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207:百鬼夜行@無慈悲な化け物(ドライモンスター)◆SCMqAQnLxM さぁ、実験を始めようか。:2017/08/31(木) 20:40 ID:t4U

>>197の続き

雷とトランプで遊ぶ。
意外に雷は顔に出るタイプだから俺の圧勝。
「また負けた…
おそさん強いですね」
俺は苦笑いしながらノートに
顔に出すぎ、と記す。
「顔に出てますか?
自分でも意外です」
基本無表情だから、そう思うのも無理は無いな、そう考えた。

「あれ、今日兄弟さん来ないんですか?」
時計を見ると2時をまわっていた。
普通ならこの時間には弟たちが来るはずだ。
モヤモヤっとした不安が溢れる。
その瞬間に激しい頭痛と喘息が襲いかかってきた。
「う”ッ…はぁっ、ゲホッ…」
雷は少しおろおろとした様子を見せたがすぐに背中を擦ってくれる。
「う…あ”ッ…」
何かを、掌に吐く。
掌には、ベットリと血が付着していた。


百鬼夜行@無慈悲な化け物(ドライモンスター)◆SCMqAQnLxM さぁ、実験を始めようか。:2017/09/03(日) 23:39 ID:jvk [返信]

>>207の続き

「これ…血、ですか…?」
雷は驚いたようにいつもは半分閉じている目を見開く。
カタカタと体が震える。
やっぱり俺、近い内に死ぬのかな…
「おそさん、僕と出掛けませんか?」
「…?」
珍しく向こうから誘ってきたので首を傾げる。
「行きますか?」
慌てて頷く。
久々の外出だ!

その後雷は車イスを引きずりながら色々手続きをして外に出してくれた。
「今日は涼しくて気持ちいい天気ですね」
「…ん」
こくん、と頷く。
紙とペンを持ってくるのを忘れたのでこれくらいでしか
コミュニケーションが取れない。
「こっち行きます?」
こくん。
「綺麗ですね。」
こくん。

もっとマシな反応は無いのかと自分でも呆れるくらい
塩対応だ。
喋れないから仕方ないんだけどぉ…
「そうだ、本屋寄りません?」
「ん。」
何を買うのかと思いながら素直に従う。
「はい、これあげます。」
会計も済み、雷が持ってきたのは手話の本。
これで紙やペンが無くても話せるっていうことか。
その本を受け取って、パラパラとページを捲って『ありがとう』の表し方を探す。
あった…
本に書かれていることを見よう見まねで実行する。
「…!」
雷も手話を覚えているのか、何かを手話で伝え出す。
『どういたしまして。』
そうやると、やはり少し恥ずかしいのかプッと笑う。


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