カルとマヤの異世界記録

葉っぱ天国 > 創作 > スレ一覧 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701-キーワード▼下へ
1:なかやっち:2020/03/26(木) 12:56

小説として書いてしまっていたのでこちらに移しました💦

101:多々良:2020/04/02(木) 14:38

魔耶「すみませーん....誰か居ますか....?」
テントの中を覗いて見るが、誰の気配もしない。
魔耶「んー?おかしいなぁ....」
カルセナ「休憩中とか?」
魔耶「そうなのかな....でもこ今の時間帯に休憩するか?」
テントの支柱に掛けてあった時計を見る限り、まだ午前10時過ぎだ。街が活発になるこの時間に、休憩するなどあまり考え難い。
カルセナ「....誰も居ないんだったら入って良いんちゃう?」
魔耶「うーん、一回あっちの様子を見てみよっか」
魔耶達は、街や人の様子を確認するべく奥へ進んだ。

東街の街並みは北街と比べ少し小さいもので、人々の気配が殆ど無かった。
魔耶「人、全然居ないね....」
カルセナ「ちょっと怖いなぁ.....まさかのゴーストタウンだったりしないよね....」
又もやカルセナのビビりが発症しそうになっていた。
魔耶「んなまさか....取り敢えず、依頼先の住所まで行ってみよ。もしかしたら人いるかも」
カルセナ「そうね....そーしよう」
地図の住所を頼りに、目的地まで足を運ぶ。その道中では勿論、人っ子一人とも会わなかった。
カルセナ「おかしくないかあんまりにも!!マジで誰も居ないやん!」
魔耶「まぁまぁ落ち着けって....あ、ほら、あの家じゃない?」
その家に人が居ることを願い、ドアをノックした。
少し待っても、返事は帰って来ない。
カルセナ「....入ってみる?」
魔耶「そうするしか無いか....」
そっと出入口のドアを開けた。ギイィ....とドアの開く音が家の中に響いた。
魔耶「ごめんくださーい、お届け物でーす」

102:なかやっち:2020/04/02(木) 15:46

「シーン…」
カルセナ「…誰もいない…やっぱりゴーストタウンじゃ…!?」
魔耶「いやー、そんなことないと思うが…」
ゴーストタウンではないと思うが…街にも家にも人がいないのは流石におかしい。
何かあったのだろうか…?
魔耶「とりあえず、お届けものは玄関の前に置いておこうか。」
カルセナ「うん、そうだね…」
カルセナは青い顔をしながら荷物を置いた。


家からでて街を散策してみる。
やはり、人の気配がない。
魔耶「なんで人がいないんだろ…?なにかに襲われたにしては、破壊の跡とか争った形跡とかがないし…」
カルセナ「むぅ……あ、あそこ!!」
カルセナがなにかを発見したらしい。
カルセナが指している方向を見てみると、街の中央にある噴水の陰に誰かがいた。ガタガタと震えているように見える。
この街の人かも知れない…
魔耶「……」
カルセナ「あ、お、おい!もし幽霊だったら…」
カルセナの浮遊霊とは思えない発言を聞き流し、そっと噴水に近づいていく。
魔耶「こんにちは。なにかあったんですか?」
震えている物体に話しかけてみる。すると…
??「ひ、ひぃっ!やめてぇ!!」
叫び声が返ってきた。声の主が顔をだす。
??「殺さないで!!」
声の主はまだ幼い少女だった。目に涙をため、恐怖の色を浮かべている。

103:なかやっち hoge:2020/04/02(木) 17:08

[はっ!浮遊霊じゃねぇ!浮幽霊かっ!1時間後に気づく私。]

104:多々良:2020/04/02(木) 18:43

【ドンマイww】

105:多々良:2020/04/02(木) 19:07

カルセナ「....何?ど、どうしたの....?」
幽霊じゃない事を悟ったカルセナが魔耶に近付く。
魔耶「人だよ、多分この街の子。大丈夫落ち着いて、私達は危険じゃ無いよ」
???「........」
魔耶がそう説得するが少女は無言で、震えが止まる様子は無い。
カルセナ「女の子....?一体何でこんな所に一人で....家族とか居ないのかな」
魔耶「分からない....とにかく、今は情報を聞くことは出来なさそう。落ち着くまで待とう」
カルセナ「それだったら、こんな得体の知れない街じゃなくて北街に連れて行けば....」
魔耶「いや、無理に刺激を与えない方が良いと思う。パニックになっちゃったら大変だし」
カルセナ「そっかー....」
二人は少女と一定の距離を取って噴水の縁に座り、少女が落ち着くのを待った。
周りを見渡しても、やはり誰も居なさそうだった。
魔耶「一体この街に、何があったんだろう.....」
カルセナ「この街を襲うより、北街とか襲った方が自分達にとって得ありそうなのにね」
魔耶「そんな事言うなー、失礼だろこの街に」
カルセナ「う、すいません.....」


暫くすると、後ろからか細くて少し震えた声が聞こえた。
???「.....悪い人じゃ....無いんですか.......?」
位置は変わっていないが、少なくとも震えはちょっとだけ収まっているっぽかった。
魔耶「うん、貴女に危害は加えないから。だから安心して」
???「......そう....ですか」
カルセナ「ねぇ魔耶、出来れば何か聞いてみようよ」
魔耶「そうだね......あの、その場所で良いから聞いてくれない?」
少女を見ると、小さく頷いていた。

106:なかやっち:2020/04/02(木) 20:35

魔耶「まず、お名前を聞いてもいいかな?」
??「私…めぐみと言います。」
カルセナ「めぐみちゃんかぁ。めぐみちゃんは、この街に住んでるの?」
めぐみが小さくうなずく。
不覚にも、その様子をみて(小動物みたいだ…)なんて思ってしまった。
めぐみ「あの…あなた達は…?」
魔耶「あ、そう言えば名乗ってなかったな…」
カルセナ「先に名乗るべきだったね〜。私はカルセナ=シルカバゼイション。長いからカルとかカルセナとかでいいよ〜。んでこっちのが…」
魔耶「こっちのとか言うなよー。私は彩色魔耶。よろしくね」
めぐみ「よ、よろしくお願いします…」
お互いに名前を言い合ったことで警戒心が薄れたようだ。
噴水の陰から出てきて、私達の横にちょこんと座る。
魔耶「めぐみちゃんのお父さんとかお母さんは?いないの?」
私の質問に、めぐみは俯いて首をふる。
カルセナ「そっか。お父さんとお母さんはいるんだね。今は何処にいるの?」
めぐみ「……分からないんです…」
めぐみの瞳から涙があふれる。
めぐみ「いきなり、消えちゃったんです…」
カル魔耶「消えた…!?」
私達の言葉にコクンとうなずくめぐみ。
めぐみ「街のみんなも、みんな…消えちゃって…」
カルセナ「消えたって…どういうこと…?」
めぐみ「みんないきなり…水色の光に包まれて…」

めぐみの話をかいつまんで説明してみると、こんな感じだ。

めぐみは人々がいなくなる少し前、街の子供達とこの噴水の近くで遊んでいたらしい。人々もたくさん通っていて、いつもと変わらない光景だったという。天気も雲ひとつない快晴だった。
…だが、時計が10時を回った頃…急に空が暗くなり、太陽の光は黒い雲に阻まれた。その雲は雷を纏っていて、街に雷が落ちたという。
何故かその雷は黄色ではなく水色の雷で、一瞬にして街が水色の光に包まれた。
そして、光が消えたころには、みんないなくなっていたという。

107:多々良:2020/04/02(木) 23:22

カルセナ「何それ.....にわかに信じられん....」
めぐみ「それで......何か良く分からないけど、人みたいなのが空に見えたんです....信じて貰えないかもしれないけど」
人の様なもの....?という事は、それが幻覚で無かったら、何者かが意図的にしたと言う事になるのか?だとしたら何が目的なのか?何故めぐみだけを取り残した?疑問は生まれてくるばかりだった。
魔耶「....どんな感じだったか、覚えてる?」
めぐみ「....分からない.......でも凄く怖かった事だけは、覚えてるんです....」
めぐみは思い出しただけで凄まじい恐怖に襲われる、嫌な記憶を植え付けられてしまっていた。
魔耶「.....カルセナ、やっぱり一度この子を北街に連れてこう」
カルセナ「へ?そりゃまた何で?」
魔耶「ここに取り残して行く訳にもいかなくなったでしょ?あと、東街を襲ったものの調査もしたい」
カルセナ「うぇ!?前半はまぁ賛成ではあるけど....私達が調べんの?絶対危険だって〜....」
魔耶「もぅ.....私達は何回危険な場面に遭遇したと思ってるの?今は運が回ってきてるし、大丈夫な筈。行動に起こさなければ物事は進まないんだから!ね?」
カルセナ「うぅ〜.....分かったよ〜」
魔耶「....と言う訳で、めぐみちゃん。今から安全な所に行こう?私達が付いてるから、心配しないで」
めぐみは暫く考え込んだ後、二人を信じたのか大きく頷いた。
魔耶「よし、決まり!!....じゃあカルセナ、めぐみちゃんをおんぶしてあげて」
カルセナ「.....あ、私?」
魔耶「カルセナの方が背高いし、私地図見ないといけないんだから」
カルセナ「地図って....真っ直ぐ飛ぶだけじゃ無かったっけ?まぁ良いや....」
めぐみの前にしゃがみこんで、小さな体を背中に背負った。
カルセナ「よい....しょっとー、ちょっと飛ぶけど絶対落とさないからねー。さぁ魔耶さん、先導お願いしますよ〜」
魔耶「よし、じゃあ戻ろうか」
そう言って地面を蹴り、二人は北街方面へと飛び立った。
上空まで上がると、めぐみは驚いた目で地上を見渡していた。

東街の奥の方には、黒く分厚い雲が掛かっていた。まるでそれは、めぐみを連れた二人を見送るかの様に見えた。
そんなものに二人は気付かず、北街へと真っ直ぐに、安定した飛行で向かって行った。

108:なかやっち:2020/04/03(金) 10:53

魔耶「ふぅ。着いたね。」
カルセナ「この街は無事なのにな…なんで北街…?」
道中は特になにもなく、無事に北街に着くことができた。
カルセナの後ろでめぐみが小さく「わぁ…」と言っているのが聞こえる。
魔耶「まぁ考えたって分かんないし…。めぐみちゃんをひまりとみおに預けといて、また東街に戻ろうか。なにか手がかりがあるかもしれない。」
カルセナ「せやな。りょーかい」
街の中央でスタっと降り立つ二人。それを見ていた街の人々の歓声が上がる
カルセナ「……人はちゃんといるね〜。元気いっぱいだぁ。」
呆れたような顔をしてあたりを見回すカルセナ。
私もその言葉に同意して、嬉しいような恥ずかしいようなため息をつく。
ひまり「お帰り〜。ファンのみんなにお出迎えされて羨ましいわ〜♪…あら、その子は?」
魔耶「いやー、実は…」
東街であった出来事をひまりに話す。
ひまり「そんなことが…!?やっぱりあなた達ってなにかしらのトラブルに合うのね…」
カルセナ「真顔でそんなこと言わないでくれよ…自覚してるから。」
魔耶「そういうわけで、この子頼める?」
カルセナにピタリとくっついているめぐみを指指す。
緊張しているようだ。
ひまり「分かったわ。めぐみちゃん、お姉ちゃんと遊ぼうか?」
流石司会者、子供の相手はなれているようだ。少し話しただけでめぐみはカルセナから離れてひまりの方へ行った。
魔耶「んじゃあ、行ってくる。よろしくね〜」
カルセナ「うちらが帰ってこなかったら成仏したと思って〜」
魔耶「縁起でもないこと言わないでくれよ…」
二人のいつものやりとりにクスクスと笑うひまり。
ひまり「えぇ、いってらっしゃい。気をつけて!」


カルセナ「ふぅ。また東街に戻るのか。なかなか疲れるな〜」
魔耶「そんなこというなよ。私だって疲れてるんだか…ら…」
カルセナの一言に文句を言おうと後ろを振り返った瞬間、北街の真上に分厚い雲がかかっているのが見えた。さっきまでは晴れていたハズ…!?
カルセナ「…?どうかした?」
私が後ろを見ながら固まっている様子を見て、カルセナも後ろを見てみる。
カルセナ「なっ…!うそ…」
めぐみの話が本当なら…!
魔耶「カル、街に戻ろう!!」
雷が落ちたら、みんな…!!
カルセナ「うん!みんながいなくなる前…にっ!?」
突然、あたりが水色に包まれた。

109:なかやっち hoge:2020/04/03(金) 10:55

[なんで北街…?じゃなくて、なんで東街…?っす。ついに混乱しはじめたか…(汗)]

110:多々良:2020/04/03(金) 12:09

魔耶カル「.........っ!!?」
突如放たれた水色の光を直視出来ず、思わず目を覆ってしまった。目を覆ってもなお、瞼を通り抜けて来る様な眩い輝きだった。そう思った途端、今度は目の前が暗くなり始め、やがて目の前が暗闇に閉ざされた。二人はそっと目を開けて北街を確認した。

一瞬の出来事だった。自分達に歓声を送っていた人々の姿は消え、東街の様な静けさが訪れていた。今回ばかりはめぐみも消え、めぐみを抱っこしていたひまりも、それを見ていたみおも居なくなっていた。そんな光景に、二人は唖然とした。
魔耶「.......嘘....」
カルセナ「えっ.......み、皆が....」
語彙力を失ってしまう程の衝撃だった。そんな二人を尻目に、黒い雲は南西へ進路を進め始めた。
カルセナ「あっ、魔耶!あれ!!」
魔耶「っ......!追いかけよう!!」
幸いにも雲のスピードはあまり速くなかった為、急いで追いかけた。

雲の後を追いながら、魔耶が呟いた。
魔耶「あの雲の中....と言うか側に、誰か居た。絶対見間違いなんかじゃ無い.....」
カルセナ「じゃ、じゃあめぐみちゃんの言ってた事は本当だったのか....?」
魔耶「恐らくね....何とかして、あれを止める事は出来ないのかな....」
カルセナ「あんな凄い現象を止める事なんて出来んのかなぁ....あの雲の真下に入ったら、一発アウトやん....」
魔耶「分かってる....何か、何か方法は....?」
そこから、暫くの沈黙が続いた。
カルセナ「う〜ん........そいつ捕まえる....とか...」
魔耶「捕まえる?どうやってそんな....」
カルセナ「ん〜....魔耶はその人影、いつ見えたの?」
魔耶「えっと.....雷が落ちた直後....かな?」
カルセナ「落ちる前には見てない?」
魔耶「見てない....てか、人影が無かった訳じゃなくて、ただ単に私が見てなかっただけだったな....」
そう。雷が落ちる寸前はカルセナに呼び掛けていた為、魔耶は雲を見ていなかったのだ。
カルセナ「じゃあさ、そいつが雷落とす寸前に出てくるって事にして、そん時に捕まえれば良いんじゃない?....って思ったんですがどうでしょうか....あまりこーゆーのは得意じゃないし仮定なんですけど....もしそれなら、魔耶サンのスピードなら行けるかな〜って....」
カルセナが魔耶の顔を伺いながら提案した。

