それはあまりにも唐突に起こった出来事だった。
誰しもが普段と同じ日常を過ごし、明日も同様の日々を送るものであると思い、眠りについた……
だが、目を覚ましたのはごく一部の者だけだった。
里も、山も、森も……
人妖も、動物も、植物さえもが眠りについたまま目覚めることがなく、幻想郷全体を深く冥い静寂が支配していた……
これは明確な"異変"だ。
"それ"は深き夢の世界から現れる悪夢の支配者。
微睡みの中に漂う無垢な精神を貪り、安息を求める者達に恐怖を与えるおぞましき幻魔の軍勢『エファ・アルティス』
現世を救うために悪夢を支配する幻魔との戦いが幕を開ける……
>>2 時系列と注意
>>3 異変側の勢力
その時・・・・・
スウウゥゥゥゥゥウウ・・・・・
(イライザの体が、霊夢がまとっていたものと同じと思われるオーラに包まれ始める・・・・・
霊夢を捕食したことにより霊夢の戦闘力が上乗せされた、ということか・・・・・
それとも・・・・・)
イライザ
『(…………!
これは……!?)』
イライザは自分の性質が"悪夢"である事から、例え対象を吸収したとしても、それを発動して完全に制御下に置くためには自分と同じ属性へと変換しなければならない……それをしなければ思わぬ暴発を起こしたり、放った技の影響や残滓で自分の首を絞めることになるからだ。
だからこそ、吸収した力を使用していないにも関わらず、オーラが現れたのを見て二体のイライザは驚愕する。
ズズズズズズズズズ・・・・・!
(イライザを包み込むオーラの勢いが徐々に強まってゆく・・・・・
それどころか、むしろイライザの体のみに留まらずにこの空間の四方八方へと広がりながら、オーラが徐々に勢いに加速をつけてゆく・・・・・)
イライザ
『(………触れてもダメージが無い……となると、浄化や攻撃系統ではない。となると、さしずめ私の能力の緩和による空間掌握を阻もうとしている訳ね?)』
紫色に変色したイライザが警戒し、敢えて動きを止めている中、死人のような肌色をしたイライザは代わりに周囲の肉壁から無数の腕を伸ばして白いオーラに触れるが、弾かれる訳でも消えるわけでも無い…
触れたものに干渉する力であるのならば、空間そのものがイライザの一部となったこの場においてその効果は直ぐに現れるのだが、待っていても何も起こらないどころか、こちらから触れに行っても何も起こらないことでただのこけおどしであると断定する。
イライザ
『(クスクスクスクス、私(悪夢)を包み込もうとしているようだけれど、悪夢とは元々内面に存在していたもの。内側から全てを侵食して悪夢で塗り潰してあげる)』
二体のイライザは同じタイミングで悪意に満ちた笑みを浮かべると、二体のイライザがそれぞれ触れたエネルギー体を蝕み、吸収する黒い波動……可視化された悪意を解き放つ事で周囲に広がる白いオーラを黒で塗り潰そうとし始める。
ズズズズッ・・・・・!
(霊夢の白いオーラが、イライザの黒い波動に呑み込まれ始める・・・・・
やはり、イライザの予想通り、ただのこけおどし、もしくは悪あがきだったか・・・・・
所詮、人間の力なんて小さなものだ、それがたとえ博麗の巫女であろうとも・・・・・)
夢月
「姉さんはあの巫女がイライザに勝てると思う?
私は無理だと思う……魔力的に見ても種族的に見てもイライザに優っている要素があるとは思えない。」
幻月
「……それはわからないわ、単なる身体的な強さだけが全てじゃない。
だって、此処は夢の世界。意思や想いの強さが現世以上に大きな影響を引き起こすのだから。」
イライザの放った醜悪な悪意の波動が霊夢の白いオーラを内側から蝕み、染め上げていく中、悪夢の要塞の外に脱出した夢月と幻月の二人が霊夢とイライザの戦いの結末について考察している。
夢月は純粋な戦闘力で考えた結果、勝ち目が無いと思っているのに対して幻月は夢の世界と言うこの世界の性質や、人間の未知数の可能性を考えた結果、結末を推測することが難しいと考えている……
ズオォォォォォォォォォッ・・・・・!!!!!
