ここは明確スイーツ研究部!

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1:モンブラン:2017/01/27(金) 22:06

文才とかないですけど、
見てくださったら嬉しいです。

167:まい◆8Q:2017/07/03(月) 16:56

23.夜店を楽しもう!
「由里歌ちゃん、クレープ急いで!」

「真美、会計頼む!」

「ハル、そこのチョコレートソース取って!」

「ヒマ、悪いけどカップケーキ渡してくれる?」

隅木田くんとユリが書いてくれた、一際目立つ屋台。
彦宮道は、いつもよりにぎやか。
わたしの浴衣は、花火。
ハルは、金魚。
ヒマは、ハートマーク。
ユリは、スイカ。
みんなの浴衣もかわいい!

「はいはい、これこれ!」

「ありがとうございます!隅木田先輩!またのご来店、お待ちしておりますのでっ!」

ユリ、気合い入ってる〜!
ハルも、さっき藤本先生を見つけて、目がハートになってるし。
お客様は、予想通り行列。
お金は100000くらいはたまってる。
すっごーい!

「女の子たち、休憩してきていいよ!お買い物楽しんできて」

隅木田くんが言って、わたし、ヒマ、ハル、ユリの順番で屋台を出る。

「もう、4人では無理かもだし、目一杯遊んでくよぉっ!」

ハルが言って、一番隅からぜ〜んぶ見ていった。
かき氷でひんやり!
うーん、冷たい〜!
金魚すくいで1匹ゲット!
おばあちゃんと飼おっと〜!
隅木田くんと坂宮におみやげで焼きそばを!
買って、戻ったり、行ったり。
40分くらい歩いて、また隅木田くんたちとバトンタッチ!
さ〜あ、どんどんやってくよ!
笑顔とお金の報酬に、明スイに参加してくれたハルたちとも、みんなで目を見合わせて笑った。

             (つづく)

168:まい◆8Q:2017/07/03(月) 17:07

あとがき
               まい

こんにちは。
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイ作者の、元絵菜、まいです!
今回の6巻、いかがでしたか?
ちょっと、ドキドキシーン多かったではないですか?
作者でありながらも、恋愛が混じってきて面白いですね!
皆さん夜店は始まってますか?
わたしの地域は始まってますよ!
友達と行けるかなあ?
皆さんも、夜店のことなど、明スイに関連することありましたら送ってくださいね!
早目に送信させていただきます!

わたしは、最近恋が発展していてニヤケが止まらない日々です。
皆さんは恋してますか?
この作品を見て分かった方もいらっしゃるかもしれません。
気付いたら恋をしていることに。
意識してると、していないけど、ふとした瞬間、心が好きオーラ出してますよ(きっと)!
恋についても、ぜひぜひ送ってくださいな!

次回の7巻の予告です!
やっと新キャラが出ます。
矢本くんは、引っ越してないけど、本当の決断とは一体!?
あと、矢本くんの隣にいるのは誰なのよ、あれっ!
次回は、彦宮体育祭で波乱の予感!
では、次回会いましょう!

169:まい◆8Q:2017/07/04(火) 20:08

『ここは明確スイーツ研究部!7』

登場人物

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

170:まい◆8Q:2017/07/04(火) 20:32

1.English!?
夏後半の暑い日の朝。
久しぶりにスクールバッグを握りしめて歩き出す。
今日は二学期の始業式。
わたし、多田本真美は、幼なじみであり、親友の、ハルこと緑川晴奈とふたりで登校する。

「ね、初等部最後の体育大会だよ!9月にあるんだから。楽しみ」

優しくて、はっきりしていて、モジモジしない、いい子。
体育大会かぁ。
わたし、正直言って、運動は苦手。
足は、速いと見せかけて遅いし。
走り幅跳びなんかは、ルールさえ分からないんだもの。
はぁ〜って、手を後ろについたら、先生に怒られちゃったし。
そんな決まり、知らないのに!

「わたしは、100m走には、絶対出るんだよ。もう決まったの。あと、200m×4人リレーも」

ハルは、運動神経が抜群。
幼なじみで、同じ遊びをしていたのに、この運動神経のあるのとないのの差は何なのっ?
って。
いっつも体育の時は思っちゃう。

「マミ、ハル、Good morning」

ヒマが、英語で挨拶してきた。
ヒマとは、小6で仲良くなった。
本名は、矢本陽茉理。
で、そのとなりにいるのは。

「G、Good morning,every one」

ユリこと利等万由里歌も英語で挨拶してきた。
英語を習っていて、ほぼペラペラなハルがすぐさま反応する。

「Good morning every one」

確か、皆さんおはようございます。だよね?
みんなの視線が、わたしに集まる。
わたしも言えって!?
みんなとは違い、英語が苦手なわたしは、発音もド下手。
ケタ違いなんだ。

「おはよう…」

「In English!」

はいぃ!
英語でって言われた〜!

「グ、グッドモオニングエブレワアン」

発音がなってないよね。
グッドモオニングって…。
モーニング、だよね。
エブレワアンは、エブリワン。
みんなの前で話すと、緊張しちゃう。

「マミ、モーニングでしょ?モオニングはダメだよ。あと、エブリワン。エブレワアンじゃない。every one」

って言われても分かんないよお。
書けるのは書ける。
頑張って勉強したもの。
Good morning every oneって。

「おはようございます」

気付いたら学校に着いていた。
私立彦宮学園という学校に通っているわたしたち初等部の児童会長、ふみ会長こと杉田ふみが言う。
ハルは、英語で返し、わたしは、もちろん日本語で返す。
ヒマも英語。
ユリは日本語で返した。

「ふみ会長も大変。始業式の日から早く来るなんて」

うん、本当に大変。
つくづく、ふみ会長ありがとう。

171:ゆるるん◆p.:2017/07/04(火) 21:03

面白いです!(^^)!
いつ本になるんですか?って、聞きたいくらい!
これからも頑張ってください(´V`)♪

172:まい◆8Q:2017/07/09(日) 08:41

ありがとうございます!
こんなに褒められたのは初めてかも…
もし良ければ、創作板や短編小説板も顔を覗かせてください。
本当にありがとうございます!

173:まい◆8Q:2017/07/09(日) 09:24

2.隅木田くんとの関係
「キャーーー、キャーーー!藤本先生だぁ〜」

ハルが指差した先は、わたしたち6年生の副学年主任、藤本先生だ。
実は、ハルは藤本先生に恋していることが発覚し、それからは恋バナで盛り上がっているのだ。

「隅木田先輩と、あれから会ってないんだよね〜会いたいよ〜」

ユリがボソッっとつぶやく。
実は、明スイメンバー隅木田くんとユリは付き合っているのだそうだ。
ヒマも、隅木田くんが好きで、わたしも_____好き…。

「あれぇ?隅木田先輩だぁ!ユリ、行ってくるね!」

ユリは、自分のことをわたしって言ったりユリって言ったりする。
ニックネーム呼びじゃないときは、由里歌って言ってたけど。
隅木田くんは、ユリのことを、確か由里歌ちゃんって呼んでる。
ヤキモチ焼くな〜。

「わたしたちは、行こっか」

ヒマがわたしとハルの手をとって、わたしたちのクラス、6年1組へ行く。
ドアを開けると、みんながこっちを向いて、あいさつしてくれた。

「おっはよ〜」

ヒマがにっこり笑ってあいさつする。
ハルもそれに続いて、わたしも飛びっきりの笑顔を見せる。

「みんな、おはよ〜!」

今日は、始業式と夏休みの提出物出すだけだから、リュックで来なければならない。
制服を折り曲げないよう気を付けながら椅子に座る。
ここは、登校が自転車以外の人は制服で来なければならない。
わたしは歩きだから、制服をもう着ているのだ。
ちなみに、ハルは歩き。
ヒマは自転車。
ユリは電車で登校している。

「真美ちゃん、国語で表彰があるらしいから。頑張って」

えええ!?
聞いてないよ!
教えてくれた七井さんの方をマジマジと見る。

「あー、突然でごめんって、学年主任の小林先生が言ってた」

えーーーーー!

174:まい◆8Q:2017/07/09(日) 09:44

3.七井さん
「小林先生が、真美ちゃんに伝えといてって…」

「あ、ありがとう…」

明スイで結構目立ってたけど、もうこういうので目立ちなくないよ〜!
表彰って、世の中にあるので一番苦手なんだから〜!

「あとさ、彦宮道の屋台、お疲れ様。わたし、行かせてもらったよ、お姉ちゃんたちと」

ああ、この前のことか。
明スイでは、この彦宮学園の周りの道ーーー彦宮道での彦宮祭に屋台を出した。
すごい人気だったんだよっ!
すごく売れたものだから、お金がたまりにたまってっ!
手伝ってもらった、ハル、ヒマ、ユリには30000円ずつ。
明スイメンバーは50000円ずつ。
残りは明スイの資金にすることにしたんだ。

「心音お姉ちゃん、すっごく喜んでたよ!」

七井さんは、3人姉妹の末っ子。
みっつ上が心音さん。
よっつ上が心夢さん。
ハルたちと遊ぶ前まで、ずっと遊んでたから知ってるんだ。
名前は。
顔は、知らない。

「じゃあね」

七井さんが手を振って、友達の輪に戻っていったので、朝のしたくを始めることにした。

「みんな、おはよう!久しぶり〜」

クラスのキラキラした子のひとりが来る。
この子が来たら、大抵ボスも来る。
わたしが苦手な…。
うっ!
ボスの香水みたいなキツい匂いが…。

「ごっきげーんよ〜うっ!」

ああ、来た〜!

175:まい◆8Q:2017/07/09(日) 10:04

4.
「ほの〜、お久しぶり〜!」

この人は、美華ちゃん。
怪盗日本が来たとき、一緒に闘ったんだよね。
わたしと、美華ちゃんと、ふみ会長とね。
戦闘少女3人組って呼ばれてるよ!
タイプは全然違うし、話すこともないんだけど。
一応、わたしは空手を習っている。
美華ちゃんは、趣味でレスリング。
ふみ会長は柔道。
わたしが空手をやってるのを知ってるのは、美華ちゃん、ふみ会長、ヒマだけなんだ。
みんなには、何かの格闘競技をやってるって思われてるだけ。

「真、真美ちゃん、お、おはよう」

「おはようございますぅ」

美華ちゃんはクスッっと笑って、ユウこと優佳ちゃん、ほのこと穂乃果ちゃんの輪へ入っていく。
みんな、夏休み最高だっただろうな。夏休み後って、何となくウキウキするよね。
今学期の目標は、美華ちゃん、優佳ちゃん、穂乃果ちゃんと仲良くなることにしよっと。


「吹部〜!体育館集合ー!」

初等部吹部こと吹奏楽部部長のふみ会長が声をかける。
始業式では、演奏がある。
校歌と、吹部が選んだ曲とを。
あー、あとちょっとでひょーしょーだー。

176:まい◆8Q:2017/07/09(日) 10:21

4.今学期の目標
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5.新しい前田先生
「多田本真美さん。壇上へ」

ついに表彰だ〜。
彦宮校長先生の前に立つ。
初等部から高等部みんながわたしに注目する。
やだやだやだ、怖い〜!

「表彰状。多田本真美様。あなたは、校内国語上旬テストにおいて、優秀な成績を収めましたので、ここに証します。おめでとう」

 パチパチパチパチパチパチ
おおお〜!
無理ですぅ〜!
渋々受け取る。
彦宮校長先生の前でお辞儀し、足早に自分の席へ戻っていく。
 スーハースーハースーハースーハー
ここの空気って、新鮮で美味しいっ!


教卓に、担任の先生になった前田先生が立つ。
この前まで先生だった人は、子供の妊娠で出ていってしまった。
すごくいい先生だったものだから、修学旅行へ行けなくて残念。
何よりも、卒業時にいないことが寂しいな〜。

「初めまして、前田あいです。6年1組の皆さん、よろしくお願いします」

前田先生は、にっこり笑って言い、自己紹介が書いてある紙を配る。
ふむふむ。
サーフィンをやったことがあるのか。
子供はふたり…。
へ〜。

「趣味は、華道。華道部の顧問になります」

わたし、華道部。
前田先生、お願いします。

「イベントがたくさんありますから、初等部最高学年の6年生で頑張って盛り上げていきましょう」

あ〜、今月末は、彦宮体育大会だ。
格闘ないから…。
まあまあ、盛り上げていけたら、いいのかなっ!

177:まい◆8Q:2017/07/10(月) 20:16

6.特別な日
前田先生からの宿題で、作文を書くことになった。
題名は、『わたし』。
みんな一緒なんだ。
自己紹介みたいなものを書くんだ。

「真美ちゃんお帰り。ねえ、見て見て!明スイの評判、また上がってる」

おばあちゃんが、パソコンを指差して言う。
パソコンを覗くと、明スイのホームページみたいなのが出来ていて、そこにファンのコメントが書かれていた。

『明スイ最高!』

『彦宮道の屋台、並んだかいがあったよ〜!』

『見て!これ写真貼ったから!彦宮道で買ったの!』

評判上がってる〜!
矢本くんのファンは減っちゃったけど、わたしたちのファンは増えたってことかな?
それとも、ハルたちにファンが出来ちゃったとか?

「真美ちゃん、今日は外食に行きましょうか。夜」

外食、久しぶり。
それよりも、おばあちゃんから提案するって?
おばあちゃんは、家で食べる食べ物が好きで、外食は苦手なのだ。

「ほら、今日は菜和の誕生日よ。菜和にはもう言ってあるから」

ま、ママの誕生日だったっけ!?
9月1日…。
始業式であり…ママの誕生日だ!

「うん!行く行く!」

「ふふふ。和食だけど、いいかしら?菜和、和食が好きだし、和食って落ち着かない?って思って」

「和食大好きーっ!いいよーっ!」

今日は、勉強もがぜんやる気が出てきた。
よーし、やるぞっ!
二階にかけ上がり、ほしいと思っていた勉強本リストの紙を片手に、本屋へ走った。

うーん?
何にしようかな〜?
これとこれ、似てて似てない。
どういうことか分からないけど、どっちの方がいいの?

「マジで?キャハハ!」

明るい女の子たちが来て、迷っていた方の一冊を手にとる。
3人中3人が。
よーし、決まり!
あの女の子たちが取った方に、決まりだーっ!
それ以外にも、計五冊買った。
本屋の袋をギュッっと握り締めて、また家まで走った。

178:まい◆8Q:2017/07/10(月) 20:37

7.ママ!?
参考書、問題集、解答、よく出る攻略勉強方書、英語のリスニングセット。
まずは、苦手な英語から!
英語のセットのビニールを破る。
そして、リスニングCDを取りだし、音にかける。

「英語を聞いて、次にあてはまるもとを、A〜Fから選びなさい」

うーっ!
始まったよ〜。
わたしの嫌いな言葉、Good morning every oneって言ってる!
でも、英語も克服していかないと!

店内には、流行りのアイドルグループのデビュー曲が流れている。
どうして知っているかって、ハルがよく口ずさんでいるから。
ハル、ファンなんだよねえ。

「菜和、誕生日おめでとう」

「歳とっちゃったわぁ」

ママは、若いと思う。
今、37歳。
30代って言うことが、嬉しいっていうか、プライドが何かいろいろあるんだってさ。

「お待たせいたしましたーっ!こちらが、天ぷら定食ですね。天ぷら定食のお客様」

ママが手を上げる。
こんがりいい匂いの天ぷら。
それに加えて赤みがかったお味噌汁。
美味しそう。

「じゃあ、ママお先にいただきます」

ママが手をパチンと叩いていただきますをすると、ママはお腹を押さえた。
ど、どうしたの?

「お母さん、病院…」

ママっ?
だ、だいジョウ夫?

「菜和っ?真美ちゃん、救急車を」

あああ、はいっ!
ママ、大丈夫?
絶対にわたしが、助けるからっ!

179:まい◆8Q:2017/07/10(月) 20:52

8.矢本くんたち
「お腹の赤ちゃんが動いた衝撃でちょっと痛めてしまったようです」

看護師さんが伝えてくれる。
和食屋の、天ぷら定食の代金のみ払って病院へ来た。
 グーッ
お、お腹空いたよお。

「もしよろしければ、病院内のレストランをご利用しては?お腹空いてませんか?」

さっすが看護師さん。
おばあちゃんとレストランへ行って、夜ご飯を済ませた。

「ちょっとお手洗い行ってくるね」

おばあちゃんに言って、さっき見かけた男の子のあとを追う。
矢本くんみたいな人だった。
追いかけて、見つけて、正体を突き止めて、何かいろいろしてみる!