111:なかやっち:2020/04/03(金) 12:59

魔耶「うーむ…たとえ雷が落ちる前に捕まえられたとしても、そのとき私に雷が直撃したら終わりなんだけどね〜…雷は光の速さだから流石に避けられん。」
カルセナ「じゃあ…どうするの?」
魔耶「…雷に、当たってみるか。」
カルセナ「…はぁ?」
魔耶の言っていることがわからなくて、一瞬頭が真っ白になる。
いやいや、当たったらどうなるのかも分からないのに。もしかしたら死んじゃうかも知れないのに。無謀すぎるよ。
魔耶「あ、安心して。私が当たるワケじゃないよ。私のつくったお人形さんに当たってもらう。」
魔耶の言葉にホッと安心のため息をつく。
カルセナ「んでも、そのお人形?を当ててどうするの?」
魔耶「ふふっ、これこそが私の能力の便利なとこですよ。私が能力でつくったものは操れるし、つくったり消したり自由自在だし、つくったものの大体の位置もわかるんですよ〜」
なるほど、本当に便利な能力だと感心する。
つまり、魔耶がやろうとしていることは……
カルセナ「人形を雷に当てて、街の人がどこにいったのかを突き止める!ってことだね。」
魔耶「そういうこと!」
魔耶は自分の考えがカルセナに伝わって嬉しそうだった。
魔耶「あの光がただ人々を消してるだけとは考えにくい。だってなんのメリットもないからね。だったら、光に当たった人はどこかにつれていかれてる、っていうのが一番あり得そうじゃない。だから、能力で人々がつれていかれてる場所を探り、助けにいく!」
カルセナ「って考えだね。よし、それしかない!それにかけよう!」
魔耶の言葉を引き継ぐカルセナ。
こうして、この作戦を決行することになった。

112:多々良:2020/04/03(金) 13:35


そうこうしている内に、遠くに街らしき影が見えてきた。方向的に、西街とでも言うのだろうか。
カルセナ「あっ、街じゃないあれ?魔耶!!」
魔耶「はいよ、西街の皆さんごめんなさい!でも後で必ず助けるから...!!お人形、召喚っ!!」
魔耶は、自分と似た羽を生やした小さな熊のぬいぐるみを作った。
カルセナ「わー可愛い〜」
魔耶「行けっ、熊さん!」
ぬいぐるみを全速力で飛ばし、西街へと向かわせた。
魔耶「さて、これで準備はOK.....巻き込まれない様に離れてよう」
カルセナ「おお、見過ごすのは何かやっぱ罪悪感あるなぁ....」
魔耶「仕方無いよ....雷が当たったら、直ぐに調査を進めるね」
カルセナ「お願いしますわ」

少し遠くで待つと、西街の真上に稲妻を纏った黒い雲が流れて来た。
魔耶「来るよ.....!」
その瞬間、西街に大きな音と共に水色の雷が落ちた。
魔耶カル「うっ.....眩しいっ....!!」
光が収まり目を開けると予想通り、やはり誰一人として西街に残っていなかった。
カルセナ「二回目見ても、やっぱ酷いものだなぁ....」
魔耶「だね.....じゃあこれから、調査を始めるね」
そう言い、魔耶は静かに目を閉じた。かなりの集中モードに入っている様だ。
魔耶「.....ここはどこ?結構暗い所だなぁ.....沢山の人がここで倒れてる。多分意識を失ってるだけだと思うけど....」
カルセナ「雲の中なのか、はたまた別のとこなのかね......」
魔耶「分からないけど....雲の中とは思えない様な.....何か、建物の中みたい」
カルセナ「はぇ〜....主犯はそこには居なさそう?」
魔耶「うん、動いてる人影は今のところ無し....かな」

113:なかやっち:2020/04/03(金) 14:47

その後10分ほど観察してみるが、特になにも動きはなかった。
魔耶「うー…なんも変化がないんだけど…」
カルセナ「扉とか窓とかないの?」
カルセナに言われて、壁の方へと視線を動かしてみるが…真っ暗でよくわからない。
魔耶「ダメだ〜…暗くて見えないよ〜」
カルセナ「むぅ…そうか…」

それからまた5分ほど経過した。
魔耶「…疲れた。」
カルセナ「頑張れよ〜」
暗くてなにも見えない部屋をずっと除きこみ、熊さんを操っているのだ。体力的にも精神的にも疲れてきた。
…と、そのとき。真っ暗であるハズの部屋に切れ込みが入った。
そこから黄色い光がもれていて、ずっと暗い部屋を見ていた魔耶にはとても眩しく感じられた。
??「ここの人間は西街の人間、だっけか?」
??「そうらしいぜー。さっさと運んじまおう。」
光をバックにして黒い二つの影が姿を表した。
服装は兵隊のようで、部屋にいた人を光あふれる部屋にせっせと運びだしている。声的に男だろう。
気づかれたら大変だと思い、近くで気絶していた人のフードに熊さんを潜り込ませた。
カルセナ「その二人が犯人かな?」
魔耶「いや、違うと思う。下っぱって感じがする。」
カルセナ「下っぱ…じゃあ、犯人は大きな組織なのか…!?」
魔耶「かもね。なにが目的なんだろ…」

114:多々良:2020/04/03(金) 16:23

カルセナ「まさかの大人数だとしたら....うー怖いなぁ....」
魔耶「今回ばかりはカルセナに同情するわ.....あっ、動き出したっ」
どうやら、ぬいぐるみ入りの服を着た人が運び出されている様だ。
カルセナ「マジ?何か見える?」
魔耶「フードの中に入ってるから、流石に見えないけど....声は聞こえる」
話し声をしっかり聞き、情報を漏らさない様に集中する。
???「....て言うかこんなに人間を集めるなんて、相当な趣味をお持ちだな」
???「馬鹿、聞き取られたらどうする。「あのお方」の手に掛かれば、お前なんか一捻りだぞ」
魔耶「....あのお方?私が見た人の事かな」
カルセナ「もしかしたらそいつも使いで、もっと上が居るかもよ」
魔耶「あー、そうかもね〜.....」

暫く運ばれ続け、着いた先を見た魔耶が声を発した。
魔耶「うわっ!?」
カルセナ「わっ!!ど、どうしたの?」
魔耶「何だろこれ....水の中......?」
運び込まれた先は、大きな倉庫の様な部屋にある液体の中だった。沢山のカプセルが並べられ、その中に液体が入っていると言う感じだ。その様子を見るに、実験室っぽかった。
魔耶「むむ....培養液か何かかもしれない.....一人一人カプセルに入れられてる」
カルセナ「え!?いや、こっわ!!.....つまり皆生かされてるって事?マジで何が目的なんだよ....」
魔耶「うーん.........あ、誰か来る!」
魔耶は急いで人の影にぬいぐるみを隠した。少しして、カプセルの前を二人の影が通り過ぎた。
???「....作業の方は順調に進んでいるか」
???「勿論でございます。現在、西街の人間を運び込んでいる所です」
???「ふん....宜しい、早急に完了させるが良い」
???「はっ、かしこまりました」
魔耶「....ちょっと偉そうな人がおる」
カルセナ「おー、黒幕だったら話が早いけど」

115:なかやっち:2020/04/03(金) 17:30

魔耶「いやね、こういう奴は上の中くらいの敵だったりするのよ、ゲームでは」
カルセナ「ゲームの話じゃねぇか。」

??「ふぅ、なかなかいい具合ではないか。これなら、きっとあのお方もお喜びになる。」
魔耶「だって!ほら、やっぱりゲーム的な感じになってるんだ!てゆーかあのお方とかマジベタだよね!私だったら…」
カルセナ「集中してろ。」
ゲームから離れない魔耶を無理矢理集中させる。いつもと立場が逆じゃないか…
たぶんいろんなことがありすぎて、一周回って興奮してるんだろう…と、適当に推測する。
魔耶「あ、すみません…。まだなんか話してる。」
再び耳をすます。
??「さて、実験体はこのくらいでいい。逆に多すぎるとめんどうだ。」
魔耶「この上の中くらいの人は女かな〜?声はそこまで低くない。」
カルセナ「ほう、なんか意外。悪=男って感じするのに。」
魔耶「そうか?」
??「さて…早速実験を…………?」
たぶん下っぱ「?…どうしました?」
??「この部屋から少しだけ魔力を感じる…ような…」
魔耶「!!」
足音がだんだん近づいてくる。
きっと、魔力とは熊さんのことだ…!
熊さんの少しだけある魔力を感じとったのか、この人!
??「ここら辺から…」
魔耶「わあぁぁ!」
見つかりそうになって熊さんを消してしまった。
カルセナ「!?…なになに、どうしたの?」
魔耶「ごめん…危なくなったから、熊さん消しちゃった…」
カルセナ「見つかりそうになったってこと?」
魔耶「うん……まさか魔力を感じ取れるとは〜…」
ガックリと肩をおとす。
魔力を感じ取るのは結構な努力が必要だ。しかも、こんな小さな魔力を感じ取れるなんて並大抵の努力ではできないだろう。
魔耶「もう少し情報が欲しかったけど…しょうがない、乗り込みますか…?」
カルセナ「場所は?わかるの?」
魔耶「大体の場所は覚えてる。」
少し不安を感じる。敵は大きな組織かも知れないのに、女二人で乗り込むなんて危険だ。
…でも、私達以外に街の人を救える人(?)はいないだろう。
カルセナ「…よし、敵をぶったおして英雄になってやりますかね〜」
魔耶「それでこそカルセナだ!!ひまり達を助けよう!」
カル魔耶「おー!」

116:多々良:2020/04/03(金) 19:00

カルセナ「まぁぶっ倒せる様な魔力も能力も運動神経も無いけどね。どうしましょ」
魔耶「おいおい....でも未来読めるやん?」
カルセナ「読めても運動神経ないと何も出来んからね〜」
魔耶「そうか....?んまぁ、何か思い付いたら言ってくれ」
カルセナ「りょー。じゃあ案内して下さいや魔耶さん」
魔耶「おぉ、魔力の位置的に多分こっちかな?後について来るんだな!」
カルセナ「あいあいさ〜」
そうして二人は敵の陣地へと潜入するが為、目的地へと向かった。
魔耶「ん〜....結構遠いかもしれない.....」
カルセナ「やべえな.....スタミナ持たんかもしれんわ」
魔耶「じゃあ途中で休憩挟みながら行こう。くたくたで敵地乗り込んでも返り討ちに合うだけだからね」
カルセナ「やったー、流石魔耶さーん」
向かっている途中に色々な事を相談....と言うより雑談した。
魔耶「はぁ〜、敵は一体どう言う能力使って来るんだろう....二人の能力でも敵わなかったらどうする?」
カルセナ「それは....どうしようかね.....ワンチャン助っ人呼べないかな?」
魔耶「いや誰呼ぶんだよー」
カルセナ「う〜〜......ニティさんとか?」
魔耶「こんな距離だよ?直ぐに来れないでしょ」
カルセナ「むぅ....神だからもしかしたらと思ったけど....」
魔耶「最悪、一度撤退するって言う手もあるからな.....まぁあんまり気にせず行こうかな....」
カルセナ「そうそう、魔耶サンならそんな敵ワンパンっすよ〜!」
魔耶「....何か馬鹿にしてる?」
カルセナ「まっさか〜♪」

そんなこんなで、魔耶が言う目的地に近い場所まで来ることが出来た。かなりの時間が掛かり大変だったが、休憩を何度か挟んだ事によって二人の体調に変化はほぼ無かった。

117:なかやっち:2020/04/03(金) 20:26

魔耶「なんか建物があるね。たぶんあそこだ」
カルセナ「ほう、そこまで大きくはないね?」
敵の基地とみられるところを発見した。
カルセナの言う通りそこまで大きくはない建物だ。一軒家を一回り大きくした感じで、入り口には見張りがついていた。
魔耶「見張りがいるな…どうしよう…」
カルセナ「あ、いい方法があるよ!」
カルセナがなにか閃いたようだ。凄く笑顔だったので嫌な予感がしたが…カルセナの案を聞いてみた。
…予想通り最悪な案だった。だが、やってみるしかないか…


魔耶「す、すみません…」
いつもの青い服ではなく、ただの少女のような格好をした魔耶は見張りに話しかけた。
見張り「あ?なんだてめえは?」
勿論警戒される。
魔耶「じつは私のペットがいなくなっちゃって…知りませんか?」
見張り「俺が知るわけないだろ!ガキはさっさと帰れ!!」
魔耶「そうですか…あ、熊三郎!」
そういって適当な方向に指を指すと、つられて相手もその方角をみた。
見張り「はぁ?…どこに?」
魔耶「ていっ」
視線を外した隙に、見張りに回しげりを仕掛ける。
見張り「ぐはっ………(バタッ)」
カルセナ「さっすがー!!」
魔耶「…乗るんじゃなかった、この作戦…ハァ…」
カルセナがおもいついた作戦とは、ただの少女のフリをして見張りに近づき、不意をついて倒すというものだった。
魔耶「しかも熊三郎って何だよ…」
カルセナ「熊三郎は熊三郎だよ。ねぇ、この人の服拝借しよう。そして侵入しよう。」
魔耶「はいはい。カルセナ用もつくっておくよ。」
自分は見張りの服を拝借し、カルセナには私がつくった、見張りの服そっくりの服を着てもらった。
カルセナ「いいねいいね!なんかスパイみたい!よし、侵入だぁ!」
魔耶「なんでそんなにテンションがあがってるのよ…」
でも、そんないつものカルセナを見て少し安心できた。
カルセナの後ろに付いていき、建物に侵入する。

118:多々良:2020/04/03(金) 23:20

中は意外と普通の作りになっており、二階へと続く階段は正面玄関の真ん前に位置していた。
カルセナ「この大きさの家みたいな所に、街の人達が全員入る訳無いよね....」
魔耶「もしかしたらこの地上の家はハッタリで、どっかに地下とかがあるのかも」
二人は不審な動きを悟られない様、ひそひそ声で話していた。
カルセナ「あり得るな〜....てか自分で言って気付いたけど、変装して気付かれないのってアニメだけじゃね?」
魔耶「まぁ、そうだよ。そりゃあねぇ....」
カルセナ「え、ヤバくね?」
魔耶「うん、かなりヤバい。いやカルセナが言ったんだからねこの作戦?」
と、先程の見張りの仲間だろうか。背後から急に声を掛けられた。
仲間(敵の)「おいそこ!!何やってんだ、今は仕事の時間だろ!!」
魔耶カル((やっべええぇ!!))
カルセナ「あ、す、すみません!!」
仲間「ったく、通りでそれぞれの部の人数が足りねぇ訳だ....にしては一人多い気もするが」
結構バレないものなんだなぁ.....二人はそう感じた。
魔耶「かっ.....数え違いですよきっと!!」
仲間「まあ良い、取り敢えずそこの金髪の野郎」
カルセナ「はっ、はい!!」(金髪の野郎って....)
仲間「お前はそっちの部屋で荷物運びだ、行け!!」
カルセナ「えっ、あっ....わ、分かりましたぁ.....」
突然の命令に戸惑い指定された部屋に向かいながら、魔耶をチラチラと見た。
それに対して魔耶は、大丈夫、と言うかの様な視線をカルセナに送った。
カルセナ(大丈夫だよね....また会える筈......)
そうしてカルセナは奥の部屋へと姿を消した。残った魔耶に、敵の仲間が命令した。
仲間「お前は地下で機械の点検だ」
魔耶「はい!あ、あの.....地下階段ってどこでしたっけ.....まだ、その、新入りなものでして〜....」
仲間「こんくらい早く覚えやがれ!!左の通路曲がってすぐにあるだろ!」
魔耶「すっ、すみません!!今すぐ向かいます!」

こうして、二人は離ればなれになってしまった。だが、気になっていた地下へ行けるのはラッキーな方だと、魔耶は思ったのだった。

119:なかやっち:2020/04/04(土) 11:39

魔耶「んーと…ここかな?」
階段から降り、辺りを見回してみる。
魔耶「…!?」
と、そこには思わず目を疑うような光景が広がっていた。
まず目に入ったのは巨大なカプセルで、中の緑色の液体と一緒にドラゴンが入っていた。
前に見た飛竜とは違う。翼はあるが飾りのように小さくて、大きな体は濃い緑色の鱗でおおわれている。
魔耶「なんで、ドラゴンを…?」
謎がより深まった。
3つの街の人々とドラゴン。こんなものを使ってなにをしようというのだろう。
??「ほんとですよね。こんなものを使って、あのお方はなにを企んでいるのやら…」
魔耶「!!」
いつの間にか、私の隣に少女がいた。
人間で表すと17歳くらいだろうか。
長い藍色の髪にちょこんとけもみみが生えていて、着物をアレンジした和風な服を着ている。
??「申し遅れました。火憐柚季(かれんゆずき)と申します。あなたのお名前は?侵入者さん。」
笑顔で侵入者と呼ばれて驚く。この人は敵のハズ。なのに、その笑顔には敵意が見られなかった。

…妖艶な雰囲気を醸し出すこの少女は一体何者だろう?

