぇ、明日はこの遊びをして梨奈を可愛がろうよ!」
私はその記事のサイトのリンクを貼った。
「でさ、これだけじゃ地味だから、写真とか花瓶とかも用意して本格的にやりたいから。明日皆色紙を書かないといけないんだから早く来てね?」
そして次に、私は三人の方のグループラインにメッセージを送った。
「あのさ、さっき葬式ごっこの遊びの内容をクラスラインで説明したじゃん?桜と澄恋が色紙とか買ってきてくれない?」
苛めをする為に自分がお金を払うのか絶対にごめんだ。お金の掛かる時は桜と澄恋が負担するのが当たり前。
「うん、分かった!うちらで買っておくね」
ほーら、やっぱり私の思い通りじゃん。
次の日、私はワクワクした気持ちでベッドから起き上がり、クラスラインにメッセージを送った。
「今日、皆七時半に学校集合ね。よろしく」
よし、送信っと。楽しみだなぁ、葬式ごっこ。
「……何?こんな早く起きてきて。貴方の顔なんて朝っぱらから見たくないんだよね。早く起きたんだったら早く行って下さいな」
うるっせーな。言われなくてもこっちから早く学校に行くわ。こんな大嫌いな親のいる家なんて一秒でも早く抜け出したいわ。
私の両親は、昔から私に無関心だ。なので、小さいころも親とは全く話さなかった。親と一緒にどこかへ行った思い出もない。そんな時、私は小学校に入学して直ぐに桜と澄恋と出会い、学校に居場所を見つけた。二人と一緒に苛めをして、家でのストレスが発散された。
そうだ、親の愛情を受けてぬくぬくと育って……何のストレスもなくのうのうと生きている奴らを私が苛めて何が悪いんだ……。
私は朝御飯を食べ終わり、いつもの通り何も言わずに家を、出ていった。
教室を開けると、既にクラスの皆は教室にいた。桜と澄恋が私に気づき、話しかけてきた。
「おっはよー。もう皆色紙にメッセージ書き終わったよ?だから茉莉、書いて」
おー、皆準備が早くて使い勝手がいいじゃないか。どれどれ?皆なんて書いてあるんだろう。
そこには、「さようなら」「今までありがとう」と言った、嫌味ったらしい慰め言葉や「うざかったです」「最後までブスだったな」などの煽ってある言葉など、色々な言葉が踊っている。
私は元々昨日メッセージを決めてきたので、どんなメッセージを書くか迷うことはなかった。
えーっと、「私に苛められた分強くなれたんだから、天国でも私にずっと感謝しなよ?」っと。よし、書けた。
「桜、澄恋、終わったよー」
「おーっ。茉莉は早くて要領がいいねー」
ははっ、言ってくれるじゃないか。まぁ、この二人が私のことを褒めるのは当たり前。
そうして桜と澄恋は花瓶が沢山、梨奈の顔写真一枚が置いてある梨奈の机の真ん中に、色紙を置いた。
ああ、楽しみだなぁ。どんな反応を梨奈はするのだろう。
しばらくして、梨奈が教室に入って来た。梨奈は、自分の机を見てびっくりしていた。そこにクラスの皆が集まる。
「あっれー、なんでブス子来てるのー?」
「ブス子って死んだんじゃないの?」
「じゃあここにいるのはブス子の幽霊かな?」
私がそう言葉を発すると、クラスメイトはクスクスと笑う。
私は梨奈に近づき、わざと怖い顔を作って梨奈の前に立つ。
「あのさぁ、なんでまだ生きてるの?ブス子がいたらブスが感染るから早く死んで欲しいんだよね」
そうして私は梨奈に花瓶の水をバシャンとかけた。その横でクラスメイト達が嫌味ったらしくヘラヘラと笑っている。
はーぁ、一緒になって遊んでも遊ばなくても、梨奈が学校に来なかったら誰にだって選ばれる可能性はあるのに。なんて愚かなのだろう。
……あ、もうすぐ先生来ちゃうじゃないか。もう少し葬式ごっこで遊びたかったな。
「あんたの為に立派な葬式をたててあげたんだから、あんたが先生来るまでにちゃんと片付けておいてよね」
先生が来るまであと少し時間があるかな……。私は机を立ち上がり、みんなの方を向いて口を開いた。
「今日から、ブス子のことはクラス全員で遊ぼうと思いまーす。基本的には遊びには自由参加ですが、私が全員で遊ぼうと言ったら皆で遊びましょうねー!」
クラスメイト達は、私に合わせて笑っている人もいれば、私に見えないようこっそりと近くの人とヒソヒソと何かを話している人など、沢山いた。
まぁ、どっちにしろ次のターゲットはランダムに選ぶからどんな態度してようが関係ないんだけどね。
「あれー、皆ー。返事はどうしたの?」
私はにこやかに笑いながら行った。
「は、はい……」
クラスメイト達は皆、弱々しい罪悪感のある声で言った。
そうやって弱々しい声を出して「自分はやらされてるアピール」をしてるつもりなのかな?私はこいつらも苛めに参加しているのだから同じだと思うけど。
まぁいいや。私は前の席の梨奈にしか聞こえない声で梨奈に話しかける。
「皆から苛められるようになったら、流石にあんたの精神も限界になるでしょ。早く学校からいなくなれよ」
「おはようございます」
ちぇっ、なんで今担任が入ってくるんだよ。もっと梨奈の悪口沢山言いたかったのに。
それょりも、、サンシャイン様のすばらしさぉかたるべき!
みゅうなんとかゎくずだけどね、、、サンシャイン様ゎぇーぇんのぅつくしさぉほこる、、ゎら
>>87
関係のないレスは送らないで下さい。迷惑です
朝自習が終わり、私と桜と澄恋は梨奈を体育館に連れて行った。
一時間目は私の嫌いな理科の授業……サボりたかったからちょうど良かった。先生から信頼されている私なのだから、上手いこと言えば許してくれるだろう。
私達は体育館に入り、倉庫にあるロープを取った。そして端っこにある階段を昇りバスケットゴールにロープを吊るした。私はロープの先を輪っか状にした。
よしよし、こんな感じかな……。
「ねぇブス子ー、今から首吊してしんでよ」
私の隣で、桜と澄恋がニヤリと笑った。梨奈は驚いたような顔をした。
「な、なんでそんな事をしないといけないのですか?」
つまらないなぁ。すっかり喋る速度が遅くなっちゃって。
まぁいいや。話を続けよう。
「は?そんなのお前がこの世にいる意味がないからだろ?ブスで根暗で、勉強も運動もそれほど得意じゃない。そんなあんたが生きる価値なんてないだろ?」
「そうだよ、ブス子!」
「はやく自殺しろよ!」
そうして私は梨奈の首をロープに掛ける。
まぁ、もちろん自分の手は汚したくないので本気でころす事はしないけどね。ただ単に、梨奈の精神を傷つけたいだけなんだけど。
「ほら、早くしにな!」
私は怖い笑顔を作り、叫んだ。すると梨奈が泣きそうな顔をした。
「い、嫌です!しにたくないです!やめてください!」
すると、私は梨奈の体をパッと離した。私の隣で梨奈を抑えていた桜と澄恋も、梨奈の体をパッと離す。
「しょうがないなぁ。じゃあやめてあげるよー」
自分の手を汚すことだけは御免だからね。
「そのかわり……」と、私は続ける。
「あのさぁ、そんなに嫌だったら学校来ないでくれる?あんたがいるとブスが感染るんだよね」
すると梨奈は、首を大きく横に振った。
「私の親は……世間体を気にする人なので、不登校なんて許されません……」
ふーん。私と同じような親か。……許せない、こんな身近に同じような境遇な人がいるなんて。ますます親のことを考えちゃうじゃないか。
親のことを思い出したくないから、私はなんとしてでも梨奈を不登校にさせる。私はそう思った。
神小説
92:みぃ◆VZbV1gU:2020/08/03(月) 07:35 >>91 ありがとうございます!
私達は教室に戻った。とっくに授業は始まっており、私達は皆に一斉に見られた。そして教師が怒ったような顔をして口を開いた。
「里中さん、高梨さん、橘さん、佐崎さん。どうして教室から抜け出していたのですか?」
まぁ、そうなるのも無理ないか。まぁ、教師から信頼されている私がうまいこと言えば、なんとかなるだろう。
さて、どんな言い訳をしようかな。保健室に梨奈を連れて行ったとかだとつまらない。私の影響で、梨奈は教師から信頼されてないから……どうせならもっと梨奈の評価を落とそうかな。
「すみません、私達は嫌と言ったのですが……佐崎さんがどうしても授業中に抜け出したいと言ったので、仕方なく従ってしまって……本当にすみませんでした!」
そうして私達は深々と頭を下げる。
「佐崎さん、何回里中さんに迷惑をかけていると思ってるのですか?これに懲りてもう里中さんに迷惑をかけるのはやめてください!」
「はい……」
なーんてね。バーカ。お前の授業がつまらないからだよ。全く、どの先生も中学生に騙されちゃって。つまらないなぁ。
退屈な理科の授業が終わり、私は理科の教師がいなくなったのを確認すると、大きな声を出した。
「三年一組の女子ー、女子トイレに集合ー!」
理科の授業中、私は新しい遊びのネタを思いついた。私達だけだとつまらないので、一組の女子全員で苛めようと思った。
味方は多い方がいいに越したことはないからね……。
私達は先に梨奈と一緒にトイレに入った。そして私はにこやかに梨奈に笑いかけた。
「ねぇブス子ー、新しい遊びを思いついたんだー。クラスの女子全員で遊ぶから楽しみにしててよ」
「は、はい……」
横から澄恋が私の肩をトントンと叩いた。
「何?澄恋」
私は梨奈に聞こえない声で言った。
「あのさ、私達は何をすればいいの?」
「それは後でのお楽しみ、ね?」
「そっか、じゃあ皆来たら教えてね!」
私は小さく頷いた。
あぁ、早く皆来てくれないかなぁ。
澄恋と話し終わると、クラスの女子がぞろぞろと入って来た。
「ルール説明!今からブス子の制服をビリビリにしようと思いまーす!」
そして私は家や教室からから持ち出した鋏やカッターを入れた入れ物を皆に見せた。
「制限時間は休み時間が終わるまで!それまでブス子の制服を皆で好きなようにアレンジしましょう!数は人数分なかったから仲良く使ってね」
私が手をパンと叩いて合図すると、皆一斉に入れ物から鋏やカッターを取り出し、梨奈の制服をズタズタにしていく。
私は一歩下がってその様子を楽しんでいた。
ああ、なんて見苦しい……。私に遊ばれるのが嫌だからって私に従っちゃって。とても見苦しいが、とても美しい。
可愛い私は自分の肌を切りたくないんでね。だから特別可愛くないこいつらに任せればいいんだよ。
女子全員でやっているので、いつの間にか梨奈の制服はボロボロになっていた。
私はこっそりと女子トイレを抜け出し、時計を確認した。
……楽しい時間はあっという間だなぁ。もうあと二分ぐらいしかないじゃん。
「みんな、そろそろ終わり。あと二分でチャイムなるから」
「そっか。ありがとう、里中さん」
「皆は先帰っててよ。私達で後は処理するから」
そうして女子達が帰っていき、トイレには私と桜と澄恋と梨奈だけになった。私達は梨奈を指差して爆笑した。
「あはは、だっさーい!露出狂じゃん。男子の目狙ってるの?」
私達は笑い続ける。私の視界の真ん中で、悲しそうな目をしている梨奈。その光景が凄い美しい。
「あ、これじゃ恥ずかしくて授業出れないよね。今私達と一緒に教室に戻ったら私達が怪しまれるからさー、二時間目は出なくていいよー」
「あはは、茉莉やっさしー」
クスッ、相変わらず言ってくれるなぁ。
「茉莉、大丈夫?もうあと一分ないんじゃない?」
そうだった。つい夢中になっていた。先生を味方につけたい私にとって、チャイム着席を守らないだなんてもっての外なのに。
「じゃあブス子、二時間目はずっとここにいてね。じゃーねー」
結局、私は二時間目が終わっても梨奈を出さずに、トイレ用具を梨奈の入ってる個室にかけて梨奈をトイレに閉じ込めた。
クスッ、梨奈は今頃どんな気持ちになっているんだろう……。想像しただけで胸がゾクゾクする。
放課後、私と桜と澄恋は今一緒に帰っている。
「茉莉ー、ブス子のこと出さなくていいのー?」
「は、いいでしょ。そのうちすぐ先公に見つかるに決まっているし」
その瞬間、私達三人の中で笑いが起きた。
「だってさー、やじゃん?あんなブスで露出狂のブス子を私達が出すなんて、さ」
「ははっ、だよねー。ブスはブスらしく、私達の言いなりになっていないと!」
私から見たら、梨奈よりあんたたちの方が私の言いなりに見えるんだけどね。その自覚がないとか本当に馬鹿だなー。
しばらく話しているうちに、桜と澄恋と別れる道になった。
「じゃあ茉莉、また明日ね」
「うん!またねー」
私は公園の時計をちらりと見た。
……よかった、今この時間帯ならきっと絶対に間に合うよね。
ガチャ。私は家の窓を開ける。その瞬間、お酒の瓶がバリンとこっちに来た。しばらくしたら、酔っ払って顔が梅干しのように真っ赤になった男がいた。
「おい、下僕!今日酒買うって約束だったろ!何遅れてんだよ!」
約束の時間より、私は早く帰ってきた。なのに瓶を投げつけて怒鳴るこの男。
こいつらは、私を「モノ」「下僕」などと言う。こいつらにとって、私は召使いのロボットでしかないのだ。
「すぐ行きます」
「父親が待ってるんだぞ!とっとと行って来い!」
対して親らしいことをしてない癖に、こんなときだけ自分のことを「父親」と呼ぶんじゃねぇよ。人前にいるときだけしか私の名前を呼ばない癖に。
酔っ払いすぎて床で爆睡している男に対して、私はまた思う。
私はこいつみたいに、落ちぶれた人生なんて送らない。折角苛めをして学校で居場所を見つけて、ストレスも発散できてるんだから……絶対こんな男を人生の見本になんてしない。
そう思いながら私は酒を買いに家を出た。
「はい、お父さん」
私はお酒を買い、男に酒を渡した。男は乱暴に酒を取る。
「あ?なんでこんなに遅いんだよ!待ちくたびれたわ!」
男は私に蹴りを入れた。
時計をちらりと見るが、全く遅くない。近くのスーパーで買ったので、十五分ぐらいしか経ってない。それなのにこの男は私に暴力を奮ったのだ。
キッチンにいる女は見てみぬふり。
人間なんて結局その程度の生物なんだ。
私は二階に上がり、自分の部屋のベットに通学バッグを乱暴に叩きつけた。
はぁ、だから家に帰りたくないんだよ。どうせならずっと学校で、皆が寝ようとする時間になっても梨奈を寝かせずに二十四時間ずっと苛めたい。
はぁ、こんな時はインターネットで歴代の苛め自殺事件でも調べて、苛めの資料を探しますか。
冬休み明け。うちらの学年は受験間近で皆忙しそうだった。
まぁ、私は推薦入試でもう受かっているから関係ないんだけどね。受験間近でも変わらず苛めができて嬉しい。桜と澄恋も推薦で受かっているので、私達三人揃って苛めができる。
さーてと、今日はどんな苛めをしようかな……。……そうだ、受験間近なのだし、梨奈の筆記用具とかを壊して勉強の邪魔をするのはどうだろう。……あと、先生に根も葉もないことを言って、梨奈の内申点を下げるのもいいかもね。
「ブス子、おっはよー。明けましておめでとうー」
「明けましておめでとうございます……」
梨奈は俯きながら挨拶した。
私は梨奈の筆箱からシャーペンを取り出す。
「年賀状もらってなかったから年賀状代わりにシャーペンちょーだい!」
私は梨奈のシャーペンを窓から投げた。
「あんたみたいなブスに、あんな可愛いシャーペンは似合わないよー」
私は、また遊びのネタを思いついた。ちょうど梨奈と話している最中だったので、私はついでに言おうとした。
「ねぇブス子、あんたまた授業妨害してよ。先生に『教え方が悪い』とか『声が小さい』とかの文句を言ってね」
「そ、そんな……!」
今回はどの先公をターゲットにしよう……。国語と理科の教師はあっさりと騙されて、梨奈の国語と理科の成績は下がっただろうし……。
今日の時間割を確認する為に、私はちらりと後ろの黒板を見る。
「じゃあさ、三時間目の数学の時に授業妨害してよ。まだブス子に数学の授業の妨害をさせてないからね」
「………………」
「何?やらないって言うの?」
私は梨奈を睨み、指を梨奈の顎に乗せて顔を近づける。
私の思い通りにならないなんて許さない。私は学校の女王様なのだから。
「はい、わかりました……」
はぁ、やっぱり私の思い通りじゃないとね。
数学の授業中。私は梨奈に合図を送るように梨奈に向かってニヤリと笑う。
「先生、声が小さいです!それと、全然授業が分かりません!」
梨奈が先生に苦情を言い始めた。
あーあ、いい気味。受験間近で成績が落ちるなんて。なんて面白い。
「こ、このぐらいで聞こえますか?佐崎さん」
先生が梨奈に戸惑ったような声で問いかける。
あーあ、どいつもこいつも私が全て操っていると知らずに梨奈だけを疑っちゃって。馬鹿だなぁ。
「全っ然聞こえません!先公、もっとゆっくり、大きな声で!このブス教師!」
はっ、梨奈も随分とやってくれるではないか。
教師が怒りと羞恥で顔を赤くする。
「なっ……。使っていい言葉といけない言葉があります!佐崎さんの言動は、非常に失礼ですし立派な授業妨害です!」
その後の数学の授業は、梨奈と先生の言い争いで終わった。
こんな退屈な授業、推薦でもう受かってる私には関係ないんだよね。だから私が梨奈のようなろくに勉強が得意じゃない奴に授業妨害をさせるのは当たり前。
休み時間、私は梨奈の机に向かった。桜と澄恋、そして近くにいたクラスメイトも私によって来る。
「ブス子ー、さっきは授業妨害してくれてありがとー。お礼にいいことしてあげるー」
そうして私は梨奈の椅子を引き、梨奈は地面に転げ落ちた。その様子を見ているクラスメイト達が、一斉に笑う。
「ははっ、本気でやるとか馬鹿だねー。こんな受験間近な時に自分の成績を下げるようなことなんてして。でもあんたのおかげで暇潰しが出来たからさー、お礼にメンタルを鍛えてあげる」
私は梨奈のお腹を力強く蹴った。
「あんたみたいな馬鹿な奴には、こういった無様な姿がお似合いだよー」
梨奈とやりとりをしている間に、休み時間が残り二分程度になっていたので、私は机に戻った。
今日も帰りの会が終わり、退屈な学校生活が終わった。
……ったく、梨奈を苛めることしか楽しいことがないんだから。卒業まであと三ヶ月ぐらいしかないっていうのに。
私は退屈なので、暇潰しに梨奈と遊ぼうと思い、梨奈の机に向かった。そして、私は梨奈の社会の教科書をビリビリに破いた。
「あ、ごっめーん!ちょっと手が滑っちゃったー。でもこれじゃ受験間近なのにろくに社会の勉強が出来ないよねー。まぁ頑張ってねー」
梨奈はただただ呆然とこちらを見ている。その反応に私は苛立ったので、梨奈の髪をぐいっと引っ張った。
「あのさぁ、そうやって教科書や参考書を学校に持ってこられると、つい破きたくなるんだよねー。だからさ、明日は受験用の参考書とか持ってきてよー。………まぁ、今日の遊びはこれで最後にしてあげる。じゃーねー」
私は笑顔で言いながら、桜と澄恋と一緒に帰るために二人の机に向かった。
あれ?桜と澄恋がいない。……ったく、下僕の癖に先に帰りやがって。私のおかげで苛められないですんでるんだから、毎日一緒に帰ることぐらい当然だろ?ったく、この恩知らず共が!
