不幸の神様

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1:花梨:2012/11/17(土) 21:16 ID:gUg

一度でいい 誰かに必要とされてみたい

一人でいい 心から笑い合える友達が欲しい


一日でいい───

         普通の生活を送ってみたい



【作者より】          
初!小説です。
いくら漫画家目指してるとはいえ
所詮素人の小説です。
色々と文がおかしいところあると思いますし
まず人が来るかわかりませんが 
スタートしま〜す!    

201:花梨-karin- ◆uPA.:2013/04/26(金) 18:10 ID:1AY

……からの上げ

202:花梨-karin- ◆uPA.:2013/04/29(月) 20:06 ID:yXM

とりあえず今続き書いてます が 今日の所は一旦保存して風呂入って勉強して寝ます

203:莉羽 ◆EppM:2013/04/29(月) 23:30 ID:oNo

あああ…やっぱり、いじめは止まらない…><
朝日ちゃん、本当に強いね…!((

204:花梨-karin- ◆uPA.:2013/04/30(火) 13:20 ID:yXM

>>203
莉羽久しぶり〜! また来てくれるなんてすっごく嬉しいです!
朝日は……まあ強いか←

今日早帰りなんでじゃんっじゃん書きます!……なんて事が出来たらいいな←

205:匿名さん:2013/04/30(火) 17:14 ID:yXM

4時限目は社会だった。
寝不足のあたしは遠慮なしに居眠りをしていたけど。

何度も自分で言うのはどうかと思うが、あたしは頭が良い。この間の事があってもまだ先生達から評判の娘だ。
ていう事で居眠りをしても怒られない。
学校としては決して良い学校とはいえないが、あたしはとりあえず数学の勉強が出来れば良いのだ。

……ガタガタと音が聞こえる。その後少ししてから聞こえた人の声。
あぁ、授業が終わったのか。
ふわーあ、と欠伸をしてから、あたしは机の横にかけてあるトートバッグを持ち、教室を出た。

206:花梨-karin- ◆uPA.:2013/04/30(火) 17:14 ID:yXM

何でいつも名前入れ忘れるんだろうな
とりあえず一旦切っての更新

207:莉羽 ◆EppM:2013/04/30(火) 23:07 ID:oNo


朝日ちゃん、お気に入りかぁ…(((
そういうのって、特するよね(笑))

朝日ちゃんは意地を張ってるんじゃなくて、純粋に強い感じだよねー^^
てゆか、そうだよね?(焦)


ごめん、質問←

【ふわーあ、と○○をしてから__。】
       ↑↑
    コレ、何ですカ?
   読めましゅえーん((死

208:光希 ◆XHe2:2013/05/01(水) 13:47 ID:6RU

>莉羽さん
【アクビ】ですよ。

209:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/01(水) 18:11 ID:yXM

>>207
でも生徒から嫌われるでしょうね←

まあね〜 とりあえずはw

あくびだよ〜 歓っていう漢字の部首もあくびって言うよ

>>208
光希……光希……ごめん rinだっけ?((

210:光希 ◆XHe2:2013/05/01(水) 19:03 ID:6RU

>花梨

rinそうだよ(
忘れるなんて、酷い←

211:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/01(水) 19:05 ID:yXM

>>210
((; =゜з゜=)) 〜♪ ←

212:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/03(金) 13:07 ID:yXM

廊下を人を避けながら駆け抜けるとき、緊急の呼び出し放送があった。
足を止め聞いてみると、千夏と美咲の所属する委員会、美化部で、何か問題があったらしい。
教室で、1人でうろうろしているうららが思い浮かぶ。
……まあ、私には関係無いけど。

あたし達2年生の教室は3階、屋上へ上がる階段も近い。
3年生だと2階になって、不便になるから嫌だな。受験だって面倒。

スピードを落とし歩き出すと、窓枠に寄りかかり話すこんな2人の少女の会話が耳に入った。

「ねえ、来週期末テストだけどさ……」
「あっ、確かにそうだね。勉強してる?」
「してる訳ないじゃーん!」
「だよねー!」

何て軽い会話だ。
あははははっ、といういかにも馬鹿そうな笑い声が彼女達の性格を表すよう。
平静を装って通り過ぎたが、頭の中は彼女らへの哀れみの気持ちでいっぱいだ。
まず大学へ行けるかどうかも怪しい。窓から覗く晴れ渡る空が、そんな未来を皮肉んでいるようにさえ見える。

でもまあ、お弁当食べるのにはちょうど良いかな。麻衣が待ってるかも、急ごう。
そしてあたしは再び走り出した。

213:莉羽 ◆EppM:2013/05/03(金) 20:58 ID:oNo



あ、今頃でアレなんだけど…。

麻衣ちゃんは、何か企んでないよね!?

214:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/03(金) 21:46 ID:yXM

>>213
ん〜 どうだr((

215:莉羽 ◆EppM:2013/05/03(金) 21:48 ID:oNo


>>214

ええええe((

私のスレ、人が来なくて悲しいよ(´;ω;`)

216:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/04(土) 09:37 ID:yXM

>>215
大丈夫 そのうち来る(`・ω・´)b

217:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/04(土) 23:38 ID:yXM

上げげ

218:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/05(日) 19:22 ID:yXM

更に上げ

219:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/06(月) 15:01 ID:yXM

そろそろ更新しなくちゃヤバい

220:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/06(月) 20:21 ID:yXM

階段を昇る音が、狭い通路に反響する。
冷たいドアノブを握り、一旦呼吸を整えドアを開くと、
眩しい太陽の光が端から徐々に暗い階段に差し込んできた。

「わ……」

思わず小さな声が漏れ、一瞬踏み出す事を躊躇する。
しかし、手すりの側に座り込む麻衣の姿を見つけて、光の差す地面に足を踏み出した。

気配を感じたのか、こちらを振り返った麻衣。
あたしを見つけた途端、この太陽にも負けないほどの明るい笑顔を見せた。

「朝日っ! 遅かったじゃない」

ニコニコと手招きをする麻衣の膝には、お弁当が入っているであろう包みがあった。
あたしが来るまで待っててくれたんだ。遅くなって悪かったな。

「ん。ゴメン、ちょっとね」

適当な言い訳をして麻衣の隣に座る。
まさかお馬鹿な少女の会話を盗み聞いていたなんて事は言えまい。

221:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/07(火) 18:49 ID:yXM

http://yaplog.jp/mazikkarin/ ブログ開始です 良かったら見てやってくださいな

222:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/08(水) 18:02 ID:yXM

とりあえず上げ
そのうち更新

223:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/08(水) 19:14 ID:yXM

「いただきます……」

申し訳程度に手を合わせ、小さく呟く。
今日は、おばさんの作ったお弁当、黄色い卵焼きがツヤツヤと美味しそう。

「朝日ってちゃんといただきますって言うんだね、何か意外」

さらりと失礼な事を言う麻衣。
まあ、確かにそう思う人は多いかもね。

「うん、お母さんとした約束だからさ」
「ふーん、朝日のお母さん……かー」

麻衣にはあまり興味無さそうに反応されたけど、これもお母さんといられた短い日々の思い出の1つだ。
今も忘れないで大切にしている。

『朝日、ご飯食べる前にはご飯を食べられる事に感謝して“いただきます”って言うんだよ』

小さい頃にお母さんに言われた言葉。
まだ、世界を知らなかった小さいあたしには、
何故何かを食べられる事に感謝しなくてはならないのかが分からなかった。

でも大好きなお母さんの言う事だから、とりあえず守っていたな。

……もう1度お母さんとお父さんに会いたい。
分かってる、叶わない願いだって。こんな風に考えてしまう自分が悔しい。
ホントバカ。ただ悲しくなるだけって分かってるクセに。

「朝日……?」
「うわっ!」

……変な声出た。すぐ後ろのフェンスにもぶつかってガシャン、と音がする。
でも、急に話しかけられ、しかも目の前に麻衣の顔が現れたんだから、驚くのも無理ないだろう。

「あ……、ごめん」

あからさまに顔を顰め(シカメ)られてしまった。
でも……、悲しさが紛れた。

「ありがとう」
「え? 何? あたし何かしたっけ?」
「ううん、何でも無い」

この時間がずっと続けば良い、凄く安易な考え。
でも……この時は本当にそう思っていたんだ。

224:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/09(木) 16:02 ID:yXM

この板は下がるのが早いなぁ〜
あぁ 遠足疲れた

ていうか私高校生じゃないから高校の話書くの難しいな
設定変えるのはプライドが許さないから次作は中学設定にしよう

225:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/10(金) 21:46 ID:yXM

上げ

226:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/12(日) 11:15 ID:yXM

ぐっふぉ! 沈んでる←

227:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/12(日) 12:39 ID:yXM

http://yaplog.jp/mazikkarin/

ブログに朝日のイメージ画うpりました〜
次回作情報もありです

228:匿名さん:2013/05/12(日) 18:29 ID:yXM

「あれ、麻衣何してんの?」

あの屋上での出来事から数日。あたし達はすっかり打ち解けていた。
でも、最近麻衣が不審な行動をする事が多い。あたしに何か隠しているような……。

「あっ……! 朝日。ごめん、何でも無い」

今日は何かの写真を見ていて、あたしが近づくとすぐに隠してしまった。
でも……、ポケットに写真をしまうまでの、その一瞬の間に見えた写真に写る人物は紛れも無く……あの『岡野瑞希』さん。

「岡野……瑞希さん……?」
「え……」

無意識の内に呟いてしまったこの言葉に、麻衣は肩を大きく震わせ、過剰なほどに反応した。
麻衣は何かを隠している、確信した。

何故瑞希さんが?麻衣との繋がりは何?

「あっ……何でも無い! 本当に何でも無いから!」
「そっか……」

訊きたい事は限りなくある。
でも、訊いた所でこの様子では絶対に答えてくれないだろう。

じゃあ……あたしが探るしか無い!