(イライザに呑み込まれていた霊夢の白いオーラが、再びイライザの波動を猛スピードで包み込み始める・・・・・
しかも、今度は今まで以上にイライザの波動よりも力が強くなり始めており、どんどん包み込んでゆく・・・・・
いよいよ、形勢逆転及び最終決戦の幕開けだ・・・・・)
イライザ
『(…………!!?)』
自分が支配するこの悪夢の世界では全てが自分の思い通りになると思い、事実これまでその通りになって来ていたのだが、今回の霊夢が展開した白いオーラに自身の放つどす黒い悪意のオーラが押されている事に困惑を覚えている。
二体のイライザ達は肉壁から突き出るようにして生えた上半身のみであはあるものの、予想外の出来事を前に思わず次の手を講じるまでに大きなラグが発生してしまう。
霊夢の実体は確かに紫色の皮膚色をしたイライザが喰らったばかりであり、霊夢の魂や精神体は完全に滅びた筈であるため、イライザ達の混乱はより強くなっている。
イライザ(紫体)
『目障りな濃霧ね……』
そんな中、困惑しながらも、幾分かの冷静さを取り戻した紫色の体色をしたイライザが背中から生えた翼腕を用いて白いオーラそのものを切り裂き消滅させようとする。
イライザは神降ろしの巫女との戦いの時にも見せたように、実体の無い存在にも干渉し、消滅させる事が可能な特殊能力を持っているため、白いオーラの正体が何にせよ、実体の有無に関わらず切り裂き消滅させる事が出来るだろうと考えている。
グォォォオオオオオッ!!!!!
(イライザが白いオーラを切り裂こうとすると、切り裂こうとしたイライザの体を徐々に包み込み始め、紫体のイライザを消滅させ始める・・・・・
そして、霊夢はイライザの体を突き破るかのように無傷で白いオーラを纏いながら登場する・・・・・)
イライザ
『クスクスクスクス……なかなか面白い性質の技ね?
それも……おおよそ白からは連想しにくい外道の力……いえ、私達に近い力を感じられるわね?』
紫体のイライザが消滅し、もう片方のイライザの体を突き破り、咆哮をあげながら再び現れた霊夢に対して、肉々しい天井を覆うようにして巨大なイライザの目が現れる。
現れた巨大なイライザの目から、あの他者を見下し、小馬鹿にするイライザの特徴的な笑い声と共に、今の霊夢の力は自分達に近い邪悪な性質の力を感じられると言う……
現に今の霊夢は、おおよそこれまで異変解決の際に使ってきた力や技からあまりにもかけ離れたものであり、霊夢自身、イライザを通じて博麗の巫女から悪の存在へと変質し始めているのかもしれない……
あらそう?それはとても心外だわ・・・・・
グォオッ・・・・・!
(咆哮だとおもっていたのは、実は咆哮ではなくオーラの勢いによって生じた突風の勢いによって生まれる風の音だった・・・・・
イライザの言う通り、確かにこの力は悪に近いものがあるかもしれない、霊夢自身絶体絶命の状態からここまで這い上がれたのも不思議でしかなく、この力が何なのかは正直わからない・・・・・
だが、今するべきことは一つ・・・・・)
もう終わりよ、イライザ・・・・・
グググッ・・・・・
(霊夢は自分の能力を使って、イライザをお得意の悪夢という存在そのものから分離させ始める・・・・・)
イライザ
『クスクスクスクス……』
天井を覆うようにして出現した巨大なイライザの目は霊夢が向かって来るのを見て、不敵な笑みを溢しながら、目を大きく見開くと、尖端が鋭利に尖った無数の血管のような管を伸ばし、それで霊夢の体を刺し貫こうとする。
イライザ
『この私を悪夢から引き剥がすつもり?
だけど……貴方の触れているものが本体なのかしらね?』
更に、霊夢の向かう先にあるイライザは、本体なのかどうかと問い、その攻撃や行動は不発に終わるだろうと声をかける。
イライザの言葉も当然であり、無限に等しい悪夢の世界において、イライザの本体を正確に見つけ出して切り離すなど、砂漠に落ちた硝子……大海の塵を見付けるよりも遥かに難しい。
気配で探ろうにも、空間そのものがイライザの魔力で満たされており感知することは不可能……広範囲に能力を向けたとしても無限に等しい悪夢の世界全てに行き渡らせるなど強力な力を持った神であっても困難なものであり、とても人間の霊夢一人ではどうにも出来ない事であると断定している。
言ったでしょ?終わりだって・・・・・
(イライザの攻撃は霊夢の体を貫くことなく、霊夢はイライザに対して終わりと言ったはずだと告げる・・・・・
「アンタは自分以外の存在なんてちっぽけな下等生物にしか見えないのだろうけれど、夢を見る者が存在しなければ悪夢は生まれないのよ・・・・・?」
霊夢はイライザを見ながら、所詮イライザは夢を見る誰かがいてこそ存在できる偽りであるということを暗に告げる・・・・・)
イライザ
『………クスクスクスクス、また避けるつもり?』
イライザ
『(私の本体がある位置は感知や予知を誰にも出来ない。たかだか人間一匹ごとき私の居場所がわかる筈も無い。例え一時的に攻撃が届かなくなろうとも、攻撃が当たらない以上、私の優位性が揺らぐことは永遠に無い。次にこの能力が切れた時が終わりの時よ?)』
これまでの戦闘から、霊夢の夢想天生には時間制限があると言うことを知っていたため、伸ばした管がすり抜け、避けられるものの、最初ほど驚きはせず、継続して管を伸ばし続けることで霊夢の行動範囲を限定してその行動を先読みしやすくしようとする。
霊夢の能力維持が限界を迎えた時にそのまま跡形もなく消し飛ばせるように、巨大な目玉の瞳に魔力を集束させ、その隙を伺う。
幻想郷の住人達の精神を具現化した精神の刃は霊夢が結界で干渉できないようにしていて、霊夢の体内に流し込んだ筈の毒液も何故か効力を失っているものの、悪夢と同化しているイライザにはどれだけの攻撃や技も届かない……本体の位置を掴むことなど出来る筈がないと断言している。
《考えろ・・・・・考えるのよ、私・・・・・イライザの本体は絶対にどこかに存在する・・・・・思考を止めるな、考えろ・・・・・》
(霊夢は限られた時間の中、残り少ない中でイライザの本体を感覚を研ぎ澄ませて見つけ出そうとする・・・・・
本体が近くにいるのか、それとも今戦っているイライザをどこか遠くから操作しているのかはわからないが、憶測ではあるが言える事は一つある・・・・・
本体があるということは、その本体がある場所には一際力が強く集中しているのではなかろうか、と・・・・・)
霊夢に似た巫女
『なーにウジウジ考えてんのよ?