私はイライラし、ドスドスと階段を鳴らしながら下駄箱に向かった。私は自分のロッカーを見つけ、靴を取り出そうとする。すると、そこにはパソコンで文字が印刷されている紙切れが入っていた。
……ん?なんだろう?手紙?
私は、私の靴の中に入っていた紙切れを心の中で読む。
「里中さんに伝えたいことがあります。体育館で待っています」
ふーん、誰からだろう。もしかして、可愛い私に誰かが思いを伝えようとしている……?
私の心臓の鼓動が早くなっていく。
誰が相手なのかなぁ?……やっぱり美人な私に告白するのは文武両道で顔も性格もいい完璧な男子……?あぁ、楽しみ。
私はウキウキした気持ちで、階段を下っている時とは対照的な、軽やかな足取りで体育館に向かった。
私は体育館の扉を開ける。だがしかし、そこには誰もいなかった。
もしかして、いきなり出てきて私を驚かせて告白するのかな……?更に胸がドキドキしてきた。
どんな人なんだろう?同学年?それとも一年か二年の後輩?……顔が良ければ何歳でもいいや。性格は後で変えられても、顔は変えられないからね。それに、私みたいな美人の隣は、やっぱり格好いい相手を歩かせておかないと!
そんな妄想をしていても、誰も来ない。色々と妄想をしているうちに、七分ぐらい経っただろうか。
「すみませーん!誰かいますかー?」
私は大きな声で叫んでみた。
パシャンッ。私の背中に水がかかったような気がした。後ろを見てみると……。
何これ?水風船?!なんでこんな……。誰がやったの!?
「あっはははは!!派手に当たっちゃってのろまだなー。バーカ!」
体育館の舞台から、聞き覚えのある声がした。
後ろを振り向いてみると、そこには思いもよらない人達が私を見て笑っていた。
「まんまと引っかかっちゃって。茉莉のバーカ」
「う、嘘……?なんであんた達が?」
そこにいたのは、桜と澄恋だった。
「嘘でしょ……?なんで……」
「は?私達が、あんたなんかに本気で協力すると思ってた?本当の友達だと思ってたと思う?最初からあんたなんて、暇潰しに都合のいい道具としてしか見てなかったんだよ!」
は?なんで?都合のいい道具?こいつらは私の恩を忘れた訳?私の下僕でいるから、苛めのターゲットにされないですんでるのに。
私は脚をダンと強く鳴らす。
「あんた達……ふざけないでよ!誰のおかげで今までいい思いしていられたと思っているの?」
すると、二人は呆れたようにため息をつく。
「何?茉莉のおかげとでもいいたいの?最初からあんただって、私達の事を下僕としか見てないくせに。バーカ」
なっ……。私は馬鹿じゃない!私の顔は、怒りと羞恥で一気に赤くなる。
「私は馬鹿じゃない!成績も良くて、こんなに長く苛めの内容を考えることができて……馬鹿じゃない!」
「いーや、馬鹿だよ」と、澄恋が首を横に降る。私は訳がわからなくなった。
「だってさ、この間私達が茉莉の苛めの内容を担任にチクった時さ、私達だって気づかなかったじゃん?」
私は驚いた。
え、あれって梨奈じゃなかったの?う、嘘でしょ……?
それに続くように、桜が言葉を発する。
「それにさ、茉莉って自分の居場所を見つける為に苛めをしたんでしょ?弱い者を苛めて自分の地位を高めて居場所を求めてもさ、それって本当に居場所を見つけたわけじゃなくない?」
……だって、他の奴らは私と違って親の愛情を受けて育ってきたから!だから愛情のない生活を味わってほしくてやったこと。ただそれだけなのに!
「だからさ、もう私達はあんたに付き合わされるのは限界なんだよね。だからさ……明日から私達があんたがしてきたことをそっくりそのままやるつもりだから」
それって苛めを受けることでしょ?……許せない。私なんて、美人で勝ち組な筈なのに。私が苛められる意味なんてない!
「なんで……酷いよ!」
「あんたが苛めをしてきた年月と比べたら、私達の苛めなんて比にならないでしょ」
「や、やだ!私は……」
「あ、嫌なら私達を苛めたらー?まぁどうせ無理だよねぇ。だって、一人だと何も出来ないから私達を下僕にしたんでしょ?」
「違う!違うってば!」
二人は、私の意見を聞かずに笑いながら帰っていった。
私はしばらく体育館でぽつんと一人で立っていると、ようやく我に返り私はゆっくりと歩きながら家に向かった。
あまりにも突然のことで動きはかなりゆっくりとしているが、頭の中はとても焦っていた。
嘘でしょ?私が……苛められる?しかも下僕だったあいつらに?!
意味がわからない。なんで……なんであいつらは私を裏切ったんだ?私はあの二人を下僕にして、苛めのターゲットから外してやったのに。
裏切ったな、あいつら……絶対に許さない。
本当は、あの二人をこの手でころしたいぐらいだ。しかし、そんな事がバレたら私は先生から信頼されなくなり、折角推薦で高校を合格出来たのに、高校にバレて推薦を取り止められるかも知れない。
大体、私が苛められるなんておかしすぎる。私は顔も可愛くて、頭も良くて、苛めで皆のメンタルを鍛えてあげた……。こんなのおかしすぎる!
私の心の中は、二人への怒りと恨みでいっぱいになった。
あいつら……覚えておけよ!!!!!
私は家に帰り、怒りをぶちまけるように通学バッグを床に置いた。
私は携帯を開き、二人に文句を言う為に桜と澄恋との三人のグループラインを開こうとした。……しかし、澄恋によって私はグループを退会させられていた。
ふんっ。まだ個人の方があるんだから。文句なんていくらでも言える。
私は桜との個人のラインを開いた。そして、今の心の感情を表すかのように乱暴に文字を打つ。
「なんであんたなんかが私を苛めるわけ?意味わかんない!」
すると、タイミングが良かったのかすぐに返信が来た。
「なら、なんであんたが苛めをするのかもわからない」
わからない?なんで?私はただ、楽しいからやっていただけ。自分のやりたいことをして、何が悪いの?
私が返信する前に、桜から新しいメッセージが来た。
「とにかく、私はあんたに今までやられた借りを返すだけだから。そんなに苛められたくなかったなら、そもそもあんたが苛めをしなければ良かったんじゃない?」
「まぁ、そういうことだから。じゃあね」
うるさい。意味わかんない。なんで?私は苛めをしてもいい立場なのに。
桜とは話にならない。澄恋に文句を言おう。
「なんであんたが私を苛めるの?意味わかんない」
私は澄恋にイライラした気持ちをぶちまけるように乱暴にラインを送信した。
「意味わかんないのはこっちなんだけど。あんたがストレス発散の為に私達を利用した方が意味わかんない」
は?桜も澄恋も一体なんなの?私のおかげで今までいい思いしてきたっていうのに。
更にイライラしてきた私は、じっと携帯を見ているとますます落ち着かなってきたので、激しく貧乏ゆすりをし、ギュッと唇を強く噛んだ。
「今まで私のおかげでいい思いしてこれたのに?」
「こっちは頼んでないし。お願いしてきたのはそっちでしょ?」
何なの?それに賛同したのはこいつらなのに……。私は何も悪くない!!
「あーもう、あんたと話しているだけ時間の無駄だから。とにかく明日楽しみにしててね」
私のイライラは頂点に達し、私は通学バッグを強く蹴った。
何なの……?意味わかんない。あいつらなんて……消えろ!!
翌日、私はようやく冷静さを取り戻した。普通に考えて、まずあり得ない話だと思ったからだ。何故なら、あの二人は何も断れない人だから、苛めをする勇気なんてないに決まっているだろうからだ。
落ち着け、私……。あんな勇気のない奴に、苛めなんてできる筈がない。私は自分に強く言い聞かせた。
登校中。今日は天気がよく、冬だけど上着がいらなそうな気温だった。
ふーっ、今日も青い空が広がっていて、絶好の苛め日和だなぁ。清々しい天気を横に、梨奈の心はどんどん曇っていく……。クスッ、考えただけでニヤニヤしてくるなぁ。
まぁ、昨日のことは忘れて、今日の遊びの内容でも考えますか。………そうだ、桜と澄恋に痛い目を見させて、他の人を下僕にするのもいいかも。そして梨奈から桜達にターゲットを移すのもいいかもね。梨奈を苛めてもう一年ぐらい経ってるし……そろそろ変え時だろうし。
そんなことを考えている内に、校舎が見えてきた。
「里中さん、おはようございます」
「おはようございます」
私は深々とお辞儀をして校舎を通る。
私の裏の顔も知らないで私のことを信頼しちゃって……可哀想だなぁ。
教室の前に着き、私は自身に満ち溢れた顔でドアをガラッと開けた。
葬式ごっこの話実話なんだよね...
113:AL ◆6.:2020/09/05(土) 10:04凄く面白い!続き期待です!
114:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/05(土) 20:19 >>112
はい、実話の話を元にして書きました。
>>113
ありがとうございます!
しかし、私の希望は次で一瞬で消された。
バシャッ。何これ?バケツ?嘘でしょ、まさか……。
私はびっくりして前をよく見ると、桜や澄恋を先頭に、クラスメイト全員が私の前に立ちふさがっていた。
「ばーか。昨日忠告したのにまさか本当に来るとはね。度胸のある人だねー」
「さ、桜!なんで、本当に……」
「え?昨日忠告したでしょ?明日からあんたに仕返しをするって。ついさっき、あんたが来る前にクラスの全員に伝えておいたから」
な、なんで……。なんでこいつらなんかに苛めができるの?何も断れない気の弱い人達なのに……。
クラスの皆が、勝ち誇ったような表情で私を見ている。
こんなの、卑怯だ……。顔もそこまで可愛くないこいつらが、クラスの人全員を味方につけるなんて。
「私達に今までしてきたこと、反省してよ!」
「そうだよ、バーカ」
皆が、私に色々な悪口を言ってくる。
こんなの……酷い。一人で味方のいないことを良い事に、皆で悪口を言うなんて。……こういうことをしていいのは、私だけなのに!!
思い切り叫びたいが、桜と澄恋がいないせいか、全く声がでない。
その瞬間、澄恋がニヤリと笑いながら声を発した。
「味方のいない茉莉なんて、全く怖くないね。さぁ皆、遠慮しないでこいつと遊ぼー」
その瞬間、澄恋が私のお腹を力強く蹴ってきた。私はその痛さで、その場にしゃがみこんだ。しかし、澄恋と桜がぐいっと私の腕を引っ張り、無理矢理立たせた。
痛い、酷すぎる……。
「あんたなんかに休ませるかっての。あんたなんかに休む権利なんてないんだよ!」
「私達がこいつのこと抑えてるからー、こいつに恨みのある人、どんどん殴っちゃってー」
二人が言葉を発してから、私が今まで苛めてきた人達が私のことを殴ったり髪を引っ張ったりした。
「いや、痛い。やめて……」
私がそう言っても、クラスの皆はやめない。
なんで……。私がクラスの女王様なのに……。私の言う事は絶対な筈なのに……。
「ふん、あんたが今までしてきた事に比べたら、今あんたが喰らっている痛みなんて、比にならないよ!」
クラスメイトは、皆私への恨みを晴らすように私への暴力をやめない。
嫌だ嫌だ。こんなのおかしすぎる!……でも、なんで……?言葉が出ない。
「おっと、もうすぐ先生来るし、続きは学級会の後にしますか」
「そうだね、じゃあまた後でこいつに仕返しをしよー」
皆はつかつかと自分の席に戻っていく。
嘘でしょ?まだ続くの……?
「結局あんたって、一人じゃ何もできない弱い奴なんだね」
桜がそう吐き捨てて席に戻っていった。
学級会が終わり、担任がいなくなると、皆は自分のロッカーから教科書を取ろうとしていく。
皆が取りに行っているところで取りに行くと、また何かされそうだな……。
「何やってんの?早く取りに行きなよ」
私は人が減っていくのを見ていると、後ろから背中をドンと押された。そのせいで私は思うように立ち止まれなく、教科書を取り出しているクラスメイトに思い切りぶつかった。そのクラスメイトは、私を睨んでガッと私の胸ぐらを掴む。
「お前、何ぶつかってんだよ。危ないじゃないか」
「こ、これは、その……」
私は手で腰を押されて、地面に付き倒された。
「お前の言うことなんて聞くかよ、この弱虫!!」
弱虫?私が?こんなに皆のことを支配していたのに?なんで?意味わかんない。……きっとこいつの頭が悪いだけだよね。
そのクラスメイトは、私の髪をぐいっと引っ張って自分の席に戻っていった。その様子を見ていたクラスメイト達が、こちらを見てクスクスと笑っていた。
>>114 そうなんですね、
こわい、、、
>>117 コメントありがとうございます
痛い……。さっき髪を引っ張られた所の頭が、まだ痛みを感じる。
まぁいいや。今は授業中。私は教師から好かれているので、誰かが私に嫌がらせをしていることがバレたら、その人は間違いなく先生から目をつけられるだろう。
そう思い、私は自分のノートを開いた。しかし、そこには思いもよらない物があった。
何これ、落書き……?酷い、なんでこんなことするの?!
