混ざる或生命

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1:深河春淵◆wc:2020/02/04(火) 23:29

戻ってきました
先刻にも書いた通り
「アビス」と呼んでくれて
構わないですよ

閲覧は自己責任で
御願いしたいです

猫も食わない生魚の戯言は
聞き入れる心算は御座いません

153:深河春淵◆wc:2020/12/06(日) 21:53

禁忌の書 頁に記されしは
秘匿されたおぞましき魔物を
揺り起こす呪文なり

其の書物 見つけ出せし者よ
決して起こし 操ろうなどと
驕るる無かれ

奴等は悪 混沌 滅びの顕現者
誰の意にも従わぬ故に

154:深河春淵◆wc:2020/12/07(月) 21:02

人よ
汝が陽を拝む日は永久に来ず

我等が住まう地を見上げるのだ
暗く 冷たく 光は無く

生命の無い
只 歿に満たされた冥界を

祈りなど止めておけ
それが天の神々の者へなら

どうせ届きなどしない上
我が主の怒りを買うだろう

我が主の怒りは恐ろしい
この冥界を虚ろに彷徨う亡者にも
恐怖と云う概念を抱かせる

受け入れよ 諦めよ
さすれば 汝の体の痛みは
消え去るだろう

155:深河春淵◆wc:2020/12/13(日) 22:28

この冥界において
絶対なる存在は我である

だのに人と云うのは何故
天上の神々に膝を折り
祈りを捧げるのか

全く以て不快で
見るに堪えぬ業腹よ

そんな者は 定めた罪より重き
罰を与えてやらねば

156:深河春淵◆wc:2020/12/13(日) 22:44

鐘が鳴った 魂が慟哭している
我が主の怒りだ…

煮えたぎる血の池は凍てつき
植物の幻影は霧散して
深淵より出ずる炎は噴き出した

人よ あれだけ警告したと云うのに
何故天の神々に祈りを捧げたのだ

あの所々肉の腐り落ちた
おぞましき邪龍が 我が主の真の姿だ

嗚呼なれば百日は怒りは収まらず
自ら築きあげたこの冥界を
九割方破壊せねばならないだろう

157:深河春淵◆wc:2020/12/15(火) 20:53

貴方の運命は私の手の中に
未来に夢見る貴方の希望

赤 黒 赤 黒に塗り替えて
絶望を見出だしてあげましょう!

158:深河春淵◆wc:2020/12/18(金) 21:24

ちく たく ちく たく
振り子よ 揺らげ 針よ 刻め
時の 観測を

ちく たく ちく たく
眠れ 人よ 起きては ならない
音を 耳が 拾う限り

眠る者達へ 私は首に 鎌を掛けよう
良き夢 見し者よ そのまま夢に
微睡み 眈溺するが良い

159:深河春淵◆wc:2020/12/18(金) 22:12

地よ滅べ
花は芽吹かず

水よ干上がれ
恵みは涸れて

空よ淀め
我が心の様に

160:深河春淵◆wc:2020/12/23(水) 20:55

彼等は私と笑いました
私も彼等と笑いました

そして私は心の底で
彼等を憎んでいたのです

161:深河春淵◆wc:2020/12/25(金) 18:04

紅茶はいかが?おじょうさん
砂糖はいくついれる?

お菓子はいかが?おじょうさん
いくつがいい?菓子の数

迷ったのだね?おじょうさん
どこから来たのだい?

どうでもいいのだよそんな事
元の世界に帰りたいなんて

私は今日と云う日が楽しい
楽しいから笑っている

それじゃあ質問をするよおじょうさん
頭の中で元の世界を描けるかい?

答えは無理だそんなのは
考える事を脳みそは放棄した!

おじょうさんの頭の中は
帰る事を考えないで

目の前のごちそうを
食べる事を考えている

食べるといい!好きなだけ
切らしてもまた出てくる!

今日は25だ
明日も明後日も25だ

カレンダーなんてものは
意味がないのです!