アンタの感じたものが正解でしょ?
それは今回も変わらない、何時もの勘が教えてくれる。』
もはや打つ手はない、どれだけ攻撃しようと、相手は無限に等しい悪夢の世界と同化しているため、力の無駄な浪費で終わってしまう……無限の力があったとしても、イライザを完全に討ち滅ぼすのは不可能だ……
だが……これまで霊夢は敵について深く考える必要はなかった。
巫女の勘が答えを教えてくれる……少し勘を研ぎ澄ませれば、イライザの本体が何処に潜んでいるのかも見抜ける。
そして……霊夢の"浮く"力を用いて悪夢の底に潜むイライザを地上まで引き摺り出してやればいい。イライザの力が悪夢によるものならば、悪夢から引き剥がせば実質的に無効化させる事も出来るだろう。
その事を、霊夢の背に現れた巫女が教えてくれる……
イライザの見せた悪夢から出してくれた存在……
何処かで会った事があるような……不思議な感覚を覚えるその巫女の導きがどのような結果を生むのかはやってみなくてはわからない。
・・・・・
(霊夢は確信した・・・・・そう、全てはそこまで深く考える必要は無い・・・・・
自分に似た謎の巫女と思われる人物の言う通り、少し勘を研ぎ澄ませれば本体がどこにあるかわかるはず・・・・・
霊夢は、瞳を開けると、イライザを見て怪しげな笑みを浮かべる・・・・・)
《コオォォォォォォォォ》
霊夢の視線の先にある見開かれた巨大な目玉のその先……
幾層にも重なった肉壁と肉塊の向こうにイライザの本体がいると言うことを勘が教えてくれる。
理論や理屈じゃない、超感知や未来予知でも無い……
第六感をも超えた博麗の巫女としての勘がハッキリとイライザの本体を把握することが出来ている。
そこよっ・・・・・!!!!!
ぼちゅっ・・・・・!
ずぶずぶずぶぶっ・・・・・!
(霊夢は、見開かれた巨大な目玉の表面を突き破り、本体を守るようにして立ちはだかる気持ちの悪い肉壁と肉塊を猛スピードで突破してゆくと、そのまま奥の方に潜んでいるイライザの本体を視界に捉える・・・・・
もう、イライザにはどこにも逃げ場はない・・・・・)
イライザ
『!!?
私が見えていると言うの……!?』
本来ならば何人にも感知できる筈の無い自分の居場所を正確に把握した上で肉塊の中を突っ込んで一直線に向かってくる霊夢を見て、イライザはまるで水中を漂うクラゲのように肉壁の中を移動して霊夢の追跡から逃れようとする。
依然としてイライザの気配や魔力は感知できていないものの、霊夢の勘はイライザが移動している事や、その移動先についても教えてくれている。
ガシッ・・・・・
どこ行くのよ・・・・・?アンタ、まだ逃げられるとでも思っているの・・・・・?
(霊夢は的確にイライザの移動場所を把握し、逃げられないように足を掴む・・・・・
夢、もといこの悪夢の世界に果てはない・・・・・無限にどこまでも広がっている、正に夢ならではのなせる世界・・・・・
だが、本体をとっ捕まえさえすれば、あとはただイライザへ終焉への引導を渡すだけだ・・・・・
霊夢の目は、確実にイライザを消し去るハンターともいうような目をしていた・・・・・)
イライザ
『!!?!?』
イライザ
『………ク……クスクスクスクス……!
私を掴まえただけで勝てるとでも思っているのかしら?