ノートには、「しね」や「いじめ大好き野郎」や「迷惑者」などのあまりにも酷い内容の落書きでニページ分埋め尽くされていた。そのうえ、油性ペンで書かれているので消すことができない。
(もしかして……)と思い、私は他のページも見てみると、私が綺麗に板書していた所は全て油性ペンて塗りつぶされていた。
折角綺麗に板書していたのに……。これじゃあノートを提出できないじゃないか。学年末テストの後に、ノートを提出しないといけないのいうのに。なんてことをしてくれるんだ。
続き気になります!
120:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/10(木) 17:23 >>119 ありがとうございます
キーンコーンカーンコーン。私が落書きに気を取られている間に、いつの間にか授業が終わっていた。
まぁ、もう推薦で合格しているから、一回ノートを出し忘れたぐらいどうってことないかも知れない。桜も澄恋も甘いのなんのって。これだから初心者は嫌なんだよ。
その瞬間、誰かが私の椅子を引いた。そのせいで私は椅子から転げ落ちた。
痛い、誰がやったの……?そう思い後ろを振り返ってみると、小学校の頃からずっと私の苛めを遠くから見ていた女子二人が立っていた。
「あはは、良い気味!ノートもあんなふうにしちゃってさ。ブース」
嘘?桜と澄恋がやったんじゃなかったの?……こいつら……今まで見ているだけだった癖に。調子乗るんじゃねぇよ……と、言いたい気持ちなのに、また何故か口に出せない。何故だ、何故なんだ……。
「やっぱりあんたってさ、一人じゃ何も言えない弱虫なんだね」
二人は私に指を指して馬鹿にしたように笑った。
な、何言ってんの……?いきなりこうなってびっくりしたから言えないだけで……そのうちまた私が学校の女王様になるに決まっている。
女王様は、私しかいないんだから。
毎回続きが楽しみです!
これからも頑張ってください!
応援しています!
あ、ごめんね乱入みたいになっちゃうけど、
専スレ来てくれる?
みぃちゃん!
>>122
うん、分かった
私は教室にいると四六時中苛められると思ったので、女子トイレに向かった。個室に入れば誰も来ないと思ったのだ。
椅子を引かれて転んで足が痛いが、今は足の痛さなど気にしてはならないのだ。ここにいると皆が私を苛めて来る。一秒でも早く逃げなければ。
トイレは教室のすぐそばにあるので、さほど距離はない。しかし、椅子から転げ落ちるというのは本当に痛い。遊び半分で皆やりがちだが、意識してないで突然転げ落ちるというのはやっている人たちが思っている以上にびっくりする。本当にこういうこと、やめてほしい。
それにしても、皆考えが甘いんだな。個室に入っちゃえば終わりなのに。やっぱり私の苛めを見ているだけじゃ駄目なんだね。苛めをしていいのはやはり私だけなんだな。
これで休み時間の逃げ方は分かった。授業が終われば、一刻も早くトイレに逃げ込めば良いだけだ。こんなにも早く答えが見つかるなんて……皆弱い弱い。
さて、あとは登下校の時と授業中の逃げ方だろうか。………まぁ、登下校中と授業中は先生達がいるので、そこで苛められる可能性は低いと考えよう。先生のいる前で先生から信頼されている私を苛めるほど、皆馬鹿ではないだろう。
そんなことを考え、足の痛さを我慢しながらなんとかトイレに辿り着いた。いつもは全く時間が掛からないのに、足が痛いせいか結構な時間が掛かった気がした。何も考えないで呑気に歩いていた方がもう少し早く感じただろうか。
そんなことはどうでもいい。もう休み時間に苛められることはなくなるんだから。ふふっ、随分と短い遊びだったなぁ。
ガチャリ。私はトイレのドアを開ける。すると、クラスの女子達が沢山溜まっていた。そのうち何人かの女子が私に気づき、驚いた表情で私に指を指し、私を見る。
「本当だー、高梨と橘の言ったとおりだ」
「あっははは!本当に来たー!!」
一時的に皆同じ表情をしたが、その後の皆の表情は、私をからかう様な笑顔を浮かべたり、驚いたままだったり、私を睨んだりと十人十色になった。
な、何……?本当に来た?桜と澄恋の言った通り……?もしかしてあいつら、クラスの奴らに口裏を合わせていたのか?……嘘だろ、信じられない……。
そっか、クラスで一番頭のいい桜の仕業か。ただ勉強ができるだけの頭でっかちな奴ではなかったのか……。私の行動や心理もしっかりと読むことのできる人だったのか……。
すると、女子トイレにいるクラスメイト達がいつの間にか私を囲んでいた。
「私達さぁ、高梨達にあんたがここに来たら苛めるように頼まれているんだよ」
くそっ、やっぱりあいつらが仕込んでおいたのか。頭のいい桜と計算高い澄恋を下僕にしておいたのが駄目だったか………。なんであの時の私はあの二人を下僕にしたのだろう……。
すると、前の方にいた女子が私を壁に追い詰めた。その女子は私を壁に追いつめると、壁を力強くグーでパンチする。
「私達さぁ、あんたには昔から借りがあるんだよ。その借り、少しずつ返してもらうよ?」
「そうだ、そうだ!私だって返して貰う!」
……ごちゃごちゃうるさいなぁ。私が一人でいることを良い事に皆好き勝手言いやがって。皆でいないと何もできない奴の集まりな癖に。
すると、後ろの方にいた女子が掃除用具入れからバケツとモップを取り出してきた。ここにいる女子は私を入れないで三人なので、十分に数は足りた。
こいつらは、バケツの水を掛けたりして私を汚そうとしているつもりだな……!?なんてことをしようとしてるんだ!可愛い私の外見を汚そうとするなんて……。
絶対こいつらは美人な私に嫉妬しているんだな?この嫉妬野郎共め!ただの嫉妬で私の外見を汚そうとするなんて……酷すぎる。
言いたい事は沢山あるのに、やはり口にする事が出来ない。
すると、三人の中の一人が私にバケツの水を思い切り掛けてきた。そのおかげで、私は体中ずぶ濡れになった。
ずぶ濡れになった私を見て、皆はこちらを指差して笑っている。
「あっははは!良い気味。皆、もっとやっちゃおうよ!」
すると今度は雑巾とモップで私の顔や制服を濡らしてきた。
おぇ……トイレの掃除に使われている雑巾とモップは自分の思っている以上に臭い。私の綺麗な顔にこんなことしやがって……。ふざけるなよ?
しかし、顔につけられている雑巾やモップのせいで、一言も話せない。こいつらは、雑巾とモップを交互に顔に当て、もう一つは制服に当てている。
数分経つと、今度は手の開いている一人がトイレの便器からバケツで水を組み、その水を私にバシャバシャとかけてきた。バケツの水が無くなると組み、またなくなると組む……そんなことを繰り返された。
「あっははは!!やれ、やれー!」
私はただ、時間が経つのを待っている。
「ねぇねぇ、あと三分だよ?」
……よかった、終わったのか……。ようやく解放される……。自分が苛めをしていたときはあまりにも楽しくて、直ぐに時間が経っていたが……自分がやられると長く感じる。
しかし、私の制服などは池に飛び込んだかのように、非常に水浸しになっていた。今までの人生でこんなに水に濡れたのは初めてだ。
まともに水にかかったことなんて、小学二年生の頃に遊びで当時のターゼットにバケツの水をかけたときにたまたまその水が少しかかった程度だ。
どうしてくれるんだよ。可愛い私の姿をこんな風にしやがって。これじゃあ授業に出れないじゃないか!
私の席は、後ろの方にあるので水に濡れた程度ではあまり気づかれないだろう。しかし、優等生で美人でクラスの女王様な私が、こんな姿で授業に受けるだなんて有り得ないのだ。
全部こいつらのせいだ!片付けぐらいはこいつらにやってもらわなくては……。
すると、私を苛めていた女子一人が私の背中を蹴ってきた。
「何のんびりしてんの?あんたがこれを片付けるんだよ!」
なんで私が片付けないといけないの?こいつらが掃除用具を出したのに。それに……私はクラスの女王様なんだぞ?なんで私がこいつらの言う事を聞かないといけないの?
「は?もたもたしてないでさっさと片付けろよ!」
「は?」と言いたいのはこっちだ。
「あんたが最初から苛めなんかしなければ、こうなることもなかった。だから、お前がこうやって少しずつ皆に謝罪するのは当然でしょ?」
「ほら、早く片付けろよ!おい!」
私をもて遊んでいた女子は、私を蹴り飛ばして脅してきた。
私が、謝罪……?どうして?私はただ、自分のやりたいことをやっていただけなのに。なんで私が皆に謝罪しないといけないの?
今すぐ文句を言いたい所だが、授業をさぼると先生からの信用が失われるので、ここは従っておいたほうがいいか。気持ちに余裕が出て来たら、その時に倍に返せばいい。
私は嫌嫌こいつらに従ってやった。渋々と乾いた雑巾を手に取り、床の水を拭いていく。
「ほら、もっと早く!早くしないと休み時間終わるんだよ!」
後ろからモップの先で私を思い切り叩いてきた。
……ごちゃごちゃうるせぇな。私の下僕である筈のこいつらの言う事を仕方なく聞いてやってるのに。先生から嫌われたくないから、言われなくても従うっての。
「ねぇねぇ、ちょっと時間見てきてよ」
そう命令された女は、床を拭いている私の頭のを軽く踏んづけ、時計を見に行った。
軽々と踏むんじゃねぇよ。あっちは軽い気持ちかも知れないが、こっちは十分痛いんだよ。何更に私を汚してくれてんだよ。
「あと二分だったよ」
時計を見に行った女が帰ってきた。
「そっかぁ。じゃあうちらはもう帰ろう。……あ、あんたはしっかりと掃除しといてよね」
は?なんでこいつら、私を置いていくの?意味分からないんですけど……。
ええい!なんで水をばら撒いたあいつらは私より先に戻るのに、私は戻れないのだ!こんなのはおかし過ぎる。私も戻ろう。もし掃除していないのがバレても、トイレに行かなければいいだけだ。
あの女……あと残り二分と言っていただろうか。そうするとあと一分ぐらいか。あらかじめ授業の用意はしてあるので、おそらく急げば間に合うだろう。
私は、いつもより気持ち早めに教室に向かった。できるだけ早く着きたかったが、脚も痛いので脚にも気を配りながら、早く丁寧に向かった。
私をこうやって急がさせたのも、全部あいつらのせいだ!あいつら……あとで覚悟しておけよ。何百倍にも返してやるからよぉ。
ガラッ。私は教室のドアを開けた。
よかった、間に合った……!
まぁいいや。あいつらにまだ苛立つ気持ちはあるが、今は早く自分の席に着くのが最優先だ。あいつらへの復讐方法は授業中に考えるとしよう。成績優秀な私なのだから、少し授業を聞かなくてもなんとかなるだろう。
キーンコーンカーンコーン。私が席に座ったのと同時に、授業が始まるチャイムがなった。
さてと、あいつらへの復讐方法を考えますか。
どんな風に倍に返してやろう……。ありきたりな苛めだとつまらないからなぁ。どうせなら自殺に追い込むぐらい復讐してやらないと。下僕の身分で私に逆らったぐらいのことをしたのだから。しんで償って貰わないと。でも自分の手は汚したくないから新しい下僕に全部やらせるか。その時までに新しい下僕を見つけ出さないとな……。
いや待てよ、新しい下僕が私に命令されたとか言ったら最終的に自分の手が汚れてしまうぞ……。自分の手が汚れてしまったら終わりだからな……。
そうだ、いっそのこと一定の期間は抵抗せずに大人しく苛められて、こっそりと証拠の写真を集めて校長やあいつらの親に渡すのもいい手だな……。そうすれば皆から冷たい目で見られて精神的に追い込まれる筈だ。
……あ、桜と澄恋にも復讐しないと駄目だな。元はと言えばあの二人が私を裏切ったからなのだから。それと、私が独りになってから手のひらを返してきたクラスメイト達も。
……そうだな、そいつらも証拠写真を集めて精神的に追い込むとしよう。それが一番無難で自分の手も汚れないやり方だろう。
授業が終わり、私は教科書をロッカーに入れようとした。すると、後ろから桜と澄恋に腕をがしりと掴まれた。
「あのさぁ、あんた授業妨害してくれない?私達、もう推薦で受かっているから退屈なんだよねぇ」
授業妨害………?ふざけるな。授業妨害なんてしたら、先生からの信頼が落ちるじゃないか。何故散々いじめられている上に、先生から嫌われなくてはいけないのか。
今まであまりにも衝突なことが続いて何も言い返せなかったが、これだけは断らなくてはいけない。そう思った。
「嫌に決まってんだろ?私は先生から信頼されてんだよ……。その信頼を失ってたまるか!」
この二人が私を裏切った時に私に反発したように、私もこの二人に反発する。
すると、二人は参ったかのように残念な表情を浮かべ、やがて仕方のないようにため息を吐きながら言葉を述べた。
「そっかぁ、信頼されている人からの信頼を失うのは流石に嫌かぁ」
「茉莉を信頼している人が可哀想だしね」
フッ、ようやく分かったか。この馬鹿共が。
そもそもこいつらは、本来なら私の一番の下僕でいなくてはならない存在なのだ。あんたらの命令なんて聞けるかよ!
「今回はあんたの言う事を聞いてあげる。感謝しろよ?」
そう言って二人は私の前から去っていった。
給食の時間になった。私達はいつものようにグループを作り、皆楽しそうに話しながら食事をしている。
私達の班の皆も、楽しそうに会話をしている。
よし、私もいつものように会話に混ざりますか!
「ねぇねぇ、何話しているの?」
私は笑顔で皆に聞こえる声で話しかけた。しかし、私の言葉はあっけなく無視された。
会話をしている所だったので聞こえなかったのだろうか?……まぁいい。もう一度話しかければいいだけだ。
「あの、聞こえないの?!私の言葉!!」
さっきより大きい声で言ったつもりだが、誰も返事をしてくれない。
「ねぇ、さっきいじめっ子の声がしなかった?」
「うん。でも無視していいでしょ。だっていじめっ子はクラスで不要な人物なんだから」
私が、クラスで不要……?ふざけるな!成績優秀で美人な女王様だぞ?なのに何故このクラスで不要な人物と言われなくてはならないのだ!何故無視されなければならない!
「それにさぁ、私達もいじめっ子に散々無視されたしね」
「今度は私達の番、だよね」
何が、「今度は私達の番」だ。私は苛めをしてもいい人だからやっているだけなのだぞ?こいつらは私のおかげでメンタルが強くなったのに……恩を仇で返すとは、まさにこのこと!
皆、私を無視したまま笑いながら給食を食べている。
酷い、私を無視するなんて……。私は女王様なのに。
「あっははは!!!」
私の隣の人が、突然私の方に顔を向けて大笑いをしてきた。そのせいで、私の顔は牛乳だらけになった。さっき濡らされた制服もまだ乾いておらず、私の姿はびしょ濡れになった。
何をしてくれるんだ。皆好き勝手やりやがって。今に見てろよ……。絶対に見返してやる!
「ねぇねぇ、なんか牛乳が宙に浮いていない?」
「本当だー。ここに人なんて居る筈がないのにね!なんだか怖いから拭かないと」
見えているくせに。見えているくせに私がいないように振る舞いやがって。これは立派な人権侵害だ。
私に牛乳を吹きかけた奴は、廊下で雑巾を取りに行き、その雑巾で私の顔をごしごしと力強く拭いてきた。
「あれ?苛めっ子、そこにいたんだー。要らなすぎて全然気づかなかったー」
さっきから気づいていたから私をそんな乱暴に扱った癖に。雑巾と牛乳で顔を汚された私の気持ちを考えろ。
昼休み。先生がいなくなると、桜と澄恋が自分の席から立ち上がった。
「皆で、茉莉のあだ名を考えようと思いまーす!!今から投票用紙を配るので、今日の放課後までにこの投票箱に入れてくださーい」
「発表は、明日の朝の学級会の後にしまーす!」
そうして、桜は投票用紙を皆に見れるようにビラビラと見せ、澄恋も投票箱が皆に見えるように投票箱を持っている腕を頭の上まで伸ばした。
「私も散々茉莉に嫌なあだ名で呼ばれたからね」
「嫌なあだ名で呼ばれた分、こっちも嫌なあだ名で呼ばないとね」
クラスメイト達は、皆ニヤリとした表情を浮かべながらヒソヒソと話している。私を悪者のように見る目で……。
何故、下僕であるあいつらに変なあだ名をつけられなくてはならないのだ。私が今まで皆にあだ名をつけてきたのは、私があいつらに嫌なあだ名をつけてもいい立場だからなのに……。何故下僕共が私に反発をしてくるのだ。
私が孤立した瞬間調子に乗りやがって……どいつもこいつも最低だ!下僕共が調子に乗らなければこんなことにならなかったのによぉ。
私はその場にいてもたってもいられなくて、思わず廊下へ走り出した。
ようやく六時間目が終わり、今までで一番辛い一日が終わった。
学級会が終わり、担任がいなくなると、私は逃げるように教室から素早く出ようとした。しかし、後ろからがしっと桜と澄恋に両腕を掴まれた。
「はい、まだ帰っちゃ駄目だよー?」
「放課後は、あんたへのお仕置きの時間なんだから。………はい、皆集まってー」
すると、皆が一斉に私の方へ来た。私は桜と澄恋から腕を離されて付き倒され、皆に囲まれた。
何をしようとしているのだ。散々私で遊んだ挙げ句、お仕置きと称した苛めをまだやるなんて!