「ここっち、こっち」

ここっち?
矢本くんらしき人は、ここっちと呼んだ女の子と腕を組んで歩いている。
横顔さえ分かれば…。

「たっくん、優し〜い!」

たっくん?
矢本くんの本名って、拓斗くんだったよね?
たっくんって呼び方、ある…?

「たっくん、お母さんの来てくれてありがとねぇ。わたしの家、泊まって」

と、泊まるだとぉ!?
今、完全に横顔が見えた。
絶対にあれは矢本くん。
たっくんって呼ばれてる…矢本くん。

「七井家に泊まるの?嬉しい!」

な、な、い、家?
矢本くんの同い年なら、心音ちゃん?
心音ちゃんと付き合ってるってこと?
正面から見て確かめたくて、正面まで回ってみた。
やっぱり…!

「心音ちゃん」

「拓斗くん」

180:まい◆8Q:2017/07/12(水) 18:36

9.思わない言い合い
「ちょっと、拓斗兄、どういうことなのよ!七井先輩と仲良くして」

ひ、ヒマ!?
ど、どうしてここにっ?
矢本くんもそう思ったらしく、唖然としている。
心音ちゃんは、手を口にあてて、上目使いで矢本くんとヒマを見ている。

「七井先輩、拓斗兄とどういう関係なんですか!?」

「どうしたのよ、陽茉理ちゃん。わたしと矢本くんは、深い深い関係があるのよ。陽茉理ちゃんには話せないわ。ねえ、たっくん」

心音ちゃん!?
ひ、人が変わったっていうか、なんと言うか…。

「七井先輩、どういうことなんですか!?拓斗兄、帰るよ。さようなら、七井先輩」

ヒマはヒマで強気ではあるけど…。
矢本くんと心音ちゃん、どう出るの!?

「陽茉理ちゃん、今日は、たっくんはわたしの家に泊まる予定なの。もう時間遅いから、わたしが送ってったげるよ。陽茉理ちゃんは帰りな」

心音ちゃん、それ、本当にっ?
矢本くんが、心音ちゃん家に泊まるってことだったよね?

「いいえ。認めませんから。拓斗兄、執事が来ているから、帰るよ」

矢本くん、執事いたんだ。
ってことは、ヒマや香音ちゃんにもいたりして…。

「たっくん、陽茉理ちゃんは引かないつもりよ。またにしましょう」

ヒマの勝ちってわけか。
心音ちゃん、優しいから、そこまで強気にならないんだよね。
わたしも、心音ちゃんみたいになったら、矢本くんを明スイに戻すことができるのかな?

「あら?真美ちゃんじゃないの。お久しぶり。こんなとこで何してるの?」

ヒマと矢本くんが行って、今は心音ちゃんとふたりきりっ?

「お母さんが妊娠しているので、ちょっと…。心音ちゃんは?」

「ふふふ。わたしは、おばあちゃんが入院しているの。だから」

へ〜。
すると心音ちゃんは、身を翻して矢本くんが行った方へ行った。
お、追いかけた?
わたしも追いかけるぞ!

181:まい◆8Q:2017/07/12(水) 18:48

10.そんな子だったの!?
「たっくん!ちょっと話させて。いいでしょ?陽茉理ちゃん」

「いいよ、ここっち。ちゃんと戻るから先行ってろ。ちょっとだから」

ヒマは、ふたりに、矢本くんにははっきりと。
心音ちゃんには遠回しに。
帰れって言われていた。
かわいそうに。
大好きなお兄ちゃんを、心配しているだけなのにさ。

「たっくんと結婚したら、わたしにも執事がつくのよね。受験せずに、高校も行かずに、ふたりで遊んで、中学校卒業したらすぐくらいに、ふたりで住んで、18歳に結婚するのよねっ?」

け、結婚のハナシ!?
心音ちゃん、もう!?
っていうか、高校行かずにふたりでカップルみたいに遊んでるの!?

「そうだよ。ふたりで住むって言っても、ここっちのアパルトマンと、俺とここっちのアパルトマン造るだけ」

「まあ、素敵!たっくんって本当にカッコいいわぁ」

アパルトマンですかぁ。
なんじゃそりゃ。
何語ですか?
矢本くんは持ってますか?
アニメですか?
アンパンマンのいい間違いですかっ?

「さ、わたしの家へ」

結局!?
心音ちゃんってそんな子だったの!?
すると、矢本くんと腕を組み、ヒマが行った方と反対。
こっち側へ来た。
きっと、こっちの出口から出るつもりなんだ。
バレるっ!
そういって、トイレに駆け込み、矢本くんたちが行ったら、公衆電話でヒマに報告した。
たまたま見かけてしまったことも。

182:まい◆8Q:2017/07/12(水) 19:39

11.わたしが作家に!
ん〜、まぶしいよぉ。
はっ!
あわてて起き上がる。
時計を見ると、まだ4時だった。
カーテン開けっぱなしで寝ちゃった。
ベッドに潜り込み、目を閉じる。
うーん、眠れなさそう。
仕方なく、パジャマを脱いで、体操服に着替えた。
体操服の上から、制服を着るんだけどね、シワが出来たらいやでしょ?
だから体操服だけ着るの。
やることがなくて、読書をした。
学校の図書室で借りた本を。
だけど、もう何度も読み直した本だったから、つまらなくなって。
この本が面白かったものだから、わたしも同じように書いてみようと思ったから、小説を書いてみた。
題名は後からでもいいでしょ。
だから、とりあえず…。
主人公は…佐藤ななみにしよっと。
わたし、佐藤ななみ。
そこまで書いて、手を止める。
はた。
いきなり名前出していいかな?
情景を先に書かなくてもいい?
…初めてだし、いっか。
11歳で、小学6年生の子っと。
わたしと同じ設定にして。
って考えていると、案外スラスラ書けてきた。
ななみちゃんは、ナナって呼ばれて、人見知りでっ!
クラブに入ったら楽しくて、本当のわたしが見えた気がした。
すごく楽しく過ごしてて…。
いや、待てよ。
こんなに楽しいことの連続なわけあるわけないから、ななみちゃんに悪いけど、ちょっと不幸なことを!
親友とケンカして、親友という大きな存在に気付いたりして…。
はぁ〜、早起きって楽しいかも!

183:まい◆8Q:2017/07/12(水) 19:49

12.わたしの気持ち
「ハル、ファッション誌見たぁ?」

ヒマが、ファッションの雑誌?の話を始めてしまった。
ユリはオシャレが苦手で、ヒマのこの話題が苦手なのだ。
わたしも、ちょっと苦手。
分からないから。
ヒマが、スマホをハルだけに見せて笑っている。
わたしたちには見せてくれない。

「カワイイよね〜」

ハル、ヒマ、わたしたちの気持ち、気付いて!
…ななみちゃん…!
こういう感じなのかな。
わたしたち4人の関係は、ずっと続くものだと思ってたけど。
たまにはこういう不幸が訪れちゃうんだよね。

「ハル、話が分からないから、話変えよう」

わたしが笑いながら言うと、目すら上げずに断られた。
絶望的。
わたしでいる力なんて入らない。
ヘナッっと崩れ落ちると、ハルが初めて顔を上げる。

「マミ、だいじょーぶー?でさでさ!ここのアクセかわいくない?」

えええええ!
もう無理だよお。

「わたしの気持ち分かってよ。どうして気付いてくれないの!ふたりだけの世界で、楽しいことなんて何もない。ユリもそう思ってるはずだよ」

そう言って、教室を出る。
わたし、何てこと言ってしまったの。
バカ、バカ、バカ、バカ!
わたしのバカーーー!

184:まい◆8Q:2017/07/12(水) 20:29

13.新学期にゆううつ
後になって後悔すること。
ハルとヒマに言わなければよかった。
恋バナなんてしなくちゃよかった。
グループだけじゃなくて、いろいろな子たちと仲良くしとけばよかった。
もっと…、はっきり言えばよかった。
言って後悔してるのに、言わなくても後悔すること。
こんなに辛いことはないよ。

「真美ちゃん。プライベートだろうが何だろうが、名前で呼んでいいでしょ?あら、緑川さんたちは?」

あ、ここに、仲良くしてた友達、ちゃんといた。
ふ、ふみちゃ〜ん。
なぜか、涙が溢れてくる。
いろんな意味の涙。

「真美ちゃん?どうしたの、大丈夫?しっかり。話聞くから落ち着いて」

ふみちゃんが背中をさすってくれて、ちょっと落ち着いた?
でも、完全に落ち着いたわけではないけどね。

「わたし、もしかしたら、ハルたちとケンカしちゃったかもしれない」

「どうして?」

だって…。
わたしはふみちゃんに、ファッション誌の話が分からなかったこと。
わたしがはっきり言ったような言えなかったようなこと。
飛び出してきたことなど。

「そっか、辛かったんだね。真美ちゃんの分からない話されて、相手にもされなくなって」

ふみちゃんの温かい言葉で、また涙を流した。
今は、嬉し涙かもしれないけど。

「わたしってひとりでしょ。緑川さんたちといるなら、そうしてくれて構わないけど、わたしと一緒にいる?」

ふみちゃんとっ?
一緒にいてもいいの?
こんなわたしと!?

「ありがとう、ありがとう。でも、ごめんなさい。わたしなんかが」

「カフェで話してたときのこと考えたら楽しかったし」

ふみちゃん…。
こうして、これから距離を置きつつ、ふみちゃんと遊ぶことにした。
ほら、前田先生って新しいから分からないだろう。
でも、作文に書いちゃった…。
 キーンコーンカーンコーン
うっ!

「真美ちゃん行こ!」

うん…。
次は作文の提出だあ。
ゆ、ゆううつ。

185:まい◆8Q:2017/07/12(水) 20:50

14.悪化する気持ち
「多田本さん、ちょっと」

ハルたちとのことがあってから一週間が経った。
ついにバレたか。
そういう意味でため息をつき、先生のところへ行く。

「多田本さん、作文には、緑川さん、矢本さん、利等万さんと仲良しって書いてありましたよね。今は杉田さんといますけど、何かトラブルでもありましたか?先生で良ければ聞きますよ」

やっぱり気付かれたか。
先生、するどいですねっ!
ふみちゃんに視線を流すと、強い視線でうなずいてくれた。
嬉しいまなざしだった。
ハルたちは、わたしのことは気にしていないように話している。
はぁ〜。
学校、来たくないな〜。
前田先生にも、ふみちゃんに話したことをそのまま伝えた。

「先生も、早く気付いておくべきでしたね。ごめんなさい。緑川さんや矢本さんや利等万さんには言っておきますから、解決するといいですね。ありがとうございました。戻っていいです」

はぁ。
ますます来たくないな。
おばあちゃんに迷惑かけたくないし、仮病…使って休んで、い、いか、な?

「真美ちゃん、大丈夫だった?」

「うん。大丈夫」

ふみちゃん心配してくれてるのにごめんね。
わたしのためにしてくれてるのに。
ハル…。
なんて馴れ馴れしくも呼びたくなくなってきた。
親友であり幼なじみを。
晴奈ちゃん。
陽茉理ちゃん。
由里歌ちゃんかぁ。

「真美ちゃん、本当に大丈夫なの?わたし、児童会行きますよー」

「行ってらっしゃい。頑張って」

力なく言い、ヘナヘナ崩れ落ちた。
またか。

「真美ちゃん、大丈夫!?七井さん保健委員会でしょ?真美ちゃん連れてってあげて!涼太、前田先生に、真美ちゃんは保健室って伝えておいて」

ああ…。
意識がもうろうとしている気がして、何となく地面に肩が触った気がした。

186:まい◆8Q:2017/07/13(木) 20:57

15.異常はあるか
何となく、視界が白っぽい。
まぶしいんだ。
すっごく。
何か、太陽の光を、直線で目を閉じたまま受けたイメージ。
これが、結構辛いんだ。
ハッっとして目を覚ます。
 カチカチカチカチ
時計の秒針の音が聞こえる。
教室では、秒針の音は聞こえないから、ここは教室じゃないでしょ。
辺りを見回すと、保健室の先生が机と向かい合っている。
ということは、保健室か。
保健室は、なぜかお人形がたくさんある。
かわいいミッキーのお人形を見つけ、手に取ってみた。
柔らかい。
感触があるってことは、生きてるんだね、わたし!

「ああ、真美さん。体調はどうなの?痛いところ、ある?」

保健室の先生は、顔を覗き込んで聞いてきた。
うーん特に痛いところはないし。

「大丈夫です。えっと…わたしって、どうなったんですか?」

「ええ?七井さんがおんぶして連れてきて、教室で倒れましたって」

七井さんが!?
こ、心音ちゃんの妹だ…。
わたしが重たいの、バレたんじゃないの!?
あーヤダヤダ。
七井さんにバレたらーっ!

「意識が回復したので、病院へ行きましょう」

病院へ行くの!?
原因聞かれたら、晴奈ちゃんたちのこと言わなくちゃいけないの?
そんなのイヤだなぁ。

「さあ、行きましょう」

保健室の先生は、わたしの手を引いて保健室を出る。
鍵もカッチリ閉めて。


「特に異常はありません。では、またこのようなことがあれば。ありがとうございました。さようなら」

ふーっ!
保健室の先生が、ママって感じてきて、心細くなかった。
ママと、どうせ年齢近いと思うし。

「真美さん、帰りましょう。部活は、運動部?文化部?」

「文化部です」

「そう。なら部活行けるなら行ってもいいと思いますよ。行きますか?」

はい、行きます…。
保健室の先生に返事して、先生の車に乗り込んだ。

187:まい◆8Q:2017/07/13(木) 21:13

16.HAPPYの連続
「すみません。多田本さんいますか?隅木田ですが」

「いやーっ!隅木田くんじゃなーい」

うわーっ。
華道部の、優先輩、希羅先輩、隅木田くんファンですか!?
文化部は、初等部、中等部、高等部と一緒に行う。
それぞれの階級によって、部長はいるんだけどね。
我らが初等部の部長は、藤城さん。
話したこともなかったけど、華道部で話せたんだよねぇ。

「はい。わたしですか」

「真美ちゃん、隅木田くんの心を仕留めるなんて、案外やるじゃない」

優先輩、勘違いですよ!
確かに好きではありますけど、仕留めたわけではありませんから!

「ちょっと」

隅木田くんに、おいでおいでっていう仕草をされて、胸がキュンッ!
キャー、ヤバイーッ!

「明スイのことだけど。矢本が、戻ることになったんだ。付き合ってたらしいんだけど、別れたって。それで、俺たちが、俺たちに、活動しようと思ってるんだ。題して、矢本復帰パーティーみたいな」

おおお!
いいですねえ!
矢本くん、戻ってきてくれるんだ!
心から、感謝です。

「矢本も謝ってるし、許してやってくれ。で、矢本復帰パーティーは賛成?反対?」

「もちろん賛成です!やりましょう」

やっぱり、隅木田くんって、すごい。
隅木田くんと別れて、華道部の教室に戻ったときも、胸の高鳴りは収まらなかった。

188:まい◆8Q:2017/07/13(木) 21:38

17.新しい友達
今日は、塾に車で送ってもらった。
いろいろと、体調がなってないかもしれないしさ。
玄関には、多くの人だかりがっ!
ど、どうして?

「あ、真美先輩」

あ、河合さんだ。
華道部の後輩で、一番初めに先輩って呼んでくれた子。

「河合さん。どうして、こんなに騒がしいの?」

「6年生、中学3年生、高校3年生の順位が出ています。真美先輩の名前を探してたら、国語が一位で驚きました。さすが真美先輩。満点で一位なんて」

満点で明確ゼミ内で一位か。
嬉しいっ!
それよりも、河合さん。
わたしの名前を探してくれて、どうもありがとう。
初等部って、先輩後輩の関係って浅いけど、河合さんは、そんなの関係なしに接してくれる。
うわさでは、秀才だとか。
 キーンコーンカーンコーン

「引き留めてごめんなさい。失礼しました」

河合さんに頭を下げられて、わたしもあわてて頭を下げる。
って!
もうこんな時間。
急いで行かなくちゃ!
順位表は、後から先生が紙にしてくれるだろうしねっ!

「あの、多田本さんですよね?」

え、この子誰なの?
明スイメンバーの、ファンとか?
わたし、この子知らないけどなぁ。

「わたしの名前は、美先綾南。あやなって読むから、綾って呼んでくれればいいんですけど」

はぁ。
綾さんは、明確ゼミに新しく入ってきた子らしく、わたしと同じクラスのレベルだそうだ。
一応、わたしのクラス、上から3つ目なんですよっ!