望んだのはおじょうさんだ
お忘れか?あの幼い日に願った事

永遠のクリスマスがあれば良いのにと
そう云ったではありませんか!

ところでおじょうさん
まだ気が付かないか?

私が大きく見える事?
周りが大きく見える事?

いやちがう!
おじょうさんが小さくなったのだ!

幼く!愛らしい!
あの頃に戻った!

今はおじょうさん
自分の名前しか云えない

それ以外の記憶しかない
憐れ?ちがう 祝福すべきかな!

さあ最初の問いに戻ろう
紅茶はいかが?砂糖はいくつ?
お菓子はいかが?いくつがいい?

162:深河春淵◆wc:2020/12/31(木) 22:05

人間とは 奇異な者よな
年の節目毎に
祝い事を設けるのだから

我は星を針とし 回さねばならん
羊 牛 双子 蟹 獅子 乙女…
天秤 蠍 射手 山羊 水瓶 魚…

そら回れ 舞われ 星達よ
旧き年よ 新たに始まる年に

地球の刻んだ
大いなる記憶の引き継ぎを

163:深河春淵◆wc:2021/01/17(日) 21:20

我が眼 微睡む者
苛みの悪夢 与えんとす

苦痛に呻き 狂い掛け
夢より目覚めんとするならば
其の見た夢は真とならん

164:深河春淵◆wc:2021/01/17(日) 23:43

汝を責むる眼 苛みの悪夢
苦痛に呻き 狂い掛け

夢より目覚めんとするならば
其の見た夢は真とならん

165:深河春淵◆wc:2021/01/17(日) 23:49

毒を口に含み 何を思い至ったか
何も判らぬまま 裏切った
者の名前を呟いて いざさらばと唱えれば

166:深河春淵◆wc:2021/01/18(月) 19:39

問う 答える
私はそう云う者

課せられた役割は
課せた者の名は判らない

右手の書物 左手の杖
書物は問いを記し
杖は答えを映す

167:深河春淵◆wc:2021/01/20(水) 16:54

何故に恐ろしき?
羊水で夢む胎児の眼

くすくす口元がかすかに揺れて
何が可笑しいのか全然判らぬのだけれども
私は其れを愛しいと思う

この膨れた腹に耳を当てみてよ
これから生まれる私の仔
聞こえるかしらんこの声が

聞こえないのは冗談でしょう?
何を云っているのやら

ねえ私の仔
貴方もこの世の光を
焼ける程に浴びたいわよね

仏壇なんて信じないわ
一体誰なのでしょうね

168:深河春淵◆wc:2021/01/22(金) 21:59

私は今日も薬漬け
夕食30内に薬を飲む

鬱を抑えて食欲増進する為に
手のひらの白い錠剤を
口の中に放り込む

それで私は人に戻れる
狂人な素の私なんか
誰も望んじゃいないから

嗚呼しんどいな やめてしまいたいな
薬を飲む事なんて

云いたいがままに云いたいよ
暴れたいままに暴れたい

169:深河春淵◆wc:2021/01/24(日) 21:20

青い春を知らぬまま
幾数十年を過ごしてきた

私は友と云う物を知らない
私は恋と云う物を知らない

我が心寂莫に沈み込み
他は恐ろしき怪物と思い
孤独に安寧を見出だした

170:深河春淵◆wc:2021/01/26(火) 20:09

悲しき哉 差を知らぬ愚か者
我は天に在り 汝は地に伏せり

嗚呼汝よ抗う無かれ
地の草花に抱かれるが良い

地母神は汝を受け入れよう
あの女神はそう云う者だ

171:深河春淵◆wc:2021/01/27(水) 23:35

娘 傘を持つ ある日の午前
午後は雨が降るよと 私が云ったから
娘は傘を持った

こんな天気の良い日に
降る訳なんて無いのよと
傘を開いて傘を回す

ごろごろの雷雲だ
ぴしゃあんと木に落ちる

雷炎だね
あの木はたしか
鳥の親子がいたような

172:深河春淵◆wc:2021/01/28(木) 00:20

羊 羊 羊 羊
頭のある羊が何頭

羊 羊 羊 羊
首が取れた

羊 羊 羊 羊
切断面から 手が生える
にょろにょろにょろにょろにょろ

羊 羊 羊 羊
元気に走り回ります
頭だけが

173:深河春淵◆wc:2021/01/29(金) 22:47

自分なんかが
居なくたって世界は回る

自分なんかが居なくたって
君には友達が居るでしょう?