「まだ反省してないの?仕方ないねぇ。こんな奴にはみっちりとお仕置きしないと」
私は思い切りお腹を叩かれた。それから一秒もしないうちに髪を引っ張られ、それからも次々と暴力を振るわれた。
一つの暴力をしている最中にもう一つの新しい暴力が跳んできて……親から暴力を振るわれている時より痛い。
手だけでなく、鞄や本でも殴ってくる。きっと、私の体は痣だらけだ。
「そろそろこいつの限界が来てるんじゃないか?」
「いやいや、精神的に追い詰められたうちらの痛みからしたら全然比にならないでしょう。だから、もっとやっちゃえー!!」
一人がそう言ってから、皆は更に殴る力が強くなっていった。
「あ、もうすぐ部活の時間になるよー」
一人がそう言い、皆は次々と暴力をやめていく。
よかった、これで解放される……。
「また明日…………」
私は解放されたのが非常に嬉しく、暴力が止んでから素早く帰った。最後に誰かが私に何か言っていたが、全く覚えていない。
私は家に帰ってから、すぐに着替えて家電屋に向かった。苛めの証拠を集める小型カメラと録音機とカメラのフィルムを買う為だ。携帯だと写真や動画を撮るときに音がなってしまうので、カメラと録音機を持っていこうと思った。
あったあった……。これぐらい小さければバレないだろう。
私は一番小さいカメラと録音機とフィルムを手に取り、会計に行った。値段は中々高かったが、これで苛めから解放できると思うと、全く高く思わなかった。
桜も澄恋も、他のクラスメイトも、今に見ていろ。あんたらが酷いことをする度に、その分後であんたたちの方が痛い目を見るんだから。
私には先生という強い味方がいる。お気に入りの生徒が苛められていると知ったら、先生達は絶対にクラスメイト達に激怒するだろう。
家に帰ったら、まずはこの痣だらけの体をカメラに納めよう。さっき制服から私服に着替えたとき、案の定私の体は痣だらけだったのだ。
私は家に帰ってカメラにフィルムを入れると、早速服を脱いで体中にある痣をバシャバシャと撮った。
私の綺麗な体をこんな風に汚しやがって。なんてことをしてくれたんだ、と、以前の私は怒りの気持ちしかなかったが、今は苛めのいい証拠になるので、むしろ痣が多くて嬉しい。
あ、ついでに親から殴られた所もクラスメイト達にやられたように撮ってしまおう。そうすれば更に証拠が増えるぞ。……そうだ、今度から当分の間親に殴られたらクラスメイト達のせいにしよう。そうすれば早く証拠の写真が集まって、苛められる日数が減るではないか。まぁ、あえて長く苛められて、その分多くの写真を集めるのも手だが……それだと私の体が持たないのでやめておこう。
それにしても、よくもやってくれたな……。痣の写真で中々の枚数が撮れたぞ。どれだけ殴ってくれたんだ、ニ、三ケ所同時に写っているものもあるので、枚数よりいくらか痣は多いだろう。
写真を取り終わると、私は自分でも気持ち悪くて体の痣を見たくないので、速やかに部屋着に着替えた。
大して偉くもないただのクラスメイト達が、よくもまぁ私の体を傷つけてくれたと。あいつら、私の体を汚した罪は思いぞ……。覚悟しておけ。
次の日、私はカメラと録音機を制服のポケットに入れて登校した。
桜も澄恋も他のクラスメイト達も、好き勝手やりやがって!許せない……。
まぁいい。今は我慢してやる。最後に勝つのはこの私なのだから。あいつら……見ていろよ。
これから苛められるという覚悟を決めて、教室に入った。その瞬間、桜と澄恋が待ち構えていたように教室の前に立っており、私の両腕をがしっと掴まれた。私はポケットに入れている録音機のボタンを押す。
「はい、今日も茉莉が来たので、お仕置きの始まりー」
「茉莉の一日は、お仕置きから始めないと!」
その瞬間、クラスメイト達が一斉に私を殴り始めた。
……痛っ!!この痛さ、素手ではないぞ。一体何で殴られたのだ?
私は隙をついて、チラリと周りをみる。すると、そこにはバレーボールが転がっていた。
なんて物で殴ってくるんだ!バレーボールだなんて……危ないだろ!しかし、今は我慢だ……。
「茉莉に対してのお仕置きなんて、素手では足りないね!」
そう言って皆は、私を素手でなく物で殴ってくる。しかも、ボールや棒などを、結構な強さでだ。
「あ、今日は茉莉のあだ名を発表するのでこのぐらいにして下さーい」
あだ名、だと……?ああ、そういえば昨日そんなことを言っていたな。
何故だ、何故私がこいつらにあだ名をつけられなくてはならないのだ。おかしすぎる。
皆が暴力をやめると、桜が声を発した。
「一番多かったのは……二十票の『奴隷』でーす!私達も今まで茉莉に散々奴隷のように扱われてきたので、私はこれでいいと思うのですが……どうですかね?」
何が奴隷だ!!私は女王様だぞ?奴隷なのはこいつらの筈だ。何故皆こんなに狂っているのだ。
皆は桜の言葉に大きく賛成していることを表しているように、素早く手をビシッと挙げた。
私は納得していないぞ。何故私が奴隷と呼ばれなくてはならないのだ。
どれもこれも、桜と澄恋が私を裏切ったからこうなったのだ。……桜、澄恋……………許さんぞ。
「じゃあ、今日からこのいじめっ子は『里中茉莉』から『奴隷』という名前に改名しまーす!」
澄恋が私の意志を無視して私を煽るかのような笑顔で言った。
「こいつを奴隷にして、今までのことを反省してもらう!」
「ああ、俺らも随分と奴隷のようにされてきたからな」
皆が私を白い目で見ている。
何だ、これは……。当の本人の意志を無視して変なあだ名をつけるとは……嫌がらせの他の何でもない。
「一点ー、二点ー」
休み時間、誰かが私にゴミを投げてきた。
私はまた苛めが始まると思い、録音機のボタンを押す。
誰がやったのか気になり後ろを振り向く。
全然話したことのない男子達じゃないか……。何故こいつらにゴミを投げつけられなくてはならない。
「おい、お前は奴隷なんだから、動かないで大人しく的あての的になれよ!」
「そうだよ、この奴隷野郎!」
くそっ、奴隷奴隷とうるさいな。奴隷という名前はお前らが嫌がらせでつけただけだろ?……私は「奴隷」ではない。「茉莉」だ!
「私は……茉莉だ!」
昨日と今日とストレスが溜まってきたので、私は大きな声で吐き出した。
「奴隷だなんて……そんなのお前らが勝手につけた名前だろ?本人の意志を無視して勝手にあだ名をつけるだなんて……そんなの拷問だよ!」
男子達は私の大きな声に一瞬だけ怯んだが、すぐに私を馬鹿にしたような笑顔を作った。そして、笑いながら声を発した。
「ぷっ、自分だって今まで散々人に嫌なあだ名をつけてきた癖によく言えるね」
近くにいたクラスメイト達も加勢してきた。
「私達の身にもなってよね」
「それとも、自分は何をしもいい女王様だとでも思ってるの?」
「うっわー、偉そうー」
何が偉そう、だ。女王様だから偉そうにしているだけだぞ。女王様なんだから何をしてもいいじゃないか。
「てかさ、的あてが出来ないんだから早く止まれよ、奴隷!!」
そうして男子達はまたゴミを投げつけてきた。主にティッシュなどのゴミなので全く痛くなかったか、自分の体にゴミを投げつけられるというのは精神的に大きく傷ついた。
「奴隷、こっち向け」
なんだ、女王様に向かってその口調は。本当に皆正確悪い。だから皆嫌いなんだよね。
今は従っておいた方がいいのだろうか。最後に私が勝つために。
私が体を向ける前に、近くにいたクラスメイトが私の体を男子達と向き合うように私の体の向きを動かした。
「顔に当てたほうが面白いじゃないか!」
「ああ。じゃあ奴隷の顔にゴミを当てた奴は五点手に入れられることにしよう」
男子達は、私の顔めがけてゴミを投げてきた。
くそっ、今は我慢してやる!そのかわり、覚えておけ。最後に勝つのはこの私なのだ!
私は自分にそう言い聞かせた。
怖っ…!でも面白い!
ちぃさん、頑張ってください!
すみません、ちぃじゃなくてみぃでした!
144:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/03(土) 18:20 >>142-143 ありがとうございます!
そうだ、桜と澄恋にさっき録音した音声を聴かせよう。そして桜と澄恋に土下座してもらって、今度は桜と澄恋に奴隷になってもらおう。
本当はもっと証拠を集めたい所だが、もう我慢できん。今やらないと私の身体がいい加減持たないぞ。そして私の事をこんなにも心理的にも身体的にも追い詰めたのは、全部桜と澄恋のせいだ!だから次はあいつらを苛めてやる。
教室の隅で桜と澄恋が話していたので、私は二人の肩をがしっと掴んだ。
「あんたたち、もう私の事を苛めるのはやめたほうがいいよ?じゃないとあんたらが痛い目を見るだけだからさ」
そうして私は二人に向けて録音機を再生する。
「桜、澄恋。今ここで土下座して、次からあんたらが苛めのターゲットとなるならば、先生には黙っておいてあげる。でも、ここで土下座しなかったら、先生に見せちゃうから。………さぁ、どっちにする?」
私は勝ち誇ったような笑顔を作り、二人を睨んだ。二人は私を見て一瞬怯む。
……ふふっ、勝ったな。これを聴いたら、余程の馬鹿以外はここで土下座するだろう。あー、どんな風に痛ませてあげようかな。
あ、そうだ。新しい下僕相手も考えておかないと。そうだ、梨奈とかはどうだろう。あいつは気が弱くて断れないやつだから……。まぁいい。それはこいつらが土下座をしたら考えよう。
しかし、二人は一瞬怯んだものの、直ぐに表情が元に戻った。しばらくすると二人は私の見下したような目で見てきた。
一体何を考えているのだ?こんなことを忠告されて、笑っていられる奴なんて絶対にいないだろう?何なのだ、一体……。
「へぇー、奴隷にそんなこと、果たして出来るのかな?」
「口だけだったりして、ね」
二人は小馬鹿にしたように笑いながら言った。
「やれるならやってみなよ。まぁ、私達はあんたに沢山借りがあるから、どんなリスクがあろうがあんたを苛め続けるからね」
二人は随分と余裕な表情と声で言った。
この二人は相当な馬鹿なのか?こんなときに気持ちが余裕な奴なんて、焦るという考えがない程の馬鹿しかいないだろう。
「ま、私達は奴隷なんかに構っている暇はないんで。それじゃあ頑張ってねー」
二人は笑いながら教室を出ていった。
何を馬鹿にしている。先生に証拠を見せようと思えば、いつでも出来るのだ。そのぐらい一人でも出来るわ!
「やれるならやってみろよ」、か。ならば、その言葉に甘えて給食後に証拠を見せよう。
桜、澄恋。いまに見てろ。私はあんたらの奴隷でいるほど弱くないのだから!
おっと、もうすぐ授業が始まる。席に座っておかないとな。
私が席に座ると、近くにいた女子が私を待っていたように私に話しかけてきた。
「ねぇ、奴隷。次の授業私の分もノートとっといてよ」
その女子は、私の机にノートをドンと置いた。
ふんっ、誰が奴隷だ。私は今日で奴隷じゃなくなるんだ。もうすぐ奴隷じゃなくなるのだから、こいつらの指示なんて従わなくてもいいだろう。
「へー、どうしよっかな。引き受けようかなー」
私は馬鹿にした目でその女子をチラチラと見る。その女子はそんな様子の私を見て怒った様な表情をした。
「な、奴隷の癖にそんなこと言わないでくれる?」
残念だな。私はもう奴隷じゃないんだ。奴隷なのは桜と澄恋なんだ。
「言っとくけど、私はもうすぐ奴隷じゃなくなるんだ。だから私があんたらの言うことを聞く意味はない」
その女子は、更に眉間にシワを寄せる。
「な、なんなの?とにかく、私のノートとっといてよね!」
そう吐き捨て、女子は自分の席に戻っていった。
ふんっ、誰がとるかよ。散々私のことを奴隷のように扱いやがって。そんな奴のノートをとる意味なんてなかろう。意地でも取らない。
授業が始まり、私はさっき渡された女子のノートを机の中にしまった。そして先生が黒板に字を書き始めると、私は自分のノートだけを書いていった。
私は先生の話をしっかりと聞いてノートにメモしているから忙しいんだよ。ただのんびりと板書だけを書いているお前とは違うんでね。面倒なので二人分ノートなんて取るわけないだろ。
それに、私はもう奴隷ではないのだ。いや、正確に言えば昼休みまでなのだが。しかし、あとたった数時間だ。今更私があいつらの言う事を聞いて何になるという。
さぁ、気を取り直して集中して授業を受けるとしよう。
私は、いつも通り自分のノートだけを綺麗に取っていく。しっかりと先生の言う事と板書の書く場所を分け、赤、青、黒の三色のペンでまとめていく。しかし、さっきの女のノートには何もしない。
そういえば、さっき私の所にノートを置いた女は何をしているのだろう。ノートがないので何も書けない筈だぞ。
先生の説明が止んだので、私はさっきの女が座っている席をチラリと見た。
ふっ、教科書に顔を埋めて寝ているではないか。受験間近なのに馬鹿なやつだな。私の忠告も聞かずに本当に馬鹿。
そうだ、次の下僕は梨奈とアイツにするのも悪くない。頭の悪いアイツと、気が弱い梨奈なら、裏切られる心配がないからな。
まぁいいや。私は自分のノートを綺麗に取るだけだ。
先生の説明が再開し、私は再びノートを取っていった。
授業が終わると、さっきノートを置いて来た女子が腕を組んで私の前に立った。私は万が一の為に録音機のボタンを押す。
「ねぇ奴隷、私のノートちゃんと取ったわけ?」
さっきあれほど指図したのに奴隷と呼ばれるとは……。随分と調子に乗ってやがるな。こういう奴には、天罰を与えないと。
「してないよ。だって二人分のノートを取るなんてやりたくないし。私はやりたくないって言ったよね?」
ここで私がやりたくないと言ったところを録音しておけば、絶対先生はこいつを怒るだろう。……ふっ、良い気味。
すると、その女子は顔をしかめて言葉を発した。
「はぁ?なんで奴隷の癖に私の言う事を聞かなかったの?ふざけるな!」
女子が言葉を言い放ってから、私は録音機を止めた。
録音機を止めると、私はその女子のお腹を思いっきり強く叩いた。
「ごちゃごちゃうるせーな」
「なっ……何なの?!」
突然のことだからか、その女子は一瞬怯える。しかし、私がまだ奴隷なのだと思っているのか、その言葉からは強気な気持ちも感じられた。
「あのさぁ、私もうすぐ奴隷じゃなくなるって言ったよね?もし私がまたクラスの女王様になったらさぁ……あんたが下僕になってよ?」
女子はついに勇気が無くなったのか、その場を逃げていった。逃げながら女子はこう言った。
「意味わからない……。高梨と橘に報告しないと」
……無駄なのに。もうすぐあいつらはクラスの中で一番弱い部類になるんだから。本当に頭悪いな。
まぁいいか。もう給食の時間だ。もう少しで解放されるぞ。桜も澄恋も他の奴らも、今に見てろよ。
給食が終わった。今日は売店の日なので、私は給食の時間が終わると真っ先に教室へ向かった。
教室に戻ると、私は無意識に顔がニヤけた。皆にバレないように、私は手で口を覆った。
余程あいつらに天罰を与えるのが楽しみなのだろうか。なのでこんなにニヤけてしまうのだろうか。
顔のニヤつきが止まると、私は軽い足取りで職員室に向かった。
私は職員室に向かってる時も、あいつらからの苛めを報告したときの状況を想像せずにはいられなかった。うちの学校で苛めが起きて、先生やクラスメイト達がどんな風に絶望の底に落ちるのか考えたら、興奮せざるを得なかった。
あの二人の苛めを先生に報告したら先生はどんな反応をするだろうか。私を苛めたことか、自分の生徒が苛めをしていたこと、どちらにがっかりするだろうか。
ああ、そういえばクラスメイト達にはどんな風に天罰を降してやろう。取り敢えず梨奈とさっきの女を下僕にして……まぁ、詳細は後で考えればいいか。
職員室に向かってる途中で、校長の姿を見つけた。
折角だし校長に録音機を見せるか。クラスでは終わらせたくないから、担任の先生より校長に見せたほうが学校全体で問題になるだろうし。
「あっ、校長先生!あの………」
「里中!探したぞ。少し来い」
私の言葉を遮り、校長は私の腕を強く握ってぐいっと引っ張った。
なんだろう?また何か頼み事をされるのだろうか。腕まで掴んじゃって。もしかして校長に好かれてしまったのだろうか。ふふっ、可愛いと色々と面倒だ。
………と、いつもなら思っている所だが、校長の顔は酷く眉間にシワがよっており、とても怒っているような顔をしていた。
なんなだろう?私、学校で何かやらかしただろうか……?……嫌、やってないぞ。いつも先生の前ではいい子を演じているのだからな。それに、全く見に覚えがないぞ。
それでは何なのだろうか?もしかして、私に対しての苛めが発覚し、それで私を苛めたことに対してカンカンに怒っているのだろうか。……きっとそうだろう。他に思い当たることなど一つもない。
桜、澄恋。短い戦いだったな。見ろ、最後に勝ったのはこの私だぞ。
全く、とんだ迷惑だった。しかし、苛めの新しい計画を立てることができた。桜達のように、クラスメイトに口裏を合わせて待ち伏せさせた方が効率がよい。それだけは感謝してやろう。
だが、明日からは私が苛めをする時だ。いや、正確に言えばこの後話を聞かれて臨時の学級会が開かれた後、だ。
ほら、もう校長室が目の前に……。
私は校長と一緒に校長室に入った。
校長室に入るなんて初めてだな。きっと余程校長は怒っているんだろうな。
「なんでしょうか?校長先生」
私は姿勢を伸ばし、淡々とした口調で言った。
さーてと、何と言われるのかな。くすっ、今から楽しみ。
次の瞬間、校長が机を乱暴に強く叩いた。
「里中が苛めをしていると聞いたんだが……詳しく話してくれないか?」
……は?また桜と澄恋がチクった訳?こんなことするの……あいつらしかいないぞ。
でも大丈夫だ。私は先生方から信頼されている。上手いこと言えば誤魔化せるだろう。
「校長先生!私、何もしていません。苛めをしているというのもデマです」
凛々しい表情に、真面目な口調で言った。だがしかし、校長は更に険しい表情になった。
「嘘を言うな!お前が苛めをしていると言うのはお前のクラスの奴から聞いているんだ!!」
くそっ、執念深い奴め。何故私じゃなくてあいつらを信用する?これは少々説得に時間がかかるな。
続き、めっちゃ楽しみです!