「あなたは?」

「はい。ええっと、わたしは、綾さんからも言われました通り、多田本真美です。よろしく」

会釈すると、会釈し返してくる。
うーん、微妙な子だ。
どうしたらいいんだろう。

「さっき、矢本って男の子が、多田本さんに用事で来て、放課後談話室って言ってました」

ふーん。
って、そうなの!?
談話室に、矢本くんが報告に来たってことはっ!

「綾さん、ありがとうございました。わたしのことは、真美って呼んでください」

「いえ。あの、綾でいいですよ。綾さんだなんて、言われたことないですから」

そうだったの。
わたし、綾さんってずっと呼んでたし。何かごめんなさい。

「いいですかー?多田本さん、美先さん、着席ーっ」

先生が言い、綾…もわたしも席についた。

189:まい◆8Q:2017/07/13(木) 22:02

18.乙女の時間
「綾って感じでいい?」

「真美ちゃんでいいですか?」

わたしと綾の声が重なる。
今は、一時間目、地理が終わったところ。
二時間目の理科では、わたしの大好きなカッコいい上野先生っ!
実は、綾も一目惚れしたと言う。

「いいですよ」

「いいよ!あと、敬語も、やめてよ。タメ口で、ね?」

綾は、にっこり笑ってうなずいた。
それと同時に、上野先生が入ってきたの!

「上野先生〜!」

わたしと綾、声ピッタリだなあ。
元はね、理科嫌いではなかったの。
好きの方が大きかったのよ。
でも、苦手だし、苦手意識があって、成績は落ちるばかり。
だけど、理科が上野先生になってからは、学校の理科順位は35位以内っ!
すごいでしょ、すごいでしょ!
前は、82位だったのにさっ!

「真美ちゃんと、誰ちゃん?」

「わたしは、今日入った美先綾南って言います。よろしくお願いします」

綾の目には、ハートがいっぱい!
多分、わたしの目にもっ!
わたし、二股かけていいのかな?
うん、いいんだ。
こっちは大人の恋。
隅木田くんは、子供の恋っ!

「さあ、そろそろ着席するぞー!」

「はぁ〜い!」

わたしと綾、乙女だ…。
上野先生の声カッコいい〜。
 キーンコーンカーンコーン
ああ、幸せな時間スタートだ!

「きりーつ!」

ああ、うっとり。

「お願いしまーす!」

キャーーァン!

190:まい◆8Q:2017/07/13(木) 22:18

19.嬉しい時間
談話室のドアをノックする。
中には、大勢の明確ゼミ生がいる。
真ん中の椅子に、明スイメンバー3人は座っていた。
矢本くんもいるっ!

「みんな、遅れてごめんなさい」

言いながら、空いている椅子に腰をかけた。
明確ゼミのスクールバッグは、膝の上に置いておくことにした。

「明スイメンバーみんなが揃うのは久しぶりだな」

坂宮がつぶやき、わたしたちは、何度も何度もうなずいた。
心から嬉しい!

「ごめんなさい。俺の都合で」

矢本くんが頭を下げて謝る。
いえいえ、そんなことないのに〜。
いろいろ都合ってあるんだから、そこまで気にしなくてもいいのに〜。

「早速始めるぞ。今回の活動は、矢本復帰パーティーだ」

おおお〜!
何度このタイトルを聞いて思ったことだろう。
ついつい感動するんだよね。
わたしたちの絆が見られるから。
明スイだけの絆だけじゃなくて、失った絆も見られるけど。

「会場は、明確ゼミの5階、パーティー会場を借りる予定」

4人のために、あんなに広いところを使うのねっ!
楽しみ!

「だけど、やる時間がない。部活、体育祭と、イベントがある。だから、体育祭の終了後行うことにしようと思っている。賛成者は挙手」

隅木田くんが簡潔に言って、みんなが挙手する。
オーケー決まり。
日付は9月30日。
体育祭終了後ねっ!

「それより後は、会場の予約が出来、完全に使えるようになったら、だ」

うん。
そうだね。
パーティー会場によって変わること、あるもんね。
こうして、わたしたちは解散した。
公衆電話で、おばあちゃんに電話をかける。
初めてテレフォンカード使ったな〜。
楽しかったっ!

191:まい◆8Q:2017/07/15(土) 07:59

20.緯度、経度?
「隣がいない人は挙手お願いします」

今は、七井さんによる健康チェックの時間。
今日は、ふみちゃんが熱でお休み…ということは、ひとりぼっち。
クラスの大勢の子のところ、入ってもいいんだけどねぇ。
ふいに、あこちゃんたちとのことが頭をよぎる。
ダメダメ。
大勢は、新しい中学校に入ってから!
一時間目から、移動教室で社会だった。
社会は、最近地理を習っているので、地理室という、地球儀や資料がたくさんある部屋に行くのだ。
社会の担当は、学年主任の小林先生。

「小林先生、おはようございます」

七井さんが元気よく言い、みんなも後に続く。
七井さん偉いなあ。
あいさつがしっかり出来て。
体育祭後、学級委員長、学級委員を決めるから、立候補しなかったら推薦しようかな。

「はい、始めます」

学級委員長のふみちゃんがいないので、学級委員の柴田くんが号令をかけた。

「今から地理を始めます。お願いします。着席ーっ!」

みんなが着席したところで、小林先生はにっこり笑った。
かわいい〜。
小林先生は、男の先生なのに、すごくかわいいって有名。
わたしも、ついつい思うんだ。
カッコいいとも、たまぁに思うんだけどね。

「いいですか?地理の教科書、77ページを開いてください」

わたしたちが今習っているのは、世界地図とか、緯度、経度、赤道、本初子午線。
分かるような分からないような…あいまいではあるんだけど。

「緯度、経度を使って説明してください。いいですか?緯度、経度を使って、日本の位置を説明してください」

緯度は、えっと、緯度38度。
経度はぁ…経度135度。

「もう良さそうですか?では、隣の席の人と交換してみてください」

学級委員の柴田くんと交換する。
うちのクラスには、柴田くんがふたりいるんだ。
呼ぶのがめんどくさいったら。

「真美と違ーう」

ええええ!
絶対わたしが違うじゃん!
急いで消して、解き直す。
うーん、分からんっ!

「はい。では、言ってくれる人」

シーン。
あ、いつもふみちゃんが言ってくれてるんだ。
本当に、ふみちゃんに感謝!

「はい!わたしが言いますっ!」

七井さん!
本当に七井さん偉い。
学級委員長に、推薦しよっ!

192:まい◆8Q:2017/07/15(土) 08:10

21.日本の位置の謎
「えっとぉ、緯度が38度で、経度が135度です」

あ、一緒じゃん。
柴田くんが間違えたんじゃないの。
すると小林先生は、「残念」って言ったんだ。
何で、どうして、何でっ?
柴田くんがニヤニヤしている。
もう!
なら、柴田くんが言えばいいのに。

「俺言います」

うんうん。
とっとと正解言ったらどうなの。

「緯度が135度、経度が38度です」

え…?
それ、絶対違うと思うけど。
小林先生は、またも「残念」とつぶやいた。
まずさぁ、緯度って、縦線じゃなくて横線でしょ?
そこから間違ってない?

「杉田さん分かりますか?」

「先生、今日は杉田さん休みです」

あああ〜。
答えが分からないという空間、わたし苦手〜。
うーん…。

「はいはい!わたし分かりました!」

晴奈ちゃんが手を挙げて言う。
小林先生は晴奈ちゃんを指すと、かっこよく、「北緯38度!東経135度!です」と言い切る。
すると、小林先生は「はなまる」と言って晴奈ちゃんのプリントに丸を描いた。
そう言えば晴奈ちゃん、社会得意だったなー。
もう考えるの、やめよっ!

193:まい◆8Q:2017/07/15(土) 08:24

22.前の絆
ふみちゃんと遊ぶようになってから、家から弁当を持ってくるようになったんだ。
ひとりで、屋上のパラソル付きテーブルで弁当を食べる。
中等部の人たちに、学食取られたんだよね。
学食は、学習、おしゃべり、ご飯を済ませることが出来る。
中等部って、おしゃべりが好きらしいからなーっ。

「あ、真美。どうしてひとりなの?緑川さんたちは?」

「…」

わたしは、坂宮に聞かれたけど、答えられなかった。
聞かれたくないし、坂宮は関係ないことだもの。

「真美、何で黙ってんだよ。教えろ。どうしてひとりなんだっ!?」

「別にいいじゃん。坂宮に言っても変わらないし。ふみちゃんが今日休みだから、ひとりなだけだし」

ちょっと語尾を強めて言った。
坂宮の手には、サッカーボールが握られている。
サッカー少年だもんねぇ。

「俺は、緑川さんたちのこと聞いてんの。杉田会長は、いい」

チッ!
晴奈ちゃんのことなんか言いたくないし。
もう、場所変えよっと。

「真美、どこ行くんだよ」

「教室で食べるから。邪魔しないで」

坂宮も、ちょっと反省したのか、うつむいて校庭かな?に走っていった。
ああ、そういうつもりじゃなかったんだけど…。
坂宮、ごめんなさい。
教室で弁当の包みを開けて、弁当の続きをひとりで食べる。
わたし、こんなだからいけないのかもしれない。

「ねえ、多田本さん。ちょっと」

陽茉理ちゃんに呼ばれる。
もう、真美ちゃんって呼ぶのもイヤになって、多田本さんって呼び方にっ!
それがイヤになったら、何て呼ばれるんだろう。
ゾクゾクゾクッ!

「わたしとハル、ファッション誌の話してたじゃん。ユリもイヤって聞いたから、驚いたよ。でも、この前の、あの言い方はないんじゃない?わたしとハル、傷ついたんだから」

「ごめんなさい。でも、わたしも傷ついたんだから。謝られてないから、納得はいってないよ」

わたしもはっきり言うと、教室のざわめきは消え、注目される。
でも、気にしない。
陽茉理ちゃんたち、どう出てくるのっ?

194:まい◆8Q:2017/07/15(土) 08:37

23.ハッピーなこと
「ごめんなさい」

晴奈ちゃんと陽茉理ちゃんは、声をそろえて謝った。
わたしからも、反省、言った方がいいのかな。
すると、晴奈ちゃんが言った。

「わたし、多田本さんといて、すごく楽しかったんだけど、こんなに話さない日が続くって、多田本さん、わたしのこと嫌いなのかなって思った」

えっ。
嫌いじゃない。
陽茉理ちゃんたちと話してるから、話しかけられなかっただけでっ!

「多田本さんは、どうするの?わたしたちと、いるの?ふみ会長といるの?今決めて」

いまぁ!?
でも、ここで反論したら、は?って思われちゃう。
がまんがまん。

「わたしたちといるなら、わたしも気を付けるけど、多田本さんも気を付けてね」

陽茉理ちゃんに言われて、改めて考えてみる。
そんなに限られた条件で遊んで、楽しいわけがない?
それとも、それが絆の必須方法?

「わたし、多田本さんといたいし、もっと恋バナしたいなぁ」

由里歌ちゃんが言ってくれる。
わたし、決めた。
ごめんなさい、由里歌ちゃん。
恋バナはするけど、基本はっ。

「わたし、ふみちゃんといるかな。その他もあるかもだけど」

わたしの頬に、涙が伝う。
泣いているんだ、わたし。
今まで辛かったけど、そこから解放されたみたいな。

「そう。じゃあ、幼なじみであり、友達になろうね」

晴奈ちゃんに言われて、何度も何度もうなずいた。
陽茉理ちゃんと由里歌ちゃんも、「ごめんね、ごめんね」と言いながら背中をさすってくれていた。
わたし、これで良かったんだ。
いろんな意味の涙が、ずっと出て、わたしは最後ににっこり笑った。

195:まい◆8Q:2017/07/15(土) 09:16

24.結果は?
 パンッ!
みんなの応援、音楽が同時に聞こえてきた。
あと、ピストルの音も。
応援、ピストルの言えば、体育祭。
多分だけど、彦宮学園最高の体育祭になりそう。
って、こんなこと考えてないで走らなきゃいけないね!
わたしの種目、1000mを、頭を真っ白にして走る。

「真美ちゃーん!頑張ってー!」

「多田本さん、ファイトーっ!」

「真美先輩頑張ってくださーい!」

ふみちゃん、晴奈ちゃん、河合さんが応援してくれる。
よーし!
行くぞーっ!

「真美先輩、抜かしてくださーい」

河合さんの声が聞こえて、前の人をふたり抜かす!
すると前はひとりだけっ!
よし、ラストスパート、抜かすぞ!
おばあちゃん、パパ、ママもね!
ばあば、じいじが応援してくれて…。

「い組が一着、ゴール!」

実況の仕事の陽茉理ちゃん、うまい!
さすがアナウンサー目指してるっ!
我らが、い組の女の子1000m優勝!

「真美ちゃん、ナイス!」

「多田本が優勝だーっ!」

クラスの男の子も喜んでくれた。
いつもなら、男の子は苦手なのに。
は組の坂宮は、は組代表の子ーーー2位にナイス!など、声をかけていた。
1位〜3位は、今から表彰だ。

「表彰状。6年い組1000m代表、多田本真美。記録、優勝。あなたは、私立彦宮学園体育祭1000m走において、優秀な成績を修めましたので、ここに賞する。おめでとう」

 パチパチパチパチ
彦宮先生に賞状を受けとるけど、恐くもない、おののかない。
嬉しい気持ちで、いっぱい。
い組に戻ると、みんなが「おめでとう」と言ってくれる。
ありがとう、ありがとう!
賞状を高らかに持ち上げて、「やったね!」と叫んだ。

196:まい◆8Q:2017/07/15(土) 09:31

25.優勝、明スイ笑顔のメモリー
結果発表。
い、ろ、は、に、ほ、へ組。
体育祭だけは、いろは順で、1組からい組になっていく。

「最終結果を発表します。初等部。優勝、い組!準優勝、に組!努力賞、は組!代表者は、前に出てきてください」

やった、優勝だっ!
ふみちゃんが前に出て、優勝旗、優勝トロフィー、賞状をもらった。
賞状は、教室に飾り、優勝旗、優勝トロフィーは、6年1組室に飾る。
ああ〜、いい体育祭になった!

「みんな、写真撮ろうぜ!」

前田先生が構えて、わたしは1000m走の賞状、ふみちゃんは優勝旗、柴田くんは優勝トロフィー。
七井さんが優勝の賞状、後の子は、個々の賞状を持ったり、ピースしたりしている。

「いいですかー?はい、カシャ!」

前田先生が撮った写真には、いろいろな気持ちが詰まっている。
彦宮学園6年い組で、良かった!


「よし!スイーツは全部そろったね!じゃあ、パーティー会場に運ぼ」

隅木田くんが言い、みんなでパーティー会場に運ぶ。
矢本くんも、もちろん。
パーティー会場は、わたしと矢本くんで飾り付けた飾りがたくさん!

「真美ちゃんと矢本、センスあるね。すごく楽しめそう」

隅木田くんが褒めてくれて、ニヤニヤする。
…よーし!
スイーツは全部そろったし、明スイメンバーもみんなそろったしっ!

「矢本/矢本くん復帰、おめでと!」

みんなで明スイケーキという大きなケーキに包丁を入れて、4人で同時に食べた。
ん〜、美味しい。
やっぱり明スイって最高!
             (つづく)

197:まい◆8Q:2017/07/15(土) 09:40

あとがき
               まい

こんにちは。
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイ作者のまいです。
今回の7巻、いかがでしたか?
ざっくり内容を言えば、矢本くんが戻ってくるけど、喧嘩しちゃって、体育祭で…でしたね。
(ざっくりすぎるでしょ!by真美)
わーん、ごめんなさい。

皆さんは、体育祭、ありますか?
小学校では運動会、中学校では体育祭または体育大会。
わたしは、運動会の短距離走で1位をとったのが保育園から一度もない!
恥ずかしいったら!
でも、頑張って速くなるもんねっ!
皆さんも、体育祭あったら頑張ってください!

コメントをくださった方、ありがとうございました!
わたしの自信、力に繋がります。
本当にありがとう!

質問、感想待ってますね!

最後に、次回の予告!
何事も一見落着。
と思いきや、中間テスト!
こんな中で、明スイ活動出来るの!?
次回もお楽しみに!

宣伝
『*レインボーハッピー*』というスレは、わたしの小説を載せています。
ぜひ読んでみてください。

198:まい◆8Q:2017/07/15(土) 21:30

『ここは明確スイーツ研究部!8』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

199:まい◆8Q:2017/07/15(土) 21:45

1.テストの結果
うーん。
総合、46位かぁ。
165人中。

「真美ちゃん、国語何位?」

「ん?えっと、2位。惜しかった〜」

わたし、多田本真美は、私立彦宮学園という学校に通っている。
そこの、夏休み明けテストーーー彦宮テストの順位表を見てビックリ!
国語2位ってのはいいとして。
総合!
もっと下かと思ってたから、嬉しい!