私は消えたい
存在したって

誰かの役に立つ訳じゃないから
誰かに必要とされる訳じゃないから

君は違うでしょう?
どうして私なんかに構うの?

周りの視線がさっきから痛いから
早く他の人の所に行ってよ

私はもう誰かを
信じて信じられて
裏切られたく無いの

174:深河春淵◆wc:2021/02/01(月) 23:27

揺らぐ 揺らぐ 火よ
絶える事無く
旅人達を導きたまえ

175:深河春淵◆wc:2021/02/02(火) 22:42

何故お前が報われる
お前ばかりが日に当たる

私はお前の影の中にいた
何時だって其所から
見ているしか無かった

私が称賛される事は無かった
お前さえ居なければ

私は私として
生きていられたんだ

176:深河春淵◆wc:2021/02/02(火) 22:52

辛い 悲しい 苦しい 生きたくない
何時も思うのは そんな事ばかり

楽しい音楽 美味しい食べ物
いずれも私の心を 満たす事は無かった

この世に居る歿神よ
私の首に鎌をかけてくれ

肉の無い骸の手で
魂の尾を掴んでくれ

歿よ 歿よ 汝等よ
私を安寧に導きたまえ

177:深河春淵◆wc:2021/02/04(木) 20:17

怒りもて 剣を携え
敵は目の前だ 何を躊躇う

討てよ敵を 戦場は
奪わぬ者を許さない

和平はあらず 空は
戦闘機が飛び通い

爆撃 号砲 轟音
シグナル トラ トラ トラ

178:深河春淵◆wc:2021/02/05(金) 22:41

この腹の中に 呪いがある
それは人じゃない

言葉 私に向けられた言葉が
黒い泥の様に
溜まり 淀み 渦巻いている

言葉を向けられた時
誰かに助けてと云えれば

こんな苦しい事には
なりはしなかった

何も云えず黙って受けて
平気な振りをして傷を隠す

重ねた嘘は張り付いた
偽性の仮面を生み出して
取れなくなっていた

君が生きていて良かった
若し君がまだ
剣を握れるのならば

其の剣を
私の血で染めてくれ

抗うのは疲れた
人でいて迫害されるのならば
人で無くなれば良い

私は呪いに呑まれて
怪物となろう

私は新しく生まれよう
祝福などされないが

179:深河春淵◆wc:2021/02/08(月) 19:27

私は 病気
何処が悪いと聞かれたら
それは 心

でも それは
私のせいじゃない

皆が 私を責めた
悪い事なんて していないのに

やめて やめて やめて
皆はいない 筈なのに

暴れるのね 私は
ころされないように

おいしゃさんが来た
注射を腕につきさした

眠るよ 私は
ふかく ふかく

しずんで しずんで
それで あさがくるよ

180:深河春淵◆wc:2021/02/10(水) 22:49

壊れる 壊れていく
心が がらがらに

満たされていた筈だった
だのに崩壊の中には何も無い

181:深河春淵◆wc:2021/02/14(日) 23:50

甘い匂いが鼻につく
世界はチョコと愛に包まれた
今日はそんな日

私には 関係無い
あげる相手なんていないから

歩いていると右も左もハートだらけ
なんであんなに可愛くするんだ

お腹に入れば一緒だろ
胃酸に溶かされるのに

182:深河春淵◆wc:2021/02/18(木) 02:20

春の空
あなたと一緒に見たかった

隣にあなたが居ることを
信じて止まなかった

今あなたは何処に居るのだろう
空の浮き雲見て思う事は
あなたの顔ばかり

183:深河春淵◆wc:2021/02/18(木) 02:39

嗚呼 憎い 憎い 憎い
お前が憎いよ 憎い

顔を見ると心底から
黒く暗く昏々と
炎が揺らめいで渦巻く哉

憎い 憎い 憎い
何故私ばかりが疎まれる

それもこれもお前が私の事を
周りに悪く云うからだ

憎い 憎い 憎い
人を憎むな愛せよと?

