「ふぉっふぉっふぉ。お主は何がしたいのじゃ?ほれ。言うてみい。」
私は何がしたかったんだろうか。自分でもわからない。
「………あーもう!」
悠馬はあきらめたような顔をした。そして――――――私のほうに顔を近づけた。
え?ちょ、ちょ、ちょ…待って…心の準備が…
なぜか目をつぶってしまった。そして、次の瞬間…
悠馬にデコピンされた。
「俺をからかった仕返しだw」
悠馬が無邪気に笑いかけた。そんな顔されたら、怒れないじゃん…もう、悠馬のバカ…
そして、耳元で、
「今度、ちゃんとしような」
そう囁いた。
翌日。今日は月曜日。芽依ちゃんの事を考えると、少し緊張した。
長く息を吐いて、教室に入ると、芽依ちゃんは、まだ来ていなかった。
「あ、夢乃ちゃんおはよう」
クラスメイトが声をかけてくれたので、少し安心した。
あいさつもそこそこに自分の席に戻ると、私はぼんやりと頬杖をついて、昨日の余韻に浸り始めた。
それを遮るように、私のスマホが鳴った。メールが一件。黒瀬君からだった。うんざりしながらも、屋上へと向かった。
「ねえ、夢乃ちゃん。今日こそ、僕の話、聞いてほしいんだけど…」
「め・い・わ・く・で・す・!」
「聞いて、夢乃ちゃん。僕…」
「やめて!迷惑なの!あっち行って!」
こんな風に言いたいんじゃない。それなのに、止められなかった。
「どうして夢乃ちゃん、そんな風に言うの?」
私はしばらく考えた。なぜだろう。長い沈黙の後、私は呟いた。
「…だって、君に嫌われたいから」
夢乃編
>>49「私は、信じたくないけど、悠馬が死んじゃった時。胸を張って『彼女』だって言えるようになりたい」
>>115「…だって、君に嫌われたいから」
>>469「そんなわけない。そばにいるだけで楽しいし、嬉しいし、つらいなんて感情は無くて、全部が全部『+』方面の感情なんだよ。悠馬も、好きな人がいるならわかるでしょ?」