「ふ、ふみちゃん、総合、何位?」

ふみちゃんこと杉田ふみは、彦宮学園初等部の児童会長。
秀才で、最近いつも一緒にいるんだ。

「1位だった。良かった〜。夏休み、ずっと勉強したもの」

ヒエーッ!
何で休まなかったのーっ?
わたし、明スイ活動であわただしくしていたのに。

「クラブの美術は、1度出席したけどね。でも、真美ちゃん、すごく忙しかっただろうに、46位って素晴らしいと思うけど」

「ありがとう」

すると、幼なじみで、元親友、緑川晴奈と目が合う。
晴奈ちゃんが歩み寄ってきて、後ろには、矢本陽茉理ちゃん、利等万由里歌ちゃんもいる。

「多田本さん、総合何位だった?」

「低かったよ〜、46」

わたしが笑いながら言うと、晴奈ちゃんたちは、「高いよ〜」、「低くないじゃ〜ん」、「何それ嫌味〜?」って言ってきた。

「そ、そう?ありがとう」

ちょっと一緒にいられなくなって、ふみちゃんのところに戻った。
すると、涼太くんが来た。

「ふみちゃん、総合1位?」

「ああ、涼太。うん。1位」

涼太くんって、ふみちゃんの幼なじみなんだって。
知らなかったけど、坂宮と同じサッカー少年なんだってね。

「涼太は?」

「俺?ふみちゃんにしては低いと思うけど、11位」

高っ!
わたし、格が違うかもっ!

200:まい◆8Q:2017/07/15(土) 22:05

2.キャラ弁
「はい、では終わりまーすっ」

前田先生が言い、学級委員長でもあるふみちゃんが号令をかける。
そして、みんなで「ありがとうございましたー!」と言う。
よし、午前終了。
お昼ご飯だ、お昼ご飯だーっ!

「真美ちゃん、明日から、学食で頼むことにしない?大変でしょ、いろいろと」

確かに、一理ある。
おばあちゃんに言ってからというものの、わたしはいつも通り。
おばあちゃんは4時に起きてくれている。

「今日は、学食で食べましょ。外だとちょっとむしむしするし」

うん。
昨日が雨だったからか、むしむししている。
暑くはないけど、暑いみたいな。
微妙な気温。

「あ、真美先輩。こんにちは。学食でお昼ご飯ですか?」

あ、河合さんだ。
河合さんとは、同じ華道部部員。
わたしのことを、先輩と慕ってくれる子だ。

「そうだよ。河合さんは?」

「わたしも学食でお昼ご飯です。ひとりなので、入れてくれませんか?」

「いいよ。ね、ふみちゃん」

ふみちゃんも大きくうなずいてくれて、久しぶりに4人用テーブルに座る。
いつもは、2人用か3人用だから。
一番人気の3人用席、空いてない。
座りたかったのになー。

「初めまして。河合です。杉田会長のおかげで、素晴らしい小学生ライフが送れております」

河合さん、礼儀正しくてすごい。
「初めまして。河合です」だなんて。
そう言えば、河合さんの名前何だったっけ?

「初めまして。杉田ふみです。河合、何さん?」

「河合莉保子です」

莉保子(リホコ)っていうんだ。
河合莉保子ちゃん。
それで、ふみちゃんは河合さんがふたりいるので、「かわりほ」と呼ぶことにしたらしい。
ネーミングセンス、あるよね。
わたしは、莉保子ちゃんにした。

「かわりほの弁当かわいい。わたし、普通におかず詰めただけだから。かわりほみたいにかわいい弁当にしようかしら」

莉保子ちゃんの弁当はキャラ弁。
ミッキーがにこやかに笑っている。

「真美先輩の弁当見せてください」

パカッっと弁当を開くと、おばあちゃんが作ったのかと驚いた。
だって、わたしが好きなキャラクター、ダッフィーのキャラ弁だったんだ。

201:まい◆8Q:2017/07/15(土) 22:21

3.まーちゃんとふーちゃん
「真美先輩かわいいですね〜。わたしも、明日はシェリーメイちゃんにしようかな〜」

シェリーメイもかわいいよね!
わたしの部屋に、ダッフィーのとなりで座ってるよ〜!

「真美先輩は、明日の弁当どんなのにするんですか?」

「あ、明日からは、学食のにするの。いつもおばあちゃんが大変だから」

莉保子ちゃんは、ふーんというように鼻を鳴らす。
そいえば、さっきからふみちゃんが話してないや。

「ふみちゃん、五時間目なんだっけ?わたし、忘れちゃった〜」

「五時間目は、話書か小書よ。真美ちゃんは、小書でしょ?」

うん、そうだった。
さっきから、話書、小書、でしょって、しょが多いっ!
あ、小書って、小説を書くこと。
話書は、絵本を描くこと。
この前の、佐藤ななみちゃんの続きを書くつもりなんだっ!

「あ、ごめんなさい。そろそろ行かなくちゃ。五時間目、校外学習なんですよね。失礼しました」

莉保子ちゃんが行ってちょっとすると、ふみちゃんが特大のため息をついた。
ど、どうしたの!?

「わたし、河合さん苦手かも。かわりほって呼ぶので精一杯。河合さんの前以外は、かわりほって呼ばないよ」

莉保子ちゃんのこと、苦手かあ。
いい子だとは思うんだけどね。
嬉しくなると、テンションマックスになっちゃうんだものね。
まあ、仕方ないとするか。

「ねえ。わたしたち、呼び方変えない?真美ちゃんのこと、まーちゃんって呼んでいい?」

「いいよ!」

まーちゃん。
やっぱりネーミングセンスあるなぁ。
えっと、ふみちゃんのことは…。

「わたし、小さい頃からふーちゃんって呼ばれてるの。ふーちゃんでいいから」

ふーちゃん。
かわいいニックネーム。
まーちゃんとふーちゃん。
ずっとマミだったけど、何となくイメチェンしたみたいだ。

「ねえ、まーちゃん。わたしも小書にするから、一緒にやらない?」

「いいよ、ふーちゃん!」

ふーちゃんと顔を見合わせて笑い、弁当の巾着袋を握りしめた。

202:まい◆8Q:2017/07/16(日) 17:44

4.小書
前に立っているのは、晴奈ちゃんがラブな藤本先生。
今は、五時間目、小書、話書の、書練の先生だ。
書練とは、物語を書く練習。
彦宮学園で作った国語の勉強法。

「話書こっち。小書こっちに集まってもらいます。一番良かった作品は、市の私立物語コンクールに出します。藤本先生が決めますからね。ファンタジーでも、恋愛でも、何でもいいです。さあ、書いてください」

藤本先生が言って、わたしたちは小説か絵本を書き始めた。
わたしは、佐藤ななみちゃんのを書いたノートに続きを書いた。

「まーちゃん、主人公とか決まっているの?」

「うん。ちょっと前に書いた続きから書くから」

ふーちゃんは、へ〜と言って、紙と1対1で見つめあっている。
藤本先生が来て、「多田本さんたくさん書いてありますね。佐藤さんって子が主人公なんですね。ふーん」

ちょっと、藤本先生声大きい!
バレちゃうでしょ!

「多田本さん、佐藤って名字の子が主人公なの?わたしは、鐘餅望(カネモチ ノゾミ)が主人公よ」

美華ちゃんが大きい態度で言った。
鐘餅望って。
どれだけお金持ちを望んでるの。

「まーちゃん、わたし、戸部田優っていう男の子の物語にする。男の子の気持ちを考えて、児童会長と学級委員長をやることにするの」

ふーちゃん偉いな。
男の子の気持ちを考えるなんて。
ななみちゃんの気持ち、かあ。
考えて書かないと入賞できないよねっ!

203:まい◆8Q:2017/07/16(日) 18:08

5.毎日コース
「ただいまー」

制服のスカートを押さえながら、家に入る。
10月という季節なのに、まだまだ暑い日が続いてっ!

「真美ちゃん、彦宮テスト、あんまりいい結果じゃなかったって言ってたでしょ?中間テストは、気合いを入れていきなさいね。だから、中間テストが終わるまで、明スイ活動禁止ね」

ええええ〜!
明スイ禁止〜?
そんな〜!

「だって真美ちゃん、いいの?勉強に専念するなら、明確ゼミの日付を毎日コースにして、家でも勉強を続けてほしいものよ」

はーい。
わたしより、おばあちゃんの方がやる気に満ち溢れているかも。
いやいや、わたしがやる気がなくてどうするのっ!
頑張って勉強を続けるんだ。

「真美ちゃん、毎日コースにする?」

「します」

おばあちゃんはにっこり笑って、明確ゼミに電話していた。
毎日コースってことは、日付問わず、毎日あるんだ。
宿題も、1日の時間も一時間増える。

「さあ。おばあちゃんが送ってあげるから、行きましょう。今日から毎日だからね。毎日コースは、教室が4階だから、間違えて行かないようにね。公衆電話で電話してくれたら、おばあちゃん行くから」

手短に説明されて、わたしはあたふたした。
だって、多すぎ。
難しすぎ。
どうしてこんなに変わるのっ?
教室が変わるって、綾と離れるんだ。
残念。


明確ゼミの玄関に着くと、新しい見習い先生、尾原先生がいた。

「多田本さん。こっちよ」

尾原先生に着いていくと、毎日室という看板の部屋に入った。
みんな静かな子ばかりで、ちょっとタイプの違う綾すぐ気付いた。

「あ、真美ちゃん。毎日コース?」

「うん。綾も?」

綾はうなずいて、となりの席に案内してくれた。
尾原先生はにっこり笑って、前の教卓に立った。

「毎日コースで先生になる、尾原先生です。見習いですが、よろしく。ここは、全て尾原先生がやりますので」

へ〜。
わたしが毎日コースじゃなかった時の担任が尾原先生で、綾とわたしが毎日コースに変わったから、尾原先生に変わったという。

「新しい子がふたり来たので紹介しますね。はい、ふたり、前」

わたしと綾は、ふたりで前に出た。

204:まい◆8Q:2017/07/16(日) 18:26

6.ファンたち
「わたし、美先綾南です。元気な時、静かな時って様々ですけど、分かってください。よろしく!」

6年生ばかりの受験する子、成績をアップすることに熱を入れている人たちは、綾を冷たい目で見る。
確かに、騒がしくされたらって思うのかな。

「わたし、多田本真美です。明確スイーツ研究部のメンバーです。よろしくお願いします」

みんなは、にっこり笑ってくれた。
優しい子たちばかりだなあ。

「多田本さんと、美先さんは、席に座ってください。今、6時30分ですが、9時45分まであるので、頑張っていきましょう」

 キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、あいさつをして、国語の準備をする。
教科書は変わらないから、ホッ。
すると、いろんな子たちがわたしの机に集まってきた。

「わたし、明スイファンなのー!」

「次の活動は?」

「僕、真美さんのファン。サイン」

ここにも、明スイのファンが!?
でも、明スイ活動禁止令出てるから。
わたしのところに寄ってくるのは、明スイメンバーであるだけで、普通の子だったら無視だろう。

「次の活動は、隅木田くんが検討中なので、ちょっと今は分かりません」

なーんて。
いつも検討してくれているから、隅木田くんに押し付けちゃった〜!

「真美ちゃんいる?」

隅木田くん!
救世主だ〜!

「はい!」

「今日、8時から談話室。いつもなら放課後だけど。真美ちゃん、毎日コースにしたの?何かあった?」

う、受験のこと言うのか。
後から言えば、いいよね。
みんなの前で言えば。

「後で言います。では」

そう言って戻ると、みんなニヤニヤしていた。

205:レミリア◆63Y 名前かえました。:2017/07/17(月) 16:47

200おめでとうございます!元レミリです。いやー!凄いね!私のやつなんて、これっぽっち続いてない…でも、考えてる!…かな…?←レスが進むとネタ切れになる。100になったのが初めてだから。これからも、続けてね!

元レミリ レミリアより

206:まい◆8Q:2017/07/17(月) 19:23

レミリア、ありがとう!
本当に嬉しい気持ちでいっぱい。
コメントしてくれて、おめでたい言葉をいただいて、本当にありがとうございました。
共に頑張っていこうね!

207:リリカ@恋歌◆JA:2017/07/17(月) 19:31

まい様
私の小説にコメしてくださり、ありがとうございます!
明スイを読むと、ワクワクします!
これからも微力ながら、応援しております。

208:まい◆8Q:2017/07/17(月) 19:49

7.身近な教師
初めて会ったとき、矢本くんはルービックキューブをいじっていた。
今も、いろいろ回している。
隅木田くんは、問題集をひたすら解いてて。
坂宮は、サッカーがあとちょっとらしい。

「ただいま来ました、坂宮です!」

坂宮が談話室に、サッカーボールを片手に。
ユニフォームを汗でヒタヒタにして入ってきた。

「じゃ、始めようか。…まず、真美ちゃんが、塾を毎日コースにしたらしいんだ。何かあったのか聞こう」

隅木田くんが、わたしに視線を流しながら言うと、坂宮たちもこちらに視線を流す。

「えっと、わたし、中学校を受験することに決めたから、勉強をたくさんしようと思いまして」

改まった感じで言うと、矢本くん以外が唖然、呆然。
どうしてそんなにビックリするのかな。不思議。
ただ、受験するってだけなのに。

「明スイ活動は、受験するまでどうするの?そこの中学校に決まったら?」

続けて、坂宮も質問してくる。

「俺が真美のこと好きなの知ってるだろ。俺を捨てる気なのか!?」

うっ!
わたしが受験することって、多くの人に影響を与えるわけっ?

「明スイは、おばあちゃんには禁止って言われてます。ですが、時間を見付けてやっていくつもりです。あと、坂宮。わたしは、坂宮を捨てたわけではないよ。将来のことをいろいろ考えての上だから、理解してほしい」

隅木田くんは、「本当に大丈夫?」と言い、坂宮は、「良かった〜」とつぶやいた。

「真美ちゃん。僕、勉強教えてあげようか?受験、成功させたいでしょ?」

「い、いいんですか!?」

「うん。放課とか、いつでもどうぞ」

好きな人がわたしの教師っ!
嬉しい〜!

209:まい◆8Q:2017/07/17(月) 21:40

8.イベントに明スイ
「本題は、明スイの方針。今後は、学校のイベントにも出すことにしたんだよ。彦宮先生の許可も降りた」

へ〜、隅木田くん、行動が早いな。
わたしなら、みんなの確認をとってからなのに。
こういうと、説得力とかあるよね。
根拠とか、許可を得たら、理解できるけど。
知らないとか、忘れたって言われると、嘘に聞こえてしまうもの。
まあ、わたしの言ってることが嘘って思わないでね。
わたし、嘘はあんまり言わないから。

「最近は、中間テストを控えている。クラスごと、教室で泊まり、勉強をするというイベントをすることにしたらしい。だから、その合間に作り、合間に食べてもらうことにしたんだ」

中間テストでイベントかあ。
」勉強は、ひとりでするべし!』という合言葉を胸に、彦宮学園は勉強している。
なのに、果たしてそれで伸びるのか。

「朝食、昼食、夕食は、全て自分たちで作り、団結する心を強め、勉強をして、運動も休憩もするというシステムのイベントだ。企画は、彦宮先生と杉田さんだって。すごいね、杉田さん」

ふみちゃんが!?
さすが秀才。
考えることが違うね。
勉強しながらも、違うことも強くしていくなんて、素敵。

「この休憩で作ろうとしている。反対意見は?」

隅木田くんは、結末を言い、みんなが何も言わなかったため、先へ進める。
日付は、10月7日から10月9日の二泊三日。
これまでに、スイーツを決め、研究しなければならない。
今日は___3日だ!
あと4日しかない。
毎日ここに集まって会議だ!
よし、頑張ってやるぞ!