嫌だ 嫌だ 嫌だ
この気持ちに嘘を吐いてまで

笑顔でいろなんざ
反吐が出る

憎い 憎い 憎い
 憎い 憎い 憎い!

184:深河春淵◆wc:2021/02/18(木) 17:23

在りし日 くちなわの
水底にて微睡む夢は

自らを迫害せし者達を
鏖殺せんとする
呪怨の真言

185:深河春淵◆wc:2021/02/18(木) 23:23

のろい のろい このつぼに
どくむし どくへび どくがえる

ちぎりくわれて くわれてちぎれ
からだのなかで のろいがたまる

さいごのいっぴき つぼのなか
うずまくうらみ そのなかに

186:深河春淵◆wc:2021/02/26(金) 21:17

夜を汝蔑みて
昼に希望を見出だす者よ

月の照る光にて
夜魔の牙に掛かるが良い

187:深河春淵◆wc:2021/02/26(金) 21:28

稚児の為に
夜想曲を弾こう

提琴の弦と弓
震えて出る音色は

稚児の星を映す瞳を
夢に誘みて 閉じさせる…

188:深河春淵◆wc:2021/03/02(火) 23:32

仮面を砕け
偽りから解放されよ

お前は新たなる
生を経て顕現せり

お前を縛る しがらみの鎖は消え
何処へでも飛び立ち

自由を謳歌する
お前の邪魔をする者は

お前の一瞥により
憐れにも 地に伏せるだろう

189:深河春淵◆wc:2021/03/03(水) 00:07

ゆたり ゆたりと 絞めようか
首を そっと 包み込んで

苦しい 苦しいか?
息が 出来なくて 辛いか?

良いさ 良いさ 
お前が 苦しめば
私は それで 嬉しいんだ

虫の息だ
お前は もうすぐ 歿ぬんだね

お前が 歿んだら
誰が 悲しむ?

あいつ? そいつ?
いや いや 違う

お前は 私の 友達だ
だから 私が 悲しむのだ

190:深河春淵◆wc:2021/03/04(木) 00:04

光 頭上のスフィア
弾けて散れ 矢の如く

光矢よ 射ぬけ心臓を
苦しみ無く 送ってやろう

191:深河春淵◆wc:2021/03/04(木) 12:49

泣いたって誰も
助けてくれやしないんだ

茎の折れた華奢な花に
包帯を巻いたって
また誰かに踏まれるだけ

私のヴィジョンは砂嵐
進む先に未来は無い

だったら好き勝手に暴れるさ
自由にやらせて貰うだけ

お前の助言なんて聞こえない
私は嗤うんだ 誰の為でもない
他でも無い 自分の為に

192:深河春淵◆wc:2021/03/06(土) 18:12

この本も あの本も
全てがハッピーエンドだ

元々の物語は全て
血に塗れ 肉欲に更けていた

何故人は背けるのだろう
真実を見るのがそんなに辛いか

今や人は幸福のみを求める
危険の無い蜜だけを欲しがる

193:深河春淵◆wc:2021/03/07(日) 02:05

手を 手を 手を
祈り 目を 瞑り

呼びかけよ 空の
宇宙の 異形なる 神に

口を 口を 口を
名を 名を 名を

呼べ 呼べ 呼べ
さすれば 救われる
狂うけども 幸福となれる

194:深河春淵◆wc:2021/03/09(火) 00:05

我は怨みて彼を呪ひて
月夜の明かりの下 卵を埋めん

割れた腐った卵の液は
土の陰気を吸収し
彼の紡ぎし縁を絶ち切らん

195:深河春淵◆wc:2021/03/09(火) 19:29

雷よ 轟け
天より稲光を

太陽を隠せし黒雲
隙間から見える 雷の歪なる条線

我が憤怒の顕現 敵よ 恐れよ
汝の心臓 瞬きの後に穿たれん!