私は実体無き幻魔の女王。姿形なんて幾らでも変えられるのよ……!!』
《メキメキメキメキメキッ》
イライザは冷や汗を流しながらもまだ笑い続け、体が徐々に5mもの巨大な体へと巨大化すると同時に、自身の身体中から無数の腕を生やし、背中から生えた翼腕も二枚から四枚へ増え、変貌し始める。
それはあの悪夢の処刑者のように急速に自身の姿を変化させている。
イライザに接触する事が出来たはいいものの、このままでは無限に悪夢から力を得ることの出来るイライザを前に、最初と同じように全ての攻撃を無効化され、逆に追い詰められ、全て無駄になってしまうだろう……
傷だらけの一人の狼(霊夢)の対峙する相手は山の如く巨大な娥……
全てにおいて不利なこの状況を打破する事が出来なければ、このチャンスを活かしきることは出来ない……
でしょうね、この世界はアンタの思い通りになる世界、私に勝ち目なんてもとよりありゃあしないのは百も承知の上よ・・・・・
(霊夢はイライザが変身する際も尚その手を離さずに、何としてでも捕らえたまま絶対に逃さないようにしている・・・・・
イライザは悪夢の女王、そして、自身の作り上げた世界とも言えるこの悪夢の世界でならば、全てはイライザの思い通りとなる・・・・・
そう、この世界でなら・・・・・)
イライザ
『クスクスクスクス……よぉくわかっているじゃない?
でも後悔してももう遅い、誰の手も届かぬ悪夢の中で永遠の恐怖を与えてあげるわ。』
イライザの身体中から生えた大小様々な夥しい数の手が霊夢の手足や服を掴み、更に二本の腕が霊夢の首に向かい、その首を締めて意識を奪おうと襲い掛かる……
イライザの力は自分が直接戦わなければならないとわかると、空間変化や空間操作から自己の強化へと力を回し始めた事で刻一刻とその力が増して行っている。
今この状態で反撃してもイライザには一切ダメージを与えることは出来ないが、逆にそれを逆手に取ることでこの悪夢の外へ吹き飛ばすことなら可能だと思われる。
・・・・・永遠の恐怖、ねぇ・・・・・その言葉、アンタにそっくりそのまま返してあげるわ・・・・・
(霊夢はどんなものにも縛られない・・・・・たとえそれが、永遠の悪夢にもなりうる世界であろうと・・・・・
霊夢は一度イライザの繰り出した手に捕まるも、あっという間にすり抜けるようにして抜け出す・・・・・
そして「さぁ、覚悟はできた・・・・・?」と、イライザに一言告げる・・・・・)
《ザアァァァァァァァァァァァ……》
霊夢がすり抜けると言うのなら、その空間そのものを埋め尽くしてすり抜けた先にも手が存在するようにしておけば回避しようが無くなるだろうと判断したイライザはすり抜けた霊夢の周辺まで無数の手を伸ばして完全に埋め尽くそうとする。
霊夢にはあまり時間も余裕もない、下手にイライザに時間を与えてしまえば、全ての策が無駄にされてしまう恐れもある……迅速にイライザを排斥しなければ、再びイライザは体勢を整えてしまうだろう。
例えば……純粋に霊夢が追い付けない速度で逃げ出したり、無数に本体を分裂させてバラバラの方向へ逃れたりと、イライザが冷静さを取り戻してしまえば打ってくるであろう、対抗策の無い手段はそれこそ無数に存在している。
それらを打たせないようにするためには、冷静さを失っている今のうちに手を打つしかない。
イライザ・・・・・残り30秒、30秒でアンタとの決着をつけてやるわ・・・・・
(霊夢は、先程と比べると断然有利とも言えるが、それでもやはりまだイライザの方が圧倒的に有利だ・・・・・
そんな中、霊夢はイライザとの勝負をあと30秒でカタをつけると言い出す・・・・・
勝利の女神が微笑むのは博麗の巫女霊夢か・・・・・
それとも、悪夢の女王・イライザか・・・・・)
イライザ
『クスクスクスクス……随分と大きく出たわね?
それなら……三十秒と言わず五秒で終わらせてあげるわ……!!』
【夢幻「微睡みの悪夢」】
《ゴオォォォォォォォォォォォォ……》
イライザは背中から生えた双翼に生えた眼を大きく見開いて霊夢を見ると、霊夢の意識を奪い去って無力化しようとする。
目が合わずとも、此方から凝視するだけで対象を強制的に昏睡させる事が出来る理不尽きわまりない力なのだが、これが通じずとも、周囲の空間は既にイライザがクモの巣のように張り巡らせた無数の手で覆うことで術の発動限界を迎えた瞬間に捉えようとする。
アンタも随分と大きく出るじゃない・・・・・?