笑顔を作り答えている間、こんな探偵じみたくだらない事を考えていた。
でも割と本気で。

久しぶりに本気になれるもの見つけた気がする。
まあ、人の秘密を探るという悪趣味なモノだけど。

229:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/12(日) 19:40 ID:yXM

私はもう名前の入力忘れには触れない←

230:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/13(月) 09:31 ID:yXM

……とは言ってもあたし友達いないから、聞き込みは難しいかな。
先生だと、どうせ『個人情報だから教えられない』とか言うだろうし。
直感的に無理だと分かった。

じゃあ……、どうすれば……。
でも、こんな事考えるのも楽しいかも。

「朝日? どうかした?」

その声に顔を上げると、至近距離に麻衣の顔。
今度はもう驚かないぞ。

「何考えてたの?  何か楽しそうだったからさ」
「さあ、何でしょう」

ニコリ、と優しく微笑んだ……つもり。

「……何か怖い」

本当失礼だな。
まあ笑う事なんて滅多に無いから、引き攣ってたかも。

「まあ良いや、お弁当食べようか。昼休み終わっちゃう」

とりあえず麻衣が話変えてくれて良かったかな。
こんな麻衣にも……、隠し事ってあるのか。うん、想像付かない。

考えれば考えるほど胸が高鳴り、ワクワクしてくる。

よし、放課後から活動開始だ。

231:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/14(火) 19:01 ID:yXM

「ところでさ、麻衣の出身中学ってどこ?」

さりげなく……、を心がけ聞いてみる。

「急に何!? 南中だよ、朝日は?」

ニコニコと笑いながら、怪しむ様子も無く答えてくれた。
うん、イケるかも。

「ちょっと気になって。あたしは東中」

平静を装って答える。
放課後が楽しみだ、帰宅部で良かったとつくづく思う。

……探偵ものの本の読み過ぎかな?

でも、あくまでも犯罪まで行かないように注意。

「そっかー……」

何かを考えてるような麻衣。
視線が鋭くなったような気がしたんだけど……、気のせいか?

人の変化には人一倍敏感なあたしだけど、麻衣は何だか分かりづらい。
表情が変わったと思っても、いつの間にか元の表情に戻っていたりして、本当に変化があったのかが分からなくなる。
何ていうか……不思議な子。

凄く興味が湧く。




でも……あんな事になるなら……知らない方が良かった。

232:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/15(水) 18:04 ID:yXM

最近毎日更新中〜!

233:匿名さん:2013/05/16(木) 18:22 ID:6RU

ガンバ~~~

234:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/16(木) 18:30 ID:yXM

まさかの光希ww

235:匿名さん:2013/05/17(金) 19:38 ID:yXM

そして、待ち侘びていた(マチワビテイタ)放課後。
あたしはすぐに南中に向かった。

しかし、此処に知り合いがいる訳でもないあたしはただ校門の前で下校途中の生徒達を見送る事しか出来ないでいた。
これは計算違いだ、あたしとした事が……。

半分諦めかけた、そんな時、

「あれ、その制服! お姉さん西高の人でしょ?」

明るい、よく通る声が聞こえて来た。

西高、それはあたし達の通っている学校。
間違いない、あたしに向かって言っている。

反射的に振り返ると、そこには、何となく麻衣に似ている、ニコニコとした可愛らしい顔があった。
赤いネクタイのブレザーからして、この子は此処の学校の子だろう。

「え……? そうだけど……」

いきなりの事で戸惑いながら答えるも、その子はまるで気にする様子も無く言葉を続けた。

「やっぱり! しかもスカーフがエンジ色だから2年生だよね? 麻衣ちゃんと同じだ!」

今にもぴょんぴょんと跳ね回りそうなほど、満面の笑みの少女。
しかし、そんな事よりも『麻衣』。この単語に反応した。
きっとあたしの顔は今、驚きで溢れているだろう。

「麻衣……?」
「そうだよ、2年2組に近藤麻衣っていう私の従姉妹がいるの!」

“ドクン”、心臓が大きく波打つ。
これまでに無いほどの鼓動の早さ。
もしかしたら……この子なら瑞希さんとの関わりを知っているかもしれない。
緊張と期待の混じり合った感情。逸る(ハヤル)気持ちを抑えきれない。

「じゃあ……麻衣と岡野瑞希さんっていう子との関わりを知っている……?」
「うん、瑞希ちゃんはね……」

少女が言葉を言いかけた時、急にその子の表情が緊張に変わった。
それでも次の言葉を待っていると……、

「何……してるの?」

あの聞き慣れた声がすぐ後ろから聞こえてきた。
振り返らずとも分かる、この声はあの子しかいない!

「ま……い……!」

ゆっくりと頭を回して行くと、次第に見えて来る黒い髪に大きな瞳。
ニコリ、いつもと変わらず微笑む麻衣は、スタスタと真っ直ぐに少女の方へ向かって行く。

「理緒ちゃん、何勝手に個人情報を教えているの?」
「ご……、ごめんなさ……」

少しも表情を変えずに喋るその姿は、あたしの知っている麻衣では無かった。
笑顔なのに威圧感が半端じゃない。いや、笑顔だから余計に怖い。
理緒というらしいその子の顔も恐怖に歪み、涙目になっている。

体が固まったかのように動かない。

そして、麻衣はそのまま理緒を引き摺るようにして、あたしの方には見向きもせずに帰って行った。

初めて知った、麻衣のあんな一面。




あたしは……あたしは……。

236:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/17(金) 19:39 ID:yXM

あれっ さっきまで名前入ってたのに……

237:jimnhs:2013/05/17(金) 19:45 ID:cnE

おもしろーい^^
私も小説書いてます!
頑張って下さい(^ー^)d

238:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/17(金) 19:47 ID:yXM

>>237
ありがとうございます!
最近前以上に面白くないなって思ってたんで嬉しいです

239:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/18(土) 12:41 ID:yXM

携帯のアラーム音がこの空間に響き渡る。

スッキリしない目覚め、布団から出る気がしない。

そういえば……あれ……、あたし何してたんだっけ……?

昨日は……、確かあの後1人で家に帰って……。

そうだ、それですぐに布団に入って眠ってしまったんだ。

嫌だな、学校行きたくない。
何か……凄く嫌な予感がする。

でも行かなくちゃいけない、そんな事分かってる。

重い気持ちで起き上がり、床に足をついた。

ぐだぐだと制服に着替え、ぐだぐだと髪を整え。

あたしは、何故此処でこんな事をしているんだろう。
自分自身が本当に嫌になる。あたしの勘が絶対なんかじゃないのにうだうだ悩んで。

胸の中に大きな岩を放り込まれたよう。
何をするにもやる気が起きない。

「行ってきます……」
「あら、もう行くの? 朝ご飯は?」
「今日はいらない。ありがとう」

麻衣は、昨日からメールが1通も無いから来ないだろう。

足が凄く重い。

「あっ……!」

足を引き摺りながら歩いていた為、小さな石に躓いて(ツマズイテ)しまった。
ズザザザッ、と音をたて盛大に転ぶ。

膝から流血して、ズキズキ痛む。

本当にツイてない。
泣きそうになってくる。
こんな事で泣いてたまるか、必死に涙を堪える。

240:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/18(土) 13:05 ID:yXM

http://img-origin.yaplog.jp/timg/18/pc/m/a/z/mazikkarin/0/21.jpg&w=360

この前ブログに載せた朝日のイメージ画
キツい感じで近寄りがたいような……そんなイメージです
制服は断然セーラー派なんで(`・ω・´)

で 隣が次回作予定の主人公です

241:匿名さん:2013/05/19(日) 16:23 ID:yXM

だんだんと、登校する生徒達も増え、校門も見えて来た。

1歩を踏み出すごとに気持ちが重くなる。
ヤダ……帰りたい。
麻衣がいない、そんな事だけでこんなにも不安になるなんて、あたしは何て弱くなったんだろう。

さっき転んだ時の傷が、絆創膏を付けてもまだ痛んだ。

「はよー」
「はよっす」

そんな声が聞こえるたびに、胸の鼓動は速くなり、足が震える。

1歩1歩ゆっくりと……でも確実に校門は近くなってきている。
ここは、あたしにとって苦痛でしかない所。
いくら数学の勉強が出来ても、好きだとは思えない。

でも……麻衣はあたしの味方でいてくれる筈、そんな考えがあたしを救ってくれた。

242:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/19(日) 17:03 ID:yXM

大きく息を吸い、校門をくぐる。
真っ直ぐ前を向き、震える足を大きく前へ進める。

昇降口に着くと、まず最初に2組の靴箱に行き、麻衣の靴があるかどうかをチェックした。
上靴がある。まだ学校には来ていないみたいだ。

もしかして……今日もあたしの家に迎えに来てくれたり……?

あたしの中で喜びと申し訳ないような気持ちが混ざり合う。
そうと決まった訳でもないのに、心はなるべく前向きな方向へと考えようとする。

もしかしたら、昨日の麻衣はただの幻だったんじゃないか、そんな無理矢理な考えまで浮かんできた。

今にでも麻衣が後ろから『あーさひっ!』と、飛びついてきそうな気がして後ろを見てしまう。
でも、やっぱりそこに麻衣がいる筈も無く……。

自分を安心させようとする行動が、逆にあたしを苦しめる。

もしかしたら、麻衣はあたしの事を嫌ってしまったのかもしれない。

もしかしたら、麻衣はもうあたしに興味など無くしてしまったのかもしれない。

もしかしたら、麻衣はあたしに失望してしまったのかもしれない。

もしかしたら……もしかしたら……。

今度は次々と湧いてくる『消極的』な感情。

あたしは何をしたいの? 
自分自身が分からない。結局どうしたいの?
あたしを安心させたいのか、苦しめたいのか。

ああ、とにもかくにも早く教室へ入ってしまおう。
此処にいると、頭が可笑しくなりそう。

もう一度、大きく深呼吸をして、上靴を取り出す。




そして、あたしのよく知るあの人に、一連の行動を見られていた事も知らずに歩きだした。

243:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/20(月) 16:32 ID:yXM

めっちゃ下がってるw

上げ〜

244:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/20(月) 20:48 ID:yXM

更にもう1回上げ〜
更新は明日っぽいです

245:乃愛:2013/05/20(月) 22:22 ID:RNw

花梨〜っ♪
レス数が多いから読む気湧かなかったんだけど……めっちゃ面白くて時間を忘れて読んでしまった(笑)
明日、修学旅行なのに〜(泣)

246:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/21(火) 16:33 ID:yXM

>>245
ん? 今何か面白くて時間を忘れたとかいう有り難い書き込みがあったような……?
でもきっと幻だろうな〜……ってえ!? 幻じゃn((ry

嫌だ めっちゃ嬉しいw ありがとう! 修学旅行お土産待ってるn((

247:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/21(火) 18:05 ID:yXM

ぼちぼち書き始めるかな……

248:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/21(火) 20:26 ID:yXM

やべえ 更新間に合わねえ

保存して明日に回します!

249:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/23(木) 20:09 ID:yXM

教室に入った途端に感じる、異様な気配。
いつもとは明らかに違う……、あたしに集まる、突き刺さるような冷たく、でも好奇心も混じった視線。
まるで……これから何かのショーが始まるような……。

瞬間、背中を走る悪寒。

息が止まりそうになるほどの
、威圧感。
この感じは記憶に新しい、まさか後ろにいるのは……!

恐ろしさで、振り返るのを躊躇
していると、容赦無しに襲ってくる衝撃。

その時に起きた風に乗って香ってきたのは、あの……うららのお気に入りのフレグランス。
薔薇の花の、うららにピッタリな上品で、とても心地良い香り……。

そんな、つかの間の幸せを振り払うように、床とあたしの距離はゼロになる。

胸が強く当たり、息が上手く出来ない。
それに加え、朝の擦り傷がズキズキと痛んだ。

「いった……!」
「ふふっ……」

そして背後から聞こえる、唇から漏れ出したような笑い声。

振り返ると見えるのは、複雑な表情をした、いつもの3人組……そして、麻衣……?

「何で……麻衣が……!?」

面白くてたまらない、という様子でクスクスと笑う麻衣の姿は、今までの暖かさや、明るさなど微塵も感じさせない。
全身が『黒』で満ちあふれている。

「何で……? そうだなあ……、何でだと思う?」

麻衣は、あたしをあざ笑うかのように答える。

ダメだ、頭が混乱する……。
麻衣、どうして……?

250:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/23(木) 20:11 ID:yXM

あれ 何か変な所で改行されてる 変なの……

251:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/24(金) 22:14 ID:yXM

教室に入った途端に感じる、異様な気配。
いつもとは明らかに違う……、あたしに集まる、突き刺さるような冷たく、でも好奇心も混じった視線。
まるで……これから何かのショーが始まるような……。

瞬間、背中を走る悪寒。

息が止まりそうになるほどの 、威圧感。
この感じは記憶に新しい、まさか後ろにいるのは……!

恐ろしさで、振り返るのを躊躇
していると、容赦無しに襲ってくる衝撃。

その時に起きた風に乗って香ってきたのは、あの……うららのお気に入りのフレグランス。
薔薇の花の、うららにピッタリな上品で、とても心地良い香り……。

そんな、つかの間の幸せを振り払うように、床とあたしの距離はゼロになる。

胸が強く当たり、息が上手く出来ない。
それに加え、朝の擦り傷がズキズキと痛んだ。

「いった……!」
「ふふっ……」

そして背後から聞こえる、唇から漏れ出したような笑い声。

振り返ると見えるのは、複雑な表情をした、いつもの3人組……そして、麻衣……?

「何で……麻衣が……!?」

面白くてたまらない、という様子でクスクスと笑う麻衣の姿は、今までの暖かさや、明るさなど微塵も感じさせない。
全身が『黒』で満ちあふれている。

「何で……? そうだなあ……、何でだと思う?」

麻衣は、あたしをあざ笑うかのように答える。

ダメだ、頭が混乱する……。
麻衣、どうして……?

252:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/24(金) 22:15 ID:yXM

やっぱり改行可笑しいんで 修正して再投稿

253:乃愛:2013/05/24(金) 23:15 ID:RNw

幻なんかじゃないよーん♪
お土産(?)うーん、そうだなぁ(笑)
うららちゃんの狂気を差し上((ry

tk麻衣…ちゃん………

254:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/25(土) 07:46 ID:yXM

>>253
ひゃっほう 確かな物が此処にあr((ウザ
……返品おkですか?←

うふふふふ♪←

255:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/25(土) 16:08 ID:yXM

「どうして!? ねえ、麻衣はいつも優しかったじゃない!」

気が動転して、声が大きくなる。顔が熱くなっていくも分かった。

でも……。

「優しい? 演技に決まってるでしょ。勝手に勘違いしないで」

吐き捨てるようにそう言う麻衣は……誰か、別の……あたしの知らない人物に見えた。
麻衣の、大きなあの瞳は……まるで無機物でも見ているように冷たく、あたしをジッと見つめている。

「で……でも、友達って言ってくれたじゃない……! ねえ……ねえ!」
「触らないでっ!」

麻衣に触れようとしていた右手が叩かれる。
今まで聞いた事も無いような大きな声に、うらら達も肩を震わせた。

麻衣のその目は狂気に満ちあふれ、そして殺気立っている。

「朝日、アンタさ、ポーカーフェイス気取ってるつもりなんだろうけど……感情丸出しだよ?」

ニヤリ、人をバカにするような笑みを浮かべる彼女には、もう何を言ってもダメかもしれない……。

叩かれた手が痛む、でも……、胸はもっと痛い。
堪らず(タマラズ)にしゃがみ込む。
なのに、涙は出て来ないんだ。おかしいな、麻衣の事、凄く大切に思ってた筈なのに。

「ねえ……、私と瑞希の関係知りたい?」

突然聞こえる優しい声。
少し顔を上げると、鼻が触れそうなほど近い距離にあった、ニッコリ微笑む麻衣の顔。

「え……?」

256:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/25(土) 21:22 ID:yXM

明日の更新は無いだろうから上げ

257:のあ:2013/05/26(日) 14:11 ID:RNw

麻衣ちゃん……瑞希ちゃんとの関係……

258:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/26(日) 20:35 ID:yXM

>>257
名前変換面倒くさくなったかw

きっと分からないでしょうw

259:乃愛:2013/05/27(月) 07:58 ID:RNw

>>258
うん、まぁそんな感じかな?(笑)

260:アリス:2013/05/27(月) 09:23 ID:Sb.

こんにちわー
何これ…神小説…だと!?
と言う事でこれからもヨロです。

261:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/27(月) 17:59 ID:yXM

>>259
のあいで一発変換出来るんだから頑張れよww

>>260
はい 一応テーマは不幸の『神様』です(`・ω・´)←
おぉ! よろしくしてくださるのですか! ありがとうございます!

262:光希 ◆BAtA:2013/05/27(月) 19:11 ID:6RU

>>261
雑談ばかりじゃないか。こらこら←

のあいで変換したら
のI
になったw

263:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/27(月) 19:13 ID:yXM

>>262
さーせんっした〜((殴

とりあえず雑談やめw
今から書くけど 今日中に更新出来るかは不明←

264:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/31(金) 18:01 ID:yXM

お久しぶりです
言い忘れましたが 親の仕事の都合上平日(月曜日を除く)は家にいませんので そこんとこよろしくです

久々の更新頑張るぞ〜!!!

265:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/31(金) 21:19 ID:yXM

「……ねっ。私の顔、誰かに似てると思わない?」

麻衣はそう言いながら、制服の胸ポケットに手を突っ込んだ。
そして、再びその手が現れた時に持っていたのは、あの『写真』。

今度は、写真の全貌がはっきりと見える。
向日葵畑を背景に、ニコニコと微笑む、仲の良さそうな2人の少女。

そう、岡野瑞希と近藤麻衣。

いつも見ているあの、麻衣の笑顔。
見ている人も笑顔になってしまうような、明るく、優しい笑い方。

同じだ。
いつもと変わらない顔で微笑む麻衣の隣、瑞希さんも全く同じ笑顔。

「岡野麻衣。私の旧名よ。」
「岡野……!?」

266:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/31(金) 21:45 ID:yXM

ん? よく見たら「岡野麻衣。私の旧名よ」で。が付いちゃってる
後でまた書き直す(?)かな

267:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/31(金) 22:01 ID:yXM

「……ねっ。私の顔、誰かに似てると思わない?」

麻衣はそう言いながら、制服の胸ポケットに手を突っ込んだ。
そして、再びその手が現れた時に持っていたのは、あの『写真』。

今度は、写真の全貌がはっきりと見える。
向日葵畑を背景に、ニコニコと微笑む、仲の良さそうな2人の少女。

そう、岡野瑞希と近藤麻衣。

いつも見ているあの、麻衣の笑顔。
見ている人も笑顔になってしまうような、明るく、優しい笑い方。

同じだ。
いつもと変わらない顔で微笑む麻衣の隣、瑞希さんも全く同じ笑顔。

「岡野麻衣。私の旧名よ」
「岡野……!?」

岡野……? って、瑞希さんの岡野……?

訳分かんない、考えれば考えるほど分かんなくなる。
冷静に何て、なれやしない。

「どういう……事?」
「私達、双子なんだよね。ただし2卵生の」

一瞬、時が止まったような気がした。
双子……? 麻衣と瑞希さんが……?

頭が真っ白になる。
だってそんな素振り(ソブリ)全然見せなくて……!
でも、麻衣の表情は至って真面目だ。

無意識の内に、あたしはうららの方を、助けを求めるように見ていた。

心配そうにあたしを見るうららと目が合った。
……すぐに逸らされてしまったけど、あの様子じゃきっとあの子達は知っていたんだ。

分かりやすい子だからこそ、辛くなる。
あたしだけがこの事を知らない。

もう友達なんかじゃない、そんな事分かっているのに。
悔しい、寂しい、数々の感情が一気に溢れ出す。

268:乃愛:2013/05/31(金) 22:25 ID:RNw

>>261
のあいはノアイになりまーす(笑)
DSだから無理……

269:花梨-karin- ◆uPA.:2013/05/31(金) 23:23 ID:yXM

>>268
なるほどw

さて これからどうした事か……
まだまだ終わりには遠いw

270:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 10:53 ID:yXM

「……もう良いよ。全部教えてあげる」

何も答えず、床に膝をついているあたしに痺れを切らしたのか、
麻衣は溜め息を吐き、そう言った。

「私だよ、アンタをいじめるように仕組んだのも……全部私の仕業」
「え……!?」

思いがけないカミングアウトに、頭がついていかない。
間抜けな声が漏れ出す。

「な……んで……?」

言葉が上手く繋がらず、息が荒くなる。

何で? どうして? 何で何で何で……!?
それしか浮かばない。

だってあたしと麻衣が知り合ったのは、ついこの間の事で……!