196:深河春淵◆wc:2021/03/13(土) 22:51

脳が夢を見ます
私が現在にて この眼球二つにて

みつめた景色が 色とりどりの
混在化 色赤 色青 色白の

眼球の情報を 我が脳味噌が編集し
いらないのcut 9割位

残りの1割は脳味噌が
貼って テープで 巻いて

写影機化した眼球が
素敵な夢と 粉掛けて

狂う肉の外殻 内臓を包装する
私が目を閉じる時
それは始まるのです

197:深河春淵◆wc:2021/03/16(火) 20:25

詩を書きたい
だけど皆が笑う様な

喜んでいられる様な
そんな明るい朗らかな詩を
私は書きたくない

狂気を書きたい
昏々とした

脳に虫が入って
脳髄を這って
不快感を引き起こして

寄生された宿主が
あまりの痒さに耐えきれず

囓った襤褸襤褸の爪で
脳味噌が剥き出るまで引っ掻く…

そんな詩を
私は書きたいのです

198:深河春淵◆wc:2021/03/17(水) 23:22

歩いていると 影が出来る
夕日の光に照らされて

ある日の帰り たったひとり
カラスが鳴いている 空は橙

影を見ると 私よりも
大きくて 長くて

ひょっとしたら 私の方が
偽ではなかろうかと 思う事がある

鞄の鈴が鳴る
チリン チリン

紫の空の色
毒が空を埋め尽くしたら
こんなのになるかしらん

199:深河春淵◆wc:2021/03/18(木) 16:36

私は何者だっただろうか

決まった時間の起床
決まった時間の労働
決まった時間の消灯

誰が決めたのかわからない
与えられた課題を
黙々とこなす

与えられたのは
名前では無く番号

電波搭から鐘の音が鳴った
それは昼食と昼休みの合図である

なんの素材が使われているか
知らなくていい事だから
物体を口へ運ぶ

本を読む
昔にはファンタジーとか

漫画とか娯楽が
あったらしいが

この本には書かれていなく
この本にある事は

個の自由たる思想を持つ事が
如何に危険で罪で愚かであるか

たった一つの上位の個の思想に
我等全が従う事がどれだけ
幸福であれるのかを説いている

私はそれに疑問を持った事は無い
この本に書かれている事は
全て正しいからだ

それでは家畜や奴隷と
変わりが無いからと

自由を掲げた者達がいた
それらは皆私達が見ぬ内に

粛清され
元通りになる

思考を放棄したって
命がある事に変わりは無い

脳味噌がこの体を
動くと判断したのなら

私と云う個体は
働かなければならない

200:深河春淵◆wc:2021/03/25(木) 23:37

みんなカラスだ みんなニワトリだ
なんて喧しいんだ

なんでそんなに騒げるんだ
大声で笑っていられるんだ

煩いから黙って口を閉じろ
私を頼むから寝かせてくれ

201:深河春淵◆wc:2021/03/26(金) 20:02

私がいなくても
朝は来る

私がいなくても
昼は来る

私がいなくても
夜は来る

私がいなくても
人は生きる

私がいなかったら
もっと君は良い友人に
巡り会えたのかもしれない

だから私の事を
引き留めるのはやめてくれ

私は生きたくない
幾ら誰が何を云おうが

さようなら 友よ
君は私を忘れてくれ

202:深河春淵◆wc:2021/03/27(土) 00:20

私は病的でありたい
緑々と茂る葉っぱの中の

たった一枚の
黄色斑な葉でありたい

私は病的でありたい
青に見えがちで

実は何色でもない透明の
海水になりたい

私は病的でありたい
照らす太陽を酷く拒む

黒々とした
雲になりたい

203:深河春淵◆wc:2021/03/27(土) 07:25

扉を開けた 扉を閉めた
靴を脱いだ 靴を揃えた

廊下を歩いた 扉を開けた
袋を置いた 椅子に座った

テレビをつけた テレビを消した
