「えぇっと、等加速度直線運動の公式は.....」
車が一定の加速度で動き始めた、などと抜かす、意味のわからないプリントを睨み付ける。
ふぅ、とため息をつき、ちらりとタイヨウの方を見ると、どうやら宿題をやっているようだ。
流石、有名進学校の問題とだけあって難しい。
高校生のクロノでさえ若干解けるか怪しい問題が、ちらほら見える。
.....っと、いけない。物理に戻らなければ。
「速度の2乗ひく初速度の2乗は、2かける加速度かける変位?」
ぶつぶつと呟きながら、プリントの端に公式を書き留めていく。
「変位は、初速度かける時間、たす二分の一かける加速度かける時間の2乗?」
静かな病室に、シャーペンを走らせるコツコツという音だけが響く。
.....あと。
あと一個!!!
「くっ.....」
苦しげなクロノの声が、シャーペンのコツコツ音に加わった。
思い出せねー.....、教科書をカンニングしようと、手を伸ばしたその時だった。
「.....V=V0+at」
ぽつりと呟かれた、かすれた、それでもって芯のある声が鼓膜を震わせた。
【紫のアネモネ】
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ヴァンガに沼ってください(呪い)