「何で……? 当然よ、瑞希はコイツらのせいで不登校になったの。
 仕返ししないと気が済まない」

恨みの籠った(コモッタ)目で、視線をうらら達に向ける。
冷たい、氷よりも冷たい瞳だ。
あたしに向けられている訳でもないのに、鳥肌が立ち、動けない。

勿論うらら達も震えている。
昨日の『理緒』のように。

「そんなの……、あたしは関係無いじゃない!」
「確かに関係無いわ。でもね、朝日、あなたをいじめるっていうのが一番アイツら……
 特に鏡見うららを苦しめる事が出来るの」

ごめんね、と最後に1言ポツリと呟き、嬉しそうに笑いながら麻衣は言う。

あたしをいじめる事がうららを一番苦しめられる……?
どういう事? 分からない、分からないよ。

考える事が多過ぎて頭がパンクしそうだ。

271:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/01(土) 15:29 ID:ez-xMo

失礼します。
この度は「*葉っぱ図書館*」へのご訪問ありがとうございました。
ご要望通り、感想を書かせていただきます。((他の方への感想が長くなってしまったので要約します

題名からして難しそうな小説だと思いました。
「不幸な神様」なんて...私には書けません;;
実は、ちょくちょく読みに来てました。
花梨様の描写は分かりやすいので見習わせていただきます...!!
引き続き楽しみにしています。
頑張ってくださいね★

272:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 15:39 ID:yXM

>>271
仕事が早いw(勿論良い意味で)

ありがとうございます!
ただの思いつきで始めたものなのに 本当に嬉しくてもう何回も見直してますw
こんな小説を楽しみにしていただけるなんて恐縮です……!
頑張ります!

本当にありがとうございました

273:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/01(土) 15:42 ID:ez-dcU

*花梨sama..

いえいえ♪
仕事は早くこなしたほうが急がずに書けるので...
私こそ喜びのお言葉、ありがたいです...!!
良かったら私の小説にも来ていただけると嬉しいです^ ^*
それから...花梨とお呼びしてもいいでしょうか?

274:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 15:46 ID:yXM

>>273
見習わせていただきますw
はい! 気になっていたので この機会に読ませていただきます
勿論です 好きな呼び方してください〜

275:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/01(土) 15:50 ID:ez-lSg

*花梨..

では、花梨と呼ばせていただきますね!
ありがとうございます♪

276:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 16:31 ID:yXM

「瑞希はいつだって優しかった。
 アンタ達にいじめられてる時だって、『私がトロいから』って頬を掻くだけ。
 でも知ってる。影では辛くて、泣いてた事。私には見せないように……」

 眉をひそめ、そう言う麻衣の瞳には涙が浮かんでいる。
 この事から相当双子の姉妹、『岡野瑞希』の事を慕っていたのだろう。

 姉妹愛……ってヤツかな?
 
 ……愛……か。

「更に瑞希が不登校になったのが原因で、両親は離婚したわ。
 全部……全部アイツらのせい!」

 ついに麻衣から零れ落ちる涙。床に小さなシミが出来る。
 
 憎くて憎くてたまらないというような、麻衣の心の中が痛いほどによく分かる……そんな瞳。
 見ているのが苦しい、どこか……あたしと重なる部分があるから。

 何も言えない、何て言えば良いのかな。
 掛ける言葉が見つからないや。

「朝日……鏡見の一番大切な人って誰だと思う?」

277:光希 ◆BAtA:2013/06/01(土) 16:32 ID:6RU

>>268
私のパソコン、のあ で変換して人名地名押したら
「乃愛」って出たよw

>花梨

花梨samasamasamasamasamasamasamasamasamasamasamasamasama
上手い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




「様」が多過ぎてぐちゃぐちゃかもw

278:光希 ◆BAtA:2013/06/01(土) 16:34 ID:6RU

一分違い…居るかも!花梨!!←

え…
誰かなー?


教えてーw
ネタバレして良いからw

279:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 18:26 ID:yXM

>>277
ビクッ!!!

>>278
ごめん あれ書き込んですぐ習い事行ったw

ダメ〜!
それじゃ面白くないじゃない

280:乃愛:2013/06/01(土) 18:53 ID:RNw

>>277
私はDSiだから一発変換出来ないのー…

281:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 20:32 ID:yXM

はいはい 雑談ストップよ〜

282:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 22:15 ID:yXM

 うららの……一番大切な人?

 涙を拭いながら、いきなりそんな問いを投げかけてくる麻衣の表情は、
 もうすっかり変わっていた。

 何て言うか……楽しそう。
 目が輝いている。

「うららの……?」
「そう、自分自身より……何よりも彼女が大切に思っているもの」

 悪戯(イタズラ)っぽく微笑む麻衣は、チラチラとどこかを確認しているようだ。
 視線の先を追ってみると、そこにいたのは『うらら』。
 酷く怯えた表情で、全身が震えている。

「分からないの? そっかぁー……」

 麻衣は焦らすように微笑む。
 ニヤリでもニコリでもない、そう……『ニタリ』、そんな言葉がピッタリな風に。
 不気味、昨日までの麻衣からは、とても想像できない。

「や……やめ……」

 震えるうららの声が聞こえてくる、とても焦っているようだ。
 こんなに動揺するうららは珍しい。
 そこまでうららが大切に思う人とは、どんな人物なの?

 こんな状況なのにどうかと思うが、あたしの中の好奇心が膨れ上がって行く。
 
 それと同時に……胸が締め付けられるような感覚も。
 何で……? だって……あたしはもうとっくに……!

「鏡見はね……」
「やめて……! やめて!」







「鏡見の一番大切な人は、間宮朝日、アンタよ」

 大きく目を見開き、口をぱくつかせるうらら。
 悪意に満ちた瞳で笑っている麻衣。

 
 そんな全ての人物の動きが止まったように感じた。

283:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/01(土) 22:32 ID:yXM

1日3回更新なんてよくやったぞ 私……!←

284:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/02(日) 12:04 ID:yXM

上げ

285:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/02(日) 13:58 ID:yXM

可笑しいな 昨日までさくさく進んだのに詰まった……だと?

286:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/02(日) 13:59 ID:ez-LVE

やっぱり花梨はお上手...(´艸`*)

287:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/02(日) 14:05 ID:yXM

>>286
ありがとうw
でも鈴音ちゃんの方が絶対お上手だよ
もっといっぱい書いて練習……だね

288:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/02(日) 14:12 ID:ez-R4A

いやいや∞...
葉っぱ歴は薄いからね...
まだまだ...
あ、鈴でいーよ♪

289:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/02(日) 14:28 ID:yXM

>>288
私もまだ半年ちょっとだよw
りょーかい!

290:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/02(日) 19:43 ID:yXM

とりあえず宿題もやらなきゃという事もあって 今日の更新は無理そうです
それに少し詰まっているので また展開を確認して明日の更新を目指します

291:莉羽 ◆EppM:2013/06/02(日) 22:05 ID:oNo



おおお……!

スゴい展開だぞ、こりゃあ!(笑)


まさか、真犯人が麻衣だったとは…(´Д`;;)

292:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/03(月) 19:11 ID:yXM

>>291
莉羽だ〜!

それより私は二人が双子だった事にビックリです←

293:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/03(月) 20:43 ID:yXM

「あた……し?」

 声が震え、上手く喋れない。足、腕も小刻みに震え出す。
 
 まさか……ありえない。
 うららは、あたしの事なんてきっと……。

 麻衣は何も言わず、満足げな表情であたしを見つめている。

「そんな……嘘だ、そんなの嘘だ……!
 麻衣が黒幕だったなんていうのも、瑞希さんと麻衣が双子なんていうのも
 全部全部……あたしは信じない……!」

 訳分かんない、自分でも何を言ってるのかが。
 口では否定してても……心の奥では気付いてる。
 『全部本当』だって。

「さぁね。アンタが信じなくても私は構わないわ。 
 でも、現実逃避するのは感心しないよ」

 冷たい……でも少し笑いを含んだ、麻衣のあの魅力的な声。
 
 毎日毎日楽しみだった、麻衣に話しかけてもらう事が。
 なのに今は……。

 そんな中、教室を黙って出て行った1人の影。
 それを、心配そうに見る2人。

「あら、怒らせちゃったみたい?」
 
 麻衣も肩をすくめ、困ったような仕草をした後、教室を出て行く。

 ふらふらとした、危ない足取りで出て行った彼女はそう、うらら。

 うらら……あたしの『元親友』。
 もう友達でも何でもない、あんな子大嫌い。
 
 そう思ってる、思ってるのに……。
 なのにどうして、あたしは……うららに向かって走っているの……?

「待って……っ!」

 あの巻き髪、髪色。
 飽きるほど見ているうららの後ろ姿。

 強引に腕を掴み、止まらせる。
 細く、柔らかい……心無しか、少し痩せたように感じた。

「……何?」

 怒りを含み、震えている。
 泣いてる……?

「あれ……どういう事?」

「……知られたくなかった、朝日にだけは」

 怒っている、でも……凄く悲しそうな声だった。
 そんなうららの様子に怯み(ヒルミ)、彼女の腕を掴む力が緩む。
 すると、うららはあたしの手を払い、再び歩き出した。

 どんどん遠くなって行くうららの影。
 だけど、確かに見えたんだ。
 
 うららが……あの、人前で泣いたりしない彼女が、涙を拭っているのを。

294:-miku- ◆0w8k:2013/06/05(水) 18:20 ID:Z8.

花梨上手い!
何でこんなに上手いの!?
しかも、面白いというw
花梨天才!!


あと、おひさッス!

295:-miku- ◆0w8k:2013/06/05(水) 18:24 ID:Z8.

言い忘れ元如月です

296:乃愛:2013/06/06(木) 19:25 ID:T4A

相変わらずうまいねー。
関心、感心。←よく分からんから両方(笑)
感心、感心でいいのか……。

297:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/08(土) 13:46 ID:yXM

>>294
きさらん……だと……!?
久しぶりーっ!

