>>90
僕らは超体育着を着て、茅野を探すために素早く行動に移した。
「まず、班でわかれよう」
磯貝くんの提案に僕らはうなずいた。彼が決めた班は、こんな感じだった。
茅野を探す班(A班)
渚、カルマ、磯貝、岡島、岡野、木村、杉野、千葉、寺坂、中村、速水、前原、三村、吉田、イトナ
教室に待機(B班)
奥田、片岡、神崎、倉橋、菅谷、狭間、原、不破、村松、矢田
各班の連絡をつなぐ
律
「A班は手分けして茅野を探す。B班はもしも仮に茅野が帰ってきたときに待機しててくれ。律は各班の連絡を取り次いで」
「わかりました」
「オッケー」
A班の僕らはすぐに出発した。
「にしても、磯貝。ちょっと気になったんだけどいい?」
「なんだ?」
校舎をでてしばらくしてから、カルマくんが磯貝くんに質問をした。
「倉橋と矢田をB班に残したのはどうして? 交渉組2人が残っているとかさ。まぁ人数を考えるとそれが妥当だとは思うけど」
あ、たしかに。
「……A班で行動でも良かったんだとは思う。けど、もしも交渉が必要になったとしたら」
そこへ電話の発信音。
「非通知です。でますか?」
僕らは立ち止まった。
「んだよ、こんな忙しいときに」
前原くんが先を急ごうと走ろうとした。
「待て、前原!」
磯貝くんが前原くんに声をかけて止まらせた。
「律、でてくれ」
画面上の律はうなずいて、すぐに受話器を取った。
「やぁ、こんにちは」
男とも女ともわからないような声だった。
おそらく、鷹岡先生のときと同じように変声機を使っているんだ。
「あれ、聞こえているのかな」
「聞こえてるよ」
カルマくんがすぐに応答した。
「よかった。さて、電話の向こうの音を聞く限り、君たちは外にいるようだけど。目的は茅野カエデさんかな?」
⁉
どうして、茅野の名前が。
でも、なんとなく僕らは予想がついていた。この電話の向こうにいる人は怪しい人だと。しかも、このタイミングで電話をかけてくるということは、今回の事件に何らかの関係があるのかもしれない、と。
「茅野っちに何かしたら許さないんだからっ!」
「大丈夫だよ、まだ何もしていない。穏便にさらっただけだよ」
「嘘つけ」
前原くんがすぐさま突っこみをいれた。
「本当さ。と言っても、わからないだろうね。ま、いっか」
「会話を長引かせる意味があるの?」
僕が思わず言った言葉に、みんなが驚いてこちらを見た。
「渚、そんなに怒るな」
「……ごめん」
お、思わず……。
磯貝くんはおそらく、「相手の思うつぼかもしれない」と言いたいんだと思う。
そうだ、ここで怒っちゃいけない。冷静にならなきゃ。
「で、あんた誰?」
「わたしが誰だと、どうでもいいだろう」
「じゃあ目的は?」
「君たちの担任は今、不在かな」
やっぱり、殺せんせーが本来の目的か。
「生徒を人質にした場合、賞金は支払われないって政府との約束、知らないのぉ?」
「じゃあ、こういうのはどうだろう。雪村あかりをさらったといえば?」
⁉
どうしてこの人は、茅野の本名まで……。
「茅野カエデはあのクラスに実在するけど、雪村あかりは実在しないだろう?」
くっ……。
「うん、どうやらそうみたいだね。やっぱりさらうんだったら雪村さんで正解だった……」
「みんな、逃げてっ!」
「⁉ こいつ。おい、黙らせろっ!」
電話の向こうで争うような音が響いた。
「茅野っ!」
僕は磯貝くんから電話を奪い取って、思わず声をあげていた。
何回言うかわかんないけど、海でまぁす。(>>168にあるA班に入れます)
*(●ゝω・●)*:;;;;;;:*(●ゝω・●)*:;;;;;;:*(●ゝω・●)*:;;;;;:*(●ゝω・●)*
「茅野っ!」
僕は磯貝くんから電話を奪い取って、思わず声をあげていた。
しばらくの間、音は何も聞こえなかった。小さく、何かポップな曲が聞こえる以外は……。
「ま、彼女を無事に返してほしければ急いで賞金首を連れてくるんだね」
そうして電話は切れてしまった。
「……どうする?」
千葉くんが僕らを見た。
「と、とりあえず。茅野っちがどこにいるか見つけるのが先決だよ」
「そうだな。こっちにはGPS探知ができるクラスメイトがいるし! というわけだから、律。茅野のスマホの居場所を探知してくれ」
僕らは律の次の言葉を待った。ところが……。
「すいません。どうやら茅野さんはスマホを学校に置き忘れているみたいです」
⁉
「そんなっ!」
「打つ手がないじゃないか」
「で、でも。殺せんせーの嗅覚を使えば……」
「いや、その必要はないよ」
否定したのは海だった。
「どういうこと?」
「さっきの通話、あれをもう一度聞き直すべきだよ。律」
「あ、はい。では再生してみますね」
謎の人物の声、僕らの声、茅野の声……。
「な?」
「いや、な? って言われてもわからん」
うん、全然わかんない。
「は、早く答えを言ってよ、海!」
「いや、もう答えがでてんだけど……」
海が困ったような顔をした。
「じゃあ、律。さっきの通話。もうちょっと高くして」
「はい」
音量が上がって、もう一度再生。
謎の人物の声、僕らの声、茅野の声……。
「あ」
カルマくんが声をあげて、すぐにニヤリと笑った。
「てか、逆に海。どんだけ耳いいんだよ」
「いや、聞こうと思えば聞こえるよ。第一、人間の耳はそういうのに特化している動物だし……」
海はそう言って僕らを見回した。
すっごい今更なんだけどさ、竹林くんが>>168に書かれていなかった。
B班にいれます。ごめんね、竹林くん……。