ここは明確スイーツ研究部!

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1:モンブラン:2017/01/27(金) 22:06

文才とかないですけど、
見てくださったら嬉しいです。

267:まい◆8Q:2017/07/29(土) 22:10

そう思っててくれて嬉しい(涙)

268:Seira◆V6:2017/07/30(日) 08:54

>>267
あはは、そんな感涙するほどじゃ…笑

269:まい◆8Q:2017/07/30(日) 17:13

いえいえ、励みになりますから〜

270:レミリア◆3es:2017/07/30(日) 17:38

ヤッホー!もう少しで、>>300だね!頑張ってね!

271:まい◆8Q:2017/07/30(日) 19:24

レミリア、ありがとー!
もうすぐ、レミリアのスレも200じゃん!
レミリアも頑張ってね!

272:まい◆8Q:2017/07/30(日) 19:46

19.スマフェスの力で
部活の時間。
文化部だけは私服で出来るけど、運動部は部T(部活Tシャツ)だから、運動部は今日ないんだ。

「ふーちゃん、教えてくれればいいのに。わたし、涼太くんと付き合ってるなんて知らなかったよ」

ふーちゃんが、スマホを片手にわたしを見る。
最近、ふーちゃんはスマホを買ってもらったらしいんだけど、スマホでフェスティバルやってるんだって。

「でもさぁ、帰ってからのことで、真美ちゃんがね?みんなにバレたから、きっと真美ちゃんも知ってるかと」

全然知らないよ〜。
チロッっとふーちゃんのスマホを覗き込むと、スマフェス争いと書いてあり、ルールが書いてあった。
明確スイーツ研究部、解散?
解散しない?
とあった。
明スイがスマフェスで争われるの?

「隅木田先輩が、明スイ解散って言ったから、みんなが騒いでて、このニャンニャンフェスティバルってアプリで、争うの。わたしは、もちろん続行を願うわ」

これって、スマフェスって言われてるのもあるけど、ニャンフェスって呼ばれてるのもあるんだよね。
スマフェスで、明スイ解散か決められるなんてイヤだ。

「ふーちゃん、勝ってほしいけど、わたし、絶対解散させないから」

強い目線でふーちゃんに言うと、わたしは中等部料理部へ行った。
隅木田くんに、しっかり話すために。

「失礼します。隅木田先輩いますか?ちょっとうかがいたいことがあって来ました」

料理部の部員さんの中に、隅木田くんがいて、一瞬こちらを振り返った。
となりの子に何かを話して、道具を置いてこっちに来てくれた。

「隅木田先輩、ちょっとこちらに来ていただいてもいいですか」

部員さんがいたので、敬語で話す。
料理部前ラウンジに移動すると、わたしはきっとみすえた。

「どうして明スイ解散になっているのか、詳しくお願いします」

「ごめんなさい、僕、明スイに迷惑かけてばかり。多田本さんといる資格なんて、ないよ」

「資格ですか?あります!わたし、隅木田くんといたいです。ずっと!」

わたし、隅木田くんや坂宮、矢本くんがいてこそ。
明スイが成り立っていると思う。
わたしはいなくてもいいかもだけど、隅木田くんはいなきゃ…!

「お願いします!わたしにチャンスをもう一度ください!戻ってきてください、お願いします!」

わたしが何秒か頭を下げていると、隅木田くんが鼻をすすった。
ちょっと顔を上げると、目にちょっと涙を浮かべてる。

「一度じゃなくていいよ。明スイに、戻っていい?…またつくって」

「はい!」

わたしたちが、ハッピーエンドになっているところで、気付かなかったけど、料理部でひとり、バッドエンドになっている人がいた。

「チッ、せっかく解散するところだったのに」

273:まい◆8Q:2017/07/30(日) 20:21

20.元に戻って
その日、また普通クラスに戻って授業を受けた。
教科書とか元に戻してね。
だから、難しくなくて発言できるっ!
今日は明スイの集合もかかってるわけだから、すっごく嬉しい。

「真美ちゃん、スマフェスで、明スイ解散か、解散しないかってフェスしそうだったけど、解散しないって明スイで決めたらしいね。さすがっ!」

わたしは、明スイを改めて誇りに思うようになったんだ。
隅木田くんとの話し合いを通してね。
きっと、もうこんな風になったりしないから。
そう断言できる。

「ありがとうございましたっ!」

授業が終わり、談話室へ飛んでいくように走っていくと、もうみんなが座っていた。
矢本くんは、ルービックキューブやってて、隅木田くんはスマホ。
坂宮はサッカーボールを足でコロコロ転がして。

「多田本ですっ!遅れてごめん」

隅木田くんが、となりに置いてあったクッションを退かしてくれた。
わたしは、頭を下げながら隅木田くんが空けてくれたところに座る。

「みんな、本当にごめんなさい。好き勝手に解散なんて。でも、絶対もうしないから」

隅木田くんがみんなを見回すと、わたしたちは大きくうなずく。

「ここで、だ。明スイ始動だ。何をするかと言うと。第1弾明スイパーティーだ」

第1弾明スイパーティー?
それは、参加者を集めて、明確ゼミの5階のパーティー会場でパーティーを行うんだって。

「わたし、賛成です!」

気付かなかったけど、談話室にひとりでいる女の子。
この子がボソッっとつぶやいた。

『わたし、反対』

274:まい◆8Q:2017/08/01(火) 13:14

21.チラシ事件
それから、チラシを明確ゼミのカウンターに置かせてもらった。
安心して、実柚乃ちゃんと電車に乗る。

「実柚乃は行けないの?実柚乃、明スイのパーティー行ってみたい!」

「いいと思う。実柚乃ちゃんも、チラシあげるね」


そして、翌日。
明確ゼミのカウンターは騒ぎになっていた。
明スイのチラシの取り合い?と思って、チロッっと覗いてみたの。
そしたら、『明スイ解散』と書かれたチラシが入っていた。
ええ?
わたしは、カウンターへ行って確かめてみた。

「皆さん、どういうことですか?明スイは解散しません!チラシをすり替えた人は誰ですか?」

すると、わたしと同じように、坂宮も駆けつけてくれた。

「お前ら、誰がやったんだ!」

坂宮は、鬼の形相でみんなを見回す。
みんな、ビクン!
もちろんわたしも、ビクン!

「ごめんなさい、わたしです。明スイが解散するって悲しくて、みんなに伝えたくて」

坂宮は、その人をにらんだ。
そういうことなら、別に怒らなくてもいいんじゃないの。

「お前、俺らが作ったチラシ捨てただろ!」

「だからぁ、ちょっと前に作ったのかと思ったからぁ」

あ、そういうことね。
わたしは、その女の子ににっこり笑いかけたのに。
坂宮ったら、その女の子をにらむっ!

「ウソツキ。いいか?明後日、5階のパーティー会場で明スイパーティー第1弾を行う。来たい人は、明スイメンバーの誰かに言うこと」

坂宮が説明している時、女の子はすごく笑っていた。
クスクスクスクスって。
何が面白いのか分からないけど、坂宮が可笑しかった、の?


後日。

「明確スイーツ研究部メンバーです!皆さん、拍手!」

パーティー会場で、隅木田くんを先頭に行進。
うーん、カッコいい!
梨歩佳さん、司会、ありがとうございます!

「ヨッ!明スイっ!」

「真美ちゃーん」

ふーちゃんと涼太くんカップル。
綾、実柚乃ちゃんも来てくれた。
みんなに手を振りながら、前に立つ。
さぁ〜、明スイ活動〜!

275:まい◆8Q:2017/08/01(火) 13:24

22.笑顔ばっかり
梨歩佳さんの司会で、お菓子食べ放題タイムとなった。
わたしたち明スイメンバーは、あいさつに行くの。
まず、ふーちゃんと涼太くんペア。

「ふたりとも、来てくれてありがとうございました。多田本真美です。どうぞお楽しみください」

ふたりに敬語を使うのは不自然だけどね、接客決まりだから。
ふたりにお辞儀して、綾のところへ行く。

「来てくださり、ありがとうございました。多田本真美と申します。どうぞお楽しみください」

綾の次は、実柚乃ちゃん。
知らない子たち。
あいさつに回るだけで、わたしはすっごくいい気分。
にっこり笑顔で、このパーティーを支えてくれた梨歩佳さん。
警備してくれた佐藤さん。
見回りの鈴木さんにもあいさつする。

「真美ちゃ〜ん!」

ふーちゃんが手を振ったので、わたしはあいさつを中断してふーちゃんのところへ行った。
ふたりとも笑ってて嬉しい。
怒ってる人は、いないよねっ!
わたしは、ふーちゃんに笑いかけたけど、ひとり。

「バッカじゃないの」

             (つづく)

276:まい◆8Q:2017/08/01(火) 13:33

あとがき
               まい

こんにちは!
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイはいかがですか?
文才がないもので、面白い作品が上手く書けません。
見てくださっている方々、お優しい目でごらんいただけたら嬉しいです。
今回は、解散間際、謎の女の子の出現がありましたね。
あの子、恐るべし存在!

コメントの件です。
ただいま9巻ですが、10巻の人物紹介を書くまでの間に、コメントをくださったら、返していきます。
ですが、物語中は、コメントできないかもです。
ご了承お願いします!

私たち、コラボすることになったのも覚えておいてほしいです!
リリカ先生、セイラ先生、レミリア先生とのコラボ。
リリカ先生とのコラボです。
見てね!

では、ちょっとコメントコーナー。
セイラちゃん!
コメントありがとう。
読んでくれて本当に嬉しいよっ!
レミリア。
いつもコメントありがとう!

皆さんも、コメント、質問お願いします!
ガンガン答えていきます!

では、キリのいい10巻の予告!
謎の女の子の正体が明らかに!?
でも、それと同時に、新・明確スイーツ研究部結成!?

では、次回会えたら嬉しいなっ!
じゃあね!

277:Seira◆V6:2017/08/01(火) 15:46

わぁ〜〜!!終わってるぅ〜〜!!
お疲れさまでした、まい先生〜!
て・い・う・か!
最後の『バッカじゃないの』て誰が言ったの?!

文才、なくないですから!!!

せいら先生…照れる…///
先生て付けてもらえるようなキャラじゃないよ、私は〜

いえいえ!面白いんだもん!

超・楽しみにしてます!
これからも頑張ってねっ!

278:叶*かのう*:2017/08/01(火) 18:30

まいりん来たよ〜
小説凄いね…天才だァまいりん…。。

279:薫:2017/08/02(水) 19:32

はじめまして。薫です。
明スイ、面白かったです!
表現方法など、参考にさせていただきたいことがたくさんです!
私は真美ちゃん推しです!
でも、ハルちゃん&ヒマちゃん&ユリちゃんも、なんだかんだ良い子で友達関係の参考になることもたくさんで………。
あと、コラボの件も、わたしの好きな先生方のコラボで凄く楽しみにしてます!応援していますね!

わたしは「解決事務所 パワフル☆ピース」という小説を書いているのですが、我ながらまだまだで。わたしもいつか憧れの先生方とコラボできるような小説をかきたいです!
って、図々しい私事ばっかりごめんなさい。
あの明スイ反対の子のこれからや、恋の進展est、楽しみにしていますね!
頑張って下さい!

280:まい◆8Q:2017/08/03(木) 11:52

お返事書かせてもらいます!

セイラ先生!
あなたの作品はすごいよ!
文才、私にもあるのかなっ?
コメント、ありがとう!
これからも、真美ちゃんと頑張っていくので、応援よろしく!

かのちゃん!
コメントありがとう〜♪
励みになるよっ!
頭は良くないけど、小説は頑張っていくぜ!
これからも、応援よろしくお願いします!

薫先生!
読んだことありますよ、その作品。
私も、コメントさせていただきます♪
コラボ、薫先生ともしてみたい…!
本当にありがとうございます!
これからも、真美ちゃんや明スイ、応援してくださると嬉しいです。
よろしくお願いします!

281:薫:2017/08/03(木) 13:08

まい先生
返信ありがとうございます‼
解フル☆(解決事務所 パワフル☆ピースの略称です!)へもコメント本当にありがとうございました‼言葉の一つ一つが励みになります!
コラボも、よろしければまたやりましょう!
いつでも引き受けます(笑)
まい先生、今は他の先生方とのコラボでお忙しいでしょうし。
あと、もしよければタメ口で話してもいいですか?
わたし、まい先生より1歳年下なのですが…………
執筆、お互い頑張りましょう‼

282:まい◆8Q:2017/08/03(木) 18:26

薫先生。
夏休みの宿題、コラボ、部活と両立できてますので、大丈夫です。
ご心配ありがとうございます。
私の方も、いつでもコラボ出来ますので、薫先生の準備出来次第報告してくださったら幸いです。
タメ大丈夫です。
では、お互い頑張りましょう!

283:薫:2017/08/03(木) 20:13

まい先生、ありがとう‼

コラボ、ぜひやろう!

贅沢言わせてもらっていいなら、解決事務所の1話(最初の悩み相談)が終わってからがいいな。

その方が話も進めやすくなるし!

でも、物語のエピソードとかは考えていいかな?

どんな風な話にするか考えて、解フル☆1話が終わったらはじめ、って感じがいいかも。

なんか私の意見ばっかりだけど、意見あったら言ってね!

あと、部活、宿題優先で大丈夫です!

284:まい◆8Q:2017/08/03(木) 22:26

薫先生とのコラボ楽しみです!
1話終わってからでいいですよ!
私のコラボ作品は、*レインボーハッピー*でお願いします。
二度目のコラボは、他のにします。
*レインボーハッピー*も、一巻が終わったらでいいですか?

ありがとうございます!
でも、そろそろ終わるので大丈夫です!

285:薫:2017/08/04(金) 06:55

まい先生、こっちもすぐ終わらせるから大丈夫!
わたしもコラボ楽しみだよ!
じゃあ今回は、『*レインボーハッピー*』と『解決事務所 パワフル☆ピース』のコラボだね‼
じゃあ、お互い1巻終わったらまた話そう‼

286:まい◆8Q:2017/08/04(金) 08:01

『*レインボーハッピー*』と『解フル』のコラボ、楽しみ。
じゃあ、次回から話し合いは『*レインボーハッピー*』でやろ!
お互い執筆頑張ろ!

287:まい◆8Q:2017/08/04(金) 10:04

『ここは明確スイーツ研究部!10』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識している小学6年生。明確ゼミナールに通う。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

288:まい◆8Q:2017/08/04(金) 10:29

1.我らが児童会長
初等部のみんなの前で、お辞儀。
わたし、多田本真美。
れっきとした、ここ、私立彦宮学園の初等部児童会長になれましたっ!

「これから、杉田ふみ元児童会長に続き、わたしが後期児童会長を務めますので、ご協力よろしくお願いします」

またお辞儀して、司会カウンターへ戻る。
ここからは、わたしの司会で全校集会が行われるの。
責任重大だけど、児童会長として、頑張るぞっ!

「次に、前田先生から連絡があります。お願いします」

前田先生にマイクを渡して、カウンターからお辞儀する。
はぁ〜、寒い。11月の真ん中くらい。
制服の上に、みんなセーター着て登校してた。
わたしも、黄土色のセーターを着て、寒さを凌いでるよっ!

「第2次部活変更委員会の皆さんは、このあと後ろに集まってください」

はぁ〜、5月に一度あって華道部に入部したけど、またかぁ〜。
中学校、高校、大学を受験する6年、3年は、部活に入らなくてもいい。
わたしは、勉強に専念するため、部活は入らないんだっ!
つまり、華道部でキリをつけておしまい。
もう、どんどん終わっていってしまって、何か悲しい。
来週は、秋の遠足へ行く。
再来週は、文化祭の後に演劇会。
そして、来月の初めは修学旅行。
修学旅行から次の週は持久走大会。
その後日、期末テスト。
あ、ちなみに、中間テストは29位と上がったの!
結構いけたんだ!

「これで、全校集会を終わります。各先生の指示に従って、放課にしてください」

わたしがマイクに向かって吹き掛けると、先生がワアッっと動き出した。
低学年の子は、ワイワイガヤガヤ。

「では、片付けをしましょう」

わたしが児童会メンバーの方を向く。
秀花さんは気合い満々だけどっ!

「ちょっと、5年生?やりますよ」

「は〜い」

もう。
5年生なのに、やってくれない男の子の戸部くん。
5年生なのに、すっごくやってくれる河合さん。
同じ華道部の5年生だよっ!

「真美先輩、やりましょう。戸部くんは、先生に怒られるだけですから」

河合さん、すごい冷静。
まあ、いいや。
わたしの責任じゃないもんね!

289:まい◆8Q:2017/08/04(金) 10:42

2.私立青山野学園
教室に戻ると、机の上にパンフレットが置いてあった。
私立の中学校の。
すぐ、青山野学園を探す。
制服のデザイン、変わるんだ。
変わったデザインの方が、カワイイ!

「多田本さんって、青山野学園受けるの?」

となりの席になった涼太くんが聞いてきた。
涼太くんとは、青山野涼太くん。
ふーちゃんこと杉田ふみちゃんの彼氏なんだって。
ふーちゃんの幼なじみでもある。
それで、ふーちゃんっていうのは、最近遊んでる子。
さっきも出てきたけど、前期児童会長だよっ!
そして、元学級委員長。

「そうだよ」

「じゃ、俺と離れるな。残念」

そうだねぇ。
あんまりみんなと離れたくないもんねえ。
青山野学園って、涼太くんのおじいちゃんが校長先生なの。
だから、結果涼太くんに聞けば、分かることがいっぱい。

「ふみちゃんは、東大付属へ行くって言ってた。俺と一緒」

ふたりで東大付属行くんだ。
わたしたちと、すっごく遠くまで行くんだね。
あんまり会えないね。

「パンフレット見ましたか?そろそろ親と、受験するかしないか考えてくださいね。もう決めた人は、このあと先生のところに来てください」

前田先生が入ってきながら言った。
実柚乃ちゃんっていう、わたしが通っている明確ゼミナールのとなりの料理教室に通ってる子も、青山野学園受けるって言ってた。
秀花さんも。

「お互い頑張ろうな」

「うん!」

わたしは、涼太くんと前田先生のところに行きながらうなずいた。

290:Rinon◆V6:2017/08/04(金) 12:23

待ってましたー!!
10も頑張ってくださいね、まい先生!!

291:薫:2017/08/04(金) 14:52

まい先生、ついに真美ちゃんの進路も動き出すんですね!
コラボの打ち合わせの件もOKです!
*レインボーハッピー*のスレ、また行くね!

292:まい◆8Q:2017/08/04(金) 18:43

りの、ありがとう!
ぜひ真美ちゃんを応援してね!

薫先生、進路もねぇ。
グッっと進んでく予定だよっ!
レイハピのスレも良かったら読んでほしいな!

じゃあ、明日更新予定だよ。
楽しみにしててねっ!

293:まい◆8Q:2017/08/04(金) 22:16

もう書いちゃうよ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3.勉強会!
もらった紙は、受験する学校を書く紙だった。
もう決定だって。
絶対に青山野学園受ける。
そして、パアッっと輝く!

「多田本さん、また今度、ふみちゃんと俺と、こいつと、」

涼太くんが、わたしの前の席の桜庭くんを指差す。

「勉強会しない?」

受験するために勉強会っ!
チラリと桜庭くんを見る。
ちょっと苦手なんだ、桜庭くん。
今は亜子ちゃん苦手じゃないんだけどね、裏切られて。
ちょっと前に仲直りしたんだ。
その亜子ちゃんと付き合ってて、亜子ちゃんと仕組んでた子。
だから…。

「多田本さん、本当にごめんなさい。俺、結構前に謝っただろ?」

桜庭くんも、あの日のこと思い出してるのかな。
わたし、いつまで経っても、桜庭くんは許せないかも。
ごめんなさい。

「いいよ。国語だったら教えられるから」

涼太くんは数学得意でしょ。
ふーちゃんは、主に英語。
桜庭くんは理科。
わたしは国語ってところ。
社会は何とかなるし、ねぇ。

「じゃあ、明日、俺の家来て」

ごめんなさい、わたし、ふーちゃんの家知らない。
つまり、涼太くんの家も知らない。
そのことを伝えると、涼太くんはちょっと笑った。

「そっか。じゃあ、俺とふみちゃんで迎え行くよ」

「あ、ありがとう」

ちゃんと、ふーちゃんも入ってる。
涼太くんがひとりでわたしの家来たらの話だよ?
ウワサになっちゃうし、浮気になっちゃうもんね。
それに、ふたりの時間を大切にね。

294:まい◆8Q:2017/08/05(土) 12:41

4.新明確スイーツ研究部?
翌日。
約束の時間に家の外で待っていると、ふーちゃんと涼太くんが来た。
と、思ったら。

「多田本真美さん、この前はチラシの件ごめんなさ〜い」

あ、あの時の女の子!
チラシを解散って書いたチラシに置き換えた女の子だ。

「いえいえ。お気になさらず」

「多田本真美さん。わたしたちの明確スイーツ研究部、楽しみにしててくださいね」

「どういうことですか?」

その女の子はクスッっと笑って、駅の方に歩いていった。
わたしたちの明スイ?
あの子が創り上げているんじゃないのに、どうして…。

「まーちゃん、こっちよ」

女の子が行った駅の方から、ふーちゃんが手を振っている。
となりには、私服姿の涼太くん。
涼太くんの私服を見たのは、二度目かな。
ふーちゃんたちと遊園地行ったから。

「おはよう!」

ふたりの方に駆けると、電柱の隅に女の子がいた。
作り笑いで行くけど、笑えない。
わたしは、方向を変えて女の子の方に歩く。

「何の用ですか?」

「フフン。わたしの名前は、俣野コヨって言うの。新明確スイーツ研究部メンバーよ」

新明確スイーツ研究部って何なのよ。
俣野コヨは、ヘンな笑みを残して足早に去っていった。

「ちょっと、まーちゃん、どうかしたの?あの子誰?」

「うんん。何でもない」

「まーちゃん、それじゃ返答になってないじゃない。あの子誰なの」

いつもは優しいふーちゃんがキッっとしている。
昔の児童会長のときだ。

「ふーちゃんには関係ないんだから、いいじゃないの」

295:薫:2017/08/05(土) 12:49

おー!
なんか進展キター!
楽しみにしてる!

296:まい◆8Q:2017/08/05(土) 13:11

5.突然ケンカ!?
わたしもふーちゃんをにらんだ。
すると、涼太くんはわたしたちの間に割って入った。

「まーちゃんのこと考えて、助けようと思ったのに」

ふーちゃんの頬には涙が伝っていて、いつの間にか涼太くんの胸の中。
涼太くんは、ふーちゃんの背中を優しくさすっている。
わたしの、せいだ。
こんなことしなければ。
うんん。
違う。
コヨが来なければよかったんだよ。

「ふーちゃんを巻き込みたくなかっただけ。わたしは悪くない」

「わたしを守ろうとしないで。だからまーちゃんは緑川さんにも嫌われたのよ」

「晴奈ちゃんには嫌われてないし」

そうよそうよ。
晴奈ちゃんは幼なじみなんだからずっと味方に決まってる。

「ふたりとも落ち着いて。勉強会行くよ」

「涼太!この雰囲気で行けないわよ。わたし帰るっ」

ふーちゃん…!
涼太くんは、わたしとふーちゃんの行った方を見比べる。
わたしにお辞儀して、ふーちゃんを追いかけた。

「真美、大丈夫?」

わたしの後ろには、晴奈ちゃんが立っている。
にっこり笑いかけてくれて、わたしはすごくみじめになった。
もう…!

「泣いていいよ。わたし、真美のこと嫌いじゃない。大好きだよ」

わたしは、今までで1番くらい泣いた。これからどうしたらいいの…?
晴奈ちゃんとは、もういられないよ。
避けられたくないもん。
あんなこと言ったから。
学校一緒になるから、実柚乃ちゃんといようかな。
すると、ちょうど前を通りかかった初香ちゃんたちに事情を話した。

「真美ちゃんさ、良かったら初香たちのところ来る?晴奈ちゃんといたかったらそれでもいいし、ふみちゃんといたかったらそれでいいから」

「いいの?」

初香ちゃんはうなずいてくれて、みんなに確認をとって、初香ちゃんたちと遊ぶことになった。

297:まい◆8Q:2017/08/05(土) 13:14

真美ちゃん、またまたトラブルに巻き込まれちゃった!
薫先生、コメントありがとう。
楽しみにしててね。

298:まい◆8Q:2017/08/05(土) 17:44

6.生まれ変わり?
初香ちゃん、絵理乃ちゃん、さやかちゃんの3人グループ。
そこに、わたしも混ぜてもらった。
今日も遊ばせてもらったけど、モヤモヤが消えなかった。

「真美ちゃん、無理しなくていいからね」

初香ちゃんはそう言ってくれるけど、全然無理してない。
むしろ、すごく楽しんで、る…。
多分だけどね。

「絵理乃って言いにくくない?みんなエリちゃんって呼んでるからエリちゃんでいいよ」

「じゃあ、エリちゃんって呼ぶね」

初香ちゃんは、自分のこと初香って呼ぶでしょ。
エリちゃんも、自分のこと絵理乃って言ってるでしょ。
さやかちゃんは、さやって言ってる。
わたしが、自分のこと名前で呼ばなくなったのは、小2からかも。
七井さんっていう、学級委員長の、亜子ちゃんたちと遊ぶ前に遊んでた子がわたしって言ってて。
それがカッコよくて真似したんだったかな。
わたしも、真美って言お。
そっちの方がカワイイ。
かわいくなりたいわけじゃないけど。

「真美ちゃん、バイバ〜イ」

最後にさやかちゃんと別れて、駅からわたしの…真美の家へ帰る。

「ただいま」

「お帰りなさい。勉強捗った?」

「うんん。ちょっとふーちゃんとケンカしちゃって、初香ちゃんと遊んできたの」

おばあちゃんに言って、「どうして?」と聞かれたので、事情を話した。
途中涙ぐみながらね。
仲直りしたいけど、したくない。
真美は悪くないから、真美が謝る必要はないっ!

「コヨって不思議な子だねぇ。おばあちゃんの幼なじみも、コヨって子だったよ」

コヨ、たまたまかな。
おばあちゃんは、すごく幼い子のような目をした。
コヨさんとの思い出を思い出しているのかな。

「コヨは、小代って書いたよ」

おばあちゃんが紙に、小さいの小と、時代の代を書いた。
へぇ、小代って昔っぽい字。
真美も、そういう字好き。

「コヨとはずっと遊んでたんだけど、12年前亡くなったんだ。俣野って名字だったよ」

俣野コヨ。
名字も名前も同じ。
そんなたまたま、ある?

「コヨも、俣野って名字だよ」

「そうかいそうかい。じゃあ、コヨの生まれ変わりみたいだねぇ」

生まれ変わり…。
コヨさんとコヨが?
 ピンポーン
真美が出ると、コヨが立っていた。

「ちょっと、あんたのせいで、真美ケンカしたのよ!」

「多田本真美さんのことは関係ない。どうしてわたしの話してるの」

「おばあちゃんの幼なじみが俣野コヨさんだったからよ」

真美は、コヨをキッっと見据える。
きっとだけど、コヨっていいキャラじゃないよね。
真美たちの友情を切ったんだもの。

299:リリカ@恋歌◆JA:2017/08/05(土) 17:53

おもしろい!
まいの小説、これからも応援してるね!

300:まい◆8Q:2017/08/05(土) 17:55

7.昔のコヨ
「コヨって、小さいの小に、時代の代って書くの?」

「いきなり呼び捨てか。わたしも呼び捨てで呼んでみよう、真美」

溜めなくていいから、さっさと答えてよね。
今日のうちに何回にらんだんだろ。
真美は、コヨをにらんだ。

「そうよ、小代よ。どうせ、真美の祖母の幼なじみの生まれ変わりって言うんでしょ」

何で分かるんだろ。
ちょっと疑問の目でコヨを見る。
コヨは笑いながら、戸を閉めた。
聞かれたくない、話かな。

「わたし、両親に虐待受けてて、養護施設行ったの。本名は和江。だけど、小さい時だったから、名前も変えられたの。本当の俣野コヨさんが亡くなった生まれ変わりって」

コヨ、大変なんだ。
真美、勝手に悪いヤツって決めつけてた。
ごめんなさい、コヨ。
きっと、自分を本当に育てたいと思って引き取ったかもしれないけど。
記憶がないっていうのを利用してコヨにされた恨み、ちょっとはありそ。

「わたし、和江で生きたい。コヨはイヤだ」

本当の自分で、生きたいよね。
真美だって、いきなりコヨになれって言われてもイヤだもん。

「おばあちゃんに相談して、家来る?絶対楽しいよ」

「イヤだ。わたしは真美の敵。敵の家なんかイヤだ」

敵っ?
真美は、いきなりコヨが話しかけてきた時のことを思い出した。

「今回の用は何よ」

「別に。じゃ」

そう言い残して、コヨは真美の家を去っていった。

301:まい◆8Q:2017/08/05(土) 17:57

リリカ、ありがとう!
300行ったー!

302:まい◆8Q:2017/08/05(土) 18:34

今から、
料理・グルメ板に、
『明確スイーツ研究部で出してほしいスイーツ』
というスレを建てます。
そこから出そうかと考えてます。
良かったら行ってください。

303:薫:2017/08/05(土) 20:27

300おめでとう‼

真美ちゃん、一人称変えちゃうの⁉

あ、『明確スイーツ研究部で出してほしいスイーツ』にも行ってみるね!

304:まい◆8Q:2017/08/05(土) 22:28

ありがとう!
みんなのコメントのおかげだよ!
一人称は、初香ちゃんたちみたいになりたくて真似してるんだよ。
ぜひ書いてください!
出させていただきますから。

305:まい◆8Q:2017/08/06(日) 10:36

8.ついに宣戦布告!
真美は、寝る寸前、まさかと思ったけど、カーテンをこっそり開けてみた。
コヨがいた。
パジャマのままだったけど、コヨは女の子だったからそのまま家を出た。

「コヨ」

敵だったけど、ちょっとコヨがかわいそうで、優しい目を向けた。
初めて、コヨが笑った。

「真美気付いたんだ」

「うん。コヨがいる気がして」

「わたしのことをそんなに気にかけてくれた人は真美だけだ」

真美だけ?
コヨは、さっきよりもしっかり。
くっきり笑った。
カワイイ…!

「わたし、俣野コヨは、新明確スイーツ研究部のメンバー。真美は、旧明確スイーツ研究部」

旧明確スイーツ研究部?
新ってことは、真美たちの明スイは途絶えたってこと…?
疑わしい目でコヨを見る。

「そう。旧明確スイーツ研究部は好きにしてくれればいいの。ファンもいない。今の注目は、新明確スイーツ研究部なの」

「どうして」

「それは、露島くんに聞かないと」

ツユシマくん?
確か、高等部のプリンスって言われてるイケメンが露島だったような。

「そうよ。その露島くん。隅木田くんとの闘いに勝ったから、注目を新明確スイーツ研究部に変えたのかしらね」

闘い?
真美はそんなこと聞いてない。
旧なんて言葉、消して見せる。
この明確スイーツ研究部で!

「旧明スイと新明スイで闘いましょう。勝ったら注目。負けたら解散で」

「ふん。旧明スイなんて突き落としてやるわせいぜい頑張るのよ」

そう言い残して、またまたまたコヨは闇夜に去っていった。
不思議な、子。

306:まい◆8Q:2017/08/07(月) 09:17

9.隅木田くんが知ってること
真美は、きっとひとりで抱えきれないことを聞いてしまった。
おばあちゃんにも、こんなこと言えるわけない。
真美は、隅木田くんに電話することにした。
きっと、隅木田くんなら何か知ってそうだよね。

「もしもし。隅木田です」

ちょっと幼い女の子が出た。
隅木田くんって妹いるのかな?
カワイイ声。

「どちら様ですか?」

「あ、多田本です。隅木田優斗くんいらっしゃいますか?」

女の子が、「お兄ちゃ〜ん」と言っているのがかすかに聞こえた。
やっぱり妹だったんだ。
真美にも、妹ができるんだよね。

「代わりました、優斗です」

「多田本真美です」

隅木田くんがホッっとしたような声をもらした。
真美も、隅木田くんって分かって、ホッっとした。
同時に、ふーちゃんとのことも思い浮かんだんだけどね。

「明スイのことなんだけど、俣野コヨって子がね、新明確スイーツ研究部の話をしてたの。真美たちのは、旧明確スイーツ研究部だって」

「コヨか」

え?
今隅木田くん、何て言った?
コヨに心当たりがあるようなこと、言ってなかった?
真美が必死で考えていると、隅木田くんが何かを思い出したように言った。

「俣野コヨの本名は和江だよね」

「うん」

また、隅木田くんはちょっと考えるように間を開ける。
やっぱり、隅木田くんは何か知ってた。コヨの本名まで知ってるなら、相当知ってそうだよね。

「和江は、俺の従姉妹。きっと、露島っていうやつから誘われたんだろう」

「コヨは、露島先輩に聞かないと分からないって言ってたもの」

露島先輩に、コヨ。
謎だらけだけど、隅木田くんや、本当の明スイなら出来る。
乗り越えられるはず。

「分かった。露島に接近するよ。ありがとう。和江も何か企んでいる」

敵って言ってたもんね。
隅木田くんっていう、従兄弟の敵にはならないよね。

307:まい◆8Q:2017/08/07(月) 09:28

10.私の未来
後日。
彦宮学園へ向かっていると、ちょうど初香ちゃんと会った。

「真美ちゃんおはよう」

「初香ちゃんおはよ〜」

真美って、どんどんケンカして、仲良くしてを繰り返すのかな。
初香ちゃんたちと、ケンカしたくないな〜。

「一緒に行こ、真美ちゃん」

初香ちゃんに誘われて、おしゃべりしながら6年1組へ向かう。
あの時、晴奈ちゃんに聞いてもらってて、初香ちゃんが通ってなかったら。
真美、こんなに楽しくないよ。
本当にありがとう、初香ちゃん。

「真美ちゃんもまた今度一緒に遊ぼうね。初香たちのところ来てね」

「うん!ありがとう。良かったら、また今度真美の家来てね」

赤ちゃんが産まれてからの方がいいかもだけど、機会を見つけて来てほしいもんね。

「初香のお母さん保育士だから、あんまりお母さんがいないときに入れなくて、その時間がないから、ごめんね」

「いやいや、いいよ。保育士ってカッコいいね!」

初香ちゃんは、首を横にブンブン振るけど、本当にカッコいい。
真美もなりたいって思ったり。
教師になりたかったり。
佐藤ななみちゃんっていう、真美が初めて小説書いたのを完結させて、小説家になりたかったり。
いっぱいだよね。

「あ、エリちゃん!」

「初香ちゃんおはよ〜」

エリちゃんがやって来て、三人で教室へ向かう。
あんなことがあるとは知らずに。

308:叶*かのう*◆/Y:2017/08/07(月) 11:22

あんなことがあるとは知らずにって何?気になる〜

309:みぃ◆8Q:2017/08/07(月) 11:47

かのちゃん、ありがとう!
それは、なんと…???
ネタバレになるからナイショで!
名前変えました、みぃです。

310:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 09:13

11.コヨがいる!
真美は、自分の机にスクバ(スクールバッグ)を置いて、中身を机に移していると、教室の隅が騒がしい。
美華ちゃんたちグループがいた。
その中に、最近よく見る人影。

「ちょっ、コヨ!?」

この、真美たちの友情を切ったコヨがどうしているのぉ!!
コヨがチラリとこちらを見る。
あの時の、ちょっと古びた服とはうってかわって違う。
清楚なイメージの彦宮学園初等部の制服を着こなしている。
そして、6年生の証のバッヂを付けていたんだ。
途中受験、受かったんだ。
受験する時じゃなくても出来る、途中受験。
普通より難易度も高いし、値段も高いのに。

「真美じゃない。わたし、美華と遊ぶことにしたの。ねえ、美華」

美華ちゃんは、真美に向けたことのないくらい満面の笑みだった。
コヨ、どうして…?
隅木田くんに報告しなきゃ!
真美は、中等部2年生の棟へ移動。
やっと隅木田くんを見つけて、「隅木田先輩!」注目の的っ!
でも、この際いいや!

「俣野コヨが、6年1組にいます!入学してきました!」

宣言するみたいに言うと、辺りがざわついた。
コヨのこと、知ってるのかな。
みんなを見渡した瞬間にそらされた。
何か知ってるに違いない。

「真美ちゃん、ここは何とかするから帰って。児童会長でしょ?初等部の方を見てきて」

隅木田くんは、中等部生徒会長。
きっと、中等部のことはやってくれるはず。
初等部の後期は児童会長6年生だけど、中等部の後期は生徒会長2年生なんだよね。
どうしてだろ。

「真美ちゃん、帰って」

「はい。さようなら」

わたしは、身をひるがえして帰る。
コヨ、一体何をたくらんでいるの?

311:薫:2017/08/08(火) 10:00

コヨちゃんどうなっちゃうの⁉

隅木田くん達はなにを知ってるの?

楽しみにしてる!

312:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 10:09

コヨちゃんは、実は…
(みぃさん、言わない!薫先生、ごめんなさい!         真美)
隅木田くんたちは…
(みぃさーん         初香)
楽しみにしててねっ!
コメントありがとう!

313:叶*かのう*◆Vw トリップ変えた:2017/08/08(火) 17:55

コヨちゃん何企んでるんだろう。。
続きが気になりすぎるよーーー><

小説更新されるのが毎日楽しみω

314:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 19:10

かのちゃん、ありがとう!
目を通してくれてることだけでもありがたい。
コヨちゃんはね、あの…
(みぃさん!いい加減にしてください!コメントありがとう。これからもよろしくお願いします!    真美)

(こんなみぃさんと真美ちゃん、応援してあげてね!       初香)

(素直な意見でいいから、推しキャラ教えてほしいなっ!    絵理乃)

よ、よろしく…。

315:みぃ◆8Q:2017/08/10(木) 09:14

12.コヨ出現!
その日、真美は明確ゼミで明スイ会議があるし、勉強しなくちゃいけないから明確ゼミへ向かう。
結局、真美はコヨのことを掴めないまま終わったんだけどね。
隅木田くんが、何か知ってると思う。
何たって従姉妹だもんね。

「実柚乃さぁ、やっぱり彦宮残ることにしたから」

「えっ?」

電車の中で、ボソリと実柚乃ちゃんがつぶやいた。
ど、どういうこと?
彦宮に残るって、青山野学園は受けないの!?

「真美ちゃんは頭いいけど、実柚乃は悪いもん。落ちたくないから、彦宮に残る。ここも私立だからいいよね」

そっかあ。
真美が止められる立場じゃないけど、悲しいな、うん。
みんなと別れなくちゃいけなくて、青山野学園って難易度高いから、受験する人が少なくて。

「実柚乃は、真美ちゃんが青山野学園受けるの応援してるから頑張って!」

降りる駅で降りると、実柚乃ちゃんは明確ゼミのとなりの料理教室へ。
真美は、実柚乃ちゃんを送ってから明確ゼミへ向かう。

「ありがとう、真美ちゃん。帰るとき会おうね〜」

真美は、昇降口に靴を突っ込んで、前に通っていた教室に入る。
毎日コースが良かったのになぁ。
新しく、出来たらいいのに。

「本当に真美とは気が合うわ〜」

「へっ?」

後ろから声をかけられる。
声の主は、最近よく聞いている…。

「コヨっ?どうしてっ?」

「だってねぇ、明スイは明確って付いてるから、露島くんとここへ来たの」

露島くんって…!!
とりあえず、本当の明スイを見せて、コヨたちの偽者の明スイをやめさせてやる!

