第二話
「みんな…どうしたん…?」
次の日、蜜柑に対していじめが始まった。
「あなた、Zと内通してるそうね。」
冷たい声の少女は昨日まで笑いあっていた今井蛍。
「なんでこんなことをした。」
もう蜜柑を反逆者のような瞳で見つめるのは昨日まで愛し合ってた日向棗。
「佐倉がそんな人とはね。」
普段の表情からは考えられないほどの冷たい目のルカ。
「まって!証拠もあらへんのになんで…!」
「証拠ならあるよ。」
普段よりひときわ静かな声で言ったのはナル。
「鳴海先生。」
「昨日、乃恋ちゃんが蜜柑ちゃんがZのひとに学園の書類をわたしているところを目撃してね。写真を撮ってくれたんだよ。」
差し出した写真にはZの人に紙を渡している蜜柑の姿…。
「なんで…うちが…?」
「最後までシラを切るつもり?もう出ていって。」
パーマがゴミを蜜柑に投げつける。
「ごめんね、蜜柑ちゃん。私も信じられなかったけど学園の危機に関するかと思って…。」
「乃恋ちゃん…!」
蜜柑はいままでで一番怖い表情で乃恋を睨む。
「蜜柑ちゃん、学園から出ていくんだ。」
ナルはそんな蜜柑を追い払おうとする。
「わかった…。わかったわ!後悔すればいい!ウチを裏切ったこと!」
蜜柑は教室を飛び出した。
教室は静まり返る。
そんななか乃恋がひとり、出ていった。
「蜜柑ちゃん。」
「乃恋ちゃん…。」
「あの写真は私が偽造したの。私、水のアリスの他に偽造のアリス持ってるから。」
「なんで!こんなこと!?」
「貴女には出ていってもらわなければならない、学園から。」
「安心しぃ。こんな場所、ウチの居場所やなかった。」
「それでいいのよ。さようなら蜜柑ちゃん。」
乃恋は静かに言った。
蜜柑は乃恋を一睨みすると、門から出ていった。
「ごめんなさい、本当にごめんね、蜜柑…。」
蜜柑が去ったあと、静かに涙を溢す乃恋の姿があったー。
かくねー!前回は>>800!
続き
「あんな学園…っ大嫌いやっ…。」
教室を飛び出して一人、歩く蜜柑の足はフラフラしていた。
親友、恋人、友達…
一度にうしなったものが多すぎた蜜柑は目に光はなく恨みと絶望の色に染まっていた。
「うち、もう死んでもえぇかなぁ…。」
学園
「どうしてなんだろう。蜜柑ちゃん…。」
蜜柑のいない教室で委員長がポツリと呟いた。
「なに言ってるのよ、委員長。もともとあぁいう人だったんでしょ?佐倉さんは。」
その委員長にパーマが返す。
「う、うん…。」
パーマにおされ、納得いかない顔のまま、委員長は頷く。
すると、一人の少女が教室のドアを蹴った。
ドガッ
それで一気に場の空気は冷め、シーンと静まり返る。
目線のさきには乃恋。
「の、乃恋ちゃん…?」
ののこが恐る恐る名を呼んだ。
「蜜柑のこと、悪く言わないで。」
「な、なによ!そもそも貴女が写真を撮ったから佐倉さんは出ていくことになったのよ!」
前より声が低く鋭くこちらを睨む乃恋にパーマは怖じ気づくも、すかさず言い返す。
「あんなもの、蜜柑をこんな汚い学園から出ていかすための嘘に決まってるじゃない。」
口角を少し上げ、歪んだ笑みを浮かべる。
「えっ…。」
「は…?」
「う、そ…?」
蛍、棗、ルカは驚いたように目を見開く。
「どういうことだい!?乃恋ちゃん!あの写真は!」
ナルも乃恋に問う。
「分からないのね、私がだれか。ナル…。私のアリスは偽造のアリス。あの写真は私が偽造したの。蜜柑を信じてあげれていない学園にあの子を置いとくわけにはいかないわ。」
「そんな…。」
「それにね、蜜柑は強力なアリスを持っているの。それを狙っているグループAKATSUKIがあるのよ。そのAKATSUKIを潰すためにも蜜柑はZに必要。」
「Z…!君はZの人間か…!?」
「私の正体はいずれ分かるわよ。蜜柑はZがもらっていく。こんな学園、大嫌いなんだから。」
乃恋はそういうとアリスストーンを一握りした。
瞬間、彼女は消えてしまった。
「瞬間移動のアリスストーン…。」
「蜜柑…!そんな…。」
学園には皆の悲しみの声が響いていた。