210:まい◆8Q:2017/07/17(月) 21:53

9.サイテイ
「時間はないから、僕から案を持ってきた。これだ」

紙を見ると、女の子、男の子と別れている。
女の子の方は、美・スイーツと書かれており、男の子の方は、運動後のさっぱりスイーツと書かれている。
美・スイーツ、いいなあ。
さっぱりスイーツも、新しい。

「僕、女の子の悩みが分からなくて。美・スイーツって、真美ちゃんどう?由里歌ちゃんは、賛成してるんだけど」

由里歌ちゃん…!
そう言えば、隅木田くんと由里歌ちゃんは付き合ってるんだ。
忘れてた、忘れてた。
でも、隅木田くんにも、ちゃんと頼れる女の子がいるのに。

「いいと思います。由里歌ちゃんが賛成するんですから、素晴らしいスイーツになりますよ」

ほぼボー読みで言い、うっすら笑って見せた。
でも、わたしの心は全然笑ってない。
いや、笑えない。
好きな人の口から、自分の彼女の名前が出るなんてね。
わたし、ちょっと辛かった、今。

「書記の真美ちゃん、これ、まとめてノートに書いておいてくれる?じゃあ、明日この時間」

隅木田くんが言い残して立ち去ると、わたしは矢本くんと坂宮に言う。

「隅木田くんって、彼女いると思う?わたしと遊んでた由里歌ちゃんが彼女なの」

と、真実を言ってしまった。
すると、ふたりは驚いた。
予想通りのリアクション。

「由里歌ちゃんって、利等万さん?」

「隅木田のやつ…バカ野郎」

ああ、言うんじゃなかった。
でもね、わたしの口は止まらなかったの。

「本当に。わたし、どうしてわたしたちに内緒にしてたのか許せない。隅木田くんって、メンバーの気持ち考えない人なの?」

何でこんなこと言ったのっ!
でも、もうダメだ。

「ごめんなさい、真美ちゃん。由里歌ちゃんが隠すって言ったものだから」

「わたしたちに内緒で付き合ってて、こっそり会うなんて。サイテイ」

いや、わたしがサイテイッ!

211:まい◆8Q:2017/07/21(金) 14:39

10.一粒の涙
「真美ッ!言いすぎだろ。でも、隅木田も言うべきだよな。どういう経路で付き合うことになったか、言ってもらおうか」

坂宮のバカッ!
言い過ぎなんかじゃないよ。
黙ってるのがいけないでしょ!?

「お前らには関係ない。由里歌ちゃんとは、恋人としか言えない」

「いいですよ、もう。隅木田くん、キツいこと言ってすみませんでした。わたし、授業の予習に戻ります」

ちょっとイライラしながら談話室を出て、瞬きする。
涙が頬を伝い、首筋に流れる。
ヒッ!


「まみちゃんさぁ、見てるとイライラするのよね。顔、声、体、全てが」

伝った涙。
今と似ている。
みゆさん、さとこさん、かんなさん、あこちゃんがクスクス笑っている。
辛く、苦しく…。
悲しい。
この時の涙と、今とは同じ。


わたし、もしかしたら友達を失ったのかもしれない。
すると、ちょうど梨歩佳さんが通り、泣いているところを見られた。

「真美ちゃんっ?大丈夫っ?」

梨歩佳さんが背中をさすってくれながら、わたしたちは毎日コースの教室に来た。
その間に、今あったことを話して。
梨歩佳さんは、ずっと聞いててくれたんだけど、わたしは、何とも変わりはなかった。

「真美ちゃんっ!あれ、どうしたの?大丈夫〜?」

綾〜。
大丈夫じゃないよ〜。

「真美ちゃん、とりあえず授業に集中すること。頑張って!」

梨歩佳さんは、わたしにエールを送ってくれて、自分たちの教室へ帰っていった。

212:まい◆8Q:2017/07/21(金) 14:49

11.好きです
授業には集中し、すぐに公衆電話で電話をかけた。
眠たいよ〜。
あくびすると、前を隅木田くんが通ったんだ。
わたしは、あわてて目をそらしたんだけど、隅木田くんはこっちに歩いてくるの!
来ないで、ちょっと!
とも言えず、公衆電話の近くで立っていると、やっぱり隅木田くんに呼び止められた。

「真美ちゃん、本当にごめんなさい。僕、由里歌ちゃんとは別れるよ」

ふーん。
先輩に対して、この言い方は悪いですけど。
勝手にしたらいいじゃないですか。
そういう視線を送る。

「僕からの告白だったんだ。すごくかわいい子だ。って、一目惚れで。僕の初恋が由里歌ちゃん」

あ、そうですか。
どうせわたしは平凡人だから。って言いたいんでしょ。
分かってますよ、それくらい。

「でも、由里歌ちゃん、キラキラしているから、僕みたいな人は合わないかもって思い始めて」

じゃあ、別れてください。
わたしは関係ないんだから、わたしに言わなければいいのに。
違いますか。

「僕がこんなに恋したのは初めてなんだけど。真美ちゃん。僕、真美ちゃんが好きです」

ハッ?
いきなりのことでビックリしながらも、隅木田くんの方を見つめた。

「返事、まだいいよ。僕の気持ち、伝わったかな?」

「は、い。どんな答えを考えたらいいんですか」

隅木田くんは、「付き合うか付き合わないか」と言って、その場を去った。

213:まい◆8Q:2017/07/21(金) 15:14

12.ダブルの好きです
「真美、大丈夫か。隅木田とのこと。…なんか、隅木田告白してたよな」

うっ。
坂宮に聞かれてたのか。
しかも、あれって、やっぱり告白だったのかあ。
初めての経験で、意味不でした。
坂宮から言われてるのは、本気だと思ってないし。

「真美」

「はいぃっ!」

何、この展開。
さっき、隅木田くんに告白されたときと流れが似てる…!
って、もしかしてっ!

「真美のことが好きです。付き合ってください!」

ふ、ふたりにーっ?
1日でふたりに告白された!?
ど、どうしたらいいのよ!

「返事、明日よろしく。学校で」

はあっ?
そして、坂宮はその場を後にした。
どうしてこうなっちゃうの!?
わたし、どうしたらいいのか分からないんだけど!
…そうだ。
京香ちゃんーーー夢花見さんの孫に電話してみよう。
京香ちゃんは、かわいくて、清楚で、運動も出来て秀才。
この子なら、一度は告白経験があるよねっ!
そうして、おばあちゃんが来るまで公衆電話で京香ちゃんに電話した。

「もしもし。夢花見です」

「もしもし。多田本真美です。京香さんに用事があって電話をかけました。京香さんいますか?」

お母さんだったらしく、「京ちゃーん、多田本さんよーっ!」と聞こえて、京香ちゃんが出た。

「もしもし、京香です」

「多田本真美です。京香ちゃんに相談があるんだけど」

京香ちゃんはキョトンとし、わたしの相談に乗ってくれた。
全部話すと、京香ちゃんはとても驚いていた。

「真美ちゃん、なかなかやるじゃないの。陽都と隅木田先輩の心を射止めたなんて」

確かに、そういう意味では、わたしすごいかもしれない。
京香ちゃんからしたら、そんなことなかったりして。

「わたし、何度かされてるけど、全て断ってきたの。付き合うの、わたし苦手だから」

なるほどね。
わたし、隅木田くん好きなんだよね。
好きだった…かも。

「わたしに相談しても、その答えは真美ちゃんだよ。また困ったら電話して。じゃね」

そうして、電話を切った。

214:まい◆8Q:2017/07/21(金) 15:49

13.中間テスト
遅刻する遅刻する!
家のドアを閉めて、ジャージで自転車に飛び乗る。
わたしの場合、徒歩か自転車通学。
いつもは、いろんな時間の短縮で、徒歩通学だけどっ!
そんなのしたら遅刻するっ!
急いで自転車をこいで、何とか到着。
すると、同じく自転車で来た坂宮と鉢合わせ!
わたしの生命、ここで途絶えたか。
まるで、金魚が太陽に囲まれているかのようだった。

「真美。結果、教えて」

「無理よ、今は。時間ヤバイもの。後でね」

坂宮に言い残して、初等部玄関へダッシュ!
そこから、6年1組の4階へダッシュ!
教室に着くとっ!
 キーンコーンカーンコーン
間に合った〜。

「まーちゃんセーフ。あ、涼太遅い。遅刻ね〜」

涼太くん、遅刻か。
わたし、ギリギリセーフ!
涼太くんが、羨ましそうな目で見てくる。
前田先生、怒ったら恐いから、気を付けてね、涼太くん。

「Good morning every one」

前田先生が教室に入ってくる。
どうして前田先生まで英語でっ?

「前田先生、Englishありがとうございます」

晴奈ちゃんが頼んだってことね。
そういうことか。
前田先生まで、毎日英語喋ってきたら困るったらありゃしない。

「いいですか。そろそろ中間テストがあります。今日からテスト期間ですので、しっかり勉強するように」

うんうん。
今回は、気合い充分。
だって、明確ゼミでは、テスト期間の1週間前テスト期間というのを企画している。
その企画で、わたしは勉強勉強勉強なんだ!

「しっかり勉強して、いい結果を出すために、杉田さんと校長先生が、このような企画を考えました」

そして、ふーちゃんが前で隅木田くんが話していたことを話した。
みんなの目には活気が見られる。
わたしも、がぜんやる気が出てきた。

「ということですので、みんなで中間テスト頑張りましょう」

はーい!
わたしは、元気よく心の中で言った。

215:まい◆8Q:2017/07/22(土) 14:35

14.わたしの気持ち
「まーちゃん。この企画では、明スイも参加してくれるって話だけど、どうなってるのか、少しでも決まり次第、わたしに報告してね」

ふーちゃんが振り返って来て、わたしはうなずく。
わたし、隅木田くんにあんなこと言っちゃったけど、戻れるのかな?
常識的に、ダメだよね。
ちょっと落ち込んでいると、ふーちゃんが「大丈夫?まーちゃん」と声をかけてくれる。
ふーちゃん、優しくしてくれてありがとね〜。

「隅木田優斗です。多田本真美さんいますか」

うっ、隅木田くんじゃん。
でも、空気を読めなかったふーちゃんが片手を挙げる。

「こちらは隅木田先輩。真美さんはこちらにおります」

ふーちゃん、空気読んでっ!
渋々隅木田くんの方へ行くと、いつものにっこり笑顔だった。

「由里歌ちゃんとは、別れたよ。僕、しっかり自分の気持ち受け止められたから、真美ちゃんの気持ちも、受け止めるつもり」

わたし、結局どうするんだろ。
隅木田くんのこと好きだったから、付き合う?
それとも、フッちゃう?

「真美ちゃんの気持ち、教えて」

「すみません。わたし、まだ決められてません」

本当のことを言い切ると、隅木田くんは天を仰いだ。
悲しそうな瞳。
顔はまるで、猫に負けた犬みたい。

「いいよ。僕も、最悪なことしちゃったしね。フラれちゃったけど、明スイやっていってくれるよね」

「はい。これからは、明スイのメンバー、友達でいていいですか!?」

隅木田くんは、綺麗な顔に微笑みを見せて、中等部へ帰っていった。
残されたわたしは、坂宮の教室へ行った。

「真美、決めてくれたか」

わたしは、大きくうなずいた。
隅木田くんの時みたいに、わたしの気持ち、しっかり言うんだ。

「わたし、さっき隅木田くんに返事してきたの。それで、坂宮にも言う決意をしたんだ」

「溜めなくていいから、ねっ!ねっ!結論はっ?」

ああ、こんなにも期待されてるっぽいのに、言いづらい。

「ごめんなさい、坂宮。明スイって、ファンもいるし、それに、わたしは、受験と明スイを両立させたい。だから、坂宮とは、友達でいてほしい」

これが、わたしの気持ち。
どうか坂宮。
受け止めてくださいぃ!

216:まい◆8Q:2017/07/22(土) 14:48

15.みんな笑顔
坂宮は一度大きな息をして、わたしを見つめ直した。
お願いします神様。
わたしの気持ち、坂宮に届けて!
すると、わたしのお願いが叶ったのか、坂宮はゆっくり笑った。

「友達な。…これからも、友達でいてほしいけど。でも、俺はあきらめないからな。それ、覚えとけよ」

坂宮は、またにっこり笑い、教室に戻った。
わたしも、つい笑顔になる。
何もかも良かったんだ。
これで。
教室に帰ると、京香ちゃんが待っていてくれた。

「真美ちゃん、お疲れ様です。みんながイヤな思いをしなくて、いい返事だったと思う。聞いて、ごめん」

京香ちゃん、聞いてたのぉ!?
聞いちゃダメでしょ!
笑いを含んで京香ちゃんをにらむ。

「真美ちゃんったら〜!さあ、次は美術だから、美術室行くよ!」

京香ちゃんとふーちゃんが一緒に来てくれて、美術室へ行く。
途中、坂宮とも会ったけど、にっこり笑って素通り。
これが一番良かったんだ、よね?

「ね、美術の山野先生、怖いでしょ。早く行きましょう」

ふーちゃんがちょっと早歩きしたので、わたしと京香ちゃんも早歩きする。
山野先生、怖いっていうの忘れてた!

「走ったら、学級委員長としても、児童会長としても。許しませんからね」

ふーちゃん、分かってますーっ!
みんなで、美術室へ早歩きしたのだった。

217:まい◆8Q:2017/07/24(月) 15:46

16.中間テスト勉強お泊まり会
よし、全部ある!
リュック、旅行バッグを持って一階へ行く。
今日は、待ちに待った中間テスト勉強お泊まり会。(って名前になったんだってね。)

「おばあちゃん、また、明後日?ね」

家を飛び出して、ふーちゃんと学校へ向かう。
知らなかったんだけど、ふーちゃん、電車でこの辺りまで来て、わたしの家の前を通って学校行ってたんだって。
だから、一緒に行くことになったの。

「まーちゃん、おはよ」

ふーちゃんがリュックを担ぎ直す。
ずいぶん大きなカバン。
前のめりになっちゃってるよ。
わたしがクスッっと笑うと、ふーちゃんが「何よーっ!」と笑った。
ヘンなおしゃべりをしていると、もう学校に着いていた。
辺りには、制服、ジャージに重たそうなカバンを持ってる人ばかり。

「みんな、笑ってるから、この企画、成功かしら」

「うん。大成功だよっ!団結、絆。全てが成長するよ!」

本当にそうだよね。
きっと、ふーちゃんや、他の子とも仲良くなれるし。
勉強も出来るし、団結力深められそうだもんねっ!

「6年1組到着ー!」

わたしがジャンプして教室に入る。
みんな、「おはよー」ってあいさつしてくれて。
わたしもみんなに「おはよう!」って返した。

「皆さんおはようございます。荷物を自分のロッカーに入れて、多目的ホールへ移動しましょう」

わたしがみんなとおしゃべりしている間に、ふーちゃん。
放送室へ移動してたんだね。
早い早い。
多目的ホールへ行くのは、怪盗日本が来たとき以来かも。
七井さんとおしゃべりしながら多目的ホールへ行く。

「適当に空いている席に座ってください。早く来た人から黙って待ちましょう」

ふーちゃんがマイクで呼びかける。
みんな、座ったら一瞬でシーンとなる。こういうところ、彦宮学園のいいとこだよね。
初等部みんなが集まると、ふーちゃんが前に出てお辞儀する。
わたしたちも、それに合わせてお辞儀した。

「今日は、中間テスト勉強お泊まり会です。初等部がお休み0で、とても嬉しく思います。一年生も、初めての中間テストですが、楽しみながらやっていきましょう」

ふーちゃんが言い切ると、各クラスの男の子が「おー!」とか「イェーイ!」って言って叫んでる。
楽しみだな〜!
早く、教室へ戻りたいっ!

218:まい◆8Q:2017/07/24(月) 17:03

17.放課に
まずは、30分間の放課。
長いから、いろんなことが出来るんだよね!
図書室、学食、購買、カフェが開いているんだ!
中等部や高等部が、下の部に来るのは良いけど、わたしたちが上の部へ行くのは禁止。
これを守れば、何をしてもオーケーなんだよっ!

「真美ちゃん、こっち」

隅木田くんに呼ばれて、初等部料理部のキッチンを借りることにした。
今からも、作れるものは作る。

「まず、分担。真美ちゃんと矢本ペアと、僕と坂宮ペアね」

もしかしたら、隅木田くん。
坂宮がわたしに告白してきたこと知ってるのかな?
だから、気を使って、何もない矢本くんとペアにしたのかな?

「真美ちゃんたちは、ケーキを作ってほしい。大きなケーキだ。僕たちは、チョコレートクッキー二枚の間に、生クリームを挟む。これを作る」

これは、みんなが食べるものだよね。
美・スイーツとかじゃなさそう。

「じゃあ、スタート」

隅木田くんが手を打って、矢本くんと一緒にケーキを作る。
ボウル、泡だて器、包丁、あとは…。

「多田本。生クリーム作ってもらってもいいか」

矢本くんが手を止めずにボウルと泡だて器をこちらに突き出す。
何となく、耳が真っ赤。
どうしたんだろう、矢本くん。

「おい、さっさと受けとれ」

は、はい。
ごめんなさい!
ボウルと泡だて器を受け取り、冷蔵庫の中から材料を取り出す。
線を繋いで、材料もあるし。
オーケー。
泡だて器で、ガーッっと生クリームを作る。
このまま、わたしはほぼ静止状態。
隅木田くんと坂宮を見ると、案外仲良くやってる。
ふふん。
告白の話は切り出さないんだね。
っていうか、切り出さなくて良かったよ、本当!