「まあ、いいでしょ。塾に来るのは、わたしの好きで。真美が言えることではないし」

うっ。
あとちょっとで言いそうだった…。
でも、明スイだけは本当の明スイだけにするんだから!

316:薫:2017/08/10(木) 12:11

コヨちゃん何を企んでるのー!

実柚乃ちゃんも青山野学園受けないの?

急展開……………。

続き楽しみ!応援してるね!

317:みぃ◆8Q:2017/08/11(金) 09:12

コメントありがとう!

コヨちゃん、明確ゼミにも来ちゃったよねえ。
実柚乃ちゃんも自信なくなってるし!
解フルのメンバーで、実柚乃ちゃんを前向きにしてほしいところだよ…!

これからも応援してねっ!

318:薫:2017/08/11(金) 09:13

>>317

うん、トウナ達でよければいつでもどうぞ(笑)
続き楽しみに待ってるね!

319:みぃ◆8Q りのと最高の思い出を:2017/08/11(金) 10:14

ありがとう!
コラボで、真美ちゃんと実柚乃ちゃんを前向きに…とかしちゃう?
続き楽しみにしててね!

320:みぃ◆8Q:2017/08/13(日) 14:35

13.突然バトル!
コヨは真美と同じクラスで、授業中もチラチラこちらを見てくる。
全然集中出来ないじゃん!
一度、コヨをにらみ返したけど、その時はシュンとしたコヨの顔が見えたから、反省した。

「真美ちゃんいる?談話室へ来て」

隅木田くんが真美のクラスに呼びに来てくれて、それと同時にコヨも立ち上がった。
ビックリしたけど、もう授業も終わりで帰るのかと思って気にしなかった。
けど…。

「一緒に行こうね、真美」

コヨはつぶやいて、談話室の中まで着いてくる。
今日は待ちに待った明スイ集合なのに、こんなときにもコヨに邪魔されちゃ困る。

「カズエ」

コヨが振り向いた先は、高等部の露島先輩!
思わずお辞儀。
露島先輩もお辞儀し返してくれたけど、すぐ視線をそらされた。
ガーン。
でも、もしかしたら敵って思われてるかもとか思って、身構えた。

「ハッハッハッ。真美ちゃんは面白い子だねぇ。ぜひ明スイに入れたいよ」

「わ、わたしは、もう明スイに入ってます」

露島先輩は、笑いを止めて真美たち本当の明スイを見据えた。
グッっと身構える。
逆らえない。
先輩だし、高等部の王子様だもん。

「真美ちゃんを賭けて、3つバトルしよう」

ま、真美を賭けて?
その場の空気が重くなった。

321:リリカ@恋歌◆JA:2017/08/14(月) 19:29

真美ちゃんを賭けて!?
気になる(*´ω`*)
みぃの小説、楽しみ!

322:みぃ◆8Q:2017/08/14(月) 19:31

ありがとう、リリカ!
これからもよろしくね!

323:みぃ◆8Q:2017/08/16(水) 13:00

14.戦いの項目
そんな…。
真美は、すぐ反論しようとしたけど、坂宮がグッっと前に出た。

「いいだろう。戦ってやろう。戦う内容を教えろ」

何だって真美を賭けるの!?
隅木田くんと矢本くんもやる気みたいだしっ!

「露島くんがやるなら、わたしもやってやるわ」

コヨまで…。
露島先輩がチラッっとこちらを向く。

「お前が戦う内容を決めろ」

「ま、真美がですか!?」

露島先輩はにらみながらうなずく。
明スイに不利な要項は与えたくない。
でも、分かりやすすぎると…。

「さっさと決めれないのか。なら俺が決める。ひとつ目は、明確生にどちらが美味しいか決めてもらおう。ふたつ目は、彦宮学園初等部から高等部に決めてもらおう。ちょうど、どの部の生徒会長もいる」

学園で、真美がどちらに入るか決めてもらうってこと!?
そんな大事というか…。

「みっつ目は、お前が決めるんだ。どの項目も、食べてもらう物には、どちらが作ったと言わないこと。それで戦う。反論する者はいるか」

シーン。
高等部の先輩に逆らうなんてするわけないよね。

「お前は、明スイに入るなよ。お前は見学者だ。話し合いにも入らないようにすること。お前は帰れ」

真美は、渋々家に帰った。
おばあちゃんが怒っていることも気付かずに。

324:薫◆4I:2017/08/16(水) 19:20

おばあちゃんに怒られちゃうの⁉

325:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 15:32

薫ちゃん、コメントありがとう!
実はね。
よーく物語を読めば分かるよ!
では、理由をどうぞ。

326:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 15:46

15.思いがけない言い合い
明確ゼミのスクールバッグを握って家のドアを開けると、おばあちゃんが怒った顔で待っていた。

「ただい、ま」

「真美ちゃん!明スイ活動してたのかい!受験なんだからやめなさいって言っただろう!」

ハッ!
おばあちゃんは、明スイのことインターネットで調べてくれる情報屋。
これくらいのことバレたか。

「ごめんなさい!勉強も…」

「やってないじゃないかい!明確ゼミの先生から言われたよ!ちょっと考え事が多いって!」

あっ…。
明スイのことばっかり…。

「でもね、」

「でもじゃない!明確ゼミへ行っても伸びないなら、ずっと部屋で勉強しなさい!分かったね!?」

「はい…」

おばあちゃんが明確ゼミに電話して、真美は明確ゼミを卒業することになってしまった。
あと、1日行くだけで。

「おばあちゃん…」

「もう、今日は早く勉強に取り掛かりなさい。出来なかった部分を取り返しなさい。おばあちゃんと話している場合じゃないのを知っているのは真美ちゃんだろう!」

初めておばあちゃんに怒られた。
受験勉強しなかった真美が、悪いけどさ…。
ちょっと、言い返しちゃったの。

「仕方ないじゃないの!真美だって、大変なのよ!勉強、明スイ、児童会長の仕事、コヨのことって!」

「明スイはやめなさいって言っただろう?受験なんだから!甘いこと考えてるんじゃないよ!一度学年順位が一位のことがあったって喜んでちゃダメなんだよ!」

「明スイをやるかどうかは関係ないじゃない!別に、これからはいろいろあるから、真美は活動しないし!」

ああ…どうしてこんなこと言っちゃったんだ。
真美のバカッ!

「そんな子だったのかい。真美ちゃんの受験が終わるまで、おばあちゃんは家に帰るよ!」

えっ…。
おばあちゃんは、持ってきていた荷物をまとめて家を飛び出す。
ウソ…待って…。
やめて。

「おばあちゃん、ごめんなさい。ここにいて…」

「真美ちゃんの受験を邪魔しちゃいけないから!勉強しなさい」

おばあちゃんは、キッっとにらんで、車を動かす。
おばあ、ちゃん…!
真美が泣いている頃には、おばあちゃんは家に帰ってしまった。

327:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 16:07

16.秋の遠足解決!
真美は、お風呂から出終わって、バスタオルに顔を埋めた。
パパは仕事で当分帰ってこない。
おばあちゃんも帰っちゃった。
 プルルルルプルルルル

「多田本です」

「もしもし?杉田秀花だけど。真美ちゃん?」

「そうだけど」

秀花ちゃんか。
真美は、出きるだけ震える声を静めて言った。

「どうしたの?」

「あぁ、明後日の秋の遠足の話だけどさ、6年生は、神社巡りに決まりました。校長先生が電話かけたみたいだけど、かからなかったって。どうかした?」

「うんん。ありがとう」

秀花ちゃんは、やっとホッっとした声に戻って、真美もちょっとホッっとした。
校長先生、ごめんなさい。
明後日はいよいよ秋の遠足。
だけど、弁当は手作りか…。
不味そう。

「じゃあ、ね…」

電話が切れて、ベッドにバタッっと倒れ混む。
あーあ。
時間巻き戻したいなーっ。

「もーしもーし!実柚乃でーす」

家の外で、実柚乃ちゃんが叫んでる。
近所迷惑になっちゃうっ!
真美は、あわててパジャマのまま出た。

「真美ちゃん、明確ゼミやめるって本当の話?」

「うん…」

「どうしてっ?一緒に電車乗れないじゃん」

実柚乃ちゃんごめんね。
受験とかいろいろあるから。
おばあちゃんのことは言わずに伝えると、納得してくれた…?

「まだあるでしょ?今日おばあちゃんいないの?いつも出てきてくれるのにさ。実柚乃が訪ねると」

「実は、ね」

真美は、おばあちゃんとのことを実柚乃ちゃんに話した。

「そうだったんだ。秋の遠足の弁当は実柚乃に任せて!実柚乃が作るから」

「ありがとう…」

「うん。わざわざごめんね。実は、真美ちゃんのおばあちゃんから電話で、訪ねてやってくださいって」

そっか…。
実柚乃ちゃんとお別れして、真美は家に入った。

328:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 16:34

17.遠足案に決定!
翌日の朝。
今日は雨だった。
真美の心の中を撮してるみたい。
制服に着替えて、一階へ降りる。
はぁー。
誰もいない。
食パンを一枚焼いて食べる。
あんまり美味しくないな。
おばあちゃんがマーガリン塗ってくれてた時は、綺麗だったのに。
まだらすぎだな。
髪の毛も上手く結べなくて、仕方なく下ろして学校へ向かった。

「真美ちゃん、おはよう。弁当のおかずだけど、今日一緒に買いに行かない?一緒に決めたいし」

実柚乃ちゃんが後ろから自転車で追いかけてきた。
本当なら電車通学で、ここなんて通らないはずなのに。
わざわざここ通ってくれたのかな。

「いいよ!真美も、今日の夜ご飯のいろいろ買わなくちゃだし」

実柚乃ちゃんと学校へ向かう途中、ちょうど秀花ちゃんと会った。
あ…。
これで、実柚乃ちゃんがシュークリームって言ったんだよね、この前。

「秀花ちゃん、この前はごめん。これからは、こう呼ばせてもらうから」

「実柚乃ちゃんって呼ぶから」

いいなあ、実柚乃ちゃんと秀花ちゃん。仲直りできたんだもん。
卒業前に。
真美が仲直りしなくちゃいけない人は、ふーちゃん。
涼太くん。
桜庭くん。
多すぎるよお。

「実柚乃ちゃん、秋の遠足の話だからいい?」

秋の遠足の話は、明日学校に来てみんなが知るから、まだ内緒。
ということで、秀花ちゃんと学校へ向かう。

「全部自由行動がいいと思うの。この辺りの神社を巡るってことで、見回りに児童会メンバー、学級委員メンバーが各チームに入る。変なところへ行かないように。どう?」

「バスの中でプランも立てられるからいいね!」

電車、バス、タクシーを利用して秋の遠足…。
いいね〜。
真美は、秀花ちゃんと雑談を交わしながら学校の校門をくぐった。

329:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 16:57

18.気まずいグループ
学年集会で、児童会メンバーが前に出る。

「秋の遠足についてです。6年生の行き先が神社に決まりました。各班自由行動で、児童会メンバーと学級委員メンバーが各班に入ります」

真美がザッっと説明して、秀花ちゃんが大きな紙をホワイトボードに貼る。

「神社巡りで、各班いくら持っていくというのを決めてください。電車運賃やバス運賃、タクシー運賃も含めてください。ですが、行き帰りのバス運賃はいりません」

各班に、誰が入るのかを秀花ちゃんが発表する。
実は、真美も知らない。
秀花ちゃんしか知らないんだ。

「児童会長、多田本真美さんは、杉田ふみ、相川実柚乃、青山野涼太、桜庭樹グループです!」

よ、よりによって、真美と気まずい人ばっかり。
実柚乃ちゃんはいいけど。
秀花ちゃんの発表が終わって、各班話し合いのタイム。
班長は、真美。
みんなを見回して、地図を広げる。

「どこの神社に行きたい?」

何も知らない実柚乃ちゃんがはいはーいと手を挙げる。

「ここの、恋愛神社って言われてる神社行きたーい!カップルもいるし、実柚乃好きな人いないしぃ」

ギクッ。
恋愛神社か。
ふーちゃんは、恋愛というワードに反応して行きたそう。

「恋愛神社に行きたい人」

ビシッ。
真美以外みんな…!
仕方ない、恋愛神社。

「他に回りたい神社がある人」

「はいはーい!勉強神社ー!真美ちゃん受験するもんねっ」

実柚乃ちゃんが勉強神社に挙手。
勉強神社って言われてる、勉強専門の神社。
ここは興味あるかも。

「勉強神社、行きたい人」

みんなビシッっと手を挙げる。
これを何度も繰り返して、6つの神社を巡ることになった。
順番に、恋愛神社、勉強神社、友情神社、信用神社、幸運神社、運動神社。
学校のワードには最適な神社巡りになりそうだな!
神社名は、本当の神社名じゃないよ。
専門分野を神社名として呼んでるだけだから。

「秀花ちゃんたち決まった?」

「うん」

真美たちのグループ、秀花ちゃんたちのグループが決め終わったので、一旦中断。

「決まってないグループは手を挙げてください」

えっと…5グループだね。
今日は部活なし、オーケー。

「では、居残りして決めてください」

みんなに言って、コッソリ秀花ちゃんに聞く。

「居残りしてもらっていい?真美、ちょっといろいろあって」

「あ、オーケー」

秀花ちゃんに謝りつつ、頭を下げた。

330:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 17:20

19.突然お泊まり!?
制服のまま、近所のスーパーへ入る。
うぅ、寒い…!
買い物カートの上に真美。
下に実柚乃ちゃんのカゴを入れて、野菜コーナーから見る。

「実柚乃が作ろうと考えているのは、トゥボロのキャラ弁」

トゥボロの!?
トゥボローーー最近出来たテーマパークのキャラクター。
すごい最近新しくテーマパーク出来るよね。
真美たち、出来る度に晴奈ちゃんたちと行ってたけど。

「食べてみたいな、トゥボロのキャラ弁。実柚乃ちゃん、本当にありがとうね」

実柚乃ちゃんのスマホで調べながら買い物を済ませていく。
ええっと…。
真美の夜ご飯は何にしようかな…。

「真美ちゃん、夜ご飯決まらないの?…あ、そうだ!実柚乃の家においで!泊まってきなよ!」

「え!?」

泊まり?
真美、迷惑かけちゃうし、いきなりそう言われても、実柚乃ちゃんのお母さん困っちゃうし。

「いいでしょ?お母さんに電話するからね〜」

クックパッドを閉じて、実柚乃ちゃんはお母さんに電話。
ちょっ、えっ?
本当に泊まるなんてダメでしょ!

「いいって。泊まってって!」

「でも…」

「いいでしょっ!」

実柚乃ちゃんは、真美のカゴに入っている食パンを実柚乃ちゃんのカゴに移して、カゴを戻してきた。

「真美ちゃん、家帰って荷物まとめてきていいよ!実柚乃が買い物済ませとくから。そしたら真美ちゃん家行くから、それまでにまとめといてね!」

えええーーっ!
ここで断るのも断りにくかったから、家に帰って荷物をまとめる。
歯ブラシ、タオル、歯磨き粉、明日の制服、体操服…。
と、まとめているうちに実柚乃ちゃんが来た。

「もーしもーし、実柚乃だよーっ」

旅行バッグに荷物を詰めて家を出る。
カギをかけて、オーケー!

「突然ごめんねっ」

「うんん。さ、行こ!」

実柚乃ちゃんに手を引っ張られて、制服に旅行バッグの真美。
制服にスーパーの袋にスクールバッグという変な真美たちだった。

331:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 17:32

20.お姉さんはお母さん!
実柚乃ちゃんの家はマンションで、マンションにしてはすごく広かった。
もしかしたらお金持ちかな。

「お邪魔しま〜す」

実柚乃ちゃんの家に入ると、実柚乃ちゃんのお母さんらしき人が顔を覗かせた。

「あら、実柚乃お帰り。その子が真美ちゃん?」

「はい。今日は本当にありがとうございます。多田本真美です。実柚乃ちゃんと仲良くさせていただいてます。よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げると、実柚乃ちゃんのお母さんらしき人はニッっと笑う。
か、カワイイ〜。

「実柚可は、実柚乃の姉!み、ゆ、か。ね。よろしく」

お姉さんなの!?
実柚乃ちゃんは、玄関をスーッっと通っていき、実柚乃ちゃんの部屋に通してくれた。
大人っぽいな〜。
実柚可さん。

「真美ちゃ〜ん、今日は、実柚可のこと普通に話していいから」

は、はーい。
実柚乃ちゃんと同じで家庭科得意なのかな。
フライパン持ってたし。
それにしても、綺麗だな〜、ここ。

「実柚乃のお母さんが、実柚可。お母さんは亡くなったから」

そっか…。
実柚可さん、実柚乃ちゃんのお姉さんでありお母さんなんだ。
ジュワーっと音がして、ハンバーグが見えた。
今日はハンバーグッ!
真美が好きな食べ物だ!

「実柚乃先お風呂入るね〜」

パジャマを持って、実柚乃ちゃんがお風呂へ行くと、部屋はシーンとした。
キッチンへ行って、実柚可さんと並ぶ。

「真美が手伝えることありますか?」

「真美ちゃん、そういうときは、真美が手伝えることある?でいいの!」

笑いながらハンバーグにソースをかける。
うっわ〜、いい香り。

「お願いしたいところだけど、終わっちゃった。ハハハ〜」

実柚乃ちゃんも実柚可さんも、笑顔が素敵だな〜。

「実柚乃、ご飯出来たから早く出てきなさいよ〜!」

実柚乃ちゃん家中に、ハンバーグのいい香りが漂った。

332:薫◆4I (ノ ゜Д゜)ノdice4:2017/08/18(金) 18:27

真美ちゃんのお祖母さん、厳しいね……
私、ほっといてくれるよ。
でも、その分終わったら言い訳するな、自分の出来ることをやれ、って言われる。
でも、真美ちゃん偉いね!
自分に出来ることを頑張ってる!

333:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/18(金) 18:44

薫ちゃん、コメントありがとう。
真美ちゃんがちゃんとやってなさすぎて怒ってたね。
このことで、真美ちゃんは何を学ぶのか!
続くよ!

334:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/19(土) 09:57

21.ふーちゃんの願い?
実柚乃ちゃんの大きなベッドで、漫画を読みながらおしゃべりする。
最近、漫画にハマったんだって。
真美が漫画を読むのは初めて。

「八王子プリンスって言って、小説やドラマにもなってるんだよ!」

「ドラマ!?すごい作品…。八王子プリンスって、タイトルは聞いたことが…あるような…?」

うーん?
どこかで聞いたことがあるんだよね。
いつだろう。

「まあまあ、いつでもいいでしょ。一巻から読んで読んでっ!」

主人公の女の子が、八王子の男の子に恋する物語。
舞台は…私立学校。
八王子。
幼なじみの男の子に恋した!?
八王子の男の子って幼なじみだったってこと!?

「…真美ちゃん、気付くことない?」

「気付くこと?」

漫画をペラペラめくりながら、いろんなことを考えた。
主人公の名前が、若干実柚乃ちゃんに似てるとか?
ミキノだから。

「ミキノって名前は似てるけど、これ、ふみちゃんにめちゃめちゃ似てると思わない?物語」

ふーちゃんに!?
幼なじみに恋するところは…。
それに、真美と同じ立場の子出てきてるし、コヨも、実柚乃ちゃんも!
真美の立場の子の名前は、マコ!
ふーちゃんの立場はミキノだけど。

「この作品を書いているのは、ふみちゃんのお母さん。ふみちゃんは、お母さんの作品が大好きで、ずっと読んでるらしいの」

「あ〜。真美が聞いたことがあるのって、ふーちゃんからかも」

もしかしたら…!
どんどん読み進めていくと、最後にミキノちゃんとマコちゃんが仲直りしていた。
あとがきには、娘の願いの物語と書かれている。

「真美ちゃん、明日、仲直りしよう」

「うんっ!」

真美は、実柚乃ちゃんと一緒にベッドに潜り込んだ。

335:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/19(土) 10:09

22.隅木田くんからの電話
実柚可さんが、真美と実柚乃ちゃんを起こす。
時計を見ると…4時30分!?

「キャラ弁作るんでしょ?難しいんだから、早めに作り出さないと」

そ、そういうことですか。
体操服に着替えて、実柚可さんのエプロンを借りてキッチンに立つ。
 プルルルルプルルルル

「もしもし〜。あ、隅木田?はーい」

隅木田くん!?
実柚乃ちゃんに後から聞いたんだけど、実柚可さんって中2なんだって。
れっきとした彦宮生の。
知らなかったな。

「真美ちゃん、隅木田が電話」

え〜?
こんな朝早くから?
実柚乃ちゃん家にいるの知ってるの!?

「代わりました、真美です」

「実柚可の家にいるんだね。ビックリしたよ」

「どうしたんですか…?」

お願いします、悪いお知らせじゃありませんように。
祈りながら返答を待つ。

「受験勉強で明確ゼミやめるんだってね。明スイばっかりで。ごめん。真美ちゃんのおばあさんには、謝っておいたよ」

「いえいえ。真美の責任ですから」

隅木田くんは、ちょっとホッっとしたような息をついて、悲しげな声で言った。

「今日の明確ゼミで最後だよね。だから、それでパーティーを開くことになったんだ。その時、とりあえず一回目の闘いをする」

闘い…!
明確生に決めてもらう、アレだよね。
ゴックンとつばを呑み込む。

「出席できる?闘いにおいては、真美ちゃんは、作らない・食べない・教えないだから」

「出席します」

「じゃ、よろしく」

絶対、明スイが、勝つんだから!

336:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/19(土) 10:27

23.いざ団結神社へ!
先頭で、前田先生のとなり。
後ろが涼太くんと桜庭くんペア。
そのとなりがふーちゃんと実柚乃ちゃんペアが座っている。
ここは、バスの中なのです!

「前田先生ー、どこ行くんですかー」

「とりあえずは、クラスごと違う神社に行きますが、1組は団結を専門とする神社、団結神社へ行きます!」

そうそう。
昨日、ギリギリで前田先生と話し合って決めたんだよね。
もう、演劇会の練習も始まってるし、団結することって重要だよね!

「多田本さん、そろそろお菓子タイムにしましょうかね」

「はい。皆さんいいですかーっ?」

バスの中のマイクを使う。
よく、バスガイドさんが使うのだ!
カッコいい…。

「多田本さん?」

「はいぃ!皆さん、そろそろお菓子タイムにしたいと思います」

バスの中がドッっと盛り上がる。
お菓子の匂いがバス中に漂ったかと思えば、みんな交換。
めちゃめちゃハイスピードで食べる。
って、みんな楽しめてる!

「多田本さん、これどうぞ」

涼太くんが、ブドウ味のグミ。
桜庭くんが、イチゴ味のグミ。
実柚乃ちゃんが、手作りクッキー。
ふーちゃんが、ビスケットをくれた。
すっごく、楽しいな〜。

337:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/19(土) 12:20

24.みんなの願い
真美、実柚乃ちゃんは、団結神社でお守りを買った。
真美は、クラスが団結して、演劇会優勝出来ますように。
実柚乃ちゃんは、家庭科の時間、団結していい料理が作れますように。
っていう願いを込めて。
各神社全部、お守り買うことにしたんだ!

「今からは自由行動になりまーす。班長さんは、地図、カメラ、時計を取りに来てくださーい!」

いよいよだ!
地図、カメラ、時計をもらって、恋愛神社へレッツゴー!

「ま、まー、ちゃん」

「どうしたの…?ふーちゃん」

「恋愛神社へ向かうのは、時間的にもタクシーでいくのが効率的。タクシーで行きましょう」

えっ…。
ふーちゃんをマジマジと見ると「調べてきたのよ。さあ、行きましょう!」照れてる…。
実柚乃ちゃんがコソコソ言った。

「今がチャンスでしょ。仲直りっ!」

だよね。
やっぱり今だよね。

「ふー」

「ふみちゃん、行こっ」

涼太くんに話しかけられて、まっすぐ涼太くんの方へ。
あっさり手を繋いで…。
神社の長い階段を下ってく!

「カップルだね〜。まあ、ちょっと様子見るか」

実柚乃ちゃんも桜庭くんも境内を下っていったので、真美も追いかける。
ふーちゃん、願いは仲直りだよね?
なのに、逃げてない?
あたかも、仲直りしたくなさそうな。
真美は、ションボリ境内を下った。

※あたかも→まるでという意味です

338:薫◆4I 名前、変えようか迷ってる:2017/08/19(土) 12:37

ふみちゃんと仲直りできるといいね!
頑張って!

339:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』大好き!:2017/08/19(土) 19:51

ふみちゃんとねぇ。
仲直り出来たら、みんな嬉しいと思うんだけどなぁ。
コメントありがとう!

340:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 21:44

25.恋愛神社で
 チャリン チャリン パンパン!
みんなでお賽銭箱にお金を入れて、手を叩く。
真美の願いは、中学生になったら、いい恋が出来ますように…!
神様、どうかお願いします!
お参りが終わって、お守り購入。
団結神社と一緒で、実柚乃ちゃんと色違いのお守り。
真美はオレンジ。
実柚乃ちゃんは黄色。

「ねえ、相川と多田本」

突然桜庭くんが前に出る。
ふーちゃんと涼太くんは、まだお守りを見てる。
バレないね。
なんかこの気まずいムード。

「杉田と涼太と俺に、避けてない?ふたりだけの世界すぎて困る」

「樹くんだって、青山野くんとふみちゃんとの世界に入り込んでる!」

実柚乃ちゃんと桜庭くんの言い合いに、ふーちゃんと涼太くんも気付いた。
ここは、やっぱり班長の真美が…。

「どうしたの、ふたりとも」

ふーちゃんがお守りを置いてこちらへやって来る。
このグループ、終わりかも。
ムードが気まずすぎ。

「実柚乃だって、ふみちゃんたちと仲良くしたいのに、3人で話してるから悪いんじゃん!」

「落ち着いて!まあ…みんなで仲良くさ、やってこっ」

みんなを見回すけど、実柚乃ちゃんと桜庭くんはピリピリ状態。
あ〜、どうすれば。

「実柚乃ちゃん、ごめんね。わたしたちがずっと。桜庭くん、ね…?」

ふーちゃんが割って入ってふたりに笑いかけると、この騒ぎは収まった。
真美だと仲直り出来ないのに、ふみちゃんなら出来る…。
もっと頑張らないといけないって証拠かなぁ。

「ごめんなさい、桜庭くん」

実柚乃ちゃんがボソッっと謝って、無事騒ぎは解決。
真美は、神様がいるところでお辞儀した。

「お騒がせして申し訳ございませんでした」

真美は、にっこり笑顔で輪に戻った。

341:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 21:59

26.友情神社は友情専門!
またも、ふーちゃんの調べによって、友情神社へはすぐ行けた。
 チャリン チャリン パンパン!
ここでのお祈りは、もちろん。
このグループがいい雰囲気になれますように。
そして。
ふーちゃんと仲直りできますように。
お願いします!

「あれ?真美〜!」

境内からコヨが走ってくる。
コヨがいるグループは、美華ちゃんグループ。
よくあそこにいられるな〜。

「明確ゼミのパーティー楽しみにしててね」

ふと言われて思い出した。
今日、ひとつ目の闘いのこと。

「真美ちゃーん、行こ〜お守りー」

実柚乃ちゃんが言ってくれて、コヨをちょっとにらんで実柚乃ちゃんと一緒にお守りを買った。
今回の友情神社では、真美たちグループの絆ってことで、みんなオソロイのお守りを買ったんだ!
みんな紫で、可愛いの。
実柚乃ちゃんが選んでくれたの。

「ふーちゃんっ!」

境内を下ろうとしているふーちゃんを呼び止める。
コヨが、お守りを買うところからこっちを見てる。
真美とふーちゃんがいい雰囲気じゃないの、知ってるもんね。

「あの…この前はごめんなさいっ!真美のせいで…」

「まーちゃん…?」

頭をずっと下げていると、ふーちゃんが真美の肩を持ち上げた。
そして、にっこり。

「わたし、まーちゃんが悪いなんて思ってないよ。ただ、北山さんと遊びはじめて、北山さんに嫉妬してたの」

えっ…そうなの?
でも、真美はやっぱり悪いことしかしてないし…!

「仲直りって言うより、また、仲良くしてくれる?ねっ?」

「うんっ!」

こんなに真美は幸せになっていいのかな?
真美ばっかり。
ふーちゃんと境内を下って、みんなのところへ行く。
もう、実柚乃ちゃんと桜庭くんも悪いムードじゃない。
涼太くんとも、仲良く話してる。

「じゃあ、勉強神社へ行きましょう。電車で行くのが最適。勉強神社でお弁当食べましょ」

ふーちゃんのプランで、真美たちは勉強神社を目指した。

342:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 22:23

27.秋の遠足の思い出
帰りのバスの中。
本当に思う。
今日は本当に良かったって。
お弁当は実柚乃ちゃんとオソロイで、おかず交換したこと。
グループ内で恋バナしたこと。
桜庭くんのこと、樹くんって呼ぶようになったこと。
他にいろんな神社行って、最後。
集合場所の勝利神社での記念撮影。
クラスみんなオソロイのお守り。
みんな寝てるバスの中、うっとりお守りを見る。
グループのお守り。
クラスみんなオソロイのお守り。
実柚乃ちゃんとオソロイのお守りの数々を。

「多田本さん、楽しかったみたいですね」

となりの前田先生がお守りを見ながら笑った。
前田先生の手には、3つのお守り。
恋愛神社と、幸運神社と勝利神社のお守りだ!

「先生も楽しかったみたいですね」

「ええ。みんな楽しそうだったもの」

前田先生と笑いながら、真美はまぶたを閉じた。


「みちゃん!真美ちゃん!」

はいぃっ!
揺すられて起きたときは、彦宮学園に着いていた。
実柚乃ちゃんが真美の顔を覗き込む。

「ごめんごめん!」

急いでバスを降りて、学年で集まる。
学年主任の小林先生が前に出る。

「秋の遠足はいかがでしたか?」

すっごく楽しかったです!
いろんな先生の話が終わって、解散となるとき。
真美は家に帰る決意をした。
実柚乃ちゃんにも悪いしね。

「本当にありがとう!荷物が実柚乃ちゃん家にあるから、実柚乃ちゃん家へは行くね」

「分かった。本当にいいんだね」

真美は大きくうなずいて、実柚乃ちゃんと実柚乃ちゃんの家へ。
向かった。

343:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 22:41

28.意外な結末
荷物を持って、実柚乃ちゃん家を出る。家はスッカラカンだろうけど。
カギを開けると、すごくいい匂いがした。
ど、どうして?
キッチンへ行くと、いつものエプロンを付けたおばあちゃんがいた。

「おばあ、ちゃん…?」

「真美ちゃん、お帰りなさい」

どうして?
おばあちゃん、家を飛び出したんじゃないの?
キョトンとしていると、おばあちゃんは笑った。

「ちゃんと勉強しないといけないことが分かったかい?」

「うん。ありがとう」

涙もろいのおばあちゃんは泣いて、真美も部屋でずっと泣いた。
勉強しないといけないのが分かったのはもちろん。
おばあちゃんの大きな存在にもよーく気付いたしね。


 コツコツコツコツ
ヒールの高い靴を履くことになって、やや緊張ぎみ。

「多田本真美さん、明確ゼミ卒業!そして、明スイどちらに入るか闘い!」

梨歩佳さんの力強い司会で、パーティー会場のドアが開いた。
カワイイワンピースを着て、いざ入場だ!
真美は、お辞儀して入った。

344:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 22:55

29.結果は?
明スイメンバーがスイーツを作るところから始まった。
どんな風になっているのかは黒い板で隠してあってね。
真美も、どんなスイーツを作るのか楽しみ。

「明スイを待っててくれる人は、こんな気持ちなんだよ」

梨歩佳さんがとなりでつぶやいた。
こんな気持ちなんだ。
じゃあ、すっごい楽しみだね。

「おおっ、露島先輩の方が完成しました!矢本先輩の方も…完成です!」

いよいよだ。
梨歩佳さんも審査員なので、会場の前に移動した。
ひとつは、シュークリーム。
もうひとつは、パフェ。
美味しそ〜う!
明確生が食べ比べて、結果は真美の発表になる。
えっと…シュークリーム派。
パフェ派、パフェ派、パフェ派…。
シュークリーム派、シュークリーム派、シュークリーム派…。
シュークリーム多くない!?

「結果は、シュークリームを作ったグループです!」

明スイの方を見ると、ガックリした様子。
負けたのっ?
コヨは、ギッっとにらんできた。

             (つづく)

345:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/19(土) 23:05

あとがき
               みぃ

初めまして!
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイいかがでしたか?
今回は、いろいろありましたね!
ふみちゃんとケンカ。
コヨちゃんの出現。
新明スイ!?
おばあちゃんとの言い合い。
実柚乃ちゃんと桜庭くん…樹くんの言い合いなど。
皆さんはどこのシーンが好きですか?
今回も、皆さんに記念すべき10巻をお届けできて嬉しいです!

ちょっと雑談。
皆さんは親友いますか?
私はいません。
親友というのは、何でも打ち明けられる人。
そういうと…いるけど、その人は、私のことそう思ってないだろうし。
それなのに親友って言えるのかな?
親友がいるって心強いですよね。
それも、青春のひとつです。
青春を楽しみましょう!

ここでコメント!
薫ちゃん、いつもコメントをくれて本当にありがとう!
これからも真美ちゃんを応援してほしいな!

最後になりましたが、お礼。
ここまで読んでくださった皆さん、本当に本当にありがとう!
良ければ、コメントください!
これからもよろしくお願いします。

次回予告です。
学校のイベントは修学旅行!
だけど、第二回闘い!
真美ちゃんはどっちに入るの!?

次回もよろしくお願いします!

346:薫+*Mio+* ◆v. (ノ>_<)ノ ≡dice5:2017/08/20(日) 10:17

おおっ、完結!
真美ちゃんも、一難去ってまた一難、って感じだね。
明スイどうなっちゃうの⁉
次回も読むよ!(^o^ゞ

347:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/20(日) 10:38

薫ちゃん、ありがとう!
あとがきにも毎回出てるね(ごめん!)
感想もいつもすごい嬉しい!
次回もよろしくお願いします!

348:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』岬ちゃんみたいになりたーい!:2017/08/20(日) 10:42

『ここは明確スイーツ研究部!11』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識していた小学6年生。私立青山野学園を受験する。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

349:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』レイよりトモLOVE!:2017/08/20(日) 13:18

1.放課後の児童会室
12月に入ったばかりの日のこと。
児童会メンバー全10名はずーっと悩みこんでいる。
わたし、多田本真美。
ここ、私立彦宮学園のれっきとした児童会長。
だけどね…。

「児童会長〜、無理〜」

児童会会計の戸部くんが投げ出した。
5年生なんだけど、やる気が全然ないから困ってるの。
真美たちが真剣に考えてるのに、ランドセルから漫画出してさっ!
漫画、持ってきちゃダメなのに。

「ちょっと、戸部くん!」

5年生の頼れる、児童会対応の河合さんは、この間まで入ってた華道部の部員なんだ。

「戸部くん、やらないなら帰って。すごく目障りで仕方ない」

5年生の児童会対応の、ちょっと冷たい横田さん。
メガネのレンズが光って見えて、真美もドクンとした。
他、児童会会計の古橋くん。
5年生のね。
頼れる6年生の、児童会書記の秀花ちゃん。
秀花ちゃんとペアの6年生の、児童会書記もうひとりは、野口くん。
落ち着いた様子の6年生の、児童会生活の柴田さん。
柴田さんのペアの6年生の、鈴木くん。
いつでも元気な6年生の、太田くん。
そして、真美。

「児童会長、これ」

横田さんが資料を渡してくれて、ザッっと目を通す。
文化祭の流れから演劇会の流れまで、きっちりパソコンで打ってある。

「ありがとうございます。横田さん。では、演劇会のお知らせプリントを作ってください。河合さん、横田さんと作ってください」

「分かりました」

修学旅行担当の6年生は…?
チロッっと6年生の方を見ると、みんな頭を抱えてる。
今週なのに…!
真美は、急いで6年生の方に入った。

350:みぃ◆8Q 『終わる世界でキミに恋する』レイよりトモLOVE!:2017/08/20(日) 13:31

2.修学旅行へ行ける!
柴田さんが、鈴木くんと仕上げていたプリントを掲げる。

「児童会長、これをしおりに印刷したら、しおりは完成しますよ!」

「ありがとう。じゃあ、鈴木くん。印刷してきて。柴田さんはこっち。秀花ちゃんたちと一緒に、電話かけて!」

手際よく行っていてちょっとホッっとしつつ、5年生の方も見る。
…って!
本当に戸部くん帰ったの!?
横田さんの目力強い!

「児童会長、お知らせプリント印刷終わりました!」

河合さんがプリントを見せる。
さすが河合さんと横田さん。
手際よくやってくれたね!

「では、学校に貼ってきてください。いつものところに。初等部だけでなく、中等部と高等部も」

「はいっ!」

うちの文化祭は、今年から初等部から高等部一緒に行うことになった。
この時、真美は全校の前でスイーツを食べるらしい。
彦宮生の第二回の闘いで、明スイが勝利したら、ね。
真美が、新明スイか、いつもの明スイに入るか決めるらしい。
第一回は負けちゃったけど、絶対勝てるよねっ?

「児童会長!電話かけ終わりました!全て計画通り進行出来ます!」

「ありがとう秀花さん、柴田さん。鈴木くんはどう?」

印刷室をチロッっと見ると、だいたい150枚ありそうなプリントの束を持っていた。
オーケー!
これで修学旅行へ行ける。
行き先は毎年変わって、今年は新潟県へ行くことになった。
学年全員で、スキーやったり、雪だるま作ったり、鎌倉作ったりね。
貸しきりなんだよ!
2泊3日で。
二日目の予定は、美味しいもの巡り!
これは、鈴木くんが行きたかったんだって。
秀花ちゃんも行きたいらしく、美味しいもの巡りに決まったんだけど。
学年主任の小林先生がめちゃめちゃ喜んでるんだよね。

「よーし!6年生も、文化祭の方やりましょうかね。演劇会のこと担当してください!」

絶対、絶対。
文化祭も演劇会も修学旅行も成功させるんだから!