(霊夢は、先程イライザの本体へとたどり着いた時と同様、無数の手の僅かな隙間を掻い潜り、イライザの目の前まで移動する・・・・・
今の霊夢は、何ものにも縛られない・・・・・たとえそれがイライザの特殊能力であろうと、今の霊夢には通じない・・・・・
唯一今の霊夢を縛り付けるものは、この悪夢の世界とイライザの執念・・・・・)
イライザ
『………仕方がない……まさかたかだか一介の人間ごときにこの術を使わされることになるなんて屈辱だわ……だけど、人間ごときに舐められるのはもっと屈辱。』
イライザは霊夢に夢幻術が通じず、伸ばした手を避けられ、眼前にまで移動したのを見て、もはや打つ手は一つしかないと忌々しそうに呟く……ここで霊夢が渾身の一撃を繰り出していればイライザは切り札を使う隙もなく倒すことが出来ていただろう……だが、霊夢自身の尊大な物言いからもわかるように、何処か相手を見下し過小評価してしまったが故にそれをしなかった事がイライザに逆転の手を打つ隙を与えてしまう。
霊夢は忘れていた。
かつてこの幻想郷に二度現れた不死王の切り札を……
存在そのものを貪り喰らう夥しい数の亡者を召喚する暗黒禁術"タナトス"を……
イライザ
『いいわ……その存在そのものを永劫に消滅させてあげる……!』
【暗黒禁術「ヒュプノス」】
《ズオォォォォォォォォォォォォォォ……》
イライザは霊夢が自分の前に移動したものの、攻撃を繰り出して来ないことを利用して、切り札である暗黒禁術を発動させると、大きく広げた翼と両手から万物を塗り潰す漆黒の闇を周囲一帯を包み込むようにして広げ、瞬く間にイライザの周囲が墨のような闇に包まれていく……
この世の理から逸脱した異質なエネルギー……
"暗黒魔力"を用いた外道の術。この力によって召喚された闇は周囲一帯の空間そのものを塗り潰し、無条件に全てを消失させる……
この漆黒の闇に塗り潰された中には、悪夢でさえ存在する事が出来ず、伸ばしたイライザの無数の手や、悪夢の肉壁すらも急速に朽ち果てて消滅する……ある種、霊夢の夢想天生をとことん悪意で歪めたような効果となっている……
・・・っ!!!!!
(霊夢はイライザの懇親の一撃・・・・・それも、今まで展開していた自身の攻撃すらも自ら消滅させるほどの強硬手段に、一瞬動きが止まる・・・・・
そして、その一瞬こそが命取り・・・・・
霊夢自身は自惚れていたわけではない・・・・・
だが、イライザを少しずつ追い詰め始めていたことで、どこか油断が生じていたのだろう・・・・・)
イライザ
『クスクスクスクス……形勢逆転……いえ、最初から貴方に勝ち目なんて無かったのよ?』
《ズアァァァァァァァァァァ……》
イライザは右腕を大きく霊夢に向けて振り下ろすと、それに連動するように漆黒の闇の塊が霊夢の頭上から悪夢の世界をも呑み込み、消滅させながら迫る……
大振りになっているため、隙は大きいが、それを補ってありあまる規模と威力を有しており、この闇に触れてしまえば今の霊夢でも存在を削り取られ消滅してしまう事を、霊夢の勘は教えている……
最初から大きな力の差があり、底無しの悪意を持つ相手に対して一時的に優勢になった事で相手に対する決定打を打つチャンスを無駄にする霊夢の戦いかたはあまりにも甘かったとしか言えないだろう……
ようやく見えた勝ち筋を……様々な奇跡が重なって生まれたチャンスを……霊夢は無駄にしてしまった……
・・・・・それはどうかしらね?
ゴォッ!!!!!
(イライザが最初から霊夢には勝ち目なんてなかったという言葉を告げたその時、霊夢は冷や汗を流しながらもニヤリと笑みを浮かべながら上記を告げる・・・・・
霊夢の頭上から迫り来る闇と同様に、イライザの頭上から・・・・・いや、悪夢の世界そのものをすべて呑み込まんとするほどの威力を見せつけながら謎の白い光が広がってゆく・・・・・
そう、霊夢はこの時を待っていた・・・・・)
イライザ
『…………!!
……何をしたのかは知らないけれど……この闇は全てを呑み込み等しく滅する。善も悪も、生も死も、魔も神も……!!』
イライザの展開した漆黒の闇へ霊夢の放つ光が降り注ぐものの、その光でさえも闇を照らし出す事は出来ず、大きな影となってしまっている……
そんな中でイライザの振り下ろした漆黒の闇は既に眼前にまで迫っており、そのまま霊夢を呑み込もうとする……
全てにおいて打つ手が遅すぎる。
常にイライザに先手を取られ、優位性を奪われ続けている中では多少のイレギュラー程度では戦況を覆すことは出来ない……それは霊夢が昏睡状態に陥った時に代わりに霊夢の体を動かして様々な神の力をその身に宿し、戦っていた神降ろしの巫女が体現してしまっていた。
そして………絶望は重なる。
これまで数多の幻魔との戦い、そしてイライザとの長期戦による影響で霊夢の体からは体力も霊力も大きく消耗し、一時的な強化もタイムリミットを迎え、霊夢の体に注入されていた毒液が再び霊夢の体を内側から蝕み始めてしまう……
っ!!!!!