120:多々良:2020/04/04(土) 14:45

カルセナ「すみませ〜ん、手伝いに来ましたー....」
指定された部屋に入ると、そこでは男女問わず沢山の敵が荷物運びやその整理を行っていた。
カルセナ(わぁ広い部屋.....)
敵「おせーよ!何やってたんだ!!早くこっち来て、これ運べ!!」
カルセナ「はーい、分かりました〜」
運べと言われた箱を持ってみて驚いた。
カルセナ(よっ....!?何これ、めっちゃ重っ.....!!)
箱の重量感、そして感触や中身の音で大体察した。どうやら何らかの機械の部品だろう。
カルセナ(それにしても、こんなに沢山.....)
ともかく、他の人達が運び続けている方向へ箱を持って移動した。
カルセナ(いやマジで重いなこれ.....)
???「こんにちは、新入りさん」
不意に、近くで同じ仕事をしていた子に話し掛けられた。
カルセナ「はっ?あぁ、こんにちは....あの......?」
???「いきなりごめんなさいね。私の名前は.....って名乗りたいけど、生憎私達の階級では互いに名乗る事を禁じられているのよね」
カルセナ「あ、そうなんですか.....いやっ、そう言えばそうでしたね〜....」
知らない事を言われて、無理矢理誤魔化す。
???「貴女は何番?」
カルセナ「え?」
???「私達はコードネームで呼び合うでしょ?何番って言われたの?」
カルセナ「えーっとぉ....忘れました.....」
???「もう、忘れちゃったら呼べないじゃない!!因みに私は8番。適当に番号で呼んで良いよ」
カルセナ「あ、ありがとうございます....あの、番号って何か意味があるんですか?」
8番「ええ勿論。番号が小さくなっていく程、上の人達に実力が認められている証拠。この階級、約30人の中でも私は8番目に強いってことよ」
30人中8番目と言う事は、中々の実力者だ。カルセナはその子にますます興味を持った。
カルセナ(あわよくば、何か情報を聞き出せるかも.....)

121:なかやっち:2020/04/04(土) 15:19

魔耶「あっ、えっと…私は侵入者なんかじゃありませんよ?ど、どなたかとお間違いじゃないでしょうか…?」
今侵入者とばれるわけにはいかないと、あわてて誤魔化そうとする。
柚季「あら、そうだったんですか?ごめんなさいね。じゃあ、あなたは何番なんですか〜?」
柚季がにっこりしながら聞いてくる。
番号なんて分からない…誤魔化しようがない。適当な番号なんて言ったってすぐにバレるだろう…
魔耶「あー…えっとぉ、番号はぁ〜…」
それでもなんとか誤魔化そうとするが
柚季「やっぱり侵入者さんなんですね!お名前はなんですか?」
と遮られてしまう。
…だが、この人に敵意は無さそうだ。しょうがない…
魔耶「魔耶…彩色、魔耶です…」
柚季「まぁ、素敵なお名前ですね!魔耶さんはどうしてここにいるんですか?」
魔耶「あなた達が街の人を連れ去ったからですよ。みんなを返してもらいにきたんです」
軽く柚季を睨み付けてみるが、柚季はそれに気づいているのかいないのか「そうなんですね〜」なんて言っている。
しかも、にこにこの笑顔で。
柚季「あのたくさんの人たちは連れ去られた人たちだったんですね〜。なるほど、納得です。」
…?敵なのに、知らなかったのだろうか?
魔耶「いやいや、白々しい態度はやめてくださいよ。敵なのに知らない訳ないじゃないですか。それに、私は侵入者なんです。さっさと仲間に知らせたらどうですか?」
柚季「私はみなさんがやっていることに興味がありませんから。ただ誘われたからここにいるだけです。それに、たとえ私が知らせたって冗談だとでも思われるんじゃないでしょうかね。」
…なんでここにいるんだよ、この人…

122:多々良:2020/04/04(土) 17:24

カルセナ「えっと、8番さん....?さっき上の人達って言ってたけど、どんな人が居るんですか?」
8番「あら、まだ知らない?じゃあ説明してあげる。この組織は3段の階級で構成されてるの。私達が配属してる階級は一番下で、俗に言う雑用みたいなものね。この上の階級には、3人の幹部が配属している」
カルセナ「えっ、たった3人しか居ないんすか?」
8番「ええ。三人共女性の幹部で、人間離れした強さを持ってるわ。なんたって、ここのボス直属だからね」
カルセナ「へぇ....あっ、そうだ、ここのボスってどんななんですか?」
8番「詳しくは分からない....けど、見た目だけは知ってる。一回だけ見たことがあってね....」
カルセナ「やっぱり、強そうでしたよね....?」
8番「それがね.........直属の幹部とは違って何の圧も感じられなくて、言ってしまえば私達と同じ、ただの人間の少女に見えたわ」
一番上の立場なのに、三人の強い幹部の上に就いているのにそんな....何も気配を感じないとはどういう事なのか。
8番「わざと圧力を隠しているのか、それともそれが自然体なのか....私には見抜けなかった。それ程のお方よ」
これを聞いて、潜入したのを後悔するかの様な気持ちが頭を過った。
カルセナ(いやいやダメダメ、街の人達を助けるんだ....!!怖いけど....)
「あのー、その人達はどこに居るんですか?」
8番「普段は地下に居るわよ。フロアが4つあって、それぞれに幹部が一人ずつ配置されている。で、最下層の地下4階に私達のボスが居るわ。ボスは、滅多に地上に出てくる事は無いわね」
カルセナ(成る程、ボスは引き籠りか....じゃあどうにかして地下に行く方法を見つけないとな....)

123:なかやっち:2020/04/04(土) 17:59

魔耶「え、えっと…柚季さんはここではどういう役割を?」
侵入者がいたと知らせても冗談だと思われるほどの影響力。なのに地下でのんびりと話し、咎められてもいない。下っぱには見えないし…どういうことをしているのだろう。
柚季「なにもしていません。なーんにも。ここにいるだけです。一応かんぶ?って役割らしいんですけど、なんでしょうね?」
魔耶「えっ、幹部…!?」
目の前の少女が幹部だということにも驚いたが、幹部を知らないこと、幹部なのにここで侵入者とまったりと話をしていることにも驚いた。
魔耶「幹部なのに…こんな感じでいいんですか…?」
半分あきれながら言う。
柚季「かんぶってなにをすればいいのか分からないのですよ〜。他の人に聞いてみても、この部屋にいればいいとか言うし!」
魔耶「…他の幹部はいないんですか?いるんだったらその人をマネすれば…」
柚季「人のマネってなんか嫌なのですよね〜。他のかんぶは侵入者を追い出したりでもしてるんじゃないですかね?」
魔耶「…その侵入者がいまここにいるんですけど?」
自分を指差してあきれ顔で聞いてみる。
柚季「私は戦うのはイヤなんですよ〜。あなた悪い人じゃなさそうですし。」
…なんだ、この人。
幹部なのに侵入者と話し、仲間がやっていることに興味をもたず、あげくのはてに侵入者を悪い人じゃないという。
魔耶「…幹部から降格するんじゃないですか、そのうち。」
柚季「あら、それはないですね。こんな私でも戦いの腕は認められているので〜」
魔耶「でも戦わなかったら意味なくないですか?」
柚季「それもそうね〜。こんどからは戦うわ。たぶん。」
そのセリフは絶対やらないやつだろう…。 
…この人に敵意はないし、協力してもらうことは出来ないだろうか。いや、仮にも幹部だし…たぶんダメだろうが、ダメ元で聞いてみる。
魔耶「あの…街の人々を救うのに協力してもらえませんか?幹部なら力もあるでしょうし…」
柚季「うーん、そうすると他のかんぶに怒られちゃうからな〜。直接的には協力できませんけど、情報くらいなら話しますよ〜。暇ですし。」
魔耶「マジですか!」
あまり信用しないほうが良いのだろうけど、この人から悪意は感じられない。それに、もし敵であればすぐに私を捕らえたであろう。
よく分からない敵の陣地の中で情報が得られるなら有難い。

124:多々良:2020/04/04(土) 18:50

カルセナ「あのー、その地下に行く方法とかってあります?」
8番「え?地下に?別にあるけど....何しに行くの?」
聞き方がまずかった。何しに行くかなんて聞かれても、本当の事を言える筈がない。
カルセナ「あっ!えっとー、ちょちょっと気になっただけで....で、どんな方法っすか?」
8番「方法は二つあって、一つが階段から降りる方法。んでもう一つが....あそこにエレベーターが見えるでしょ?」
カルセナ「んー?あ、ホントだ」
8番「そこから降りる方法よ。でも、あのエレベーターは幹部達が持っているカードキーが無いと動作しないわ」
カルセナ「成る程....」(じゃあ階段が良いかもな....)
納得したその直後、急にエレベーターが動き出した。
8番「....っ?エレベーターが動いてる....て事は...!!」
カルセナ「?...何?どうしました?」
8番「幹部が来るわ....!」
エレベーターはこの階で止まり、ドアが開いた。そして、中に乗っていた者が姿を表した。
カルセナ「あれが......幹部?」
出て来た者は、黒いローブを羽織り口元を隠している、白髪の幹部だった。
その瞬間、周りの敵が、勿論8番さんもその者に対してひれ伏した。カルセナも慌てて周りに合わせて膝を突いた。
ちらっと頭を上げ、その幹部の目元を見たときはぞっとした。蛇の様な、異様に鋭い目をしていたせいだ。
ひそひそと、8番さんに話し掛けた。
カルセナ「あれ....何て人?」
8番「静かに...!!地下二階配属、杜亰 逸霊(もりみや いそら)....!!」
カルセナ「二階ッ....!?」
一階の幹部とまだ顔を合わせても居ないのにいきなり二階の幹部とご対面するなんて思ってもいなかった。
逸霊「.......違う....別物だ.....」
何やら独り言を言っている様だ。
逸霊「.....この中に、侵入者が居る....」
カルセナ(.....えっ?)
それと同時に周りの敵も静かにざわつき始めた。
逸霊「隠したって無駄だ、匂いで分かる......今出てくるならば、惨殺せず楽に死なせてやろう」
カルセナ(.....ど、どうしよう....どうやって乗り切ろうか.....)

125:なかやっち:2020/04/04(土) 20:21

魔耶「ほうほう、カードキーでエレベーターを…」
柚季「これですよ〜」
柚季が懐からカードキーを取りだして見せてくれた。
少し暗めの赤に、黒色のラインが入っている。
柚季「私はめったに使わないんですけどね〜」
魔耶「そうなんですか〜。あ、そういえばさっき番号がどーのこーのっていってませんでしたっけ?」
柚季と出会ったばかりのころ、番号を教えてとか言われた気がする。あれはどういう意味なのだろう?
柚季「うーん、その人の強さ?って言えば分かりやすいですかね〜。数が小さいほど強い。ってだけです。」
魔耶「はぁ、なるほど〜」
数字が小さいほど強いのか。もしまた聞かれたら、適当に20番とか言っておこう。
柚季「他にあります?」
魔耶「んじゃあ、あのお方?ってどんな方で、どこにいるんですか?そしてなにが目的なんですか?」
柚季「あのお方は…めったに顔を見せませんね。会っても仮面をつけているので素顔は見たことありません。目的は知りませんが、捕まった方々は地下3階にいましたね〜。あそこは実験室なので、なにか実験するつもりなんでしょうね。」
魔耶「幹部でも顔を直接みたことないんですね〜。っていうか、あなた本当に興味ないんですね」
同じ組織にいながら、目的も知らないなんてそうとうな変わり者だと思う。
柚季「あたりまえじゃないですかー。」
あたりまえなのか…!?なんてツッコミを抱いてしまうが我慢する。
柚季「そういえば、あなたは一人でここに侵入してきたんですか?だとしたらすごい勇気がありますね〜。」
魔耶「いいえ、友達と一緒で…あっ!」
柚季「どうしました?」
ずっと話しこんでいて、カルセナのことを忘れていた!
あの人無事だろうか…武器のひとつでもつくってあげるべきだったな…
魔耶「いえ、なんでもありません!情報ありがとうございました!友達のところに向かわなくては…」
柚季「あら、そうなのですか?たくさんお話ができて嬉しかったです!また会えたら会いましょう。」
魔耶「はい!ありがとうございました!」
手を振る柚季をあとに、階段をかけ上っていった。
(あ〜、結構情報も得られたし…早くカルセナに話そう。)

126:多々良 何か長くなった気がするなぁ.....。:2020/04/04(土) 23:17

逸霊「.....自分から名乗り出ないと言うならば、こちらから向かってやろう」
そう言うと、まるで最初から侵入者が分かっていた様にカルセナの場所へと真っ直ぐ向かって行った。
カルセナ(こっちに来る....!!どうしよう、考えろ私!!)
遂にカルセナの目の前に逸霊がやって来た。
逸霊「面を上げろ」
言われるがままにすると、逸霊はカルセナの顔に掌を差し向けた。
逸霊「このまま拷問されたくなかったら正直に答えろ.........お前が侵入者だな?」
カルセナはこれまでに無い、物凄い威圧感を感じた。自分より背丈の低い者に威圧されたことは無かった。怖くなって体が小刻みに震えた。降伏してしまったら、迎えるのは死。だからと言って、今逃げようとしても私のスピードではどのみち死。そんな結末の物語だって事、とうに読めていた。分かっていた。察していた。でも、未来は変える事だって出来る筈なんだ。
カルセナ(考えろ、何か考えろ私....!!)
逸霊「.....答えぬつもりか?ならばもう一度聞く、これが最後のチャンスだ.....お前は侵入者か?」
さっきより強く威圧されている様な気がする。今すぐ魔耶の名を呼んで、魔耶に助けて貰いたい。......ちょっと前のカルセナなら、そう思っていただろう。だが今は違った。
カルセナ(助かる方法は必ずある....!!魔耶に頼ってるだけじゃ、駄目なんだ!!!)
暫くの沈黙が続き、逸霊が溜め息を吐いた。
逸霊「......答える事が出来ないのならば仕方無い.....今回は特別に、貴様は私の糧となって貰う」
逸霊は掌を下げ、隠していた口元を露にした。そこには鋭い牙が、血肉を求めているかの様に光っていた。
カルセナが読んだその先の物語は、既に幕を閉じていた。もう何も考えられなくなり、心の中で自問自答を繰り返した。

「ーー駄目だ....何も思い付かない。魔耶とは違うなぁ.....もっと色んな勉強しとけば良かったかな.....。」
「そうだよ、もっとたくさん色んな事をしておけば良かったんだ。」
「だね....もっと魔耶と喋りたい事、沢山あったのに......。」
「沈黙なんて要らなかったね。喉が枯れるまで話せば良かったんだよ。」
「うん....最後に、魔耶に伝えたかったなぁ......色んな事。」
「最後って、何の最後?」
「人生の最後にさ。最初は、そうだなぁ....ありがとうとでも伝えたかった。」
「.......何もう諦めてんだよ。」
「.....え?」
「お前はもう、死にたいのかよ。」
「.......死にたくない......そうだよ、魔耶とまだこの世界を冒険したいよ。」
「....そうか」
「....うん」

