東海林カズマの過去。
どれだけ努力したって、それなりにいい結果を、残したって蔑まれて。
苦しくって、死にたくなって。
完璧すぎる兄に追い付きたくて。
兄をいっそ嫌いになったら楽だった。
でもダメだった。あの優しい手のひらは。でき損ないの、一家のお荷物の頭を優しく撫でてくれた手のひらを。
嫌いになることなど.....
出来なかった。
「俺に.....無にしたい過去なんてないっ.....」
息も絶え絶えに。生理的な涙なんだか、よくわからない涙で頬を濡らしながら。
「それが、全部っ....未来の自分に....なるから」
目の前がぼんやりしてくる。
手や足の先が、痺れてきて本当にやばいんだな、なんて頭に浮かんだ。
「あいつが.....教えてくれんだ.....」
あのぐるぐる頭の生意気な野郎の顔が、脳裏をよぎった。
やれやれ、なんで死ぬ寸前まで、アイツのこと考えなきゃいけねーんだ。
未だ紫の花びらは、ひらひら舞い降りている。
この花.....は、
「紫のアネモネか.....」
口元をわずかに吊り上げた。しかしうまく笑えているだろうか。
辺りは一面深い紫色に埋め尽くされて、宇宙のようだ。
ああ.....綺麗だ。
そんなことを思ったのを最後に、目を閉じた。
【紫のアネモネ】
>>407
>>416
>>421
>>431
>>455 ⭐良かったら読んでください。
ヴァンガに沼ってください(呪い)