351:みぃ◆8Q 『セカキミ』トモLOVE:2017/08/21(月) 18:24

3.離れない心
「ただいま〜」

ローファーを脱いで、先に児童会メンバーに配られたしおりをおばあちゃんに見せる。

「今回の行き先は、新潟県、美味しいものを巡りながら東京都へ。3日目はスカイツリーだよ!あと、キッザニアってところ」

「スキーだよねえ。ちょっと子供っぽいかもしれないけど、真美ちゃんが優樹さんにおねだりして買ってもらったシカのスキーボードならあるよ」

おばあちゃんは、物置からシカの子が写っているスキーボードを出す。
久しぶりに見たなあ。
真美は、ちょっとスキーボードをなでてみる。
汚れた感じが、使ってるってイメージだけど、一度しか使ってないんだ。
スキー場に行くのも二回目だし。

「さあさ、真美ちゃん。赤ちゃんの話だけどねえ。まあ何と双子だったらしいんだよ」

「ふっ、双子!?」

真美に、いきなり妹か弟がふたりも出来ちゃうの!?
嬉しーい!

「ひとりは女の子、ひとりは男の子だそうだよ。男の子の方は、もう名前は考えたみたいで、眞優くんだそうで」

眞優くん!!
カッコいい名前。
きっと、真美みたいな児童会長になれるはずだよ〜。

「女の子の名前も気になるねっ!」

「そうだねえ。やっぱりおばあちゃんの案は、真子かしらねぇ。野太いだろう?」

真子ちゃんかぁ。
それもカワイイけど。
 チュンチュン
外を見ると、真美が飼っている感じの鳥が鳴いている。
真由ちゃん。
名前がちょっとだけだけど、眞優くんと似ているかも。
眞優くんと来たら、『ま』を使うなら『眞』だよねえ。
真美が、本を見ながら考えているのは様々。
良ければだけど、真美の案も聞いてほしいな〜。
 プルルルルプルルルル

「もしもし多田本です…ああ、真美ちゃんですね。はい、はい…」

実柚乃ちゃんから電話がかかってきた様で、受話器を握る。
軽やかな、優しい声が聞こえた。

「真美ちゃん?実柚乃だよ」

「真美だよ!」

実柚乃ちゃんは、ちょっと間を空けてモジモジしながら言った。
あたかも、決意するように。

「秋の遠足で、真美ちゃんともっと仲良くなれて、実柚乃嬉しかった。真美ちゃんと離れたくないし、チャレンジしたいし、ずっとその気だったから」

スッっと息を吸い込んだかと思うと、実柚乃ちゃんは一言。

「実柚乃も青山野受けるからっ!」

「実柚乃ちゃんっっっ!」

絶対絶対、一緒に行こうね。
受験合格者票に、実柚乃ちゃんと真美の名前があるの楽しみにしてるから。

352:薫+*Mio+* ◆v.:2017/08/21(月) 19:51

実柚乃ちゃんも真美ちゃんも、頑張って!
双子なんて珍しい!
まゆう君……かな?あ、まやくんかも?(馬鹿でごめんね)

353:みぃ◆8Q 好きな人じゃない男の子とは楽なのにどうして好きな人は楽じゃないの!?:2017/08/22(火) 07:38

薫ちゃんありがとう!
双子だよ〜!
まゆう君で当たりだよ。
全然馬鹿じゃないからっ!
これからもよろしく!

354:薫+*Mio+* ◆v.:2017/08/22(火) 07:42

まゆう君か、可愛い!(いや、かっこいいの方が妥当?)
馬鹿じゃないなんて……ありがと!

355:みぃ◆8Q 好きな人じゃない男の子とは楽なのにどうして好きな人は楽じゃないの!?:2017/08/22(火) 07:55

4.修学旅行で児童会長
一階に降りて、スカートの裾を整え、昨日準備した荷物を確認。
よし、オーケー。

「さあ、行くかい?」

「うんっ!行こ行こっ!」

大きなバッグに入っているしおりを車の中で見つめる。
女の子が、真美、実柚乃ちゃん、ふーちゃん、初香ちゃん、エリちゃん、さやかちゃん。
男の子が、涼太くん、樹くん、太田くん、数学くん。
数学が得意だから、コッソリ数学くんって呼んでるんだ!
正直、名前を知らないんだけど。

「おばあちゃん!絶対絶対お土産買ってくるから待っててねっ!」

おばあちゃんに伝えて、彦宮学園前の広場へ足を降ろす。
今から、もう修学旅行は始まってる。
しおりをギュッっと握りしめて、前田先生にあいさつ。

「おはようございます」

児童会ということで、ちょっと早く来たんだよね。
今来てるのは、柴田さんと真美のみ。

「児童会長おはようございます!」

「おはようございます!」

柴田さんとは、二回同じクラスになっただけで、クラブも一回同じクラブになっただけ。
あんまり関わってなかったんだよね。
だけど、仲良くできて嬉しいっ!

「スキーボード、新しいの買ってもらったの。児童会長は?」

「真美は、昔買ってもらったのを」

充分それで使えそうなので、綺麗に磨いて新品くらいにした。
そのことを柴田さんに言うと「さすが児童会長です」なーんて。
汚かったから磨いただけなのに。

「児童会長〜」

秀花ちゃんが車から降りてきて、ふーちゃんも降りた。

「秀花ちゃんおはよ!」

「おっはよー!」

ふーちゃんはひとりでいるけど、すぐいろいろな人が来て、ふーちゃんもどこにいるか分からない。
みんな、普通の車で来るけど、美華ちゃんはっ!
リムジンにコヨを乗せてる…!

「秀花ちゃん、読み上げて。柴田さんは人数チェック1、2組を」

すぐ指示して、真美は校長先生にあいさつ。
皆さん、今日は本当によろしくお願いします!

356:みぃ◆8Q 好きな人じゃない男の子とは楽なのにどうして好きな人は楽じゃないの!?:2017/08/22(火) 07:56

分からない。
カッコカワ?
馬鹿じゃないでしょ!

357:みぃ◆8Q 好きな人じゃない男の子とは楽なのにどうして好きな人は楽じゃないの!?:2017/08/22(火) 08:14

ー訂正ー
全150名。
1〜5組。
体育祭では、い組ろ組は組に組ほ組。
夢花見京香、と遊んでいる琴ちゃんは転校してしまったと考えてください。
理由はそのうち明らかに!

358:薫+*Mio+* ◆v.:2017/08/22(火) 08:42

うん、かっこかわだね!
修学旅行、新潟なんていいなぁ!
私も秋に行くよ!
でも、ほとんど行ったことある場所なんだよね〜

359:みぃ◆8Q:2017/08/22(火) 08:47

薫ちゃん、コメントありがとう!
カッコカワかな…?
いいのか悪いのか普通なのかwww
新潟ねぇ。
焦って決めたところ。
薫ちゃんは行ったことあるところに行くんだね!
真美ちゃんのヘタクソなスキーに、笑った男の子たち。
もう休みなのに、指示が聞こえなくてひとりまだ練習していく真美ちゃん。
真美ちゃんを助けに行くのは…?

360:薫+*Mio+* ◆v.:2017/08/22(火) 08:54

おぉっ、なんか良い展開を期待しちゃう!
私は東京に一泊二日。
なんか前は二泊三日だったのに、変わっちゃったんだよね〜

361:みぃ◆8Q:2017/08/22(火) 17:31

期待できる内容かもだけど、文才なくてガックリするかもだからやめといた方がいいかも。
私は奈良に一泊したよ〜♪

では、本編どうぞ!

362:みぃ◆8Q:2017/08/22(火) 17:46

5.意外な出来事
 ガタンゴトンガタンゴトン
電車が揺れていて、エリちゃんとさやかちゃんより身長が高い真美は、吊革にぶら下がってるんだよね。
通学中の学生や、通勤中の大人がパンパンで揺れるときガクンとなる。

「エリちゃん、あそこ見て!」

さやかちゃんが指差していた先は、露島先輩と、隅木田くん!?
ど、どうして!?

「何か話してるねぇ。高等部の王子様と中等部の王子様!」

「本当だね。さやちゃん行ってきたらいいじゃん。それが修学旅行」

ふたりが盛り上がっているのをボーッっと眺めながらも、隅木田くん達をジッっと見る。
するとっ!

「イヤァァァ!」

ウグッ。
つい叫んじゃった…。
同じ車両に乗っていた人達の視線がジリジリと集まってくる。
やだなあ。
頭を下げながら、しゃがみこんだ隅木田くんを見つめる。
露島先輩にほっぺたを叩かれた隅木田くん。
痛すぎて、しゃがみこんでるんだよね。真美分かるよ。
やられたことあるもん。
もう解決したけど。
そんなことを考えていると、次の駅へ向かうため、電車が発進してしまう。
絶対、助けてあげるから。
真美じゃ何にもならないかもしれないけど。
必ず何とかして見せるから!

「あのぉ、あのぉ」

エリちゃんのとなりに座っていた男の人が言った。

「座りますか?」

「いえいえ。絶対大丈夫です。わたしは立ってますから」

「いえ…」

男の人はカバンを持って立ち上がる。
何か、座らない方が失礼かな。
せっかく譲ってくれてるし。

「ありがとうございます」

椅子に座ると、ため息をついてエリちゃんの方を向いた。

363:みぃ◆8Q:2017/08/22(火) 18:01

6.乙女の恋
バスを降りて、新幹線で新潟県へ向かう。
真美は初香ちゃんのとなりで、将来の夢の話をしていた。

「初香はね、特に将来の夢ないけど、強いて言うならディズニーのダッフィー関係のお仕事だよ」

へぇ〜。
きっとだけど、初香ちゃんは優しいから、おっとり癒しタイプのダッフィー関係のお仕事は剥いてると思う。
真美の夢って…何だろう。
とりあえず、結婚して、子供産みたいだけかもしれないな。
とりあえず、ね。
子供は欲しいし、結婚はしたいし、結婚しなきゃ子供産めないしね。

「真美ちゃんは?」

「特に決まってないかな。ごめんね」

「いやいや、全然大丈夫!」

初香ちゃんはバスの外を見ながら、前の樹くんの頭をポンポンした。
好きなんだって、樹くんのこと。
付き合ってたこともあって、別れたらしいけど。
ま、初香ちゃんはカワイイし、樹くんも初香ちゃんにお似合いだよ。
ぜひとも付き合ってほしいなっ!

「何だよ初香」

樹くんは、他に好きな人がいるみたいで、初香ちゃんの気持ちに気付いてないらしい。
かなりアピールしてると思うけど。

「班一緒になれて良かったぁ」

「そう?俺と一緒になって?」

「うん!もーっちろん!」

乙女ってこういうののことか。
真美って乙女だと思ってないから、恋してる女の子を見ると、乙女!
って反応しちゃうんだよね。

「オソロイの何か買おーねー!」

「あ、ああ」

樹くーん、初香ちゃんの気持ちに応えてあげてよね〜?
すると、樹くんは真美を見た。

「真美が笑った顔ってカワイイよな」

「はぁっ?急に何言い出すの。ほら、初香ちゃんが笑った顔の方がすごくカワイイけど」

樹くん、お願い。
そろそろ気付きなさいよ!
でも気付かなくて、チラッっと初香ちゃんを見る。

「え、何それ樹くん。真美ちゃんはカワイイのに、初香はカワいくないの。正直、顔には自信あったのにぃ」

「初香もカワイイよっ!気にしなくていいって。顔に自信持てよ」

樹くん、気付いたかな。
真美はホッっとしながら、初香ちゃんの恋を眺めた。

364:みぃ◆8Q:2017/08/22(火) 18:44

7.乙女のお願い
『わぁーーーー!』
みんな、スキーボードを握りしめて、スキー場へ飛び込む。
樹くんは、雪を見た瞬間。
 ボフッ
真美の肩を抱きながら雪の中へ倒れ混んだの!

「ちょっと、樹くん!」

「わりぃわりぃ、ハハハッ!」

もーう。
すぐそういうことするんだから。
雪でも湿らない手袋で樹くんに付いた雪も払う。
本当にダメなんだからっ!

「真美ちゃん、こっちこっち〜」

班の女の子が手を振っている。
はいはーい。
スキーボードを持ち直して、初香ちゃんのとなりへ行く。

「真美ちゃんって樹くんと仲良しだから羨ましいな」

「初香ちゃんも仲良しじゃん。もっと仲良くなりたいよね。今日、みんなで目一杯遊ぼっ!」

初香ちゃんはうなずいて、エリちゃんの肩をポンポンつつく。
よーし。

「じゃあじゃあ、ガーッって上がってく乗り物で一番上まで行ったら、そこから一番早く降りた人が、好きな人と1日過ごせるね。いない人は、適当に選んで」

初香ちゃんの樹くんのとなりに立ちたいという願望も込めて、みんなで乗り物に乗る。
二人乗りだったので、初香ちゃんとふたりで乗る。

「真美ちゃんにお願いがあるんだ…。樹くんのこと、取らないでほしいの」

「あ、そういうつもりじゃないの。初香ちゃん応援してるし」

初香ちゃんはホッっとしたように笑って、スキーボードを直す。

「強く言ったように捉えないでね?」

初香ちゃんがボソッっと言ったのには気付かなかった。

365:薫+*Mio+* ◆v.:2017/08/22(火) 18:54

おおっ、なんか予想通りといいますか。。。
続きが楽しみ!

366:みぃ◆8Q:2017/08/27(日) 11:59

薫ちゃんありがとう。
予想通りでしたか!
続きは予想通りに回るかな…?

では、どうぞ。

367:みぃ◆8Q:2017/08/27(日) 12:36

8.闘いのトラブル
みんな木々の間を通り抜けながら気を引き締めて立つ。
好きな人はいないから、好きな人がいる人が、その人と過ごせるように。
真美は、乙女に協力するためにゆっくりしようかな。

「真美ちゃん、みんなでバトルするけど、実柚乃ともバトルしよう!」

「あ…うん、いいよ」

どうしよう。
初香ちゃんに協力しなきゃ。
でも、どうせ上手く出来ないし、比べるほどじゃないよね。

「いくよ〜、よおい、どん!」

エリちゃんが掛け声を出して、真美たちはスタートした。
実柚乃ちゃんは、器用に木々を通り抜けて、ダントツ1位で滑っていく。
負けちゃうな、真美。
せっかくの修学旅行で、上手く出来ずに終わるのはイヤ。
よーし、頑張るぞ!

「真美ちゃん速いよぉっ!」

初香ちゃんが苦戦しながら叫ぶ。
真美の後ろは初香ちゃんだけ。
みんな前。
すると。

「真美ちゃぁんっ!」

初香ちゃんは、坂が急なところでボードごと転倒した。

「初香ちゃん!」

真美は、近くの木に掴みながら、ゆっくり初香ちゃんに近寄る。
ギュッっとふたりで手を握りあって、ゴールしようとした…けど!
初香ちゃんが方向を決めてて、自分目線から見てたから。
真美は大きなトゲトゲがいっぱいの木に突撃しちゃったっ!

「あっ、真美ちゃん!」

でも、もう遅かった。
もう木はなく、雪ばっかりの坂。
真美と初香ちゃんの手は離れ、トゲトゲとジャンパーの裾が絡まって!

「初香ちゃ〜ん!」

「…」

ここからは、ちょっとした急斜面で、上手くスピードを調節出来ない初香ちゃんは、恐らくスピードを上げて滑り降りる。
つまり…。
ゴックンと唾を呑み込む。
ちょっとずつ雪の降る量が増える。
みんなは見えない。
微かに、前田先生の声が…。

「前田先生ーーー!」

「…」

どうしたらいいの?
全然取れないトゲトゲ。
誰もいない雪の中。
そして…寒い。
初めはそんなに寒くなくて、薄い方を着てきて、今は寒い。
お願い初香ちゃん。
一番下へ行って。
先生に伝えて、真美を助けて。
真美は、パサッっと雪の中に倒れた。

368:みぃ◆8Q:2017/08/27(日) 12:52

9.知っている真実
初香のせいだ。
ギリギリ、木の横を滑ったかと思えば、真美ちゃんが…。

「初香ちゃん、真美ちゃんは?」

「そろ、そろじゃない…?」

初香の声は強ばっている。
今、前田先生が呼び掛け中。
あとふたり帰ってきてない。
いや…三人。
真美ちゃんと樹くんと坂宮くん。

「はぁぁっ!」

坂宮くんが帰ってきた!
スキー場の小さな家で、暖炉、ヒーターに当たりながら待つなんて。
真美ちゃんがどこにいるのか知っているのは初香だけ。
でも、話したら疑われる。
何か知ってるならって。
初香が真美ちゃんを置いてきたこともバレちゃう。
そんなの怖いから、ヤダ!

「多田本さんと同じ班の子来て」

前田先生が家に入ってくる。
どうしてこの班だけふたりも…!

「多田本さんと桜庭くんのことについて、知っていることありますか?」

「はいはーい!初香ちゃんと一緒にいたのが見えましたー。実柚乃が一番に滑ったら〜、初香ちゃんが倒れて〜、真美ちゃんが助けてて〜、それからは雪が降って〜見えませんでしたー」

実柚乃ちゃん!
真美ちゃんのことは知らない設定なのに!
前田先生に見られてギクッ。

「実柚乃ちゃんの言う通りです。ですが、そこからは初香ひとりで滑れたので知りません。真美ちゃんは、体勢整えてました」

実柚乃ちゃんと前田先生にギロッっとにらまれる。
でも事実だし。
初香は悪くないしっ!
初香は、平静を取り持っていた。

369:みぃ◆8Q:2017/08/27(日) 13:11

10.仲間を守った行動
ハッ!
ゆっくり目を開ける。
まだトゲトゲが絡まってる。
立ち寝してたんだ、真美。
トゲトゲをまた取りながら、どうしようか考える。
前髪が微妙に凍ってる…!
風は強く、なぜか上の方は弱い。
一番上へ行って、練習しながら様子を見ようかな。
…真美は、最高に寒い雪山を上る。

「お〜い真美〜!」

「真美いるかーーー?」

この声は、坂宮に…樹くん?
上の方はだんだんはっきりくっきり見えてきて、雪も降っていない。

「真美!」

「早く帰ろう真美!」

右は坂宮。
左は樹くん…。
っと…!

「真美ちゃ〜ん!初香よーっ!」

初香ちゃん?
バランスを崩しつつも姿を見せる初香ちゃん。
が…!
倒れちゃうっ!

「樹くん、初香ちゃんを!」

真美は初香ちゃんを樹くんの方に押して、体勢を崩して木々の間に転がり落ちていく!
初香ちゃん、これで樹くんと仲良くなれたよね。
坂宮、今までありがとう。
なんか亡くなる感じの感情。
どうしてこんなこと考えてるの。
そんな真美の手を掴んだのは。

「真美!」

坂宮だった。

370: 薫+*Mio+*◆v. 受験合格*プロジェクト!:2017/08/27(日) 16:27

やっほー!なんか久しぶりだね!
真美ちゃんと坂宮くん、どうなるのかな?
あと、みぃも勉強頑張ってね!

371:みぃ◆8Q:2017/08/28(月) 09:47

久しぶりだね!
コメントありがとう。
真美ちゃんたちの新たな恋行進だよ!
勉強、薫ちゃんも頑張ってね。

372: 薫+*Sena+*◆T. 受験合格*プロジェクト!:2017/08/28(月) 10:13

お互い頑張ろう!
恋も楽しみだし。

373:みぃ◆8Q:2017/08/28(月) 10:23

そうだね!
楽しみにしてくれててありがとう。

374:岬◆8Q:2017/09/10(日) 19:22

名前変えました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
11.心配してくれた友達
何か、暖かい。
さっきまで寒かったのに。
ゆっくり目を開けると、心配そうな顔をした実柚乃ちゃん。
と…坂宮!
部屋の隅には班の子がいた。

「真美ちゃんっ?」

実柚乃ちゃんが声を上げて、みんなが近寄ってくる。
真美、ベッドに寝てるんだ。
ゆっくり起き上がると、ふーちゃんがおでこに手を当てた。

「ちょっとは暖まってきたね。まーちゃん大丈夫?」

やっぱり冷えてたんだ。
初香ちゃんが歩み寄ってきて、耳元でつぶやいた。

「後から話したいことがあるの。みんなが行ったら、ふたりで初香と話させてね」

初香ちゃんは起き上がって、エリちゃんやさやかちゃんとおしゃべり。
ふーちゃんと実柚乃ちゃんもふたりでおしゃべりしていた。
心が和むな〜。

「ふみちゃん、俺、前田先生に言ってくる」

涼太くんと樹くんが部屋を出ていき、坂宮が顔を近付けてきた。

「真美、ごめんな。助けに行くの遅れて。俺がもっと早く行けば…」

「うんん、いいの。ごめんね、迷惑かけちゃって」

坂宮に謝ると、首をブンブン横に振って、ニカッっと笑った。

「真美が元気そーで良かったぜ!」

そうだね、心配してくれてありがとう、みんな。
真美も坂宮に笑いかける。
前田先生が入ってきて、「大丈夫?」と声をかけられた。

「はい、すみません。勝手な行動してしまって。本当に反省しています」

前田先生に何度も何度も頭を下げると、優しい微笑みを向けた。
いつもはちょっと厳しい前田先生が。

「多田本さんが無事で、本当に良かったわ」

前田先生は涙を流してうなずく。
真美の頭をなでてくれて、ママみたいに笑ってくれる。
卒業の年が、前田先生で良かった。
本当にそう思って、ベッドに持たれかかる。
すると。

「前田先生ー、真美ちゃんとふたりで話したいことがありまーす」

初香ちゃんが言って、みんなが退出した。
何を言われるのかな?

「あのね…真美ちゃん…」

 ドクン、ドクン
何…言う、の…?

375:岬◆8Q:2017/09/10(日) 19:37

12.初香ちゃんの気持ち
「本当にごめんなさい!初香が勝手な行動したからっ!」

初香ちゃんが、ペコリと頭を下げる。
え…そういう話だったの?
すっかり樹くんのことかと。

「初香が、真美ちゃんの目線でも滑らなかったし、先生に本当のこと言わなかったから!」

初香ちゃんによると、ちょっと先生に聞かれたときにウソをついてしまったとか。
自分がしたって認めたくなくて。
何とか抜け出してきたらしいけど。

「最悪だよね、初香。ごめんなさい」

「いいよそんなの。気にしないで」

「気にするよ!初香のせいで、修学旅行台無しじゃん…」

初香ちゃんの目がウルウルしてきて、いつしかは涙でいっぱいだった。
真美が引っ掛からずに滑ってたら、こんなことなかったんだ。
チクチクも、早く取ってたら…!

「真美のせいだよ。初香ちゃんのせいじゃない!」

真美もだんだんウルウルしてきて、ふたりで泣いていた。
ベッドの布団は湿って冷たい。
初香ちゃんの心は温かい。
真美のこと、一番に考えてくれてる気がしたから。

「もうやめよう?この話。楽しもうよ、修学旅行!」

真美が初香ちゃんの背中をさする手を止める。
初香ちゃんはゆっくりうなずいて、一緒に食堂へ移動した。
エリちゃんやさやかちゃん。
実柚乃ちゃんとふーちゃんたちも晩ごはんを食べていた。
真美、お昼ご飯食べてないな。
お腹空いてないけど。

「あ、初香ちゃん、こっちこっち!」

エリちゃんが手を振って、となりに座る。
晩ごはんは和食かぁ。
温まるご飯だ。
焼き魚にご飯にお味噌汁。
お漬け物と、ほうれん草のお浸し。
どれも、『和』って感じ。

「真美ちゃん、おしゃべりしよ〜」

実柚乃ちゃんがにっこり笑って焼き魚の骨を取る。
って、取り方違うよ〜。

「実柚乃ちゃん、骨の取り方、こう」

真美がやって見せると、実柚乃ちゃんも真似してきれいに骨を取った。
ほぼ身のみだよ!

「ありがとう真美ちゃん!」

良かった、骨が残ったまま食べることなくて。
ホッっとしつつ、真美も焼き魚を食べる。
おばあちゃんの味がして、とても心が温まってきた。

376:岬◆8Q:2017/09/10(日) 19:49

13.乙女の恋バナ

その日、旅館の真美たちの部屋で恋バナが繰り広げられていた。
初香ちゃんの恋愛がメインでね。

「樹くんの好きな子って、絶対真美ちゃんだよね〜」

さやかちゃんが真美の腕をつついてきた。
ええっ、違うってば!
さやかちゃんにつつき返すと、初香ちゃんがしんみりして言った。

「初香も思った。真美ちゃんカワイイもんね〜」

「真美ちゃんも初香ちゃんも、みんなカワイイじゃ〜ん」

エリちゃんが、初香ちゃんを励ますように手を打った。
だけど、ふーちゃんが涼太くんの話を始めた。

「涼太が言ってたけど、樹くんは初香ちゃんのこと好きらしいよ」

「おおっ、涼太くんの話じゃん!」

エリちゃんが興奮しながらふーちゃんをからかった。
ふーちゃんは照れながらエリちゃんとやり取りをしている。
初香ちゃんは、さやかちゃんと興奮しながらハイタッチ。
恋してない真美と実柚乃ちゃんは、噂話。

「転校しちゃった京ちゃんと琴ちゃんも、涼太くんに告白して行ったよね」

「へ〜、そうなんだ」

京ちゃんと琴ちゃんって言うのは、元彦宮学園生徒。
早期受験で転校したんだ。
涼太くんに恋してたんだ、ふたり。

「ロマンチックだよね、転校告白」

「卒業するときに告白すると、結ばれるって噂あるよねえ。校門前で」

「そうそう!去年告白ラッシュだったらしいよ!」

恋バナに達していない話で盛り上がっていると、班の男の子がやって来た。
同じ部屋で寝るんじゃないのに!
真面目な涼太くんまで!?

「せっかくだし、修学旅行らしいことしてぇから、王様ゲームしよーぜ」

樹くんがいきなり言ってきて、急遽王様ゲーム開始。
みんな、パジャマ姿でね。
ちょっと恥ずかしかったけど、王様ゲームが楽しくて忘れていた。

377:__☆ユニコーン☆__:2017/09/10(日) 20:46

あの、読書板で読んだ本の感想を書いているのですが、岬さんのここは明確スイーツ研究部!を記してもよろしいですか?または紹介してよろしいですか?

378:岬◆8Q:2017/09/11(月) 21:37

>>377
いいんですか!?
私なんかの作品を!?
ありがとうございます!
ぜひどうぞ!
よろしければ、これからもご覧いただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします!

379:__☆ユニコーン☆__:2017/09/11(月) 22:20

>>378
ありがとうございます。
今月中に掲載する予定です。
これからも楽しみにしています。

380:岬◆8Q:2017/09/12(火) 06:54

>>379
いえいえ。
こちらも嬉しい限りです。
これからもよろしくお願いします。
よろしければ、感想なんかもいただけたら嬉しいです。

381:岬◆8Q:2017/09/12(火) 20:55

14.王様の命令
まず、樹くんが割り箸を突き出してきて、みんなが引く。
割り箸の先が赤だったら、王様。
真美は…王様じゃない。
今回の王様はエリちゃんだった。

「何番まであるっけ?」

ええっと、真美、ふーちゃん、実柚乃ちゃん、初香ちゃん、エリちゃん、さやかちゃん。
男の子が…。

「絵理乃も入れて10人」

樹くんがにっこり笑った。
初香ちゃんが、まるで自分が笑いかけられたかのように微笑む。
恋してる感、ある〜。

「そっか、ありがとう。じゃあ、4番と10番は、今日同じベッドで寝る」

エリちゃん無茶だよ〜。
真美は5番だからニヤニヤしながら、当たったメンバーを確認。
実柚乃ちゃんと、さやかちゃん?
女の子同士なら大丈夫だね。

「次!」

また割り箸を引く。
真美は1番か。
当たらないといいけど。
王様は涼太くんで、ちょっと悩んで口を開いた。

「1番と8番、これから10分男子部屋で二人で話す」

え…。
8番は樹くん。
1番は…真、美…。

「1番誰ー?」

真美が渋々手を挙げると、初香ちゃんが思いっきり立ち上がった。
その拍子に、真美は体勢を崩す。

「ごめん、真美ちゃん。これじゃあ、あんまり動けないよね。初香が代わりに行ってあげる」

あ、行きたかったんだ。
真美は座り直して、初香ちゃんを見送ろうとした。
そしたら。

「おい真美。王様の命令は絶対。初香は戻ってろ」

別にいいのに〜。
遊びなんだからさ〜。
でも、仕方なく樹くんと男子部屋へ移動した。
入ってみると、物がゴチャゴチャ落ちていて踏み場がない。

「ごめん真美。俺のベッドここ」

一番奥じゃ〜ん。
樹くんが手を握ってくれて、ゆっくりベッドを移っていく。

「あのさ、真美」

樹くんのベッドに移ったところで、急に静かになった。
どこの部屋も騒がしかったのに。
先生かな…?

「真美隠れろ!」

樹くんの布団に隠れて、他の子の荷物を、別のベッドの布団の下へ。
寝ているように思わせる。
樹くんは適当にベッドに横たわる。

「寝てるかー?おぉ、ここの部屋は静かでよろしい」

藤本先生だ〜。
副学年主任の。
樹くんが起き上がってきて、真美の肩に手を置く。

「俺、真美が好き。付き合って…」

え…?

382:岬◆8Q:2017/09/12(火) 21:10

15.付き合うか
真美は、硬直して何も出来なかった。
樹くんのまっすぐな眼差し。
本気だろうな、きっと。

「あとさ…真美、自分のこと名前で言うの似合わねぇぞ」

ガーン。
マジですか。
初香ちゃんたちの真似してみたけど。
似合わないなんて…。
わたしに戻そっと。

「わたし、で、いい?」

「うん!」

樹くんがニカッっと白い歯を見せて笑う。
この人から、わたし告白されたんだ。

「でさ、どうなんだよ」

「樹くんは、わたしのどこがいいの」

上目使いに聞くと、樹くんは頬を赤らめて指を折って数える。

「秀才なところ。カワイイところ。笑顔が素敵なところ。一生懸命なところとか…。いっぱい」

「わたしより該当する人いるのに?」

「俺は真美がいいの!」

わたしがいい…、かあ。
樹くんを見つめて、うつむく。
きっと、ずっと考えてたんだろうな。
わたしの反応。

「ごめんなさい。わたし、受験や中学校のことで頭がいっぱいで…。樹くんに迷惑かけかねないし、初香ちゃんとか該当してるでしょ」

初香ちゃんの名前を出した途端、樹くんの顔色が変わった。

「俺、初香苦手なわけ。気付いてくれなかったわけ?さすがの児童会長様も無視ですか」

「樹くん…?」

急にタイプが変わったような樹くん。
冷たくなった?

「児童会長様は自分のことで頭がいっぱいだから、俺のことは捨てたんだ。オーケー、分かりましたー」

「捨ててない!どうしたら捨ててないことになるの?」

「付き合うこと」

気持ちじゃ届かないの?
行動にひとつひとつ移さなきゃ、届かないの?

「どうする?」

「…わたしが、捨ててないこと証明したら、別れてもいいの?」

「うんいいよ。でも、長いよ?」

ゆっくりうなずいて、付き合う決心をした。
必ずすぐ分かってもらって、別れる。
勉強集中!
執着はしないでね。
祈るような気持ちで、10分終わりのベルの音を止めた。

383:岬◆8Q:2017/09/12(火) 21:20

16.ピリピリ関係
わたしは女子部屋に戻り、今あった報告をした。
付き合うことになったのも、樹くんが言っちゃってね。

「真美ちゃん初香を裏切ったんだね、もういい。樹くんと別れたら許してあげる」

究極の選択。
樹くんと、いち早く別れたい気持ちは山々。
だけど、樹くんを捨てたこと、樹くんに捨てられたことになる。
初香ちゃんの敵になりたくない。
でも樹くんの敵にもなりたくない。
どうしたらいいの!?

「そろそろ寝ましょう」

ふーちゃんが落ち着いた声で言って、みんな散らばった。
実柚乃ちゃんとさやかちゃんがくっついているとなりのベッド。
わたしはずっと悩んでいた。
どうしてもひとりで抱えられないけど、誰にも言うことが出来なくて。
恋愛要素あるもん。
先生には言えないし。
勉強に集中したいのに。


翌日。
美味しいもの巡りへ行く準備。
初香ちゃんとピリピリしたまま行う。
嫌だな〜、最近。
トラブルばっかりで。
わたしの周りにいるとトラブルしか起きないじゃん。
ムスッっとしていると、エリちゃんが耳打ちしてきた。

「樹くんと付き合うことになったのって、無理矢理だよね」

キョトンとしながら見つめ返す。
クスッっと笑われて、初香ちゃんを指差した。

「初香ちゃんも気付いてるよ。反省してるから、聞いてあげて」

エリちゃんって本当にいい子だね。
初香ちゃんも、本当はおっとり優しい子かと思ってたけど、結構意志を貫くんだね。
ビックリしつつ、初香ちゃんととなりに並んだ。

384:岬◆8Q:2017/09/12(火) 21:29

17.尊敬されるか
わたしが、昨日の男子部屋でのことを話した。

「ごめんなさい真美ちゃん。初香も気付いてたのに、カッっとなって」

わたしは首をブンブン横に振る。
でも、初香ちゃんはボソッっとつぶやいた。

「別れるまでの道のりはどうでもいいよ。失恋した。あきらめる」

初香ちゃん…。
あっけなく終わった初香ちゃんの恋。
エリちゃんが知ったら…。
樹くんが初香ちゃんのこと分かってあげていたら。

「いいんだよ、もう。本当にごめんなさい」

初香ちゃんの笑顔を見てから、東京へのバスへ乗り込む。
となりは実柚乃ちゃんだった。

「樹くんとカップルおめでとう!」

「おめでたいことじゃないよ。わたしだって、樹くん苦手になったもん」

実柚乃ちゃんはキョトンとしている。
そうだよね。
苦手な人と付き合うなんて。
軽く、昨日あったことを話すと、実柚乃ちゃんは普通に納得。

「実柚乃も樹くんヤダ〜。多分、実柚可も嫌いなタイプ」

実柚可ーーー実柚乃ちゃんの姉で、秋の遠足ではお世話になった。
優しくて、姉兼母なんだよね。

「実柚乃ちゃんと実柚可さんって似てるの?」

「実柚可とは似てないと思うな」

そうかな〜。
家庭科上手い。
優しいところとか。
お手本になるところ。
すっごく似てると思うけどな〜。

「実柚可と似てたら、実柚乃、超カッコいいじゃん!」

実柚乃ちゃん、実柚可さんのこと尊敬してるんだ。
仲良しそうだし。
わたしも産まれる赤ちゃんに、尊敬してもらえるかな。

385:岬◆8Q:2017/09/12(火) 21:39

18.初等部のプリンセス
翌日もすぐ終わってしまい、気付いたら家に帰っていた。
旅館の『和』より落ち着く空間。
おばあちゃんがお料理して待っていた。

「お帰りなさい、真美ちゃん」

ボストンバッグの中から出すものを出して、彦宮学園へ向かった。
隅木田くんに、いろいろ聞くために。
中等部に足を踏み入れると、ちょっと気が引き締まった。

「すみません。隅木田先輩っていらっしゃいますか?」

隅木田くんを呼んでくれて、生徒会室から出てきた。

「お疲れのところすみません。露島先輩と何かあったりしましたか?」

隅木田くんはにっこり笑って紙を見せてきた。
明スイで回ってるプリント。
明後日の彦宮学園中等部家庭科室にてスイーツの練習。
露島先輩たちの練習は高等部。
と書かれている。

「真美ちゃんも良かったら来て」

プリントをもらって、明後日の勉強時間を削る。
明スイでいるためには、行くしかないのだから。
プリントを握りしめて走っていると。

「初等部のプリンセス。高等部の王子様だよ」

つ、露島先輩…。
プリンセスって何なんですか…。
後ずさりしながらも、露島先輩を見る。

「練習来るみたいだね。これで俺たちが勝ったら、プリンセスは俺のもの」

「きっと明スイが勝ちますよ」

露島先輩は、ジッっとわたしをにらんで苦笑いした。

「君は出られない。よって、自信を持つ権利もないだろう」

確かにそうだけど。
言い返せなくてタジタジしていると、露島先輩は笑いながら高等部へ戻っていった。
…不思議な先輩。
わたしは、怖くなって急いで家に向かって走った。

386:岬◆8Q:2017/09/14(木) 21:05

19.カップルじゃないカップル

その日。
わたしはゆっくりと初等部家庭科室へ向かった。
結構執着してくる樹くんと。

「陽都と何かしないでね。終わったらすぐ呼んでね。そしたら一緒に…」

何もかも一緒にやればいいんでしょ。
もう。
どうして付き合ったんだろ。
素敵な恋したかったのに。
早く認めてもらうしかないか…。

「分かってるから」

「あ、真美冷た〜い」

「分かってるよ」

樹くん、執着しすぎ。
出来たらもっと楽な恋で…。
ちょうど隅木田くんが家庭科室から出てきて、一緒に入る。
わたしは見学しているだけ。

「隅木田先輩。真美が見てるだけなら、となりで俺もいますね」

「何で?」

隅木田くんはちょっと怒っているように思えた。
すると、樹くんは淡々とした口調で言った。

「真美の彼氏だから〜」

「本当?真美ちゃん」

わたしはコクンとうなずく。
認めたくない事実。
あんまりこんなこと思ってばかりじゃダメだな〜。
早く認めてもらうためには。

「真美ちゃんいい?」

「はい」

隅木田くんは苦笑しながら椅子を空けた。
みんながそろうまで、樹くんとふたりきり。
ここにいることがイヤ。
バカみたい。
わたし。

「俺のこと好きじゃなさすぎ」

樹くんがとなりで手を握りながらつぶやく。

「カップル感なさすぎ」

なくていいよ〜。
下を向きながら心の中でぼやくと、樹くんはため息をついた。

387:岬◆8Q:2017/09/14(木) 21:20

20.別れるか
わたしは、樹くんの方を向いて宣言するように言った。

「だって、わたしたちが付き合った理由覚えてないの?」

樹くんは、「もちろん覚えてる」と、首を縦に振った。
なら分かってるじゃん。

「認めてもらうためでしょ?樹くんを捨ててないってこと」

強い眼差しを樹くんに向けると、樹くんはほったらかしにして、矢本くんのルービックキューブを組み立て始めた。

「樹くん!?」

「何だよ真美」

「わたしは、好きっていう意味ではないんだよ!」

樹くんは、わたしの頬を一回パシンと叩いた。
頬をなぞる。

「どうして叩くの!」

「好きじゃないのに付き合ったカップルなんて好まねえ」

それとこれとは別でしょ!?
好まないなら、さっさと別れればいい話じゃん!

「叩いた理由はムカついたから。何かヘン?」

ムカついたなら、別れたら縁切れるのに。
わたしは、樹くんにずっと怒ってるんですよっ!