『ーーなら、私が外に出てやる。』

逸霊「終わりだ。お前のその体、私の血肉にしてやろう」
そうして、逸霊の牙がカルセナの首に食い込んだ。ーーそう思った。
???「オイオイ、勝手にこいつの人生終わらせようとしてんじゃねぇよ」
逸霊(私の鋭い牙が......素手で止められている!?)
その瞬間、逸霊は糧だと思っていた人間から引き剥がされた。
逸霊「っ.....!!.....貴様、何者だ....先程の奴とは違う匂いがするな」
体制を立て直して見た糧の姿は、肌や髪の毛以外がとにかく黒く、何とも言えないオーラを纏っていた。

???「ふん、そうだな.....ま、心の住人....って感じか?宜しくな、厨二病ちゃんよォ」

127:なかやっち:2020/04/05(日) 10:02

魔耶「カルセナどこにいるんだろ?確か…どっかの部屋で荷物運びとか言われてたような…」
地下から1階へ戻ってきた魔耶はカルセナを探していた。
もし人に見つかったら怒られるか怪しまれるかすると思うが、ラッキーなことに人がいなかった。
魔耶「ほんとに人いないな…いいことだけど…もしかして、自分の仲間も実験すんの!?」
人が居なすぎてそんなことすら考えてしまう魔耶。

ーと、通りかかった近くの部屋からざわめきが聞こえてきた。
魔耶「ん?」
気になって部屋の中を覗いてみる。すると…
??「心の住人……って感じか?宜しくな、中二病ちゃんよォ」
そこには、幹部と思われる人と対人してるカルセナの姿があった。
その様子はいつもとちがい、肌と髪以外は全部真っ黒。なにかオーラのようなものも出ている。
魔耶「いや誰やん!!」
つい大声でツッコミを入れてしまう。
ざわめきにかき消されて聞こえないだろうと思ったが、ドアの近くにいた人のほとんどが私の方を向いた。
と、その人達につられてカルセナ(?)もこちらを向いた。
カルセナ「おい、突っ立ってないでお前も手伝え!」
…いつもと違う、威圧感のある声。
私が仲間だということは分かるようだが、誰なのであろう?カルセナなのか?
魔耶「誰だかしらないけど…正体ばらさないでよ…」
ハァ〜とため息をつきながら下っぱの服を脱ぎ、いつもの青い服になる。
幹部「くっ…侵入者だ!!捕らえろ!!」
敵「はっ!」
まわりにいた人達が立ち上がり、私とカルセナにじりじりと近づいてきた。
カルセナ「お前はザコの相手をしろ!こいつは私がやる…」
魔耶「了解。あとで事情を聞かせてもらうよ?」
カルセナ(?)の実力は知らないが、幹部を一人で相手しようとするなんてよほど腕に自信があるのだろう。なんか強そうだし、幹部の相手は任せよう。
魔耶「じゃあ、一丁やりますか!!」
双剣をつくりだし、まわりの敵に向かって突っ込んでいった。

128:多々良:2020/04/05(日) 11:15

カルセナ「さてと....お前の相手は私だ、厨二病」
逸霊「.....中々珍しいタイプの個体だな。良かろう、そのまま生け捕りにしてボスに献上してやる」
攻撃体制になったかと思えば、逸霊は髪の毛を伸ばし始めた。やがて、その髪の毛の先は蛇の頭に変化していった。
カルセナ「んん....何だ?気持ち悪ィ奴だなお前」
逸霊「言葉に気を付けた方が良い.......体を気遣う様ならばな!」
逸霊はカルセナに向かって蛇を飛ばして来た。噛まれる寸前でとっさに蛇を掴んだが、その力は強く、両手で押さえ込まないとすぐにでも攻撃して来そうな程だった。
逸霊「....良い判断だ。横に避けたら容赦無くお前に噛み付きに行かせていた」
カルセナ「遠距離でも自在に操れるってか.....チッ!!」
押さえている蛇と髪の毛をすぐさま千切った。蛇は髪の毛と離れると、暫くして消えていった。髪の毛の方はと言うと、千切れた部分からまた直ぐに蛇が再生していた。
逸霊「無駄だ。私が意識している限り、無限に再生し続ける」
カルセナ「本体をぶっ倒さねーとキリが無ぇって事だな....」
逸霊「御名答。まぁ、そこまでなら幼い子供でも簡単に分かるだろう....」
カルセナ「....そこまでなら?」
カルセナが疑問の表情を顔に出すと、逸霊は薄ら笑いを浮かべた。
逸霊「さぁ.....自分で確かめて見るが良い、他に何が隠されているのかをな。.....ただ、私にも情けと言うものがある。一つヒントをやろう........蛇には、気を付けるんだな」
カルセナ「ゴチャゴチャうるせぇなぁ、ぶっ倒す方法が分かってんだ。蛇に噛まれたって関係無くテメェを狙ってやるよ!!」
そう言って力強く地を蹴り、素早いスピードで逸霊に向かって行った。
逸霊「.....ヒントを与えたと言うのに、何と愚かな....」
当然、逸霊は向かって来るカルセナに三匹程の蛇を飛ばした。
一匹目、二匹目は何とか避ける事が出来た。が、三匹目の攻撃を左足に、もろに食らってしまった。
カルセナ「くっ.....!!思った程痛くは無ぇ...!残念だったな..........ッ!?」
逸霊「.....残念なのはこちらの方だ」
殴り掛かる瞬間突然、足の強い痺れで体制を崩してしまった。
カルセナ「ぐ....これは.....毒...?」
逸霊「目の前の標的に意識を奪われ、考察する事を忘れていた様だな。この蛇の牙には神経毒が仕込んである。誰が考えたって分かるだろうと思っていたが.....とんだ期待外れだ。実験には、お前の脳以外を使わせて貰うとしよう」
カルセナ(くそっ.....こいつは魔耶にばっか頼ってられねぇみたいだしな....どうにかしねぇと...!!)

129:なかやっち:2020/04/05(日) 11:44

魔耶は双剣でまわりの敵を片付け、遠い敵は弓に切り替えて打つ…を繰り返していた。
たくさんの熊さんは操りきれないし、大きいものをつくるとすぐに魔力がなくなってしまうからだ。人数が多い場合は熊さん単体だと倒しきれないし…
魔耶「…一人でこの量はキツイなぁ…」
いくら魔族といえども、何十人もの人間を一人で相手にするのは流石にキツイ。長期戦は不利であろう。
さっさと片付けてカルセナの加勢に行きたいのだが…
魔耶「っとぉ…」
目の前を剣の刃が掠める。
下っぱ「いくら強くても、この数相手は辛そうね?楽にしてあげましょうか?」
魔耶「遠慮しときます。…まだ死にたくないもので」
アレを使おうか…でも、アレはボスまでとっておきたい。
魔耶は巨大なオノをつくりだし、振り回した。
敵は数が多い。避けようとすれば仲間とぶつかってしまう。
そういう意味では、一人は戦いやすかった。
下っぱ「どうなってるんだ、あいつ!手ぶらだったハズなのに…」
普通の人から見れば、いきなり私の手元に武器が現れて猛威を振るっているように見えるのであろう。
戸惑っている敵の群れにオノを向け、なぎ倒す。
下っぱ「ひいぃっ…!」
わずかに生き残った下っぱも、戦意をなくし逃げていく。
他の仲間に加勢を求めに行っているのかも知れないが、ここまできたらもう後戻りは出来ない。その加勢ともそのうち戦うことになるのだ、追いかけたってしょうがない。
魔耶「ふぅ、視界がよくなったかな。」
ほとんどの敵が部屋から消え、部屋には私とカルセナ(?)と幹部だけになっていた。
カルセナはどうなったのであろう。二人が戦っている方を向く。
魔耶「!!」
カルセナが体制を崩し、左足を床につけていた。

130:多々良:2020/04/05(日) 13:41

魔耶「カルセナ!!」
カルセナ「魔耶....ッ!」
逸霊「....む、そう言えばあやつも奇妙な能力を使っていたな。今日こそはボスが喜んでくれそうだ」
そう言って逸霊は魔耶の方を向いた。
カルセナ「おい!!まだ勝負は着いてねぇだろ!魔耶には攻撃すんな!!ッくそ、落ち着け....!」
そう考えている間にも、神経毒は右足にまで回ってきた様で遂に立てなくなった。カルセナは意識を集中させた。

「ーーおい、テメェもやっぱり力を貸せ。」
「えぇ....そんな強いやつだったのあの幹部....。」
「そうだ、早くしろ!!また魔耶に迷惑掛ける気か!!」
「うぅ、分かったよ....。どうすれば良い?」
「両足が今動かねぇんだ。足に力を溜めろ。」
「力を溜めるってどうやって....。」
「それっぽくやりゃあ良いんだよ!自分で考えろ!!」
「うっ、了解です.....」

逸霊「お前の体も研究材料にしてやろう。これであの方に相当な力を授けられる....」
八匹の蛇が魔耶に向かって飛ばされようとした瞬間だった。誰かが逸霊の肩に手を置いた。
「覚えてなかったか?お前の相手は「私」だ。」
逸霊「なっ....!!?...ッぐはぁっ....!!」
強い打撃音と共に、逸霊の体が部屋の壁まで吹き飛ばされた。
逸霊「....ゲホッ、貴様.....毒で立てなくなっていた筈だ....なのにどうしてそこに立っている!?」
カルセナ「さっきの言葉、そっくりお返しするぜ。目の前の標的に意識を奪われ、考察をする事を忘れていた様だな.....何でだろうな。自分で確かめて見ろ!!」
逸霊「小癪な....お前を献上するのは止めよう。やはりそのまま私の糧となれ!!」
壁を蹴り、蛇と共にカルセナを捕食しようと迫ってきた。
カルセナ「....そう言えば、蛇は視界が狭いとか、首根っこ押さえると良いとか聞いた事あんなぁ」
逸霊「息絶えろッ!!」
噛み付かれそうになった瞬間、逸霊のスピードを上回る速度で後ろに回り首を押さえ、そのまま地面に突き付けた。
逸霊「がッ.....!!」
カルセナ「チェックメイトだ」

「....殺しちゃ駄目だよ。」
「何だと....?殺されそうになったのはどこのどいつだよ。」
「それはそうだけど....情報とか聞き出せるかもしれないし、首さえ押さえとけばもう大丈夫なんでしょ?」
「.......ケッ、勝手にしろ。私は少し寝る。あとはお前らで解決しやがれ。」
「....うん....ありがと。」

カルセナ「.....終わったよ、魔耶!」

131:なかやっち:2020/04/05(日) 14:15

魔耶「…お疲れ。もう意味わからん。」
軽く微笑みながら今思っていることを言葉にした。
だって、黒色のカルセナが戦っているかと思えば敵がこっちを狙ってくるわ、材料とか言われるわ、カルセナが敵を吹っ飛ばすわ、もとに戻るわで…。
カルセナ「そんなドストレートに言わないでよ。これでも頑張ったんだから。」
カルセナがしかめっ面をする。
その反応を見てやはりもとに戻ったんだと安心する。
カルセナ「んで、この人どうしよう?」
魔耶「縄でもつくって縛るか。」
能力で縄をつくって幹部を縛り上げる。
幹部はどうやら気絶してしまったようでぐったりとしていた。
カルセナ「大丈夫?縄かみちぎられない?」
魔耶「魔力で出来てるから大丈夫じゃね?知らんけど。」
カルセナ「ちゃんとしてくれよ…」
カルセナが不安そうに縄を見つめる。
魔耶「まぁ、こんだけ弱ってれば無理だろうよ。どうする?起こす?」
カルセナ「まぁ、そうだな…情報を得ないと…」

カルセナが幹部をツンツンとつついてみる。反応がない。
魔耶が軽く頬をペシペシしてみる。反応がない。
魔耶「…死んでたりしないよね?」
なんの反応もないので不安になってカルセナに聞いてみる。
カルセナ「殺しちゃだめって言ったから大丈夫だと思うけど…起きないねぇ。」
魔耶「言った?…まあいいや。自然に起きるまで待つか。疲れたし、どこかで休憩したい。魔力まあまあ使ったわ。明日筋肉痛だわこれ。」
カルセナ「魔力って使いすぎると筋肉痛になんの…!?」
魔耶「冗談です。3割くらい。」
…3割…?
まぁ、魔耶の言う通りここを離れないと敵の加勢や他の幹部が来るかも知れない。
この人を連れてどこかで休むのがいいだろう。
カルセナは幹部を担ぎ上げ、部屋を出た。

132:多々良:2020/04/05(日) 14:44

カルセナ「うーん、どっかに良い隠れ場所あるかなー?」
魔耶「そうだなぁ....あっ」
良い隠れ場所と聞いて、魔耶は柚季がいる地下一階を思い出した。さっそくその事をカルセナに話す。
カルセナ「....それ大丈夫か?んーでも、やってる事に興味が無い幹部ねぇ....なら別に大丈夫か....?」
魔耶「全然敵意も感じなかったし、ちょっと隠れさせて貰えるんじゃないかと思うけど....」
カルセナ「まっ、行ってみますか。魔耶がそう言うなら大丈夫だ」
そうして二人は地下一階へと向かった。

柚季「あらぁ魔耶さん、またいらっしゃったのですね〜。っと、あぁ、そちらの方が例の....」
魔耶「友達のカルセナです。すみません、ちょっとここに隠れさせて貰っても良いですか....?」
柚季「別に良いですよ〜。.....あれ?カルセナさんが担いでいる人はもしかしなくても....逸霊さんじゃないですかぁ?」
カルセナ(やっば、忘れてたっ....!!)
流石に味方がやられてしまっているなら、怒って攻撃してくるのでは。そう思ったのだが.....。
柚季「ふふ、まさか逸霊さんが負けるなんて思ってもいなかったですー。貴女達お強いんですね〜」
魔耶「....仲間がやられているのに、関心は無いんですか?」
柚季「だって死んじゃってる訳でも無さそうですし。先程魔耶さんに言った様に、私は皆さんがやってる事に興味が無いです。その人にも、別に興味はありませんから〜」
カルセナ(何だこの幹部.....)
そう思いながら、担いでいた逸霊を下ろし、壁に寄り掛からせた。
柚季「それにしても、何で連れて来たんですか?」
魔耶「いや、何か他に情報を聞き出せるかなって思いまして」
柚季「そうですか〜、まぁ上でほっといても処分されるだけですしねぇ」
カルセナ「....?どういう事ですか?」
柚季「私達幹部は、敵に負けちゃったらボスに強制的に処分されちゃうんですよ〜」
魔耶「処分って....幹部を辞めさせられるって意味の処分ですか....?」
柚季「いえいえ、もうそのままの意味ですよ。簡単に言うと、殺されちゃうって事ですかね?」

133:なかやっち:2020/04/05(日) 16:04

カル魔耶「!?」
こっわ…1回負けたら殺されるとか、どんなホラゲー?
カルセナ「な…なんでそこまでして、あのお方?の部下になるんですか?負けたら殺されるなんて…」
柚季「まぁ、人それぞれの理由がありますよね。私はただ暇だったので仲間になっただけですけど。」
そういって退屈そうに「ふわぁ…」と欠伸をする柚季。
魔耶「…暇潰しで殺されたら最悪じゃないっすか…」
柚季「まぁ、私はそもそも戦わないのでいいんですよ〜」
…あたりまえのように言ってるけど、この人なんで処分されないんだよ…。
カルセナ「戦わないのになんで幹部に…?」
カルセナが疑問を述べる。
確かに、この人は戦わないといいながらも幹部という立場にいる。なぜ…?
柚季「あぁ、それはあのお方が私の強さをしっかりわかっているからですよ〜。ちゃんと強いんですよ、私。戦えば。」
うふふっと笑いながら話す柚季。自分から強いと言うとは…よほど自信があるのだろうか。それとも冗談なのだろうか…
この人と会話してると分からなくなる。
魔耶「…戦えば、ですけどね。」
ボソリと呟いた。