頑張って下さい!
>>151
え〜どうなるんだろう?気になる!
>>152-153 ありがとうございます!
ええい!人間なんて涙でいくらでもごまかせるんだ!こうなったら嘘泣きをして落としてやるぞ。
私は顔を隠し、すすり声を出す。
「グスッ…………本当に、私は何もやっていないんです………」
どうだ、これできっと校長も理解しただろう。さぁ、どんな表情をしているのだろうか。
私は隠している手の隙間から、チラリと校長の様子を見る。その視界には、更に怒った様子の校長が映っていた。
「まだ薄情しないのか!お前のクラスの奴から証拠の写真まで貰っているんだ!」
そうして校長は机に写真を乱暴に乗せる。そこには梨奈を苛めた時だけでなく、小学一年生の時にやった苛めの写真まで置いてあった。
………桜と澄恋だ。こんなに証拠を集める事が出来るの、ずっと私のそばにいたあいつらしか出来ない。きっと、これ以上私を苛めたら桜と澄恋を苛めると忠告をした後にチクりやがったんだな………!
校長と話なんてしている場合じゃない。桜と澄恋を口封じしておかないと。急いで写真を奪わないと。そうしないとろくな事にならないぞ。
「里中!待て!!話はまだ終わってないぞ!」
普段は決して先生と話している途中に抜け出したりしないが、今は違う。私は素早く校長室を飛び出し、桜と澄恋の元へ向かった。
初めまして(*˘︶˘*).。.:*♡
156:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/10(土) 16:40 >>155 初めまして!これからも見ていって下さい!
私は一気に二階へ駆け上がり、二人を探した。全力で体力を消耗している為、どんどん体力が減ってきているが、気にしない。廊下だけでなく、一組の教室や女子トイレも探した。
……あ、こんなところに!おのれ、あいつら……。許さんぞ!
桜と澄恋は三組前の廊下で二人でお喋りをしていた。私は話している桜と澄恋に遠慮なく話しかける。
「おい、桜!澄恋!お前ら、何校長にチクりやがってんだよ!」
私は二人の頬をビンタする。二人は一瞬びっくりしたが、直ぐに悪意のある笑顔を作った。
「クスッ……やっぱり怒られたのね。………皆ー、先生からも信用されなくなった奴隷に怖いものなんてないよー!!好き勝手やっちゃってー」
すると、クラスメイト達がどこからともなく現れてきて、ボキボキと関節を鳴らしている。そして、その中の体のでかい男子が私の襟を掴んできた。
「お前……今までよくやってくれたな。だが今のお前に怖いものなんてないんだよ!……さぁ、覚悟してもらおうか」
その男子はガタイがいい上に力も強いので、言いたいことも口に出せなかった。
嫌だ、何されるの……?お願い、私の綺麗な顔を汚さないで……。
その瞬間、桜が男子に呼びかけるように言った。
「ねぇねぇ、もうすぐ休み時間終わるからさ、今はやめとこ?」
「そうか。じゃあまた後で」
五時間目は技術の授業の予定だったが、体育館での学年集会にどのクラスも変更された。
きっと私の苛めのことを話すのだな。……はぁ、大げさな。あんなのただの遊びだっていうのに。なんでこんなに大事にするのだろう。
体育館に着き、私達は背の順で並んだ。すると前後から舌打ちの声が聞こえた。
「なんで奴隷の前なんだろ。凄いストレス溜まるんだけど」
「ていうか奴隷がいるってだけでストレス溜まるわな。だって元いじめっ子だからさ」
ごちゃごちゃうるせーな。私の予定では昼休みに先生に録音した声を聞かせて桜達の苛めについて学年集会を開く予定だったのに。
裏切られて苛められて、先生からも信用されなくなって……何してくれるんだよ。
ストレスのあまり私への苛めに加担している奴らを粉々に殴りたい所だったが、これ以上世間の評判を落とさない為に、今は大人しくしておこう。
学年集会には、学年の先生だけでなく、校長と教頭もいた。校長が前に出て、しんみりと話を始める。
「苛めは絶対にしてはいけない。苛めは物だけでなくその人の心まで奪う。ここにいる皆はそのような教育をされてきた筈だ。………しかし、この学年で小学生の頃から苛めをしてきた者がいると言うのだ」
うるせーな。綺麗事ばかり述べやがって。早く終わらせろよ。
凄い………どんどん破滅の道に進んでる!?
続きめっちゃ楽しみです!
>>158 ありがとうございます!
「三年一組、里中茉莉。お前は今まで、沢山の人を苛めて来たのだな。成績も良く、先生にもしっかりと挨拶をしていたお前が長い間苛めをしていたと言う事には……正直がっかりした」
何だよ、そっちが騙されたんだろ?騙されたお前が悪いんだろうがよ。何人のせいにしているんだよ、このハゲ教師。
「被害者の名前は伏せておくが…………」
その後も校長や学年先生方が何か話していたが、私はこの集会が開かれても反省する気は一ミリも無いので、適当に流していた。
だって、こっちは遊びのつもりだったし。苛めなんて遊びと同じだろ?何が違うんだよ。遊んでる最中に人が転んだりして傷つくことだってあるじゃないか。勝手に物事を大きくしたのはそっちだろ?
「話は以上だ。皆も今後、里中のように人を傷つけることのないように」
いつの間にか話は終わっていた。
ふぅ、やっと戻れる。ずっと立ちっぱなしで痛かったぞ。
帰り際、前の子にボソリと耳元で囁かれた。
「奴隷、反面教師になったら?奴隷が反面教師になったら、いい人が沢山出てくるよー?」
うるせーな。私のした事は間違っていない。そんなことで怖がるお前らの気持ちが弱いだけだ。
「苛めなんて遊びと同じ」という考え方を持つ
主人公、茉莉が怖いなと思いました。
(ストーリーも現実味があるし)
いつもハラハラしながら読ませて頂いています!
続き期待です!
くそっ、私はまだ諦めないぞ!絶対、後残り約二ヶ月の間に桜と澄恋に復讐し、私がまた学校の女王様になってやる!
帰り際にそんなことを考えていたら、良い事を思いついた。
それは、梨奈を下僕にして梨奈にあの二人の悪い噂などを流して孤立させ、梨奈に二人を苛めさせるという作戦だ。そして私は自分の手は汚さず陰で梨奈に苛めの指示をするつもりだ。
私が苛められる様になってからもあまり私に対しての苛めに加担していないし……きっとそのぐらい勇気のない奴なんだろう。なので、こちらが何か命令すれば、きっと断れないだろうと思った。
それに、今回のように自分が前に出て人を苛めると、証拠を集められる可能性が大いにある。なので私は自分より価値がなくて弱い人間を使うのだ。
休み時間、私は皆に見つからないように梨奈を探した。誰かに目をつけられると苛められてしまうので、なるべく急いで梨奈を探す。
………待てよ、高校に行けば皆バラバラになる。今いる奴らで遊ぶのは次で最後なのだし梨奈のことも絶望の底に落としたい。……そうだ、写真を集めて卒業式の日、誰かに写真を提出して貰おう。写真を提出する下僕を誰にするかは後で考えよう。
あっ、あんなところに!……相変わらず醜い顔しているなぁ。
私は水道で水を飲んでいる梨奈を見つけた。梨奈の地味な緑髪と丸眼鏡は直ぐに分かる。
「ねぇ、ブース子!」
私は梨奈の容姿を煽るように笑顔で梨奈の背中をポンポン叩く。
「あのさ、あんたも知ってると思うんだけど、私今苛められているんだよねー。しかも、相手はずっと下僕にしていた桜と澄恋だよ?」
「はい、知ってます」
梨奈は半月前と変わらない暗いトーンで話す。
「それでさ、あんたにお願いがあるんだよね。ブス子が私の下僕になって、私が色々と指示を出すからさ。桜と澄恋に嫌がらせをして二人を孤立させて復讐しようと思ってるんだけどさ……どうよ?」
答えはもう予想済みだ。自分の意見が言えない梨奈なら、絶対に嫌と言えないだろう。
さぁ!今から私の下僕になって、汚れていくがいい!
ところが、次に梨奈が口にした言葉は思いもよらないことだった。
「無理です。ごめんなさい」
………は?どういうこと?何でこいつが首を横に振るわけ?
私は強く拳を作った。拳を握る強さに、自分の怒りが表れている。
「な、なんでだよ!ブスの癖に……ふざけるな!」
感情的になっている私に対して、梨奈はそんな私を見ても冷静だ。その冷静さは、まるで怒っている私を馬鹿にしているような雰囲気だった。
「私、茉莉さんに苛められたせいでかなりストレスが溜まりました。なので、そのような思いをした苛めとは関わりたくないんです」
なんだよ、何も断れなかった癖に。調子に乗りやがって!
その様な発言をしている癖に、何故私の苛めは助けない?………ようし、そこの弱みを握ってみよう。
「じゃあなんで、私がいじめられているのに助けないわけ?ブスなんだからこういう時ぐらい頑張らないと駄目でしょう?」
すると、梨奈は首を大きく横に振った。
「貴女が反省していないからです。貴女以上に、私達は辛い思いをしました。私達の気持ちが分かってからまた来てください。」
なるほど。じゃあ反省している素振りを見せればいいのだな。演技なら私は得意だぞ。
茉莉がなんだか可哀想にみえてきますね、、
いじめはいけないですが、返すのもだめだと感じました……
校長は茉莉が人をいじめていたということをみんなの目の前で言っていて、校長も茉莉をいじめている気がします………
茉莉は毒親(みたいなもの)と暮らしてきたから少しだけ可哀想ですね……
茉莉を応援してしまいます><
>>164 ありがとうございます!
私は深々と頭を下げる。
「うん。反省している。自分がやられて、苛められる辛さを思い知ったよ。だから、裏切ったあの二人が許せない。だから、あの二人に対しての復讐を手伝って欲しいんだ」
「もし復讐に成功したら、梨奈の為に何でもしてあげる」と、私は付け加える。
フッ、勝ったな。こんな演技を見れば、誰だって引き受けるに決まってるだろう。
まぁ、これは梨奈を誘い込む為の演技なので、勿論反省なんてしていないし、梨奈のために何でもするわけでもない。桜と澄恋への復讐が成功したら、梨奈のことも追い込むつもりだ。
ところが、梨奈はまたも首を横に振った。
「嫌です。これは私を誘い込む為の演技ですよね?しっかりと反省してから出直して下さい」
そうして梨奈は、その場を走って去っていった。
……は?何であいつごときが私の魂胆を読めるの?何であいつなんかが私に逆らうの?許せない……。
梨奈に逃げられない為に、今は逃しておこう。だが、次はこうは行かぬぞ。次は梨奈を脅して、無理矢理やらせてやる。でないと今の梨奈はきっと逃げてしまうからな。
土曜日、私はぼんやりとベッドから起き上がり、朝食を食べる為に下へ降りた。
私は下へ降りてきてリビングに入った瞬間、母親に頬を叩かれた。すると、母親は私を見て泣き出した。
母親が私を殴るとは、珍しいな。父親が私のことを殴っていても、見て見ぬ振りをしているのに。何朝から情緒不安定になっているのだ。こっちまでイライラする。
母親はしばらくその後泣き続き、ある程度落ち着いたら中身が沢山入っている、分厚い封筒を三枚ほど机に出してきた。
「あんたが………小学校の頃から苛めをしているという手紙と写真が昨夜に届いていたの!」
…………嘘だろ。あいつら、こんなことまでするわけ?こんなこと親に知られたら、絶対もっと殴られるだろ?こんなことするの、私の家庭のことも知っていて証拠の写真も持っている、桜と澄恋しかいない。
あいつら、まさかこんなことまでする奴だとは思わなかった。私を裏切ってここまで追い詰めるなんて……最低。絶対梨奈を下僕にして、復讐してやる!!
母親は、とうとう我慢していた涙が溢れ出るように流れ出て、感情的な態度になる。
「あんたは、昔から…………幼稚園の時から苛めをして……………また同じことを繰り返して………自分の子供として恥ずかしい!!!」
……え?私が、幼稚園の頃に苛め……?この人、何言っているんだ?
「……………」
意味が分からず、私はその場に固まる。
「ねぇ、まさか、忘れた訳ないでしょうね!?」
そう言われても、私はなんの事かさっぱり分からないのでその場で黙る。
本当にこの人は何を言っているのだろう。幼稚園で苛めなんてしていないぞ?感情的になったからって八つ当たりしないで欲しい。
「………………」
誰も話さないので、当然沈黙が続く。しばらく沈黙が続くと、母親がとうとう話しだした。
「ああ!もう!やっぱり覚えてないのね!じゃあ思い出させてあげる!さっさと来なさい!」
母親は私の手首を思いっきり掴んで私の腕ををぐいぐい引っ張り、私の事を無理矢理どこかへ連れて行った。その時の母親の表情は、普段の私に無関心な感じの表情でなく、酷く険しい表情だった。
今までで一番面倒だ。自分が感情的になったからって私まで巻き込みやがって。私は梨奈を説得したり、桜と澄恋に写真をこの親に送ったことに文句を言うなど、まだまだやることが沢山あるというのに。私を傷つけている親共に付き合っている暇なんてないんだよ!