風呂へ行った 風呂に入った

頭まで浸かった 苦しかった
風呂から上がった 服を着替えた

包丁を握った 肉を切った
痛みがあった 指がなくなった

薬を飲んだ 薬を飲んだ
そして眠った 起きなかった

204:深河春淵◆wc:2021/03/27(土) 07:43

這う者 底に 夜に
きたる ずるり ひきずって

窓を 叩く 割れぬ
覗いている 張り付き

うやうやと眠っていた僕は
その神秘たる生物の 信者となる

205:深河春淵◆wc:2021/03/27(土) 21:15

それは欲?
食欲ではない 睡眠欲ではない
肉欲ではない

では何か それは詩
詩を書きたくとも書けぬ

思い通りの詩が書けない
苛苛はしない ただ悶々とする

身体の中で悶々が
腹に渦巻いて うずうずして

私の身体の形になって
脳が 書きたいと叫んだ

206:深河春淵◆wc:2021/03/28(日) 19:42

病の夢 みせるのは
叶いはしない 記憶の幻

ペンを持つ 描く空想は
ひらひらの蝶々が 原稿に止まった

書きかけの 夢の欠片の群像は
私に望まぬ希望を与えた

生きるかも しれないと
友が できるかもしれないと
恋人が できるかもしれないと

いない いない そんなのは
私の人生には 存在しない

誰も彼も私を嫌った
誰も彼も私が嫌った

孤独 静寂の中
心臓は 動いているか

このまま 歿が
人の形をしてくれれば良いのに

そして私は歿と云う者に
恋を患い 添い遂げたい

207:感謝:2021/03/29(月) 06:39

素敵ですね
感想を送るのは余計かとも思いましたが
特に最近の詩はとても好きです
お互いに創作を通して
少しでも悩みや苦しみがなくなったら良いですね。

208:深河春淵◆wc:2021/03/29(月) 16:44

<<207
ありがとうございます。
そう云って頂けるとは
此方としても励みになります

209:深河春淵◆wc:2021/03/30(火) 20:46

詩を書く時は
我が内にある狂気を覗き
軽く心を病まねばならない

平常時に書く詩は
なんともつまらぬ物だろうと
嘆息する

我が狂気は植物の蔦の様
正に座する我が背後に忍び寄り

人の手の形と成りて
母が児を抱き慈しむ様に
私の事を包む

狂気に抱かれた私は
狂気より茂る言葉の木々の中から

果実と化した詩を
もぎ取り齧るのだ

210:深河春淵◆wc:2021/03/31(水) 21:27

朝が来ました
人は夜と云います

私は人が云う夜こそが
朝なのです

影は嗤います
白い歯を剥き出して

人は私が気が違って
狂ってしまったと嘆きますが

私からにしてみれば
私なんかに構う貴方達こそが
気が違って見えます

楽しいですか?
窓扉に鉄格子がはめられていて

何処にも行けない私の事を
病人扱いして世話をするのは

世間は見捨てたのです
社会の歯車に合わない私を

貴方達が望む
普通にはなれなかったんです

ほら 出ていって下さい
貴方達がいるせいで

影に潜む妖精と
ベッドの上に鎮座する

けばけばしい人形の粘土と
お話しが出来ないじゃないですか

211:深河春淵◆wc:2021/04/03(土) 16:06

自分の中に閉じ籠っていれば
誰にも傷付けられる事は無い

自分の世界にあるのは
自分だけで良い

がらんどうの城
自らのみが座する玉座は
寂しい安寧があるのだ

212:深河春淵◆wc:2021/04/04(日) 12:54

空に在りし月は我が上に
照らす光は道を造り
うろんに生きる私を導く

孤独なる私は月の傀儡
月よ 我を寵愛したまえ

213:深河春淵◆wc:2021/04/04(日) 21:45

何を見ていたのだろう 貴方は
遠い目は何処を向いている?

夢を見ているのなら
それはどんな夢?

