オレンジ色に染まった空を見上げながら、僕と彼女は歩いていた。無言のまま、ただ淡々と足を進めているだけ。理由は分からない。
筋肉痛になりそうだと言って隣の彼女に笑いかけてみたら、彼女が涙を流していることに気が付いた。
彼女は、いつもそうだ。
周りの景色を見て、微笑み、涙を流す。僕には持っていない何かを持っていると、そう思える。
「この綺麗な景色も、隣に歩いている君も、いつかは消えてなくなるの」
涙を拭い、薄く笑いながら、彼女は言う。
「それは、地球が終わるとか、そんな感じ?」
「そうとも言えるよ。だって、地球は不滅なわけじゃない」
地球が終わる日もあるのか。そう考えると、僕らが生きている今日が愛しく感じられる。
また無言で歩き続けていると、彼女の家が見えてきた。
「だからね、わたしたちは今を大切にしなきゃいけないの」
彼女はそう言って微笑み、僕に手を振った。
*
一昨年のやつ 謎世界観 多分このあと彼女は消える
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