幻想郷の守護者『博麗霊夢』
これはそんな彼女が博麗の巫女となり、数多の異変を解決する以前に、始めて訪れた邪悪な妖との戦いの物語。
>>1 世界観と注意
>>2 異変キャラについて
ルールねぇ・・・・・まぁ基本、ルールなんてものがないような戦いはこの前みたいな妖怪退治だけな気がするけど・・・・・
(幻想郷では様々な種族が暮らしている・・・・・それこそ、今の自分たちのようにちょっとした力比べの為に手合わせをする妖怪もいるだろう・・・・・
しかし、そんな妖怪達でも豺狼のように人里への被害を出したりなどはせずに、極力周りへの被害は出さない程度に力は抑えているはず、つまりルールがない戦いというのはこの前の豺狼との戦いのようなことを言う・・・・・
今の自分達も、どこか意図せずしてルールを設けているような気もしなくはない気がするが・・・・・)
魔理沙
「ま、今日のところは私も要件が済んだからこれで帰るとするか。
明日また手合わせをしよう!明日ならもっと力を出せるようになっているかもしれないからな!」
少し新しい決闘ルールについて考えてみるものの、先述した以上のものが考え付かず、今日のところはもう自分も要件が済んだからこれで帰ると言うと、霊夢に向けて右手で指を指してまた明日決闘を行おうと誘ってみる。
明日って・・・・・思ったよりも近々だったわ・・・・・
(戦い以外では基本のんびり過ごしたい霊夢はまた明日やろうという魔理沙の言葉を聞き、思っていたよりも近々にやるという事実に思わずもう疲れたような表情を見せる・・・・・
しかし、霊夢もルールを設けなければならないという話は真剣に考えていて)
紫
「はぁ〜い、ごきげんよう霊夢。
……って、あら?考え事をしていたのかしら?」
魔理沙はそのまま全力を引き出せていない霊夢に対してであったものの、博麗の巫女に勝ったと言うことから上機嫌になり、そのまま鼻歌を歌いながら箒にまたがって魔法の森の方向に向かって飛んで去っていくと、それを待っていたかのように霊夢の隣に縦に線が生じ、その線が開くと、中から紫は右手をヒラヒラと振りながら現れる。
タイミングを狙っていたかのような登場の仕方ね・・・・・見ていたの・・・・・?
(紫がまるで今までの魔理沙と自分のやり取りを見ていたかのように、魔理沙が去った後すぐにやってくるのを見れば、今までの会話を見ていたのかどうか聞く・・・・・
そして「そりゃあ考え事ぐらい、私だってするわよ・・・・・明日も手合わせなんて、このペースでやっていたら疲労困憊しそうだわ・・・・・」と言い)
紫
「さあ?何のことかしら?私は何も見ていないし、聞いてもいないわよ?」
紫はあくまでも知らないと言うスタンスを取り、自分は何も見ていないし聞いていないから特に自分について気にする必要は無いと答える。だが
その胡散臭い様子からして、見ていたのは確定的だろう。
紫
「あら、丁度いい練習相手が出来て良かったじゃない?」
紫は魔理沙を丁度いい練習相手になると言う。
霊夢は努力や研鑽を重ねて強くなるのではなく、戦いを通して戦場に適応し、自然と強くなっていく感覚タイプである事を紫は見抜いており、その意味も含んでいる。
丁度いいって・・・・・同じ立場になったらそうそう簡単に他人事として言えないと思うわよ・・・・・?
