>>515の続き (かなり久しぶりですね)
ブラッドは私を睨み、力が抜けたようにヨロヨロと立ち上がる。
眠らないのはすごいよね……。
それはそうとして……
「私の質問に答えてくれない?」
私は沈黙を破った。
レッドは悪事を許さない。
だからこそ、質問に答えてくれれば捕まえない、とは言ってあげられない。
これからどんな方向になっていくかは、私も知らない。
ブラッドは黙ったまま。
「あなたはなんで犯罪者なんかにわざわざなってるの?それは本当にあなたの意思なの?」
私は勝手に話を進めた。
『私の仕事だもの』ってさっき言ってた。
でも、これは仕事であって、本当はやりたいんじゃ無いのかもしれない。
ずっと気になっていた。
あの辛そうな目は何を思っていたのか。
それが、今はどうしても知りたい。
「……ここじゃ話せないわ。場所を変えないと……」
ブラッドはそう言って、あとは何も答えない。
『ならアスカ、今から俺が指示する。俺の居るビルまで来られるか?』
「分かった」
小声で返事を返し、ブラッドに向き直る。
「ならついてきて。走れる?」
ブラッドはコクリと頷き、廊下を走り出す。
でも、まだ睡眠薬の効果が切れていないのか、足取りが重く、少しおぼついている。
私達はエレベーターで1階まで降り、出口に向かって走った。
警備員達には皆眠ってもらった。
>>558の続き
そのままビルを脱出し、ケイの指示を聞きながらケイの居る、廃ビルの屋上まで行った。
「ふーん。やっぱりレッドは2人組なのね」
あちゃー……。
やっぱり、ってことは予想がついてたんだね。
まあ、噂やらニュースやらでやってるしね。
「……」
何よケイ!ため息なんてついて!
あんたが自分でここまで来いって言ったんだからね!
私のせいだけにしないでよね!!
まあ、それはさておき置いといて……
「どこで話聞く気?」
「……家」
ケイが放った言葉は文ではなく、ただの単語。
は?今なんつった?
ウチ?
ちょっと本気?!
「他に場所は無い。誰にも聞かれない場所となれば家くらいしかない。それに、父さんたちも居るし」
「え、お父さん達にも聞いてもらうの?!」
あー、でもよくよく考えてみれば、お父さん達がいれば逃げることも出来ないか。
でも、急に敵のスパイなんか家に入れたらとんでもないお叱りの言葉が……。
「それは問題無い。今父さん達に連絡を入れた。色々聞かれて経緯とかみんな話したら、意外とすんなり許可してくれた。なんか裏がありそうだったけど」
え、そうなの?!
ケイって結構気が利くなあ。
でも裏がある……?
まあ、それは家に帰れば分かることか!
あれ、ブラッドは何も聞かないのかな?
お父さんとか誰?って思ってもいいはずなんだけど。
「とりあえず、2人とも着替えてこい」
ま、その話は一応置いとこう。
って、ブラッドは着替えとか持ってるの?
「当たり前よ。ここだけの話、私はあなた達と同じ歳なんだから。このスパイであることを除けば、あなたと同じ、運動神経が良いだけの単なる中学生だしね」
へぇ〜。私達とブラッドは同い年なんだ。
よし、さっさと着替えて来ないとね……。
んで、ビルの中で着替えている途中に……。
<続く>