(あまかった・・・・・もっと早い内にケリをつけるべきだった・・・・・
イライザの有利な状況は依然として変わりなく、霊夢はどんどん追い詰められる・・・・・
人間の限界というものを、ここまで来て思い知らされる・・・・・)
《ズズズズズズズズ……》
霊夢の甘さがイライザに反撃する隙を与え、切り札を誘発してしまった結果、イライザが振り下ろした右腕に伴い霊夢の頭上から迫った闇の塊がその体を呑み込む……
一切の情けも容赦も無く理不尽なまでの絶望をもたらし、悪夢さえも存在する事が出来ない漆黒の闇に包まれた以上、生存する事は絶望的だろう……
・・・・・
《私・・・・・ここで死ぬの・・・・・?こんな最悪の場所で・・・・・最悪な形で・・・・・》
(薄れゆく意識の中、悪夢の世界の一部すらも呑み込み消滅させるほどの威力を誇る闇の中、霊夢はこんなところで自分はこのまま死ぬのかと嘆く・・・・・
しかし、イライザに反撃できるチャンスを逃してしまったのも揺るぎない事実・・・・・)
【「虹霊撃」】
《バチィッ》
全てを蝕み無へ塗り潰す漆黒の闇が霊夢の体を包み込み、その存在そのものを虚空の彼方へと消し去ろうとした次の瞬間、無意識に霊夢の体が動き、両手を合わせ、周囲に虹色に神々しい閃光が広がる。
虹色の光は、先程の霊夢の白い光を呑み込んだ漆黒の闇をも照らし出し、イライザの切り札である暗黒禁術そのものを浄化し消滅させる……
霊夢の意識は残ってはいるものの、その力は明らかに霊夢のものではなく、より強大な光の力となっている……その証拠に通常の霊夢も霊撃そのものは使えるものの、これほどの威力では出来ない……
イライザ
『………!!?』
霊夢の放った虹色の光はまるで太陽に強く輝き、再度漆黒の闇を発動させようとしたイライザの集束させた暗黒魔力そのものを瞬く間に浄化し、更には周囲に広げていた無数の腕も、虹色の光に照らされた途端に力を失い、灰のようにボロボロと崩れて消えていく……
イライザ
『(光さえ呑む冥府の闇が払われた……!?
そんな馬鹿な事が……これはまるで………いえ、アイツはもう存在しない、原初之悪意(マレヴォレンス)様に滅ぼされた筈……!!)』
言うなれば神さえ浄化する穢れ無き純光とも呼べるこの光をイライザは知っていた。イライザはかつて今と同じ状況になり、この力を行使する者を見たことがある……
だが、その行使者は自分達の主であるマレヴォレンスによって葬られた筈であるため、今こうして自分の前にいる筈など無い……
霊夢?
『……どうしてアンタらは奪う?
それだけの力があるのなら、奪わなくとも自分達だけで欲しいものが手に入る。どうして何時までも無意味で無差別な略奪と殺戮を繰り返す?』
霊夢の口からは次々と言葉が出てくる……
それは全て霊夢の言葉でありながら、霊夢の言葉ではない……
漆黒の闇を剥がされ、丸腰状態になったイライザに対して油断や満身をせず、常にその一挙手一投足を見逃さずに警戒しながらも、その戦う理由を問いかけている……
相手が明らかな悪であろうとも、思考停止的に無条件に滅ぼそうとするのではなく、話し合いにより、その心情や価値観を理解しよう、歩み寄ろうと言う姿勢が見えており、その姿は数々の異変を解決してきた霊夢にも通じる……
イライザ
『クスクスクスクス……何を言うかと思えば……楽しいからに決まっているでしょう?