しばらくまったりと話していたため、体力も魔力も大分回復することができた。
魔耶「ふー、これでもう一戦分はもつかな。」
カルセナ「そんなに一戦で疲れるものなの?」
魔耶「あったり前よ〜。つくってるものは全部魔力の塊みたいなものなんだから…」
私の言葉に、柚季が驚きの声をあげる。
柚季「それはすごいですね〜。魔耶さんの能力は魔力の質や形をかえる能力なのですか?」
魔耶「……?」
よく考えればそうなのであろうか?いままで感覚でものをつくっていたから分からない…
カルセナ「え、魔耶の能力はそういう仕組みだったのか…」
魔耶「うーむ、よく分からないけど…そうなのかもね〜?」
適当に返しておく。
まぁ、能力を使えてるんだから仕組みなんてどうでもいいや…と考えたゆえの発言だった。
ここが私の悪い癖なんだろうなぁ。

ーと、壁に寄りかかっていた幹部さんが動き出した。

134:多々良:2020/04/05(日) 16:58

逸霊「う....ぐッ.....」
カルセナ「わぁっ、起きたっ!」
魔耶「大丈夫でしょ、拘束されてんだから....」
逸霊「私はまだ....生きているのか....?」
意識は戻ったものの魔耶の言った通り、縄を引きちぎって襲って来る事は無さそうだった。
柚季「あ、おはようございます逸霊さん。相変わらず凄い牙ですね〜」
逸霊「柚季....?何を呑気にしている、さっさとそこの侵入者どもを排除しないか!!」
柚季「負けた人には命令されたくないですねぇ。しかも今貴女は、あの方に処分されるべき立場だと言うのに」
そう言われて、逸霊は黙り込んだ。だが、暫くして口を開いた。

逸霊「....どうせ何時かは処分されるんだ.......私も、お前もな」
魔耶カル「えっ....」
魔耶「何時かは....って言うのは、一体いつなんですか?」
不意に質問され、少し考えた後に出した答えはこれだった。

逸霊「......あのお方が、全ての力を手に入れた時だ」
カルセナ「全ての....力?」
逸霊「お前らもきっと見ただろう。街の住人を全て回収した様を」
確かに見た。それも、二回も。そもそも魔耶達はあの消えた住人らを返してもらう為にここに来たのだ。
逸霊「あのお方は、回収した人間共を駆使して、この世界で最強の存在になろうとしている。例え、様々な命を奪ったとしても....」
魔耶「そんな事を企んでいたのか....」
逸霊「私はこの命を消されても、力の一部として役に立てるのならばそれで良い。....情報は話した、私はここで処分されるのを待つ」
死を覚悟して目を瞑ろうとした逸霊に、カルセナが再び問い掛けた。
カルセナ「あっ、そう言えばもう一人幹部がいる筈じゃ....それはどんな人なんすか?」
逸霊「.......あいつの事か....私はもう何も言わない。そこの幹部に聞くんだな」

135:なかやっち:2020/04/05(日) 17:42

柚季「はーい、私のことですかね〜?」
逸霊の言葉に反応する柚季。
魔耶「なにか知ってるの?」
私の言葉にクスクスと笑う柚季。
柚季「あんまり詳しいことはわかりませんけどねぇ。あの人はあのお方の役に立とうと、日々研究を重ねています。その為、たくさんの薬を持っているので戦うととても厄介ですねぇ。」
カルセナ「厄介?」
柚季「はい、戦うときに投げつけてきたり、自分で飲んだり。体術戦には長けていませんが、薬を使われると大変ですね〜」
魔耶「随分詳しいですね?」
あれほど興味がないと言っていたのにもう一人の幹部についてやけに詳しい。
柚季「一度手合わせをしたことがありまして…強かったです〜。」
成る程、一度手合わせをしたから、戦いかたに詳しいのか。
逸霊「幹部で手合わせをするきかいがあってな。そのときに戦ったんだ。」
柚季「私は戦いたくなかったんですけどね〜。」
ムスッとして頬を膨らます柚季。
その様子をみて、よっぽど戦いたくなかった、というのがうかがえる。
カルセナ「その人はどこに…?」
柚季「地下3階ですね〜。戦うつもりなら気をつけてくださいね。あの人の戦術は少々特殊なので。」
確かに、薬を投げつけたりする戦術は特殊であろう。
魔耶「じゃあカルセナ、行く?」
カルセナ「うむ、行くしかないよね…」
少々不安を感じるが…ここまできたのだ。もう一人の幹部とあのお方?を倒して、みんなを助けなくては…!
魔耶「よーし、みんなを救えるまであと少し!行くぞ〜!」
カルセナ「おー!」

136:多々良:2020/04/05(日) 18:51

二人は地下三階へと続く階段をそっと降りていった。
カルセナ「ここで言っても遅いけどさー....私結構、薬とか催眠術とか効きやすいタイプなんだよね〜....」
魔耶「へー、そうなんだー」
カルセナ「....ヤバない?」
魔耶「まぁまぁ、直で食らわない限りかかる事は無いんじゃない?いざとなったらさっきのモード?みたいなのになれば良いじゃん」
カルセナ「いやーあれは何か....こう、凄い絶望感の中に居たからさ.....」
魔耶「成る程ね〜....つまり最終手段って感じかな?」
カルセナ「そうかもしれん。」
なんて雑談をしている内に、階段が終わった。地下三階は薬の匂いが漂っていて何とも言えない居心地の悪さだった。
カルセナ「うわくっさ....こーゆー匂い嫌いだわ.....」
魔耶「う.....確かにこれはキツイ....」


柚季「ーー魔耶さん達勝てますかね、あの人相手に」
逸霊「..........」
柚季「ちょっと、無視しないでくれます?」
逸霊「.....勝てる筈が無い。お前もあいつの実力を知っているだろう」
柚季「そりゃあ勿論ですよ〜。でも、あの人達が自ら行ったんですから、もしかしたら勝てるんじゃないですか〜?希望は捨てない方が良いですよ?」
逸霊「....はぁ、希望は捨てない方が良い、か.......私も最後の人生だ。だったら一周回って、あいつらに賭けてみるとしよう」
柚季「もし勝てたら、どうするんです?」
逸霊「....あいつらが勝ったら......あいつらと共に、あのお方に勝負を挑みにでも行くかな......そうだ、良く考えれば、いくらあのお方の為と言っても死ぬのなんかまっぴら御免だ。私にはまだやりたい事があるんだ」
柚季「ふーん....逸霊さんにしては珍しい考えですね〜.....私もそうしてみましょうかねぇ」
逸霊「......人の真似を嫌っていたお前にしては、珍しい考えだ」
柚季「暇だからそうしてみようって思っただけです〜」


地下三階をくまなく見渡していた二人は、ある影に気が付いた。
カルセナ「あ、見て魔耶、何か動いてる影が見えるよ....!!」

137:なかやっち:2020/04/05(日) 20:09

??「なにか上が騒がしいと思ったら…ネズミが入り込んでいたか。」
カルセナが見つけた影が動きだす。
…この声、どこかで聞いたような…?
??「他の幹部はなにをしているんだ。もしや、このネズミ共に負けたのか…?はっ、だとしたらお笑いだな。」
影が灯りの下に出てきた。
頭に歯車とネジのアクセサリーを付け、白衣のような服を着ている。片手にはフラスコを持ち、いかにも研究者って感じがした。
??「私は降魔雅(ごうまみやび)。幹部の一人だ。」
相手は自ら名乗り、怪しい薄ら笑いを浮かべた。

ーと、ようやくこの声を思い出した。
魔耶「あっ!この人、熊さんの魔力を感じとった…」
そう、私が熊さんをこの建物に送り込んだとき、聞こえていた声だった。
この人が熊さんの小さな魔力を感じとったのか…
カルセナ「あぁ、あなたが上の中って呼んでた人ね。」
カルセナも思い出したようで、ふーんと納得の声をあげていた。
…その思い出しかたはやめてほしいんだけど…
雅「私のことを知っているのか。サイン替わりに薬でもやろうか?」 
雅が手に持ったフラスコを軽く振る。フラスコの中には紫色の液体が入っていた。
カルセナ「うぇ〜。それ絶対毒じゃん。いらんわ。」
雅「さぁ、どうだろうな。飲んでみないと分からないだろう?」
見た目でもう毒だって分かりそうなものだと魔耶は思った。
雅「さて、お前らはどうしてほしい?選択肢をやろう。一、おとなしく降伏して、痛みもなく死ぬ。二、実験材料として使われる。三、私と戦って苦痛を感じながら死ぬ。さぁ、どれがいい?」
選択肢を出される。だが、そんなものは必要ない。答えは決まっている。
魔耶「四、君をぶっ倒してみんなを救う!に決まってるだろ!」
雅「ははっ、面白い答えだな。気に入った。実験材料として使ってやろう!」

138:多々良:2020/04/05(日) 21:17

雅は懐から数本の試験管を取り出し、軽快に手の中で回して見せた。すでに攻撃体制に入っている様だ。
カルセナ「どいつもこいつも実験やら研究やらってうるさいなぁ.....材料なんかになってたまるか!!」
魔耶「行こう、カルセナ!!」
カルセナ「おうよ!!」
魔耶の合図と共に、二人は雅に向かって左右から攻撃を仕掛けた。
雅「哀れなネズミ共め.....貴様らに、私の研究の邪魔などさせない....!!」
先程取り出した試験管を周りに放ると、魔耶とカルセナの周りで爆発した。
魔耶「ぐっ....!!」
カルセナ「わぁっ、爆発!?」
爆発の規模からは想像出来ない、強い爆風が二人を押し返した。何とか体制を立て直す事が出来たが、あの爆発物をまだまだ持っていると思うと、簡単に手出しは出来なさそうだった。
雅「どうした?もう手出しする勇気が失せたか?」
魔耶「....ちょっと驚いただけ。私達が、そんな簡単に諦めると思うなよ!!」
雅「ふふ、そうか......これを知っているか?」
又もや懐から、今度はカプセルの様な物を取り出した。カプセル自体は透けていて、紅色の液体で満たされている。
カルセナ「....?あれは?」
雅「バトラコトキシン、と言う「猛毒」だ。一滴でも体内に取り込んだら、死に至る程のな!」
薄ら笑いを浮かべ、そのカプセルを二人の前に投げた。地面に着いた瞬間そのカプセルが破裂し、中の猛毒が飛び散った。

139:なかやっち:2020/04/05(日) 22:07

魔耶「っ…!くっ!」
急いでカルセナと自分の前に壁をつくる。
間一髪、猛毒は壁に当たってびちゃりと床に飛び散った。
魔耶「っはぁ…はぁ…間に合った…」
なんとか猛毒を食らわずに済んだが、まだ雅が毒を持っていないとも限らない。毒を食らったら一発でアウトだ。どうにかしないと…
魔耶「カルッ!」
私は盾をつくりだし、カルセナに向かって投げた。
カルセナ「おっと…ありがとう、魔耶!」
これで毒や爆発は大丈夫であろう。
まだどんな薬があるか分からない、用心しないと…
雅「ふむ…猛毒を防ぐとは…面白い能力だな?」
顎に手をあてて、雅が話しかけてくる。
魔耶「ははっ、他の幹部さんにも言われましたよ…」
雅「見たところ、お前の能力は物をつくる能力…か?」
魔耶「そうなんじゃないですかね。」
敵に情報を与えてはいけないと、曖昧に返事をする。
雅「ふふっ、良いではないか。実験材料にピッタリだ。」
雅は満足そうに頷くと、なにやら黄色い液体が入った試験管を取り出す。
雅「これは私の薬の中でも最高傑作でな。投げるとあたりが底なし沼に変わる。」
カルセナ「そんな薬アリかよ‼」
思わず驚くカルセナ。
雅「私の薬は、私の閃きがあるかぎりどんなものでも作れるのだ。さぁ、ネズミ共。泥の中で許しを乞い、溺れてしまえ!」
雅は笑いながら床に薬を叩きつけた。
ゴポゴポという音がしたかと思ったら、そこから泥が涌き出てきてくる。

140:なかやっち hoge:2020/04/05(日) 22:38

てーせい。涌き出てくる。

141:多々良々良:2020/04/06(月) 09:40

魔耶カル「うわぁっ!!」
飛んで逃げる間も無く、二人の足が底無し沼に捕らわれてしまった。
カルセナ「ヤバいよこれ!あっと言う間に沈んじゃうよ!!?」
魔耶「落ち着いてカルセナ!飛ぶ力で上に上がってみよう!!」
魔耶の言う通り、全力で上に上にと飛んでみたが中々抜け出せなかった。
カルセナ「うわもう駄目だぁー!!誰か助けてー!!!」
自力では抜け出せない事を知ったカルセナは、パニック状態に陥ってしまった様だった。
魔耶「.......!!カルセナ暴れちゃ駄目っ!!さらに沈むだけだよ!!」
そうは言ったが時既に遅かった。どうにか抜け出そうとしてもがいたカルセナの体は、半分程まで取り込まれていた。
一方カルセナより落ち着いていた魔耶の体は、まだ膝程度の所までしか取り込まれてなかった。
雅「さぁどうだ?じわじわと死の恐怖に飲み込まれる気持ちは」
魔耶「くそっ....!!どうしよう....!」
考えている間にも、体がどんどん沈んでいく感じがした。
カルセナ「わっ!ヤバいっ.....」
魔耶「カルセナ!!」
先程下半身が完全に沈んでいたカルセナは、既に胸のあたりまで取り込まれていた。
魔耶も、もうすぐ下半身が沈み終わりそうだった。
魔耶(どうにかしないと.....考えてる時間なんか無いのに.....ッ!!)
雅「そこまで沈んだのなら、そちらの者はもう終わりだな」
二人を見て、何度も薄ら笑いを繰り返す。
魔耶「......ッ」
カルセナ「わあぁ、まだ死にたく無いっ....!!!」
魔耶「....!!嘘、もうそんな所まで.....!?」
魔耶から見えている部位は、もう首から上しか無かった。辛うじて手を出せている、と言う感じではあった。
カルセナ「やだっ、た、助けてっ!!!」
魔耶「カルセナぁっ!!!」
慌てて手を伸ばしたが届かない。引っ張り上げる事も許されなかった。

カルセナ「ゲホッ、魔耶っ!!..................ごめんねっ........」

そうして、カルセナの体は完全に底無し沼に沈んでしまった。

142:多々良 hoge:2020/04/06(月) 11:02

(何かすごい名前になってる.....)

143:なかやっち hoge:2020/04/06(月) 14:05

(思いっきり笑ったんだけどww)

144:なかやっち:2020/04/06(月) 14:40

魔耶「カルセナぁっ!!」
雅「ははははっ!!仲間が沈んでしまったな!!どうする?許しを乞えばお前だけでも助けてやるぞ?もっとも、そのあとは私の研究材料になるのだがな!!」
…ショックで雅の声が耳に入ってこない。頭が真っ白になる。脳が機能しない。
私がショックを受けて固まっている間にも、体は沼に沈んでいっているのが感覚で伝わってくる。
下半身はほとんど沈んでしまっただろうか。
それを確認する余裕もない。

魔耶「……ごめん、カルセナ…。」
ボソリと姿の見えないカルセナに謝る。
私は静かに目を瞑り、動くことを止めた。
雅「遂に諦めたか!?はははっ、いいだろう!私がしっかりお前の最後を見届けてやろうとも!あはははっ!」
私の様子を見て高笑いをする声が聞こえる。
五月蝿いなぁ。私はーー


諦めるつもりなんてみじんもない!!
いきなり、魔耶の体からブワッと黒いオーラがでてきた。
オーラは彼女の全身を覆い隠す。
雅「なっ…!?」
雅が腕で顔をおおい、驚きの声をあげる。
10秒ほどたったであろうか。全身のオーラがサアァ…と晴れた。
雅「!!」
そこにいたのは、先程までの魔耶とは違う。目が赤黒色に変わり、頭から真っ黒の角を二本生やし、翼が一回り大きくなった姿の魔耶だった。
魔耶「ボス戦までとっておくつもりだったのに。ごめんね、カルセナ」
そういってため息をつく魔耶の姿は悪魔そのものだった。
雅「き、貴様…悪魔か!?」
魔耶「あははっ、違うよ。ただの魔族さ〜」
魔耶はさらに大きく、力強くなった翼を羽ばたかせ底なし沼からら脱出した。そのときに一緒に連れてきたのであろう、その手にはカルセナの手が握られていた。
魔耶「まぁこの姿は悪魔に近い状態になってるから、勘違いするのも無理はないね。」
私は雅に向かってニヤリと微笑んだ。

145:なかやっち hoge:2020/04/06(月) 16:02

(からら…wミスしてばっかだなw)

146:多々良 hoge:2020/04/06(月) 16:22

(誰にでもミスはあるさねw多々良々良みたいにな....)

