その時だった。
あすかやラノーマの目の前に、大きな光が現れる。
「うわっ……」
「何だ?」
眩しさに目を背けるあすか。すると直後、横目に人影が映る。
「たああっ!!」
その人影は、怪人に拳を向け、思い切り殴りつけた。
怪人は衝撃に悶え、後ずさる。
「あれ?ここ……どこ?」
「えっ?」
目の前で怪人を攻撃したのは、自身より少し年上に見える少女だった。
青い戦闘服を着ていて、腰には腕時計のようなベルトを巻いている。
その少女は、いま自分が置かれている状況を飲み込めていないらしい。
「だ、だれ……?」
あすかは、キョロキョロとしている命の恩人に、名を尋ねた。
「え、時が動いてる人なの……?私はサキミラ。あなた、早くここから離れるの!」
サキミラと名乗った少女は、あすかに逃げるよう促す。
「で、でも、みんな、時間が止まってて……」
「大丈夫!私は、その時間を動かすために戦ってるから!」
そう言ってサキミラは、腕時計型ベルトの上部に付いたスイッチを押した。
すると、時計のアナログな針がぐるぐると回り始める。
「break time!」
ベルトからは、英語の音声が流れる。
それと同時に、サキミラの右足に力が蓄えられた。
「くっ……」
ラノーマは、今から起きるであろう出来事を予測し、ゆっくりと後ずさった。
そして……
「てやああああっ!」
空中で大きく一回転し、怪人に向かってキックを繰り出すサキミラ。
……その時だった。サキミラの身体が発光し、変身が解けたのは。
「って、きゃああっ!」
必殺キックが決まる直前、サキミラは地面に落下した。
「へえ……」
その様子を笑いながら見るラノーマ。まるで弱みを握ったかのようだった。
「だ、大丈夫?」
「なんで、変身が……」
サキミラに駆け寄るあすか。
当のサキミラは、変身解除が起きたことにかなり困惑している。
「ぐるるるる……」
怪人が、生身の状態になったサキミラや、戦えないあすかに迫る。
「う……戦えなきゃ……ダメなのに……!」
サキミラは唇を噛んで悔しがった。
自分どころか、後ろの少女の命も危ない。
戦えなくなって、どうしようもなくなっていた。
「これ……」
後ろにいたあすかは、サキミラの懐から落ちたある物を拾っていた。
こんばんは、猫又と申します。
時間戦士 アシタ☆ガールズ、読ませていただきました。
読んでみた感想ですが。
……すばらしい。
あすかとサキミラの戦闘シーンもそうですが、冒頭の言い回しがとても良い。
日常の風景から、時が止まっている非日常へ一瞬で切り替える。
「過ぎる時すらその場所には存在しないのである。 全ての時が、止まっているのだから」
この切り返しにしびれました。
一話完結風にしてしまったので、
戦闘後の日常シーン(>>7)に詰め込んでしまった感はありますが、
それでも十分に読み応えのある作品でした。
(……いやホント、美味い。じゃない、上手いので、もう少し続いてほしい気もします)
指摘できる点があるとすれば、少しハイレベルなおせっかいですが2点
まず本編(>>2)の始まり方。
あすかより先に「この教師」と書いてしまってるので、え、教師が主人公? と一瞬思ってしまうこと。
あと、唐突にセリフ「きりーつ」から入っているため、場所が少々ふわっとしていること。
この2つを解決するために、
「ざわつく小学校の廊下をランドセルを背負い、歩く一人の少女が居た」
と書いてみてはどうでしょう?
すると場所も分かりますし、
「教師」も「ざわつく小学校の廊下」、背景の一部になって、
【あぁ、なるほどこの子が主人公なんだな】と読者がすんなり物語に入れるかと思われます。
もう一つは冒頭とのつながり。
最後にも書かれますが、サキミラは(>>1)から(>>4)に飛んでいるんですよね?
これも本編と冒頭が切り離されているため、すこーし分かりにくい。
>>4 の登場演出を次代を超えてきた風にする(時計が浮かび上がる)とか、
まるで冒頭の戦闘を思わせる描写(戦いつかれてる)とかを入れると、分かりやすいかなとは思いました。
あと、もうちょっと書いてほしいなーという所はありましたが、
本作品はアクションものですのでテンポも大事です。あまり書き込むとかえって読者を飽きさせてしまうので、このテンポがちょうどいいと思います。
(「ドリームガーディアン シリーズ」の時から思ってましたが、ふたばさんはテンポの良く文章をまとめる才能がありますし、それを十分に生かせているなと感じました)
なにはともあれ、面白い作品をありがとうございました。
次回作や続きがあればお待ちしております。それではー
批評を依頼して頂いたと云うことで、僭越ながら批評させて貰いまッス。
先ずは良いところからですが、
冒頭の部分から衝撃的な事実(世界の時が止まっていること)を入れてるのにも関わらず、切り返しとシナリオ管理、登場人物の扱い方が上手なので読者が内容を理解しにくくなる「置いてけぼり」感がないッス。
内容としてはよくある「魔法少女モノ」だなと感じましたッスけど、テンプレやセオリー通りに進んでいくだけではなく、ギャグ要素、シリアス要素などの様々な要素をしつこくならない程度に上手く取り入れているので、「見ていて疲れる」、「読む気がなくなる」ということがなく、「次の展開が楽しみだな!」と素直に思える様なつくりになってると思うッス!
後は何と言っても戦闘描写ッスね!繊細な動きと大胆な動きで表現を切り替える、主人公達が優勢の時にスピーディーに進む描写だけではなく、主人公が窮地に陥った時のハラハラドキドキとする描写もキチンと取り入れられてるところが好感を持てるッス!バトルモノでよくあるんスけど、主人公達が敵を圧倒している時は行動の描写が上手く出来てるのに、予想外のハプニングなどが起きて主人公達がピンチになった途端に表現が杜撰になる方ってソコソコ居るッス......なのに表現力を保ったまま書き進められるのはスゴいことッスよ!
次に改善点ッスけど、まぁ辛口コメントとはいえ素晴らしいところが余りにも多いのでこじつけっぽくなっちゃうかもですが....
先ず一つ目は>>2の「この教師、注意はするがそこまで怒ってはいない」というところ。正直、初めて拝見した時は「えっこれ教師が主人公なの?」と思っちまいました。
その次の展開で主人公じゃないって分かりましたが、最初にややこしい書き方をしてしまうと読者の読む気を削いでしまうッス。この小説の見所は「意外性」ではなく、「王道」というところに重きを置いていると思うッス。だからこそ、最初に勘違いする様な発言をして読者を離れさせてしまうのはもったいないと思うッス!
次はまた>>2の「きりーつ、れーい!」ッスね、最初の展開では完全に「時の停まった空間に居る」という不思議体験をしていたのに、唐突に次の展開で学校での号令に入ったので「ん?」と一瞬疑問に思いましたッス。場所の切り替えをしっかり描くことは結構大事ッス。
最後に、>>1から>>4が繋がってることを示唆する描写が弱いかなーと。書きたいことは何となく分かるんスけどね......これも書いてる作者目線なら分かるかもしれませんが、読者にとっては分かりにくいッス。「読者に読みやすく」は小説を書いていくアクターの中でも最重要のことだと思うッス。これを怠っては、物書き失格、ッスよ!