貴方はぽろぽろ泣いている
辛い 悲しい 苦しいと

貴方は心を壊してしまってから
ずっとそればかり呟いている

私に出来る事は
貴方に寄り添い
林檎を兎の形に切る事だけ

過去は若く潤っていた手も
今や皺だらけで生気は朧

何時か貴方が
苦しみすらも溢さなくなった時

私は貴方を連れて
私と貴方が出会った場所で

軽い貴方と共に
果てようと思う

214:深河春淵◆wc:2021/04/06(火) 15:52

苦しむ者よ 此処へ
前に出て 手を

膝を折りなさい 偶像に
世の煩悩に 別れを告げて

信じるものは何?
ええ その通り

貴方は信者
祈り 歌い
高らかに 私を賛美する者

そうすれば
貴方は歿を 恐れない

何も 考え無くて良い
目に景色は映すけれど

何も 見えなくて
あるのは私を
この世の神と崇めるだけ

215:深河春淵◆wc:2021/04/07(水) 00:16

少女は血の海に落ちる
底無きへ沈んでいく

無数の縄が絡み付く
少女を縛り上げて窒息させる

血の海より上げられた
少女の首には縄が掛けられて

時計の振り子の様に
左右に揺れる

膝を抱えて眠ると
目が目が目が
少女の事を見ている

目的がある訳じゃ無い
少女が右に逃げれば右を向き
少女が左に逃げれば左を向き

少女が発狂して目玉を抉れば
目玉達も腐り落ちる

少女は裸足
地は骸と肉

歩く度に腐臭が凄まじく
足の裏には
蠅の児供が張り付いて

プチプチ音を立てて
痛い痛いと声がする

216:深河春淵◆wc:2021/04/07(水) 20:19

鳥はいつまでも
空を飛べる訳じゃない

魚はいつまでも
海を泳げる訳じゃない

動物はいつまでも
地を歩ける訳じゃない

君だって動物の
一種類で一匹で一人だ
その足でいつまでも歩けやしない

君が歩む
光の道の先の末路を
私は知っている

217:深河春淵◆wc:2021/04/08(木) 21:25

笑を以てして
他と交流す

涙に暮れ乍
悲哀に包まれる

悲哀は怒りを呼び
怒りよ憎悪あれと叫んで呪う

218:深河春淵◆wc:2021/04/09(金) 19:52

私は焦っている
女王に謁見する
時計兎のように

浮かばなくなったのだ
詩が 言葉が

風に吹かれて散った
宛の無い 花弁の様に

私の色とりどりの心象は落ち
空が 海が 無色になった

新たなる色を足さねば
私の心象を
取り戻さなければ

絶えてしまう
物語の頁に

鋭い万年筆を
突き刺さなければ

219:深河春淵◆wc:2021/04/10(土) 07:51

僕らは 世の中から
蔑まれて 生きている

他人と 違うだけで
異端児扱いされる

そんなに僕らが可笑しいか
僕らからにしてみれば

同じ顔をしている
お前達の方が可笑しい

秩序 協調 同調が
絶対的な正義と
お前達は合唱する

煩いな ほんと
黙ろうよ

自分を持たないお前達なんかに
云われる筋合いなんてないね

220:深河春淵◆wc:2021/04/11(日) 21:42

刻々と近付く 我が生誕の時
針が十二をさせば
また一つ この身は老ける

それは良い 私は
老いに恐れは抱かない

寧ろ喜ばしき哉
私が戀患う歿と云うものに
一歩前進するのだから

221:深河春淵◆wc:2021/04/13(火) 20:58

木に抱かれし安らぎのゆりかごよ
傷付き膝を折りし者達を
受け入れし母となりたまえ

ゆりかごに抱かれし者よ
記憶を忘却の那由多に送り
母に抱かれる赤子となり

光の粒子と化して
木と融解するが良い

ゆりかごは母だ
お前が犯した血の腕も赦そう

眠るだけで良い
目を閉じれば全てが終わる

222:深河春淵◆wc:2021/04/15(木) 07:51

どんぐりがひとつ
木のうえからおちました

おちたところはさかだった
だからころころころがって
水のなかにおちてった