え 上手くないけど?((キョトン←
上手くなりたいですw

>>296
相変わらず下手だよ〜
一応頑張って小説について勉強はしてるんだけどね〜……
小説とかいっぱい読んで

とりあえずこれからも頑張ります!
久しぶりのPCだから張り切っちゃうね

298:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/08(土) 17:28 ID:yXM

「……あら、相当怒らせちゃったみたいね」

 突如、背後から聞こえる声。
 教室を飛び出してから今まで、ずっと誰もいないと思ってたのに……。
 それにこの子は、あたしより先に教室を出ていた筈。

「いつから見ていたの、麻衣」

 1歩後退り、警戒して尋ねる。
 麻衣は、ふふふっ、と愉快そうに顔を綻(ホコロ)ばせた。

「ずっと、朝日が教室を飛び出してから……、ううん、朝日が学校に来た時から見ていたかな」

 何でもないような顔で、とんでもない事を言う麻衣。
 
 ずっと見られていた……? 麻衣に……!?
 体に悪寒が走る。
 全然存在を認識していなかったから余計に……。

「でも、朝日だってあたしの個人情報を探ろうとしたんだから、
 これでお相子で良いんじゃない?
 私なんてちょっと、朝日の行動を監視していただけなんだから」

 随分と上から……そして悪びれる様子も無く発したそんな言葉は、
 今までの麻衣の姿とは違った。

 友達になれて嬉しいって……朝日は朝日だって言ってくれた、あの麻衣とは違う。
 
 胸が締め付けられるように苦しい。
 皆……皆変わっていく、うららも麻衣も……。


 

299:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/08(土) 17:33 ID:yXM

もうすぐ300じゃないか

300:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/08(土) 17:36 ID:yXM

300ありがとうございます!
ほんの少し前に200を迎えたばかりだったのに 
まさかの約1ヶ月半でもう300……

いやぁ〜 これ書き始めて半年以上とはw
でもまあ まだ終わりそうにはないので これからもよろしくお願い致します

301:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/08(土) 20:07 ID:yXM

もう1回くらい今日は更新出来るかな

とりあえず上げ

302:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 09:03 ID:yXM

間違えて書きかけの文章消してしまったorz

303:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 16:45 ID:3Jw

 ……此処はどこだろう、とても暖かく、ふわふわと柔らかい……。
 何故だろう、視界がぼやける。
 さっきまであたしは何をしていたんだっけ……。

「あら、目が覚めた?」
 
 シャッ、と音を出しながら、一気に開くカーテン。
 その向こうには、心配そうな表情をした女性が立っていた。

「先生……。あたしは……」
「廊下に倒れていたのを近藤さんが教えてくれたのよ。
 体調はどう?」

 周りを見渡すと、消毒薬などの入った棚がある。
 どうやら此処は保健室のようだ。
 そして、今目の前に立っている、恐らく美人の部類に入るであろう女性は、ウチの学校の養護教諭だ。

「少し頭が……痛いです」

 ズキンズキンと脈打つように痛む頭。
 それに加え、吐き気もする。
 とても良い体調とは言えない。

「そうね、もう少し休んだ方が良いわ」
 
 先生もそれを理解しているらしく、大きく頷き、再びカーテンを閉じた。

 それより……さっき先生は何と言った?
 『近藤さんが』教えてくれた? あたしが倒れていた事を?
 
 近藤という苗字はこの学校に1人しかいない、間違いない……麻衣だ。
 ……とりあえずは、放置しないでいてくれた事に感謝……かな。

 それで……あたしはどうして倒れたんだ?
 あぁ、そうだ。
 麻衣の今までとの変化に、頭が着いて行かなくなってしまったんだ。

 えーっと……、確か、麻衣と瑞希さんが双子で……うららの一番大切な人があたしで……?
 もう、訳分かんない。
 とっくにあたしの頭の考える事の許容量は超えている。

 こういう時は紙にまとめると良いんだけど……。

 ふと、近くにあったテーブルを見ると、タイミング良くメモ帳とペンのセットが。
 

304:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/09(日) 16:46 ID:ez-dcU

*花梨..

300☆レスおめでと―っ♪

305:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 16:48 ID:3Jw

>>304
ありがとーっ!

きっと400まで行くことでしょうw

306:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/09(日) 16:51 ID:ez-GI2

*花梨..

いえいえ〜♪
おぉっ!!
それは楽しみだッ★

307:乃愛:2013/06/09(日) 16:52 ID:iuM

300レスおめでとー!!
これからもずっと応援しとうでな♪

308:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 17:02 ID:3Jw

>>396
いや もしかしたら500行くかも……w
とりあえずまだまだ先は長いw
良かったらこれからもよろしくお願いします

>>307
ありがとー!
うわぁぁああ! ありがとう! 
こんな駄作でもよろしくです

309:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/09(日) 17:03 ID:ez-Y/A

どこで終わろうがどこまで続こうが、私は花梨のことずーっと応援してるよ☆

310:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 17:05 ID:3Jw

>>309
その言葉が嬉しい……w
私もコメは付けてないけどちゃんと見てるからね
いや 私なんかが見ていいのかどうか……

梅ちゃんのもそうだよ〜

とりあえず 続き……続きどうしようかな
良い表現が思い浮かばないんだよなぁ〜
それを考えるのも楽しいんだけどw

311:-miku-:2013/06/09(日) 17:43 ID:Z8.

よっ!花梨!

312:乃愛:2013/06/09(日) 19:02 ID:rwY

500どころか1000まで行っちゃえぃ!
小説板でなかなか1000行くの見かけないし…がんばれ!!
目指せ1000!

313:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/09(日) 19:42 ID:3Jw

>>312
いや……あの……えww

とりあえずこの話終わりっ!
雑談になっちゃうw

314:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/10(月) 16:35 ID:3Jw

上げ〜

部活無し帰りだからいつもよりちょっと頑張ってみる……

315:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/10(月) 19:33 ID:3Jw

やべえ また詰まったw

316:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/12(水) 22:44 ID:3Jw

上げ〜

317:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/12(水) 23:14 ID:ez-hK2

マジですかっっ
どーぞ見てくだされ!!

318:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/13(木) 21:15 ID:3Jw

あの……もう1回だけ上げさせてください……

319:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/15(土) 20:09 ID:3Po

「先生、此処にあるメモ帳とペン使っていいですか?」

 カーテンを少しめくり、机でパソコンを開いている先生に訊いてみる。
 すると、先生……小宮先生はすぐに頭を上げて、不思議そうに、且つ(カツ)心配そうに答えてくれた。

「ええ……、いいけど、少し寝ていた方が良いよ?」
「ほんの少しだけなんで……」

 『ほんの少し』この言葉が効いたのか、先生は渋々首を縦に振る。

 ベッドの上にどっしりと座り、ペンを持った。
 まず……麻衣は瑞希さんの双子の姉妹だってこと。
 
 それから、うららが一番……自分自身より大切に思っている人物は……『あたし』。

 一文字一文字書き進めて行くと共に、頭が痛んでくる。
 じわじわと、あたしを支配するように……。

「……あたしをいじめるように仕掛けたのって、麻衣だったんだよね」

 何気なくそんな言葉を小さく……本当に小さく呟いた途端に襲う、激しい頭痛。
 
「……はぁ……っ……!」

 息が苦しい、とても座っていられなくなり、布団に潜り込む。


 少しだけ軽くなる痛み。
 そして感じる布団の暖かさに、睡魔という名の悪魔が現れる。

 
 そのままあたしは、堪えきれずに意識を手放した________
 
 
 

320:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/16(日) 10:05 ID:3Po

上げ〜゜.+.(♥´ω`♥)゜+.゜

321:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/17(月) 18:16 ID:3Po

何故こんなに下がった……

一先ず上げ

322:莉羽 ◆EppM:2013/06/18(火) 22:03 ID:oNo



麻衣が麻衣が麻衣がぁ……。

優しいのか酷いのか、もう分からん!w

麻衣ちゃん、戻ってほしい…←


お久しぶりな、莉羽でしたァw

323:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/19(水) 18:58 ID:3Po

>>322
元々こうなるキャラクターだったからねw
戻ってくる……のかしら?((

とりあえず更新頑張るるるる

324:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/20(木) 20:58 ID:3Po

申し訳ございません
テスト前で色々バタバタなので 更新は少し先になりそうです

325:乃愛:2013/06/20(木) 22:10 ID:HO2

>>324
テストがんばって!
私もテスト週間なうだょ(笑)

326:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/24(月) 20:31 ID:3Po

>>325
あざーっす

やる事多くて大変……
提出物も終わってない……
ヤバい

327:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/25(火) 20:13 ID:3Po

「……ねえ、朝日ちゃん好き?」
「……嫌い……」

 壁の向こうから聞こえてくる、幼い少女達の声。
 
 周りを見渡すと、小学校の頃の友達の名前の書かれた、書写作品が掲示されていた。
 5-2と書かれた札、壁の落書き。
 懐かしい風景、どうやら此処はあたしの出身小学校の中らしい。

 そうか、夢を見ているんだ。

 自分でも驚くほどすんなりと理解出来る。

 そしてさっきの会話。
 どうやらあたしの事を話しているらしい。

 好奇心から、耳を壁に付けてみる。

「だよね
! 何ていうか……気に入られようと必死?」
「そうそう、先生に媚売っちゃってさ
 何であんなヤツが生きてるの、死ねばいいのに」
 
 酷い言葉を発する少女。
 血の流れが速くなり、額に汗が浮かんでくる。
 これは夢、これは夢、これは夢…………!




『……ホントウニユメ?』


 突如背後に響く、妙に機械的な声。
 振り返ってみると、

「ひっ……!」


 そこにいたのは、あたしと全く同じ容姿の少女。
 ぴったりと貼り付いた笑顔が何とも不気味で、思わず声が出る。

「ねえ、本当にこれはユメ?
 ねえねえねえねえねえ……!」

 するするする……と、音もたてずに、一瞬で吐息を感じられるほど近くに来た『あたし』。

 望んでも居ないのに言葉が口から溢れ出す。

「やめて……やめて、思い出させないでよ。
 嫌だ嫌だ嫌……!!!」



 視界が滲み、景色が揺らぐ。

 その瞬間__________



 全ての音と物が動きを止めた。
 

328:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/25(火) 20:45 ID:3Po

改行ミス発見
修正する時に間違えて改行しちゃったかな

もっとしっかり見直しするようにします
修正して再投稿

329:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/25(火) 20:53 ID:3Po

「……ねえ、朝日ちゃん好き?」
「……嫌い」

 壁の向こうから聞こえてくる、幼い少女達の声。
 
 周りを見渡すと、小学校の頃の友達の名前の書かれた、書写作品が掲示されていた。
 5-2と書かれた札、壁の落書き。
 懐かしい風景、どうやら此処はあたしの出身小学校の中らしい。

 そうか、夢を見ているんだ。

 自分でも驚くほどにすんなりと理解出来る。

 そしてさっきの会話。
 どうやらあたしの事を話しているらしい。

 好奇心から、耳を壁に付けてみた。

「だよね! 何ていうか……気に入られようと必死?」
「そうそう、先生に媚売っちゃってさ
 何であんなヤツが生きてるの、死ねばいいのに」
 
 酷い言葉を発する少女達。
 血の流れが速くなり、額に汗が浮かんでくる。
 これは夢、これは夢、これは夢…………!