219:まい◆8Q:2017/07/24(月) 17:16

18.時間がっ!
 カチカチカチカチ
生クリームを作り終わって、スポンジを作っているところ。
時計の針の音がやけに大きく聞こえて時計を見上げる。
放課、あと5分じゃん!

「みんな、切りつけて教室行こう!」

隅木田くんは、時計を見て目を見開く。坂宮も、急いで材料を片付け始めた。

「矢本くん、片付けよ!時間がっ」

「うん」

返事はしてくれるけど、スポンジから目を離さず、わたしが言ったことは気にしてなさそうな…。
大丈夫なのっ?

「早くしないとっ!」

わたしが矢本くんを焦らせると、ようやく目を上げてくれた。
ふう。
もっと早く上げてくれたら、寿命も縮まないのにさっ。

「じゃあ、次の30分の放課に、各自ここに集まるように。解散」

隅木田くんが走りながら言い、みんな全力で走る。
ふーちゃんに見つかったら怒られちゃうよーっ!
6年1組に帰ると同時にっ。
 キーンコーンカーンコーン
隅木田くんや矢本くん、間に合えたかな?
ちょっと心配しつつ、椅子に座る。

「教科書、ノート、筆記用具を持って、図書室へ行きますよ」

前田先生が大きな声で指示して、急いで教科書類を引っ張り出した。
そして、背の順で並び、図書室へ移動する。

「はい、着席ーっ」

図書室のカウンターのところに前田先生が立ち、みんなを見回す。
わたしも目が合った。
でも、すぐにそらされちゃった。

「理科で分からないところ。本を使って調べながら解いていきます。この問題用紙と解答用紙は違うので、問題用紙に書き込まないでください」

へー。
そういう勉強法かぁ。

「分からないところは、友達と教えあってもいいですが、写したり、紙を見せてはいけません。いいですか?では始めましょう」

よーし!
秀才なふーちゃんに教えてもらうぞ!

220:まい◆8Q:2017/07/24(月) 17:32

19.秀花さん
理解が終わり、地理、歴史、数学も終わった。
今のところ、特別に10分放課があるんだよっ!
でも、このあとは、外でスポーツ。
学年で、中間テスト勉強お泊まり会オリンピックをやるんだって。
得意な分野のスポーツの代表になるとかならないとか。
わたしは、1000mに出るよっ!
ジャージに着替えて、グラウンドに飛び出る。
すると、グラウンドを走っている女の子を見かけた。
放課なのにスポーツかぁ。
その女の子は6年生だった。
人数が多いから、知らない子もいるわけだし、名前も知らない子がいる。
その女の子は、胸に杉田と刺繍があった。
杉田さんなんだ。
杉田さんは、わたしのとなりにいた女の子たちのところに来た。

「秀花、疲れないの?」

杉田さんは、へへへ。
と笑って、男の子のところに行く。

「秀花、すごいでしょ!」

うっ。
こういうのって、リア充が目立つよね。わたし、苦手かも。

「まーちゃん。あの子、秀花。わたしの双子の妹だよ。見た通り、美少女で秀才で、スポーツ出来る。あの男の子とは、付き合ってんのよ」

ええ、やっぱり。
ふーちゃんの双子の妹なんだ。
でも、美少女だなあ、かわいい。

221:まい◆8Q:2017/07/24(月) 17:50

20.オリンピック
ふーちゃんは、杉田さん(だと分かりにくいかなっ?)の話になると、ちょっと顔を沈める。
でも、ふーちゃんは学年1位。
すごいすごぉい!

「秀花の話なんてやめましょ。わたしなんて、どうせ地味、秀才かもしれないけど、運動出来ないから」

ごめんなさい、ふーちゃん。
なんか気分落ち込ませちゃって。
すると、ふーちゃんは前に出てマイクで話始めた。

「ただいまから、中間テスト勉強お泊まり会オリンピックを始めます」

ふーちゃんの司会で、オリンピックが開催される。
わたしたちはい組。
『いろはにほへと』の、『い』。
みんなが走っている時とか、高跳びで跳んでる時とかも。
体育祭の時にみんなが応援してた言葉を使って応援する。

「い組ーっ!優勝ーっ!ファイトファイトファイトファイト!い組ーっ!」

これを続けるっ!

「い組ーっ!優勝ーっ!ファイトファイトファイトファイト!い組ーっ!」


制服にエプロンを付けて、美・スイーツを作る。
ゼリー、かわいく出来るといいけど。
デコレーションして、最後。
イチゴをそのまま上に、ポン。

「ゼリー完成しましたー!」

隅木田くんが拍手してくれた。
あ、ありがとうございます。
次の作業。
ええっと…。

「真美ちゃん。多目的ホールへゼリーとケーキをこれで運んで」

隅木田くんに、台車のような物を渡される。
あちらこちらに、ゼリー、ケーキを入れて、エレベーターで多目的ホールへ行く。
ああ、楽しみだな、るんるんるんっ!

222:まい◆8Q:2017/07/24(月) 18:03

21.報酬が
「初等部から高等部の皆さん。僕たち明確スイーツ研究部メンバーで作った、このスイーツを食べていってください。各種そろえてあります。質問は、僕たちメンバー、隅木田優斗」

「矢本拓斗」

「坂宮陽都」

「多田本真美まで申し付けてください。では、どうぞ」

メンバー紹介もふくめて言い切ると、全校のみんながドッっと前に来る。
報酬ゲットだよーっ!
これで、わたしたちの仕事は終了になるね!
洗い物はあるけど。

「多田本さん、ありがとうございました」

彦宮先生が歩いてきて握手を求めてきた。
わたしは、満面の笑みで握手し返す。

「わたしたち、明確スイーツ研究部に、このようなチャンスをくださり、本当にありがとうございました」

彦宮先生は、次に坂宮、矢本くん、隅木田くんと握手する。
よし、あとは勉強を頑張れば!
中間テストの、お泊まり会も楽しむよっ!


みんな、家から持ってきたパジャマに着替える。
みんなが寝られて、教室は広く感じる。
前田先生は、家に帰っちゃったけど。

「まーちゃん、恋バナしよーっ!」

パジャマパーティーみたい!
休憩タイムだから、うるさくしてもいいんだよね。
マクラ投げ合ったり。
おしゃべりしたり。
プロレスごっこしたり。
その他みんないろんなことしてる。

「好きな人は?」

ふーちゃん、いません。
わたしの初恋終わったもん。
それより、ふーちゃんは?
首を横に振って、期待の目でふーちゃんを見る。

「はぁ〜。まーちゃんには叶わないのかしら。涼太よ、涼太」

えーっ?
涼太くんだったのぉー!?

223:まい◆8Q:2017/07/24(月) 18:07

22.最後に
「ちょっと、まーちゃん」

あの、ふーちゃんの幼なじみの、涼太くんだったんだね!
ふ〜ん。

「絶対ナイショよ」

うん、分かってるって。
 ピーンポーパーンポーン

「消灯時間5分前です。布団に入り、寝る準備をしましょう」

放送が入り、あたりがシーンと静まる。こんなに騒がしかったのにね。
ふーちゃんと目を見合わせて笑う。
涼太くんが電気を消し、教室が真っ暗になった!
怖いからっ!
ふーちゃんの腕を掴んで、ふたりで寝る。
この日は、月も綺麗に見えた。

             (つづく)

224:まい◆8Q:2017/07/24(月) 18:18

あとがき
               まい

こんにちは。
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイいかがですか?
ちょっと、面白くなかった?
なんて思ってドキドキしてます。
オリンピックが短かったり。
この8巻を終わらせ、新刊を書きたかったんだZE!
カッコつけてごめんなさい。
忘れてください。

皆さんは、中間テストでイヤな思いしたことありませんか?
わたしはあります。
終わってから失うものって多いので、初めからしっかりやることが大切になってくると思います。
(まいさん。カッコいいこと言わないことですよ。       byふみ)
わーん。
分かってるよお。

夏休み楽しいですよねー。
でも大変。
体に気を付けながら生活してくださいねーっ!
(まいさん、やめてください。あなた、カンペ読んでるだけでしょ。
             byふみ)
うっ。

っということで。
コメントをくださった方々、本当にありがとうございました!
質問、感想、受け付けます!
ではでは。
次回9巻の予告と行きましょう。
合唱コンクールが近づいているのに、6年1組で不登校が多発!?
明スイ解散!?
わたしと、真美ちゃんと。
応援してください。
お楽しみに!

225:まい◆8Q:2017/07/25(火) 09:28

『ここは明確スイーツ研究部!9』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。
明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

226:まい◆8Q:2017/07/25(火) 10:30

1.児童会長へ!
七井さんに、一票!
ただいま、後期学級委員を決めてる。
ふーちゃんこと杉田ふみちゃん。
ふーちゃんは、前期学級委員長。
みんなの頼りになるふーちゃんがいないときも、率先して物事をやっていたから。

「多くの票を集めた、七井さんに、学級委員長になってもらいます」

辺りから、拍手が流れる。
七井さんは、立ってお辞儀した。
礼儀正しいところも、素晴らしい。

「学級委員を、大橋くんにお願いしたいと思います」

また、辺りから拍手が流れる。
七井さんと大橋くんかあ。
となりの席の根本くん、大橋くんと仲良しだから、わたしの席で何かが行われるかも?
ゾークゾクゾク。

「次に、後期児童会選挙に出たい人、挙手をお願いします」

わたしは、まっすぐ手を挙げる。
児童会長に、立候補するんだ。

わたしは、多田本真美。
ここ、私立彦宮学園に通う小学6年生だよっ!

すると、前田先生が原稿用紙を2枚持ってきた。

「ここに、選挙で読むことを書いてください。推薦者も探すように」

はい、分かりました。
そこに、大橋くんも立候補し、そこに乗った根本くんも手を挙げた。

「あと女の子ひとり。やれる人いませんか?」

前田先生が辺りを見回すと、手を挙げた女の子がひとりいた。
その子は…陽茉理ちゃんじゃん!

「わたしやりたいです!」

前田先生は、陽茉理ちゃんにも原稿用紙を渡して、手を打つ。

「じゃあ、原稿用紙を書いてくるようにすること。明日までに」

明日!?
児童会選挙って、明明後日だよね。
練習時間もふくめるから、明日ってこと!?
やっぱり、ちがうな。
公立は、もっと遅いのに。
わたしのいとこ、葉金井睦美ちゃんは、類木川小学校の児童会長。
原稿は、3日後までだったのに。
私立って、どうしてこんなに早いの!?

227:まい◆8Q:2017/07/25(火) 13:25

2.明確ゼミ
家に帰ると、明確ゼミナールという塾の準備をした。
わたしは、私立青山野学園に受験するつもり。
だから、明確ゼミを毎日コースにしたんだ。
だけど、今日は別。
原稿用紙を仕上げるから、ちょっと時間を短くするんだ。

「行ってきます」

家を出て、私服のスカートをなびかせて歩く。
そろそろ11月ということもあって、さすがにちょっと寒い。
明確ゼミのスクールバッグを片手に、電車に乗る。
いつもなら、自転車で行ったり、ウォーキングのために歩いたり。
おばあちゃんの車で乗せてもらったりしてね。
でも、受験、青山野学園に通うとしたら、電車を利用しないといけない。
それに、本を見ながら原稿の書き方を学んでいくんだ。

「あれ、真美ちゃん。明確ゼミへ向かってる途中?」

「うん。香音ちゃんって、明確ゼミに通ってるっけ?」

そう。
わたしのとなりに座っているのは、矢本香音ちゃん。
陽茉理ちゃんの、双子の妹。
私立百合千学園に通ってるらしい。

「陽茉理は、頭良いからいいけど、わたしはバカだから、通わされたの」

香音ちゃん、頑張ろうね。
晴奈ちゃんが言ってたけど、香音ちゃんも、陽茉理ちゃんと同じ学校に受験するんだよね。
偏差値の高い。

「わたし、前の車両行くから。バイバイ、真美ちゃん」

バイバイ。
心の中で言って、本に集中する。

「真美ちゃんですか、あなた」

228:まい◆8Q:2017/07/26(水) 08:30

3.女の子の正体は?
椅子がたくさん空いているのに、吊革に掴まってわたしの前に立つ子。
それは____み、実柚乃ちゃん!?

「あぁ、真美ちゃんかぁ。よかった。実柚乃、間違えたかと思ったぁ」

実柚乃ちゃんは、わたしのとなりに黙って腰掛け、持っていたトートバッグを膝に置く。

「真美ちゃんは塾行きでしょ?明確ゼミ?実柚乃、明確ゼミのとなりの、お料理教室に今日から通うの」

実柚乃ちゃんは、トートバッグの中身を見せてくれて、ふふふと笑った。

「実柚乃、真美ちゃんみたいに頭よくないから、副教科でカバーするの」

副教科とは、技術アンド家庭科。
美術。
音楽。
最後に保健アンド体育。
お料理教室って言ったら、家庭科。
わたし、自分で言うのもあれだけど、家庭科も技術も結構得意っ!
ただ、ちょっと苦手なところも…。

「実柚乃さぁ、お料理得意だから、とにかくお料理の腕を極めるの!」

へぇ、カッコいい。
わたしとは全然違うな。

「実柚乃と、帰り一緒かなあ?9時の電車に乗るんだけど」

「同じ時間だよ。実柚乃ちゃんと」

わたしが、実柚乃ちゃんの方を向いてにっこり笑うと、実柚乃ちゃんは手を合わせた。

「わぁー、本当〜?じゃあ、お料理教室の前で待ち合わせて、実柚乃と一緒に帰ろう」

初めてのことだったから、わたしの目は点、点、点っ!
みんな、わたしのこと知らなくて、明スイでようやく気づいてもらえたのに、近付いてくるのは明スイめあて。
うぅ、友達として来てくれるのは、実柚乃ちゃん、久しぶり。
ありがとう。

『次は〜、大見〜大見〜』

電車のアナウンスが入って、降りる準備をする。
ここ、大見駅から、歩いて3分のところに、明確ゼミがある(はず)。

「実柚乃と一緒に行こ!」

誘ってくれて、雑談を交わしながら明確ゼミへ向かう。
こんなに足取り軽やかなのは、初めてと言っても過言じゃない。

「じゃあ、真美ちゃんバイバイ。後でここ集合ね!」

「んっ!実柚乃ちゃん、バイバイ!」

229:まい◆8Q:2017/07/26(水) 12:57

4.ケンカ!
実柚乃ちゃんと別れて、明確ゼミへ行く。
玄関の、多田本真美と書かれたロッカーに靴をしまい、上靴に履き替える。

「真美ちゃん、実柚乃ちゃんと仲良しなの?」

え、誰が話してるの?
今日は、知らないところで話したり、謎の人が話しかけたり、多いなあ。

「どちら様ですか?」

誰もいないところに話しかけると、壁に持たれていた隅木田くんがいた。
気付かなくて、すみません。
ペコリと謝ると、クスッっと隅木田くんは笑った。

「今日の一時間目が終わったら、毎日コース相談室へ来て。絶対来てね。これで終わりだ」

『終わりだ。』
その言葉の意味はふたつに別れる。
ひとつ目は、これで話は終わりってこと。
ふたつ目は、集まるのが終わりということ。
うーん、どっちだろう。
ふたつ目であってほしくないけど。
隅木田くん、ボンヤリしてて、悲しげだったもんな〜。
いやいや、そんなことないよ。
だってまだ、明スイの活動、8回しかしてないじゃん。
わたし、ヘンにとらえちゃダメじゃないの!

「真美ちゃん、聞いてっ!クラスの子の様子が、何かヘンなのっ!」

綾が飛ぶようにやって来る。
様子が、ヘン?

「真美ちゃん、とりあえず来てっ!」

う、うん。
詳しく、どういう風にヘンなの?
浮いてるとか?
みんなひとりぼっちとか?
ケンカしちゃったりした?
あとはぁ、嫉妬したり?

「真美ちゃんが開けて。わたし、もう怖くて開けられない」

綾に言われて、毎日コース室を開け、教室に入る。
別に、変わった様子はないけど。
綾の方を見ると、ビクッっとしている。

「さっきまで、ずっとケンカしてたのよ!きっと、みんなプンプンしてる」

ケンカしちゃったの!?
確かに、みんなそっぽ向いて、ツンツンしてる。
鉛筆を持ってきてる人は、鉛筆の芯をバキバキ折ったり。
シャーペンの人なんかは、シャーペンを解体して、バネで遊んだり。
消しゴムを小さく、何個かに分けて、ゴミ箱に捨てたり。
文房具勿体ないよっ!
あわてて、すぐ近くにいた子に聞いてみた。

「わたし、もう、明確ゼミやめるよ。こんなところで勉強したくないもん」

ええええーーっ!
すぐ近くの子にも聞いてみる。

「僕、もう絶対ここの教室来ない。違う教室に変えてやる」

どうしてみんな!?
先生が入ってきて、「こんばんは」とあいさつされるけど。

「…ん…は」

って、声ちっちゃい!
本当にみんな、どうしてケンカなんてしちゃったの!?

