rk 【エンジュ×シンデレラ】
>>103の続き。楽しい。
「………お引き取り下さい。」
美しい。
手紙の送り主の容姿は、それしか口に出来ない程に、美しかった。
(魔王くんも凄く綺麗な顔してるんだけど……何だろう。別格?)
世の中には時折、絶対的な美というものが存在する。
あれに比べてとか、個人的にはとか、そんな相対評価での審美を超越した、誰の目にも明らかなそれ。
あれくらい普通だよ、などと強がろうものなら却って薄ら寒くなってしまうほどの、絶対的な美。
(この人は、そういう類だ…)
圧倒的な容姿を持つ彼に、その場で固まってしまうシンデレラ。
そんな彼女を見て、嬉しそうに笑みを深め、言葉を続けた。
「はじめまして、シンデレラ。
僕の名前はエンジュ、気軽にエディでいいよ。
一応、魔王として闇の存在達を統治してる。どうぞよろしくね。」
言葉に邪気がなかったため、
ついシンデレラも返してしまいます。
「は、じめまして?
この男爵家の養女の、アヤです。
どうかシンデレラと呼んで下さい。」
「分かった。よろしくね、シンデレラ。」
「は、い。エディ…?」
握手をして、にこりと見つめ合…
「っっって、そうじゃないっ!!貴方が手紙の送り主!?私のこと愛してるってどういう事なの!?ていうか、魔王って!!エディが魔王なら、魔王くんは何なのよ!?」
わず、シンデレラはパニックになって、エディに質問を浴びせました。
「あ、あはは…落ち着いてよ。1つずつ、ちゃんと答えるからさ」
rk 【エンジュ×シンデレラ】
>>104の続き
「まず、手紙を出したのは僕だよ。
それから…君の事は、森で見て、一目惚れしたんだ。それから君の事が頭から離れない。愛してるよ」
「なにこのひと怖い」
質問に答えていくエディ。
今の話をきく限りでは、一目惚れした、名前も知らぬ相手に毎晩熱いラブレターを書く変態(超絶美形)
シンデレラはかなり警戒しつつ、残った質問を再度繰り返しました。
「…っそれで、魔王って、どういう事なの?
私の知ってる魔王くんは、そんな甘く微笑んだりしないわよ」
さりげなく魔王をdisりつつ、一番聞きたかったことに触れると
「ああ。彼は国に雇われて『魔王』を
名乗っているだけだよ?
世界創造の時から、魔族を統制してきた僕が、本物の魔王。」
これはとんでも事実です。
「表舞台どころか、人間と会話したの君が初めてだし、存在は知られていないけどね。」
それもとんでも事実です。
確かに、エディが存在すると
知られていれば、魔王様は『魔王』で
いられなかったでしょうけど。
「で、これで質問は終わりだよね?
僕と婚約してくれる?」
「お断りします」
「子供は二人欲しいね、シンデレラ」
「私は子供が嫌いです」
考えることを放棄したシンデレラは、
エディとの、中身のない会話を続けることにした。
「おやどうして嫌いなの」
「私が子供ですから。自分のこと嫌いなんですよ、私」
「僕は好きだよシンデレラ」
「私は好きじゃないですけどね。」