《 真昼の太陽が容赦なく降り注がせる熱射の地であり、
夜の冷気が静かに命を引き取って行く過酷な環境を持つ地帯
この地に迷い込み、死に臨んだ哀れな者たちの多くが
甘い幻想を追うかのように砂を口に含んだ事から、地帯の名が決まったとされる。
広大な死の地帯の何処かには旧き者が治めていた
【黒檀の帝国】なる大国の遺跡があるという伝説が
この地に根付いた少数民族に伝わっているが、真偽は不明 》
( 『腰を上げるものに捧ぐ 3巻』 24ページより引用 )
( キー キー )
(ガサガサ) ( グァー )
(炎天下の砂の海で、倒れる者と群がる者が静寂を僅かに破る)
(倒れた人の形は何をする事もなく青い空を見据えて
体に群がる鳥の群れを体に受け入れる)
その遠くでは 赤い植物を目の前にして人を乗せていた4足の生き物が息を引き取る
( 何時もと変わらない景色があった )
( そのまた彼方、砂原の中にポッカリと空いた空洞の中で
一人の人の形はぼそりと呟く… )
「…さむい」
「 んー… 眺めはイマイチですわねぇ 」
( 砂丘の上に立つ… 見渡す限りは
砂が占める海。……灼熱の温度が生きる全てを焼き尽くす )
「 ....夜の砂漠は寒いって聞いてたんだけど、ね 」
( 厚着して来たものの.... 暑さの方が未だ上 砂の大地に残して来た足跡も簡単に消え ....暑そうに手で扇ぐ )
「 ...さて、話の続き、しよっか? )
「 ん〜っ……べっつに畏まる事でもないのですわよぉ? 」
[ばっ]( クールに言い終えた途端に飛び掛かり )
「 だぁ〜んなっさまっ! 」
「 ........気抜けるんだけど、いやシリアスは似合わないし助かるけれどさぁ ... 」
[ がしっ ] [ ぎゅ〜っ ] ( 飛び掛かる黒の両手を掴んでから膝の上に乗せて抱き締め )
「 .......落ち着くなぁ、なんか 」