えー、小説の題名が決まりましたので題名の発表をさせていただきます。
題名は
「楽聖は知っている」
です。
序説(?)はこちらです↓
https://ha10.net/test/write.cgi/kz/1475495825/915
では今回も、ちえのただの自己満足小説にお付き合いくださいませ。
初回、前回>>81
《楽聖は知っている》
1.宮瀬 真歌奈side
ある日、手紙がポストに入っていた。 白い洋型封筒で、切手は貼られていなく、直接家のポストに投函したようだ。
「誰宛かな? どうせお姉ちゃん宛でしょう……」
私は楽譜を脇に挟み、手紙をひっくり返す。
私の姉、宮瀬梨乃は美人でモテるのだ。白い肌に人形のようにくりんくりんの大きい目。外見だけでなく心も広い姉は、男子からも女子からも好かれている。
大抵このような洋型封筒は姉宛の手紙。今時メールがあるのに、と思うかもしれないが姉は携帯を持っていないし、ついでに機械音痴なのだ。
だからって、家のポストに入れないでほしいな……下駄箱とかあるじゃない。自分がダメ人間に感じてしまうじゃない。
私は姉と違って平凡な顔だし、結構短気だ。同性の友達も指で数えるほどしかいない。
でもいい、私には永遠の友人であり恋人の音符とピアノがある。
そう思いながら宛名を見る。
私は宛名に書かれた名前を見た直後、全身が凍りつく気がした。震えて固まった手から封筒が滑り、地面にカサッと音を立てて落ちた。
黒いペンで綺麗に書かれた名前。
《不滅の恋人へ》
暫く身がすくんで動けなかった。
私は震える手で手紙を拾い、通学カバンに押し込むと自電車にまたがった。
楽しみにしてまっす!
>>88
え、他からコピペすれば♡打てるよ?
>>91
檸檬は小説下手だね
(はい!これでいいの!?)
>>99
怜の漢字違うよ〜
>>100おめでとう♪
>>102
おおー!文章力あるるね〜...いいなぁ〜...
続き楽しみにしてます♪((o(▽ ̄*)oワクワクo(* ̄▽)o))
>>105
RARAだーー!!
久しぶりっ!お、覚えてる...?
全然、タメでいいのに〜...(  ̄з ̄)
あと、オリキャラの名前の読みだけ!
宮瀬 真歌奈……みやせ まかな
宮瀬 梨乃………みやせ りの
《楽聖は知っている》
初回、前回>>81
です!
ついでに宣伝しました(あは)
初回>>81
前回
《楽聖は知っている》
1.宮瀬 真歌奈side
学校に着き、教室に入り、辺りを見回す。
時計は7時35分を指していた。やはり、まだ立花さんは来ていない。大抵8時くらいに来ているから。
なら、立花さんが来るまでに手紙の内容を確かめた方が良い。
私は洋方封筒を鞄から取り出すと、それをクシャクシャにならない程度に握り締め、足早に音楽室へ向かった。
教室のドアを開けると、いつも通りがらんとしていた。この時間だけは人がいない。
まだ少し震える手。息を大きく吸い込み、心を落ち着かせる。
「大丈夫、宛名が《不滅の恋人》だからと言って……」
だからと言って……
ダメだ、言葉が見つからない。
この手紙は絶対に見たくない。
でも。見なければ、見なければ……
ふと、顔を上げる。
部屋に置かれているベートーヴェンの肖像画と目があった気がした。
何でこんな時にベートーヴェンと目が合わなくてはいけないのだろう……本当に気味が悪い。
私は深呼吸し、洋方封筒の封を開ける。
ペリペリペリ……
再び深呼吸し、封筒の中をのぞく。
「え……?」
そこには、紙など入っていなかった。
スケジュール変更。
学校ではなく、秀明で伝える。
初回>>81
前回>>144
《楽聖は知っている》
3.立花彩side
私は階段をあがり、カフェテリアの扉を開ける。
いつもの奥のほうの目立たない席に、若武、上杉君、小塚君、黒木君、翼が来ていた。忍は風邪で来ていない。