「何事!?」

矢本くんが家庭科室に駆け込んで来ると、樹くんはルービックキューブを元に戻した。
聞かれてたらどうしよう。

「樹、お前、陽茉理にもやっててさ、多田本にもやって。楽しいわけ?」

陽茉理ちゃんにもやってたの?
樹くんって、あこちゃんと付き合ってから、わたしと陽茉理ちゃんとも付き合ってたんだ。
晴奈ちゃんが言ってた。
樹くんは危険って。

「お前出てけ。多田本と別れろ!」

矢本くん…。
わたしは、ゆっくり席を立って矢本くんの後ろに立った。
大きな背中。
守られてる気がして、心強かった。

「ああ、いい。真美には捨てられたことにする」

捨ててないっ!
でも、別れれてちょっとホッっとした気がする。

「すぐ闘いあるだろ。そんな時期に、アイツと仲良くなるなよ」

矢本くんの手が、わたしの頭の上に乗っかる。
言う通りだ。
わたしは微笑み返して、明スイの勝利を目前とした。

388:岬◆8Q:2017/09/14(木) 21:29

21.繊細な動き
明スイは、パフェを作るらしい。
いろんなスイーツが乗せられるから。
露島先輩たちも。
お題がパフェってことに気付いたのはさっき。

「マカロン、ソフトクリーム、アイスにチョコレート」

隅木田くんが使うスイーツを読み上げる。
きっと、彦宮生は明スイの味知ってるはずだから、スイーツにも馴染みがあるよね。
祈るような気持ちで見る。
かき混ぜたり、練ったりする、ひとつひとつの動作が細かい。

「繊細なんですね」

隅木田くんに向けて微笑むと、にっこり笑った。

「大事なメンバーを賭けられてる。適当なスイーツなんて作れないよ」

わぁー、キュン!
隅木田くん、ちゃっかり女の子の心を落とすんだよね。
カッコいい!

「おい隅木田、俺の真美にそういうこと言うなよ!」

坂宮、悪いけど、わたしはわたし。
いつ坂宮のわたしになったの…?
樹くんといた時より、気を使わないところとか。
すっごく好き。
わたしの居場所。

「おい真美!」

坂宮に呼ばれて、ハッっとする。
わたしは、またみんなを見た。

             (つづく)

389:岬◆8Q:2017/09/14(木) 21:35

あとがき
                岬

こんばんは!
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイいかがですか?
皆さんのおかげで11巻完結。
本当にありがとうございます!

ここでコメントコーナー。
コメントをくださる皆さん、本当にありがとうございます!
感想・アドバイス・質問お待ちしておりますね。

ここで宣伝コーナー。
皆さんが、『*レインボーハッピー*』の作品を自分の作品に入れてくださっています。
ぜひチェックをお願いします!
詳しくは『*レインボーハッピー*』のスレをご覧ください。

雑談は控えて、12巻の予告。
文化祭で、いよいよ闘い2回目。
児童会長の真美ちゃん、文化祭を無事成功出来るか!?

これからもどうぞよろしくお願いします!

390:岬◆8Q:2017/09/14(木) 21:40

『ここは明確スイーツ研究部!12』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識していた小学6年生。明確ゼミナールに通っていた。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

391:岬◆8Q:2017/09/15(金) 21:23

1.文化祭
12月の寒い寒い日の昼。
私立彦宮学園の6年1組は、学級委員長を中心に話し合い。

「カフェとお化け屋敷、展覧会の案があります」

黒板には、『文化祭6年1組』と書かれており、出し物を考えていた。

わたしの名前は多田本真美。
本校の初等部児童会長。
6年生で、付き合った歴3日だよっ!

多数決かぁ。
やっぱりカフェかなぁ。
学級委員長の七井さんが言って、手を挙げる。
七井さんが黒板に書き込むのが聞こえて、すぐみんな顔を上げた。

「カフェが1番人気です。よって、6年1組の出し物はカフェに決定です」

落ち着いた表情で言い、周りがワッっと沸き立った。

「俺、外で呼び掛ける〜」

「わたしは料理したの運びたい!」

「実柚乃はもちろん作るから!」

得意気に実柚乃ちゃんが胸を張る。
実柚乃ちゃんは、家庭科が得意。
期末テストでも、実柚乃ちゃんに叶う人はいない。
ずっとずっと1位だから。

「実柚乃がひとりで作ればよくね?」

「でもひとりじゃねぇ」

「補助で誰か入ればいいじゃん」

実柚乃ちゃんを中心に、みんなが囲って、勝手に話を進める。
実柚乃ちゃん、嬉しそうだけど…。

「みんな、落ち着いて!ゆっくり決めましょう」

七井さん、ナイスフォロー!
心の中で拍手する。
みんなが席に着いて、静まった。

「料理をするのは相川さんに任せていいですか?」

みんなが、「賛成!」「6年1組の料理の魔王登場だ!」「絶対人気出る」「実柚乃ちゃんしかいない!」って。
実柚乃ちゃん大人気。
照れながら、ちゃっかり輪の真ん中。

「では、相川さんで。補助で3人着きましょう。誰かいますか?」

「はいはい、推薦。杉田と涼太と絵理乃〜」

エリちゃんは、目を真ん丸にしてキョトンとしている。
ふーちゃんこと杉田ふみちゃんは、付き合っている涼太くんを見る。
みんながそれに賛成。
あっさりメンバーが決まった。

「相川さんを中心に、杉田さん、尾原さん、青山野くんお願いします」

辺りから拍手が巻き起こる。
どんどん決まっていくぞ!
この調子なら、結構良くなるよねっ!

392:岬◆8Q:2017/09/15(金) 21:39

2.児童会室事件
結構決まった。
わたしは、料理を運ぶ仕事。
朝ね。
昼からは自由タイム。
初香ちゃん、エリちゃん、さやかちゃんと回るんだ!
料理を作る担当の実柚乃ちゃんたちは、ずっと仕事で無理だけど。

「真美ちゃん、妹ちゃん産まれたら見せてね〜」

さやかちゃんがうっとりしながらつぶやいた。
エリちゃんは初耳だったから、「真美ちゃん家今年子供産まれるの!?」なーんて驚いてて。
初香ちゃんは黙ったまま。

「初香ちゃんどうしたの?」

エリちゃんが心配そうに顔を覗き込んだ。
修学旅行から、初香ちゃんはちょっとわたしから避けてる気がする。
きっと、3日間樹くんと付き合ったから。
初香ちゃんの好きな人とね。
無理矢理付き合って、別れたの。
ヘンでしょ。

「樹のことはいいじゃん、ねっ?」

エリちゃんが初香ちゃんの背中をトントンと叩く。
初香ちゃんからしたら、そんなに軽いことじゃないよね。
ごめんなさい。

「わたしも反省してるよ。あんなことしなければ…」

「いいよいいよ、気にしてない」

え、絶対気にしてる。
気の毒に思いながら、初香ちゃんたちと別れた。
家の方に歩いていると、秀花ちゃんが走ってきた。

「真美ちゃん!」

「何?」

「児童会室が荒れてるよ!」

どういうこと!?
今来た道をダッシュで走る。
足の早い、ふーちゃんの双子の妹、秀花ちゃんは、わたしを置いて学園へ!
待ってえええ。

「秀ー花ちゃ〜ん」

返事しないほど遠くにいる!
はぁっ、はぁっ。
やっとのことで学園に着くと、露島先輩が初等部を歩いていた。
イヤな予感。
それは的中し、児童会室いっぱいに、『初等部児童会長学園出てけby露島』と書いてある。
わたし…退学…?

393:岬◆8Q:2017/09/15(金) 21:57

3.退学をまぬがれる方法って?
初等部より、高等部の生徒会長の言うことの方が権利がある。
よって、退学取り消し確率はほぼ0。

「プリンセス」

露島先輩だ。
高等部の生徒会長。
その後ろは、俣野コヨ。
ふたりで、新明確スイーツ研究部を立ち上げようとしている。

「どうしてここにいるの?」

「露島先輩こそ」

一歩前に出ると、コヨが思いっきりにらんできた。
まるで、「露島先輩の前に立つな」とでも言っているように。

「もう、君の居場所はない。制服を捨てなさい。新児童会長はコヨ」

コヨも露島先輩に並ぶ。
どうしてわたしが退学になるの?
グッっと耐える。

「わたしが退学する理由は?」

「いても意味ないでしょ。公立とか市立行きなよ」

「今更ですか」

露島先輩はにっこり笑う。
秀花ちゃん助けて。
わたしを、意味あるって言って。
チロッっと秀花ちゃんを見ても、こちらを見ていない。
露島先輩を見ている。

「いいか、児童会。わたしに着いてこいよ」

コヨが児童会長…!?
学園の雰囲気は児童会長って言う。
彦宮学園の雰囲気がコヨに!?

「退学しないようにするには…どうしたらいいんですか」

露島先輩は待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。

「明スイを抜けて新明スイに入る」

何それ、話が違う。
闘いで勝つって話だったじゃん。

「答えは明日。待ってるよ」

露島先輩とコヨは身をひるがえして帰っていった。
シーンと辺りが静かになる。

「児童会長!」

秀花ちゃん、まだ児童会長って呼んでくれてありがとう。
児童会メンバーがすがりつく。

「児童会長がいなくなったら学園は潰れます!合併案も来てるんだから」

合併ね。
となりの私立御立川学園との合併。
絶対拒否してるけど。
そんな中、わたしなんかに時間をかけられない!

「合併案は任せて。児童会の仕事をしてください。わたしは帰ります」

みんなに伝えたもんね。
今日は用事あるって。
青山野学園の校長先生が、彦宮学園の児童会長が希望してるから話したいってことで。

「いいから仕事、仕事!」

みんなは、渋々仕事に取りかかった。

394:岬◆8Q:2017/09/15(金) 22:10

4.わたしの決断
翌日の朝。
露島先輩と隅木田くんを前に話す。
わたしが決めてきたこと。

「ごめんなさい、隅木田くん。露島先輩の方へ入ります」

露島先輩は、ニヤリと笑みを浮かべて隅木田くんをからかった。
きっと、負けたって言って。
退学したくないから。
我慢も大切だよ。
昨日、青山野学園の校長先生と話していて、推薦で入れることになった。
推薦取り消しはごめんだから。
卒業まではとりあえず。

「すみません!」

隅木田くんは、身をひるがえして中等部へ戻っていった。
露島先輩とふたりで児童会室へ向かう。

「真美ちゃんカッコいいねぇ。俺のことは露島くんと呼んでよ」

馴れ馴れしい。
先生に怒られたらイヤだな〜。
露島くんは、コヨの仲間。
わたしもコヨの仲間になるんだ。

「コヨの従姉妹のコンも、よく手伝ってくれる。覚えとくといいよ」

コンさんもコヨの仲間か〜。
敵ばっかりな感じ。
露島くんと別れて6年1組へ行く。
合併は見事無しになった。
わたしの迫力でね。
英雄だよ、わたし。

「真美っ、おはよ!」

コヨが馴れ馴れしく抱き付いてくる。
きっと聞いたんだろうな。
露島くんから。

「ごめんね、ずっと仲良くしなくて。今日から大親友ね!」

こんな簡単に親友になっていいの?
コヨの中の親友って何?
ちょっとひきつった顔を伸ばしながらコヨと話す。

「よろしくね!」

うん…。
明スイに戻る方法はあるかな。
もう言っちゃったけど。
図々しいよね、わたし。

「闘いは無しだね!」

いや、やるよ、コヨ。
文化祭までに、必ず抜けるから。

395: 薫+*Mio+*◆v.:2017/09/16(土) 12:16

いやぁ、なんか凄いことになってるね……。
それに、中学推薦ってすごっ!
私、普通受験だし、かなり難しいと思うのに……。
それと、明スイ戻れるように真美ちゃん頑張ってっ!

396:岬◆8Q:2017/09/16(土) 12:58

薫ちゃんありがとう!
校長先生に気に入られたからね。
真美ちゃん頑張ってるし。
読んでくれてありがとね!

397:岬◆8Q:2017/09/16(土) 13:09

5.コヨといて
今日はコヨと勉強会をすることになった。
もう美華ちゃんたちといなくなって、わたしや初香ちゃんのところに来たコヨ。

「真美〜、わたしも青山野受ける〜」

「いいよいいよ。コヨの行きたいところ行けば」

コヨは、樹くんみたいに執着。
1日だけでも疲れちゃう。
初香ちゃんもね、コヨに言ったの。

「初香たちにも仲良くして」

ってね。
だけどコヨったら、「真美とふたりがいいの!」なんて意地張ってる。
わたしは初香ちゃんたちがいいよ〜。

「コヨ、コンさんってどこに住んでるの?」

「コンなら、家」

コヨと一緒に住んでるんだ。
従姉妹ってところだから、似てるのかもしれないよね。
新明スイはヘトヘト。

「露島くんから聞いたかもだけどさ、明日、学食で話し合いね。活動の」

「了解しました」

コヨといるようになってから、学食でご飯を買うようになった。
お金かかるんだよ〜。

「真美の家楽しみだな〜」

コヨは、わたしの腕をギュッっと握った。

398:岬◆8Q:2017/09/16(土) 13:27

6.作るスイーツは?
家に帰って、コヨを迎える準備をしていると。
 ピンポーン

「はーい」

最近、おばあちゃんは帰宅。
亡くなったおじいちゃんのことでいろいろあるんだって。
パパもママも帰ってきてないから、基本ひとりなんだ。
パパは出張。
ママは入院中だから。
妊娠してるからだよ。

「真美ちゃん、露島だよ」

つ、露島くんかぁ。
ゆっくりドアを開く。
後ろにはコヨ。

「コヨと勉強するのに俺は入れてくれないの?」

「すみません。どうぞ」

露島くんにも上がってもらって、さすがにわたしの部屋は無理になり、リビングを使うことにした。

「勉強よりさ、活動方針の話し合いもしよーよ」

露島くんに圧され、ノートを持ってきた。
明スイノート。
どんなことがあったのか書き留めたいから、新明スイでもこのノート。

「俺とコヨは明確ゼミ入ってるけど、真美ちゃんは元だよね。気にしなくていいから」

は、はい…。
露島くんが言うには、わたしたちは第2代目明スイらしい。

「明確ゼミで、2代目明スイのパーティーを行う。よろしくね」

パーティーかぁ。
わたし、キライじゃない。
でも、イヤだな。
逆らうことも出来ず、先に進む。

「作るものは、パン」

パンって、あれでしょ!?
もっちもちふっわふわの!
あげパン食べたい、チョココロネ食べたい!
パン食べた〜い。

「真美ちゃん喜んでるね」

あ、バレた。
2代目に入って一番嬉しい。
って、こんなことより、抜ける方法を考えないと。
まずは隅木田くんと話すこと?

「大丈夫?真美」

コヨに笑いかける。
大丈夫じゃないけど。
露島くんは、またも先に進む。

「明明後日行う予定。パンは何パンを作りたい?」

「はい!あげパン、チョココロネ、カレーパンに明スイパン!」

露島くんとコヨは笑い、わたしのノートに書き込んだ。

「じゃあ、あげパン俺。チョココロネコヨ。カレーパン真美ちゃん。明スイパンみんなでいい?」

わたしは力強くうなずいた。
スイーツのことなら、持ってこい!
パンってスイーツじゃないかもだけどね。

399:岬◆8Q:2017/09/16(土) 13:56

7.再び闘いへ
コヨと別れ、隅木田くんと電話する。
抜ける方法について。

「ごめんなさい隅木田くん」

「いいよ、露島先輩が悪いんだから」

隅木田くんと約束して、近くの公園で話すことにした。
わたしの初恋相手と。

「あ、隅木田くんこっちです!」

ベンチに腰を降ろし、しんみりした感じで切り出した。

「文化祭で、しっかり闘いたい。明スイに戻りたいから」

「露島先輩には、僕から申し込むよ。真美ちゃんは動かないで」

わたし、動かしにくい駒だよね。
チェスで表すと、ポーン。
マヌケな感じがするから。

「文化祭のはやるつもりだから」

隅木田くんの強い眼差し。
きっと助けてくれる。


翌日。
露島くんに呼ばれて高等部の生徒会室へ向かった。
やや怒ってる顔。
隅木田くんに言われたのかな。

「文化祭、闘いたいって言われた。どうせ俺たちが勝つから乗ったよ」

おお、隅木田くんありがとうございます!
でも、明後日はやるよね。
パン食べたいし〜。

「じゃあ、明後日はよろしく!」

「はい!」

よかった、なんか。
ヤバイ感じじゃなかったから。
コヨと、ふたりで廊下を歩いていると。

「コヨ」

「あっ、コン!」

コンさん!?
コヨが駆け寄って行った先は、コヨに似ている顔の女の子だった。

400:岬◆8Q:2017/09/16(土) 14:24

8.ママがっ!?
この子が、コンさん。
コヨがコンさんを紹介する。

「俣野コン。漢字で書くと、紺色の紺って書くよ」

「初めまして、多田本さん。コヨの従姉妹のコンです。高等部2年。露島くんと付き合ってます」

あ、付き合ってるんだ。
だから仲良くしてるってこと?
まあいいけど。

「初めまして。多田本真美、初等部児童会長です。コヨさんと仲良くさせていただいてます」

コンさんととりあえず別れて、コヨと教室へ向かう。
初香ちゃんたちとは、もういられなくなっちゃった。

「ちょっと、真美来い」

坂宮が呼び出して来て、わたしは図書室へ向かった。
コヨは、先に教室へ行ってね。

「絶対連れ戻すから待ってろよ」

隅木田くんに聞いたんだ。
坂宮は、わたしの手を優しく包み込むように握った。

「パフェ、何度も練習してるから」

わたしのために…?
明スイのみんな、ありがとう。
思わず涙ぐむ。
すると。

「多田本さん、病院へ行ってください。お母さんが…」

藤本先生が呼びに来て、わたしは病院へ向かった。
呼ばれて行ってを繰り返してる。
そんなことを思いながら、藤本先生の車に乗った。

「多田本さん大変だよね」

「はい。…あの、お母さんがどうしたんですか?」

藤本先生は車を運転しながら、となりのわたしをチロッっと見た。

「すごく苦しいみたいです。多田本さんを呼んでるって聞いたから」

娘であるわたしが、ね。
いたら、元気出るかな。
出たら嬉しいけど。

「笑顔でいてくださいね」

はい。
わたしは、病院の門をくぐった。

401: 薫+*Mio+*◆v.:2017/09/16(土) 14:37

真美ちゃんのお母さん!
大丈夫?
それと、400おめでとう!

402:岬◆8Q:2017/09/16(土) 15:44

薫ちゃんありがとう!
どれもこれもみんなのおかげ。
皆さん、本当にありがとう。
コメントサンキューです!

403:岬◆8Q:2017/09/16(土) 19:30

9.コウスケくん
ママの部屋に藤本先生と行く。
笑いながらね。
おばあちゃんはいなかったけど、パパは来ていた。
出張先から飛んできたんだ。

「真美ちゃん?お母さんね、あなたの名前をずっと呼んでたのよ」

看護師さんがかがむ。
ママは寝ているけど、すごく汗をかいていて、苦しそうな顔。

「ありがとうございます」

看護師さんは部屋を出ていき、パパとわたしと藤本先生だけになった。
何話したらいいんだろ。
あたふたしていると、パパと藤本先生が話し始めた。

「真美は、ママの手でも握ってあげなさい」

パパがママの手を布団から出す。
わたしは、坂宮に握られたように、優しく握った。
ママ、お願い。
赤ちゃんを産んで!

「あぁ、遅れてごめんなさい」

「お母さん!」

「おばあちゃん!」

パパのお母さんじゃないよ。
ママのお母さん。
だけど、パパはおばあちゃんのことをお母さんって呼ぶんだ。
そうやって呼ぶ人多いらしいよね。

「真美ちゃん、優樹さん、すみませんでした」

おばあちゃんは、軽く藤本先生にあいさつして、布団をめくった。
わたしのとなりに座り、ママの手を握った。

「ちょっと行くね」

わたしは、部屋を出た。
すると。

「おねえちゃん、おかあさんがいなくなっちゃったの〜」

小さな男の子が、制服のスカートの裾を引っ張った。
お母さんがいないの!?
迷子かな。

「かんごしさんには言わないで!おかあさんにおこられるから〜」

困ったな〜。
看護師さんに言わずに捜す。
…って、お母さんに怒られる理由って看護師さんに言うから!?
どういうことだろう。
迷惑かけたからとかかな。

「僕、俣野コウスケ〜」

俣野?
初めの文字が『コ』?
ドクンとする。
コヨもコンさんも、初めの文字は『コ』だから。

「コウスケくん、おねえちゃんはいるかな?」

「いるよ!コヨおねえちゃんと、コアおねえちゃん。おねえちゃんと同じお洋服だよ〜」

やっぱりコヨだ!
コアさんは知らないけど。
ともかく。

「おねえちゃんは、真美。コヨおねえちゃんと仲良しだよ」

「えっ?コヨおねえちゃんと仲良しのおともだちなの?」

「うん、おともだち」

コウスケくんは、にっこり笑って上を向いた。
考えてる感じ。
コヨのこと思い出してるのかな。

「おかあさんとはどこではぐれたのかな?」

「ここ〜。僕がトイレ行ったらいなかったの〜」

コヨのお母さん、コウスケくんのこと見ててあげてねっ!
そんなことも言えず、立ち尽くす。
どうしよっかな〜。

「あ、僕、おねえちゃんと遊びたい。おかあさんが来るまで遊ぼ〜」

コウスケくんに連れられて、保育園くらいの子が遊ぶようなスペースへ移動した。

404:岬◆8Q:2017/09/16(土) 19:42

10.コンさんの秘密
コウスケくんは、思ったより元気っ子だった。
休憩せずに、ヒーローごっこをして遊ぶから。
わたしは悪者でね。
コウスケくんが剣でやつけるの。

「ごめんね〜、コウスケくん。おねえちゃん疲れちゃった。他のことやらない?」

「え〜?コヨおねえちゃんはずっとやってくれるのに〜」

さすがコヨ。
運動神経抜群だったからね。
体育祭、無我夢中に適当に走ったら一位のわたしとは違う。
たまたまみんなが運動苦手なだけだったし。

「コヨおねえちゃんより体力なくて」

「じゃあ体力付けよ〜」

そういうこと〜?
わたしはコウスケくんに引っ張られて、悪者になる。
そう言えば、どうしてコウスケくんは病院にいるんだろ。
ふと思って聞いてみる。
すると。

「従姉妹のおねえちゃんが病気だから来たんだ〜。知ってる?コンちゃん」

「知ってるよ、コンさん!」

思わず身を乗り出す。
すると、コウスケくんに身を沈められた。

「後から〜。まずはヒーローごっこ!おねえちゃんいいでしょ〜?」

「いいよ」

「やったぁ〜!」

コウスケくんはぴょんぴょん跳び跳ねながら剣を構える。
わたし、お絵描きが好きだったって聞いたな〜。
コウスケくんは好きかな?
遺伝子とかで、コヨは美術苦手だから好きじゃないかも。
わたしは、クスッっと笑って構えた。

「コウスケくんいいよ!」

すると、コウスケくんは体当たり。
わあっ。
思わず寝転がり、コウスケくんが剣でバシバシ叩いた。
痛い、痛いよ〜。
コヨすごいな、耐えれて。

「おねえちゃん立って〜」

立とうとしても。
ち、力が入らない…!
どういうこと!?
コウスケくんがブスッっとしている。

「ごめんねコウスケくん」

た、立てないっ!
すると。

「コウスケ!」

「おかあさん〜」

あ、コウスケくんのお母さんが来た。
あの人がコヨのお母さん。
もしかしたら、コヨはお母さんの遺伝子かも。
顔そっくりだし。

「迷子でした。気をつけて見てあげてください」

「ありがとうございます」

わたしは、苦笑いしながら足をさすった。

405:ルナ◆3es:2017/09/16(土) 19:45

もう少しで400だね……
頑張ってね………

406:岬◆8Q:2017/09/16(土) 19:50

11.優しいお母さん
「痛いっ!」

コウスケくんたちが振り返った。
まだスペースで足を押さえている。
足が動かない。

「おかあさん、おねえちゃん、全然動けなくなったんだよ〜」

「えっ、大丈夫ですかっ!?」

コウスケくんのお母さんが駆け寄ってくる。
足をパッっと見て、カバンから1000円札を取りだし、言った。

「ヒーローごっこですよね。コウスケが出すぎた真似を。すみません。これで病院で治してもらってください。本当にすみません!」

やっぱり、コヨの遺伝はお母さんじゃないかも。
すごく優しいもん。
コヨはちょっと意地っ張りだからね。

「あの、いいですよ」

「いいえ、どうぞ!」

わたしは渋々受け取って、お母さんを引き留める。
もうそろそろ行きたいよね。
コンさんのところ。

「わたしは、お宅のコヨさんと仲良くしている多田本真美です」

「あなたが真美さん!?コヨが楽しそうに真美さんの話をしているのよ」

コヨ…。
コウスケくんのお母さんは、「真美さんは本当に素晴らしい子ね」と言い、コウスケくんと帰っていった。

「あの、すみません」

看護師さんを呼び止め、足を見せる。
1000円札も出してね。
ごめんなさい、コウスケくんのお母さん。
使わせていただきます。

「大変ね。おんぶするわ」

看護師さんが治療室へ運んでくれて、包帯をグルグル巻いた。
コウスケくんは怒られないけど、わたしが怒られるかも〜。
わたしは、怯えながらおんぶしてもらってママの部屋へ行った。

407:岬◆8Q:2017/09/16(土) 19:51

ルナ、ありがとう!
さっき400行けましたっ!
本当にコメントしてくれてありがとう。ガルトの件ごめんなさい。

408:ルナ◆3es:2017/09/16(土) 19:52

ごめん。もう400行ってたね。
おめでとう。

409:ルナ◆3es:2017/09/16(土) 19:52

>>407
良いよ。でも、たまには来てね。

410:岬◆8Q:2017/09/16(土) 21:05

ルナ、ありがとう!
行けるときは行けるよ!
本当にごめんなさい。

411:岬◆8Q:2017/09/22(金) 21:39

12.コン先輩の部屋へ
やっぱりと思ったけど、おばあちゃんにはこっぴどく怒られた。
根に見えてたけど。

「菜和が大変なの分かるでしょ。真美ちゃんまでケガして〜」

は〜い、分かってるって〜。
ケガしたら、お世話じゃないけど、めんどくさいことになるってことだよね。
知ってるんだから。

「すみません、看護師さん」

呼び止めて、コンさんのことについて聞いてみる。
先輩だし、コンさんじゃなくて、コン先輩、かな。

「病気の女の子よ。病名までは言えないわ。個人情報だから」

コウスケくんの言った通り、病気なんだ。
だけど明スイ続けてるんだね。
スイーツを好きっていう気持ちがすごく伝わってくる。
ちゃんと彦宮学園に通っていること、きっと、ずっと通いたいんだろうな。
楽しいこと、見てたいと思うし。

「行ってもいいですか」

今はちょうど起きているらしく、看護師さんに押してもらい、コン先輩の部屋へ向かった。

「失礼します」

「どうぞ」

コン先輩は、いつにもましてぐったりしていて、かわいそうだった。
コヨも悲しいんだろうな。

「真美ちゃん?」

わぁー、名前で呼んでくれた。
コン先輩に笑いかけ、にっこり。
クスッっと笑われて、椅子を引っ張り、座るよううながされる。

「わざわざありがとう。真美ちゃん、車椅子なの?」

「いえ、先程、コウスケくんと遊んでいてケガしたもので」

コン先輩は、キッっと目を見据えた。

412:岬◆8Q:2017/09/23(土) 07:24

13.俣野家の秘密
コウスケくんと、何かある!
急に眉が動いたコン先輩。

「コウスケくん、従兄弟ですよね」

「本当の、従兄弟ではないけど」

…えっ?
コウスケくんも?
コヨは知ってるけど、まさか、コウスケくんまで。

「コヨとも無関係だったのよ。コウスケは、事故で両親を失い、養護施設へ行ったの。それで、叔母さんがコヨと一緒に引き取ったの」

コウスケくん、小さい時から、つらい思いしてたんだね。
いきなり知らない子たちを迎えるコン先輩。
認めたくなかったんだろうな、自分の従兄弟だなんて。

「コヨ、隅木田くんの従兄弟で、誇りらしいのよ。裏切りたくないって」

露島くんと、明スイやるの、ためらってるのかも。
それなら、わたしがやめさせなきゃ。

「お話ありがとうございました。必ずコヨがしたいことさせてあげます。お大事に」

「待って!!」

部屋を出ようとすると、コン先輩が声を上げた。
えっ?
コン先輩に渡された手紙。
コヨへの手紙だった。

413:岬◆8Q:2017/09/24(日) 16:35

14.エプロン作り!
ここは家庭科室。
カフェのエプロン作ってるの。
わたしたちは接客だから、メイドみたいなエプロン着るの。
実柚乃ちゃんをはじめ、料理組は、家にあるエプロン。
メニューがおおまかに決まったところで、実柚乃ちゃんが来てくれた。
さっすがだよね。
料理だけじゃなくて、お裁縫まで一流なんだから。
ミシンなんて、先が見えないくらい早いんだもん。

「あ〜、ダメダメ。コヨちゃんの左手危ないでしょ〜!」

実柚乃ちゃんがミシンを止めて声を上げる。
コヨ、初香ちゃんにはちょっと冷たいけど、実柚乃ちゃんだと笑顔。
どういうことかな?

「ゆっくりここまで縫ってごらん」

「実柚乃ちゃ〜ん!」

すぐ、向こうで初香ちゃんとさやかちゃんが呼ぶ。
コヨは、思いっきりにらむっ!
思わず身がすくむ…。

「さや、ミシン苦手〜」

「実柚乃ちゃん助けて〜!」

コヨは、ミシンをハイスピードにして縫った。
ぐちゃぐちゃ、汚いよー!

「真美、これ初香にあげてきて」

「ダメでしょ、これじゃ。ちゃんと、一着作ってみない?」

コヨは、ムスッっとしながら初香ちゃんたちを見る。
しょうがないなあ、コヨ。
リッパーで糸を取って、0からやり直す。
これは、コヨが着るんだよっ!

「ありがとう実柚乃ちゃん!初香ひとりでも出来そう」

「いやいや〜、実柚乃も、力になれて嬉しいな〜!」

わたしは、実柚乃ちゃんたちを見ながらコヨに差し出した。

「だいたい縫ったから、続きからは、コヨが縫うんだよ」

「は〜〜〜い」

もーう。
もっとやる気出してよーーーっ!

414:岬◆8Q:2017/09/24(日) 16:47

15.文化祭開催
「ただいまから、第46回、私立彦宮学園の文化祭を開催致します!良い思い出を作りましょう!」

わたしが放送を入れて、文化祭は始まった。
放送室から6年1組へ移動する時も、いろんな教室から呼び込まれる。
そのたびに断っててさ。
本当に悪いよ〜。

「あ、真美ちゃんよろしくね!」

午後から仕事の七井さんがピース。
真美ちゃんって呼んでくれるのがすごく嬉しい。
七井さんにし返して、6年1組に入った。
家庭科室がとなりで助かったよ〜。
エプロンを家庭科室へ持っていき、準備室で着替える。

「実柚乃ちゃんたちよろしく!」

「任せといて!あとから試食品出すつもりだから」

おお〜!
こっちも盛り上がってるね。

「真美ちゃん早く!」

「今行く!」

教室へ向かうと、すぐワッフルふたつが来た。
ええっと、5番机だね。

「お待たせいたしました!ワッフルになります。ではお楽しみください」

料理を、家庭科室から運んでくれる樹くんにもらう。
次はソフトクリーム。

「お待たせいたしました!ソフトクリームです!お楽しみください」

あ〜、みんなにっこり笑顔じゃん。
わたしも笑っていると、樹くんに呼ばれて家庭科室へ。

「試食品!外で真美ちゃんが呼び込んで!」

実柚乃ちゃんに渡されたワッフル…。
美味しそうだけど、食べるのはまだ。
任された責任を背負い、家庭科室を出た。

「ね〜、カフェだって。混んでる。向こうの5年2組の注文の多い料理店にする?」

カップルが悩んでいる。
一般の人も来てるじゃん!

「ここのワッフル美味しいですよ!一口いかがですか?」

カップルは食べた途端、すぐ列に並んでくれた。
よーし、呼び込むよっ!

415:岬◆8Q:2017/09/24(日) 16:59

16.やけど事件!
そろそろ教室に戻ってもいいかな。
わたしは、紙皿をゴミ箱に捨て、教室に戻った。

「ちょっと運んでくれる?」

陽茉理ちゃんにパンケーキを渡されて、お客様の元へ運ぶ。
急にどうしたのかな。

「お待たせいたしました。ふわっふわのパンケーキです。お楽しみくださいませ」

あれ、莉保子ちゃん。
わたしに気付いて、莉保子ちゃんはお辞儀する。

「カワイイエプロンですね。カッコいいです、真美先輩」

「いえいえ」

莉保子ちゃんは、パンケーキにこぼれ落ちるくらいのハチミツをかける。
ポトポト音がしそう。

「じゃあいただきますね」

わたしはその場を離れ、陽茉理ちゃんを探す。
大変なことなら何とかしたいし。

「あっ、真美ちゃん」

エリちゃんに呼ばれて、家庭科室へ行く。
すると、手を冷やす実柚乃ちゃん。
注文カードがたくさん貼られた紙。

「どうしたのっ?」

「実は、実柚乃やけどして。明スイの真美ちゃんなら代わってくれると…」

なるほどね。
わたしがお客様が食べるスイーツを。
よーし、任せて!

「エリちゃんは保健室へ連れてって。さあ、作るよ!」

陽茉理ちゃんのことは、ちょっと置いといて、わたしの実力見せてやる!

416:岬◆8Q:2017/09/24(日) 20:29

17.救世主あらわる
大量の注文カードを全て作り、ちょっと休憩。
午後からは、実柚乃ちゃんの代わり、七井さんが入ってくれる。
なんってったって、実柚乃ちゃんに続いて2位だし。

「ふみちゃん、これ」

接客担当の晴奈ちゃんが注文カードを5枚持ってくる。
陽茉理ちゃん大丈夫かな。
見てないけど。

「まーちゃんどうする?」

みんながわたしの指示を待つ。
ワッフルが多いね。
なら、わたしとエリちゃんがワッフル担当。
ソフトクリームが涼太くん。
ふーちゃんは、サンドイッチ。
それを言うと、みんな散って作り始めた。

「おい、樹。これ」

涼太くんが、素早く。
でもていねいにソフトクリームを作っていく。
コーンやカップ様々。

「次は…」

「サンドイッチお願い」

涼太くんがふーちゃんの隣に立ち、どんどん野菜をサンド。
裏返す時になったらササッっと。
ワッフルを裏返して、チョコレートソースをたっぷりかける。

「晴奈ちゃんよろしく!」

チョコレートワッフルがひとつ終わったから、注文カードをゴミ箱へ。
これでも、まだまだたまる注文カード…って量多っ!

「樹くん、接客グループからひとり呼んできて」

呼ばれてきたのはコヨ。
コヨも混じって、スイーツ作り。
さすがだけど、スピード早い。
ミシンとは大違い。
めちゃめちゃ美味しそうだし。

「桜庭、これ」

コヨが樹くんに渡すと、また次々にスイーツを完成させてゆく。
ボサッっとしていると…。

「真美ちゃん集中」

あ、はい!
エリちゃんに注意されて、唾を呑み込む。
コヨに負けないくらい頑張るぞ!
わたしは、またワッフルを裏返した。

417:岬◆8Q:2017/09/24(日) 20:39

18.初美先輩
「真美ちゃん、終わり!」

初香ちゃんに呼ばれて、わたしは制服に着替えた。
ここからは自由時間。
初等部から高等部まで回れる。
ご飯もどこかで済ませなきゃ。

「一緒に回ろ!」

コヨはまだ残るから、4人でいろいろ回ることになった。
まずは昼ごはん。
初香ちゃんオススメ店へ行く。
中等部の…2年7組!?
『お笑いカフェ』。
ここもカフェなんだ。
並んでおらず、普通に入れた。

「さあさあ、お客様やってきました」

おっ、お笑いって本当じゃん。
ご飯を食べながら爆笑する人たち。
面白そうじゃん!

「ここ、お兄ちゃんがやってて」

初香ちゃんは椅子に座り、みんな分のスパゲッティを注文した。
わたしが注目した生徒は、あの子。
楽しくなさそうに立っている。

「初香ちゃん、あの子…」

「ああ、初香のお姉ちゃん。双子だから。でもタイプが違う。初美っていうの」

初美先輩か〜。
ボサッっと立っていて、やる気がなさそうな感じ。

「お姉ちゃん、ダメだよね〜」

何とも言えないけど、何かイヤなことでもあるのかな。
初等部児童会長だけど、ほつんとけないかも。
気づけば、わたしは屋上にいた。

418:岬◆8Q:2017/09/24(日) 20:47

19.関係ない
「初めまして。初香ちゃんと仲良くしてます。多田本です」

初美先輩はコクンとうなずいた。
名を名乗らないタイプね。
わたしは、穏やかな感じで聞いた。

「イヤなことありませんか?初美先輩ですよね」

「別に関係ないでしょ」

初美先輩はムッっとして言い返す。
でもひるまない。
わたしも負けじと言い返す。

「初美先輩がイヤなことあったら、初等部ですけど、児童会長であるわたしが悩みます」

初美先輩は一瞬ひるんだ。
そして、何事もなかったかのように少し笑った。

「北山先輩とでも呼んで。名前を馴れ馴れしく呼ばないで」

…。
北山先輩は、わたしをギッっとにらんで屋上のドアに手をかける。

「待ってください!」

わたしは北山先輩の手をとり、目を見開いて語りかけた。

「そのまま学校にきてほしくないんです。楽しいところであってほしい。だから…!」

「ほっといて。初香が何とか…関係ないものは関係ない」

…、どうして。
北山先輩が出ていった後の風は、いつにも増して寒く感じた。

419:岬◆8Q:2017/10/02(月) 12:49

20.お化け屋敷
わたし、初香ちゃん、さやかちゃん、料理担当だけど、休憩で特別にエリちゃんの4人が来たところ。
ここは、中等部3年1組。
お化け屋敷です!

「いってらっしゃ〜い!」

受付の先輩に見送られてお化け屋敷へ入る。
エリちゃんと手を繋いで、後ろには初香ちゃんとさやかちゃん。

「真美ちゃん怖いよ〜」

「大丈夫、わたしも怖いけど」

エリちゃんと背中をさすりながら歩くこと30秒。
って言っても、進んだのは1歩。
なのに!

「ヒエ〜!何よ〜う」

エリちゃんったら、何もないところで叫ばないでよ〜。
後ろのさやかちゃんは爆笑。
心が緩んだ瞬間!

「ギョエーーーーー!」

お化け出たあ〜!
追いかけてくるし、リアル過ぎるよ〜!

「エリちゃんと真美ちゃん早く!」

初香ちゃんが意外にも声を上げる。
みんなで走り抜けながら、またお化けが現れ。
追いかけられを繰り返して、光がだんだん大きくなり…!

「出れたあ〜!」

ハイタッチしながらお金を払う。
めちゃめちゃリアルだった!
中等部まで行くと、こんなに迫力あるんだね。
高等部だったら、もっと迫力ありそうだな。

「絵理乃さ、またすぐ戻らないといけないから、高等部行っていい?」

露島先輩がいるじゃん。
コン先輩も。
わたしたちは、高等部へ繋がる廊下を走った。

420:岬◆8Q:2017/10/02(月) 13:37

21.コヨに対する気持ち
高等部のバッヂを胸に付けている先輩は、歩き方が大人。
中等部もそこそこだったけど。
初等部はやっぱり子供。
大人びた先輩が多い廊下に、一際子供っぽい子。
初等部1年生のバッヂだ。
注意しようとも思ったけど、文化祭だから、やっぱり楽しみたいよね!