230:まい◆8Q:2017/07/26(水) 13:11

5.児童会長への道
「声が小さいですね。どうしたんですか?」

みんな、シーンとなっちゃう。
出来るだけ、目を合わせないようにしてね。
そして、綾が手を挙げる。
当然、先生は綾を指すよね。

「ちょっと、いろいろあったみたいですから。わたしたちで何とかするので、先生は気にしないでください」

おおぉ、綾偉い!
確かにその通りだよね。
って!
実感しているだけじゃ、児童会長になんかなれっこない。

「先生。連絡をお願いします。美先さんが言ったように、わたしたちのことは、わたしたちで引き取ります」

となりに座っていた綾が、親指を上げる。
グッドって意味。
わたしも、綾にグッドをし返す。
ちょっとは、児童会長への道が開けたかもしれないよね。
多分。

「じゃあ、美先さんと多田本さんがそう言うので、みんなで何とかしてくださいね。はい、連絡するよ!」

先生がいろいろ連絡している時も、みんな先生の方を見ていない。
外見てたり。
爪を見てたり。
友達見てたり。
はたまた、ドアを見てたり。
先生を見ている人は、わたしと綾しかいない。
どうすれば、みんなが仲直りできるんだろう。
うーん?

「では、15分休憩です」

先生が手を打ち、教室から出る。
綾が前に出たから、わたしも一緒に前に出ることにした。

「みんな、どうしたの?仲良く楽しくやっていこうよ!ね、真美ちゃん」

綾に言われて、わたしは大きくうなずいた。

「わたし、勉強って、心と心をつなぐ魔法だと思うの。将来への道でもあるんだけどね。みんなでやろう」

みんなに訴えるように、見回して言うけど、聞いてくれる人なんていない。
聞いてくれなかったら、言っても無意味だし。

「聞いて…!お願い、聞いて!」

綾が大きな声で言って、ようやくみんな顔を上げてくれた。
よし、この調子っ!

231:まい◆8Q:2017/07/26(水) 17:01

6.決死の結論
「みんな、勉強は楽しくやろうよ!未来、夢がある?それはみんな一緒!みんなの夢をみんなで叶えていこう」

綾が訴えるようにみんなを見回す。
すると、クラスで一番静かな子が手を挙げる。
綾はその子を指す。
まるで授業みたいだなぁ。
その子は立つ。

「未来は、自分で変えるもの。他の人が絡んできては、素晴らしい未来にはなりません」

まあ、自分で変えるものって言いますけど、それは努力次第でしょ?
楽しむと努力は違うんじゃ。

「とりあえず、仲直りしませんか?」

綾が言うと、また辺りはシーンとなりそうな中。
わたしの後ろの席の子が手を挙げる。
綾は、もちろんその子を指すよね。
そしたらその子、こう言ったのよ。

「さっきのAグループとBグループで別れて、クラスにしちゃいましょう。毎日コースA室、B室にするのよ」

ええええ!?
別れちゃうの?
そんな報告、先生に出来ないよ!
すると、みんな「そうしましょう」とか、「それでいい」って!
いやいや、よくないよっ!

「もういいだろ。それで」

男の子が席を立って、「Aグループ集合!」なんて手を挙げてる。
Aグループらしき子たちは、そこに集まるでしょう?
すると、やっぱりBグループも集合しちゃうのよ。
所属していないのは、わたしと綾。

「真美ちゃん、どっち入る?」

Aグループの女の子が、肩をトントンと叩いてきて、わたしはまたもうーんと唸る。
人数も同じくらい。

「真美ちゃん、わたし、Bグループ入るから」

綾は、Bグループの方へ歩み寄る。
ずっと訴えてたのに、綾。
もう別れるのに賛成なの?

「この流れで、真美ちゃんもBグループ来ちゃえば」

「人数合わせるために、Aだろ!」

「人数なんて関係ないわ」

あわわわわ。
どうしたらいいの〜?
すると、救世主様、先生が来た。

「結論はどうなったの?多田本さん」

わたしは、ふたつのグループに別れてしまったことを話した。
すると、先生は特大ため息。
何度もため息、出るよね。
わたしも、小さいため息してるもの。

「毎日コースは、受験や、学力急アップのため。それが出来ないようじゃ、意味がないわ。普通のクラスへ戻ってもらいますよ」

ああぁ、それはそれで困るぅ。
すると、先生は突き放すように言ってしまったの。

「もういいわっ!毎日コースはもうおしまいよっ!」

えええええええええ!

232:まい◆8Q:2017/07/26(水) 17:14

7.昔の友達
そして、わたしは普通のクラスの教科書が家にあるし、親のハンコで普通コースに戻るから暇だった。
帰っても、おばあちゃんいないし。
早く帰ったとしても、実柚乃ちゃんを置いていきたくないし。
明スイの用事があるし。
だから、わたしは先に相談室で待っていることにした。
ちょうど原稿用紙も持ってるから、原稿を書きながらね。
毎日コースの教科書、高かったのに。
一冊5500円が五冊。
つまり、27500円だったのに。
ま、受験の時使えばいいか。
おばあちゃん、わたしの説得が上手くなくて、ごめんなさい。

「あれ、多田本さん」

相談室の入り口を見ると、6年2組の、ずーっと前に遊んでいたっ!

「亜子ちゃん!?」

その後ろには、みゆさん、かんなさんにさとこさん。
ちょっと、五年の時を思い出すっ!

「やっぱり真美ちゃんか」

「亜子ちゃんたちも、明確ゼミ入ったの?」

ちょっと怯えながら聞くと、4人は顔を見合わせた。
何?
イヤな予感?
でも、全然ヘンな予感はしない。

「真美ちゃんと仲直りしたかったの」

えっ?
わたしと、ナカナオリ?
どうして今?

「わたし、真美ちゃんの幼なじみの晴奈ちゃんまで仲間にして、わたしダメだなって思ってた」

思ってくれてたんだ、一応。
そこは微妙に嬉しいかも。
当時は思わないと思うけどっ!

「ごめんなさい!」

亜子ちゃん、みゆさん、かんなさん、さとこさんが声を合わせて謝った。

233:まい◆8Q:2017/07/26(水) 17:34

8.最後の約束
わたしは、ちょっとビクンとする。
これがワナだったら、どうなるのかって、ビクビクする!

「お願い、許してっ!このまま卒業するなんて絶対イヤ!」

亜子ちゃんは、イヤ、イヤ!って言うけど、ちょっと許せない。
わたしが学校に行きたくなくなって、イヤだったのに、憧れのバドミントンも出来なくなったのに!
亜子ちゃんの口から『イヤ』って言葉が出てくるんだもの。

「真美ちゃん、お願いしますっ!わたし、本当に後悔したんだよ!反省して仲良くするって誓うから!お願い!」

亜子ちゃんは、目に涙を浮かべている。そんなに苦しいことか。
そんなにしなくちゃいけないことか。
亜子ちゃんが、それくらいで泣いて、わたしはいじめられて泣かなかった。
もう、ワナにしか聞こえない。

「多田本さん、亜子を信じて。わたしも反省したよ」

みゆさん…、本当?
すると、次はかんなさん。

「わたし、亜子とみゆとさとこと、泣きながら心の中で謝ったの。ね?」

最後にさとこさん。

「本当に、ごめんなさい!」

もう、ワナじゃない気も、してきた。
本当に反省してくれて、仲良くしたいって、心から思ってくれてるって。

「わたし、辛かった。すごく。楽しい生活が送りたかった。わたしと、ずっと仲良くして償ってくれる?」

わたしが四人に聞くと、すごい早さでうなずいてくれた。
わたしも、原稿用紙に涙を流して、みんなで泣いた。

「最後の約束、いい?ずっと仲良くして、償うことね!」

234:レミリア◆63Y:2017/07/26(水) 19:05

来たよ!最近、来なくてごめんね!
原稿用紙に涙?!私も涙がぁ……

235:まい◆8Q:2017/07/26(水) 20:38

いえいえ。大丈夫。
レミリアも小説書いてるもんね。
原稿用紙が濡れるくらいの涙。
(まいさん、そんなに泣いてません。
             by真美)
わーん、ごめんなさぁい。
お互い頑張ってこーね!

236:まい◆8Q:2017/07/26(水) 20:52

9.お出掛け!
わたしが持っている原稿用紙を見て、亜子ちゃんたちは気付いたみたい。

「児童会選挙に出るの?」

亜子ちゃんに聞かれて、照れながらうなずいた。
そしたら、さとこさんが手を打った。

「償いその1。原稿を手伝おう!」

「さとこさん、待って。原稿は、ひとりで書く」

「そうだね、多田本さんの想いを乗せて、だもんね」

かんなさんも、うなずいてくれた。
わたし、多田本さんって呼ばれてる。
亜子ちゃんには、真美ちゃんなのに。
みんなに、思いきって提案しよう。

「亜子ちゃんたち!名前で、呼び合わない?わたし、みゆちゃん、かんなちゃん、さとこちゃんでいい?」

3人に聞くと、みんなうんうんってうなずいてくれたし。
亜子ちゃんなんかは、「絆誕生でござる」なんて言って。

「真美ちゃん、児童会の役割、何がやりたいの?」

みゆちゃんが身を乗り出す。
かんなちゃんとさとこちゃんがじゃれあいながら身を乗り出してきて。
最後に、亜子ちゃんがふふふと笑いながら身をよじる。

「児童、会長だよっ」

上目使いにすると、3人はテンションマックスで笑い出す。
何が面白いんだか、さっぱり。

「亜子、みゆ、さとこ、真美ちゃん。また今度遊ばない?」

「いいよ!わたし、スミレッチカフェ行ってみたい」

わたしがみんなに提案すると、またまたテンションマックス。
はあ、笑う時間、長いんだよねえ。

237:まい◆8Q:2017/07/26(水) 21:38

10.突然の出来事
 キーンコーンカーンコーン
「亜子ちゃんたち。明確生じゃないなら、出た方がいいよ!ここ、利用者いるから」

亜子ちゃんは、わたしに手を振って、走るように帰っていった。
これで、みんなとケンカしない限り、卒業しても心残りはないよね。

「失礼します。隅木田です」

あ、隅木田くんが来た。
わたしは、スクールバッグに原稿用紙を突っ込む。
坂宮と矢本くんも来て、明スイ活動が始まる。
今回はどんなことするの?
ワクワク。
でも、隅木田くん話し出さなくて。
何が言いたいのか、さっぱり。

「どうして集まったんだ」

坂宮が、隅木田くんをにらむ。
矢本くんとわたしは、顔を見合わせる。だって、坂宮の意地っぱり。
すぐそうやってにらむんだから。

「今日で、明スイは終わりだ。開催。今までご苦労だった。これからは楽になるといいよ。じゃ、それだけ」

そう言い残して、相談室を…立ち去るつもりっ?
わたし許さないよっ!
坂宮たちも同じ気持ちだったらしく、代表して坂宮が前に出た。

「どうしてだよ。お前」

今度は、別にちょっとくらいにらんでいいよっ!
そういう目で坂宮と隅木田くんを見る。隅木田くんは、ため息をつく。

「もう、明スイがウンザリだよ。この気持ちをみんなにも味あわせたくないんだ。もうやめよう」

ウンザリ?
明スイが?
どうしてそんなのになっちゃったの!?
わたしが隅木田くんを見ると、隅木田くんと目があった。
どうしたんだろう。
悲しげで、うつろ。
目が泳いでいる。

「隅木田先輩って呼んでほしい。多田本さん」

え…何で。
突然のことで、意味が分からなかったんだけど。
わたし、意味が分かった。
それは、もう僕とは関わらないで。
ってことだと思う。
本当に悲しかった。
明スイも、わたしも捨てられた気がして、情けなかった。
わたしたちって、小さいんだ…。

238:まい◆8Q:2017/07/26(水) 22:00

11.メガネファッション
隅木田くんが帰った後は、坂宮はサッカーへ。
矢本くんは野球へ行ってしまった。
ひとりぼっちで、今日二度目の涙を流した。
どうして解散なの!?
わたし、明スイが大好きだったのに。
その日、実柚乃ちゃんと約束した時間までずーっと泣いていた。
気付けば、目の下はパンパンッ!
これじゃあ、実柚乃ちゃんにバレちゃうし、おばあちゃんにもっ!
慌てたわたしは、明確ゼミのおしゃれメガネっていう女の子向けのコーナーへ行ってみた。
ドが入ってない、かわいいやつ。
それでかけたのが、赤い縁あり明確。
これで、痛くてふくれたって言えば証拠隠滅っ!
わたしは、メガネをかけてお料理教室へ!
もう、実柚乃ちゃんは待っていた。

「ごめんなさい、遅れて」

「うんん。いいの。あれ、メガネ。真美ちゃん付けてたっけ?でも、かわいいメガネ〜!」

でしょでしょ!
実柚乃ちゃんに、メガネを外して見せた。
、、、あああ!
メガネ取っちゃった!
慌てて実柚乃ちゃんからメガネを奪い取る。

「ああ、ごめん。いつもコンタクトだから、メガネないと見えなくて」

ウソ言ってごめんなさい!
でも、実柚乃ちゃんは見逃さなかったのよ!

「このメガネ、ド、入ってる?」

「あ、視力いい人でも、メガネによって合うのもあるの。きっとそれよ」

うんうん。
メガネをかけ直して、電車に乗る。
実柚乃ちゃんお願い。
気付かないでえ!

239:まい◆8Q:2017/07/26(水) 22:01

皆さんに連絡です。
コメントをくださった方へのコメントは、あとがきで紹介させていただきますので、お願いします。

240:まい◆8Q:2017/07/27(木) 08:45

12.ゆびきりげんまん
「まあいいや。コンタクトだなんて知らなかった。実柚乃、いつもメガネかけてるけど、こんなにボヤけたメガネ初めてだったから。実柚乃って目、悪くなったな。メガネになるのギリギリだったのに」

あー、それ以上言わないで!
わたしが目が悪くないことバレちゃうからっ!

「真美ちゃん聞いて!わたし、私立青山野学園に受験するの」

「え、実柚乃ちゃんも?」

「真美ちゃんも青山野受験するの!?」

わたしは、縦に首をブンブン振るっ!
だって、仲間がいるし、安心っ!
実柚乃ちゃんも同じ気持ちだったらしく、にっこり笑った。

「真美ちゃんが一緒なら、実柚乃、安心して青山野受けれる!一緒に頑張ろうね!」

実柚乃ちゃんと、絶対ふたりで青山野に受験するゆびきりげんまんをする。
久しぶりだなあ。
ゆびきりげんまんしたの。
確か、前にしたのは…。


「まみちゃん、まみちゃん!これからず〜っと仲良くするって、約束!」

「いいよ!はるなちゃん。せえの!」

「ゆびきりげんまん。ウソついたらハリセンボンの〜ますっ!ゆびきった」

はるなちゃんと保育園のときにやったゆびきりげんまん。
ふふふ、実柚乃ちゃんとゆびきりげんまんしたの、初めて!
あ、当たり前か。

「真美ちゃん、ごめん。実柚乃、もう降りないと。バイバイ」

「バイバイ!」

実柚乃ちゃんが降りて、スクールバッグに突っ込んだ原稿用紙を出す。
涙で濡れたのもあるけど、グシャグシャになっちゃった。
ガーン。
どうしよう!
もう、文房具屋は閉まってる。
だけど、このまま書いたら破れそう。
ううぅ。

「次は、彦宮〜。彦宮〜」

あ、そうそう。
彦宮学園の校長先生、彦宮先生が、ここを彦宮駅にしたんだって。
だから、わたしが利用するのは彦宮駅になるんだ。
電車から降りて、まっすぐ歩けば家。
わたしは、原稿用紙を握りしめて家まで走った。

241:まい◆8Q:2017/07/27(木) 09:03

13.あら、そんな機器を
家に入り、手を洗って、スクールバッグの中から原稿用紙を出す。
おばあちゃんに見せて、どうにかしなければ。

「おばあちゃん」

グシャグシャの原稿用紙を見せて、うつむく。
メガネをかけてることは、気付いてるだろうけど…。

「そのメガネどうしたんだい?」

「ああ、ちょっとかけてみようと思って、明確ゼミのおしゃれメガネをかけてみたの」

おばあちゃんは、ため息をつく。
いけないことだったかな?
ちょっと先へ行ってみる。
受験勉強に専念しなさいってことだよね、多分。
おばあちゃん、ごめんなさい。

「ちょっと、中学校へ行ってかけるようになっても、慣れてるようにするためだよ。ちょっとお試し!」

ウソがバレたかなぁ?
おばあちゃんはホッっと息をつき、にっこり笑った。

「そのグシャグシャの原稿用紙はなんだい?」

「ああ。わたし、児童会選挙に出るから、原稿用紙を明日までに仕上げないといけないの。その原稿用紙がグシャグシャになっちゃって」

おばあちゃんに原稿用紙2枚を渡すと、なぜかクスッっと笑うっ!
亜子ちゃんたちと言い、おばあちゃんと言い、何が面白いのっ!