147:多々良:2020/04/06(月) 17:00

視界が暗闇に閉ざされ息も出来ず、そのまま気絶した....筈だった。
急に誰かに手を取られ、底無し沼から引っ張り上げられた。突然視界に入った明るさ、そして息の出来る自由空間。その瞬時な入れ替わりに吃驚して目が覚めた。
カルセナ「....う.....ゲホッ、ゲホッ........」
まだ十分に酸素を取り入れられていない、重い頭を動かして握られた手の持ち主を見上げる。
そこには恐ろしい姿をした悪魔の様な者が、羽ばたきながら雅を見つめていた。
普段そういう姿の者を見たら、必ず怖がって、大声を出して逃げようとするだろう。その手から逃れようとするだろう。
でも、そんな素振りは見せなかった。握った手から伝わるものが、恐ろしさでも残酷さでもなく、この姿からは想像も出来ない様な、温かく、誰かを想う気持ちで溢れたものだったからだ。そして、その手を通して正体が分かった。いや、手を通さなくても分かる。
カルセナ「魔耶.....っ!!」
姿は変わっていても、感じる温かさは変わっていない。
魔耶「.....もう大丈夫だよ、カルセナ。」
それはまるで、魔耶とカルセナが初めて出会った時の光景と少し似ていた。
雅「魔族....!?....ふん、少しはパワーアップしている様だな。だがそれも無意味、何処までその足手まといと自分を庇いながら戦えるか、派手に実験してやろう!!」
そう言うと、序盤に出した試験管の数よりも数倍多い数を、自分の周りに浮かべ戦闘体制に入った。
カルセナ「魔耶.....私の事はどうでも良いから....あいつを倒して....!!」

148:なかやっち:2020/04/06(月) 17:30

魔耶「…ごめん、カルセナ。それは出来ない。」
魔耶はカルセナに向かって首をふる。
カルセナ「え…!?な、なんで?」
魔耶「だって、大切な親友をほおっておきながら戦うなんて出来ないよ。それにこの姿なら…」
雅の手から試験管が放たれる。
試験管は二人に向かっていき…全て魔耶によってつくられた壁に当たって爆発した。
魔耶「自分とカルセナを庇いながら戦うなんて朝飯前よ?」
雅「なっ…!あれだけの爆発を、防ぐとは…!」
雅が戸惑っている隙に、猛スピードで背後に回り込む。
魔耶「この姿だと私の全部のステータスが上がるんだ。魔力もね。」
巨大な鎌をつくりだし、雅の首元に当てる。
魔耶「チェックメイト、かな。」
雅「くっ…私としたことが…こんな奴らに…」
…カルセナは鮮やかな手際に感心するが、魔耶の言葉が引っ掛かるように感じた。
ハッ!と気づいて魔耶に聞いてみる。
カルセナ「私のマネ?」
魔耶「あ、ばれた?正解。」
さらりと答えられて、怒りよりも呆れが出てくるカルセナ。
「せっかくカッコいい感じだったのに台無しじゃ…」なんてブツブツ言ってる。
魔耶「テヘペロッ☆…んで、雅さん?まだ戦いますか?」
雅「…ちっ、お前みたいな化け物には敵いそうもないな。もうやめておこう。」
意外とすんなり諦めてくれた。有難い。
縄をつくりだし雅をぐるぐる巻きにする。
魔耶「一丁あがり!」
カルセナ「ん〜。ナイス〜。じゃあ、あなたのボスである『あのお方』の目的を教えてもらおうか。あなた本人の目的も。」
雅「……」

149:多々良:2020/04/06(月) 19:53

暫く沈黙を続けていたが、ようやく言葉を発し始めた。
雅「....あのお方の目的は、全世界の支配だ」
魔耶カル「.....!!?」
雅「この世にはいくつもの世界が存在する。この世界の他にも人間だけの世界、異生物が生息する世界、魔物の世界などとな....」
カルセナ「....て事は、私達の世界も.......」
魔耶「そうなるよね......信じたく無いけど.....」
二人の様子を気に掛ける事も無く、話を進めた。
雅「私の目的は、あのお方の力を向上させる事。その材料として、色々な生物をかき集めた」
カルセナ「でも、その人が全ての力を手に入れたら、貴女達は処分されちゃうんでしょ....?」
魔耶「そうだよ、しかも.....それだけの目的で、一体どれだけの人が犠牲になると思ってるんだ!!」
その瞬間、雅の表情が曇った。
雅「黙れ!!!それだけの目的だと....!?部外者ごときがほざくな!!あのお方が....蓬様が最強になるのであれば、私は何も悔いはしない!たとえ何千人もの命が消えようと、この身が滅びようとも!!」
カルセナ「よもぎ....様?」
魔耶「それが、貴女達の言ってたあのお方、って人ね....」
雅「私は世の上下関係に納得が行かなかった....何故妖怪が魔族や神の下に位置するのか....!!....そんな時、蓬様に出会った。あのお方の考えは素晴らしかった。上下関係を根本的に壊せるものだった....!だから私は、蓬様に着いて行く事に決めたんだ。それなのに....貴様らごときが、私達の邪魔をした!!私の完全な目的は、今ここで断たれたんだ!!!」
魔耶カル「..........」
雅「.....ふん、蓬様の所へ行くなら行くが良い。完全な力で無くとも、あのお方が貴様らに負ける筈が無い」

150:なかやっち:2020/04/06(月) 20:52

魔耶「…それはどうだろうね。まぁ、やるだけやってみるつもりだよ…。それじゃあ、お言葉に甘えて行かせてもらいますかね。」
くるりと後ろを振り返り、階段に近づこうとする。
魔耶「…カルセナ?」
カルセナ「いや…なんでもない。ただ…ちょっとね。」
魔耶「…?まぁいいよ、行こうか。」
二人で階段を降りていった。


その後ろ姿を見ていた雅がはぁとため息をつく。
雅「…私も、もう殺されるのか。」
柚季「…音がしなくなったと思ったら…雅さんまで負けちゃったんですね〜」
振り替えると、同じ幹部である柚季と逸霊がいた。
雅「…なんだ?私をバカにしに来たのか。」
逸霊「普通ならバカにしただろうがな。私もあいつらに負けた身なのだ。バカになどできんな…」
柚季「私は負けてないですけどね〜。戦ってもいませんし。」
柚季がいつもと同じようにへらへらと笑う。
雅「戦っていないのは負けたのと同じようなものだ。あんな奴らに幹部が全員負けたのか…」
…なぜだろう。あんなネズミ共に、なぜ負けた?
逸霊「…なぜだろうな。きっと、あの部屋に片方しかいなかったら私は勝っていただろうと思える…二人でいるからこそ、あいつらは強いのだろう。」
柚季「あ、逸霊さんくさいセリフいいますね〜。友情って感じですね。素敵です。」
友情ねぇ…ははっ…
雅「私には到底理解出来ないものだな。」
柚季「私も理解できませんね。素敵なお友達がいないので。理解できるようになりたいですね〜。…そういえば、カルセナさんと何か話してませんでした?」
柚季が思い出したかのように言う。
雅「カル…?あぁ、あの金髪か。なんでもないよ。」
カルセナが別れ際に言った言葉を思い出す。
(カルセナ「私達には、上下関係なんてないよ。」)
私に向けて言った言葉だったのであろう。
…上下関係のない、友情…?
雅「やはり、理解できんな。」


魔耶「この部屋じゃない?なんかそれっぽい。」
カルセナ「ここだろうね。」
二人は重い鉄のトビラの取手にてをかけた。
カルセナ「いくぞ、ボス戦…みんなを返してもらうぞ!」
魔耶「お〜!」

151:多々良:2020/04/06(月) 21:49

ぐぐっと扉を押した。想像以上に重い扉だったが、ここで驚いていたらボス戦なんて出来ない。
二人は力を込めるために下を向いていたが、やっと扉が開いた為、顔を上げた。
その奥には狐のお面を被り、簪を刺して髪をまとめ、和風の着物を着た人物がこちらを振り返っていた。
カルセナ「わ....あれがボス....かな?」
魔耶「柚季さんが言ってた通り、仮面....てかお面?をつけてるから多分そうだよ、でも....」
その人物は身長が二人よりも低く、威圧感もまるで無かった。端から見れば、ただの幼い少女であった。
蓬「.....誰です?他の幹部はどうしたのでしょうか」
魔耶「当たり前じゃん、全員倒して来ましたよ!!」
そう言うと蓬は、小さく溜め息を吐いた。
蓬「そうでしたか.....ならば今から三人共、消しに行きましょう」
カルセナ「ま、待ってよ!!何で負けただけで殺しちゃうの!?」
蓬「負けた者は皆、醜くなってしまうのです。醜いものは存在してはいけない。だから私が消してあげるんです」
幹部を処分しに行く為か、蓬は扉へ向かって歩き始めた。
魔耶「納得行かない....そんな屁理屈通ってたまるか!!」
それを阻止するかの様に、扉の前に立ちはだかった。
蓬「邪魔しないで下さ........!?」
魔耶カル「.....?」
蓬「その羽.......貴女、種族は....?」
魔耶の黒い羽を見て、蓬が戸惑う。
魔耶「.......魔族だけど」
蓬「......ッ!!魔族......!?」
魔耶が魔族だと言う事を知って、かなり驚愕している様子だった。
カルセナ「....??何、どうしたんだろ....」
蓬はそんなカルセナを見て、再び同じ質問をした。
カルセナ「今は浮幽霊だけど.....元は人間だったよ?だから....何?」
蓬「人間......ッ!?」
元はと言えど人間だった、と言う事に対しても、同様に驚愕していた。
蓬「憎い憎い憎いッ....!!!何故魔族と人間が共に行動している....!!?消さなければ....今すぐにッ!!」

152:なかやっち:2020/04/06(月) 22:25

蓬は私達から一歩距離をとり、戦闘態勢に入った。
蓬「幹部を消すのは後にしましょう。まずは、この憎い魔族を八つ裂きにしないと気がすまないわ!!魔族なんかと共に行動する人間もね!」
魔耶「私なんもしてないんだけど…まぁいいや、私達が勝ったら街の人達を解放するって約束してよね。」
蓬「いいでしょう、私に勝てたらの話ですけどね…!」
蓬が動きだした…と思ったら、私の真ん前に移動していた。
魔耶「えっ!?速っ…」
蓬の姿を確認できた瞬間、魔耶は壁に叩きつけられた。
衝撃で破片がパラパラと落ちる。
魔耶「っ!…うぐ…」
危ない…悪魔状態じゃなかったら、今ごろ死んでいたかも知れない。
カルセナ「魔耶!?大丈夫!?」
魔耶「なんとか平気…」
壁から離れ、地面に着地して体制を立て直す。この状態でも感知できないとは…そうとう速いな、この人。
蓬「しぶといわね。流石魔族…といったところかしら」
魔耶「しぶとさだけが取り柄みたいなもので。」
蓬「ますます気にさわるわ。」
ーと、カルセナが動きだした。蓬に向かって蹴りを繰り出す。
蓬「あら怖い。でも、あなたの番はまだね。」
カルセナの鋭い蹴りを片手で受け止め、カルセナを押し返す蓬。
カルセナ「わっ!」
カルセナは押し返され、私の方に投げられる。
魔耶「おわ!カルセナ!」
このままだとぶつかる…!とっさに判断してクッションを私の上につくる。…そのせいで私が下敷きになるのだが。
カルセナ「うぐ…ごめん。」
魔耶「いいから退いてくれ…」
蓬「あらあら、ごめんなさいね。強く投げすぎちゃったかしら」
…悪いなんてみじんも思ってないだろうに。
カルセナがクッションから降り、私も立ち上がって蓬の方を向く。

153:多々良:2020/04/06(月) 23:52

カルセナ「やっぱボスってだけあって、相当強いなぁ....」
魔耶「だね....私の悪魔状態も、いつまで持つかな.....」
もう一回、攻撃してみよう。そして何か策を練ろう。そう思って身構えた時だった。

「ーー私達も加勢しよう。雅は来るか分からないがな」

聞き覚えのある声がした。思わず後ろを振り返ってみた。
そこには雅を除く、蓬の幹部である筈の二人、逸霊と柚季が立っていた。
魔耶カル「えっ....何で!?」
柚季「私は加勢するなんて言ってませんけど〜?」
逸霊「阿呆、ではお前はここに何をしに来たんだ。来たならば戦ってもらうぞ」
柚季「はぁ....分かりましたよ〜」
少し不満げに、でも少し嬉しそうに頬を膨らます柚季。
蓬「丁度良い所に....まさか自ら消されに来てくれるとは」
蓬の前に来た逸霊が跪き、話を始めた。
逸霊「蓬様、お取り込み中失礼します。蓬様にご用件が有りまして、ここへ参りました」
蓬「何です?貴女の様なプライド高き者が、命乞いにでも来たのですか?」
逸霊「....私は、貴女様に勝負を挑みに来たのです。それに関しては、柚季も同様です」
蓬「....何故そうしようと思ったのですか?」
逸霊「これまで私は、蓬様の力を尊敬していたかの様に思われますが、本当は圧倒的な力に怯えながら幹部を務めて来ました。ですが、この者達により気付かされたのです。どのような力を前にしようと、協力出来る仲間が居ればその力にも打ち勝てると言う事を」
今の今まで跪いていた逸霊がゆっくりと立ち上がった。
蓬「そうですか....で、それがどうしたというのです」
逸霊「簡単な事。この者達と協力し、貴女様を.....いや、貴様を倒して自由の身になってみせる....!!」
柚季「はーぁ....私も同様でーす」
逸霊の後ろで手を挙げる。
魔耶カル「二人共....!!」

蓬「....あぁ五月蝿い。憎い。鬱陶しい。そして、醜い。仲間が増えたからって、何ですか?仲間が居れば、打ち勝てる?そんな茶番劇は不要です。ただの幹部で、もうすぐ処分される予定だった醜い貴女達が加わったって、何も変わりはしない。私の力には到底及ばない。協力なんて、何も生みはしないのよッ!!!」

