>>791
紀一人の状態から自分達が加勢したことにより、頭数だけは五分五分へと持ち込めた。
問題はやはり紀の消耗具合である。彼女にも気を配りながら戦わなければならない。
「その為にも……」
巨大な鋼の扇子を作り出し、横溜めに構える。
「どおおおりゃあああああっっ!!!」
凄まじい勢いで振り抜く。鍛え上げられた己の筋肉だけでなく、能力で扇子自体も加速させることで超高速の一閃を実現する。結果、周囲を覆っていた濃霧は暴風に退かされ始める。
「うし、これでくっきりはっきり見えるようになるだろ」
扇子を足元に突き立て、ニカッと笑う。
いまいち視認し辛かった桜空と紀の様子が一目瞭然となる。とりあえずはどちらも致命的な事態にはなっていないようだ。
「おおっとと、こっちも火の粉を払いますかねえ!」
瞬時に鋼鉄棍を再形成。
既に目前まで迫っていた新たな枝を、残らず叩き落とす。
「さーて、そろそろ本体の樹が見えてくる筈だけどな……」
風圧により掻き分けられていく濃霧。鋼鉄棍を肩に乗せ相手の出方を窺う。
「っておいおい! 割りとシャレにならねえ事になってんな!」
ふと紀の方へ視線を向けると、なんと霧の者に今にも止めを刺されそうになっている最中だった。
少し目を離した隙にこれか。あの霧の奴、思った以上にやるようだ。
「させるかよ!」
すかさずパチンコ玉の指弾を撃つ。
こういった緊急事態には、予備動作も使用リソースも少ないこの技が便利である。
銃弾と遜色ない速度で飛ぶ小鉄球は、そのナイフを持つ腕を貫かんと迫る。
「桜空っっ!!!! 仲間が殺されそうになってるぞ!! どうするんだ!!」
喉がはち切れんばかりの勢いで叫ぶ。
非殺傷を通し抜き八咫烏の殺戮行為を許すか、それとも仲間を助ける為に殺しに手を染めるか。
桜空の、選択はーー
《グアッ》
周囲の濃霧を払い、視界をある程度確保した事で紀の危機状況が判明したものの、戦場において不用意に周囲へと注意を分散するのは直面した敵対者に対する注意が欠如するため、悪手にしかならない……
打ち砕いた枝の一本一本にはそれほど異能による強化が施されていないと言うことはつまり、幾らでも即座に再生可能と言うことであり、砕かれた次の瞬間にはもう再生し終え、再生したばかりの枝槍がほぼ全方位から中川の体を貫こうと迫る。
また、そろそろ術者のいる根元へ近付けたと思いきや、術者が近いこともあり、根元部分と言う局所的にだが、異能か集中している事もあり、鋼をも超す硬度となった樹木によって阻まれてしまう。
樹木使い
「………!!」
だが、絶望的なままと言うわけではなく、紀と霞鴉の姿が見えたと同時に、その奥にある濃霧の中に地面に両手を付けた人影が見える。
位置的にもその人影こそがこの樹木使いの本体であるのだが、中川と樹木使いまでの距離は優に20mはある上に、何処から新しい枝槍を生やして来るかわからない……
桜空「っ!!!!!ぁぁあああああぁあああああああああああぁぁぁぁああっ!!!!!」
バキバキバキボキボキィイイッ!!!!!
(両足を潰され、骨が折れていくのがわかる・・・・・
そして、更なる追撃として頭突きを御見舞してこようとする相手に桜空は・・・・・
「っっ!!!!!」
ゴッ・・・・・!
桜空も負けじと頭突きをし、威力を相殺して何とかしようとする・・・・・)
紀「・・・・・っ」
《もう・・・・・ダメ・・・・・》
ぐっ・・・・・ぐっ・・・・・!
(紀も、能力の限界を超え何とかギリギリで抵抗していたものの、とうとう自分の死を悟り始める・・・・・
が、最後にとことん抵抗してやろうという意思はまだ残っており、その執念が自分の首とナイフの先端の間を数ミリ空けることに成功する・・・・・)
>>800
「中川!!!!!私の生死よりも目の前の的に集中なさいっ!!!!!」
絶体絶命とも言える中、中川に自分が今死にそうになっているこの状況に気を取られずに、目の前の敵をねじ伏せることに集中するように叫ぶ・・・・・
本来ならばもう大声など出せないはずだが、最後の火事場の馬鹿力というやつか・・・・・)
>>801
【一応、今桜空は紀や中川さんがいる場所とは別の場所で戦っているということになっています!わかりづらくてすみません!】
>>中川さん本体様