『……ホントウニユメ?』


 突如背後に響く、妙に機械的な声。
 振り返ってみると、

「ひっ……!」


 そこにいたのは、あたしと全く同じ容姿の少女。
 ぴったりと貼り付いた笑顔が何とも不気味で、思わず声が出る。

「ねえ、本当にこれはユメ?
 ねえねえねえねえねえ……!」

 そう言いながら、するするする……と、音もたてずに、
 一瞬で吐息を感じられるほど近くに来た、もう1人の『あたし』。

 全く変わらない表情、姿こそはあたしと全く同じだが、
 人間離れした……まるでロボットのような動きと雰囲気。

「やめて……やめて、思い出させないでよ。
 嫌だ嫌だ嫌……!!!」

 望んでもいないのに、そんな言葉が口から溢れ出して止まらない。


 視界が滲み、景色が揺らぐ。

 その瞬間__________



 ニヤリと微笑むもう1人のあたし、教室内から漏れる、ボソボソとした言葉。

 そんな全てが動きを止めた。

330:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/30(日) 16:21 ID:VrQ

上げげ

331:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/30(日) 17:36 ID:VrQ

 何故だろう、額が冷たく、心地良い。

 重い瞼をゆっくりと持ち上げてみる。

「間宮さん……ごめんなさい、起こしちゃったかしら?」

 長い睫毛(マツゲ)に大きな瞳。
 そして、人形のように白く、透き通った肌。
 美女という言葉は似合わない、しかし整った顔立ち。
 
 最初に視界に入ってきたのは、意識を落とす前、最後に見たあの人物。

「先生……」

 その言葉に応えるように、ニコリと優しく微笑む小宮先生。

 さっきは『恐らく』美人という部類に入る……と称したが、
 近くで見れば見るほど美しい。

「いえ……大丈夫です」
「そう……。
 随分とうなされていたようだから様子を見に来たけれど、
 あなたかなりの熱よ?」

 指摘されて気付く、体が熱い。
 頭痛も収まらず、相変わらずズキズキと脈打っている。

「とにかく、熱測ってみようか」

 先生は、そう言いながら伸ばしていた腕を引っ込める。
 
 此処で初めて、さっきまで額に乗っていた、
 冷たいものが小宮先生の手だった事に気付いた。


 

332:花梨-karin- ◆uPA.:2013/06/30(日) 19:16 ID:VrQ

 棚に並べられた数々の品の中から、迷わずに1つの物に手を伸ばす先生。

 つくづくカッコイイと思う。
 優しく、小さな事にも気がつく。
 ……こんなあたしが憧れる、唯一の人。

「はい、脇にしっかり挟んでね」

 差し出された体温計を受け取り、電源を入れる。
 脇に挟み、暫く待つと鳴り出すピピピピッ……という音。

「三十……八度」

 画面に記される数字。
 先生に指摘されるまで、気付かなかった事に自分で驚く。

「やっぱり帰った方が良いね。
 今お家に連絡してくるわ」

 カタリ、静かに立ち上がり保健室を出て行く。

 帰った方が良い……か。

 あの、あたしの味方なんていない家に帰れと。

 ……まあ、学校にもあたしの味方なんて居やしないけど。

 どうしようもなく切ない気持ちになり、布団に潜り込む。




 結局、あたしの居場所なんて何処にも無いんだなあ…………。

333:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/03(水) 22:54 ID:VrQ

上げてみる

時間が欲しい←

334:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/07(日) 18:34 ID:VrQ

『死ねば良いのに』『消えろ』『アンタなんて居なくてもいい』

 突如頭の中に響く暴言。
 
 耳を押さえても、止まらない。
 むしろ大きくなっていく。

 そして、脳裏に浮かんでは消える、あたしを見て蔑み笑う子供達。

 布団の中の闇が苦しい。

 手を伸ばしても、どれだけ走っても、決して何かを掴む事も、何処かに辿り着く事もない。

 そんな、あたしの心の闇を映し出しているようで。

 
『朝日ちゃん……』『嫌い……』
『気に入られようと必死……』『何で生きてるの……』『死ねば良いのに……』

 追い打ちをかけるように、さっきの少女達の会話が頭を流れる。

 何度も何度も何度も何度も…………!

 

335:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/12(金) 18:38 ID:wYc

とりあえず上げときます
そろそろ更新します(´д`ι)

336:ひなの@ ◆NLsI:2013/07/12(金) 22:03 ID:bdU



ごめんね、こっちで評価させていただきます…。

結論。
100点満点中95点。
理由は下記。


あのね、花梨ちゃん?
私に何をしろっていうのかな?←
君の実力は文句なしに私の倍以上だろう?

ただマイナスしている点の解説もしますと
改行のし過ぎや
説明の不足がたまに見受けられること……ですかね。

基本も忠実に守ってますし、
読みにくい印象も受けなかったんで
私に出来ることがないのですよ。


>>334を私なりに書き直すと



『死ねばいいのに』

突然の頭痛。
頭痛が襲った瞬間に、頭の中に響く暴言。

『消えろ』
『アンタなんていなくていい』

耳を抑えようが、頭をふろうが、涙をこらえようが止まらない。
むしろ大きく、増幅していく。

そして脳裏に浮かび、消え、また浮かびを繰り返す、
あたしを見ながら蔑んだ笑いを浮かべる子供達。

布団の中にこもって自ら作り出した闇が苦しい。
手を伸ばしても、どれだけ走っても、決して何かをつかむことも、何処かにたどり着くこともない。
そんな、あたしの心の闇を映し出しているようで。

『朝日ちゃんって……』
『嫌い……』
『気に入られようと必死』
『なんで生きてるの』
『アンタなんていなくていいんだよ』

追い討ちをかけるように、さっきの少女たちの会話が脳裏を横切る。

何度も、何度も何度も。
何度も何度も何度も……!!



かぎかっこは改行したほうが見やすいかな。

ではこの辺で失礼させていただきます。
すごく面白かったよ。
これからも頑張ってね〜(*´ω`*)

337:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/13(土) 09:58 ID:wYc

>>336
折角上げたのに何故Σ(゚Д゚)

Σえ 
余裕でひなちゃんの方が実力あるだろ……!
うん 間違いなく

まあ とりあえずこの話は置いといて\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/オイトイテ

確かに最近改行多かったね
あと説明不足……気を付けます

ひなちゃんに書き直してもらえるなんて感動…………!

ありがとう 凄く参考になりました
>>336を保存して 意識するようにするね

よし 頑張るぞ!

338:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/14(日) 21:48 ID:wYc

 ……果たしてどのくらいの時間が経ったのだろう。
 十分……いや、もしかしたらまだ五分ほどしか、経っていないのかもしれない。

 一向に先生が帰ってくる気配はない。
 ……まあ、どのくらいの時間が経過したのかすら分からないのだけれど。

 そうなると、そろそろ布団の中も息苦しくなってくる。
 そして、暑い。
 じわりと汗が浮かんできた。

 快適な存在では無くなった布団の中にもう用は無い。
 もぞもぞと頭を外へ出す。

 短くはない時間、布団に潜っていた為、
 室内に差し込む太陽の光が、酷く眩しく感じた。


 ところでさっきの会話……覚えがある。
 あの声は確か、小五の頃同じクラスだった杏里(アンリ)と真知(マチ)。

 そうだな……一応仲の良い方に入る子達だったと思う。
 
 ……ただし、『表面上』は。
 

339:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/18(木) 18:28 ID:kAE

上げ
今日更新出来ると思うので頑張ります

340:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/18(木) 21:04 ID:kAE

……と思っていたのですが 明日午前帰りなので 明日に回そうと思います
申し訳ないです

341:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/19(金) 14:24 ID:kAE

「朝日ちゃん、日曜日皆で出掛けようって話してたんだけど、一緒に行かない?」

 うららを中心に、輪を作る女子達。
 そして杏里があたしの姿を見つけ、優しく微笑みながら声をかけた。

「行けるのはうららと私、あと杏里と璃子だって」

 間をあけずに真知が補足する。

 至って普通な、仲の良い子達。
 このやり取りだけではそう思うのが普通だろう。
 あたしだって、ずっとそうだって思ってた。

「え、そうなの? 行きたい!」

 何も知らない幸せなあたしは答える。
 裏では何を言われているかも知らないで。

 
 

342:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/24(水) 14:45 ID:tXY

 その言葉を聞くと、杏里と真知は顔を見合わせた。
 少し困惑したような表情を浮かべていたのは、今でも何となく覚えていた。

「そっか! 朝日も行くんだ……!
 あたし、すっごく楽しみ!」

 そんな二人とは対照的に、ニコリと嬉しそうに微笑むうらら。
 その隣では、璃子(リコ)が人形のような整った顔を緩めている。

「ん、分かった!
 じゃあ12時半に駅前集合で良いかな?」

 高い位置で束ねた髪を揺らしながら、全体をまとめるように言葉を発する杏里。
 杏里は人の前に出たり、皆を引っ張ったりする事が好きな子だった。
 まあ目立ちたがりと取れない事も無いけど……。

 そんな事から、常に女子のグループの中心に居たな。
 人気的にはうららの方が勝っていたけれども。
 でもやっぱり、しっかりしていて頼りになり、そして信頼されていた。
 ……今となっては悔しいけど、認めざるを得ないほどに。

「了解!」
 
 四人が同時にそう応える。
 あまりにも息が揃っていた為、お互いが自然に顔を見合わせる。
 すると次第に何故か可笑しくて堪らなく
なり、全員の顔が一斉に笑顔に変わった。

「ハモったぁー!」

 あはははははっ、笑い声が重なりあたし達の教室、五年二組に木霊(コダマ)した。

 あたしの幸せだった頃の平凡な記憶。

 そう、あたしは確かにあの時幸せだった。


 ただ一人、杏里に狂気の瞳で見つめられている事も知らないで。

343:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/27(土) 17:58 ID:tXY

上げてみる(・∀・)