「どこ行く?」

さやかちゃんが指差した教室は、3年5組。
ここには、さやかちゃんのお兄ちゃんがいるらしい。
露島先輩とコン先輩もいるとか。

「何のお店かと言うと。私立彦宮学園お土産屋!」

へ〜、面白そう。
教室に入って、お土産物を見る。
先輩の手作りじゃん。
わたしは、みんなオソロイのストラップを買って、もうふたつ色違いのストラップを買った。
コヨとオソロイなの。

「それ同じのふたつもいる?」

さやかちゃんがストラップを見ながら尋ねる。

「コヨにお土産。オソロイで買って」

「あの子に買ったの〜?」

そうだった、さやかちゃんたちは、コヨに嫌がらせされてるんだ。
初香ちゃんとエリちゃんは、優しいから表に出さないけど。

「コヨちゃんって、真美ちゃんにだけ仲良くするよね。意味分かんない」

やや怒り気味で言いながら、エリちゃんと別れた。

421:岬◆8Q:2017/10/02(月) 14:16

22.演劇会スタート
さあ、演劇会だ!
文化祭も終わって、多目的ホールで初等部は演劇会が始まる。
中等部は、グラウンドにてフォークダンス。
高等部は、体育館にて蓑島菜奈ちゃんのライブが開催される。
高等部に入れば文化祭の後に必ずライブに参加出来るの。
蓑島菜奈ちゃんっていうのは、元彦宮学園生徒で、歌手になった子。
東大卒なの。

「真美、こっちこっち」

コヨに手招きされて、多目的ホールの裏側へ移動する。
6年1組から演技がスタート。
物語はオリジナルで、『6年1組仲良し物語』という。
わたしと実柚乃ちゃんが台本を書いたの。

「コヨは、転校してきたから、転校するまでの物語の間はナレーターだったよね」

 プーーープーーープーーー

「第一回、6年1組仲良し物語。6年1組による、友達関係の物語です。では、開幕です!」

アナウンスが入った途端、となりにいたナレーターのコヨが舞台に出た。

「初めまして。わたしの名前は俣野コヨです。こちらに転校してきました。来たときから、仲良しクラスだなと思い、それを演技します。どうぞ!」

まず、ふーちゃんがひとりで出て、紙を掲げながらマイクの前に立つ。

「わたしが、前期児童会長杉田ふみ!これから頑張ります!」

ライトが消え、すぐ現れたのは、初香ちゃんグループに美華ちゃんグループ。それに、わたしと晴奈ちゃんグループ。
まだ、初めは晴奈ちゃんたちと一緒だったから。
わたしもたくさんセリフあるし、頑張るぞ〜!

422:岬◆8Q:2017/10/02(月) 14:29

23.完結・感動・涙
「晴奈ちゃあ〜ん!」

4人でキャッキャしておしゃべりしながら、美華ちゃんのセリフを待つ。
だけど、いっこうに美華ちゃんの口はおしゃべりをやめない。
優佳ちゃんがセリフを静かに教えてあげて、やっとセリフを言う。

「ちょっとあなたたちうるさいわ!」

「そうよそうよ。美華ちゃん、もっと言ってやって!」

「もっと静かにしたらどう?」

優佳ちゃんと穂乃佳ちゃんも負けじと威張り散らす。
怒られた晴奈ちゃんグループと初香ちゃんグループのわたしたちは、ムッっとしながら言い返す。

「みんながおしゃべりして悪い?美華ちゃんたちだけのクラスじゃないでしょ!」

ライトがクルクル回り、赤、青、黄色と色が変わる。
実柚乃ちゃんが描いてくれた黒板アート風のバックもいい感じ。

「美華ちゃんたちも静かにしてよね!スマホの音うるさいし!」

効果音の音楽がチリチリチリチリ!
リアルにケンカっぽくなってきた。
すると。

「仲良くしなさーーーい!」

ふーちゃんの怒声が響きわたり、多目的ホールは、シーンと静まりかえる。
このリアクションいいねえ。


あのあとも、うまいこと演技は終わって、打ち上げが楽しみ。
これだけの完成用なら、打ち上げやる価値があるねっ!
わたしは、感動して涙が出た。

423:岬◆8Q:2017/10/02(月) 14:47

24.結果発表!
1年生の演劇も終わり、いよいよ明スイ対決がスタート。
本当の明スイはパフェ。
コヨによれば、新明スイはマカロンらしい。
洋菓子だな〜。

「皆さん、この場をお借りしまして、初等部児童会長多田本真美さんが、明スイのままか、新明スイかと対決をさせていただきます。第二回戦です。第一回戦は、見事新明スイ勝利。ここで明スイが勝たなければ、新明スイ決定となります!」

露島くんがマイクを置いて、明確ゼミの時と同様、モザイクのかかる板。
調理器具が並べられたキッチン。
5、4、3、2、1。
調理開始!
となりでは、実柚乃ちゃんが何を作っているのか当てている。
調理器具と、音で。
それで分かったらすごいよね。

「この音…、新明スイはマカロン?」

あれっ?
もう分かっちゃったの?
実柚乃ちゃんは、調理器具にも着目。
新明スイは、確実にマカロンだと決定させた。
一方明スイ。
調理器具がたくさん使われていく。
この時点で、実柚乃ちゃんはパフェだと判断。
お見事です…!


調理は無事終わり。
わたし以外と生徒がスイーツを食べている。
実柚乃ちゃんは、どちらがどちらか分かったから、明スイに入れてくれた。
もちろん、明スイの方が美味しいって言ってたし。
ありがとう…!
きっと明スイが勝てる…!

「結果が出ました!」

結果発表はわたし。
結果の紙を裏返す。
…やった、明スイ勝ちだ!

「隅木田先輩率いる明確スイーツ研究部の勝利です!」

よ〜し、明スイ最強。
次も絶対絶対勝つんだから!

424:岬◆8Q:2017/10/02(月) 14:57

25.打ち上げは恋の予感
文化祭の翌日。
土曜日だったので、打ち上げでカラオケに行った。
中等部以上は土曜日も授業あるんだよね〜、かわいそ。

「学級委員長からお言葉!」

樹くんがマイクで叫ぶ。
七井さんにマイクが渡り、七井さんは曲を入れた。
『ありがとう』という曲。
テレビに映し出された歌詞とは全く違う歌詞を歌う七井さん。

「6年1組は最強〜!
みんなで力を合わせたら何でも出来るから〜!」

『ありがとう』が終わると、わっと部屋が盛り上がる。
ここからはカラオケ大会。
点数が一番高かった人には商品。
彦宮学園生徒が持てたらの誇りのバッヂをプレゼント。
これも美華ちゃんの力。

「初香、俺が一位だったら付き合ってくださいっ!」

樹くん、だいたん…!
初香ちゃんの顔はどんどん染まる。
『愛してるぜ』を熱唱した樹くん。
点数は…えっ、99,8点!?
3時間みんなで歌ったけど、樹くんを越す物はおらず。

「では、お先に〜!」

仲良くふたりで帰ったのでした。

             (つづく)

425:岬◆8Q:2017/10/02(月) 15:08

あとがき
                岬

こんにちは!
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイ、12巻、いかがですか?
文化祭に演劇会に対決。
豪華三点盛りでしたね〜!

皆さんは、対決したことありますか?
運動会とかありますよね。
わたしもありました。
ミニ合唱コンクール、体育大会と、中学校のクラス対抗は全部勝ってます。
看板は負けちゃいました。
(ただいま中1)
だけど、わたしは運動音痴。
みんなが強いから勝てただけ。
わたしは何もしてないのです。
歌は得意ですよ〜。
れっいとしたソプラノです!
皆さんも、対決エピソードありましたら教えてくださいね。

ではでは、最後になりましたが。
ここまで読んでくださったあなた。
良ければ書き込んでください。
コメントをくださった薫ちゃんをはじめとするあなたたち。
本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いします。

次回は、持久走大会&期末テスト&第三回戦です!
果たして勝てるのか!

では、次回会いましょう!

426:岬◆8Q:2017/10/02(月) 19:15

『ここは明確スイーツ研究部! 13』

人物紹介

多田本 真美
目立ちたくないを意識していた小学6年生。彦宮学園の初等部児童会長。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

427:岬◆8Q:2017/10/02(月) 19:32

1.持久走大会企画
ある12月の寒い寒い日のこと。
そろそろ持久走大会と期末テスト。
ただいま、学校はテストの空気。
おしゃべりの声ひとつ聞こえない。
みんな、教室、学食、相談室、どこを使ってでも勉強してる。
慣れてきた小1の子すら遊んでない。

わたし、多田本真美。
ここ、私立彦宮学園初等部6年。
初等部の児童会長です!
持久走大会の企画は、我らが児童会。
だけど、活動してくれてるのは、5年生の莉保子ちゃんーーー河合莉保子ちゃんだけ。
ひとりで企画してるの。
えらいよねえ、本当。

「児童会長いらっしゃいますか?」

莉保子ちゃんが訪ねてきたのは、わたしがコヨーーー俣野コヨと学食でご飯を食べながら勉強していた時のこと。

「あっ、お勉強の時間中すみません。持久走大会のことですが。企画が完成したので、拝見願います」

コヨは、莉保子ちゃんにも優しい。
実柚乃ちゃんーーー相川実柚乃ちゃんにも優しいの。
後は、だいたいムッっとする。
わたしと仲良くするからだとか。
莉保子ちゃんは先輩後輩関係だから。
実柚乃ちゃんは縛らないから許すんだって。

「オーケー。莉保子ちゃんありがと」

「いえ、お勉強の時間本当にすみませんでした。俣野先輩も、頑張ってください。失礼します」

コヨは、莉保子ちゃんに手を振りながらカレーのスプーンを握る。
そして、カレーをパクリ。

「本当にいい子だよね、莉保子」

うん、いい子だとは思うよ。
コヨも、わたしと同じ私立青山野学園を受験するらしい。
縛りすぎだよ〜。

428:岬◆8Q:2017/10/02(月) 19:58

2.コヨとの関係
コヨと一緒に帰りながら、ふと敵関係かどうかと考えた。
初めて会ったときは、何度も敵だと言われた。
今は新明スイーーー露島先輩とコヨがやってる、研究部に入ってるけど。
すぐ抜けれるんだから。
対決で、明スイーーー隅木田くん率いるスイーツを研究する集いが勝つから。
明スイが勝てば、いつもの生活が戻るもん。

「コヨって、わたしのことどう思ってる?」

「えっ?大〜好き!」

敵だとは思ってないんだね。
明スイが買ったら、敵って思われそうだけど。

「ねえコヨ。そこの神社でお参りしない?期末祈願のお守り買って」

わたしの家から駅の方へ歩いて、コヨの家の方へ歩いたところ。
神社の境内に足を傾け、一段一段かけ上る。

「わたし、黄色のお守りがいい!」

コヨの要望で、オソロイの黄色を買うことにした。
神様がいるところで手を打ってから、お守り売り場でお守りを買った。

「これでわたしたちはずーっ友」

コヨと笑い合いながら、境内を下る。
制服の上にセーターを着て、ガウンを着ているのに寒い。
マフラーも、手袋もしてるのに!

「真美、寒いから家帰ろ。わたしの家で一緒に勉強しよ〜よ〜」

ひとりで勉強した方がはかどると思うんだけど…これで縁切りたくないし。
コヨのことだから、明スイが勝ったら縁切りそうじゃん。
ふたりでいられる間は、コヨといたいかも。

「いいよ」

わたしは、お守りをスクールバッグに付けながらコヨの家へ向かった。

429:岬◆8Q:2017/10/02(月) 20:15

3.俣野家
「お邪魔します」

すると、出てくれたのは、この前見た活発な男の子ーーーコウスケくん。

「あっ、おねえちゃ〜ん。遊びにきてくれたんだね!遊ぼ〜」

違う違う、勉強しに来たの!
コヨはコウスケくんをなだめてくれたけど、勉強時間をちょっと削って、20分遊ぶことにした。

「何したい?」

「ヒーローごっこ!俺がヒーロー。おねえちゃんがオバケ。コヨおねえちゃんが…妖精のコヨセイ!」

コヨセイっ!?
ネーミングセンスあってカワイイ。
もしかしたら、優眞くんもこうなるのかな。
わたし、お世話しきれない…。

「おねえちゃん、こっちこっち!」

コウスケくんの方へ突進。
すると、100円ショップに売ってそうな剣で叩いてきた。

「コウスケ、もっともっと!」

コヨが、妖精として仕方なさそうに応援している。
コウスケくん、そろそろやめよ〜。


「ごめん真美。コウスケが」

「うんん。コヨって何人兄弟なの?」

「4人。姉のコノカ。妹のコマナ。コウスケ。みんな実の兄弟」

みんなカワイイ名前。
コヨが、コノカさんはいないけど、コマナちゃんを呼んでくれた。

「何か用?」

つっ、冷たい子。
眼鏡をかけていて、比較的冷静。

「俣野コマナです。公立に通ってます。姉が私立でお金使ってるから、わたしは何もできない」

「初めまして。多田本真美です。コマナちゃん、よろしくね」

コマナちゃん、コヨのことにらんでるじゃん。
コヨがコマナちゃんに視線を配った瞬間、すぐ部屋を出ていった。

430:岬◆8Q:2017/10/07(土) 08:24

4.母からの言葉
コヨは、ちょっと切ない感じの目をした。
なんだかかわいそうかも。

「コマナちゃん、きっとコヨのこと応援してるって。わたし思ったけど」

「どうして?」

それは…。
思わず戸惑う。
コヨに、なんと言う言葉をかけたらいいの?
立ち止まっていると、コヨはため息をついて苦笑した。

「真美もさ、あんまりウソつかない方がいいよ。期待しちゃったもん」

コヨの部屋に案内され、勉強道具を取り出す。
コマナちゃん、コヨが私立行ってるからって言ってたよね。
青山野受けたら、もっとお金かかっちゃうじゃん。
でも、彦宮も高いし…。

「コヨ。もしわたしが公立の中学校行ったらどうする?」

「もちろんだけど、真美と一緒に」

「ダメだよ、コヨ。行きたいところ行かないと。行く人で決めてたら、コヨの人生やりたいこと出来ないよ」

コヨは一瞬うなって、わたしに優しく笑いかけた。

「わたしの本当の母が、青山野卒だから、行ってみたい。母が、青山野に行けば分かるはずって言われた謎の言葉を暴けば、元の隅木田家の宝庫が開くに違いない。この話は、お母さんに聞いたんだけどね」

コヨが青山野に行くことで、宝庫が開かれるなんて…!
それを、わざわざコヨの本当のお母さんが、今のお母さんに言うほど…!

「真美は気にしないで。試練もたくさんあるけど、乗り越えたら見つかるものだって。宿命なの」

わたしはそのときはっきり分かった。
新明スイをつくりあげようとする理由が。

431:岬◆8Q:2017/10/07(土) 08:43

5.クラスみんなの心配
後日。
学校へ向かうと、制服姿のコヨがひとりで本を読んでいた。

「コヨっ、おはよ!」

あいさつしたけど、返事はなし。
またか…。
あれっきり、全然会話出来ない。
コヨはひとりでずっといるし。
わたしは、初香ちゃんたちといるんだけど。

「真美ちゃんおはよう!」

初香ちゃんたちが寄ってきて、みんなコヨを見る。
難しそうな本と格闘している。
正直言えば、コヨの内申点では青山野は難しいと言われている。
だから、あれから、ずっと難しい本を読んでるんだ。

「ほっとこ、ほっとこ。さやたちには関係ないんだし」

初香ちゃんとエリちゃんは、やっぱりコヨがひとりはかわいそうらしく、チラチラコヨを見ている。
さやかちゃんは、渋々。

「あっ、エリちゃん見て」

さやかちゃんがヘンな踊りを見せて、コヨのことは気にしなくなった。
ところで、コヨは急にわたしから離れて行ったけど…。
不安が募る。
ちょっと怯えていると。

「真美ちゃん」

美華ちゃんがこっちへ来る。
真美ちゃんって呼ばれたの久しぶりかもしれない。
そんなことを思いつつ、美華ちゃんを見る。

「どうしてコヨひとりなのよ」

「分からないの。受験の話をしたら、それっきりで」

美華ちゃんは腕を組んで考えながら元のグループのところに戻った。
本当に、クラスのみんなが心配してるのに、どうして…?

432:岬◆8Q:2017/10/07(土) 09:19

美華の取り巻き穂乃香の名前
穂乃佳になっているかも。穂乃香です
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
6.更衣室事件
更衣室でジャージに着替える時すら、コヨはひとりだった。
いつもは、わたしととなりでおしゃべりしてるのに。
美華ちゃんが気をきかせて話しかけてるのに無視してるし。

「コヨちゃん、美華ちゃんに失礼だよね、ホント!」

さやかちゃんがコヨに聞こえるくらいの声で言うと、みんながちょっと愚痴を言い出した。

「真美ちゃんもかわいそう。ずっと一緒にいてくれたのに。自分勝手〜」

「そ〜そ〜。いつも自己中だし」

学級委員長の七井さんまで、ボソッっとつぶやいた言葉。

「コヨちゃん最悪」

コヨには全部聞かれてる。
かわいそう。
わたしなんかは全然。
ずっとひとりで、楽しくなさそう。
それに…、悪口言われてるコヨがすごくかわいそう…!

「ダメだよ、みんな。コヨのことそんなに言っちゃ。悪口言うのはよくないでしょ?」

辺りがシーンと静まりかえる。
そこに反応したのは、美華ちゃん。

「真美ちゃんの言う通り。わたしなんかはかわいそうじゃないわ。痛くもかゆくもないもの」

すると、美華ちゃんの取り巻きの子たちまで。

「優佳もそう思うよね?わたしは美華と同じ」

「穂乃香と同じ」

美華ちゃんたち…。
コヨは涙を流しながら、グラウンドじゃない、つまり、校舎側のドアへ駆け込んだ。

433:岬◆8Q:2017/10/07(土) 09:31

7.芽生える友情
わたしはコヨを追いかけて、手を握った。
後ろには、美華ちゃんグループも。
コヨは振り返って、わたしの手を振り払った。

「どうせ真美も思ってるんでしょ?みんなと同じこと!」

コヨの走り出しそうな手を止める。
美華ちゃんたちが、コヨの前に立ちはだかる。

「思ってない!コヨと仲良くしたい。だけど…どうしたらいいの…?」

「真美」

わたしもいつの間にか涙を流す。
きっと、コヨ辛かったんだろうな。
宿命を抱えつつも、前田先生に内申点を言われ。
悪口まで言われて。

「わたしのこと好き?」

「うん、大好きだよ、コヨのこと!」

涙を吹き飛ばすくらい、ニカッっと笑って見せた。
思わず美華ちゃんが吹く。
たちまち辺りは和やかになった。

「持久走大会近いし、早くグラウンド行こっ」


冬の、本当にさむ〜いさむ〜い日の体育の時間。
急に新たな友情の芽が発芽した。
きっと、美華ちゃんたちとの。


体育に行くと、各自グラウンドを走っていた。
これなら紛れ込んでもバレない。
こっそりグラウンドへ入る。

「美華ちゃんたち、優佳ちゃんのことはユウって言わなくなったの?」

「ええ。ニックネームはおさらば」

美華ちゃんは走りながら言う。
こんなに急に仲良くなれるんだ。
クラスのイケイケグループ、美華ちゃんたちと。
内心ビックリだよ。
正直、ただのお嬢様かと思ってたし。

「これからは5人で遊びましょ」

美華ちゃんの突然の提案に、思わず目を丸くする。
だって、わたしもいる!
わたしは、大きくうなずいた。

434:岬◆8Q:2017/10/07(土) 09:40

8.意外な一面
わたし、何度もいろんなグループにお邪魔してるな〜。
そんなことを思いつつ、走る。
穂乃香ちゃんは足が速くて追い付かないけど。

「真美ちゃんファイト!」

優佳ちゃんがとなりで走ってくれて、またスピードを上げる。
コヨは、頑張って穂乃香ちゃんに食い付いて…。

「美華ちゃあん!」

美華ちゃんは後ろでゆっくり走る。
わたしより、運動苦手だったから後ろの方で。

「お菓子食べた〜い」

美華ちゃんが叫びながらスピードをものすごく上げる。
そして、わたしと優佳ちゃんを追い越して、穂乃香ちゃんのところへ。
お菓子パワー炸裂っ!

「美華ちゃん、お菓子大好きなの〜。遊びに行くと分かるけど、プライベートでは、毎回ポテチ」

ポテトチップス毎回!?
美華ちゃんの意外な一面…。
すると、お菓子パワーが消耗してきた美華ちゃんは、気づけばわたしの後ろに…。
これを繰り返すのかも。

「お菓子〜ポテチ〜」

美華ちゃんは、またスピードを上げた。

435:岬◆8Q:2017/10/09(月) 16:59

9.恵梨華と眞理
美華ちゃんが、こんなに単純だったなんて信じられない。
すると、優佳ちゃんはスピードをあげて、いつの間にか前の方へ。
気づけばとなりには美華ちゃんが走っていた。

「わたし、ひとりっこなの」

「えっ?」

聡日さんがいるのに。
美華ちゃんは悲しそうな顔をして続けた。

「両親が離婚したから。だけど、母が再婚して、妹が出来るの」

妹?
わたしと一緒じゃん。
美華ちゃんは、思い出すように笑みを含ませてちょっと泣いた。
両親の離婚って、悲しいよね。
あんまり分からないけど。
ママもパパも仲良しだから。
入院に出張。
会うことも少ないけど。

「恵梨華っていうの。わたしが名付け親」

「カワイイ名だね。恵梨華ちゃん」

恵梨華ちゃんは、きっと美華ちゃんみたいにカワイイ子になるよね。
眞理ちゃんのことを思い出して、わたしも口を開いた。

「わたしもひとりっこだけど、妹が出来るよ。眞理ちゃん」

「眞理?カワイイ」

美華ちゃんはもう泣いていなかった。
笑いながら、恵梨華ちゃんと眞理ちゃんのことを考えている。
やがて。

「恵梨華と眞理ちゃん、仲良くなるといいわね」

「うん。…何だかお母さんみたい」

美華ちゃんと顔を見合わせて、ふふっと笑った。

436:岬◆8Q:2017/10/09(月) 20:49

10.遊ぶ約束
体育は終わり、更衣室で制服に着替えていた時。
わたしは初香ちゃんに耳打ちされた。

「後から話したいことがあるの」

それを言ったっきり、エリちゃんとさやかちゃんと囲んで話してる。
わたしが入ってたのはウソみたいに。
時には実柚乃ちゃんも入ってるし。

「真美ちゃんどうしたの?」

穂乃香ちゃんが顔を覗き込む。
美華ちゃんたちも、心配そうな顔をしていた。

「ヤダな〜。何でもないよ」

制服のボタンを止めて、ロッカーに清潔なジャージを入れる。
今日着たジャージを持って、更衣室を出た。

「大丈夫?真美」

コヨがとなりでこっそり聞く。
ここで初香ちゃんの名前を出しちゃまずい。
わたしは笑ってごまかして、美華ちゃんたちの話に入った。

「また今度さ、5人で遊ぼ。家来て」

美華ちゃん家行けるの!?
楽しみかも〜。
大きなお屋敷。
矢本くん家より大きいかな?

「行く行く〜」

「ポテチ祭りだね〜」

「お菓子持ってく〜」

コヨまでキャッキャしながら教室へ向かう。
優佳ちゃんが急にわたしに話を振ってきた。

「真美ちゃん来れる?」

「あっ、うん。美華ちゃん家の場所、あいまいだけど」

「じゃあ、わたしが迎えに行くわ。真美ちゃん家知ってるから」

優佳ちゃん、わたしの家知ってるの!?
ビックリして優佳ちゃんを見ると、優佳ちゃんはコヨを見た。
そういうことね。
コヨが教えたってことか。

「コヨは何で来る?」

「わたしは歩き」

「遠くない?」

穂乃香ちゃんがつぶやく。
コヨはちょっと焦りつつも、わたしをチラッっと見た。
助けてほしいんだ。
ええっと…。
必死に考えた末…。

「優佳ちゃん、コヨもついでに一緒に行く?」

「あ、オーケー。コヨは、真美ちゃん家に行って。ついでに乗せたげる」

優佳ちゃんも車か…。
コヨはホッっとしたように笑って、わたしにウインクした。

437:岬◆8Q:2017/10/09(月) 21:02

11.勉強生活!
 カリカリ…
勉強机に乗っかった問題集と一対一。
ずうっと見つめ合ってる。
結構前に買ったの。
数学のね。

「真美ちゃん、紅茶持ってきたよ」

おばあちゃんがおぼんに紅茶を乗せて部屋に入ってきた。
わたしは、今おばあちゃんとふたりで暮らしている。
ママは、妊娠しているので入院中。
パパは、出張で東京へ。
おばあちゃんが来てくれてるの。

「期末も近いし、頑張って!」

受験を応援してくれているおばあちゃんは、勉強道具を何でも買ってくれるの。
問題集もね。
リスニングCDも、今では20枚くらいたまっている。

「じゃあ、出るね」

おばあちゃんは部屋を出て、最近ハマっているドラマを見に行く。
ドラマって、今何やってるんだろ。
あんまり勉強しない美華ちゃんは、いつもドラマを見ている。
明日聞いてみよっと。

「ふわ〜ぁ。もう疲れた」

シャーペンを握る力が弱くなる。
わたしはそのまま、クテッっと腕の中に顔をうずめた。


 ピヨピヨピヨピヨ
まっ、真由ちゃん!?
っていうか、朝!?
ヤバイ、そのまま寝ちゃった。
冷めた紅茶。
付きっぱなしの電気。
跳ねている髪の毛。
最悪じゃん。
真由ちゃんっていうのは、わたしが飼っている鳥。
飼ってるっていうか…ちょっとエサあげたら、よくいるの。
ペットって言える段階じゃないんだ。

「真美ちゃ〜ん、起きなさ〜い」

「起きてるよ〜ぅ」

パジャマじゃなくて、勉強用のジャージを脱いで制服に着替える。
あ〜、眠い。
わたしは、ゆっくりカーテンを開けた。

438:岬◆8Q:2017/10/09(月) 21:25

12.リムジン通学!?
ドアを開けると、冷たい北風がビューっと吹く。
マフラーをついつい口元に当てる。
手袋もキュッっとはめ直す。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい。明日持久走大会でしょ?頑張って」

練習最終日だあ〜。
おばあちゃんに手を振って、家を出ると、目の前にはリムジン…!
ちょっ、えっ?

「真美ちゃん乗って」

一番前の窓から見えた顔…。
美華ちゃん!?
リムジンの後ろには、優佳ちゃん、穂乃香ちゃん、コヨ。

「わたしと仲良くしてる子は、リムジン通学よ」

え〜!?
お金持ちがすることじゃん。
こんなことしちゃっていいの!?
リムジンに初めて乗る。
暖房の聞いた暖かい車内。
テレビも付いてるし、冷蔵庫も。

「ゆっくりして」

美華ちゃんに言われて、ちょっと後ろに持たれかかる。
柔らかい〜。
彦宮学園すぐそこだけど、リムジンだなんて夢みたい…。

「到着よ。降りて」

降りると、彦宮学園の駐車場。
わたしたちみんなが降りると、リムジンは音を立てずに駐車場を出た。
すっ、すごい…!

「明日からは、わたしが迎えに行ったら家を出て。いい?」

「ありがとう」

美華ちゃんのリムジンで毎日通うんだな〜。
めちゃめちゃお金持ちがすること!

「行きましょう」

美華ちゃんに誘導されて、裏口から3階へ行く。
あのね、階段じゃなくてエレベーターなの。
美華ちゃんだけの道だ〜。
恵梨華ちゃんが産まれたら!
きっとここ通るんだろうな〜。
わたしは想像しながら6年1組へ足を傾けた。

439:岬◆8Q:2017/10/10(火) 14:55

13.イユミ
穂乃香ちゃんがスクールバッグを机に置いて教室を出た。
中等部に用事があるとか。

「あっ、美華ちゃーん。昨日のドラマ見た〜?」

優佳ちゃんが身を乗り出す。
見ていないわたしとコヨは、耳を大きくして聞きいる。

「ええ。恋愛心でしょ?」

「そー!イユミヤバすぎー!」

イユミ…主人公か何かかな。
ふたりで盛り上がっているところに、隅木田くんがわたしを訪ねてきた。
まだわたしたち以外誰もいない。

「真美ちゃん、期末テスト後、すぐに中等部家庭科室へ来て。闘いをするから。何を作るかは、決められてる。どちらも、マカロンを作るんだ」

「マカロン…」

あまり手を染めたことのないスイーツだった、マカロン。
新明スイだって、活動してたのかしらないけど…。
わたしは、笑って見せた。
クヨクヨしてられない。

「勝ってください、お願いします」

お辞儀すると、隅木田くんは頭をポンポンして微笑んだ。
思わずキュンとする。

「任せて」

はわわわわ〜。
隅木田くんが中等部へ帰るのと、穂乃香ちゃんが帰ってくるのがほぼ同時くらいだった。
ニヤニヤしているわたしを見て、穂乃香ちゃんは吹いた。

「真美ちゃんさぁ、隅木田先輩好きでしょ!?」

「ええっ?」

「まるでイユミみたい!」

イユミ…。
わたしみたい、なの?

440:岬◆8Q:2017/10/10(火) 15:02

14.初香ちゃんの気持ち
今日の更衣室は、それぞれのグループで話していた。
わたしは初香ちゃんたちのグループで着替える。

「初香はさ、真美ちゃんが美華ちゃんたちのグループにいたいならいればいいけど、来てほしいな。初香たちのところ」

小さな声で言われた言葉。
でも、かなり重みがあった。
どちらにいるのかってことだから。
初香ちゃんは、ちょっと微笑む。

「そんなに無理してじゃないよ。真美ちゃんといると楽しいなぁって」

「ありがとう」

エリちゃんは、さやかちゃんとふたりでおしゃべりしながらもこちらを伺う。さやかちゃんも。

「初香は縛ろうとしてるんじゃないからね」

ごまかすようにそっとつぶやく。
知ってるよ、わたし。
初香ちゃんがそんな子じゃないってことくらい。
だけど…。
樹くんのことといい、コヨのことといい…。
初香ちゃんもいろいろ大変。
いろんなこと気にしてるもん。

「来たかったら…うんん、良かったらいつでも来てっ!」

初香ちゃんはそれだけ言い残して、グラウンドへ足を傾けた。
エリちゃんとさやかちゃんは、それを追いかけるように。
わたしは、ポツンと置いてかれた。

441:岬◆8Q:2017/10/10(火) 21:52

15.美華ちゃんの夢
走る時は、美華ちゃんとふたりでおしゃべりしていた。
眞理ちゃんと恵梨華ちゃんのこと。

「恵梨華は、もうすぐ産まれるの。今日か明後日くらいって言われてるわ」

「すぐじゃん。呼んでよ〜」

またお母さん目線だ。
美華ちゃんとおしゃべりしていると、あっという間に一周。
さあ、二周目、三周目!

「眞理ちゃんはいつなの?」

「3月頃」

「ちょっと遅れたら、同級生じゃなくなっちゃうね」

そんなこと考えたことなかった。
確かに、3月ってギリギリ。
友達関係か、先輩後輩関係か。
やっぱり同級生がいいよね〜。

「3月きっかりだといいけど」

美華ちゃんも心配げにつぶやく。
同級生ならね、わたしたちも仲良くさせてあげられるけど…。
先輩後輩関係だと、なかなか何とも言えないし…。

「もう次は三周目よ」

気づけば、二周目も終わり、三周目に差し掛かっていた。
はっ、早い…。

「持久走大会は毎年、秀花、穂乃香、陽茉理だけど…」

あれ、陽茉理ちゃん3位なんだ。
っていうか、秀花ちゃんさすが…!
毎年一位は誰も取れないね。
秀花ちゃんじゃないと。

「秀花はもったいないわ、青山野行って。残るか、東大附属でも行けばいいのに」

「東大附属ねぇ」

ふーちゃんこと杉田ふみちゃん、涼太くんこと青山野涼太くんが受験する、東大附属。
ちなみにふたりは幼なじみで付き合ってるんだけど。
涼太くんのおじいちゃんが校長で、そこそこお坊っちゃんかも…。
ちなみに、美華ちゃんのおじいちゃんは本校の初代校長。
相当なお嬢様。

「恵梨華には、初等部彦宮、中学から高校を東大附属、大学は東大へ行かせたいわ」

「どうして?」

「わたしとお母様の夢だったの。でも努力したくないから、やがて消えた。恵梨華にはこんな思いさせたくないってところよ」

恵梨華ちゃんのこと思ってるんだ。
わたしは、ママも眞理ちゃんも元気でってことしか考えてない…。
気づけば、もうチャイムは鳴っていた。

442:岬◆8Q:2017/10/10(火) 22:01

16.持久走大会開会!
 パン!
鳴り響くピストル音。
体育委員会の人たちがピストル確認やラインを引いている。
放送委員会の人たちは、放送マイクの確認。
我らが児童会は、企画書、原稿の確認をしているところです!
持久走大会の担当は、わたし、柴田さん、莉保子ちゃん。
3人で創り出すんだ。

「児童会長、柴田オーケー」

柴田さんが片手を挙げる。
莉保子ちゃんもそれに続いた。
わたしも、オーケー。
原稿確認が終わり、放送室へ向かう。
初めの放送はわたし。

「初等部の皆さん、おはようございます。児童会長です。持久走大会の開会式を行います。速やかにグラウンドへ向かいましょう」

マイクに向かって吹き込むと、初等部の教室からズラズラとみんなが出てきた。
同じことをもう一度言う。
完全に誰もいない。
グラウンドの前に立ち、開会式の原稿をめくる。

「開会式の放送お願いします」

放送委員会の人がアナウンスを入れ、柴田さんが朝礼台の上に立つ。

「開会宣言。ここに、私立彦宮学園初等部、持久走大会の開会を宣言する。児童会役員柴田」

次は体操。
朝礼台に莉保子ちゃんが立つ。
初等部みんなで体操!
わたしも、力いっぱい体を動かした。

443:岬◆8Q:2017/10/11(水) 18:13

17.よーいどん!
 パン!
ピストル音と同時に、1年生の男の子がスタートした。
となりの初香ちゃんが、うっとりした顔で男の子たちを見る。

「カワイイ〜。男の子なのにぃ」

確かに、小さい子だと男の子でもカワイイよね。
だけど…。
チラッっと初香ちゃんを見る、と。

「初香」

樹くんが歩み寄ってきて、そのままふたりでどこか行くし…。
ちょっと、手、つないでるっ!?

「ねえねえ、エリちゃんっ!」

エリちゃんはビックリ顔で振り向く。
わたしは、震える手を止めて、初香ちゃんたちを指差した。

「ああ、樹くんが初香ちゃんに告白して付き合い始めたの」

「えええ〜!?」

「真美ちゃん静かにっ」

さやかちゃんが口元に手を置いて、落ち着く。
付き合ったの!?
初香ちゃんおめでと〜。

「よっしゃ、家の子1位!」

近くで由里歌ちゃんが叫ぶ。
キャラ変わったな〜。
おっとりタイプだったけど。
陽茉理ちゃんも、由里歌ちゃんと手を叩いて喜んだ。
わたしもあそこにいたんだ〜。
そう思うと、胸がムズムズした。


 パン!
6年生男の子がスタートした。
ええっと、涼太くん、坂宮、頑張って!樹くんもねっ!
初香ちゃんが思いっきり樹くんを。
ふーちゃんが思いっきり涼太くんを応援する。
わたしは坂宮かな。
みんなに負けないくらい大きな声で、坂宮を応援、しようとしたの…。

444:岬◆8Q:2017/10/11(水) 18:23

18.驚きの真実
だけど、だけどね。
向こうの女の子。
キャッキャしてるグループの中。
一際目立つ…秀花ちゃん。

「秀花さ〜、別れたのにまた他のヤツと付き合い始めてさ。秀花はカワイイし何でも出来るからいいよね。付き合いたかったら付き合えるくらいコントロール出来るもん」

「別に〜」

そんなこと言ってる秀花ちゃん。
受験で別れたって聞いたのに、また付き合いだしたの!?
コントロールって…。
秀花ちゃん、勉強も運動も男の子もコントロール出来るんだ…。
唖然。
耳をすませていると…。

「坂宮くんさ、サッカー部のレギュラーだし、サッカー習ってるじゃん?その彼女とかイケイケ〜!」

坂宮の彼女?
 ドクンドクン
心臓が早く脈打つ。
胸がキュッっと痛む。

「彼女の秀花、応援しなよ」

ひとりの女の子に急かされて、秀花ちゃんはくっきり、はっきり言う。
しかも大きな声で。

「坂宮くん頑張って〜!」

「彼女からの応援〜」

「スピードあげたよ!」

みるみるうちに、坂宮はスピードをあげていく。
秀花ちゃんもすごく喜んでるし。
わたしに好きだとか言ってたくせに、秀花ちゃんなんだ。
なんかイラッっとするーっ!

「あっ、坂宮くん1位よ!」

見ると、ガッツポーズを、わたしじゃない、秀花ちゃんに見せた。
そして、ゆっくりグラウンドの中を歩き終わり、秀花ちゃんの元へ駆け寄る。

「ちょっと…」

秀花ちゃんの周りにいた女の子はみんな退いて、ふたりきり…!

「応援してくれてありがとな。秀花も頑張って」

ふたりはにっこり笑って、ゆっくり離れていった。

445:岬◆8Q:2017/10/11(水) 19:10

19.いざスタート!
 パン!
とうとうわたしたちのスタート。
樹くんは初香ちゃんを。
涼太くんはふーちゃんを。
坂宮は秀花ちゃんを応援する。

「初香ーーーー!ダァーッシュッ!」

「ふみちゃん前見てー!」

「秀花1位のまま〜!」

やっぱり秀花ちゃん1位か〜。
わたしは後ろから数えた方が早いくらいだね。
全くだよ、ホント。

「ちょっと転んでくれる?」

胸に佐藤と付けた子に言われる。
あなたに言われる筋合いないんですけど!
ちょっと加速して、佐藤さんから離れる。
すると、佐藤さんも加速してわたしの前に並んだ。

「ホイッ」

佐藤さんが急に止まって、わたしはつまずく。
それを、3人の女の子が踏む!
意味分からないんですけど。
どうして踏むの。
手を踏まれるとかそれくらいだったけどさ。

「真美ちゃん、大丈夫?」

後ろと差をつけて、速く走ってきた秀花ちゃん。
わたしベリで一周遅れじゃん。
秀花ちゃんに引かれて立ち上がり、佐藤さんを追いかけて走る。
もちろんだけど、そのまま秀花ちゃんに抜かれて…。


はぁっ、はぁっ。
 パンパン!
この音は、1位ゴールの…。

「優勝者、今年も杉田秀花ー!」

秀花ちゃんおめでとう。
もうすごすぎる。
わたしもラストスパートを走りきる。
ベリじゃないよ、ちゃんと抜かしたもん、佐藤さん。
わたしを踏んだ子も。
勝手に踏んで、勝った気にならないでよねー!
わたしは心の中でちょっと思った。

446:岬◆8Q:2017/10/11(水) 19:19

20.秀花ちゃんから
「ここに、私立彦宮学園持久走大会の閉会を宣言する。多田本」

朝礼台から降りて、閉会式は幕を閉じた。
これで期末に全てを捧げられる。
頑張って、今回こそは…!