逸霊「そんな事は無い!!証明として、その面叩き割ってやる!」

154:なかやっち:2020/04/07(火) 17:35

逸霊が立ち上がり、蓬に蛇を向ける。
逸霊「いくら貴様といえども、神経毒は効くだろう…!」
蛇が蓬の喉笛を掻ききろうと、鋭い牙を剥き出して襲いかかる。
蓬「そんなの、攻撃が当たらなければ意味はないでしょう…!!」
蓬が軽く上に飛び蛇からの攻撃を避ける。…が
柚季「もう一人いること、忘れてません?これで意味があるってことになりますかね〜。」
柚季が、おっとりとした口調からは予想できないほど速く空中に飛び上がり、蓬に蹴りをいれた。
蓬「…っ!!」
吹っ飛ばされた先にあった壁に蹴り、体制を立て直す蓬。
魔耶「さ、流石ぁ…」
初めて蓬にダメージを与えた二人…見事な連携プレーだった。
カルセナ「幹部はやっぱり強いわ…」
逸霊「ふん、当たり前だ。…けど、これくらいじゃあまりダメージは与えられてないだろうな。」
柚季「そうですよね〜。こんな攻撃で倒せてたら苦労はしませんよ。」
二人の言う通り、蓬は何事もなかったかのように立ち上がった。
蓬「所詮協力なんてこの程度なのね…よくもまぁ、その程度の力で私に歯向かおうなんて考えたわね…!」
逸霊「たしかに、『まだ』この程度だろうな。私達はただの仕事仲間だ。なんの絆もない。…が、誠の友情で結ばれたもの達がいる。…だから私達は負けないな。」
逸霊はカルセナと魔耶の方を向いて微笑んだ。逸霊のそんな表情を見るのは初めてだ。
蓬「っ友情…そんなものは存在しないわ。この世界の生き物は全て自分勝手!自分中心にしか考えられない生き物ばかりよ!いいわ、そこまで言うなら、私にその友情とやらを見せてもらおうじゃないの。私の能力の前で…果たしてそんなものは存在するのかしらね!」

155:多々良:2020/04/07(火) 21:04

蓬が両手を魔耶達に向けると、魔耶達の胸の辺りから黒い靄の様なものが出て来た。
魔耶「うぐっ.....!?これは....」
カルセナ「何この煙みたいなやつ....!!」
蓬「あははっ!!絶望に飲まれるが良い!!」
向けていた両手を下ろすと、その靄の様なものは持ち主の周り取り囲み始めた。
柚季「きゃあっ!!」
逸霊「くそっ!!何だっ....!!?」
急いで手で払おうとしても掌を通り抜ける為、意味が無かった。その間にも、黒い靄はどんどん自分自身の体を取り囲んでいき、次第に皆の意識は薄れていった。
蓬「仲間だの協力だのとほざいていた貴女達には一番辛い、『仲間割れ』と言うのでもして貰おうかしら?誰が生き残るのかしらね.....」

やがて靄は晴れ、何も変わっていなさそうな皆の姿が見えた。......表面上ではの話だったが。
完全に自分の表の意識を無くし、心の闇に飲み込まれてしまっていた。
そして、数秒も経たない内に仲間内で戦いが巻き起こってしまった。
蓬「あっはっはっは!!ほぉら見た事!!そう簡単に仲間などと言った事を後悔しなさい!!」
高笑いしながら我を忘れた魔耶達を見つめていた時。ふと引っ掛かる者が居た。
蓬「あはは.........あ?」
記憶では、確かに闇に飲み込まれていた。それなのに、仲間割れをしていない人物。
カルセナの姿が目に映った。
カルセナ「ふわ〜あぁ......何だ.....まだ寝足りねぇな....ん?」
蓬「嘘.....私の能力を食らっておいてそんな事は....!!」
カルセナ「オイオイ、何でテメェら戦ってんだ?何だか知らんけど.....止めるか」
そう言って寝起きの体を伸ばすと、仲間割れが起こっている中心へと突っ込んで行った。
カルセナ「テメェら目覚ませ!!!何やってんだ!!」
蓬「....まさかこんな事になるとは、予想外だったわ....でも、もうその者達は止める事は出来ない!!一生闇に溺れて死ぬのよ!!」
カルセナ「掛けられた能力を解く方法が無ぇなんて事、それこそ無ぇだろ....うーんしかしどうしたら目が覚める....?....ここはいっちょ.....」
カルセナは暴れている魔耶の肩を掴み、動きを封じた。
カルセナ「おい!!テメェだけでも....目覚ましやがれッ!!」

魔耶のおでこに、思いっきり頭突きをかました。

156:なかやっち:2020/04/07(火) 22:30

ゴーンと鈍い音が響く。
魔耶「……っっ!……ぃいったぁぁあああ!!?」
魔耶の悲鳴が部屋中に響き渡る。
…どうやらカルセナはそうとう強く頭突きしたようだ。
魔耶「痛い痛い!なに!?頭割れた!?これ割れた!!?血出てない!!?」
蓬「………(汗)」
涙目になりながら頭をおさえつけ、しゃがみこむ魔耶。
おでこがズキズキと痛む…。
なにが起こったんだ…?蓬が何かしようとして、黒い靄がかかって…それで…
カルセナ「お〜。正気に戻ったか?」
そういって泣きそうな魔耶の顔を覗きこむカルセナ。
なんだかニヤニヤとしている…
魔耶「カ、カルセナ…?いや、違う。別のカルセナ…?」
カルセナ「正解だ。お前は大丈夫そうだな。」
…?訳がわからないが、なにかあったのだろうか…?
蓬「っ…!そんな醜い技で…!?私の能力が解けたと言うの…!?」
魔耶「能力…?醜い技…?」
カルセナ「よくわからねぇが、お前は能力であいつらと戦わせられてたぞ?」
カルセナが親指を後ろに向ける。
指の先では、柚季と逸霊が激しい音をたてて戦っていた。
魔耶「えっ!?二人共、なにやって…」
カルセナ「…あいつらにもやってみるか。」
カルセナがボソリと呟き、二人の方に歩いていく。
魔耶「え?な、なにをするの…?」
カルセナ「こうする。」
カルセナは二人を捕まえて、音が聞こえるほど強く頭突きをかました。
頭突きをされた二人は目を回しながらドサッと床に倒れこむ。
魔耶「…痛そう…し、死んでない…よね?」
カルセナ「死んではないと思うが、気絶しちまったみたいだな。お前は平気だったのに、なんでだろうな?」
魔耶「うーむ…悪魔状態でちょっと丈夫だったからかも…?」
っていうか、私にもあれをしたのか…どうりでおでこが痛いわけだ…
まだ痛みが残るおでこを右手で擦る。
蓬「ちっ…。…でも、人数は減ったみたいね。」
カルセナ「あぁ、そうだな。でも、お前なんて二人で充分だろ?」
カルセナが腕を前に突きだし、構えをとる。
魔耶「ふぅ…また最初に逆戻りってことか。」
魔耶も立ち上がって戦闘態勢を整える。
蓬「さっさと諦めればいいものを…!本当にしつこいわね…!」

157:多々良:2020/04/07(火) 23:20

カルセナ「....さっき、頭突きの事を醜い技って言ったな?」
蓬「ええ勿論。あんな技、醜い以外に何があると言うのか....」
カルセナ「でも、あれでテメェの能力は解除出来たんだぜ?何故だか分かるか?」
蓬「....あんな事は無い筈....あってはいけない事なのよ....」
蓬が質問に答えずとも、ぱっと回答を出した。
カルセナ「正解は、魔耶達とこいつ(本体の方)の間に情があるからでしたー」
そう言って、魔耶の肩をポンポンと叩く。
魔耶「.....どういう事?」
ドヤ顔をするカルセナを見て、自分の顔をしかめる。
カルセナ「....それっぽい事言っときゃあ良いんだよ」
蓬「情....ですって?」
カルセナ「あぁ、間に何かしらの良い感情があれば、あんなちっぽけな技でも目ぇ覚ます事が出来るんだよ。....まぁ私が言える事じゃねーけど.....つーまーりー、だ。私が何て言いたいか分かるか?」
蓬「.....仲間がいる事や協力は、不要では無い.....と?私が言っている事は間違っていると....?」
カルセナ「ピンポーン、大正解〜」
蓬「......大きなお世話。仲間なんて居ても、邪魔になるだけ。.....さらに醜くなるだけ。」
魔耶「そんなに、醜いものが嫌いなの....?」
蓬「当たり前。醜いものなんてこの世にいらない。私だって、もう死にたい。でも、私を馬鹿にした奴等、傷付けた奴等が許せない。だからまだ生きてるだけ。いずれは私も死ぬの。」
蓬は魔耶の質問に答えている間、お面の上からずっと顔を触っていた。
カルセナ「.....こりゃあ、面の下に原因がありそうだな....。おい魔耶」
魔耶「はいはい?言いたい事は大体分かってるけどさ」

カルセナ「....あの面、ぶっ壊すぞ」
魔耶「りょーかい。狙うは顔ね!」

158:なかやっち:2020/04/08(水) 18:32

カルセナが走りだし、先程と同じように蹴りを繰り出す。
蓬「こんな技効かな…………!」
蓬は一瞬受け止めようとしたが、先程とは違う威力の蹴りだと気づき右に避ける。判断を誤ったせいで、蓬の仮面の右側にカルセナの蹴りがかすった。
蓬「な、なに…!?威力もスピードもさっきと段違い…」
カルセナの急激なパワーアップに戸惑いを隠せない蓬。
欠けた仮面の破片が床にパラパラと落ちる。
カルセナ「こいつ(本体)の蹴りと一緒にすんじゃねぇよ。私の蹴りはそんな蹴りじゃねえ。」
カルセナ「…それに、そんな余裕で考え事してていいのか?」
カルセナの言葉に合わせるように、魔耶が蓬に向かって走りだした。悪魔状態による身体強化のお陰でいつもの何倍も速い。
魔耶「くらえっ!私特製双剣!」
蓬に向かってつくった双剣を振り上げる。蓬は少し判断が遅れ、双剣が仮面の右側に当たった。
カルセナ「とどめっ!」
カルセナが素早く蓬の懐に潜り込み、仮面を下から蹴りあげた。
蓬「……っ!」
仮面がカラカラと音をたてて床に転がる。
カルセナが落ちた仮面を踏み潰し、仮面は粉々にされた。
カルセナ「さぁ、これでもう仮面はねぇ!面を拝めさせてもら……」
カル魔耶「!」

159:多々良:2020/04/08(水) 23:33

お面が取れ、さらけ出された蓬の顔には見るだけで痛い、大きな傷跡が走っていた。
蓬「あぁ....!!見るな....私の顔を見るなぁ....!!」
顔を見られた蓬は、力が抜けたかの様に地面にへたり込み、両手で顔を覆った。
魔耶「傷跡......?」
カルセナ「何だ、ただの傷かよ.....もっとヤバいもんを期待してたがなぁ....」
蓬「黙れ!!!私がこの傷一つで、どれだけの苦労をしたか.....どれだけ醜い扱いをされたか、知らない癖に!!」
怒って叫んだかと思えば、次はボロボロと涙を流し始めた。
蓬「魔族がこんな傷を負わせなければ.....人間が私を貶さなければ!!私はこんなことはしなかった!!怒りに任せる事も無かったのに!!!......もう後戻りなんか......出来ない.....ッ!!」
暫く沈黙が続いたが、そこにぽつりと一つの声が入った。

魔耶「.....出来るよ」


泣き崩れていた蓬が顔を上げる。そこにはいつの間に近付いたのか、魔耶の姿があった。
魔耶「確かに、貴女のしようとした事は大罪だし、何よりも重い。....でも、今から心を入れ替えて沢山の人の為になれば、その罪の埋め合わせだって出来る筈。まだ、償えない罪になって無いんだから」
蓬「..........」
カルセナ「そーそー、魔耶の言う通りだ。お前はとにかく自分の闇に囚われ過ぎてる。こいつ(本体)と私みてーに、共存出来る様な関係になれよ。そうすれば、ちったぁ気が晴れるだろーよ」
蓬「...........私は.....」
柚季&逸霊「.....うぅ」
蓬が何か言い出そうとしたとき、気絶していた幹部達が目を覚ました。
カルセナ「.....起きるにしても今かよ....タイミング考えろっつーの」
魔耶「まぁ、良くね別に?何か問題があんの?」
カルセナ「.....いや、無ぇよ....」
柚季「あれ.....私は一体何を....?」
逸霊「......額が物理的に痛い....そうだ、何か黒い靄に囲まれて....」
起き上がった二人は、蓬の顔を見た。二人にとっても、顔を見るのはこれが初めてだった。
蓬「.....分かったでしょう....これで、何故私がお面を着けていたかが.....見られたら貶されるに決まっていた....」

160:雪りんご:2020/04/09(木) 19:37

面白いお話ですね!!!

161:なかやっち hoge:2020/04/09(木) 19:58

ありがとうございます😆✨

162:なかやっち:2020/04/09(木) 20:45

柚季「…わぁ、お面の下はそんな風になってたんですねぇ。何故貶されると思ってたんですか〜?誰にでもコンプレックスはありますよ〜」
蓬「……コ、コンプレックス…??」
柚季は相変わらずの天然言葉だったが、蓬は自分の醜い顔をただコンプレックスと言われたことに驚いた。
いままで、人間は自分の顔を醜いだの呪いだのと言ってきた。自分自身もそう思ってたし、それ以外の言葉では言い表せないと思い込んでいた。
…それを、コンプレックスだと…?
逸霊「私達がそんなもので動じるとでも?外見だけを見てあなたを貶す、と…?本気でそう思い込んでいたのか?」
蓬「っ…!だって、相手がどんな反応をするかなんて分からないでしょう!私は…」
カルセナ「…そうだよ、相手がどんな反応をするかなんて分からねぇ。人それぞれだろ?」
カルセナが二人の間に割って入る。
カルセナ「つまり、貶す人もいれば私達みたいにお前の顔を何とも思わないやつだっている。分かったか?」
蓬「…!」
…私は、ずっと魔族と人間全員を敵だと思ってた。私を醜いと言うから。私を貶すから。
…でも、全員を敵だと勝手に思い込んでいたのか、私は…?
彼女らのように、私を迎え入れてくれる人もいるんだ…。
魔耶「…私だって、人間に色々言われたことあるよ。まぁいじめられる対称じゃなくて、恐れられる対称だったけど。…でも、この世界に来て気づいたんだ〜。人間って一口に言っても、いろんな人がいる。真面目だったり、おもしろかったり、変わっていたり…。なにも知らずに嫌われるのを怖がるのは、なんか違うなって。」
そういってニッコリと微笑む魔耶。
どうして?私はあなたを憎んでいるのに。あなたを殺そうと思ってたのに。
…なんで、そんな顔ができるの…?
蓬の傷ついた顔からさらに涙がこぼれる。
その涙は、さっきの怒りや憎しみからの涙ではなかった。
自分を迎え入れてくれる、優しい人達に触れ合ったことによる感動の涙だった。
長い間誰の心も信じなかった自分が、こうも簡単に他人を受け入れるのか。自分でも驚くくらい、蓬の心は彼女らの温もりによってあたたかく満たされていくのを感じられた。
カルセナ「どうする?まだ戦うか?」
蓬「…いいえ…もう戦う必要なんてなくなったわ…あなた達のお陰で、大事なものを思い出せた気がする。…感謝するわ…」
蓬も私達に向かってニッコリと微笑む。
その顔はとても醜いとは言えないくらい眩しくて、あたたかかった。
そんな蓬の顔を見て一言呟く魔耶。
魔耶「…なんだ。そんな顔、できるんじゃん…」


その後、約束通り街の人達は開放された。
雅によると、蓬達は街の人達の生命エネルギーを全て魔力に変え、蓬の能力を使って魔族と人間を争わせようと目論んでいたらしい。
なんとも恐ろしい計画だったが阻止できてよかった。
街の人達も元の生活を取り戻し、これにて一件落着だ。

163:雪りんご◆:2020/04/09(木) 21:21

私より冒頭が面白そうだし♡

164:多々良:2020/04/09(木) 21:32


翌日二人は、前の様に人の声が飛び交い、賑やかな街の大通りを散策していた。
魔耶「いやー、すっかり元の街に戻ったね〜」
カルセナ「ああ、うん....そうね.....」
魔耶「ん?どうした?何か引っ掛かってるものでもあるのか?」
カルセナ「えぇっとね〜.....私達、ボス戦に行ったやん?で、その後に幹部の人達が来たとこまでは覚えてるんだけど....その後の事が全っ然記憶に無いのよね.....」
カルセナの話を聞くに、黒い靄に囲まれた後に意識を失い、気が付いたら街の人々が解放されると言う話になってたらしい。
魔耶(あのときに別のカルセナとコミュニケーション取れてなかったのかな....?)
カルセナ「不思議な事もあるもんですねぇ....」
魔耶「うん、ほんとだね....」