展開が読めず、ハラハラして凄く面白いです。
これからも読みます。
>>168 ありがとうございます
私は母親と共に二階へ向かい母親の部屋に入った。母親は自分の引き出しの中から数枚の写真と二枚の手紙を出してきた。
「この写真はあんたが幼稚園の時にやった苛めの証拠写真で、この手紙はあんたが苛めていた生徒の保護者からの文句の手紙!」
そこには、小さい頃の私が女の子を泣かしている写真があった。その女の子が誰なのかは思い出せない。
他にも、私が物を壊していたり、女の子に傷をつけている写真などがあった。
「あんたのせいでこの子は『幼稚園に行きたくない』とまで言い出して……。それからお父さんも全然お酒なんて飲まなかったのに毎日の様にお酒を飲むようになって、性格も荒々しくなって……」
母親は目に涙を浮かべながら、荒々しい口調で言った。
次に母親は、もう一つの幼い字で書かれた手紙を見せてきた。
「こっちはあんたが昔書いた謝罪の手紙!手紙を書いたから修まると思ったら、またあんたが苛めをして卒園まで続けて……。だから私もあんたに愛想尽きちゃったの!!」
ふんっ、愛想尽きたなら構ってくるなよ。鬱陶しい。
少しずつだが、その時の記憶が蘇ってきた。
そうだ、父親も母親も昔は優しかった。よく三人で出かけ、家族の仲も良かった。しかし、ある日を境にして私は暴力を受けるようになり、家族の仲は悪化していった。
そう言えば、昔女の子を仲間外れにして楽しんだこともある。……そうか、それが母親の言っている苛めなのか。
「今まであんたのことなんて放置していたけれど、人様を傷つけるなんてことは許せない!何度も苛めを繰り返して………」
次の瞬間、母親が机をバンと叩き、聞いたこともない大きな声で怒鳴り散らした。
「あんたなんてもう、顔も見たくない!!!早く出てって!!」
うわ!何なんだよ。びっくりするじゃないか。こんな大きい声なんて出されたら。朝から怒られているこっちの身にもなれよ。
私はあまりにもびっくりし、ここにいたら更に怒鳴り散らされそうなので、朝食も食べずに反射的に家を出た。
空は曇っており、それは今の私の状況を表すかのようだった。
幼稚園の頃に苛めをしただと?ふんっ、それがなんだって言うんだ。幼稚園児の苛めなんて、子供の喧嘩だろ?校長も母親もクラスメイトも、いちいち大事にしないで欲しいんだよね。
それに、親なら子供が何をしようと子供には優しくするのが普通だろ?勝手に私にガッカリして性格が変わったのはそっちだろ?だからうちの親は嫌なんだよ。
家を出たとはいえ、何も持っていないので買い物などにも行けない。一体どうしたらいいのだろう。
……そうだ、梨奈のアパートに行こう。梨奈を強引に説得し、今日こそ梨奈を下僕にするんだ!
頭の中でそうと決まると、私は鼻歌を歌いながら梨奈のアパートへ向かった。
ピンポーン。私は梨奈の部屋のインターホンを鳴らす。
「はーい。どちら様?」
梨奈のお母さんらしい人が出てきた。
「佐崎梨奈さんのお友達の、里中茉莉です。梨奈さんに会いたいので、開けてくれませんか?」
すると、梨奈のお母さんがアパートのドアを開ける。私は中に入ると、「お邪魔します」と礼儀正しくお辞儀をし、綺麗に靴を並べる。
まさか親がいるとは思ってなかったぞ……。こんな中途半端な面積で一階建てのアパートで強引に説得なんてしたら、親に聞こえるかも知れない。さて、どうする?……取り敢えず、梨奈を探そう。
私の家と違い、アパートなので見つけるのも容易そうだ。これなら早く見つけられそう。
梨奈は、奥の方の和室で折り紙を折っていた。和室は梨奈の祖父らしき人と幼い梨奈が写っている写真があるので、きっと祖父の部屋なのだろう。折り紙を折っているのも梨奈の祖父が好きだったのだろうか。だから梨奈が継承しているのだろうか。
そんなことはさておき、私は折り紙をしている梨奈の腕を無理矢理掴んだ。そのせいで折り紙が多少ぐしゃりとなってしまったが、そんなことは気にしない。
「こんにちは、梨奈!ちょっと梨奈に話したいことがあってさー」
さーて、腕を掴んで話しかけたはいいがどうしよう……。
そうだ、外に行って話そう。アパートの駐輪場なら誰もいないから大丈夫そうだ。それに、私も梨奈もそれほど体格が言い訳ではないので、見つかってもただの喧嘩と思われるかもしれない。
「すみません、少し梨奈さんと外で遊んでいきますね」
私は梨奈の母親にそう伝え、梨奈と一緒に外へ出た。
私は駐輪場に着くと、梨奈の胸元を引っ張った。
「おい、ブス子!とっとと私の下僕になれよ!じゃないと私がまたあんたを苛めちゃうよー?」
「あんたを苛める」というのは、下僕にさせる為の脅しだ。こいつで遊ぶのも飽きたので、次は何がなんでも桜と澄恋を苛めようと思っている。
バンッ!私は梨奈を怯えさせるために、梨奈の顔すれすれの所で地面を叩く。ここら辺ではあまり見かけない土の駐輪場だったので、手は多少汚れたがそこまで痛くなかった。
「なに黙ってるんだよ?すぐ応えないと……こうするぞ!」
私は梨奈の目を目がけて殴る振りをした。
「ほら、早く!トロいんだよ、このブス子がよぉ!」
いい加減早く首を縦に振るなり「はい」と言うなり応えろよ。そろそろ喉が乾いてきたから、私はフードコートで水を飲みに行きたいんだよね。
しばらくすると、梨奈はまた首を横に振った。
………何故?これだけ脅したというのに。話の分からない奴め!
こういう甘い考えの奴には、痛い目を見させないとな。女王様である私に逆らった罰だ!
さっき脅した通り、私は梨奈の顔をグーで殴りかかる。
しかし、梨奈が私の手を抑えたため、私は梨奈を殴ることができなかった。
「茉莉さん、私、言いましたよね?やりたくないと」
梨奈はスッと立ち上がり、喋り出す。
「この際なので、言わせて貰います」
何?何を言うわけ?こいつがこんなに自分の意見を貫くなんて……地球が滅亡でもするのだろうか?私はそのぐらい驚いた。
「私、茉莉さんに散々苛められて辛かったです。なので、いじめというものにはもう関わりたくないのです」
は?だったら今の私への苛めも止めろよ?言葉が矛盾しているではないか。……よし、そこを突いてみよう。
「ですが……………」
私が言い返す前に、梨奈が口を挟む。
全く、タイミングの悪い時にいいやがって。まぁいい、最後に勝つのはこの私なのだから。こいつがどんなに抵抗しても、私に勝てるわけないだろう。
「茉莉さんは、全く自分のしたことに反省していません!!貴女のような考えを持っている人がいる限り、この世に苛めは無くなりません!!!」
梨奈は、私が今までで聞いたことのないぐらいの大きな声で言った。
「貴女のような考えを持っている人がいる限り、この世に苛めは無くなりません」……?何故私の考えを否定する?人の考えなんて人それぞれだろ?苛めと遊びが同じだと思っていることの何が悪い!こいつは人の人権を侵害している!
「ですが……」と、梨奈はさっき大声を出したとは思えないような冷静な口調で言葉を続ける。
「茉莉さんに感謝していることもあります。それは茉莉さんが、私が意見を言えないからと、私を苛めてきたことです」
ふんっ、そうだ、もっと感謝しろ。私のおかげで、こいつは強くなれた。もっと感謝しないとおかしいだろう。
「ですが、その分必要以上のストレスも与えられました。毎日何されるのか分からなくて、辛くて、怖かったです……」
梨奈は少し悲しげな表情で言った。
だから何なんだよ。私がそういう思いをさせた分強くなれたんだろ?感謝しろよ!
私はそんな梨奈の主張を無視して言う。
「それがなんだって………」
「なので、そんな恐怖を与えられた茉莉さんとはもう会いたくないです!私の前から消えてください!」
梨奈が私の言葉を遮った。
何、こいつ。ブスの癖に私に反発した上に、私に消えてほしいだの色々と言いやがって。こうなったら暴力で勝ってやる。頭や顔、首やお腹など、色々な所を梨奈が下僕を引き受けるまで殴ってやる。
しかし、私が殴りかかる前に梨奈はその場から逃げ出した。私は梨奈を拳をつくって追いかける。
「ブス子!待てよ!」
しかし、梨奈は思った以上に速いスピードで階段を駆け上がり、自分のアパートに逃げていった。
私は当然のようにアパートの部屋のインターホンを鳴らす。しかし、インターホンには誰も出てくれず、鍵もかけてあった。
そ、そうだ!梨奈の家の前でやったのが行けなかったんだ!これは少々焦りすぎたか……。こうなったら登校中に梨奈を捕まえて下僕にさせるしかない!今日はとりあえず諦めよう。
くそ、桜も澄恋も梨奈も他のクラスメイトも、好き勝手やりやがって!裏切られて苛められて先生から信頼されなくなった挙げ句、親に苛めがバレて梨奈に反発されて……最近本当にろくな事がない!
喉が乾いてきたので、飲み物を買うために私は財布を取りに家へ向かった。
そろりそろり……私は家に入り、母親に気づかれないようにひっそりと自分の部屋へ向かった。
「あんた!!ちょっと来なさい!」
階段を登っていると、下から母親の声が聞こえた。
ったく、私の顔も見たくないって言ったのは誰なんだよ。言っていることとやっていることがめちゃくちゃじゃないか。
「……何?」
私は階段を降り、素っ気ない声で返事をした。
「さっき、受かっていた高校から推薦を取り消すという電話が来たわ!高校に苛めの写真が送られていて、『人を傷つけるような生徒を入れることは出来ない』、と」
なんだって!?折角推薦で皆より早く合格したというのに!なんてことをする!
……校長か桜達しかいない!こんなことが出来るのは!だって、私の苛めの写真を持っているのは、あいつらしかいないんだから!
まずは桜と澄恋から写真を奪わねば!あいつら、これからもきっと何枚も写真を現像して、私に嫌がらせをするに決まってる!
「待ちなさい!あんた!」
私は財布も持たずに家を飛び出し、桜と澄恋の住んでいるマンションへ向かった。
ピンポン、ピンポン、ピンポン。私はダッシュで桜と澄恋のマンションに行き、桜の家のインターホンを連打する。いつもは桜の親の目を気にしてインターホンを連打することなんてなかったが、今はそんなことをしている暇はなかった。
ガチャリ。桜がドアから出てくる。
「うわっ、奴隷じゃーん。どうしたの?あんまり近寄られるとばい菌が伝染るから近寄らないでねー」
なんだその言い方は!人をばい菌扱いしやがって。そんなこと言うなら桜に近づいたらこっちだってずる賢さが伝染る!
「あははー、まぁ入ってよ。沢山あんたのことをけなしてあげるからさ。まぁ、あんたと一緒にいると私まで奴隷になるかもしれないから、あんまり長居しないでねー」
うるさい!今はそのような話を聞いている暇はない。こいつから写真を奪わねば!
私はイライラを桜にぶつけるように、桜の胸ぐらをぐっと掴む。
「あんた、よくも高校にあの写真を送ってくれたな……」
「あ、推薦取り消されたんだー。よかったね、あんたがいなくなったことであんたが惹かれていた高校の魅力が軽減されないまま守られたんだから」
桜は私を煽るようににっこりと笑う。
私をバカにしやがって!今に見てろよ、絶対に見つけてやるから!
「あんた!今すぐ写真を返しなさい!これ以上好き勝手にはさせない!」
私は怒りで息を荒くする。そんな様子の私とは対称的に、桜は余裕のある涼しげな表情をしていた。
「あはは!よく私の所に来てくれたね。奴隷の望んでいる写真は私が預かっているよー」
桜は私をからかうように笑う。
なんでこいつは、こんなときに笑える……?普通だったら、自分でこのような秘密を言ってしまったら戸惑うに決まっているのに!
「でもさぁ、奪ってどうするの?あんたがいじめをしたことに関しては何も変わらないんだよ?」
黙れ!こんなことで怯む私じゃない!今までのことを取り消すことは出来ないが、これ以上事実を広めないことは出来る!
「うるさい!これ以上事実を広ませないためだ!さぁ、早く写真を出せ!」
そう言っても桜の表情は変わらず、冷静なままだった。
「ははっ!だったらあんただって人の個人情報とか人の失敗を皆に広めていたよね?それと同じだよ」
おのれ!こいつと話すと色々な屁理屈を言われるので腹が立つ。
これだと何を言っても屁理屈を返されそうなので、私は桜の家を出た。
「奴隷、もう耐えられなくなったのー?まぁ、私にとってはこれで満足だけど!」
ふん、今はあんなのは無視しよう。少し最近感情的になりすぎているかも知れない。一回落ち着いて、次の作戦を練ろう。
私は家に帰ると、更に家の中で孤立するようになった。
今まではリビングで食べていた食事も、今日からは母親が私の部屋の前に置いたものを勝手に食べるようになった。その上父親からの暴力も止まり、私は完全に見捨てられた。
なんなの?この食事の仕方は。私をペットみたいに扱いやがって!親の癖に私を見捨てやがって。親だったら私が何をしようが優しくしろっての!
全く、感情的になったらあいつらの思う壺になるから表で感情を爆発させることもできない。
しばらく食べていると、母親が部屋に入ってきた。
「あんた、高校はどうするわけ?」
そうだ、高校……。待てよ、私が二番目に希望していた高校は確かまだ試験が開催されていない筈……。
「第二希望の高校を受験するつもり」
私は母親を見ずに食べながら言った。今態度を悪くしても、どうせもう叩かれることもないと思うから。
「そう。自分で何とかしてよね。あんたはもう、うちの子じゃないんだから」
そうして母親は出ていった。
……待てよ?見捨てられたってことは、もう叩かれることも怒られることもないってことだろ?じゃあ、何をしてももう怒られない。また私がいじめをしても……。
そうだ、私は家庭の中で自由なんだ、自由になれたんだ!
そうだ、私はこれから何をしても怒られない。つまり、何をしてもいい。それなら、また苛めをしても家庭で怒られることはない。だから、苛めをしても先生にバレなければ大丈夫なのだろう。私はそう思うと、突然何かから解放されるような気分になった。
私はご飯を食べながら、頭の中で桜と澄恋の写真の件と、梨奈をどうやって説得するかを考えた。
まずは冷静にならないとな。冷静にならないと、桜と澄恋の思う壺になる。それに、感情を表に出して梨奈を説得すると、梨奈がビビってしまう。
そうだ、まずは冷静に。後のことは物事を冷静に捉えられるようになってから考えよう。頭に血が登っている時に考え事をしても、ろくな事を思いつかない。
落ち着くんだ、私……。私は女王様なのだから、きっと勝てる……。
私は自分に冷静になるように言い聞かせると、一人寂しくご飯を食べた。
「あー、奴隷が来たー」
クラスメイトの中の一人が、私が教室に入ってきたところを指差す。
「高梨、橘。今日の最初のお仕置きはどうするの?」
「普通の暴力じゃ物足りないからさ、誰かが奴隷に馬乗りして二階の廊下を一周して貰おうよ」
冗談じゃない。中学生の平均体重がどれくらいなのかこいつらは分かっているのか?わかっていてやっているなら……それはあんまりだ。なんで私がそんなことされなくちゃいけない訳?
……でも、今感情を表に出すとあいつらの思う壺だからな。今は我慢しておこう。今だけは。
「じゃあさ、高梨と橘がやってよ。二人が奴隷いじめのリーダーなんだからさ」
「わかった。皆の分までしっかりとお仕置きしておくね」
は?なんであいつら?私が今一番嫌いなやつに乗られるなんて……。でも、今は感情を出すことも首を横に振ることも出来ない。本当に面倒くさい。
近くにいたクラスメイトが私を四つん這いにさせて、その上に桜と澄恋が乗る。
……重い。二人ともそこまで太っていたりガタイが言い訳ではないが、やはり中学生二人に乗られると重い。
「ほら、奴隷。早く進んでよほら、急いで!」
二人は私を本物の馬のように扱い、私をべしべしと叩く。
くそ、馬じゃないんだから叩かれても早く走らないっての!
キャスフィにいた、まりんさんですか?