「秀花」

坂宮が秀花ちゃんの元へ行くのが見えた。
本当なんだ。
やっぱりウソじゃないんだ。

「1位おめでと、秀花」

「ありがと。坂宮くんも!」

坂宮は頬を赤らめて微笑む。
もういいや。
告白してきたけど、わたしは断ったんだもん。
それに、好きかって言われると、嫌いじゃないけど、恋愛として好きではないから。

「真美ちゃん?」

いつの間にか秀花ちゃんがとなりに立っていて、坂宮はいなかった。
思いきって聞いてみようか。
でも…。

「1位おめでとう、さすがだね」

「うんん、大したことないよ」

秀花ちゃんにしてはね。
わたしにしてはすごいことだよ。
本当に。

「わたしさぁ、付き合い始めたの。坂宮くんと。青山野は受けるよ。坂宮くんは残るらしいから、遠距離だけど」

 ドクンドクン
秀花ちゃんから口にした言葉。
『付き合い始めた』。
ついに…ね。

「別にいいよね、付き合ってても」

「いいんじゃ、ない…?」

わたしは、ちょっとムズムズしながらつぶやいた。

447:岬◆8Q:2017/10/11(水) 19:55

21.焦りの期末
わたしは、勉強が手につかず、あまり勉強せずに一夜を過ごした。
こんなことを、何度も繰り返して…。


あっ、今日期末だ。
ちょっとは勉強したけど、ついに迎えてしまった期末1日目。
国語に数学に技術家庭科に美術。
まあまあいけるかな〜。

「真美ちゃん、制服の上に着るセーター乾いてないから、ダウンでも着てってくれる?」

下からおばあちゃんが言い、クローゼットからダウンを出した。
いつもセーター着てるんだけど、昨日の雨のせいで乾かなくって。
ダウンってちょっとダサいから嫌いなんだよね〜。

「スクールバッグに弁当入れといたよ〜。図書室で食べておいで」

そうだった。
今日は冬季講習だった!
明確ゼミ希望生が行ける講習。
希望してないけどね。
お邪魔するの。
授業法式で教えてくれる。

「弁当と図書室で食べたら、そのまま冬季講習。いい?」

彦宮学園の図書室で行われる冬季講習。弁当は、学食でいいかな。

「行ってらっしゃい」

よぉし、頑張るぞぉっ!
家を出ると、ちょうど美華ちゃん家のリムジンがあった。

「真美様、こちらへ」

わたしのことブスって言った運転手も、いつの間にか『真美様』。
何なのよ、もう。
でも、リムジン通学はまだ続いてる。
今日は、ゆっくりドライブしながら勉強して、みんなと同じ時間に学校に着く日程。
ドライブしてくれてて、その間国語の確かめをやっていた。

「コヨ、ここなんだけど」

意外と言ってもおかしくないくらいの美術得意のコヨ。
絵の上手さと知識の豊富さには驚いたよ、うん。

「美華〜、これこれ!」

数学が得意な美華ちゃんに、穂乃香ちゃんは聞きいっている。
わたしはひとりで、国語でも…。

「真美ちゃん、主語述語って何!?」

優佳ちゃん、そこから!?
ビックリしつつ、解説。

「主語っていうのは、だいたい人。何がってところ。述語は、主語に対して、どうした。何をしたってこと。これについて修飾語とかあるから気を付けた方がいいよ。ちなみに修飾語は、ひとつとは限らないから」

優佳ちゃんは、うめき声をあげながら椅子に座り直す。
果たして、いいのだろうか…。

448:岬◆8Q:2017/10/11(水) 20:17

22.冬季講習あいさつ無茶ぶり!?
 キーンコーンカーンコーン
よーし、今日のは終わり。
国語はそこそこ出来たし、まあ何とかなるでしょ。
数学は中間良かったからあんまり勉強してないけど…いいよねっ。

「真美ちゃんのおかげで主語述語修飾語出来たよ!」

優佳ちゃんが嬉しそうににっこり笑顔で言う。
近くから見ると、美少女〜。
まつげ長いし、ちょっとぶりっ子っぽいところも。
ぶりっ子に見えないぶりっ子。
演技っていうか、上手いな〜。

「ありがとう!」

「いやいや、解けてよかったね!」

 ピーンポーンパーンポーン
突然放送が入る。
辺りがしーんとなり、放送音が響く。

「冬季講習を受ける生徒、すぐ図書室へ向かいなさい。講師の先生がお見えです」

もう〜?
優佳ちゃんと別れて、スクールバッグを片手に図書室へ向かう。
あいさつしたら、弁当だよね。
この講習には、コヨも参加してる。
希望してないよ、コヨも。
無料だしねえ。

「明確ゼミナール講師の松村です。今日はよろしくお願いします」

新任かな、知らない名前だ。
男の先生で、ガッチリした体つき。
怖そ〜う。

「こちらの児童会長から言葉がありますので」

ええっ、聞いてない。
松村先生は、こちらをジッっと見つめる。
仕方ない、あいさつするか。

「今日は、わざわざ足を運んでくださりありがとうございました。よろしくお願いします!」

松村先生はにっこり笑って、弁当タイムをとってくれた。
コヨと学食へ向かう。
4人掛けの机で、勉強も弁当も食べられるようにするの。

「優佳さ、美術結構出来たらしいけどさ、わたしより、かな」

「どうだろ」

コヨはモヤモヤしながら、弁当の卵焼きにかぶりついた。

449:岬◆8Q:2017/10/12(木) 17:20

23.容量の悪い松村先生
松村先生が図書室の黒板に『数学』と書き込む。
復習か〜。
数学の問題用紙を開いて、松村先生の手のチョーク先を見る。
繊細な文字で、綺麗に。
文字と数字の移項と書き込む。
移項ね〜。
左辺か右辺かってやつ。
わたし苦手。
符号が変わったり、途中式長いし。
ちょっとでも間違えたら可能性ってないじゃあん!

「いいですか?」

松村先生は途端に厳しくなって、ビシビシやっていく。
彦宮生じゃなくても参加出来るんだけど、制服が目立つ。
公立の一般的なの、私立のオシャレなの、市立の昔っぽいのまで。
彦宮学園の制服が一番カワイイと思うのは、わたしだけ?

「ここ、誰か挙手」

すかさず、彦宮学園の意地を見せる。
公立校に負けてられないよ!
指名されたのは、他の学校の子だったけど…ネクストネクスト!

「はい、答えー」

はいはい、わたしわたし!
分かります〜。
あっけなく他の学校の子が指名されて、だんだんいらだってきた。
図書室貸してるのに何なのよ。
初等部の図書室広いのにいっぱいでしょ!?
感謝しなさいよ〜。

「次、ここ」

今度こそは当ててよね〜。
っと、神通力でもあったのか、松村先生はこちらを見ている。
はいはい、わたし当ててください!
目一杯手を挙げた、けど。

「えっと…佐藤さん」

わたしじゃないぃ!?
本当にイライラしちゃうよ、もう!
すると、指名された佐藤さんは、にっこり笑って答えを言う。
佐藤さんって…もしかして。

「あなた…」

そう。
持久走大会で、わたしを…。

「転ばせた人…」

だよ、ね…?

450:岬◆8Q:2017/10/12(木) 17:31

24.テスト終了!
 カリカリカリカリ…
今日は期末テスト3日目。
松村先生の指導で、何とか出来たかも知れない。
分からないけど。
案外…って、習ったっけ!?
書かれている問題は、見たか見てないか分からないほど難しい問題。
ちょっと目を横に寄せて、となりの涼太くんをチラリ。
って、もうこんな問題解き終わってる!しかも、この問題の解答、ビッシリ文章書いてあるじゃん!
あ〜、もう飛ばそう。
理科ってこんな難しかったっけ?
期末ヤバイかもーーーっ!


 キーンコーンカーンコーン
ついに期末終わった〜!
解放された気持ちで、思わず机に突っ伏した。
でもこれから。
受験はしなくても推薦だけど、やっぱり勉強置いてかれたらヤバイ。
実柚乃ちゃんと秀花ちゃん、受験だからな〜。

「おい、ふみ!」

「杉田〜」

「これ何!?」

秀才ふーちゃんに、みんな集まり、自分の答えが正しいか確かめている。
違うとすぐ「あ〜!」なんて。
合っていると「俺天才!」なーんて。
本当にそうか分からないのに。

「真美出来た?」

コヨは、自信満々に聞いてきた。
良さそうな結果だったんだ。
わたしは全然ダメだよ。
首を横に振ると、コヨはニヤニヤしながらつぶやいた。

「真美越せたら、だいたい一桁かも」

いやいや、わたし越したってそんなに大きいところには…!
でも…。
途中受験で入学してきたコヨのことだし。
めちゃめちゃ頭良かったりして。
わたしは、ビクッっとしながら問題用紙をファイルに閉じた。

451:岬◆8Q:2017/10/12(木) 17:43

25.闘い最後
わたしは、中等部の家庭科室へコヨと向かった。
足取りは重たい。
わたしだけが食べて決めるんだもん。
責任重大。
もう、調理器具はそろっていて、わたしとコヨが来たところでスタート。
どちらもマカロンってことだけど。
本当に大丈夫だろうか。
坂宮は秀花ちゃんと付き合ってるなんて事実抱えてるし。
知らなきゃ良かったよ〜!

「真美、ダウン着てていいよ〜」

コヨがニーッっと笑った。
わたしが今日ダウンなの気付いてたんだ。
今日もダウン。
ダサいけど、仕方ないよね。
我慢してる。

「ありがと」

ダウンを羽織り、両者を見つめる。
お願いします、神様。
わたしは何でもしますから、明スイに微笑みを見せて…!
わたしは、祈るような気持ちで見守った。


時間が終わり。
両者とても素敵なマカロンが。
どちらがどちらか、見当すら付かない。食べて、味も分からなさそう。
ひとつ目のマカロンをパクリ。
ふたつ目もパクリ…。
一発で決めてそれだけ。
迷って、やっぱりとか思いたくない。
ひとつ決めたらそれだけ。
もう迷わない。
わたしの答えは、これ!

452:岬◆8Q:2017/10/12(木) 17:48

26.わたしの未来は
わたしは、ふたつ目のマカロンが乗っていたお皿を指差す。

「こっち。こっちが美味しかった」

…露島先輩は、肩を落とし。
コヨは涙を流し。
明スイはよく喜んでいる。
決まった!
わたしが入るところ。
ずうっと明スイだ〜!

「露島先輩、お誘いありがとうございました」

露島先輩はそのまま退室して、コヨが残った。
友情は終わらないよね。
コヨは優しく笑った。

「負けちゃったけど、人をスイーツで勝負するなんてバカだよね。新明スイは解散するよ」

コヨは涙を拭いて退室。
明スイの、カッコいい男の子たちを見る。
清々しい。

「ありがと」

わたしは、みんなを見ながら、これからの明スイ生活が楽しみに思った。

453:岬◆8Q:2017/10/12(木) 17:54

あとがき
                岬

こんにちは!
『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイ作者の岬です。
いかがでしたか?
今回もドキドキハラハラ。
早かったですね〜。
なんやかんやあって明スイ勝利。
みんなはどっちが勝ってほしかったでしょうか。
意見どうぞ。
お待ちしております。

皆さんは、テストどうですか?
わたしは今日で中間が全部返ってきましたよ。
最悪なのや、嬉しいのまで。
いろいろでしたね。
友達には、わざと高い点数言って、ウソだ〜ってバレちゃって。
だけど、ウソとは言いませんでした。
友達関係ってやつですね。
こんな最悪な岬を見放さないで!
テストのエピソードもお待ちしておりますので。

さてさて、お礼といきますか。
ここまで呼んでくださったあなた、どうもありがとうございました!
これからもよろしくお願いします。
ご支援くださった薫ちゃんをはじめとするあなた!
ありがとうございました。
これからも、ご支援お願いします!

次回は、コヨちゃんの転校。
真美ちゃんと明スイのクリスマス…。
次回もお楽しみに!

454:岬◆8Q:2017/10/12(木) 18:00

『ここは明確スイーツ研究部! 14』

人物紹介

多田本 真美
明スイの書記担当の小学6年生。私立彦宮学園の初等部児童会長。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

455:岬◆8Q:2017/10/12(木) 18:14

1.突然事件!
国語の時間。
わたしは期末テストを返してもらったんだ、けど…。
何この点数。
76点。
胸に引っ掛かる点数。
こんなの…イヤ〜!

「真美ちゃん何だった?」

さやかちゃんに聞かれたけど、心が凍り付いて何も言えない。
もう何もかもダメだぁ〜!


わたしは多田本真美。
国語には自信があった小学6年生。
れっきとした私立彦宮学園初等部後期の児童会長です!


「おい、ふみ何点?」

みんなが秀才、ふーちゃんーーー杉田ふみちゃんに集まる。
大したことないように、ふーちゃんが掲げた解答用紙。
100点…!

「ふみすげえ!」

「さすが〜」

本当だよ。
わたしは76点。
イヤイヤ、イヤ〜!
となりの席の涼太くんーーー青山野涼太くんは96点。
…わたし、死にそう…。
こんなに低い点数で。
あっ、ちなみにだけど、ふーちゃんと涼太くんは付き合ってるよ。
中学校は、ふたりで東大附属へ。
すごいよねえ。

「はーい、終わりー!」

国語の先生が言い、学級委員長の七井さんが号令をかける。
もう家帰りたくない〜。


えっ、47点!?
85点か〜。
66点なんてある!?
74点!?
ヒョロヒョロとその場に崩れ落ちる。
こんなに点数低い…。

「真美」

コヨーーー俣野コヨに呼ばれて振り向く。コヨは、途中受験で入学してきたので、はっきり言って頭がいい。
90点代しか出してないんだ。

「わたし転校するから」

「えっ?」

突然のことだった。
コヨは制服を脱いで、ジャージに。
ハサミでチョキチョキ制服を切る。

「ちょっ、コヨ」

「さようなら」

荷物を持って、テストも置いて学園を出たコヨ…。
急に、何で?
ちぎれた制服を見て、わたしは涙でいっぱいになった。

456:瀬内 梨帆◆x.:2017/10/14(土) 13:35

トリップ変えました〜。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2.コヨの考え
実柚乃ちゃんーーー相川実柚乃ちゃんがボロボロの制服を拾った。
何か決心でもしたかのような顔をして、教室を出ていった。
美華ちゃんーーー彦宮美華ちゃんたちも呆然としている。

「わっ、わたし、追いかけてくる!」

上靴のままグラウンドに飛び出して、門を開ける。
コヨの家の方へ足を向けると、コン先輩が庭のお手入れをしている様子を思い浮かべた。
この前、コン先輩やってたし。

「真美ちゃん、ちょっと、上靴…」

おばあちゃんがとなりの家の人と立ち話している。
悪いけど無視して、コヨのところへ駆け出す。

「真美ちゃんっ?」

おばあちゃんの心配げな声も聞こえたけど、ごめんなさい!
コン先輩は、予想通り庭のお手入れをしていた。

「コヨ来ましたかっ?」

コン先輩はうなずいて、コヨを呼ぶ。
ガクガク震える足を押さえて、コヨと会った。

「どういうこと?」

「学校行って。推薦じゃ行けなくなるよっ!」

「いいってば」

コヨはうなだれていて、仕方なく話してくれた。

それは、やっぱりあの時。
明スイが勝負に勝った時、もう転校しようと思った。
真美が嫌いになったわけじゃないし、もちろん真美とは仲良しでいたい。
でも…!
もうここにいたくない。
コマナにはよくにらまれるから。
いいんだ。
露島くんとも解散したし。
わたしの居場所、ここじゃないし。

457:渚◆t/k:2017/10/14(土) 13:47

久々に、コメントしにきたよ!岬は、良く私の小説にコメントしてくれるけど、私はしてなくてごめんね!
やっぱり、岬が書く、『明スイ』は面白い!でも、やっぱり、気になるのは、最終回だよ!!もし、小説になって売ってたらその時は絶対に買う!
私最近、小説のネタが思い付かなくて、全然投稿できてないんだよ〜
あと、報告!短編小説に新しい小説作ったよ!ぜひ、見てくれると嬉しいな!
頑張ってね!


長文ごめん!

458:岬◆x.:2017/10/14(土) 13:52

名前↑ミスです!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3.恵梨華ちゃんついに…!
そんなこと考えないでよ。
わたしはそう思った。
コヨがいなくなったら寂しい!

「やめて。ここにいようよ」

「真美に決められる筋合いはない!」

コヨはそう言ったっきり、ドアを閉じて会ってくれなかった。
コン先輩は必死に謝ってくれたけど、わたしのせいなんだから。
学校に戻ると、クラスの子みんながわたしを取り囲んだ。

「コヨ何って?」

「そもそも会えた!?」

「俣野、退学届出したってよ〜」

落ち着いて、冷静に考えた。
どこまでを言うべきだろうって。
わたしは、みんなに笑顔を見せた。

「家庭の事情だって。仕方ないよ」

「なーんだ」「つまんねえっ!」「めちゃめちゃでかいことになるかと思った〜!」なんて。
思いっきりでかいことだけど。
テレビに取り上げられると思ったのだろうか。
それとも…!

「真美ちゃん、本当のこと教えて」

美華ちゃんたちに言われて、わたしたちは図書室へ移動した。
そして、コヨに言われたことをそのまま伝える。
今がお昼の時間で良かった。
先生にバレてないし。

「コヨ、そんなことがあったんだ」

「コマナちゃんの言い分は分からなくもないけど、コヨ頑張ってたよね」

ああ、美華ちゃんたちに話して良かった。
コヨのことをグズグズ言ってても仕方ないと言う美華ちゃんの言葉で、気分をちょっと変えた。
まだちょっと辛かったけど。

「そ〜いえば、家産まれた!恵梨華」

恵梨華ちゃん!
恵梨華ちゃんって言うのは、美華ちゃんの妹。
美華ちゃんが名付け親だって。
ちなみに、わたしにも妹と弟が出来るんだ。
眞理ちゃんと優眞くん。
恵梨華ちゃんと仲良くなれるといいよねっ!

「おめでとう!」

「恵梨華ちゃん見せてね〜!」

「眞理ちゃんとも遊んであげてね。まだまだだけど」

わたしが眞理ちゃんのことを話した瞬間、初香ちゃんが食いついてきた。
初香ちゃんーーー北山初香ちゃん。
お母さんが保育士さんなんだよね。
だから食いついてきたのかな。

「眞理ちゃん!?また見せて!」

お母さんの遺伝かな。
初香ちゃんの迫力に押されて、苦笑いでうなずいた。

459:岬◆x.:2017/10/14(土) 13:54

渚ちゃん、ありがとう!
えっと、失礼なんだけど、名前変えたよね?
元誰だっけ?
ごめん。
見てくれてありがとね!
最終回まで書けたらHAPPY!
良ければ最終回までよろしく♪

460:渚◆t/k:2017/10/14(土) 14:06

元レア、ルナだよ!!

461:岬◆x.:2017/10/14(土) 14:31

わざわざありがとう。
短編小説見たよ。
だから分かった。
コメントありがとね。
私も渚のにコメントしたよ。

462:渚◆t/k:2017/10/14(土) 14:34

>>461
ありがとう!
小説の邪魔しちゃってごめんね!
応援してる!新作も期待してるよ!

463:岬◆x.:2017/10/14(土) 14:39

いえいえ。
こちらこそ。
邪魔じゃないよ!
渚のコメントめちゃめちゃ嬉しい。
期待なんて…ありがとう!!!

464:岬◆x.:2017/10/14(土) 15:06

4.汚れたお守り
美華ちゃんのリムジンで家へ帰る時、わたしはショックを受けた。
リムジンの中からでも、しっかり見えたお守り。
コヨとオソロイで買ったお守り。
誤って落としたことは絶対ない。
コヨ自らの手で落としたんだ。
だって、絶対落とさないようにしたって言ってた。
コヨに届けようとして、コヨの家へ行ってみたけど、もう空き家だった。
本当に引っ越してしまったんだ。
と、お守りも置いて。
すごく悲しかった、けど。

「真美ちゃん、学校外に上靴で出て何があったんだい?」

おばあちゃんが聞いてきた。
そうだ、無視したんだ。
焦りつつも、本当のことを言う。
おばあちゃんはため息をつく。

「いいかい?コヨちゃんがどうか知らないけど、真美ちゃんが言えることは何もない。おばあちゃんがいろいろ真美ちゃんのために尽くしたことは何だったんだい!」

相当怒ってる。
身をすくめて反省した。
本当におばあちゃんの言う通りだ。
わたしは期末も全然ダメだった。
何もかも対策を考えたり支えてくれたりしたのはおばあちゃんなのに。

「ごめんなさい」

「別にいいよ。青山野に行く気がないってことが分かったよ」

おばあちゃんはココアを飲み、テレビを付けた。
わたしのココアを飲むと、冷たく感じてしまった。
もう無理だなって思った。
おばあちゃんが怒るのも分かる。

「本当に真美ちゃんは行く気がないんだね。止めないんだ」

「青山野行きたいです!お願いします行かせてください!」

おばあちゃんに頭を下げる。
青山野に行きたい。
行けば、きっとコヨと会える。
コヨ受験するよね?
会えなくてもいい。
わたしの夢を広げに。
涙を流しながらお願いした。

465:岬◆x.:2017/10/14(土) 16:30

5.クリスマスプレゼント
おばあちゃんはちょっと笑った。
そして、わたしの背中をさすった。

「真美ちゃんが行きたいって思ってることは知ってる。児童会長としても恥ずかしいだろう」

おばあちゃんの言うことって、全部本当だ。
言われたことで、ウソとか、ためにならないものってない。

「頑張りなさい。勉強、推薦だからっておこたらないで」

これも、必ず報われる。
わたしは涙を拭いて、階段を駆け上がる。
勉強、勉強、勉強!
部屋に入ると、CDをセットして、たまった英語のリスニングCDを入れた。

「真美ちゃん、ココア。温かいの入れ直したよ」

本当だ。
今までで一番温かいくらいかも。
ココアをズズッっと飲み、リスニングに集中する。
さっきのは何だったんだろう。

「頑張って」

おばあちゃんが残してくれた言葉。
必ず出来る。
わたしなら…きっと…!


その日の夜。
おばあちゃんとカレンダーを見ながら話していた。
今年もすぐ終わるなぁ。
明スイも、結構やって来たなぁ。

「そろそろクリスマスだけど、真美ちゃんは何を頼むんだい?」

「本当。そろそろだね」

わたしが今欲しいもの…。
ものっていうより、コヨと会いたい。
ちょっとでもいいから。
だけど無理だよね、そんなこと。

「分からない。何にしよう」

強いて言えばだけど…わたしは運動用具を思い浮かべた。
中学校で入りたい部活、バトミントン部。
初等部でやめてしまった悔い。
これを晴らしたいから!

「バトミントンのラケットかな」

持ってたけど、ボロボロなんだよね。
持ち手とか、恥ずかしいもん。
おばあちゃんは「了解」と言って、ご飯を食べた。
バトミントンのラケット。
これを持つことで、コートに立つことで…何か変わるかな。

「真美ちゃんはコートに立って闘ったことある?」

「ないんだ」

きっとね。
コートに立てるときがくるよ。

466:岬◆x.:2017/10/15(日) 10:00

6.明スイ始動決定
翌日、明スイの集合がかかった。
昼休みに中等部の学食へ向かった。
明スイっていうのは、明確スイーツ研究部の略し。
明確ゼミナールで立ち上げたスイーツを研究する集いなんだけど、わたしは明確ゼミをやめたんだよね。
メンバーは、隅木田くんーーー隅木田優斗くん。
矢本くんーーー拓斗くん。
坂宮ーーー坂宮陽都。
それにわたし。

「おい、真美」

後ろから来たのは坂宮。
わたしに「好き好き」って言ってたくせに、他の子と付き合ってるの。
本当にやになっちゃうよ。
飽きられるよ。
でも口に出さずに学食へ向かう。

「弁当?それとも、学食の?」

「学食で買うよ」

本当は初等部しか学食がなかったんだけど、生徒会長の隅木田くんの力で、中等部にも学食を作った。
すごいよね、本当。

「失礼します」

学食へ入ると、中等部のカッコいい先輩たちがご飯を食べていた。
隅木田くんと矢本くんも、椅子に座ってほおばっている。

「遅れてすみません。あの、買ってきていいですか?」

隅木田くんの許可を得て、坂宮と買いに行く。
初等部より多いメニューに驚いた。

「わたしは、和食セットにしようかな。坂宮は?」

「俺も真美と同じで」

和食セットを頼み、隅木田くんたちがいる椅子に座った。
明スイの書記担当のわたしは、ノートに書き込む。

「そろそろクリスマスだよね。クリスマスって、スイーツいっぱいでしょ?だから、活動しないかなって」

隅木田くんが言って、昨日おばあちゃんと話したことを思い出した。
確かに、毎年クリスマスはケーキを食べる。
クリスマスって、キリスト教の関連するイベントだよね。

「俺やりたい!」

坂宮が賛成する。
わたしもうなずいた。
矢本くんは元から納得していたらしく、クリスマスに明スイは活動することになった。

「じゃあさ、何をどうするか決めよ。パーティー2回目にする?それとも、明スイだけとか」

隅木田くんが言うのと同時に、ご飯が運ばれてきた。
中等部は運んでくれるんだ。
初等部は作るまで待つのに。

「ありがとうございます」

「明スイで集合?楽しそうね」

学食のおばさんが笑った。
隅木田くんが笑い返す。
…おばさんが行くと、また話を切り替えた。

「どうする?」

うーん、どっちでも楽しそうだけど。
頭をひねって考えた。

467:岬◆x.:2017/10/17(火) 18:51

7.会場は?
わたしは、例年のクリスマスの夜を思い浮かべた。
ひとりっこだったわたしは、ママとパパと食卓を囲んでチキンを食べていたな〜。
ママ手作りのピザだったり。
時には、パパ手作りのハヤシライスもあったり。
あれはちょっと不味かったな〜。
いろんな思い出が思い浮かぶ。

「わたし、家族のイベントだと思います。ですから、明スイのイベントでいいと思います」

隅木田くんに言うと、みんなに確認をとった。
坂宮が反対する。

「だからこそじゃん。他の楽しみ方もあるってこと」

そういうこと〜?
隅木田くんはわたしに賛成。
矢本くんは坂宮に賛成した。
ちょうど考えが真っ二つになる。
こういうとき、新メンバーとかいてほしいな〜。
奇数だと嬉しいから。

「おっ、木咲!」

「何、矢本。あなたたち明スイよね?わたし、木咲」

木咲先輩は中等部1年生のようで、梨歩佳さんの仲良しだそうだ。
よく矢本くんの家に来るとか。

「木咲は、クリスマスどうする?」

「何誘い〜?」

木咲先輩、違います、意見お願いします!
矢本くんが説明し、やっと理解してくれた。

「家族〜?やっぱり、姉帰ってくるしさ〜。いろいろあるんじゃない?」

やった、家族イベント!
あっさり木咲先輩は引き返して行って…決まり!

「決定〜」

468:岬◆x.:2017/10/17(火) 19:21

8.坂宮からの告白
急いで和食セットをかきこみ、初等部へ坂宮と戻る。
なぜか、秀花ちゃんのことを思い浮かべてしまった。
秀花ちゃんから切り出してきたことなんだから、坂宮に言ってもおかしくないよね。
言ってみようか。
息を吸う。

「あの…」

「真美、聞いて」

…かぶったぁっ!
ふたりとも目をそらす。
なんか、双子みたい。
眞理ちゃんと優眞くんもなるのかな?

「俺からいい?」

コクコクとうなずく。
坂宮は、良かったとでも言うように顔をほころばせた。

「何度も何度も言ったじゃん、真美に好きって。俺、まだずうっと好きだけどさ…」

言葉をにごらせる。
どうせ言うならはっきり言ってよ。
坂宮は、遠くを見つめるように言う。

「秀花と付き合い、始めて…さ…」

「別にはっきり言えば?それに、わたし関係ないし。好きにすればいいじゃん」

そうよ、そうよ。
わたしは、音も立てずに走った。

469:岬◆x.:2017/10/17(火) 20:53

9.最近のニュース
わたしはその夜、小説を書いた。
佐藤ななみちゃんの物語。
何度も何度も書き直しててね。
タイトルは『佐藤ななみ物語』に決定したの。
生涯を描くの。

「真美ちゃんお勉強?」

1日家に来たママが部屋を訪ねる。
あわてて勉強道具を出した。
ちょうどドアを開けた。

「推薦で行けるなんてすごいわね。だけど、気を抜かないでね。真美ちゃんなら大丈夫そうだけど」

わたしの勉強ノートを覗き込む。
ちょっとしか書いてなかったので、あわてて前のページに戻した。

「結構前からやってるの。見て」

たまったリスニングCDを見せる。
これ全部やったんだよね。
毎日5枚確実にやってるんだ。
ママは驚いた。

「すごいわね。さすが。お母さんにもお礼するのよ」

「うん」

おばあちゃんには、本当に感謝してるってば。
わたしのためを思ってくれてるもん。
ママもそうだったよね?


朝起きると、リビングのこたつにおばあちゃんとママがいた。

「おはよう」

トーストが準備されていて、となりに目玉焼きまである。
いつも少ない塩コショウのおばあちゃんとは違い、多めのママ。
この目玉焼きはママが作ったんだ。

「いっただっきまーす!」

トーストに一口かぶりつく。
あっ、この焼き加減といい、マーガリンの多さといい…ママ!

「最近、事件が多いねえ」

おばあちゃんが新聞を見ながらつぶやく。
確かに最近は、不倫や離婚、結婚、出産などのニュースは少ない。
交通事故や覚醒剤、もうイヤになるほど聞いているニュースだ。

「絶対使うんじゃないよ、真美ちゃんは」

わたしは大きくうなずいた。
使うわけがない。
利益ないもん。
そう思いながらトーストを食べた。

470:岬◆x.:2017/10/21(土) 17:52

10.登校は波乱の予感!
制服を整えて、家を出る。
坂宮とのことがあってからと言うものの、やっぱり秀花ちゃんとも顔を合わせられない。
合わせる顔、ないし。

「あっ、真美ちゃ〜ん」

実柚乃ちゃんが電車から降りてきて、駅から走ってきた。
ちょっと駅の方へ向かう、と。

「真美ちゃん」

しゅ、秀花ちゃん。
あわてて家の中へ駆け込む。
忘れ物とかしてないかなーなんて。
おばあちゃんとママにはヘンな目で見られるし、秀花ちゃんはいるし。

「ね〜えー!真〜美ーぃちゃあん!」

外で実柚乃ちゃん呼んでる…。
カーテンをちょっと開けて外を見てみると、秀花ちゃんはいなかった。
急に逃げて、弱いな、わたし。
それに…わたし最低。

「真美ちゃんいないのぉ〜?」

あっ、待ってるんだ。
ドアを開けると、家の中から見た通り、実柚乃ちゃんしかいなかった。

「ごめんね。ちょっといろいろあったんだよね」

「へ〜何?」

実柚乃ちゃんは興味津々というように身を乗り出してくる。
どこまで話していいのだろう。
プライバシーっていうか、そういうのあるよね…。
告白してきたこととか。

「言いにくいならいいや。早く行こ」

あっさり終わった…。
長々と聞いてくるかと思ったけど。
すると、実柚乃ちゃんはランドセルから本を出した。

「ねえ、見て見て。青山野に受かる対策問題集!これやってるの」

ちょっと借りて、中をペラペラめくってみる。
何から何まで書かれている。
予備で、入るといい塾、制服のデザインから部活動まで。

「実柚乃は、料理部入るよ〜」

さすが。
わたしはバトミントンを続けようかなと思ってるよ!
あっという間に学校に着いて、わたしはあることを思い出した。
美華ちゃんが迎えに来ると言うことに。

471:みゆ◆x.:2017/10/21(土) 21:22

名前変えました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
11.クラスでクリスマス会
学校で準備をしていると、美華ちゃんがいつも通りやって来た。
時間は遅いし、コヨはいないけど。
そのまま椅子に座り、準備を始めた。
あれっ?
何か言ってこないのかな。
わたしは、ちょっと考え込む。
もしかしたら、わたしから謝れってことかも。
いや、もしかしたら、絶交とか?
背中にスーッっと冷たい風が吹き込む。ヤバイ、ダメだ。

「美華ちゃんっ!」

「どうしたの、真美ちゃん」

相変わらず、普通。
見つめながら、朝あったことを素直に話した。
すると、美華ちゃんはたちまち爆笑し始めた。
わ、わたし、ヘンなこと言ったっ?
優佳ちゃんたちも来て、美華ちゃんに話を聞くと、優佳ちゃんたちまでもが爆笑。
ど、どうして?

「真美ちゃんウケる〜。別によくね?リムジンで行かなくても」

優佳ちゃん、キラキラ語だ!
キラキラ語っていうのは、よくね?みたいな、すごい言葉。
わたしは絶対使わない言葉!

「でも、わざわざ家来てくれたのに」

「そう思うなら、ちゃんと待ってて」

美華ちゃんは笑って吹き飛ばし、笑いながら準備に戻った。
案外、一番楽かも。
ここのグループ。
コヨがいたらもっと楽しくなるのに。
ひとり外を見ていると、なぜか寂しくなってきた。


翌日、その翌日と、普通に過ぎていく日々。
すると、あの日。
学級委員長の七井さんがクラスの前に出た。

「みんな〜。クリスマス会やらない?みんなバラバラになるから、パアッって楽しく!」

七井さんの言葉で、クラスは盛り上がった。
みんなグループで集まってワイワイガヤガヤ。
わたしも美華ちゃんたちとおしゃべりしていた。

「おい、七井やるじゃん」

最近多いよ、キラキラ語。
そう思いつつも、七井さんの話を聞いた。

472:みゆ◆x.:2017/10/21(土) 21:32

12.クリスマスプレゼント
七井さんの話と立候補により、クリスマス会は、陽茉理ちゃんの家の、自分の階の会場で。
12月24日にクリスマスプレゼントをひとつ持っていって、クジで当たった人からもらうらしい。

「わたしは、まあ13万くらいの腕時計でいいかしら」

美華ちゃん、高いよそれ!
優佳ちゃんたちも「ダメダメ」って言うけど、美華ちゃんは「そんな安いのないし」って。
はぁ〜。
お金持ちは違う…。

「実柚乃は何か作ろ〜」

「さっすが実柚乃ちゃん!」

「クジで実柚乃ちゃんが当たりますようにっ!」

みんなが実柚乃ちゃんを囲う。
わたしの作るクリスマスプレゼント誰のところ行くんだろ。
一応お裁縫のつもりだけど。
実柚乃ちゃんのところに行ったら、下手感増すな〜。

「穂乃香は何買うの?」

「まあ、適当に文房具セットで」

いやいや、適当じゃない。
文房具セット買う子多いと思うし。
わたしもそれ思ったし。

「真美ちゃんは?」

優佳ちゃんに聞かれて、「キャラクターのマスコットかな」と答える。
美華ちゃんは感嘆をもらす。
そんなにすごいことじゃないし!
絶対絶対、ぜぇ〜ったい。
美華ちゃんの方がすごいぃ〜!

473:RINA:2017/10/22(日) 01:24

モンブランさん私と友達になりませんか?

474:みゆ◆x.:2017/10/23(月) 12:14

もちろんいいですよ。
そんなこと言ってくださってとても嬉しいです。

475:みゆ◆x.:2017/10/27(金) 22:11

13.4人でお買い物!
その日、わたしたちは隣町のショッピングモールへ出掛けた。
学校が終わってから、すぐ荷物を持って、美華ちゃん家のリムジンで。

「まあ、わたしはここでプレゼント済ませようかしら」

美華ちゃんがつぶやき、優佳ちゃんが持っていたスマホを差し出した。
画面を覗き込む。
すると、ショッピングモールに売られているクリスマスプレゼントの一覧が出ていた。

「美華ちゃんこれ見て決めたら?」

穂乃香ちゃんも同じページを開いて、見せてくれる。
今回、保護者として、運転手さんとおばあちゃんが来てくれる。

「見て見て!これ可愛くない!?」

わたしが指差した文房具セット。
鉛筆、消しゴム、メモ張、ペン、小さな鉛筆削りのセット。
しかも、値段は560円。
めちゃめちゃ安いじゃん!
わたしのお小遣いでもよく買える!

「真美ちゃんがこれ選ぶとするじゃんか〜。男の子がもらったら?」

「それは…誰かもそういうことあるかもだし、交換?」

「それはそれで面白いかもね」

なんて話を交わしていると。
リムジンが停まり、美華ちゃんが指示を出す。
一度来たことがあるここ。
晴奈ちゃんと来たんだよね。
ああ、楽しみっ!

「じゃあ行きましょう」

美華ちゃんは、ワンピースのすそを翻して、クリスマスプレゼントルームへ足を向ける。
止まることなくズンズン歩いて行く。
調べてくれたのかな?
トウナちゃんたちが調べてくれたみたいに。

476:みゆ◆x.:2017/10/28(土) 13:53

14.マーフィーの文房具セット
ここがクリスマスプレゼントルーム。
彩り鮮やかなラッピングを手に、スキップする保育園児。

「ここから選びましょう」

美華ちゃんが品を手に取る。
よーし、わたしも、スマホに載ってた文房具セットを探すぞ〜。
近くに、男の子でも女の子でも使えそうなのあるかもだし。

「真美ちゃん待って待って」

おばあちゃんも一緒に探す。
なかなか見つからないな〜。
穂乃香ちゃんが、探していた文房具セットを見つけてくれた。

「ありがとう、穂乃香ちゃん!」

探していたキャラクターのセットを見つけて、手に取る。
これは確実に女の子だもんな〜。
わたしは、男の子でも使えるデザインのセットを見た。

「どれか、真美ちゃん用に買ってあげようか?」

「うんん、いい」

おばあちゃんにはラケットもらうんだけど、サンタさんからは何もらおう。
シューズにしようかな。

「これはどうだい?」

おばあちゃんが手に取ったセット。
それは、最近人気のマーフィーの文房具セット。
女の子はもちろん、わたしも使いたいくらいのデザイン。
それに、男の子でも使える、女の子過ぎないデザイン。

「これにする!値段は…680円」

サイフから700円を取り出す。
先に会計を済ませて、美華ちゃんたちのところへ向かった。

477:みゆ◆x.:2017/10/28(土) 14:04

15.突然スプレー事件!
それぞれ、わたしはマーフィーの文房具セットを。
美華ちゃんは中学校でも使えるトートバッグを。
優佳ちゃんは腕時計を。
穂乃香ちゃんは髪の毛のアレンジセットを買ったみたい。

「じゃあね、美華ちゃんありがとう」

順番に、穂乃香ちゃん、優佳ちゃん、わたしの順番で降りていく。
家に着くと、おばあちゃんはリムジンを見つめた。

「真美ちゃんの友達にあんな子がいたなんて知らなかったわ」

話したことなかったもんね。
今日はいろいろあったしということで、外食にした。
久しぶりにお寿司も食べたかったし。

「ごめんね。おばあちゃんとふたりきりのお寿司で」

「うんん。嬉しい」

こんな時だけだった。
わたしが嬉しいだなんて言えるときなんて。


学校に行くと、美華ちゃんたちも、もちろんわたしもビックリした。
まだ誰も来ていないはずの校舎。
警備員が警備したはずの校内。
なのに…。

「多田本真美、青山野学園の校長に断られた…ですって!?」

初等部の壁いっぱいにスプレーで書かれている言葉。
わたし、断られてないし!

