父様が死んで、数年が過ぎた。
可愛い弟のためならば、私は男になり、魑魅魍魎の主になりましょう――。
部活の合宿先が捩眼山だと知った。そこは、俺が総大将になることをよく思っていない牛鬼組の本拠地。リクオに、直接の関係がないとは言えどもリクオも確かにぬらりひょんの孫。何もないわけがない。そう思って、付いていった結果、俺の予想は見事に的を居ていた。
「リオ様……! だめです、お下がりください……!」
「氷麗、俺は大丈夫だ。お前は安静にしてろ」
後方で叫ぶ氷麗の足は、鋭い刃物で刺され真っ赤に染まっている。それでも尚、俺のことを気にかけてくれる彼女の優しさを背中に受けて、目の前の敵を見据える。
「牛鬼は、お前たちはそこまで俺のことが気に食わないか」
「例え、お前がぬらりひょんの孫であろうが、女は弱い――っ!」
「くっ……」
牛頭丸と名乗ったその妖怪は、刀を手に俺へと斬りかかる。俺も、刀を構えてその一閃を受け流す。しかし、人間の体ではこれが限界で、ただ俺は逃げ回るのみ、
俺の親父も、半妖で、畏れを操り常に妖怪の姿でいた。しかし、対して俺は才能がないのか、その恐れを上手く操ることができず、今だ人間の姿。女であろうが、妖怪の姿ならば優勢な位置に立てるはずなのに。そう思ったとき、油断していた俺は手に持っていた刀をはじかれてしまった。
「これで終わりだ、――奴良リオっ!」
刀を持たない俺に、牛頭丸は先程よりも勢いをつけて斬りかかる。
防ぐ手を持たない俺は、痛みに耐えるために構え直す。そして、――きん、と何かが刀を弾く音が響いた。
【ぬらりひょんの孫】(今のところ、リクオ×夢主のみ、)
・君と共に、/ >>11-18
・新月の夜の訪問者 / ・タイトル未定(夢主姉設定) / >>22-24
・桜花爛漫 / >>29-30 ※未完
【うたの☆プリンス様っ♪】
・魔法の手 / ( 翔×春歌 )>>41、>>43 ※未完
・近くて遠いその関係 / ( 翔×夢主 )>>26