344:杏奈 ◆Tr5.:2013/07/30(火) 09:40 ID:dcc



更新待ってまし(ω`ゞ)

345:花梨-karin- ◆uPA.:2013/07/31(水) 08:45 ID:A1Y

>>杏奈
プレッシャーをかけるなぁぁあああ!((クワッ←
ご期待に応えられるように頑張ります(・ω・)

346:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/05(月) 13:41 ID:2FE

ごめんなさい ちょっと詰まってるんで更新遅れるかもです;

347:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/07(水) 18:44 ID:2FE

「じゃあ、あたしピアノがあるから帰るね」
 
 保育園の頃から、両親が亡くなるまでの約5年間続けていたピアノ。
 練習しているうちに、どんどん上達していくのが楽しくて大好きだった。
 ……小五になって、おばさんに引き取られると半ば強制的に辞めさせられてしまったのだけれども。

「じゃあねー」
「バイバイ」

 当然のように返って来る言葉。
 その優しい声に此処を去りたくなくなる。

「うん……じゃあね!」

 しかし、そんな気持ちを押し殺して明るく返事する。
 その時のあたしはもう小五……更に他より少しばかり大人びた性格だった為、
 判断能力だってある程度は身に付いていた。
 それに、お母さん達を困らせてまで、此処に残る勇気は無い。

 そしてあたしは名残惜しくも、
 まだ進級したばかりで開き慣れない教室のドアに手をかけたんだ。

348:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/08(木) 18:24 ID:2FE

「あ……」

 頬に当たる冷たい、小さな粒。
 それが落ちて来る頻度は、ポツリ……ポツリ…とだんだん高くなってくる。

「雨……? 最悪……」

 誰に言う訳でもなく呟いた言葉は、雨に吸い込まれ、静かに消えていく。
 
 結構な大降り、そのうえ暫く止みそうにない雨。
 みるみるうちにあたしの進路を塞ぐかのように、校庭は大きな水たまりと化した。

『確か折り畳み傘があったはず』。
 ほのかな記憶を頼りに、ランドセルの中を漁ってみる。
 しかし、入っているのは教科書やノートなどの勉強用具のみ。
 
「そういえば机の上に置きっぱなしだった……」

 そしてかすかな希望までもが、雨に溶け込み、消えてしまった。
 
 ああ、折角此処まで来たのに、またニ階の教室に戻らなくてはならないのか。
 絶望にも似た気持ちがあたしの心を支配する。
 
 ……だが、この雨の中、傘無しで帰るのは流石にキツい。
 きっと明日は高熱で学校を欠席、日曜も行けなくなるだろう。
 それは絶対に嫌だ。
 仕方なくあたしは、大きな溜め息を連れ、今通ったばかりの道を引き返すことにした。

349:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/08(木) 18:25 ID:2FE

……よく見たら二階の二がカタカナになってる……!

350:あゆみ ◆I1o.:2013/08/19(月) 16:04 ID:smw

「小説評価します」来てくださって有難うございます
そして、評価遅れてすいません

途中から、と申していたのですが、あまりに面白くて最初っから最後まで、
果てにはキャラデザまで見ました(笑)



____さてさて、本題に

キャラについて
まず、主人公の間宮朝日ちゃん
こういう“冷血”のレッテルを貼られているけど、実は心根が優しい子、大好きです。はい。←
主人については文句ナシです。
読み返して分かると思いますが、本作は1人も男性キャラが居ませんね
話の都合上仕方ないと思いますが、次回作では気をつけましょう

次は、心情表現について
細かく描かれていて良いのですが(特に朝日ちゃんや麻衣ちゃん)
いじめてる側のうららちゃんの気持ちの描写も入れたらいいかなと思います
どうして小学校から中学校、そして高校でこんなに豹変してしまったのか、
それを匂わすぐらいの描写も少し入れてみてはどうでしょう


_____全然辛口じゃないですね(笑)
欠点を見つけるのが困難だったもので。
小6の私が、中学生の花梨さんに、何言ってんだよ!って突っ込んじゃっていいですよ。

何より、約9ヶ月も同じ小説を書き続けるのなんて、あなたはすごいです。
(スーパーリスペクトです←)

もう何もかもが素晴らしいように見えるので、逆に私の小説を見てもらいたいぐらいです

長文申し訳ございませんでした

*あゆみ*



追伸:名前の入れ忘れ注意です(笑)

351:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/19(月) 16:48 ID:WBQ

>>350
小説評価ありがとうございます

最初から最後まで読んで下さったのですか!
しかもキャラデザまでw
どうもありがとうございますw

確かに男性キャラ出てませんね;
今後気を付けます

なるほど 暇を見てうららのことも書いてみることにしますね

うわあああ どうもありがとうございます……!
的確な評価・アドバイス助かりました
改めてお礼申し上げます

追伸について
最後にしっかり確認する癖つけますw

352:りな ◆IoXo:2013/08/20(火) 00:42 ID:9Ag

久しぶりに来てみました〜(><)
どれだけ進んだのかな?と思ったらめっちゃ進んでんじゃん……的な感覚に襲われたりたり……

次の更新も待ってるよ!

353:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/20(火) 08:17 ID:WBQ

>>352
わあ 久しぶり〜
いやいや 相変わらずの亀更新です;

ありがと〜! 頑張るるる

354:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/24(土) 01:32 ID:WBQ

 上履きも履かずに、階段を二段飛ばしで駆け上がる。
 土と草の匂いの混じった雨の香のする廊下を、息を切らせて疾走するあたし。
 ……我ながら何をしているんだか。

「はぁ……っ」

 徐々に速度を落とし、辿り着いたあたし達の教室。
 中からは、女子の談笑する声が聞こえてくる。
 楽しそうな笑い声、嬉しそうにはしゃぐ教室の中の空気感。

 ……何を話しているのだろう。
 
 別のクラスの生徒の噂? はたまた教師内での恋愛事情だろうか。
 小五らしからぬ仮定をたて、そっと一歩前へ進む。
 引き戸に耳を当てると聞こえてきたのは、

「ねえ、知ってる?
 一組の小田って、将也のことが好きらしいよ!」
「そうなの!?
 凄い、お似合いじゃん!」

 主に杏里と真知のものと思われる話し声。
 他愛のない、ノーマルな恋愛話だった。
 確かに、この年齢の子供が話す話題としては正しいのかもしれない。
 しかしまあ、好きな人どころか、初恋さえまだなあたしとしては、少し拍子抜けする内容だ。
 
 とりあえず、このまま聞いていると中に入りづらくなるだろう。
 会話を邪魔するのは気が引けるが、仕方が無い。
 一つ息を吸い、教室の引き戸に手を伸ばした。


「ていうかさ、皆朝日ちゃんって好き?」

355:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/27(火) 12:06 ID:WBQ

 ピタリ、無意識のうちにあたしの動きが停止する。
 心臓がバクバクと、大きく波打ち始めた。
 あたしの……話?

 いつもより低い声で杏里が口に出した“朝日ちゃん”という言葉。
 その単語一つで、教室内が緊迫した空気に包まれたことが扉越しにも伝わってくる。

 あの杏里の声の低さ、話題の出し方。
 これまでにもう何度か聞いた事がある。
 そして、その後決まって杏里は、対象の者の悪口を言い始めるのだ。
 今回でいうと、その『対象の者』とはあたしのこと。

 このままの流れで行くとあたしが……!

 居ても立っても居られなくなり、教室の引き戸についた小窓から中を覗く。
 何もしないでただ息を潜めていると、あたし自身が恐怖に飲み込まれてしまうような気がしたから。
 
 幸いな事に、皆はこちらに背を向け半円を描く形で座っている為、こっちには気付いていない。
 周りに聞こえてしまいそうなほど煩い心臓。
 
 絶対に気付かれてはいけない。

 直感があたしにそう告げる。
 呼吸さえも止めていたいくらいだが、気持ちとは裏腹にどんどん息は荒くなっていく。
 お願い、静かにして……!

「私は……」
 
 ようやく沈黙を破り、口を開いたのは真知だった。
 俯き、髪で顔を隠すようにして呟いた真知。
 
 冷静さを失ったあたしは、次の言葉を待つ事しか出来なかった。
 傷付きたくないならその場を立ち去れ。
 分かっていても、足が動いてくれない。
 
 そして真知は、杏里に睨みを利かされ再び口を開く。
 あたしにとって、最悪な、望んでいない答えを出して。

「……嫌い」
 
 一気に全身から汗が噴き出す。
 友達だと思っていた子からの、酷く残酷な言葉。
 果たして、この状況に陥ったとしたら、あなたはすぐにこの現実を受け入れられるだろうか。
 きっと大半の人は無理だろう。
 勿論、あたしも。

 しかし、対照的に杏里は歓喜の表情を浮かべるのだ。
 
「だよね!
 気に入られようと必死過ぎて笑えるんだけど」
 
 杏里はフフフッ、と実に愉快そうに笑い、全員の顔を見渡す。
 自分に賛同しないヤツには、容赦しない、そんな意思を瞳に宿して。

356:真琴:2013/08/27(火) 18:25 ID:gXU

とっても、素敵なお話ですね!
私も小説を書いているんですがうまくかけません・゜・(ノД`)・゜・
できれば、アドバイスください(`・ω・´)b

357:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/27(火) 20:08 ID:WBQ

>>356
うああああ ありがとうございます!

そうですねえ……やっぱり小説を書き続けてると自然に上達します
私も最初の方基本が全然守れてませんでしたが だんだん直りましたので
あと本を沢山読むのも良いですよ〜 
誰だって初めは皆初心者ですから 慌てないでくださいね*´`

私ごときが申し訳ありませんでした;

358:真琴:2013/08/27(火) 20:39 ID:gXU

ありがとうございます(*´ω`*)
よければ、私の小説も呼んでいただけないでしょうか?
・・ってうわわわ!なんかすみません!

読んでなんて図々しいですね!:(;゙゚'ω゚'):
い、一応、題名だけ書いておきます「初恋〜初めて知った気持〜」
です!

なんか、本当にすみませんでしたぁ!