やっぱり、上の階だと来るの早いなあ……。
「ごめん、遅れた。」
「大丈夫だ。じゃあ、始めるぞ。」
若武は優しく言ったけれど、心底苛立っているのが分かった。腕を組み、右手の人差し指はトントントン、と左腕の二の腕を叩いている。
きっと、まだアプリの方針がきっちり決まっていないことに苛立っているんだ。
私たちは昨日もアプリの制作に集まっていた。でも……来るはずの忍が風邪で急に来れなくなったり、誰かが秀明の火災報知機を間違えて押して避難して時間を取られたり、というアクシデントが起こって全く話が進まなかった。
「……あの。」
後ろから女の子の声がした。振り向いて見ると、浜田の制服を着ている。丸顔で黄みがかかった肌、明るい茶色の目に、明るい茶色のボブの髪。手には白い洋型封筒を握っている。
そう、同じクラスの宮瀬真歌奈さん。
「少し、お時間頂けませんか?」
宮瀬さんは若武のほうを向いて言った。
「ん、いいよ。俺に用?」
若武は宮瀬さんが封筒を持っていることから自分にラブレターを渡しに来たのかと思ったのか、くらっとくるくらい優しい微笑みを浮かべた。
「いいえ、皆さんに少しお話があって。」
「あ、そうなんだ。」
少し若武がしゅんとしたのを見ると、少し笑ってしまいそうだった。
「まあ、どうぞ座って。」
「え、いいの? アプリの話は……」
小塚君が不安そうに言う。
「ああ、今日はいいんだ。どうせ忍も来ないし。」
「だからって簡単に人を招き入れるわけ?」
上杉君が少しカリカリしているのが、声色から分かった。
「あ、お忙しいんだったら大丈夫です……ただ、いつも鮮やかに解いていらっしゃるから貴方たちに相談したかっただけで」
鮮……やか? に解く?
「え……どういうこと?」
私も含む皆が口をそろえて言った。
初回 前回>>153
《楽聖は知っている》
4.立花 彩side
「え……どういうこと?」
「あ、もしかしたら気分を害されたかもしれません……私、中学生になってからずっと、皆さんの探偵活動の様子を見てきてたんです。いつも、皆さんの個性を活かして事件を解決してらして、すごいなと思っていて……」
「え、マジ!?」
若武が机に手を置いて身を乗り出した。
「あ、はい……やっぱり、盗み聞きは嫌ですよね……すみません。いつも、近くのテーブルで聞いていたものですから……」
宮瀬さんがぺこりと頭を下げる。
「いえいえ、ぜーんぜん!」
若武は、探偵チームのことが誰かに知られていることがすごく嬉しいらしく、すごくにたにたしながら首を横に振った。
小塚君、黒木君、翼も少し口角が上がっている。上杉君は……無表情だけど。
まあ、ようやく探偵チームKZも人に知られるようになったんだから、喜んで当たり前か、な。
「で、今日は相談がある、と言っていたけど、どうされましたか?」
若武はすっかり上機嫌だ。前髪をかきあげ、自分の左側の椅子――そう、自信がある顔の左側が相手に見える席――を引いて椅子を勧める。
宮瀬さんは勧められた席に座ると、話し始めた。
「私、宮瀬真歌奈と言うんですけど……」
小塚君がはっと驚いた表情を見せる。
「もしかして、この前ピティナピアノコンクールJr.G級で金賞を取った!?」
「あ……はい。」
宮瀬さんが恥ずかしそうにうつむく。
「うわぁ……すごいですね」
尊敬の眼差しで宮瀬さんを見る小塚君。
……えっと、ピティナピアノコンクールって……何?
「おい、話を逸らすなよ小塚。……てか、ピティナって何さ」
若武が最後の方をボソボソっと言った。
何か若武らしくないな、カッコつけだから分かんないことがあったら隠すのに。
「お前らしくないな、分かんねぇことを人に聞くなんて」
「『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』を忠実に守ってるんじゃない?」
「らしくねぇ。」
上杉君と黒木君が笑いあう。