他者を奪い、踏みにじる。奪ったモノに価値はない、奪い取ったら直ぐに捨てているわ。私にとっての幸福……それは奪い続け、壊し続ける行為そのものよ!』
歩み寄ろうとした霊夢に対してイライザの返した言葉……それは霊夢の行為そのものを踏みにじるようなものであるが、その言葉に虚偽は無い……
イライザにとって他者とは自分が弄ぶために存在する玩具に過ぎず、その苦痛も恐怖も全ては自分の悪意を満たすための事なのだろう。
生まれついて強者であったイライザには他者への同情や共感と言うものが欠如し、それ故に支配や従属以外での関係を結ぶことが出来なかったと言う、哀れな存在……
《・・・・・私・・・・・生きているの・・・・・?》
(霊夢は依然として意識が朦朧と、視界がぼんやりとしたままではあるが、辛うじて目の前の後継が見えている・・・・・
わずかに感じる感覚としては、何者かが自分の体に入り込んでいるような、不思議な感覚・・・・・
霊夢自身は、自分が今生きている、ということを認識するのもやっとの状態だった・・・・・)
神降ろしの巫女
『無茶ばかりするなぁ、当代の巫女は……
ま、私も人の事は言えないか……』
霊夢の意識とは別に動き、話す肉体に宿った者とは別の存在……イライザに眠らされていた時に霊夢を助け、その後も霊夢がイライザの魔の手から逃していた神降ろしの巫女の声が聞こえてくる……
《・・・・・ほんと、異変ばかりで困っちゃうわ・・・・・》
(霊夢は、聞こえてくる声に対して、心の声で返答する・・・・・
だが、異変ばかり起きても、やはり幻想郷は自分の居場所でもあり、同時に守らなければならない場所でもある・・・・・
だからこそ、今ここでイライザは完全に消し去らなければならない・・・・・)
神降ろしの巫女
『……貴方に憑依してそんなに時間も経っていないけどさ、不思議に思っていることがあるんだよね……貴方は悪は無条件で滅ぼすの?
立場が違えば自分が悪になるかもしれないと言うのに?』
ふと、霊夢の視界が切り替わり、霊夢の放っていた光やオーラと同じ真っ白い何もない空間に移動すると、あの血の巨人の腕の座っていた巫女……神降ろしの巫女が右腕を失った状態であるもののその姿を見せる。
神降ろしの巫女
『そもそも"悪"とは何なのか貴方は本当にわかっているの?』
その巫女は"悪は滅ぼす"と言うある意味単純な思考を語る霊夢に対して、自分が相手と同じ種族、立場、環境で生まれ育っても今と同じことが言えるのかと問いかける……
イライザは同情の余地も無い極悪人である事は先程の問答からもわかるが……ある種、思考停止的かつ盲目的に戦おうとする霊夢に対して、譲れぬもの、信念があるのかどうかを問いかける。
自分の心に芯の無いものは弱く、危うい……
それを危惧した事で神降ろしの巫女はイライザに消されずに残った残滓を介して問いかけている。
《・・・・・確かに、悪というだけで滅ぼすという考えは正義に偏りすぎているとは思うわ・・・・・もしかしたら話し合えば分かり合えるかもしれない、理解できるかもしれない、そう思うことも大事だとは思う・・・・・
けれど、根っこが腐りきった悪、誰かの全てを踏みにじるのが生き甲斐のどうしようもない悪は分かり合えない、理解出来ない、そもそも話が通じない・・・・・
悪というよりかは、この世の全てのものが存続していくにあたって大きな障害となる存在してはいけない害そのもの、ってところかしらね・・・・・》
(霊夢は、神降ろしの巫女の言う通り、悪というだけで滅ぼすという考えは逆に自分が悪になりうる可能性を秘めているということを理解している・・・・・
だが、目の前にいるのはもはや悪を超えて害であると霊夢は返す・・・・・
全てのもの、生き物であろうとなかろうと全てに害となる存在、それがイライザ・・・・・)
神降ろしの巫女
『……その考え方は少し危険。
相手が呼吸するだけで周囲の命を奪う存在だったら?
存在するだけで周囲を不幸する存在だったら?
外道の世界で生まれ落ちた光を知らない存在だったら?
善悪を知らない無垢な存在だったら?