359:花梨-karin- ◆uPA.:2013/08/27(火) 20:56 ID:WBQ

>>358
読ませていただきました〜
これからの真琴さんの可能性に期待して 敢えて細かくは言いませんが
…は偶数個重ねての使用が 小説を書く上での基本なので修正した方が良いかなと
そこが気になった所です

最初のうちコメント来ないのは当たり前なので 頑張って下さい(´ω`*)
続き楽しみにしてますね

360:真琴:2013/08/27(火) 21:43 ID:gXU

分かりましたーっ♪
ありがとうございますー!
私も花梨さんの小説に期待してます!
応援してます!かんばってください( ´ ▽ ` )

361:花梨-karin- ◆uPA.:2013/09/08(日) 15:44 ID:nXM

上げげ

362:りな:2013/09/08(日) 22:27 ID:MOA

杏里の悪魔ぁ•°•(><)•°•

363:花梨-karin- ◆uPA.:2013/09/08(日) 23:10 ID:nXM

>>362
クラスに1人はいる杏里のような人w

朝日の心情が上手く書けない(´・ω・`)

364:花梨-karin- ◆uPA.:2013/10/07(月) 23:21 ID:mb.

久々に上げです
1ヶ月以上も更新していないとは……!
あと少しで更新出来そうなので もしよろしければ待っていて下さると幸いです

365:りな:2013/10/08(火) 18:43 ID:n4Q

どんだけでも待つよ!(笑)

366:花梨-karin- ◆uPA.:2013/10/12(土) 10:23 ID:mb.

>>365
うわあああ ありがとう!

367:花梨-karin- ◆uPA.:2013/10/14(月) 13:20 ID:mb.

「ねー、先生に媚売っちゃってさ。
 良い子ぶってること丸見えなんだよね」

 真知は杏里に合わせた口調でそう言い、小さく笑った。
 
 媚なんて売ってるつもりは全くないのに、良い子ぶってなんかいないのに。
 あたしの心には真知の言葉が深く突き刺さった。
 正直、杏里の性格は理解しているため、何かを言われても仕方ないと思っていたんだ。
 でも真知とは同じ保育園で、ずっと一緒にいて……。

「お前らもよく言うよなー。
 普段は朝日と仲良くしてるくせに」
 
 呆れた声で会話に割り込む誰か。
 女子より少し低いこの声は、きっと増田直樹(ますだなおき)だろう。
 お調子者だが顔は良く、誰にでも分け隔てなく接するため、女子からの人気は高かった気がする。
 気がつかなかったが、まだ教室内には数人の男子が残っているらしい。

「やだなあ、これが女子の世界だよ」
「何だよそれこえー!」

 真知が静かに、且つ寂しそうに呟いた言葉には、真知なりの深い意味が込められているように感じた。
 そして直樹は本気で怯えているらしく、若干震えた声で返す。
 しかしあたしにとって直樹のことなんてどうでもいい。
 気になったのは真知だ。

 この様子だと、真知は知っているらしい。
 自分も裏で杏里に悪く言われていることを。
 
 自分の中で、悲しみという感情が沸き上がってくる。
 杏里に同調したとはいえ、やっぱり人に悪く言われることは怖いに決まっている。
 
 それなのに、嫌われていることを分かっていながら杏里に尽くす意味は何だろう。
 答えはきっと、『ハブにされたくないから』。
 杏里は、自分に逆らう奴は他人を巻き込んででも排除しようとする。
 常に自分が中心でないと気が済まない、それが杏里だ。

 このまま戸を開けて杏里に何か言えたら。
 それが出来ない自分が悔しくて唇を噛む。
 もう帰ろう、傷付くだけだ。
 そう思い始めた時、

「あたしは……好きだけどな、朝日のこと……」

 絞り出すような細い声。
 遠慮がちに呟いたのは、意外なことにうららだった。
 反射的に顔を上げ、教室内を見てみると、皆驚いたようにうららに注目している。
 元々自分の意見を口に出すことが得意ではない彼女は、その視線に怯えながらも、しっかりとした瞳で杏里を見つめていた。
 厳しい表情でうららを睨む杏里、それを心配そうに見る璃子、そして何故か満足そうに笑う直樹。

「…………バカ」

 無意識に言葉が口からこぼれる。
 
 うららは分かっているでしょう? 
 杏里に逆らったらどうなるかなんて。
 なのに、どうしてそんなことを言うの。

「どうしてアイツを庇うの?」
「だって親友だもん。
 親友のことが好きで何が悪いの?」

 
 頬に冷たい水が当たる。
 ぐちゃぐちゃと泥濘(ぬかる)んで気持ち悪い地面。
 
 杏里とうららのやり取りが怖くて逃げてくるなんて、弱いよなあ。
 ……別によかったのに、あたしのことなんて放っておいても。
 そうは思っても、やっぱりあたしを大事に思ってくれてる人がいるってのは嬉しいもので。

「良い子ぶってる……か」

 蘇る真知の言葉。
 目の奥が熱くなって、視界が滲んでくる。
 別にいいじゃない、うららがあたしのことを好きでいてくれれば。
 そう思っても、心がズキズキと音をたてて痛むままだ。
 
 嘘、本当は真知が好きだよ。
 ずっと仲良かったよね、保育園にいた頃も、小学校に上がっても。
 いつからそんな風に思い出したの?
 どうして直接あたしに言ってくれなかったの?

「……バカ。皆皆大バカ」

 重い足を少しずつ前に、前に進める。


 視界がぼやけているのは、きっと雨が目に入ったからだ。

368:花梨-karin- ◆uPA.:2013/11/09(土) 16:12 ID:W/Q

一旦上げてみる

369:花梨-karin- ◆uPA.:2013/11/15(金) 22:00 ID:ezQ

 
 蘇る過去の記憶。
 出来ればもう思い出したくは無かったのだけど……。
 もう何年も前の事、それでも少し……ほんの少しだけ胸が痛んでしまう。
 でもまあ、今考えると明らかに真知は無理して笑っていたんだよな。
 きっと真知は杏里に合わせていたんだ。
 あたしのことが嫌いな訳じゃなくて。

 あの後結局あたしは、仮病を使って暫く学校を休んだ。
 大体その辺りから、うららがよそよそしくなったのかな。
 多分……憶測でしかないけれど、杏里に何か言われたんだと思う。
 『ハブられたくないなら、朝日ちゃんと仲良くしないで』、大体そんな所かな。

 そして悪い事は続くもので、お母さんの持病が悪化したのも確かこの辺り。
 なかなか友達と遊びにも行けなくて、少しずつ皆あたしから離れて行ってしまった。
 そんなあたしを、直樹が気にかけてくれたことが少し……少しだけ嬉しかったのは内緒のこと。

370:花梨-karin- ◆uPA.:2013/11/17(日) 21:34 ID:ezQ

気がつくと今日で丁度一周年 ありがとうございます!
想像よりずっと長く続いていますが これからもどうぞよろしくお願いします
http://yaplog.jp/mazikkarin/2

371:愛乃れい:2013/11/17(日) 22:59 ID:9Fk

一周年おめでとう!!
これからも、がんばって!!

372:花梨-karin- ◆uPA.:2013/11/18(月) 16:02 ID:ezQ

>>371
ありがとう!!
私なりに精一杯やらせてもらいます

373:杏奈 ◆Tr5.:2013/11/18(月) 19:07 ID:jmk



おめでとう!

思ったら、一ヶ月くらい更新してなかった笑
これからも更新楽しみにしてるからかいて(・ω・)

374:花梨-karin- ◆uPA.:2013/11/19(火) 16:33 ID:ezQ

>>373
ありがと〜

ん? 金曜に更新したばかりだよ〜
了解 頑張ります

375:花梨-karin- ◆uPA.:2013/12/14(土) 20:34 ID:xfA

一ヶ月近く書き込んでなかったんでひとまず上げ

376:花梨-karin- ◆uPA.:2014/01/11(土) 18:29 ID:AFo

いつの間にか年が明けていました おめでとうございます

何か回想が長過ぎて訳の分からないことになっていますが……
とりあえず 朝日を現実に引き戻す事から始めてみます((

つまり 頑張って近いうちに更新します

377:れい:2014/01/12(日) 00:26 ID:9Fk

あけましておめでとう!

頑張って朝日ちゃんを早く現実に!!
つまり、早く続きが見たいなってこと

花梨の真似してみた?(笑)

378:花梨-karin- ◆uPA.:2014/01/12(日) 00:43 ID:AFo

>>377
明けましておめでとう!

ちょっと頑張ってきますw
ありがとう!

分かりにくい表現してすみませんでした……w

379:花梨-karin- ◆uPA.:2014/02/22(土) 17:03 ID:sIE


 酷く残酷で冷たい過去の夢。
 長い時間心の奥、それも一番深い所に仕舞っておいた記憶を、何故か今になって思い出してしまう。
 そして一度出てきてしまうと、望んでもいないのに細部まで一緒になって飛び出してくるの。
 
 鮮明に浮かび上がる風景、容易に思い出すことの出来るあの時の感情。
 杏里が言っていた言葉、悲しげな真知の表情、うららの真っ直ぐな瞳。
 そんな細かいこと一つ一つがあたしの心を蝕んでいく。

 窓から差し込んだ光があたしの頬を照らす。
 ふと窓の外を見上げてみると、白い雲が青い青い、どこまでも続いている空に浮かんでいた。
 明るいその色が眩しくて、何となく目を背けてしまう。

 いつだってあたしはそう。
 嫌なことからは目を背けてばかり。
 平気なふりをしていても、本当は必死で逃げ道を探しているんだ。
 うららのことも……麻衣のことも。
 だから麻衣に利用されていることに気付いても、どうすれば良いのか分からなくて。

 怖いんだ、裏切られるのが。
 うららがあたしの側を離れていってしまってから、仲良くなることが怖かった。
 だから今まで必要以上に人に近づくことはなかったし、周りもあたしに近づかなかった。
 ……あの三人組という例外はいたけれど。
 
 それなのに麻衣はあたしに暖かく接してくれた、そんな麻衣を信じてしまったの。
 「きっとこの子はあたしを見捨てない」って、根拠のない自信を持ったりして。
 だからこそ辛いし苦しいんだ。
 
 もうどうすればいいのか分からないんだよぉ……!!
 

380:@日和◆R6:2015/08/10(月) 18:32 ID:MIo

すごい懐かしいな…(゚Д゚)

検索して見つけた!w
元誰だか分かるかな。

何年ぶりだろう…葉っぱ天


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