182:愛羅 あいちゃん:2020/11/10(火) 18:51 >>181
キャスフィにいる橋本さんですか?私は「優芽」って名前でやってました(もう卒業したけど)。
まりんさんはこっちだと思います。
https://ha10.net/novel/1590721010.html
https://ha10.net/novel/1589930492.html
https://ha10.net/novel/1592039149.html
はいそうです。
184:橋本:2020/11/12(木) 21:12はいそうです。
185:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/15(日) 18:32 「はい、遅ーい。もっと早く走って」
相変わらず二人は私の体をべしべしと叩く。
くそっ、そんなに早く走って欲しいなら降りればいいだろ?本当に面倒くさい。こいつらが大人しくしていれば……。
「おい、奴隷。降りろ。水が飲みたいんだよ」
奴隷はどっちなんだよ。自分の立場を理解せずに女王様気取りしやがって!本当だったら私が女王様でこいつらが奴隷なのに……。
澄恋は、口の中に水を入れると、その水を私の顔に吹きかけてきた。
私の綺麗な顔を汚しやがったな……。許さない!本当だったら今すぐ殴りたい。だが、今感情的になったらこいつらの思う壺だからな………。全く、こいつらのせいで自由を次々と奪われて本当に意味がわからない。
「あっははは!あんたのその『苛めは遊び』だという汚い考えから目を覚ましてあげたから!感謝してよね?」
何が感謝しろ、だ。いじめと遊びが同じだと思っていることの何が悪い?人の考えなんて人それぞれだろ?そんなこともわからないなんて、頭の中小学生かよ。
「あ、あと三十秒ぐらいでなりそうじゃない?チャイム」
すると、桜が私のお腹を踏んづけてきた。
「じゃあ、私達は先に帰るから。じゃあね」
そう言って二人は私を置いて走って教室に戻っていった。
私は腰の痛さもあってか、二人はチャイム着席に間に合ったのに、私はチャイム着席に間に合わなかった。
「里中さん!チャイムはしっかりと守って下さい。この間まで苛めをしていたというのに……まだ反省していないのですか?」
うるせーな。最近まで私の事を信用していた癖に、何手の平返しているんだよ。……以前は泣いて上手いこと言えば大抵のことを許されていたが、今の状態じゃあ私の言い訳も通用しないだろう。
全く、あいつらのせいで私の道はどんどん壊れていって……本当に迷惑。早く復讐の方法を見つけないとな。
「はい、すみません。以後気をつけます」
私が苛めをしたということは先生方にも知れ渡っている。なので先生の中での私の評価をこれ以上下げないために、先生の前では大人しくしておこう。
「里中は本当に反省しているのー?」
「苛めをした挙げ句チャイム着席に遅れるとか……調子乗り過ぎ!!」
皆が私をからかっている。
ごちゃごちゃうるさいな。こっちは一ミリも悪くないのに。私の楽しみを潰したお前らが何を言う。
「こら、貴方達もはやしたてないの!」
そうして私は皆から罵声を浴びせられながら自分の机に向った。
茉莉ちょっと可哀想…
でも、自業自得だよね…
>>187 ありがとうございます
席に着くと机の中に色紙が入っていた。中身を見てみると、そこには「しね」や「クズ」などの私を中傷するような単語が寄せ書きされていた。
酷い、どうしてこんなこと……。あいつらにこんなことする権利なんてないのに。
「生きる意味無し」や「害虫」など、私を邪魔者扱いをするような言葉もあった。
どうしよう、この色紙。………そうだ、梨奈の机に入れて嫌がらせしよう。梨奈が私の下僕にならないと、毎日梨奈に嫌がらせをする……。いいじゃない。これなら絶対に梨奈も諦めてくれるだろう。
私は桜と澄恋に感情を読まれないように、できる限り冷静を装った。
最初からこうしておけばよかった。これなら、嫌がらせを受け続けられるか苛めをするかの二択だからな。皆、自分が嫌がらせを受けられるより、苛めをする方がよっぽど楽しいに決まっている。誰かを傷つけるというのは、人生の最高のスパイスだから。
そうだ、梨菜に対してのメッセージも書いておこう。
私は筆箱からメモ帳を取り出して一枚千切り、シャーペンを走らせた。
「梨奈へ
これ以上私に反発したら私があんたに嫌がらせをする。嫌なら私の下僕になりな。 茉莉」、と。こんな感じでいいかな。
私は他のクラスメイトに見つかると色紙を取り上げられると思ったので、こっそりと梨奈の机に入れた。
……よし、無事に入れられたぞ! 後は梨奈が私の下僕になるだけだ。
さっさと私に従っていれば良かったのに、ずっと反発していた梨奈……なんて生意気なのだろう。梨奈を下僕にしたら、梨菜にきつく説教しなきゃ。……そうだ、梨奈を下僕にしたら梨奈のことも陰で苛めよう。
私が心の中で一人ウキウキしていると、突然クラスメイトに後ろから背中を蹴られた。私は反射的に後ろを向く。
「何? お前の体があったから蹴っただけだけど?」
私の背中を思いきり蹴った男子は、余裕な表情をしてその場を去っていった。
ああ、もう! どいつもこいつも生意気な奴ばっかり! ……もう、梨奈には桜と澄恋以外の奴らも苛めさせよう。
絶対に私の手で、こいつらを絶望の底に落としてやるんだから……!
はじめまして!!小説すごく面白いです^-^
梨奈ちゃんがかわいそう、、、
「止めてください! これ以上私に近づかないでください!」
私が梨奈の机に色紙を入れた後、私に向って叫んてきた。
「私、言いましたよね? 下僕にはならないと」
下僕にはならない? これ以上近づくな? ふん、ブスの癖に何調子に乗ったことを言っている?
私の中で何かが切れた。
気づくと、私は梨奈のお腹を蹴り飛ばし、馬乗りになっていた。
「下僕にはならない? これ以上近づくな? ブスの癖に生意気なことを言ってんじゃねぇよ!! お前や桜や澄恋、それ以外の奴らは本来なら私の奴隷であるべきなんだよ! なのに最近私の下僕共は私を苛めるし校長に私がやったことをバラすしよぉ……。こんなのは本当ならあってはいけないんだよ!」
はぁ、はぁ……。怒鳴ったせいで、私の息は荒くなる。
もう、面倒な作戦とかも一切立てない! 私はもう、ただ手当たり次第にこいつらを苛めていく!
「だからよぉ……ブス子も桜も澄恋も、最近調子乗り過ぎなんだよ。だから、これからな私を傷つけた人全員の事を手当たり次第苛めるからな!」
私が言い終わると、一つの影が私達の前に立ちはだかった。
>>190 ありがとうございます
「ふーん。やっぱり奴隷は私達の事を下僕としてしか見ていなかったのね」
桜が立ちはだかった。その後ろに澄恋もいる。
しまった! 梨菜に気を取られていて周りを全く気にしてなかった………!
どうしよう、今の話聞かれたよね?
「私達の事を苛めようとしていたなんて、最低ね!」
うるせーな。私の何が悪いんだよ。最低なのは下僕の身分で私にはむかったお前らだろ?
「澄恋、こいつにどんな罰を与える?」
「そうね、それなら………」
二人が何かを話している。コソコソと話しているが、私にはしっかりと聞こえた。
……ふざけるな! 何が罰を与える、だ。何故私が下僕共に苛められなきゃいけない?
私は、クラスでカースト最上位の女王様だ!!!
「やっぱり、もっと苛めの強さを上げるしか無さそうだね」
澄恋が口にした。
苛めをもっときつくする? ふざけるな。何故スクールカースト最上位の女王様である私が下僕共を苛めただけでこうなった?
私は苛めをしても良い人間なのに……。許せない。
それから私は、本格的にクラスの奴隷になった。
今私は、机の中にゴミを沢山入れられ、油性ペンで机に「しね」「クラスのゴミ」等の悪口を掛かれた。そして、落書きをクラスにある洗剤で消し終わるまで、私は蹴られたりゴミ箱のゴミを投げつけられたりする。
「早く消し終われよ! ずっと蹴っている私の気持ちも考えろよ!」
間違えて途中で送ってしまいました🙇
私は強く蹴られる。その様子を見ている他のクラスメイトは、遠くで私を見てクスクスと笑っている。
そして横からはゴミを投げつけられ、おかげで私の制服にホコリが沢山ついている。
そう、私はターゲットになった。
もう、スクールカースト最上位にいた面影なんて無い……。私は一瞬でスクールカースト最底辺になった。
私がスクールカースト最底辺に落ちたおかげで、クラスの隅で細々と生きている奴らは急に教室の真ん中で調子に乗り始めた。スクールカースト関係なく、皆が敵になった。
私がクラスの奴隷になったことは桜と澄恋のせいでクラスの外にも一瞬で広まり、歳やクラス関係なく苛めていた私はクラスの外の人達からも睨まれるようになった。
なんで私がこんな目に……。私は何も悪くないのに。私の下僕達が大人しく私に従っていれば……。でも、今反発したらもっと酷い苛めが待っているんだよね。
桜も澄恋も、本当に許せない。様子を見計らって、タイミングが良い時に絶対に復讐してやる……!
休み時間、私は携帯を眺めていると、一つのニュースの記事が目に入った。
なんとそこには、私が苛めをしていたというニュースがあったのだ。
そのニュースには、私が唯一自殺にまで追い込んだ百々麻莉奈の事を中心に書かれていた。
百々麻莉奈を私が死なせた事、他にも何十人者人を苛めていた事など。とにかく分かっている分だけ書かれていた。私の顔写真も載ってあり、私が苛めをしたという事は誰が見ても分かる内容だった。
これもきっと、桜と澄恋の仕業……。だって、これらの写真、桜と澄恋の顔だけ上手く切ってあるから。絶対にあいつ等しかいない。
なんで自殺に追い込んだだけでこんな事書かれないと行けないんだよ。確かに百々には色々と遊ばせて貰ったけど、勝手に自殺したのは百々の方でしょ? あんな事で死ぬなんて思ってなかったし、あいつのメンタルが弱すぎなんだよね。
もう終わった事をどうしてあいつ等はネットに載せるのかな? 私は怒りを通り越して悲しみの気持ちで溢れた。
桜も澄恋もそうだけど、百々もふざけるなよ。お前が死ななければネットに挙げられる事もなかったかもしれないのに。お前のメンタルが弱いせいで……。私の遊びで死んだやつなんて、お前以外はいないんだよ!
さて、このニュースの記事をどうしよう……。早く消さないと大変な事になるぞ。いち早く記事を消す方法を探さないと。
そんな気持ちで携帯をいじりながら帰っていると、横から強くボールが当たってきた。
痛いなぁ……。誰がやったんだよ! 私には今こんな事をしている暇はないんだよ!
「やーい、人殺しー」
「おいおい、あまり近づくなよ。俺らまで殺されるぞ」
後ろを振り返ると、そこには近所の小さい男の子達がいた。
なんだよ、人殺しなんて。私は人を殺したなんかいねぇよ。あっちが勝手に死んだんだろ?
その瞬間、私は心臓が大きくドクンと鳴った。
待てよ、何故あの餓鬼共は私の事を人殺しと行ったんだ……? もしかして、もうあの事件の事が全国に広まっているのか?
嫌な予感がして、私は走って家に向かった。
私の勘違いであって欲しい……。何故私がこんな目に会わないといけないのか……。全く理解が出来ない。
私は悪くない。悪いのは勝手に死んだ百々の方……。
そう自分に言い聞かせた。
息を荒しながら家に着くと、そこには数台のパトカーが止まっていた。
う、嘘でしょう……? 悪い予感が当たっていたなんて……。この光景を見たら、信じがざるを得なかった。
家の前に立つと、そこには数人の警察官と両親がいた。一人の警察官がこちらに気づくと、両親がこっちを睨んできた。
「君は、里中さん家のお嬢さんかな?」
一人の警察官がにっこりと聞いてきた。私はその圧力に圧倒され、無言で頷くしかなかった。
「少し貴女に聞きたい事があるんだ。一緒に来てくれないかな?」
警察らは、私の応えを聞かずに私を何処かに連れて行った。
一体何をされるの? 不安で仕方がない。なんで私がこんな目に……。どうして……。
私は、何も悪くないのに……。
桜と澄恋が大人しく私の下僕でいてくれれば、私がクラスの奴隷になる事もなかった。あいつが死ななければ、こんな大事になる事もなかった。親が私が苛めをしている事を知っても、私に愛情を注いでいれば、家の中で孤立する事もなかった。私の奴隷だったクラスメイト達が調子に乗らなければ私はずっとクラスの女王様だった。梨奈が私の下僕になっていれば、私は今苛められずに済んでいた……………。
そう、全ては周りの奴らが悪い。
私の心の中は、周囲の人間に対する憎しみでいっぱいだった。
私は交番で、今までどれくらい苛めをしたのかという事など、とにかく苛めに関する事を全て丸裸にされた。
なんでわざわざ丸裸にするんだよ。たかが苛めだろ? 私の何が悪いんだよ。
そりゃあ、頭が良いだけで顔もそこまで可愛くない桜とかが苛めをするのは良くないと思う。けど、私は顔も成績も、世間の評価も高かったんだから。そんな私が苛めをするのは悪い事ではないと思うのだが。
「貴女のせいで、百々さんの遺族は大変辛い思いをしているんだぞ?」
警察が私に尋ねてきた。
ふん、何が辛い思いをしている、だ。そんなの知った事ない。勝手に死んだ奴の事で悲しむなんて……大人の癖に随分と意気地がないんだな。あー、笑っちゃう。
だが、ここで本当に思っている事を言うと更に嫌な目に会いそうなので、取り敢えず謝っておこう。
「はい………。こうやって警察沙汰になって、自分の愚かさを知りました。遺族の方には大変酷い事をしたなと……。そして、百々さん以外にも私は沢山の人を苦しめました。被害者の方々にはこうやって謝る事しか出来ませんが……非常に反省しています……」
私は心にも思ってない謝罪をした。
くす、我ながら上手い演技だな。昔から自分の手は汚さない様に何かと演技をしてきたので、演技は大得意だ。
私はその後も、警察の小言を適当に相槌をうってやり過ごした。
だって、たかが苛めだろ? なんで私より勝手に死んだ奴の肩を持つんだよ。意味が分からない。それに、私にはもっとやる事が沢山あるんだよ。ネットのニュースの記事を消したり、世間の評価を上げたりと。警察なんかに付き合ってられるか!
家に帰ると、親は私にもっと冷たくなった。夜ご飯も持って来ない。お腹が空いたら冷蔵庫の物を勝手に漁って食べるだけ。
父親はもっと酒を好むようになり、母親はいつも機嫌が悪い。私の家はどんどん崩壊していった。
ジリリリリリ、ジリリリリリ………。うるせーな。ろくに休めもしないじゃないか。
お風呂に入っていると、家の電話が物凄い頻度で鳴っていた。母親が出て切ったらまた電話が鳴る、切っても切ってもキリがない、そんな感じだった。
恐らく、私の苛めの事が原因だろう。その証拠に
「はい、本当に申し訳ありません! この事に関しては、何度謝罪をすればいいのか……」
と、何度も母親が謝っているから。
私がした事は近所に一気に広まり、近所内で私は「殺人鬼」扱いだった。
少し携帯から目を話すと、自分の携帯に「殺人鬼」「お前がしね」「お前がいなくなればこの世は平和になる」などの言葉が書いてあるラインやメールが百件以上あった。
なんで、どうして……。
メールやラインだけでなく、電話の履歴も溜まる一方なので、携帯は常に振動が鳴りっぱなしだった。私は携帯の振動に耐えられなくなり、携帯の電源を切ってクローゼットに携帯を放り投げた。
嫌だ、嫌だ……。どうしてこんな事に……。
「茉莉!!」
体育座りで蹲っていると、母親が急に部屋を開けてきた。
なんだよ、こっちはお前の顔なんて見たくないのに……。
「あんたが受験する予定だった高校からも『人を傷つけるような人はいらない』と、断られたわ!」
__?! 嘘だろう?
許せない、あいつ等のせいで私の人生をめちゃくちゃにされるなんて……。
「どうするかは自分で決める事ね。あんたのせいでこうなったんだから」
そう言って母親は部屋を出ていった。
あんたのせい? 何故? こうなったのは私を追い詰めた桜と澄恋____いや、この世の奴ら全員だろう?
もう、こうなったら……なるべく遠い所の私立高校しかないじゃない。どうしてくれるんだよ!
次の日、学校に行く為に家を出ると周りの人達から冷たい視線を向けられた。
その光景に耐えられなくなった私は、家からマスクとサングラスを取りに行き、学校に着くまでサングラスを掛けて登校した。日本人には珍しい私の生まれつきの金髪等で何人か気づく奴もいたが、何もつけないよりはマシだ。
教室に入ると、そこには澄恋が私を待ち構えていたかの様にドアに立っており、そのまま私の頬をバチッとビンタしてきた。
……いってーな。いきなり何なんだよ。
そのまま机に向かうと、今度は桜が私にカッターを向けてきた。
危ねーじゃないか。当たったらどうするんだよ!