「真美ちゃんガチ?」

「うんん、知らないよ、違う違う!」

何で…一体、どうして…。

478:みゆ◆x.:2017/11/02(木) 16:48

16.犯人は
みんなが登校してきて、人だかりが出来るようになった。
そんな中で、クスクス笑う子たち。
そちらを見ると、秀花ちゃんグループがいた。

「ちょっと、こっち見られた!あっち行って、あっち」

秀花ちゃんのグループのひとりが声を張り上げ、逃げていく。
そんな様子を、美華ちゃんはしっかり見ていた。

「真美ちゃんは児童会長だからとかじゃない。めっちゃ頑張ってたし!」

美華ちゃん…。
ほっこりした気持ちで見ていると、美華ちゃんは指差して叫んだ。

「優佳と穂乃香、捕まえてここまで」

足の速い穂乃香ちゃんは、ひとりで秀花ちゃんたちを追い掛ける。
優佳ちゃんもそれに続いた。
ムスッっとした顔の美華ちゃんに、とても嬉しかった。

「真美ちゃんがかわいそう。意味わかんねえ。どうせアイツらだよ」

穂乃香ちゃんが秀花ちゃんと、ふたりの女の子を。
優佳ちゃんがひとりの女の子を連れてきた。

「ちょっとこっち来い」

美華ちゃんに呼ばれて、秀花ちゃんグループはたたずんだ。
思いっきり美華ちゃんはみんなをにらみつけると、声を張り上げた。

「これやったのお前らだろ!」

「…」

秀花ちゃん、わたしと楽しく話す仲良しの友達だと思ってたのに。
どうしてわたしの友達は…。

「答えろよ!」

辺りはざわめきを消し、こちらを注目している。
美華ちゃんに呼び出されるのはすごく大きいもんね。
だって校長先生の孫だし。
わたしも、自分が怒られているかのように聞いていた。

479:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 20:21

17.トドメの一言
すると、一番初めに秀花ちゃんがゆっくり前に出た。
美華ちゃんをはっきりにらむ。

「よく分かったね。わたしたちがやらせてもらった」

「何のために?」

「もちろん嫌がらせのため」

秀花ちゃんが、わたしに嫌がらせ…?
ウソでしょ。
一緒に児童会活動したじゃん。

「だって、わたしの方が優秀だし、児童会も入ってるし。涼太の幼なじみだよ!?なのに何で」

美華ちゃんは、鋭い目でにらみ、吐き捨てた。

「そんなことやってるから推薦されないんだよ。真美ちゃんに謝り、反省文5枚をわたしと校長、真美ちゃんに提出し、グループみんなで弁償することが償い」

美華ちゃんの後を、悲しい目をしたわたしたち3人は付いていく。
どうしてわたしの仲良しはこんなに離れていってしまうの…?

「大丈夫よ、真美ちゃん。アイツらもやらざるをえないから。校長に伝えてくるから、後はよろしく」

美華ちゃんは校長室へ向かい、わたしたちは教室へ向かった。
だけど、関係者として。
児童会長として。

「優佳ちゃんたち先行ってて」

わたしは、トイレのバケツに水をたっぷりため、廊下へ出た。
学校のスプレー、水で落とせるんだよね〜。
手荒い場のスポンジとぞうきんを使って、スプレーを消す。
これでも、ちょっとは汚れてる。
これをしっかり弁償するんだ、秀花ちゃんたちは。

「真美ちゃん。わたしもやる。黙って見てられないし」

優佳ちゃんと穂乃香ちゃんが来て、一緒に壁とスプレーと立ち向かう。
近くで、秀花ちゃんグループがいた。
腕を組んで。

「まだ真美ちゃんに用があるわけ?」

優佳ちゃんが一歩前に出る。
わたしと穂乃香ちゃんも壁と立ち向かうのを一旦やめる。

「早く帰りな。あなたたちに用はないから」

穂乃香ちゃんの一言で、去っていった秀花ちゃんグループ。
はぁ〜。
わたしは、冷たくて痛い手でほっぺたを叩いた。

480:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 20:32

18.秀花ちゃんに下された処分
校長先生や前田先生、それから小林先生や家族にまで知り渡ってしまった秀花ちゃんグループ。

「アイツらが悪いんだから」

校長先生は大きなダメージを受けたらしく、一番にやり、計画した人を、退学処分に下した。
残念ながら秀花ちゃん。

「やめてあげてください!きっと…秀花ちゃんはそんなことしません!」

わたしは必死で校長先生に言ったけど、秀花ちゃんの生徒手帳、生徒書類をゴミ箱に捨てた。
彦宮学園から秀花ちゃんの名前が消えていった。

「いいのよ秀花は。青山野も終わり。あんなことする人じゃないと思ってたのに、最悪」

ふーちゃんは、泣きながら秀花ちゃんが彦宮学園を出ていくのを見ていた。
門を抜け、ひとりで出ていく姿を。

「ごめんなさい。まーちゃん」

ふーちゃんがお母さんみたいに謝る。
秀花ちゃんは悪くない。
だれも…。

「気にすることないわ。それでみんないいんだし」

そうかなぁ。
ふーちゃんはまだ泣き止まず、今日1日中ずっと泣いていた。
涼太くんや実柚乃ちゃんが声をかけても、どうにもならない。

「わたしも、本当は退学寸前だった。気持ちは分からなくもないかも」

「アイツのことなんていいじゃん」

美華ちゃんは苦笑しながらつぶやいた。

481:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 20:47

19.よいお年を!
今日は終業式。
みんなと今年会うのも終わり。

「では皆さん、よいお年を!」

前田先生が笑顔で言い、わたしたちは帰った。
よいお年を、かぁ。
明後日はいよいよ明スイパーティー。
楽しみだなあ、冬休み。
宿題はもちろん多いけど。

「じゃあ真美ちゃん、よいお年を!」

実柚乃ちゃんはスキップしながら先に階段を駆け降りる。
わたしは美華ちゃんたちと階段をゆっくり降りた。

「クリスマスは何をもらうの?」

穂乃香ちゃんがつぶやき、わたしたちは一瞬でクリスマスムード。
やっぱり冬休みと言えばクリスマス!
それから〜お正月。
お年玉に初詣!

「わたしはバトミントンとラケット。中学校でも続けたいの」

「わたしは、海外旅行券を」

えええっ!?
美華ちゃんのクリスマスプレゼントは海外旅行券!?
わたしは絶対無理だ。
優佳ちゃんは、黄色の腕時計。
穂乃香ちゃんは、アクセサリーをもらうらしい。

「ラケットいいね。カッコいい」

「いやいや!美華ちゃんのクリスマスプレゼントがすごいよ」

海外旅行券なんて、絶対いらない。
もらうほど欲ないから、まずもらわないし。
もらったとしても、どうしたらいいのか分からないし!

「今日リムジンないって言ったよね」

ああ、そうだった。
そのまま久しぶりに門を通り、交差点へ向かい、そこから駅の方へ行く。

「そろそろだね。バイバイ」

穂乃香ちゃんが別の方向へ帰り、3人だけになった。
すぐ、交差点になり、わたしもひとりで帰る。
終業式が終わり、冬休みになる期待でいっぱいだった。


明スイパーティーの準備は今日。
昨日の終業式から解き放たれ、わたしはパーティーの準備を始めた。
わたしの役割は買い出し。
スイーツの材料を買うんだって。
おばあちゃんとスーパーへ行き、材料をカゴに入れていく。

「真美ちゃんお母さんみたいだねえ」

「うんん、おばあちゃんの買い出しの手伝いみたいだよ」

わたしは、またポンポンと材料をカゴに入れていった。

482:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 21:05

20.メリークリスマス!
クリスマス!
陽茉理ちゃんの家でパーティー。
今日はパーティーが二回も。
しかも、ここで。

「まずは、やっぱりプレゼント交換しない?」

七井さんが言い、みんなが一層盛り上がる。
実柚乃ちゃんのプレゼントがほしい!
きっとすごいのだし!
手作り〜。

「真美ちゃんの文房具セットほしい!実柚乃、そのキャラクター好きなの」

良ければ交換〜。
七井さんは、「適当に座って」と指示を出す。
椅子に座り、音楽に合わせてプレゼントを横へ横へ回していく。

「止めっ!」

七井さんが声を張り上げる。
わたしの前にあるプレゼント。
『あなたへ捧げる歌by陽茉理』
陽茉理ちゃんからだ!
歌詞が書いてある。

「ねえねえ陽茉理ちゃん!」

もらった歌詞集を掲げ、見せる。
陽茉理ちゃんはにっこり。
しっかり握られている。
わたしの文房具セット…!

「わたしと陽茉理ちゃんのプレゼント交換だね」

陽茉理ちゃんも大きくうなずく。
ちなみに実柚乃ちゃんのプレゼントは穂乃香ちゃんのところへ。
美華ちゃんのプレゼントは涼太くんのところへいった。

「交換が終わりました。陽茉理ちゃんの家の方々が料理を作ってくれたので、食べましょう!」

ここで昼ごはんを食べて解散。
解散したら、すぐ矢本くんの階へ。
矢本家の人みたい。
幸せだろうなあ、お金持ち。
わたしも幸せだけど。

「お〜い、真美ちゃん。陽茉理ちゃんに感謝してごちそう食べよ!」

美華ちゃんがニッっと笑いながら、チキンにかぶりつく。
優佳ちゃんや穂乃香ちゃんも同じようにかぶりつく。
えーい、わたしもっ!

「真美ちゃんいけいけ!」

穂乃香ちゃんが言い、取り皿にチキンをのせ、かぶりつく。
とっても豪快に。
あ〜、美味しい!

「ありがとう陽茉理ちゃん!」

陽茉理ちゃんはにっこり笑い、陽茉理ちゃんもチキンをかぶりついていた。
チキン人気かな。

「楽しいね、クリスマス会!」

「うん!」

わたしは、また一口。
また一口と、チキンをかぶりついていった。


明スイの気持ちに切り替える。
ここは矢本くんの階。
まだみんな来ていないので、陽茉理ちゃんと話ながら待っていた。

「本当にありがとう。すごく美味しかった!」

「嬉しいわ。お母さんも喜ぶ」

矢本くんもとなりで聞きながら喜んでいた。
陽茉理ちゃんの歌詞もすごかったし。
この時、本当の笑みがこぼれた。

483:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 21:11

21.明スイパーティー!
かき混ぜたり、焼いたり。
初めての明スイ活動より絶対に手早くなってきてる!
そう思いつつ、オーブンからクリスマスケーキを取り出す。
わたしがひとりで作ったの。
チョコレートプレートには『メリークリスマス』と書かれている。

「真美ちゃん上手いね!さすが」

隅木田くんが、わたしのケーキをほめてくれた。
嬉しい…。
最後にイチゴを飾り、冷蔵庫へ。
冷やすんだ。
ここからは、隅木田くんの手伝い。
マカロン再挑戦か…。
この前のも美味しかったけど。

「きれいですね、このマカロン」

すごく形の整ったマカロン。
お店に出せそうだよ!
隅木田くんはにっこり。
今日は笑顔あふれる日だね。


「いっただっきまーす!」

出来上がったスイーツを、明スイメンバーみんなで食べる。
やっぱり美味しい!
マカロンもケーキも。
他のスイーツももちろん。

「今度はさ、お店に出品してみたいよね」

隅木田くんがつぶやき、共感。
思ったもん。
これなら出せるって。
きっとわたしたちの団結力なら!
きっとわたしたちなら!
わたしたちを信じて、みんなでうなずいた。

484:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 21:18

22.最後のパーティー
翌日の夜。
今日は家のパーティーだ。
ついに明日の25日、サンタさんがクリスマスプレゼントーーーバトミントンのラケットを…!

「真美ちゃん寒いね…」

今度はスーパーに今日の買い出し。
もちろんおばあちゃんに着いていってみた。
チキンを探して。
陽茉理ちゃん家のチキンは高級だから無理だけど。
きっと売ってるよね。

「真美ちゃん、あれ」

おばあちゃんが指差したそれ。
チキン!
おばあちゃんはチキンを手に取り、そっとカゴに入れた。

「いいのっ?」

レジでひとつだけ高いチキン。
きっと美味しいはず!


「メリーメリーメリー…クリスマス」

おばあちゃんとふたりのクリスマス。
チキンを、思いっきりかぶりつく。
陽茉理ちゃん家で食べた時と、もちろん迫力は変えない。

「すごい食べっぷりね真美ちゃん」

おばあちゃんをうならすほどの食べっぷりのわたし。
今年、ほぼ最後。
いろんなことがあったな〜。

「美味しいかい?」

「もちろん!」

わたしは、いろんな意味でうなずいた。

             (つづく)

485:みゆ◆x.:2017/11/07(火) 21:22

あとがき
               みゆ

こんばんは!
皆さん、『ここは明確スイーツ研究部!』略して明スイいかがですか?
もう14巻。
感謝です!

今回はあまり雑談ありません!
話すと長くなってしまう。
ちょっとした恋愛感ありますから。
良ければ日記板『えみりん』へ。

ではでは。
次回予告といきますか。
次回はやっと新年!
コヨとの再会、坂宮の失恋。
だんだんみんなも受験必死です!

ここまで読んでくださったあなた!
コメントしてください。
本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
では次回会いましょう!

486:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 19:43

『ここは明確スイーツ研究部!15』

人物紹介

多田本 真美
私立彦宮学園の児童会長。私立青山野学園へ推薦で入学が決定している。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

487:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 19:53

1.明けましておめでとう!
みんな、あいさつ。
新しい年を迎えました。
わたしは多田本真美。
さて!
新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!


年越しそばを食べた夜。
今は朝。
元旦の。

「明けましておめでとう!真由ちゃん」

ピヨピヨッっと返事をするのは、真由ちゃん。
わたしが飼ってる?鳥なの。
一階に降りると、おばあちゃんがおせちを作っていた。

「おはよう、真美ちゃん。お雑煮を食べたら、初詣に行こう。」

家には、久しぶりにいるパパ。
それからおばあちゃんにわたし。
ママはいないんだ。
どうしてかって?
入院してるからだよ。
妊娠してるんだ、双子の子を。
だからおばあちゃん!

「お雑煮早く食べたいなっ。おもち、おもち」

テレビを付けると、やはり元旦スペシャルがやっていた。
芸能人の人たちによるサバイバル。
歌コンテストなどなど…。

「も〜しも〜し。緑川で〜す」

緑川ーーー晴奈ちゃん家だ!
晴奈ちゃんとは、わたしの幼なじみ。
家はちょっと遠いけど、ずーっと仲良しなんだっ!

「はいっ!」

ドアを元気よく開けると、ピッシリ着物を着た晴奈ちゃんと晴奈ちゃんのお母さん。
初詣に行くのかな?

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくね。受験でバラバラになるけど」

晴奈ちゃんのお母さんが言う。
出てきたおばあちゃんもあいさつ。
は〜っ!
新年、だぁーーーーっ!

488:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 20:04

2.初詣でのお願い事
暖かいセーターを着て、わたしとパパとおばあちゃんで初詣に向かう。
パパの運転で、有名な神社へ行くらしい。
どこなんだろう。
ワクワク。
別名最強神社だって。
何が最強か分からないけど。

「真美は何をお願いするんだ?」

「教えな〜い。教えると、ご利益がないんだって。そんなのヤダもん」

ちょっとムスッっとした顔をして見せる。
おばあちゃんが顔を見て笑った。

「ひどい顔だよ。真美ちゃんのカワイイ顔が台無しじゃないか」

カワイイって…!
思ってないでしょおばあちゃん。
おばあちゃんを見ると、ちょっとニヤニヤ…。
ちょっとっ!

「着いたぞー。降りてー」

パパが車を停め、降りる。
なっ、何という立派な神社!
さっ…さすが最強神社。

「お守り買うでしょ?真美ちゃんたくさん持ってるけど」

秋の遠足で大量買いしたもんな〜。
実柚乃ちゃんと。
実柚乃ちゃんとは、家庭科が得意なカワイイ女の子。
仲良しなんだ〜。

「買いたいけど、いい?」

おばあちゃんはにっこり。
あっ、ありがと〜う!
わたしは感謝しつつ、お参りの参列に並んだ。
すごい並んでる。


 パンパンパン!
柏手を打つ音が響く。
お賽銭を入れて、お願い事!
ええっと…。
美華ちゃんたちと一緒にいられますように。
秀花ちゃんたちと仲直りできますように。
気持ちよく卒業できますように。
中学校楽しめますようにっ!
多かった、かな?

「真美ちゃん、こっちこっち」

おばあちゃんに手を引かれる。
神様お願いしま〜す。
わたしはケムリを浴びるところへ来て、たっぷり浴びておく。
そして、お守りの列に並んだ。

489:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 20:16

3.思わぬ再会
売られているお守りを見回す。
ピンク、カワイイな〜。
今年のお守りはピンクにしよっと。
色を決めて見ていく。
なかなかカワイイデザインばかりで決められない。

「恋愛、学問、交通安全…」

やっぱり学問かなぁ。
中学校へ進学する年だし。
学問のピンクのお守りを差し出し、おばあちゃんにお金を払ってもらう。
お守りを大事にポケットにしまうと。

「ちょっと待って」

おばあちゃんを止めて、目をこらす。
ちょっと汚れたお守りを付けた女の子が歩いていた。
そのお守りは、わたしがコヨにプレゼントしたのと全く同じ。
汚れてた部分も同じかもっ!

「コヨっ…か、カズエちゃん!」

コヨの本名、カズエちゃんと呼ぶと、振り返った女の子。
間違いない。
カズエちゃんだ。
コヨだ。

「真美だよ、カズエちゃん!」

カズエちゃんはこちらへ歩いてくる。
となりには、友達らしき子も。
友達出来てるじゃん。
充実してるみたいで。

「真美…」

「カズエちゃん、お守り付けてくれてたんだね。ありがとう」

「本名覚えててくれてありがとう」

すると、となりの友達がカズエちゃんに話しかけた。
カズエちゃんって呼んでない。
イネコと呼んでいる。
また異名かな。

「カズエって何?本名って?」

「うんん、カズエって名前で劇やってさ。カズエのことみんなカズって呼んでたから、本名覚えててくれたって」

言い訳ダメじゃん。
ちょっと笑いを堪えつつ、話を聞く。
イネコって名前なんだ。

「新しい家庭に引き取られたの。前の人たちには捨てられた…。コウスケとふたりで。コンは違うけど」

捨てられた…。
カズエちゃんは普通に言う。
そんな軽いことじゃないのに。

「わたしの名前は高橋イネコ」

「イネコ…」

カズエちゃんはきびすを返す。
友達と来た道を戻った。
カズエちゃん…わたしは悲しい気持ちでいっぱいだった。
だって、捨てられたなんて…。

490:かわた◆gY:2017/11/11(土) 20:18

みゆさんの小説面白い。
後、このスレ覚えてる?
http://ha10.net/yy/1509096222.html

491:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 20:31

4.おみくじの結果は?
おばあちゃんに今あったことを伝えると、すごくビックリしていた。
やっぱり。
イネコのことまで全部。

「カズエちゃんと会ってきたのかい」

おばあちゃんはにっこり。
もう、泣きたい。
どうしてカズエちゃんは…。
わたしたちと同じようにしていくことは出来ないの…?

「大丈夫。カズエちゃんは楽しそうだったんだろう?」

わたしはコクンとうなずく。
おばあちゃんはまたしてもにこにこ笑い、おみくじの所へ向かう。
パパはもういるみたい。
おみくじの所へ行くと、すぐパパを見つけた。

「パパっ」

パパの所へ駆け寄る。
100円でおみくじ一回ね。
おばあちゃんに100円をもらい、みんな一斉におみくじを開く。
数字を出し、引き出しを開ける。
何だろう、何だろう。

「いっせ〜の〜でっ!」

わたしの掛け声で3人がおみくじを開く。
うーん、吉か〜。
パパもおばあちゃんも吉。
面白くないな〜。
災いがたびたび降りかかってくる…。
ウソーッ!
何でなの〜!?
運悪いのかも…。
学問、学問っ!

「成績はアップやダウンの差が人生最大ですって!?」

あわわわわ。
思わず大きな声を…。
あわてて口を塞ぐ。
でっ、でもでも!
人生や未来はわたしが創るもの。
だから…大丈夫。
わたしは、スーッっと息を吸い込んで拳を固めた。

492:みゆ◆x.:2017/11/11(土) 20:33

かわたさんありがとうございます!
あと、覚えてますよ。
コメントしてなくてすみません。

493:みゆ◆x.:2017/11/17(金) 22:07

5.年賀状
初詣から帰ってくると、早速パパからお年玉。
そして、おばあちゃんからお年玉。
ばあばとじいじの喫茶店に行ったら、またお年玉もらえるっ!
ウキウキしつつも、一応受ける面接にドキドキする。
青山野学園の面接なんだけど、推薦だけど受けるんだって。
それが、来週。
今ドキドキしてどうする!
 ピンポーン

「はーい」

おばあちゃんが出る。
お正月って大変。
いろんな人がごあいさつに来るし、おせち料理もあるもん。

「彦宮さんよ〜」

美華ちゃんっ!?
急いで一階へ降り、玄関へ出る。
マフラーをグルグル巻きにした美華ちゃんと運転手さんがいた。

「こんにちは、美華ちゃん。明けましておめでとう!」

「おめでとう、真美ちゃん」

美華ちゃんは、手作りのオソロイマフラーをプレゼントしてくれた。
わたし、作ってないよっ!
だけど、これからもよろしくって意味のプレゼントだって。
マフラーを配ってるとか。
あ、グループの子にね。

「じゃあ、これからもよろしくね、美華ちゃん!」

「もちろん」

美華ちゃんと少し会話を交わし、美華ちゃんはリムジンで交差点の方へ走っていった。
…!
その時、わたしは気付いた。
年賀状のことを。

「おばあちゃーんっ!年賀状!」

ポストの中には、大量の年賀状が。
おばあちゃんの年賀状はないけど。
パパとママとわたしの年賀状の束を持って家に入る。

「真美ちゃん宛にたくさん届いて良かったねえ」

「うんっ!」

晴奈ちゃん、ふーちゃん、坂宮、隅木田くん、矢本くん兄弟、実柚乃ちゃん姉妹、ファンと思われる知らない名前の子たちに…。
前田先生!
涼太くんと樹くんからも届いてる!

「すごくいっぱい!」

わたしは、みんなの一言一言をゆっくり読んだ。

494:みゆ◆x.:2017/11/17(金) 22:19

6.おせちと最後の始業式
その日の夜。
ばあばとじいじにもらったお年玉も含めて、たまったお年玉を見た。
今年はあんまりお金使うつもりはないし、やっていける!

「さあ真美ちゃん、た〜んと食べて。明日からおばあちゃんは家に帰るんだから、当分食べられないのよ?」

そうだ!
おせちのお重に詰めてある美味しそうな卵をお皿によそう。
豆も調理されてて美味しそう!

「いっただっきま〜す!」

卵にかぶりつき、黄身が口の中でとろけていく。
ほ、ほひひい…。
パパのお皿に盛ってあるエビ、わたしも食べたああい!

「食べっぷりが最高ねえ」

おばあちゃんが嬉しそうにわたしの食べっぷりを見る。
あ〜、今年もいい日に、なりますように。


今日は始業式。
ピッチリ制服を着こなす。
これが最後の始業式。
もう、終業式って終わったんだ。
と思うと、胸がムズムズする。

「真美ちゃん!実柚乃の年賀状どうだった?」

実柚乃ちゃんの年賀状ーーーそれは、今年の戌年で、戌のスタンプが押されており、イラストも描いてあった。

「スタンプね、実柚乃が彫ったの!すごくない?」

「めっちゃかわいかった!」

実柚乃ちゃんは誇らしげに鼻をすする。わたしも来年は、あんな感じに、しようかなあ。

495:相原梨子◆x.:2017/12/11(月) 18:41

名前変えました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
7.スイーツフェスティバル
家に帰ると、すぐ実柚可さんが訪ねてきた。
実柚可さんーーー実柚乃ちゃんのお姉さん兼お母さん。
もう、実柚乃ちゃんはお母さんが亡くなっていて、実柚可さんが、お姉さんもお母さんも代わってやっているんだって。

「ごめんね、真美ちゃん。これ見てもらえる?」

実柚可さんは、一枚のパンフレットを差し出してくる。
受け取り、内容を見てみた。
『スイーツフェスティバル』。

「実柚乃から聞いたけど、真美ちゃん明スイメンバーなんだってね。これ、出てみない!?」

実柚可さんの話に寄ると、このスイーツフェスティバルは、実柚可さんが企画して立ち上げているそうだ。
今のところ、出店がないみたい。

「明スイが来てくれたら、盛り上がると思うんだ!アイドルも呼ぶ予定なんだけど!」

「行きます行きます!出店してみたいです!」

実柚可さんはニッっと笑って、パンフレットをくれた。

「お願いしに来て、こんなことさせるのはあんまりなんだけど、パンフレットに従って、出店届書いてね。じゃあ楽しみにしてまーすっ!」

実柚可さんは、ドアをバタンと閉めて帰っていった。
しゅっ、しゅっ、出店ーっ!
あわてて隅木田くんに電話する。

「もしもし。多田本ですけどっ!」

「真美ちゃん?どうしたの?」

わたしは、実柚可さんに言われたことを全て話した。
隅木田くんは、楽しそうに聞いてくれる。

「ありがとう。真美ちゃん。ぜひ参加しようよ。じゃあ、明日矢本の家で」

約束をして、電話を切る。
彦宮祭で出店してから久しぶり!
あ〜、楽しみっ!

496:相原梨子◆x.:2017/12/11(月) 19:31

8.坂宮とふたりで
翌日の午後。
約束通り矢本くんの家へ自転車を走らせる。
ダウンの下はセーターと、暖かい格好をしているはずなのに寒い。
何でこんなに寒いの〜?

「あっ、真美」

後ろから坂宮が自転車に乗ってくる。
ここからは、ふたりで行くことにした。坂宮と付き合っていた秀花ちゃん。
会ってるのかな?

「俺さ、また真美好きになった。秀花が退学になって、別れたから」

「秀花ちゃん、公立行ったんだよね。何か、わたし悪いことした気がする」

坂宮は自転車から降りて、手で押しながらニカッっと笑った。

「秀花が悪いんだから、真美は気にするなよ。真美は悪くない」

そうかな…。
一番、坂宮が秀花ちゃんの近くにいて、その坂宮が言うんだから。
きっとそれでいいよね。

「おい、着いたぞ。どこ行く気だ」

わぁっ。
もう着いてた。
あわてて自転車から降りる。
本館を通りすぎ、別館へ向かう。
こっちが、矢本家のたくさんいる子供たちのプライベートルームみたい。
 ピンポーン
坂宮がドアフォンを押す。

「俺の階来て。あれ?多田本と坂宮ふたり!?付き合ってるの〜?」

「付き合ってない、付き合ってない」

わたしはすぐ否定した。
とりあえず、坂宮と矢本くんの階へ向かった。

「真美、否定するの早すぎ」

「だってそうでしょ?…もう。わたし先行くから」

矢本くんの家のスリッパをパタパタさせながら矢本くんの階へ足を傾ける。
いつも行く、一番奥のキッチンへ行くと、もうふたりともいた。

「遅れてすみませんでした。あの、スイーツフェスティバルのパンフレット印刷してきました」

隅木田くんと矢本くんに、それぞれパンフレットを差し出す。
坂宮が来ると、わたしは詳しくスイーツフェスティバルについて説明した。
日時は再来週。
それまでに準備するんだ。
まだまだ時間あるから大丈夫!

497:相原梨子◆x.:2017/12/24(日) 16:45

9.メニューは?
それから、早速何のスイーツを作るのか決めた。
案はみっつ。
まずは、マカロン。
スイーツと言えば女の子。
女の子と言えばカワイイもの好き。
カワイイスイーツと言えばマカロン。
次に、プリン。
これは、お手伝いに来てくれた矢本くんの妹、梨萌佳さんの言ってたことなんだけど、味のアレンジが簡単なんだそうだ。
最後に、きなこもち。
正月を迎えて、新年はおもちというワードが出てきて、きなこもち。

「やっぱり、プリンじゃない?いろんな味が楽しめるの」

梨萌佳さんがクックパッドを調べながらつぶやいた。
わたしたち明スイは、出来るだけオリジナルのスイーツ作りを試みている。
なので、今までもあまりクックパッドを見なかったのだ。

「おい、梨萌佳。お前の発言権利、ないから」

矢本くんが冷たい目で見る。
梨萌佳さんはちょっと不貞腐れたけど、クックパッドを閉じて椅子に持たれかかった。

「すみませんでしたー。まあ、もしプリンにするんだったら、案があるから呼びに来てね!」

そう言い残して、矢本くんの部屋を出ていく。
一瞬沈黙が流れる。
すると、隅木田くんが手を打った。

「全部合わせるって方法でやってきたけど、マカロンにプリンにきなこもち。これらを合わせるって出来る?」

ここは何でもお任せ!
矢本くんの妹のひとりであり、梨萌佳さんの双子、梨歩佳さんに頼る。
梨萌佳さんもスイーツ作りは得意。
だけど、梨歩佳さんは特別。
すごい腕の持ち主だ。

「呼んだ〜?あ、真美ちゃん、あけおめ〜」

梨歩佳さんは、ハイテンションなのを押さえきれずにハグしてくる。
矢本くんが無理矢理引き離した。

「うっとうしい。多田本に嫌われるぞ。明スイのことで相談」

別に、嫌わないけど。
そんなことを言う合間もなく、わたしが記録していたノートを見た。

「こんなの簡単、簡単。パフェ状にしてしまえばいいのよ」

パフェ?
わたしの質問に答えるように、梨歩佳さんはノートのページをめくり、シャーペンを走らせた。

「まず、プリンを下に引くように。それの上から、きなこもちとマカロン。生クリームなんかでデコしたら?」

おお〜。
さすが梨歩佳さん!

「ありがとうございます!」

ペコリとお辞儀する。
すると、梨歩佳さんは耳元でそっとささやいた。

「本当に礼儀正しくていい子だよね。いつでも家に着いていいよ」

「どういうことですか?」

聞いたけど、それっきり何も答えてくれなかった。
梨歩佳さんは矢本くんの部屋を出ていく。
ちょっと、意味教えてくださ〜い!

498:相原梨子◆x.:2017/12/24(日) 16:55

10.お久しぶり、香音ちゃん
今日は、とりあえずプリン作り!
誰よりも張り切っている梨萌佳さんと一緒にプリン作りを始める。
料理器具を机いっぱいに並べる。

「梨萌佳、担当決めて」

矢本くんが梨萌佳さんに指示する。
梨萌佳さんが口を開けかけたとたん。

「あけおめことよろ!坂宮くん!」

久しぶりだ、香音ちゃん。
香音ちゃんは、矢本くんの従姉妹。
同い年で、坂宮が好きなの。

「香音ちゃん、悪いけど忙しいの。陽茉理と遊んでてもらっていい?」

梨萌佳さんが頭を下げる。
一緒に隅木田くんも頭を下げた。
香音ちゃんは「イヤイヤ」とわがままを言ったが、坂宮に断られ、あっさり帰っていった。

「坂宮くんありがとね。香音ちゃん、なかなか止まらないから」

梨萌佳さんが苦笑いしながらつぶやいた。
そうかな?
それだけ好きってことだから、わたしが坂宮だったら嬉しいけど。

「おい梨萌佳、た、ん、と、お!」

矢本くんが声を上げる。
そうだった、プリン作るんだ!
梨萌佳さんが気を取り直す。

「ええっと、」

「待て!俺と真美は一緒な」

ちょっと、坂宮!
急に突っ込んだので、矢本くんに頭を叩かれる。
本当ににぎやかだなあ。

「いいーっ?」

梨萌佳さんがふたりをにらむ。
ふたりとも「はいっ!」と情けない返事をして椅子に座った。

「じゃあ、坂宮くんと真美ちゃんが基本的なプリン作り。隅木田くんと拓斗兄が温度作業。わたしがサポートね」

温度作業って言うのは、温めたり、冷ましたり。
基本的なプリン作りは、温度作業以外のことをいうのかなっ!

「さあ、開始ーっ!」

広いキッチンに、梨萌佳さんの大声がこだました。

499:相原梨子◆x.:2017/12/24(日) 17:06

11.ふたりが言った意味
分からないところは梨萌佳さんへ。
時々、香りに釣られてか香音ちゃんが覗きにくる。
だけどそのたびに、坂宮が断り続けてるんだ。
粘り強いよね、香音ちゃん。
ある意味、尊敬する。

「真美ちゃん、こっち」

今から蒸す。
隅木田くんにプリンを渡す。
熱い、熱い。
あわてて水で冷ます。

「大丈夫?真美ちゃん。火傷してない?冷ますなら、これ、保冷剤」

梨萌佳さんが心配して保冷剤を差し出してくれた。

「ありがとうございます。ですけど、大丈夫です。お返しします」

保冷剤を梨萌佳さんに返す。
すると、さっきの梨歩佳さんと同じように、耳元でそっとささやく。

「いい子だねえ、真美ちゃん。良かったら、わたしお姉さんになれるよ?」

その時、やっと分かった。
梨歩佳さんが言ってたことが。
矢本くんと結婚して、矢本家に着くってことだったんだ。

「イヤイヤイヤイヤ、早いです!」

梨萌佳さんはニヤニヤ。
それを見ていた坂宮が、ムッっとした顔をしてこちらにやって来た。

「何を話しているんだ、真美!」

すると、梨萌佳さんはからかいもふくめて坂宮に忠告した。

「嫌われちゃうよ。真美ちゃんに。いつでも拓斗兄が取っちゃうからね」

坂宮はちょっと弱気になったのか、あわあわしている。
もう、坂宮ったら。
本当に受け止めて。
嫌いにならないよ、それくらいじゃ。

「蒸し終わったぞ、梨萌佳」

矢本くんがプリンを持ち上げる。
梨萌佳さんは、ちょっと残念そうな顔をして笑った。

「冷ましてー」

冷蔵庫に入れられたプリン。
わたしたちは、冷ましている間にお茶会をすることにした。

500:相原梨子◆x.:2017/12/24(日) 17:14

12.最高のプリン
時計の針が動く音が、やけに大きく聞こえる。
 カチッカチッカチッ
みんなで時計をジッっと見つめる。
さんっ、にいっ、いちっ。

「今だ!行けっ!」

矢本くんが声を張り上げ、梨萌佳さんがプリンを取りに行く。
そっとプリンを持って帰ってくる。
ここは、矢本くんの家。
プリンが冷まし終わったのだ。
昨日作った、プリンが。

「食べてみよっ!食べてみよっ!」

梨萌佳さんがラップをペラペラと剥がしていき、ぷるっぷるのプリンを机の真ん中にドンと置く。
ほひひほ〜!(美味しそ〜!)

「いっただっきまーすっ!」

坂宮が、大きなスプーンで自分のお皿にプリンをよそい、自分のスプーンを構えた。
そして、一口パクッ!

「うっめえ!みんなも食ってみろ!」

坂宮は目を輝かせて、大きなスプーンでみんなのお皿にプリンをよそった。
わたしのお皿にも、たくさんのぷるっぷるのプリンが。

「いただきます!」

プリンを手に、プリンをパクッ!
いい香り!
これに乗って、味も最高。
梨萌佳さんに向き直る。

「指導ありがとうございます!」

すると、梨萌佳さんはキャハハと笑いながらつぶやいた。

「前言ったの忘れないでね!」

だから、結婚とか全然まだですってば〜!

501:*相原梨子&古橋琴乃*◆x.:2017/12/25(月) 12:48

13.定期テスト
翌日の朝。
学校はいつにも増してざわざわしていた。
もちろんわたしも。
だって今日は、定期テスト!
順位も出る大きいのなのに、わたしと来たら、すっかり忘れてて。

「そう言えば、真美ちゃん。明日、定期テストだけど、分からない問題とかあったら教えようか?」

昨日、隅木田くんが声をかけてくれて思い出した。
定期テストの存在を。
どうしようかと戸惑っていると、梨萌佳さんがニヤニヤ笑った。

「忘れてたの?真美ちゃん。受験の期間だから、頑張らなきゃ!」

サーッっと青ざめたわたしは、自転車をびゅんびゅんにして家に帰った。
そして、この様。
目の下には、くっきりクマが。
どんよりしていて、児童会長にふさわしくない。
マスクで隠しているんだから。

「どうしたの?真美ちゃん。風邪?」

美華ちゃんが心配してくれたけど、とりあえず風邪ということにした。
先生にバレたら、ひどい顔だからね。

「真美ちゃんに問題出すね。簡単だけど…。遣唐使を送るのをやめたのは誰か答えてみて」

廃止したってことだよね。
遣唐使は、遣陏使の次に、今の中国に送られる人のこと。
この答えは簡単!

「菅原道長でしょう?」

美華ちゃんも、優佳ちゃんも、穂乃香ちゃんもケタケタ笑い出す。
ちょっと、違うって言うの!?
あわてて教科書をめくる。
菅原道真…。
わたし、菅原道長って言ったよね!?

「めちゃめちゃウケる!道長は、藤原だし〜!」

急に恥ずかしくなって赤面化する。
そっ、そんなに笑わなくてもいいのに!わたしは、顔を隠すために教科書をペラペラ高速でめくった。

502:相原梨子◆x.:2018/01/04(木) 15:33

14.運命の順位は
後日のホームルーム。
まだげんなりしているわたしに、とうとう順位が返ってきた。
胸騒ぎがする。

「多田本真美さん」

ああっ、わたしだ…。
教卓まで歩いていって、前田先生から順位の紙をもらう。
その時、前田先生は小さな声でささやいた。

「多田本さん、何かあったの?数学の勉強を集中的にね」

ゲ、そんなに悪かった!?
前田先生は、また次の人を呼ぶ。
確かにあんまり勉強してなかった…。
あわてて数学の欄を見る。
数学…56位!?
ヤバイ。
ママやパパ、涼太くんのおじいさんにバレたらヤバイかもぉっ!
国語は21位。
低いけど、まあいい方かな。
社会は…3位!?
やったぁ、何とかセーフ。
理科は33位。
英語は26位。
総合が…13位じゃんっ!
社会のおかげだったかも。

「真美ちゃんどうだった?」

「総合ね、13位だった!」

美華ちゃんが総合35位。
優佳ちゃんが58位で、穂乃香ちゃんが29位だったんだって。

「まーちゃん、どうだった?」

ふーちゃんが笑顔でやって来る。
順位を教えると、ふーちゃんは順位の紙を見せてくれた。
総合、2位!?
ふーちゃんを誰かが越したの!?

