>>296の続き
ガラッ
リッカの担任の先生が図書室に入ってきた。その先生は図書室の奥へと消える。
カウンターの下では、ひなみ達が息を潜めて隠れている。
カウンターの下は狭く、3人はぴったりとくっついている。
ひなみは緊張していた。手には汗をかいている。
(いくら3歳児になったとはいえ…梅くんやリッカくんとこんなに密着していると、ドキドキします…)
先生が図書室の奥から戻ってきた。
「リッカはここにはいないようだな」
先生は小声で呟くと、図書室から去っていった。
「もう大丈夫みたいだよ」
リッカがそう言うと、ひなみは抱っこしていた2人を下ろした。
そしてカウンターの下から出てくる。
3人はホッとした。
カウンターの下に隠れていたのはほんの数分だったが、ひなみには、長い時間に感じられた。
ここで、あることに気がついた。
ひなみが隠れなくても、リッカと梅だけが隠れていれば良かったのではないか。
そうすれば、ひなみが先生に対処することができたし、あんなにドキドキすることもなかった。
あの時は慌てていて、そこまで考える余裕がなかった。
ひなみはそんな自分が情けないと思った。
>>305の続き
「ひなみんに抱っこされて最高〜♪俺、ずっとこの姿のままで良いかも」
リッカが言う。
「貴様、ふざけるな!俺は早く戻りてー!」
梅が言い返す。
「え〜、でも、梅だってひなみんに抱っこされて嬉しかっただろ?」
梅の顔が真っ赤になる。
「ほら、梅も図星じゃん♫正直に言えよ〜」
「ひ、ひなみさん、違います、これは、その…」
ひなみは下を向いていた。
様子がおかしい。
「ひなみん?」
リッカもそれを察知する。
「ひ、ひなみさん、変なこと言ってすみません!ほら、リッカ、お前も謝れ!」
「えっ?…あ、ごめん、ひなみん」
図書室は沈黙に包まれる。