「お前がしねよ、殺人鬼! お前がいなくならないとこの世は平和にならないんだよ!」
な、何なんだよ………。
すると、桜はカッターを私の近くで振り回してきた。そのおかげで、私の制服は見事に切り裂かれた。
「あーあ、外しちゃった。もう少しでお前の心臓に当たりそうだったのに」
その言葉に私はゾッとした。
もしかして、本当に桜は私の心臓を狙う気だったのだろうか……? いや、そんな事はないか。桜は自分の手を汚す様な大事を起こす者じゃない。
それにしても、その制服どうしよう……。家に代えはあるが、学校には持ってきていない。これじゃあ授業に出れないじゃないか。
「何してくれるんだよ、桜!」
私は桜をキッと睨んだ。すると、桜は一瞬私の格好を嘲笑い、この後桜も私を真似するかのように私を睨んだ。
「お前……そのまま授業受けろよ。お前みたいな殺人鬼に人権なんてないんだから。その程度なら上着を羽織れば何とかなるし、お前は席が後ろの方なんだから先生も中々気づかないでしょう?」
はぁ? ふざけるなよ。なんで私が下僕共の言う事を聞かないといけないんだよ! もうこっちは懲り懲りだ!
「お前らだって、私と一緒に苛めていた癖に!!」
私は桜と澄恋に向かって言う。その様子を二人は呆れて見ていた。
「いや、私達はずっと奴隷に復讐しようと思っていたよ? 苛めは良くない事を奴隷に分からせようと思って。ねぇ、澄恋」
桜の問いに、澄恋は頷く。
屁理屈ばかり___悔しい、こんな下剋上……許せない!
「学級会の時間まであと十分ぐらいあるじゃん。だから奴隷、少し来てよ」
今度は何なんだよ! ふざけるな、私のした事を校長にバラした挙げ句ネットにも載せるなんて……許さない!
続きが気になる!頑張ってね!
204:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:47 >>203
元愛羅です( ^ω^ )
>>203 ありがとうございます
桜と澄恋はトイレに入ると、再びカッターを目の前に出して来た。
……今度は何?!
「澄恋は鋏を持って。カッターと鋏でこいつの制服をボロボロにしていこう」
澄恋がニヤリと笑って頷くと、二人はカッターと鋏をそれぞれ構える。
制服をボロボロに……? ふざけるなよ、セクハラじゃないか。
「奴隷、そんなに眉間にシワを寄せないの。あんただって梨奈とかの制服を散々切り刻んでいたんだから、やられてもいいんでしょう?」
それは、梨奈がブスだからやっているだけ……。ブスの制服なんて何でもいいと思ったから……。だから、私の制服を桜と澄恋が切り刻んでいい訳がない!
「ふざけるな……………」
私は二人を睨んで言う。二人は、そんな私の状況をからかうかの様に笑う。
「へぇー、自分がされて嫌な事を他人にもやっていたんだー。その程度の奴がクラスで女王様を気取っていたなんて……面白過ぎて笑っちゃう」
二人はクスクスと笑い始めた。
なっ………、何が面白いんだ! ランクの高い人間がランクの低い人間を苛めて何が悪い!
「まぁいいや。取り敢えずあんたには罰を与えないと。桜、行くよ!」
澄恋が桜にそう言うと、二人は刃物をこちらに向けてきた。
「きゃあ!!」
二人は私を無理矢理床に倒し、制服を切り刻んでいった。
二人がかりなので、制服は物凄いスピードでボロボロになっていった。
「あはは、いいねぇ澄恋。どんどんやっちゃって!」
二人は、私を挑発する様に声をかけながら切っていく。
………ガリッ! 痛い……! 足に当たった! 私の自慢の白い脚が……。これはわざとなのか? それともまぐれなのか? ……どっちにしろ私の脚に当たった事は同じなんだよね。私の制服をズタズタに切るんじゃねぇよ!
三分経つ頃には、私の制服は端切れ同然の様になっていた。
「うわぁ、露出狂じゃん! だっさーい」
二人は私を指差してゲラゲラ笑う。
「さぁ、帰ろう。皆奴隷の事を待っているよ」
それって私を苛めるために待っているんだろう? そんな教室に戻るなんて御免だな。
「何奴隷立ち止まっているの? ほら、早くついてきなよ!」
二人は私の腕を笑顔で掴み、腕が痛くなるほど強く握りしめて来た。
ふと、切られた脚を見てみると……やはり脚に血が流れていた。
ふざけるな、覚えておけよ。いつか絶対に復讐してやるから。
私が教室に入ると、皆が私の姿を見て爆笑して来た。
「奴隷、何その格好! そんなに皆に見せたいんだったらもう全部脱いじゃえよ!」
皆が私の事をからかって来る。
……私だって好きでこんな風になった訳じゃねぇよ。皆好き勝手に私の事を笑いやがって。お前らのせいで私は受かっていた高校にも入学を拒否されて、世間からも冷たい目で見られる様になったんだよ!
ジャージに着替えよう。こんな姿を先生に見られるなんて絶対に御免だからな。以前だったら私を心配してくれるだろうが……今だと私の敵になるかも知れないからな。
ジャージに着替えようと私はサブバッグを取り出すと、澄恋が足をドンと鳴らした。
「奴隷、ジャージに着替えるの? 着替えるんだったら教室で着替えてよね」
はぁ? こいつ、何言っているの? 出来るわけないだろ、そんな事。
しかし、クラスメイト達は澄恋に続く様に文句を言ってきた。
「俺だって散々お前に皆の前で脱がされたんだから、お前もやれよ!」
「そんなに制服がボロボロなんだから、制服来てない状態とほぼ同じでしょ?」
うるさいなぁ。お前らみたいなランクの低い人間はともかく、何故私が皆の前で着替えないといけない? ふざけるな。
すると、桜と澄恋が私を押さえつけてきた。
「ほら、早く着替えなよ。着替えないとずっと離さないよ?」
二人に押さえつけられて身動きが出来なくなった私は、仕方なく皆の前で着替え始めた。
皆がこっちを指差してヘラヘラと笑っている。
「あっははは!!! 奴隷ー、その汚い体を見せるなよ。殺人を犯しているんだから、血とかついているんじゃないの?」
クラスメイトの一人が私を馬鹿にしてきた。
私は人を殺してなんかいない。あいつが勝手に死んだだけなのに……。てか、あの事を思い出させるなよ。折角事故という形で問題は済んだのに、桜と澄恋のせいで……。
カシャッ。クラスメイトが私の着替えているところを撮ってきた。それも、バシャバシャバシャバシャと、連続で。
「はは、これネットに匿名であげちゃおうかなー」
その内、一人だけでなく色々な奴らが私を撮ってきた。
「そうだ、学年ラインに送ろう。それで学校の後輩達に広める様頼もう」
………は? ふざけるな、それはセクハラだぞ?!
「っ………おい!!」
学年ラインに送ると言った奴に文句を言おうとすると、桜が私の口を抑えてきた。
「どうしたの? 着替えたなら大人しく座っていなよ」
また私の邪魔をしやがって……。ふざけるな!
私は着替え終わると、ドスンと椅子を鳴らして座った。
着替え終わって席に着き、一時間目の用意をしようとしたら、私の机の中に沢山のちり紙があった。ちり紙を見てみると、そこには「しね」「人殺し」「疫病神」等、少し前より酷い悪口が書かれていた。
来た時はこんな物なかったぞ………? ……そうか、桜と澄恋が私の制服をボロボロにしている時にクラスメイトの奴等がちり紙を入れたんだな。
あいつ等………どれだけ悪知恵を使ってこっちを苛めてくるんだよ。こいつ等のせいで私は世間から殺人鬼扱いされるしよ……。こんな事になるんだったら桜と澄恋を下僕にするんじゃなかった。
その様子に気づいたのか、澄恋がこっちに来てちり紙をばっと取ってきた。
「茉莉、ちり紙見たの? ちり紙見たなら早くしんでよ」
死ぬわけないだろう? お前らに復讐をしてない状態でしねるわけがない。じゃないと私はきっと成仏できずに、永遠に現世をさまようだろう。
「ちり紙を学校のごみ箱なんかに捨てないでよ。そしたら先生達に私達の事がバレるかも知れないから」
澄恋はそう言うと、私の鞄の中に紙を奥の方に入れてきた。
……言われなくても学校のごみ箱なんかに捨てねぇよ。だって、きっと先生達も私の敵だから。
苛めは人の心を壊すとか綺麗事ばかり言いやがって。ふざけるなよ、どいつもこいつも。
訂正
茉莉、ちり紙見たの?→奴隷、ちり紙見たの?
休み時間、私は窓際でぼーっと空を見ている。
鳥が羨ましい。鳥は人間と違って裏表が無く、苛める事もない。私も鳥に生まれて鳥の中の女王様になっていたら……。
曇り空を飛んでいる鳥を眺めていたら、突然誰かに背中を押された。
………危ないじゃないか!! 落ちたらどうするんだよ!
イライラした私は誰がやったのか確かめる為に後ろを見てみると、そこにはクラスの男女四人が立っていた。
「はぁ、最悪。もう少しで奴隷を殺せそうだったのに」
その中の女子が言う。
はぁ?! 殺せそうだった? こいつら、私をころす気だったのか……? ふざけるなよ。
「奴隷の身分だから分からないかも知れないけど、日本では人を殺したら大抵は死刑を執行しないといけないの。たから奴隷の事も殺さないと」
……私は、殺人なんて犯してないのに。自殺と殺人なんて全く別の物だろ? 何故私が殺した事になっている?
「皆ー、奴隷の死刑を執行しよう。窓から突き落としてね?」
その人は、近くのクラスメイト達に呼びかけた。そこには桜と澄恋の姿もあり、二人は誰よりも早くこちらに駆けつけてきた。
「このぐらい集まれば執行には十分かな。じゃあ、皆で協力してこいつへの恨みを晴らそうね!」
「落ちーろ、落ちーろ!」
皆がおしくら饅頭をする様に私をぐいぐいと押してくる。
……やめろ、このままじゃ本当に落ちちゃう!
皆は、ぐいぐいと私を押している最中に次々と「しね」「殺人鬼」「あの子にあの世で土下座しろ」等の罵声を言ってきた。私はクラスの女王様から、小さな殺人鬼になっていた。
ええい! 私が殺人鬼だなんて絶対に認めないぞ! 私は殺してなんかしないんだ、あいつが勝手に死んだだけの話だ!
キーンコーンカーンコーン。皆が私を押している最中にチャイムが鳴った。私を押していた人達は舌打ちを鳴らしたりと、残念がりながら席に戻っていった。
「あと少しであいつを落とせそうだったのに………」
誰かがそう呟いた。
くそ、昔の私だったらこんな時は間違いなく呟いた奴を殴っていたが、今だと見事に私が悪者のように仕立てられるから嫌がらせも出来ない……。本当に腹が立つ。
私は心の中でクラスメイトを憎みながら机に向かった。
「消えろ、殺人鬼!」
放課後、家に向かっていると名前も知らない子供や学生に「しね」「消えろ」等の言葉を浴びせられた。
変装していても私だと分かるなんて……。
家が見えると、そこには空き缶や使用済みの煙草がわざとらしく大量に捨ててあった。きっとその辺のを誰かが集めたのだろう………。
更に、窓の門を開けると家のポストに手紙が大量に入ってあり、何枚か手紙が落ちていた。
……ふん、誰かこんな手紙等を開けるか! どうせ私に対しての悪口が書かれているんだろう? どいつもこいつも私を悪者にしやがって! 許さんぞ!
家に入ると、とどめを刺す様に父親の携帯や家の電話が鳴りっぱなしだった。きっと誰かが私に文句を言いたいのだろう。
相変わらず父親は酒に溺れて寝ている。私はふと、母親に苛めがバレた時の事を思い出した。父親は私のせいで酒に溺れるようになったと言っていたからだ。
……ふん、父親は私のせいで酒に溺れるようになっただと? そんなの知った事はない。子供のお遊びと酒が何の関係があるんだよ。
私は部屋に入ると、いきなりどっと疲れが出てきた。
私、もう疲れた……。下僕共から下剋上をされた挙げ句ネットに私の遊びの内容を書かれて……。そして今は街の殺人鬼扱い。この日本人には珍しい金髪も、完全には隠せない。この街にいる限りどこにいても冷たい目で見られる……。もう、高校に入学するまで不登校になった方が良いのではないか……。
私は不登校を決意した。私の事を見放した両親は心配する気配もなく、私は誰にも文句を言われずに不登校になれた。
文句の声や電話の音が聞こえるのが嫌なので、私はお腹が空いた時以外は絶対に部屋から出る事はなかった。
そして、自分の部屋からでも文句の声は聞こえるので、私は勉強して一日一食食べ終わると直ぐに眠りについた。
夜の十時に寝るようになり、朝は毎日九時に起きる。そして受験の為に三時間勉強して少し経ったらご飯を食べる。そして四時間ほど昼寝をしてお風呂に入ったら部屋で漫画を読んだり桜達の復讐方法を考えるなど、自由な時間を過ごしたら眠る。こんな日々が続いた。
一日一食だと足りないのではないか、そう思う人もいるかも知れない。しかし、脳しか動いていない私は全くお腹が空かないのだ。なので、一食で十分だ。もしかしたら全く動いてないのでお風呂も要らぬかも知れない。
……もう、全てが面倒だ。学校の女王様じゃない私なんて私じゃない。高校入学まであと一ヶ月半もあるのだ。それぐらい経てば苛めなんて皆忘れるだろう。高校も電車で一時間ほどかかる隣の県の高校だし……。きっともうすぐで私は救われるだろう。
そして私は今日もお風呂に入ったので眠りにつく。
部屋にいても文句の声は聞こえる、いつ外に出ても人はいるので外に出れば文句は言われる……。そんな事から私は家から出られなくなり、少し脂肪がついてきた。
仕方ない。だって、ストレスが溜まって体も一切動かさない、食事も一日一食。そりゃあ太るだろう。
以前は折角の私のいいスタイルが崩れるのが嫌だったが、最近私は太った自分の体型を好きになってきた。何故なら、太る事で少しでも自分の見た目を変える事が出来るから。これなら私立の受験で会場に向かう為に外に出る時も少しは暴言を吐かれる回数が少なくなるだろう。
そう思い、私はお風呂に入りながら自分のお腹を見る。自分の柔らかいお腹を見ながら、私は段々と怒りが込み上げてきた。
そもそも下僕共が下剋上をしなければ私が太る必要もなかった筈……。どうしてくれるんだよ! もしドヤえもんがこの世にいたらあいつ等をぶん殴りまくって外に出られない顔にしてやりたいわ!
……たく、最近本当に下僕共のせいでストレスが溜まる。下僕共のせいでどんどん太ってくるわ。許さない、絶対に。
寝てばかりの日々が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか私立高校の受験日になっていた。
なので私は帽子を深く被ってサングラスを掛け、筆記用具や受験番号の紙を持って電車に乗った。外に出るのなんて半月程久しぶりだ。
ガタンゴトン、ガタンゴトン………。電車の中で私はクラスメイト達を激しく恨んだ。
なんで私が遠くの私立高校に行かなければならないんだよ! 折角推薦で都立に受かって梨奈を苛め放題だったのに……。私を不登校にした挙げ句、私の自慢のスタイルを奪いやがって!
あ、でも、もうこれで開放されるんだったな。私立高校は隣の県の高校だから苛めがバレる可能性も低いし、桜と澄恋にどこの私立高校なのかというのは教えていない……。
これならきっと私はまたクラスの女王様になれる!
いけないいけない。今は受験の事を考えなくては。持ち点は十分高いがそれでも頑張らないと。じゃないと私の生きている意味がないからな。
そう思い、私は暗記の本を開いた。
勉強三昧の日々だったので私は暗記の本を丸々暗記していた。これ以上暗記をする必要は無いと思った私は、心を落ち着かせる為に会場に着くまで仮眠を取った。
――――――――――――――
車掌の声で目が覚め、そこは丁度会場がある駅だった。
これで受かれば、私はまた学校の女王様に__! 私はようやく開放されるのだ!
高校に入学したら、私は早速下僕を作って、苛めの最初のターゲットを決めて、クラスの女王様になって……。ああ、考えただけでワクワクする。
不登校になった分沢山勉強をし、学校の成績も良かったので持ち点も高く、受かる自信しかない。
それでも受からなかったら私は大変な事になるので、念には念を入れて私は受験会場に入るともう一度暗記の本を開いた。
理科社会等の暗記教科だけでなく、数学の公式等もしっかりと覚え直す。最初は国語から始まるので、特に国語の漢字や古文等を覚え直した。
そして国語の試験が始まり、私は試験に挑んだ。
続きが楽しみですっ!!
219:TACOWASA◆DU:2022/11/22(火) 02:56続きをご期待!
220:匿名 o:2023/02/04(土) 17:43続きはいつですか?
221:徒食芽癒◆gA:2023/02/14(火) 17:31 >>217
続き楽しみにしています
めちゃ面白いです!
つづきまってますっ
>>221それなです
224:八神太一 ◆6E:2024/04/20(土) 23:33続き待ってるで
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