「まさか涼太に抜かされるなんてね。でも、これでふたりそろって中学校行けそうかも」

涼太くんが1位なの!?
さすが…。
このカップルというか、幼なじみ関係の人たちというか…。
秀才すぎっ!

「すごいね、でも」

ふーちゃんと話していると、前田先生がパンパンと手を打つ。

「みんな、良かった結果の人や、ダメだった人っていると思うけど、受験する人は特に頑張るように。いいね?」

わたしのことだよね。
グッっと拳を固めて前田先生を見る。
こんな順位じゃまだまだ。
もっといい結果じゃなきゃ、青山野に推薦だなんて…。


「ただいま…いないか」

おばあちゃん、いつ来るんだろう。
ちょっと寂しい。
パパも全然帰ってこないもんね。
リビングに書いてある置き手紙を見て、ちょっとため息をつく。

「やっぱり誰もいないよね」

 ピンポーン
玄関へ行くと、実柚乃ちゃんがいた。
前もこんなとき助けてくれたな、実柚乃ちゃん。

「ねえ、真美ちゃん。実柚乃、青山野受けるって決めてから勉強して、順位が上がったよ!4位に」

えっ、えええええええ〜?

503:相原梨子◆x.:2018/01/04(木) 16:52

15.おばあちゃんのメール友達
本当にそんなに高いの!?
わたしの方が高かったのに、実柚乃ちゃんに抜かれちゃった。

「実柚乃ね、真美ちゃんとどうしても同じところに行きたいの。推薦は無理だから、頑張ったよ」

「嬉しい…!ありがとう…!」

実柚乃ちゃん、わたしのために努力してくれたの?
もちろん、自分の学力のためでもあると思うけど。

「実柚乃、息抜きに明スイも参加するスイーツフェスティバル行くから!それと、真美ちゃんのおばあさんに言われたんだけど。今日は、真美ちゃんの家に泊まるから!これ荷物」

今度は実柚乃ちゃんが泊まるの!?
カバンからスマホを出し、慣れた手付きで操作する。
やがて、わたしにスマホを見せてくれた。

「真美ちゃんのおばあさんとメールやってるんだ!それで来たの。真美ちゃんのお父さん、今日帰って来れないんだって」

おばあちゃん、実柚乃ちゃんとメールやってるわけ!?
何でやってるの…。

「実柚乃が、真美ちゃん家泊まっていいですか?って聞いたら、いいの?ありがとうって言ったから!」

いつの間にメール友達になっちゃってるの…。
ちょっと呆れつつ、実柚乃ちゃんを部屋に案内する。

「実柚乃ちゃんはわたしの部屋で寝てね。わたしはおばあちゃんの部屋で寝るから」

パパの夜ご飯を実柚乃ちゃんが食べればいいよね。
いきなりお泊まり会って、なんかすごいんだけど…。

504:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 08:44

16.一本の電話
今日の夜ご飯になるはずのカレーは冷蔵庫へ。
実柚乃ちゃんが作ってくれた和食定食みたいなのを食べる。

「今日はあわただしくてごめんね。急に泊まって…」

「うんん。ひとりだと寂しいから、実柚乃ちゃんが来てくれてふたりだし。おばあちゃん心配症だから」

ホントだよ。
いつの間にか実柚乃ちゃんとメール友達になって、知らないうちに泊まる準備をしてるんだもの。

「明日は、矢本先輩の家行くって聞いたから、実柚乃も着いていっていい?明スイ活動が見てみたくて」

「でっ、でも実柚乃ちゃん、スイーツフェスティバルではお客様だから、いろいろ分かっちゃうよ!」

「明スイのメンバーに迷惑かかっちゃったら、陽茉理ちゃんと遊ぶから!行くだけでもいいの」

うーん、じゃあいいかな。
わたしはコクンとうなずいた。
実柚乃ちゃんは「やったあ!ありがとう、真美ちゃん!大好き!」と喜ぶ。
ちょっとくらい、いいよね。

「実柚乃、お風呂先に入っていい?」

今、お風呂の話っ?
急に変わってビックリして、ちょっとあわあわする。

「うん、いいよ」

何かあるのかな。
やらなきゃいけないこと。
宿題やってないよね、きっと。
一緒にやろうかな〜なんて。
 プルルルルルプルルルルル
 
「はいはいはいはい!」

パタパタスリッパを鳴らせて受話器を取りに行く。
ガッチャンと音を鳴らして、受話器を手に取った。

「もしもし。多田本ですけど」

「もしもし、パパだけど」

「パパっ!今日帰ってこないんだね。だけど、実柚乃ちゃんって言う友達が泊まることになってね!今日全然寂しくないんだよ!…パパ?」

パパは「そうか、実柚乃ちゃんか。良かったな」って言うのみ。
ちょっと沈黙が続く。
心配になったのかな、そういうこと!

「わたし、実柚乃ちゃんがいるから平気だからね!」

「真美、よく聞きなさい」

えっ?
パパは、声のトーンを低くする。

「菜和が中央病院に運ばれた。実柚乃ちゃんを家に帰してあげて…送っていくんだよ。母さんと父さんのところに行って車で中央病院に来なさい」

ママが、中央病院に運ばれた…?
前はもっと小さい病院だったのに…?

「いいか?真美」

は、はい…。
電話が切れた後でも、ちょっとの間放心状態だった。

505:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 08:54

17.ママは強いか
実柚乃ちゃんにことを話して、家に送る。
どうしてそうなったの?
早く行きたい…。

「真美ちゃん、ごめんね。じゃあ、お母さんとサポートできるように、真美ちゃんも頑張ってね」

そ、そうだよね。
わたしが頑張るんだ!
実柚乃ちゃんありがとう。
家に帰って、玄関に置いてある荷物を自転車のカゴに入れる。
家の鍵をかって、自転車を走らせた。
ばあば、じいじ、もうちょっと!


ここが、ばあばとじいじの家。
喫茶店だけど、奥が母屋。
母屋のドアフォンを押す。

「真美ちゃんっ!待っていたわ。行きましょう、中央病院へ」

じいじが運転してくれて、中央病院へ向かう。
ママ、無事でいてっ!
それから、眞理ちゃんと優眞くんも、無事でいてねっ!

「大丈夫よ、真美ちゃん。菜和さん、とっても強いんだから」

ばあばが背中をさする。
ママ、強いの?
保育園の時は、あんまり記憶がない。
小学校の時からしか…。
うーん…。

「心配無用!着くまで何も分からないわ」

ばあばがそう言った時、中央病院に着いた。

506:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 09:13

18.ママの症状は
すぐに受付カウンターに走る。
お願い、ママ、頑張って!

「多田本菜和さんの娘ですけど、部屋はどこですかっ?」

「菜和さんの娘さん?ひとりで来たの?保護者の方は?」

わたしは、ばあばとじいじを指差す。
看護師さんはやっと分かってくれて、部屋を案内してくれた。

「ここが菜和さんの病室。今は入ることが出来ないわ」

「何でですかっ?」

看護師さんは、椅子に座るよう勧めてくれた。
わたしが座った隣に、看護師さんも腰かける。

「あなたのお母さんは、もしかしたら病気があるかもしれないの。あなたのお父さんが検査をお願いしたから、今検査してるの」

病気っ…?
どうして病気になるのっ…?
何でママなのっ…?

「今は、あんまり分かっていない。だから、もうちょっと待ってね」

看護師さんは立ち上がって、ばあばとじいじにも説明した。
さっきわたしたちが来た方から、おばあちゃんが駆けてくる。

「あら、菜和さんのお母さん。ご無沙汰してます」

ばあばが軽く微笑む。
おばあちゃんは「ご無沙汰してます。いつも菜和や真美ちゃんがお世話になっております」と言ったきり、看護師さんと話し始めた。
ママが心配なんだよね。

「おばあちゃん…!」

「真美ちゃん。ちょっとおいで」

ばあばが手招きする。
ばあばの方へ行くと、耳元でそっとささやかれた。

「おばあちゃんは、動揺しているの。ばあばが聞いてあげるわ」

わたしは、ばあばが言ってくれた時、何が言いたかったのか分からなくなった。

507:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 09:42

19.意外な繋がり
翌日の朝。
今日は、お風呂も入ってないし、制服のままだったけど、ばあばの家に泊まって寝た。
矢本くんには電話して、ちゃんと理由も言って行けないって言った。

「行くけど、着替えた方がいいわね。真美ちゃん家寄ってあげるから、服に着替えなさい」

今日もじいじの運転で向かう。
家に着くなり、部屋に駆け上がって服に着替えた。
パジャマとかも詰めた方がいい?
そう思ったけど、言われてないのでやめておいた。

「早く行きましょ、真美ちゃん!」

ばあばが車の中から声を上げる。
服に着替えるなり、コートを着てマフラーをして家を飛び出す。

「昨日は制服のまま着たから本当に寒そうだったわ」

動き出した車の中で、ばあばはつぶやく。
確かに昨日、動揺してて全然気にしてなかった。

「真美ちゃんは児童会長やってるんですって?青山野に推薦で」

「うん、そうだよ!」

ばあばはすごく喜んでくれた。
あんまりこういうことは、ママに話していない。
児童会長やってること。
私立青山野学園に推薦入学できることって、ママは知ってるのかな?

「着いたわ。すぐ降りられる様に準備してね」

ばあばに言われて、カバンから出していたハンカチをギュッっと握る。
これは持っておこう。

「さあ、行って行って!」

ばあばが声を上げたと同時に、ママのいる病室へ走る。
病院の中では早歩きだけど。

「あらあら、昨日の小学生?菜和さんの娘さんの」

「はい。昨日の看護師さんですか?」

看護師さんはにっこり笑う。
そして、名字のプレートを見せてくれた。

「わたしは、受け付けカウンター兼、菜和さんの担当で検査したり、お世話するの。船水よ」

船水さん…。
珍しい名字だよね。
すると、船水さんはクスッっと笑って見せた。

「あなたは、明確生?」

「前、そうでした」

やっぱりとでも言うかのように微笑む。
も、もしかしてっ!

「船水多恵って受け付けカウンターの先生の娘」

船水先生のっ!
意外な繋がり!

「真美ちゃん」

ばあばが歩いてくる。
看護師さんと仲良くなれちゃったっ!
エヘヘ。

508:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 10:00

20.診断結果はっ?
船水さんは、わたしの良き話し相手になってくれた。
暗かった道に、明るい光が差し込んできたかのよう。

「あなたの名前は?」

「多田本真美です!船水さんの下の名前は何て言うんですか?」

「船水美海よ」

すると、病室からパパが出てきた。
ちょっとの隙間から、ママの顔が見えた。
顔は真っ赤で、汗をかいている。
すごく苦しそうだった。

「ママッッッ!」

「真美ちゃん、大丈夫よ大丈夫。ちょっと落ち着いて」

船水さんが背中をさする。
パパは、顔が明るいようで暗い。
すぐにばあばが話を聞きにいった。

「菜和さんはどうなのっ?」

パパは、声をひそめる。
緊張感が高まって、ママのいる病室の前の廊下がやけにシンとしている。

「病院ではないそうだ。しかし、出産を1ヶ月早める方針でいくことに決めました」

ってことは、来月っ?
ちょっと嬉しい気持ちがある。

「異常はないようなので、会えるとのことで、いつも通りでいく様です」

良かった…。
船水さんも笑って喜んでくれる。
こんなすごい人と、知り合えて良かったかも。
悲しいときは話を聞いてくれて。
嬉しいときは喜んでくれて。

「船水さん、ありがとうございます!失礼します!」

そう言い残して、わたしはママの病室へ足を傾けた。

509:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 19:45

21.新しいエプロン
「ママっ?」

あの時の顔よりは赤くなくて、ちょっと白っぽかった。
ママは、にっこり笑ってわたしの頬をなでる。

「ありがとう、真美ちゃん。いてくれたんでしょ?嬉しいわ」

ママのベッドの布団に体を預ける。
ちょっと、泣きそう。
目の下の辺りが熱くなってくる。

「真美ちゃん、中学校へ向けて頑張るのよ。勉強」

涙を必死にぬぐってうなずく。
ママ、勇気付いたかな?
ばあばが言った通り、ママ強い。
何よりも強い気がする。


矢本くんの家に着いた頃には、もう練習が終わっていた。
梨歩佳さんと梨萌佳さんが来ている。

「遅くなってすみません!」

ペコペコ謝っていると、梨歩佳さんが頭をポンポンしてくれた。

「大変だったね。だけど、来てくれてありがとう」

わたしは首を横にブンブン振る。
もう終わっちゃった…。
だけど、来れて良かった!
みんなに会えて、元気が付いた気がするから。

「真美ちゃんも来たことだし、ゲストを呼ぶね。実柚乃ちゃーん」

え、実柚乃ちゃん!?
キッチンの奥から顔を出したのは、昨日一緒だった実柚乃ちゃん!

「来ちゃった…。けど、メンバー分のエプロン作ったの!フェスの時、みんなで着てっ!」

配ってくれたエプロンは、みんな柄が違うものだったけど、一体感がある。
胸元に明スイと刺繍されている。
わたしは花柄。
坂宮はサッカーボール柄。
隅木田くんはストライプ柄。
矢本くんは野球ボール柄。

「ありがとう、実柚乃ちゃん!」

510:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 21:42

22.前夜祭!
あわただしく車と屋台を行ったり来たり繰り返している。
エプロンが風になびく。

「大丈夫?真美ちゃん。休憩しなくてもいい?」

隅木田くんが心配してくれる。
わたしは「大丈夫です」とだけ言って、また車へ走る。
今はスイーツフェスティバル前夜祭。
屋台を出すグループは準備を。
前夜祭のステージは『MYG47』とかいうアイドルのライブ。

「真美、これ持ってけ!」

坂宮に大量の容器を渡される。
プラスチックのばすなのに、重い…。
容器と格闘していると、隅木田くんがヒョイッっと持って見せる。

「僕が持つから、真美ちゃんは休んでなよ」

でも…。
隅木田くん、いいの…?
じゃあ、お言葉に甘えてちょっと。

「真美ちゃーん!」

向こうの方から走ってきたのは…。
実柚可さんだ!
ヘトヘトって感じだけど。

「参加ありがとね!ホームページに明スイ参加って書いたら、いろんなグループの参加が決まったよ!」

役に立てたみたいで、良かった。
そう思いつつ、席を立つ。
こうしちゃいられない。
動かないと。

「では、明日もよろしくお願いしますね。わたし、準備してきます!」

また車へ駆け出す。
これって、青春なのかな…?

511:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 22:11

23.スイーツフェスティバル開催!
ついに今日。
スイーツフェスティバル。
現場へは自転車で向かった。
場所が、近くの公立校の校庭だったからね。

「真美ちゃん!」

「実柚可さんじゃないですか。おはようございます!」

ちょうど実柚可さんも自転車だったので、ふたり並んで自転車をこぐ。
公立校って初めてで、昨日すごくビックリした。
私立校と違って、校庭の広さも全然違ったから。

「実柚可はこっち行くから。真美ちゃん頑張ってね!」

実柚可さんと別れると、明スイメンバーの集合場所、校門へ急いだ。
ちょっと遅刻かもーっ!

「おはようございます!」

隅木田くんしか着てない…。
一番最後じゃなくて良かった。
そんなことを考えていると、すぐにメンバーが顔をそろえた。

「じゃあ行こうか。僕と矢本は作る。坂宮は会計。真美ちゃんは呼び込みや試食にしようと思うんだ。交代でやってもいいけど」

うん、いいと思う!
会計とか慣れてなくて出来ないし。
それに、作るのは焦って無理そう。
試食だったら「いかがですか?」って勧めたらいいんでしょ?
出来る!

「じゃあ、それでやろうか」

自転車を駐輪場に停めて、昨日立てた屋台へ向かう。
あと、30分でスタート。
今日の舞台は『MYG47』のライブ2だそうだ。


 パンッ!パンッ!パンッ!
ピストルみたいな音が鳴り響く。
開始の合図だ。
人がたくさん入ってくる。

「いらっしゃいませー!明確スイーツ研究部、いかがですか?試食品ありますよ!」

来たお客様に、手当たり次第でも試食品を勧める。
ちょっとでも多くの人が、スイーツを楽しんでもらいたいから!

「いらっしゃいませーっ!」

お客様が次々に試食品に手を伸ばす。
うん、いい感じかも。
試食したお客様のひとりが言う。

「これは、あそこで売っているの?」

「はい!最後尾に並んでいただいて」

最後尾になるところを指す…。
めちゃめちゃ長いじゃん!
さすが明スイ!
やっぱり最高だねっ!

512:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 22:19

24.人気な明スイの屋台
もうヘトヘト…。
わたしの休憩時間が回ってきた。
他の人の休憩時間なんて、めちゃめちゃ忙しいんだから!

「すみません。そのハンバーガーひとつください」

割りと空いている屋台。
ハンバーガーが売っていた。
買うと、ベンチに腰をかけてかぶりついた。
美味しいじゃん。

「どう?楽しんでる?」

「実柚可さん!もちろんです!」

ふふふと笑って、企画書をながめながら次の仕事へ向かった。
実柚可さん、忙しい…!

「真美ちゃん!」

「今度は実柚乃ちゃんだ」

オシャレな格好をして隣に腰かけた実柚乃ちゃん。
来てくれたんだ!

「明スイの買うね〜」

「ありがと」

ハンバーガーを食べ終わり、ゴミを丸めて屋台に戻った。
もちろん、実柚乃ちゃんも連れてね。
最後尾、全然見えなかったけど。

「いらっしゃいませーっ!」

エプロンを付けた、わたしの大きな声。
辺りに響いた…気がした。

             (つづく)

513:相原梨子◆x.:2018/01/06(土) 22:26

あとがき
             相原梨子

こんばんは!
そして、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。


『ここは明確スイーツ研究部!』早15巻はいかがでしたか?
まだ眞理ちゃん出てきませんね。
前は出す予定でしたが。
今回は、新年を迎え、真美ちゃんのママに変化があり…。
いろんなことがありましたね。
感想待ってます!


皆さんは、フェスティバル参加したことありますか?
私はあります。
スポーツやゲームのフェスティバル。
参加経験ありの方は、何らかの思い出があるのではないでしょうか?
良ければ、教えてください。


ここまで読んでくださったあなた!
本当に本当にありがとうございます。
次回もよろしくお願いします!


次回は、みんなが受験!
真美ちゃんは面接のみですが。
そんな中、ついに眞理ちゃんが…?

514:萌恵◆yc:2018/01/06(土) 22:39

いつもよんでます!すっごく面白い(^o^)頑張ってε=ε=(ノ≧∇≦)ノ

515:相原梨子◆x.:2018/02/04(日) 19:34

>>514
ありがとうございます!
返信遅れてすみません。
これからもよろしくお願いします!

516:相原梨子◆x.:2018/02/04(日) 19:41

『ここは明確スイーツ研究部!』

人物紹介

多田本 真美
私立彦宮学園の後期児童会長の小学6年生。
すでに、私立青山野学園の推薦入学が決まっている。

坂宮 陽都
サッカー少年。
明確ゼミナールに通う小学6年生。
真美が好き。

矢本 拓斗
野球少年。
明確ゼミナールに通う中学3年生。
高校は私立愛羽学園に受験する。

隅木田 優斗
勉強得意な少年。
明確ゼミナールに通う中学2年生。

517:相原梨子◆x.:2018/02/04(日) 20:04

1.初めての面接
 ドクッドクッドクッドクッ
胸騒ぎが、激しい…。
どうしよう…。
失敗したら評価が…。

「はい、次の方〜」

面接室から私立青山野学園の校長先生の声が聞こえる。
ずっと練習してきたことを実行するんだから出来るはずだよね…!

「失礼します」

開いたドアをゆっくり閉めて、面接者用の椅子に腰かける。
目の前に座っている3人の人。
その中でも真ん中の、肘掛け椅子に腰かけている校長先生。

「多田本さん、お久しぶり」

「お久しぶりです」

わたしの名前は、多田本真美。
私立青山野学園に推薦入学出きる。
一応、面接はあるんだけどね。
校長先生ーーー青山野涼太くんのおじいさんはにっこり笑う。

「多田本さんは、推薦される前から入学希望校が青山野だったと書いてありますが、どうしてここを選んだんでしょうか?」

大丈夫だよ、わたし。
この質問は練習済み。
おばあちゃんとやった通りにしたらバッチリいいはずだよねっ!

「わたしの内申点に合っているという面もありますが、青山野学園はいろいろな面で良い結果を残しています。わたしも、夢を見つけていきたいと思ったからです」

校長先生をはじめ、両隣の先生も目を見開いて驚いている。
みんな、嬉しそうな顔かなっ。
校長先生の右隣、理事長の方が質問する。

「将来の夢は何も思い浮かんでいないんですか?」

「教育系、または医療系の仕事に就きたいと思っています」

すると、理事長の方は顔をしかめる。
あんまり良くない解答っ?
理事長の方は、紙をペラペラめくりながらつぶやいた。

「教育と医療は全然違う。うちは学科分けもあるので、考えた方がいいのではないでしょうか?」

学科分け…。
そっか、もっと考えれば良かった。
今すぐ答えなくちゃ!
だけど何を…?

「教育系に就きたいと思った理由は何ですか?」

「えっと…」

ヤバイヤバイ!
面接で一番言っちゃいけない言葉。
『えっと』使っちゃったよーっ!

「児童会長をやっていて…先生方の助けがあって…その…わたしも、生徒にとっていい存在になりたいからです」


あぁー…。
やっちゃったよ…。
あんなこと言わなければよかった。
やり終わった後に、どんどん後悔が積もっていく。

「どうしたの〜?肩落としてさ」

「秀花ちゃん…」

杉田秀花ちゃんは、わたしを深くいじめてしまった罪で退学。
最寄りの公立小学校に通っている。
だけど、持ち前の成績で何とか青山野学園を受けるんだ。

「面接、失敗しちゃったんだ…」

「大丈夫、真美ちゃん。頑張ろうよ。わたしの方が不利…ごめんね」

秀花ちゃんの横顔は、どこかすごく悲しげだった。

518:相原梨子◆x.:2018/02/04(日) 20:39

2.ママにしか出来ないこと
家に帰ると、すぐにママに電話した。
もう産まれてくる赤ちゃん、眞理ちゃんと優眞くん…。
ふたりが誇りに思えるお姉ちゃんにならなくちゃねっ!

「真美ちゃん、どうだった?面接」

「それが…あんまり…」

ママは、ふふっと笑ってくれた。
ほぐしてくれてるみたい。
おばあちゃんでも無理、パパでも無理なことが出来るママ。
やっぱり頑張れる!

「真美ちゃんなら出来るから、後ろ向きにいないで頑張って。きっと眞理ちゃんと優眞くんにも届くわ」

そうだよね…。
ふたりが産まれてきて、憧れになってもらえるお姉ちゃんなんて無理。
産まれてくる前から思われるくらいのお姉ちゃんになるんだ。

「ありがとう、ママ。わたし頑張る!ママも頑張ってね!」

ママとの電話を切って、部屋に戻る。
昨日帰ってきてくれたおばあちゃん。
ちょっとは生活が楽になる。
わたしって、本当にいろんな人に支えられてるんだなあっ。


 ピチピチピチピチ
真由ちゃん…?
目を開けると、たびたび家に来ていて飼っているレベルの鳥、真由ちゃんが鳴いていた。

「そろそろ着替えるか…」

パジャマを脱いで制服を着る。
もう、この制服も着る時間短いね。
もし青山野学園から断られても、中等部で制服違うし。

「真美ちゃん起きてるのー?起きてるなら下おいでー!」

下からおばあちゃんの声が聞こえる。
久しぶりにコンビニ弁当じゃない朝ごはん。
作れないから、ずっとため置きしてた
コンビニ弁当だったから。

「おはよう、真美ちゃん」

「おはよー」

食パンが食卓に並べられている。
今日は、パパ帰ってないんだ。
仕事忙しいのかな…?

「FAXで、隅木田優斗さんから昼休みに新しく出来た校内喫茶に集合って」

隅木田優斗くんーーーわたし、隅木田くん、坂宮陽都、矢本拓斗くんがメンバーの明確スイーツ研究部のひとり。
中学2年生で、秀才なんだ。
隅木田くん直筆のFAXを見る。
校内喫茶なんて出来たんだ。
高等部まで行かなきゃいけない!
メンバーに高等部の人いないのに…。

「ずいぶん、彦宮学園は進んでるのね」

彦宮学園とは、わたしたちが通ってる学園のこと。
校内喫茶とか絶対ないよね。
進みすぎだって〜。

519:相原梨子◆x.:2018/02/09(金) 22:19

3.お嬢様の悩み
教科書をスクールバッグにしまうと、ジャージバッグを持って更衣室に向かった。
美華ちゃんーーー彦宮美華ちゃんの足取りが重たい。
どうしたんだろう?
体育が得意な穂乃香ちゃんが、美華ちゃんの顔を覗き込む。

「どーしたのー?美華ちゃん、バスケ苦手だから?」

今日からの体育はバスケットボール。
美華ちゃん苦手って言うけど、わたしの方が下手だよ…。

「おじ…校長先生に言われたの。絶対に体育で5を取りなさいと」

おじいさまと言いかけた美華ちゃん。
その通り、彦宮学園の校長先生は、美華ちゃんのおじいさん。
つまりお嬢様なんだ。
美華ちゃんは、肩を落とす。

「穂乃香はいいよね、運動出来て」

優佳ちゃんは隣ではにかみがちに聞いている。
運動が得意な穂乃香ちゃんとは打って変わって苦手な優佳ちゃん。
多分、わたしと同じ気持ちだと思う。

「ねえねえ、昼休みに校内喫茶行こ!行ってみたい!」

優佳ちゃんが話題を変えるように声を張り上げた。
だけど、それと同時に約束が頭をよぎってしまった。

「ごめん、優佳ちゃん。明スイの約束があるんだ…」

「そっかそっか、全ぇ然いいよー」

優佳ちゃんはハハッっと笑いながら更衣室へ駆け出した。
わたしは、ゆっくりと更衣室へ足を傾けていった。

520:相原梨子◆x.:2018/02/09(金) 23:05

4.隅木田くんの恋
肩で息をしながら制服に着替える。
美華ちゃんは、体育が終わってどことなく楽そう。
着替え終わった優佳ちゃんは「学食の席取っとくねーっ!」と言って学食へ走っていったし。
穂乃香ちゃんは「サイフ忘れた!家までひとっ走りするわ!」って更衣室を出ていったし。

「おーい、美華ちゃん?」

美華ちゃんは、さっきから体育が終わった安心感が大きいみたい。
先行っちゃおっと。
ジャージカバンを肩に引っかけて教室へ戻る。
その途中、わたしは見てしまった。
隅木田くんに告白している女の子を!
絶対、バレンタインにチョコレート渡すパターンだよね…。
ふたりは、ちょっと会話を交わして別れていく。
どうなったのか気になる。
すると、肩に大きな手が乗った。

「真美ちゃんどうしたの?」

「な、何でもないや!ハハハッ」

美華ちゃんもう来てるーっ!
あわてて教室に逃げ込み、サイフを手に学食へ走った。
優佳ちゃんが、学食の4人用席の前で手を振っている。

「みんなは?」

「まだ来てないよ。そっちこそ、穂乃香は分かるけど、美華ちゃんは?」

「そろそろ来ると思うけど…」

学食の入り口に視線を向けると、美華ちゃんがド派手なサイフを持って立っていた。

「こっちこっちー!…あ、真美ちゃん先に買ってていいよー」

優佳ちゃんがボソッっとつぶやく。
わたしは、学食内をグルッっと見回してメニューを決めていた…その時!
隅木田くんとさっきの女の子っ!
ふたりっきりで学食に来ることなんて絶対ないよね…!?
もしかして、付き合ってる!?

521:相原梨子◆x.:2018/02/10(土) 22:46

5.矢本くんの進路
もうすぐバレンタインかぁ…。
あの女の子もチョコレート渡すよね。
ここ、校内喫茶は、ばあばとじいじが経営している喫茶店にそっくり。
リアルにすごかった。

「おい、真美?」

坂宮が顔を覗かせる。
ビクッっと肩を震わせるわたし。
カレンダー見て、ボオッっとしてた!

「2月14日はスイーツの日でしょ?何かやらなきゃね」

坂宮がニコニコ笑いながらこちらを見てくる。
あ、あげないよっ!
友チョコ…義理チョコならいいけど。
明スイ仲間だもんね…。

「だけど、坂宮と矢本。受験はどうなんだよ」

隅木田くんがふたりを見る。
坂宮はヘヘッっと笑い、矢本くんは無神経な感じで目を逸らした。

「どこ受けるんだよ」

「隅木田しつこいなぁ〜。俺は彦宮残るよ〜。明スイ活動出来ないじゃん」

坂宮、彦宮学園のままなんだ。
明スイ活動が出来なくなるから。
じゃあ、わたしも残った方がいい?

「大丈夫だよ、真美ちゃん。自分で決めた道でしょ?あきらめちゃダメ」

隅木田くんがにっこり笑う。
知ってるもんね、わたしが青山野学園に推薦されたこと。
矢本くんは、遠く向こうを見るようにして、それからわたしたちを見た。

「留学するんだー、俺」

…えっ?
ウソでしょ…?
矢本くん留学しちゃうの?
じゃあ、ますます会えないじゃん!

「俺、いろいろやりたいことあって。だから…ごめん…」

謝ることじゃないって分かってる。
だけど、矢本くんと会えないなんて…。
わがままだって分かってる。
なのにどうして…?
わたしから彦宮学園から旅立って青山野学園に行くのに。
旅立って行く人は引っ掛かる。

522:相原梨子◆x.:2018/02/11(日) 10:18

6.今だけ?新メンバー
話を切り替えてメニューを決める。
バレンタインだし、チョコレートを使ったスイーツがいいよね。
毎年、ママとクッキー焼いてたけど。

「クックパッド開いてみたけど、マフィンや生チョコが目立ってるね」

隅木田くんのスマホを見せてもらう。
クックパッドに、いっぱいのスイーツが浮かび上がった。
すごく可愛く彩られたスイーツ。
これを作るんだね!

「簡単そうなのにする?進学あるし」

隅木田くんがクックパッドで検索している中、わたしはノートに記録した。
マフィンか、生チョコか…。
すると、隅木田くんがスマホを机の上に置いた。

「これ、いいと思うんだけど」

スマホに浮かび上がっているのは、キラッキラなマフィン。
レシピも簡単だし、もらったらめちゃめちゃ嬉しい!

「これでいいと思いますよ!」

サッっとレシピをノートに書き込む。
すると、ひとりの女の子がわたしたちを訪ねてきた。

「もしかして明スイ?あたしも入れてほしいんだけど!」

新メンバー!?
隅木田くんを見ると、ちょっと困ったような顔をしている。
そうだよねえ。
どうして、今の時期に…。

「あたしは高等部1年の恋川美沙子。スイーツ食べるの好きなの!」

わたし、名前聞いたことある!
文化祭の時にスイーツ祭りのイベントで、どれだけ多くのスイーツを食べれるかってやつで優勝してた!
恋川先輩はニシシと笑う。

「お願いっ!何でもやるから!」

恋川先輩は頭を下げる。
隅木田くんは、ますます困った顔をしてうつ向いた。
坂宮と矢本くんは上の空。
ちょっと関わらないようにしてるみたい。

「バレンタインでしょ?とりあえず、今回だけでも入れて!」

恋川先輩の圧力に押され、隅木田くんはオーケーした。
4人用の席だったので、隅木田くんが立ってくれた。

「マフィン作るつもり?ふ〜ん。じゃあ明日作ろっか!でも、作ったらどうするつもり?配るの?」

恋川先輩早いっ!
わたしは、急いでノートに書き留めた。

523:相原梨子◆x.:2018/02/17(土) 17:16

7.友チョコ
へとへとになりながら教室に帰る。
坂宮もため息をついていた。
あのあと、恋川先輩が進行したんだけど、坂宮を気に入ったんだ。
ずっと坂宮と話してた。

「真美はいいのか?恋川先輩が俺とくっつくの」

「別に全然いいけど」

キョトンとしながら言うと、坂宮は頭を抱えて詰めよってきた。

「何度も言ってるだろ?真美が好きって。空気読めよな」

坂宮の方が空気読めないじゃんっ!
ふたりで笑い合いながら各教室に別れた。
矢本くんのこと、陽茉理ちゃんに聞いてみようか。
だけど、めんどくさいよね、聞いてくる子って。

「真美ちゃん!バレンタインさぁ、友チョコ渡すからねっ!」

「わたしもわたしもっ!」

「わたしもお母様と作るから」

やっぱり、明スイで作るスイーツは登校してきた人たちに配るのがいいと思う。
わたしが個人的に作るのは、友チョコや義理チョコ、家族チョコにすればいいもんねっ!

「ありがとう!わたしも絶対作る!」

穂乃香ちゃんがニヤッっと笑う。
そして、わたしの肩をツンツンとつっついてきた。

「明スイメンバーだし、めっちゃ期待してるから!」

「真美ちゃん普段から作ってるもん、絶対美味しいよね!」

そんなことな…あるよね〜。
明スイみんなで作ってるスイーツだもんね。
趣味でお菓子作りはあんまりしない。
ママに送った時だけ。
(読んでない人は創作板へGO!)

「わたしは生チョコ作るから被らないようにしてよーっ!」

優佳ちゃんが人差し指をつき出して忠告してくる。
マフィンを明スイで作るでしょ。
だったら、カップケーキでも試してみようかな〜。
そして、天井を仰ぎながらひとりクスッっと笑ったのだった。

524:相原梨子◆x.:2018/03/03(土) 13:45

読者の皆様へ

突然なことですみません。
かなり前に発表したことですが、葉っぱ卒業を決めました。
長年付き合ってきて、デビュー作の明スイも今巻で完結です。
完結したら、皆様の明スイのオリジナル小説を書いてください。
よろしくお願いします。
では、引き続きどうぞ。

525:相原梨子◆x.:2018/03/03(土) 19:16

8.印刷出来ない!?
今日は休日だから、美華ちゃん家でお菓子作りの練習!
穂乃香ちゃんが作りたい生チョコをみんなで研究しながら作るんだ。

「美華ちゃーん、そろそろ印刷出来た〜?」

印刷室に顔を覗かせると、美華ちゃんが目を険しくして立っていた。
美華ちゃんの隣に立つと、印刷台に書かれている複雑な文字に混乱する。
これじゃ、印刷出来ないじゃ〜ん!

「穂乃香ちゃん、優佳ちゃん、ちょっと来て〜」

ふたりを呼ぶと、エプロンをなびかせていつもと違う雰囲気でやって来た。
やはり、ふたりとも眉間にしわを寄せてうーんと唸る。

「こんなの分かんないよぅ。美華ちゃんのお母さんとか詳しくない?」

「無理。お母様は仕事中だから。お手伝いでも呼ぶことにする」

美華ちゃんは当たり前のことをするように印刷室を出てお手伝いさんを呼び込んだ。
その声に呼ばれたお手伝いさんは、メイド服みたいなカワイイワンピース。
なんか、憧れる・・・。

「どうなさいましたか?美華様」

「印刷台が効かないのよ。とりあえず、これ印刷してきて。それから、業者の人に見てもらって。ダメだったら新しい印刷台買えばいいし・・・」

なんか聞いてると、美華ちゃんすごいことめちゃめちゃ言ってない!?
美華ちゃんの指示で業者呼べるの!?
すると、これまたお手伝いさんは当たり前なことのように頭を下げる。
クックパッドが開かれている美華ちゃんのスマホを持って印刷室を後にした。

「ごめん、みんな。ちゃんと使えるかチェックさせておくべきだったけど」

「そんなの全然いいよ〜。気にしなくていいから〜」

ホント、美華ちゃん家のいろいろも見れちゃったし。
そう考えると、何だかくすぐったい気持ちになった。

526:相原梨子◆x.:2018/03/03(土) 19:28

9.わたしはリーダー
お手伝いさんが息をきらして帰ってきた時にはもう3時。
他のお手伝いさんが出してくれたお菓子でおやつタイムだった。

「失礼します。印刷が出来ました」

きれいに印刷された紙を受け取り、チェックをしてわたしに差し出した美華ちゃん。
ハッっとして美華ちゃんを見る。

「ほ、ほら。ウチら素人だから真美ちゃんが見ないと分かんないじゃん。玄人でしょ?」

穂乃香ちゃんと優佳ちゃんも、「そうだよ、そうだよ」と言ってくれる。
わたしのこと、ちゃんとそういう風に見てくれるんだ。

「オーケー!穂乃香ちゃん、明スイみたいにアレンジしちゃっていい?」

「もっちろん!お願いっ!」

良かった・・・。
穂乃香ちゃん笑ってる。
ホッっとしつつ、どこをどのようにアレンジしようか迷う。
いつも隅木田くんがアレンジを決めたり指揮してくれてるから。
今回はわたしがリーダーらしくっ!

「真美ちゃん・・・、むずい・・・?」

穂乃香ちゃんがおそるおそるつぶやいたように聞こえる。
わたしは、ゆっくり穂乃香ちゃんを振り返ってにっこり笑った。

「だいじょーぶ!わたしに任せてっ!クックパッドよりいいスイーツになることまちがいなしなんだからっ!」

穂乃香ちゃんは安心したようににっこり笑い返してくれた。
さあ・・・。
「わたしに任せて」なんて言ったんだから、責任が重くなってきた・・・。
正直全然考えてなかったから・・・。


「お〜!遅くなってごめん。完成したから見てくれない?」

穂乃香ちゃんを中心に、みんなが書き直された紙を覗き込む。
そこまで大したアレンジじゃないかもだけど、見栄えを意識したんだ!

「カワイイスイーツ!早速作ろ!」

穂乃香ちゃんは目を輝かせる。
喜んでくれたんならオーケーだね。
わたし、グッジョブ!

527:相原梨子◆x.:2018/03/22(木) 18:01

10.
カラカラカラカラ
わたしと穂乃香ちゃんだけの作業の音がキッチンに鳴り響く。
優佳ちゃんと美華ちゃんは飽きてソファーに座り込んでしまっている。
ガチャンと音がしたかと思うと、穂乃香ちゃんが箸を置いてふたりのところへ歩み寄った。

「何でくれないわけ?意味分かんないんだけど」

突然のことだった。
誰も穂乃香ちゃんが言うなんて思ってなかった。
みんな呆然としている。
わたしもすごくビックリした。

「穂乃香ちゃん・・・」

528:相原梨子◆x.:2018/03/22(木) 18:02

10.仲間割れ

すみません。
10.の後を書きました。

529:薫+*Mio+*◆v.:2018/03/23(金) 14:29

hello!いきなりコメントごめんね。
近日復帰!のお知らせなんだけど……。
梨子は卒業するんだね……。
梨子に言いたいこと(お願い)がいくつかあるから、またいつか聴いてくれる?
そして真美ちゃんたちも受験!頑張ってね‼
私は無事合格しました!梨子の言葉に凄く救われたよ。
応援してくれてありがとう!
それじゃあ!来れたらまた来るね!


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