おちてきたどんぐりを
きょうみしんしん
魚はつついていって

あきるとすいすいおよいでる
これがもし童話なら

どんぐりに手足がはえていて
どじょうとあそんでいるのだろうけど

そんなことはあるわけないので
しくしく土にうまってる

223:深河春淵◆wc:2021/04/15(木) 18:45

正しきは邪悪の宝庫
昔は神聖である事も

流転する時の前では
邪となる

224:深河春淵◆wc:2021/04/16(金) 18:41

獣は ずっと下を向いているのです
獣は友達の作り方がわかりません

獣は一匹だけで狩りをして生きてます
獲物を食べる獣の目に映るのは

皆で力を合わせて狩りをして
分けあって食べる他の獣達

一匹で狩った獲物は自分だけの物
皆で狩った獲物は皆の物

取り分は少なくなる筈なのに
どうして笑っていられるのだろう

獣はちっとも理解が出来ず
沈む夕日を眺めるだけ

225:深河春淵◆wc:2021/04/17(土) 22:06

いるよ
ここに いるよ

まどのところの
ベランダに いるよ

いるよ
へやに いるよ

ないている あかちゃんの
ベッドに いるよ

いるよ
おふろに いるよ

ふやけている だれかの
したいに いるよ

いるよ
いしに いるよ

おおきくなった きみの
まうしろに いるよ

いるよ いるよ

226:深河春淵◆wc:2021/04/19(月) 16:17

春がきました
桜はおてがみです

ねむるねむる植物が
ねむるねむる動物が
ねむるねむる虫達が

元気な太陽の光で
みんなみんなおきるのです

227:深河春淵◆wc:2021/04/19(月) 23:44

みんなは協調が好きだもの
他人の個性なんて知らない

みんな同じじゃなきゃ駄目なんだって
団結の為ならば
他人を排除するのに躊躇しない

正しいが可笑しい事に
みんなは何時気が付くんだろう

唾を吐く口や叩く手蹴る足が
早く止まれば良いね

228:深河春淵◆wc:2021/04/20(火) 23:04

なにかできたら良いのに
なんでも良いから
才能が欲しかった

周りはみんなそうだった
頭の良い子 運動出来る子
絵が上手な子 話が上手な子

いろんな上手な子がいる中で
私だけが才能無かった

勉強も 運動も
絵も 話も

ありとあらゆる能力で
普通よりも劣っていた

いつも褒められるのはあの子ばかりで
私は誰にも期待なんてされていない

なんで自分は生まれてきたんだっけ
わからないや そんなこと

輪の中に入るのが嫌だった
上手な子と比べられるから

みんなあの子の方ばかり囲んで
あの子も満更で無い綻んだ顔をして

そんな光景を見るのが嫌で
屋上に上がる

古いフェンスは風が吹いて
ギシギシ揺れる姿はまるで
手招いているみたいだった

229:深河春淵◆wc:2021/04/22(木) 21:05

私は今の童話を否定する
誰も傷つかないなんて
そんなことがあるものか

何故許す?
許す必要は無い
報復してしまえ

足など火で焼け
踊り狂わせて歌わせろ

幸せは逃がすな
檻の中に閉じ込めてしまえ

私が望むのは原本の結末
救いようの無い真実を

幸福の幻想を壊す現実を
貴方に突き付けよう

230:深河春淵◆wc:2021/04/25(日) 18:05

私は愛すると云う事を知らない
私は愛されると云う事を知らない

私に差し伸べられたこの手を
私はどうすれば良いのだろう

231:深河春淵◆wc:2021/04/26(月) 17:32

夢見の終点地は歿の楽園
罪ありきは裁きにて
地の獄へと落ちたる哉

生まれなど意味は無き
金貨を抱くか愚か者

獄卒は呵責せん
罪ありきの魂を

人の魂に刻まれた記憶の円盤
嘘は吐かん嘘は吐けん
偽りなど無駄なのだ


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