「真美ちゃんは、もうちょっと周りが見えたらいいねえ。コピーしたらいいんじゃないかい?」

おばあちゃんがコピー機を指差す。
そ、そんな手が!
おばあちゃんは、失敗したときように、3枚印刷してくれた。
グシャグシャのは捨てて、計4枚。

「本当にありがとう!わたし、原稿書いてくる!」

部屋に行って、原稿用紙、シャーペンに消しゴム、わたしの対決。

「真美ちゃ〜ん」

「はい」

開始早々おばあちゃんに呼ばれる。
おばあちゃんは電話機を握りしめている。
戦い中によくある、電話が来る!

「代わりました、真美です」

「わたし、陽茉理。原稿ってどんなこと書くの?」

あ、陽茉理ちゃんか。
これを言ったら、間違いなくネタバレだよね。

「わたし、分かんなくて。教えて」

「ごめんね。わたしも、今から書くものだから」

「そっか〜。ごめんね〜」

 ピッ
よし、戰開始だ〜!

242:まい◆8Q:2017/07/27(木) 18:26

14.秀花さんをかばって
 ピーンポーン
ドアフォンが鳴って、おばあちゃんが出た。
秋の風が入ってきて…。
寒いよぉっ!
あわててカーディガンをギュッっと握る。

「真美ちゃん、杉田さんよ」

「はいはーい」

髪の毛をキュッっと縛る。
わたし、髪の毛短いけど、やっとポニーテール出来るようになったの。
だから、ポニーテール。
カバンを引っ付かんで、外に出る。
ふーちゃんが、いつもの児童会長様じゃなくて、かわいい女の子で立って待っていた。

「お待たせしました!おばあちゃん、行ってきます」

今日は、わたしの大好きな彦宮特別日なの。
必ず私服登校。
カバンも、ランドセル、スクールバッグは禁止。
ちょっとは学校でも休もうという企画なんだよっ!
教科書は持ってくんだけどね。

「まーちゃんかわいい!カーディガンが、色合い鮮やかで素敵ね」

「ふーちゃんこそ。パーカーによくあった短パン。おしゃれは我慢だね」

目がふくれてない今日は、メガネはもうかけてない。
ふーちゃんにもバレないから、ホッ。

「あ、まーちゃん、カバンかわいい。これって、最新ドラマで使ってるってウワサのトートバックじゃん!」

「ふーちゃん、よく気付いたね。おばあちゃんが、そのドラマハマったらしくて。応募したら当たったんだって。わたしにくれたの」

ふーちゃんは、羨ましそうにわたしのトートバックを見た。
おばあちゃん、わたしにくれたけど、ミシンでもうひとつ作ってるんだ。
飾り用って。
おばあちゃんに教えてもらって、わたしがふーちゃんにプレゼントするぞ。

「ふーちゃんって誕生日いつ?」

「わたし?12月31日。大みそかだから、ちゃんと祝えないのよね。だから毎年、おせち食べるとき」

大みそか。
それはそれで、ちょっとイヤかも。
わたしの誕生日は、3月11日。
東日本大震災が起こった日。
わたしが祝われる日は、毎年黙祷するんだ。

「真美ちゃ〜ん!ふみ会長、おはようございま〜す」

実柚乃ちゃんが駅から走ってきた。
そう言えば、実柚乃ちゃんは電車通学かぁ。
いつも、わたしの家の前通ってたんだね。

「実柚乃も一緒にいい?」

わたしがうなずくと、ワンピースをなびかせてとなりに並ぶ。
ふーちゃんは、実柚乃ちゃんのワンピースのキジに反応。

「これって、秀花が持ってるワンピースにそっくりね」

「へ〜。シュークリームと一緒なんだ。実柚乃、やだ〜」

「実柚乃さん。シュークリームって?いやってどういうこと?」

ふーちゃんが顔を険しくして聞くと、実柚乃ちゃんは人差し指を口元にあてた。

「シュークリームって秀花ちゃん。ふみ会長と違ってウザいじゃん?プライド高いんだよね、いちいち。そんな人と一緒って、やだ〜」

やっぱりと思ったけど、もう遅かったんだ。
ふーちゃんは、実柚乃ちゃんをにらみ、こう言ったんだ。

「秀花の悪口言うなら、わたしの悪口言えば。お願いだから秀花を汚さないで!」

ビックリした。
こんなに勢いがあって。
そして、ふーちゃんはすぐ走って学校へ行ってしまった。

243:まい◆8Q:2017/07/28(金) 15:34

15.気さくな子
実柚乃ちゃんはハッっとして、駅の方へ走っていってしまう。

「実柚乃ちゃん!」

でも、振り向いてくれない。
晴奈ちゃんが、わたしと実柚乃ちゃんの様子を、顔をしかめて見ている。
でも、もう今は気にしちゃいられない。わたしは、実柚乃ちゃんを追いかけようと、したの。

「ねえ、あなたが、多田本さん?」

って、秀花さんに腕を掴まれたの。
わたしの腕って細いから、秀花さんの大きな手の中にカッポリ。

「そうですけど。秀花さんですよね」

秀花さんはニヤッっと笑いながらうなずいた。
電柱のそばから、秀花さん出てきたから、聞かれてたっ?
秀花さんの方を見ると、ちょうど目が合った。

「実柚乃がそう思ってるとは思わなかった。わたし、ずぅっと実柚乃と遊んでたのに、シュークリームって」

秀花さんは、遠くをボオッっと見つめながら、瞳に涙をふくませる。
わたしのせいかもっ!
そう思ったから、トートバッグからハンカチを出す。

「秀花さん、これ」

「ありがとう。多田本さん。ふみが言ってた通り、いい子なのね」

ふーちゃん、秀花さんにもわたしのこと話してたんだ。
何か、嬉しいなっ!

「多田本さん、仲良くしましょう。秀花って呼んでね」

「はいっ!わたし、真美って呼んでくださいっ!」

ふたりで、並んで学校へ向かう。
足取りが軽い。
実柚乃ちゃんと一緒に電車で帰ることになって、明確ゼミへ行くときも、足取り軽やかだったのに。
でも、実柚乃ちゃんのことなんて、今言えないよね。

「真美ちゃんってさ、付き合ってる?わたし、付き合ってないけど」

「ええ?付き合ってないんですか!?」

わたしは、オリンピックの時を思い出した。
あれは、中間テストのオリンピックって企画だったんだけど。
秀花さん、すごく仲良しな男の子いたのに。

「わたし、受験するから別れたのよ。だって、付き合ってる暇ないし、寸前で別れるのもイヤじゃん?だから」

だけどわたしは、あえて相手を聞かなかった。
秀花さんの瞳に映っているのは、悲しげな気持ちだったから。
もしかしたら、秀花さんの心かなって思ってしまったの。
実柚乃ちゃんにシュークリームって言われて、悲しいに決まってるもの。

「真美ちゃん受験する?」

「はい。私立青山野学園です」

「マジか!わたしと一緒じゃ〜ん!タメ口でいいからさ。ね?」

タメ口って、敬語じゃないののことだよね。
何だか、嬉しい。
今日初めて話したのに、タメ口で仲良くさせてくれるんだもの。

「秀花、その子誰?」

あ、オリンピックの時にわたしのとなりにいた子だ。
もう、学校着いたんだ〜。

「初めまして。多田本真美です」

244:まい◆8Q:2017/07/28(金) 15:57

16.ふたりともかばう!
出席確認の時、ようやく実柚乃ちゃんが来た。
ふーちゃんは、実柚乃ちゃんだと分かった瞬間目をそらすっ!
わたしも、ちょっと目をプイッってやっちゃったから。
みんなが、わたしとふーちゃんと実柚乃ちゃんに注目っ!
晴奈ちゃんは、あったこと知ってると思うんだけど。

「杉田さん、多田本さん、川西さん。後から先生のところへ来なさい」

すると、実柚乃ちゃんの表情はひきつるばかりっ!
だって、この原因って実柚乃ちゃんだもんね。
本当のことを話さなくちゃいけないとなると、実柚乃ちゃんは泣き出した。

「川西さん、とりあえず座って。後から聞くから」

前田先生は、実柚乃ちゃんをなだめるんだけど、実柚乃ちゃんは、わたしとふーちゃんを指差す。

「あのふたりがいじめてきてっ!わたし、怖かったから家に帰ってっ!」

いじめですって?
わたしもふーちゃんも、いじめてはないでしょ。
どうしていじめなんかに…。

「皆さんは、放課にしていてください。三人の人たち、相談室へ」

それでわたしたちは、6年相談室へ移動することになった。
前田先生は、思いっきり手を机にドンと叩く!

「まずは杉田さんから聞きますよ」

「はい。わたしは、いじめたつもりはありませんでした。ただ、実柚乃さんに、双子の妹の悪口を言われたので、カッっとなってしまいました。多田本さんは、一緒にいただけです」

いやいやいや、違うよ!
ふーちゃんだけに責任を負わせるようなこと出来ませんからっ!

「本当なの?多田本さん」

「はい。多田本さんは、全く関係ありませんから」

ちょっ、実柚乃ちゃん?
わたしを、ふーちゃんも実柚乃ちゃんもかばった。
どうして?

「多田本さん出なさい」

わたしの話も聞いてもらえず、わたしは相談室から出された。

245:まい◆8Q:2017/07/29(土) 10:35

17.涙、涙、涙っ!
教室へ戻ると、涼太くんが飛ぶように走ってきた。

「多田本さん、ふみちゃんは、大丈夫なのか?」

わたしは、追い出されたこと、ふーちゃんがかばったことを説明した。
すると、やっぱり涼太くんは冷や汗。
だってねぇ。
ふーちゃんの味方のわたしが、追い出されたんだものね。

「誰か、証人になる子いないの?」

わたしは、頭をフル回転させた。
今までにないくらい。
これが、テストでも出来たらいいんだけど。
…って!
そんなこと考えてる場合じゃない。

「いないんなら、多田本さん相談室へ行って!ふみちゃん、優しいから負けちゃうだろ!」

仲間、仲間…。
あ、あの人だ!
わたしは、秀花さんの教室に思いっきり走った。

「あ、真美ちゃん」

秀花さんが手を振ったけど、降り返さずに腕をガシッ!
ピンチだから、来てっ!
目線で伝えて、相談室に走る。

「証人を連れてきました。わたし、関係ないくらい普通の人じゃありませんからっ!」

わたしが叫ぶように言うと、秀花さんには熱気が伝わった、よね?
秀花さんは、わたしが元座っていた椅子に座った。
わたしは、椅子がなかったので立ったまま。
秀花さんが、本当のことをどんどん話していく。
ふーちゃんは泣いてるし。
実柚乃ちゃんはうつむいてる。
自分が嘘ついたってバレるもんね。

「ふみは悪くありません」

前田先生は、実柚乃ちゃんと話をするようで、わたしたちは相談室を出た。
瞬間のことで分からなかったけど、双子の絆ってことかな。
すごく秀花さん、かっこよかった。

「秀花ありがとう。本当に」

ここはふたりにしてあげよう。
と思って、教室に帰ろうとしたけど、わたしの頬にも涙っ?
とりあえず、顔を洗うけどっ!
全然落ちない。
どうして!?
とめどなく涙が出てくる。
グスン、グスン。

「まぁちゃぁん」

「ふぅちゃぁん」

わたしは、ずっと廊下でふーちゃんと泣いた。

246:Seira◆V6:2017/07/29(土) 12:44

まいちゃん、せいらだよ!教えてくれてありがとね。

全部読んだよ!
17話、私も涙、涙、涙っ!
続きが、た・の・し・み♡

247:まい◆8Q:2017/07/29(土) 12:48

いえいえ。
読んでくれてありがとー!
じゃあ、話し合いますか。

248:Seira◆V6:2017/07/29(土) 12:50

いーえ、読んでて楽しかった!
ん、そだね!

249:まい◆8Q:2017/07/29(土) 12:57

ありがとう!
ちなみに、誰推し?
リレー小説進行にする?

250:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:03

やっぱり無難に真美ちゃんかなぁ〜
可愛いしぃ〜健気だしぃ〜

251:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:05

コラボのやつ?いいんじゃないかな?
たぶん、リレーが一番やりやすいと思う。
…コラボって4人の小説を、ってこと?だよね?
レミちゃんは読んでくれたけど…まいちゃんとリリカちゃんは…読んだ?

252:まい◆8Q:2017/07/29(土) 13:07

やっぱり真美ちゃん!

リレーだよねぇ。
何を読めばいいの?
教えて教えて!(知らなくてごめんなさい)

253:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:09

私の小説だよ!

254:まい◆8Q:2017/07/29(土) 13:14

オーケー、みるみる!

255:まい◆8Q:2017/07/29(土) 13:15

ごめん、題名教えてもらってもいい?
ごめんなさい!

256:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:35

>>255
分かった、かな?

257:まい◆8Q:2017/07/29(土) 13:45

わかったよ!
すっごく自然で、続きが楽しみ。

258:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:49

なら、よかった!
…お、お褒めのお言葉、有り難く頂戴致しますわ、オホホホ…。

259:Seira◆V6:2017/07/29(土) 13:50

>>258
ごめん、照れ隠し…///

260:まい◆8Q:2017/07/29(土) 13:57

セイラちゃんカワイイ!
リレー小説って、私達が書いてるストーリーをコラボ?
それとも、新ストーリー?

261:まい◆8Q:2017/07/29(土) 14:07

18.驚きの関係
実柚乃ちゃんは、反省したらしくて、渋々か知らないけど、ふーちゃんと秀花さんに謝ったんだって。
よかったのかな?

「ふみちゃん!」

涼太くんが、泣き止んで、わたしのとなりにいるふーちゃんのところに飛ぶようにして来る。
みんな、もちろんこっち見るよね。
涼太くんって、ふーちゃん好きなのかな?
幼なじみにしても、この心配よう。
ねえ。

「真美ちゃん、ごめんなさい。実柚乃のせいでこんな風になって」

「大丈夫。反省したらいいよ」

実柚乃ちゃんはまだ泣いていたけど、わたしはふーちゃんが気になってたまらなかった。
顔が赤いふーちゃん。
そんなふーちゃんを心配する涼太くん。

「お似合いカップルよねぇ」

え?
カップル?
わたしは、ゆっくり実柚乃ちゃんを見つめる。

「真美ちゃん知らなかったの?ふたりが付き合ってること」

…えーーー?
全然知らなかったよ!

「昨日、涼太くんからふみ会長に告ったんだって」

そうだったのぉーー!?
ふーちゃん、教えてよ〜。
でも、わたしが知らないのに、どうして実柚乃ちゃん知ってるの?
もう一度、実柚乃ちゃんを見つめる。

「昨日、みんな大騒ぎだったよ。真美ちゃんに電車で言わなかったっけ」

言ってない、言ってない。
わたし知らないもの。
カップルだと思ってふたりを見ると。

「大丈夫よ。気にしてくれてありがとう」

ふーちゃん、顔真っ赤ーっ!

262:Seira◆V6:2017/07/29(土) 14:29

>>260
かわいくなんてないよぉ〜!///
ん〜、私はどっちでもいいけど…。

>>261
え!!!!!
しょ、ショーゲキ!!!これは、ビックリするね…!

263:まい◆8Q:2017/07/29(土) 17:02

レミリアたちにも聞かなきゃだよね。
とりあえず、レミリア呼ぼう!

感想ありがとう!

264:Seira◆V6:2017/07/29(土) 17:07

そだね。
うん、レミちゃん呼ぼうっ!

いえいえ〜

265:まい◆8Q:2017/07/29(土) 17:11

セイラちゃんたちの感想で元気付けられるよ〜。
ガルト(ガールズトーク)のところで、レミリア呼んできたよ!

266:Seira◆V6:2017/07/29(土) 20:55

>>265
そんなぁ…思ったことそのまま言ってるだけだから!v(*'-^*)b


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