(霊夢は紫と違い、自分が戦場に適応しながら強くなっていくタイプの人間であるということは知らずに、いざ自分の立場になれば他人事には言えないと反論する・・・・・
そして「で、何をしに来たのかしら?」と、紫が何をしにここへ来たのかを問う)
紫
「あら、心外ですわ。私は何時でも博麗の巫女を案じているのよ?」
紫は微笑みながら飄々とした態度で言葉を返して、まるで掴み所の無い煙のようにあくまでも自分は霊夢の事を何時でも心配していて、その上で魔理沙という好敵手の出現を喜んでいる。
紫
「要件については簡単なことよ。此方に来てもらえるかしら?上白沢さん?」
そして、本題について聞かれると、紫がスキマの奥の方へ声をかけると、スキマ空間の奥から困惑や心配といった様々な感情が混ざりあった複雑な表情をした半人半妖の人里の守護者、慧音が現れる。
・・・・・何かワケアリのようね・・・・・
(慧音の表情を見て、その表情から何かワケアリなのだということに気づいて上記を述べる・・・・・
そして「何があったの・・・・・?妖怪絡み・・・・・?」と、妖怪が暴れ回っているのであれば退治しなければならないが、豺狼の件からまだ間もない為か、豺狼戦を思い出す度に心臓がバクバクしてくる・・・・・)
紫
「そう身構える必要はないわ。ただ……今回の件と私について忘れてもらうだけよ。」
紫は微笑んだまま、サラりと今回の一件と自分について忘れてもらうつもりだと言うと、それを合図に慧音が両手を合わせて一拍すると、霊夢の頭の中が薄れ始めてしまう……
今回の戦いにおいて身に付いた技術や才覚、魔理沙についてはそのままだが、紫や犲狼、蔵蜜についての記憶だけが消失する事になる。
え・・・・・?何言って・・・・・
ドサッ・・・・・
・・・・・
(霊夢は紫の言っていることが理解出来ずに何を言っているのと言おうとした瞬間、頭の中が薄れ、ボーッとしたと思えば意識が遠のき、そしてそのまま倒れてしまう・・・・・
目覚めた時には紫とは再び初対面という関係になり、霊夢は過去に紫と関わったことに気づけなくなるという、何とも哀しい現実が生まれることになる・・・・・)
慧音
「……本当にこれでよかったのか?」
紫
「ええ……彼女が次に目を覚ました時には悲しい記憶も全て消えている。博麗の巫女が憂いを抱えているようでは、守護者としての示しが付かないのだから……蔵蜜の事も私が覚えておくわ……彼女もそう願う筈……」
紫は倒れた霊夢を抱え、式の藍と橙に布団を敷かせる中、複雑な表情をした慧音は本当にこれで良かったのかと問うと、紫もまた先程までのような笑みが無くなり、蔵蜜の事も、全て自分が抱えておく、霊夢には何も抱える事無く未来に進んで欲しいと願っているのだと応える……
こうして……次に二人が再開するのは春雪異変の時となってしまう……
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・・・・・んん・・・・・ん・・・・・あれ・・・・・?いつの間に私寝ちゃっていたのかしら・・・・・
(霊夢は起きると、ちゃんと布団に入った状態で寝ていたのはわかったものの、一体いつ布団を敷いていつ眠りについたのかが全く思い出せずに、頭がボーッとする・・・・・
が、特に深く考えなくてもいいことだろうと判断し、二度寝する・・・・・)
紫
「……私はあくまでも管理者。助け、守る者じゃない……必要ならば現れ、必要でなければ存在すら知らせない……"私達"はそうあるべき。」
紫は博神社の本堂の屋根の上から霊夢が目覚めたのを見届けると、日が沈み、辺りを夕闇が包み込む中、沈み行く夕陽を背に、日傘を差したまま視線を霊夢がいる方向から地平線の彼方から広がってくる夜闇を見てそう呟く。
紫
「けれども貴方が巫女としての力に目覚めた時……いえ、博麗の矜持を得た時……また会いましょう。」
紫は今後の霊夢の成長に期待をしながら、完全に夕陽が沈むと、背後にスキマを展開し、まるで沈んだ夕陽を追いかけるようにしてスキマの中に入り、何処かへと去って行く……
次に二人が邂逅するのは暫く先の春雪異変になるのだが、この時はまだ誰も知るよしもない………
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『相変わらずだな・・・・・紫らしい・・・・・』
(紫が立ち去る直前、どこからともなく蔵蜜の声が聞こえてくる・・・・・
紫と博麗の巫女、霊夢の新たな出発を見ての感想か・・・・・
それとも、ただの空耳か・・・・・)
紫
「………!?」
スキマに入り、誰にも見送られること無く自身の拠点に帰ろうとした最中、ふと何処からか聞き覚えのある声……蔵蜜の声が聞こえてくると思わず足を止め、辺りを見回してみる……
紫
「…………気のせい……かしらね……」
だが、声の主は何処にも見えない。
それもその筈で、犲狼によって彼女は惨殺されてしまった……もう時を戻すことは出来ない。認められぬ過去に対する未練が幻聴となって聴こえてきたのだろうと考え、自分自身に対する落胆のため息を一つ突くと、開かれたスキマの中へ入り、消えていく……
【始霊伝 完結】