貴方はそれら全てを滅ぼして回るの?』
神降ろしの巫女
『貴方のその考えの先にあるのは無人の荒野。
共存から最も遠い排他の世界。
見方が変われば、立場が変われば容易く揺らいでしまう価値観であるとも言えるわ。』
神降ろしの巫女は霊夢の"存在悪"に関する考えに対して、その考えでは常識の外にいる存在は全て滅さなければならなくなってしまうと言う……
かくいう妖怪や神も人々の恐れ(畏れ)が無ければその存在を維持することは出来ない。人間でさえ自然を破壊し、無自覚に世界を蝕んで生きている。
考え方や種族は違えど、妖怪や神は全てイライザに等しい存在であるとも言えるし、かつてのレミリア達のように意図的に他者への害を及ぼす事もあるだろう。
それらに対して存在そのものが危険だと言ったり、周囲への害を考えて悪と断定してしまえば、その先にあるのは人も妖も神も居ない、誰も存在出来ない世界になってしまうだろうと指摘する……
《・・・・・アンタの言い分にあれが当てはまるの?今目の前にいるのは、アンタのような考えの持ち主の言い分も込みで何もかも見越してでも誰かの命を奪って数多の悲劇を生み出すことを生き甲斐とした悪魔、アンタの言い分だとそれらは全て明確な純粋な悪意というものを知らない場合の相手にのみ通用するものだけれど、コイツの場合は違う・・・・・
明確に、故意に悪意を持って全てを踏み躙る最凶の悪魔、明確な悪を滅ぼすのとこのまま多くの命が犠牲になるの、アンタならどっちを選ぶの・・・・・?》
(神降ろしの巫女の問いかけに対し、逆に霊夢は神降ろしの巫女だったら明確な悪を滅ぼすのと多くの命を犠牲にするのどちらを選ぶのかと問いかける・・・・・
神降ろしの巫女の考え方だと、純粋な悪意というものを知らない相手にのみ当てはまる考えだとも霊夢は言う・・・・・)
神降ろしの巫女
『何も相手を滅ぼすのを否定している訳じゃない……
だから貴方の問いに対する私の答えは"滅ぼす"
私が言いたいのは善悪と言う限られた範囲だけで物事を考えるんじゃなくて、相手と言う存在の目的や存在を理解した上でその本質を読み、戦う。
貴方の言葉では他に害を成すものは無差別に滅ぼすように感じられる。』
神降ろしの巫女
『私は相手を滅ぼす間際まで……妥協点を探り続ける。
互いが互いに妥協点を見付け、互いの存在出来る領域を侵さないようにする共存の道を探し続けてきた。
それに対して貴方は他者を滅ぼす事、敵を打ち負かす事だけを望んでいるように見えた……』
巫女は霊夢の考えや、これまでのイライザを見下すような言動を取ったり、挑発を重ねて相手を追い込み反撃の隙を与えたりと、その言動から霊夢は異変の解決や幻想郷の守護ではなく、単なる破壊や殺戮を好む通り魔的な性格であり、正義や使命はそれを美化するための装飾であるようにしか感じられないと応える。
それに対して神降ろしの巫女は相手との戦いの中で妥協点を探して語りかけつつ、油断も慢心もしない、妥協点を探ろうとしても理解し合えない、共存する道はなく、相手もそれを望まないと言うのであれば殲滅する。
霊夢の姿勢や態度について神降ろしの巫女は問いかけ続けている。
イライザ
『御託を並べるつもりなんてないわよ?
何よりも強く、老いて弱まることも、醜く朽ちる事も無い私こそ世界の支配者に相応しい。強い者は何をしても許される。その邪魔をするのなら貴方もゼノンも滅ぼしてやるわ!!』
【幻魔「禍災の爪剣」】
霊夢(初代憑依)
『……………………。』
【「神威」】
イライザは両腕を広げ、自身の周囲の周囲の悪夢の空間から槍か剣のように巨大かつ鋭利な爪を生やした無数の巨大な腕を出現させ、それを霊夢に向けて伸ばすものの、霊夢はその爪撃の軌道を読み取り、微かな隙間に体を捩じ込み、弾丸以上の速さで向かって来る巨腕を避け、そのまま神気を纏ったままイライザに向かって衝突し、イライザを弾き飛ばしていく。
イライザ
『ぐ……ッ……!!』
イライザ
『(明らかに動きが変わった……?また別の奴を憑依させたようだけれど……さっきの奴と同じようにその精神体そのものを破壊してやれば………)』
《ドゴオォォォォッ》
イライザは弾き飛ばされつつ、弾き飛ばされた先にあった悪夢の肉壁に入り込み、そのまま後方に下がる事で術の発動までの時間を稼ごうとするものの、霊夢はまるで悪夢の肉塊を何の障壁ともせずに突っ込み、神気
纏ったままイライザの元まで移動すると、イライザが回避や防御をするよりも速くイライザの腹部を拳で撃ち抜き、更に奥まで殴り飛ばす。
先程までどれだけ攻撃しても無傷であったイライザが明確にダメージを受けているどころか、イライザの自慢の術や能力をまともに使う暇さえ与えずに攻撃を重ねていく。
この"神威"と称された技は自身の体に神すら浄化できる程の強力な神力を纏い、自身の身体能力を極限にまで高め、光に匹敵する速さで攻撃と移動を行う事で対象にまともな反撃すらさせずに追い詰める技となっているけど
だが、初代巫女の操る力は今の霊夢の肉体にはあまりにも過剰な力であるため、少しずつ霊夢の肉体には強い負担がかかってしまっている……
《今、アイツが言ったのが聞こえなかったの・・・・・?力を持つ者ならば何をしても許される、アイツは今そう言ったのよ・・・・・?》
(イライザは、純粋な悪意の持ち主・・・・・
今こうしてイライザを滅ぼす滅ぼさないの話し合いをしている内に万が一自分がやられてしまったら、世界は間違いなく破滅へと向かうだろう・・・・・
そうなってしまえば、もっと多くの犠牲が出てしまう・・・・・
大きくなりすぎた悪というものは、もはや災害なのだ・・・・・
自然災害とは違う、明確な悪意のもと行われる人災なのだ・・・・・)