「傲慢女王 首バケツ」
女王の声は
民の耳に良く通る
民の声は
女王の耳には届かない
女王は
肥えている
民は
飢えている
女王は云う
飢えているのなら
食べ物を食べれば良い
民は云う
食物は何処に在る
女王は指す
其処らに在るじゃない
民は指す
虫や雑草の事か
そうよと
女王はケラケラ
ふざけるな
怒れる民
逆らう者は
首斬りで
兵に女王が命ずる
斬首の民は
バケツの中
絶対独政の
傲慢女王
其の姿は
獅子か孔雀か
吼えて荒げ
絢爛装飾
だが其れも
長く続かず
斬首台の上に
女王が居る
取囲み
未だか 未だか
待ちわびる民
女王の姿は
何処にも無い
在るのは
牙無き獅子か
尾羽根毟れた孔雀か
ギロチンは
首を斬った
女王は
バケツの中だ
第拾弐部
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