「「 おっはよ!!! 」」

魔耶カル「わあぁっ!!?」
声の主は、以前と変わらずに街の司会として活動しているひまりだった。どうやら調子が悪い様子でも無く、今日も元気に声を上げていた。
ひまり「あはは、突然ごめんね〜」
魔耶「ひまり!?あぁ、びっくりした....でも元気そうで良かった」
ひまり「?私はいつも元気だよ!!」
魔耶「....あー、そう言えばそうだったな〜」
解放した街の人々には、今回の事件の詳細は何一つ伝えない事にした。
言っても信じてくれるかどうか分からないし、余計に怖がらせてしまうだけだと思ったからである。
カルセナがご褒美やら何やらと少しうるさかったが、魔耶が上記の理由を説明したら何となく納得したっぽかった。

ひまり「今日は何する予定なの?」
カルセナ「うーん、何するー?」
魔耶「そうだな〜.....そろそろ、元の世界に帰れる方法をしっかり探してみる?」
最初に街に来たときに、何らかの情報収集は出来るだろうと思ってはいたが色々な事が起こりすぎた為、本格的に情報を求める行為は出来なかったのだ。今なら落ち着いているし、一歩くらい前進出来るチャンスかもしれない....。
カルセナ「あー確かに、何もやってなかったもんね〜」
魔耶「.......て事でひまり、何かそう言う情報手に入りそうな所あるかな....?」

165:なかやっち:2020/04/09(木) 22:39

ひまり「やっぱりギルドじゃないかな〜?……あっ‼」
急にひまりが大声を出すのでびくりとする。
カルセナ「な、なに…?」
ひまり「そういえば、ギルドのマスターがあなた達のこと呼んでたわ!伝えようと思ってすっかり忘れてた!」
魔耶「ギルドの…マスター…?」
名前的に私達がお世話になっているギルドのマスターなのだろうが…なぜ私達を呼んでいるのだろう?会ったこともないのに…
ひまり「とにかく、今からギルドにいってもらってもいい!?」
カルセナ「うむ…まぁしょうがないよね。行こう。」
三人で小走りしながらギルドへ向かう。

魔耶「ねぇひまり。マスターってどんな人なの?」
走りながらひまりに聞いてみる。会ったことがないのだ、どんな性格の人かを知っておきたい。
ひまり「うーん…なんか先のことを見通している人って感じ。名前が…えっと、めぐみさん…だったかな?」
カル魔耶「!!」
なんか、聞いたことがある名前のような気がする…?
いや、きっと名前が同じなだけだ。別人だろう。そもそも、彼女くらいの年齢の子がマスターをできるはずがない。
カルセナ「んと…年齢はいくつくらい?」
ひまり「私達と同じくらいよ。」
うむ…私とカルセナは100歳以上年をとっているのだが…まぁ見た目的にってことだろう。だとすると、16〜17ってところか。
どう考えてもあの子であるハズがない…のに、なんだろう。この違和感。
ひまり「はぁ…ついたわ。マスターの部屋に案内するわね」
考え事をしている内にギルドに到着したようだ。
ひまりの後に続いてギルドへ入っていく。

ギルドはいつも通りの賑わいで、大人の冒険者がわいわいと騒いでいた。
冒険者「おい…あ、あいつ…」
…と、騒いでいた冒険者の一人が私の方に指を指してきた。
…?
今は羽をしまっているからただの人間と同じような容姿のハズだが…。なんで指を指されるのだろう?
カルセナ「……あれ、もしかして魔耶気づいてない?」
魔耶「え?な、なにが…?」
カルセナが私の頭の上らへんに目線を送る。
魔耶は(なにかしたっけ…)と思いながら頭を軽く触ってみる。すると…
カツン。
なにか固いものに手が当たった。しばらく考えてハッと気づく。
魔耶「…あああっ!悪魔状態になったときの反動かっ!!?」
そう、戦いの最中に悪魔状態になった反動で角がしまえなくなっていたのだ。まったく気がつかなかった…
カルセナ「あははははっ!そんなに気づかないもんなんだね〜!」
魔耶「体の一部ですから…」
いままで気づかなかった自分が恥ずかしい…
なるべく冒険者に角が見えないように、手で隠しながらひまりの後に続いた。

166:多々良:2020/04/10(金) 18:52

ひまり「さ、ここだよ。私は外で待ってるから、ゆっくり話してきなね」
カルセナ「おー、ありがと〜」
部屋の扉はギルドの歴史を感じさせるかの様な少し古い、でもどっしりとした木製だった。
魔耶が部屋の扉をコンコンとノックする。
「はーい、どうぞー」
魔耶「んじゃあ......失礼しまーす」
ギイィッと音を立てて扉を開けた。目の前には机の奥にある椅子に座った、めぐみさんらしき人がいた。
風貌的には予想したより少し幼気があったが、マスターと呼ばれるくらいだからそれ相応の力を持っているのだろう。
それにしても、名前と言い雰囲気と言い、東街で出会っためぐみちゃんと似ている様な....そんな感じがした。
めぐみ「お久し振り....ううん、つい最近でしたかね....?」
魔耶カル「えっ?」
二人は当然の反応を返した。いくら雰囲気が似てるからと言って、恐らく初めて会った人に久し振りなんて言われる事は無いからだ。
カルセナ「えーと......」
どちら様ですか。なんて言い出しにくかった。もし会った事があるのだったら失礼極まり無いからであった。
めぐみ「ふふっ、私ですよ。貴女方に東街で助けて頂いた雛野めぐみです」
魔耶カル「ええぇーッ!!?」
余りにもびっくりして、大声を出してしまった。だって、東街で助けためぐみちゃんはもっと幼い子だった。でも今、目の前で東街に居ためぐみだと主張している子の外見は、もう少し年上。
魔耶「えっ?えっと....本当にあの時の....!?」

167:なかやっち:2020/04/10(金) 23:23

めぐみ「はい。東街で噴水の影に隠れて泣いていた、めぐみです。」
そういってニッコリ笑うマスター。
確かにあのめぐみに雰囲気は似ているし、細かいところまで知っているようだが…
魔耶「いやいやいや。たった1日でこんなに成長するはずないでしょう…?」
私達の知っているめぐみはもっと幼かった。
背の高さだって違うし…同一人物であるハズがない、と否定する魔耶。カルセナも横でうんうんとうなずく。
カルセナ「そうですよ。さすがにあり得ないっすよ…」
めぐみ「…まぁ信じられませんよね〜。無理もありません。実際にみてもらった方が早いですかね…少し離れてもらえますか?」
めぐみに言われて少し後ずさるカルセナと魔耶。
なにかするつもりなのだろうか…?
めぐみ「じゃあみててくださいね…それっ。」
めぐみがこちらに目線を送って合図を出した瞬間、彼女の体が白い煙におおわれた。
カル魔耶「!」
白い煙からでてきたのは、私達が東街で出会った少女の姿だった。茶色に近い金髪の髪、オレンジ色の目…間違いない、あの子だ。
めぐみ「私には能力がありまして。それが、自分自身の時を操るってものなんですね。つまり、お婆さんになったり幼い少女になつたりできるんです。」
カルセナ「自分自身の時…」
じゃあ、この幼いめぐみと、ギルドのマスターは同一人物なのか…?
魔耶「な、なんで東街にいたんですか…?」
カルセナ「どうして街の噴水の影に…??」
めぐみ「あなた達の疑問は順を追って説明しますね。まずはお掛けください。」


めぐみ「私の能力は自分自身の時を操る能力。時に干渉する能力です。だからなのか、ときどき予知夢を見るんですよ。」
ふかふかのソファーに腰掛けながらめぐみの説明を聞くカルセナと魔耶。
めぐみ「それで最近見た予知夢が、蓬さんたちの考えていた計画が成功する、というものでして。どうにかしなければと思い、私はお婆さんを装ってあなた達にクエストを依頼しました。」
魔耶「あのクエストの依頼主もあなただったんですか…!?」
めぐみ「はい。そしてあなた達が荷物を届けている間に、私は東街に到着し、噴水の影であなた達を待っていました。」
カルセナ「なんで私達を…?自分で解決してもよかったんじゃ…」
カルセナが疑問を述べる。
そう、彼女はこのギルドのマスター。私達なんかに頼らずとも、自分一人でなんとかなるのでは…
めぐみ「確かに頑張ればなんとかなるかもしれませんが、私はあなた達にやってもらいたかったのです。私が行っていたら、蓬さんは心を開いてくれなかったでしょう。魔族と人間…この二人に行って欲しかったのです。」
めぐみが私達を真剣な眼差しで見つめる。

168:多々良:2020/04/11(土) 09:29

魔耶「成る程.....そう言う事だったんですか.......」
めぐみ「私の勝手な解釈で、危険な目に会わせてしまった事は申し訳ありませんでした。お詫びと言っては何ですが、何か私にお手伝い出来る事がありましたら何でもやらせて頂きます」
カルセナ「おぉ、ありがとうございます〜。何かあるかなぁ、魔耶?」
魔耶「うーん....」
二人は暫く考えた後、ぱっと頭に浮かんだ案件にした。
魔耶「あの....私達、違う世界からここに来たんですけど....」
めぐみ「はい、ひまりさんに聞いていますよ」
魔耶「自分の世界に帰れる方法を提供して頂けませんか?何でも良いので....」
言葉を挟む隙もなく、にっこり笑って返答してくれた。
めぐみ「勿論、協力させて貰いますよ。可能な限りでね」
魔耶カル「ありがとうございます!!」
めぐみ「では私は、他の街でも情報を集める事にします。何か手掛かりがあったら直ぐにお知らせしますので....しばしお待ち下さい」

その後少しだけ話をして、再びお礼を言って部屋を出た。ギルドの真正面に戻ってくると、ひまりが他の旅人と話をしながら待ってくれていた。
カルセナ「お待たせ〜」
ひまり「お、二人共お帰りー。どう?何か話せた?」
魔耶「うん、元の世界に帰る方法に一歩近付けたかもしれない!」
ひまり「それは良かった!!早く帰れると良いね〜」
カルセナ「んだね〜。で、私達は何しよっか」
魔耶「そうだなぁ。情報収集兼ねて、また依頼受けに行く?」
三人がボードまで歩いている途中、ひまりが何かを思い出した。
ひまり「あっ....そうだ、ねぇねぇ!」
魔耶カル「?」
ひまり「明後日くらいに、月一回の昇格試験があるんだけど二人共参加してみない?」

169:なかやっち:2020/04/11(土) 11:12

魔耶「昇格試験…たしかギルドランクをあげるための試験、だっけ。」
正直色々なことがあってうろ覚えだったが、最初にクエストを受けたときにひまりがそんなことを言っていた気がする。
ひまり「そうそう。普通はギルドに入って半年くらいたった人達が受けるものなんだけど…あなた達なら大丈夫だと思って〜。」
ひまりが自身満々にそういい放つ。
カルセナ「…まぁ試験内容によるよね。どんな試験なの?」
ひまり「今月の試験は障害物競争ね。色々なモンスターを試験場に配置して、無事ゴールにたどり着く。それだけよ。」
魔耶「も、モンスター…?」
頭に巨大な昆虫の姿が思い浮かぶ。あんなモンスターがぞろぞろ出てくるのだろうか…?考えただけで鳥肌が立つ…
ひまり「モンスターといってもDランク昇格試験だから、そんなに恐ろしいモンスターはでないわよ。モンスターというより、狂暴な動物?と言った方が正しいわね。」
ひまりの言葉にホッと一安心した。
動物くらいなら私とカルセナでなんとかなるだろう。
カルセナ「競争って言ってたよね。1位にならなきゃDランクになれないの?」
ひまり「いいえ、障害物にやられないで見事ゴールできた人は何位でもDランクになれるわ。ただ、3位以内にゴールできた人は特別にCランクに飛び級できるの。」
成る程、だから競争なのか。
納得してふーんと頷きながら話を聞く魔耶。カルセナもうんうんとうなずいている。
カルセナ「どうする?魔耶、やってみる?」
魔耶「そうだね。どうせなら、S級になってこの世界からおさらばしたいねぇ。」
にやりとイタズラっぽく笑う魔耶。それにつられてカルセナもにやりと笑う。
カルセナ「いいねぇ。この世界に伝説として名を残してやろうじゃないか。」
カル魔耶「…よし、試験を受けます!」
軽い気持ちで試験に挑むことに決めたカルセナと魔耶だった。

170:多々良:2020/04/11(土) 14:12

ひまり「よしっ!決まりだね!!申込書は入会するときと同じように、カウンターにあるから書いてきなよ」
魔耶「へ〜、じゃあ書きに行こうか」
カウンターに束になって置いてある申込書を手に取って机に向かう。この時、ギルドに入るときの思い出がフラッシュバックされていた。
カルセナ「何か懐かしいような、最近のような....」
魔耶「色んな事起こると、時間の流れが速く感じるよね〜」
申込書の内容は、名前やランクの記入などのごく一般的なものだった。
魔耶「よし、えーと....?昇格試験で命を落としたとしても、ギルドは一切の責任を終えませんので十分にご理解とご了承をお願い致します....だってさ」
カルセナ「ひいぃ.....んでも、そう言うもんだよね....」
下に書いてある注意事項に少し怯みながらカウンターへと申し込みに行く。申し込みは直ぐに終わった。
ひまり「お帰り、これで試験に参加出来るね!」
魔耶「はっはー、死なない様に気を付けるよ〜」
カルセナ「また縁起でも無い事を....まぁ大丈夫かな」
気持ちを少し落ち着ける為に、大きく深呼吸をした。
空は晴れ渡り、髪を撫でる、優しく暖かい風が吹いていた。ここ最近は晴れが続いていて心地良い。
魔耶「平和だわぁ....平和ボケしそう....」
カルセナ「さっき試験申し込みしたとは思えんな....何か私達も情報探す?」
この北街は結構栄えてる為、大きな図書館や資料館などがちらほらとあるのだ。

171:安倍晴明◆:2020/04/11(土) 14:49

多々良さん、文才あるやん!

172:雪りんご◆:2020/04/11(土) 14:49

カルマヤの異世界記録

173:多々良 hoge:2020/04/11(土) 16:35

>>>171
あざす

174:雪りんご◆:2020/04/11(土) 17:51

あざすってなに?

175:なかやっち:2020/04/11(土) 17:54

魔耶「そうだね。めぐみさんに全部任せるっていうのも悪いし…」
いくら迷惑をかけられてしまったといっても、これは私達の問題なのだ。全部を任せっ切りにするのはダメであろう。
カルセナ「おっけー。きまりだね。どの建物からいこうか…?」
カルセナから言われてあたりをきょろきょろと見回してみる。
どれも結構大きい建物なので、正直どこに行ってもなにかしらの情報は得られそうだが…
魔耶「ん〜…じゃああそこにしようか。」
魔耶が指をさしたのはレンガらしきものでできた大きな図書館だった。
まわりが花々でかこまれていて、図書館というよりもおしゃれなカフェのような建物だ。
カルセナ「いいね。おしゃれだし、ここから一番近いのはあの建物だね〜」
魔耶「うん。あそこでいいかな?」
カルセナ「いいよ〜」
二人は図書館に向かって歩き出した。


魔耶「あ、角生やしたままなんだけど…だいじょうぶかな…」
ふと歩いている最中にそんなことを思い出す魔耶。
昨日の夕方くらいに悪魔状態になったはず…。今日の夕方まで角はしまえない。
カルセナ「なんか今更感があるけど…街の人たちは魔耶の正体知ってるから大丈夫だと思うよ?ただ、ちょっと視線を浴びせられるかもしれないけど。」
魔耶「それが嫌なんだよなあ…。なんでカルも変身してたのにペナルティがないんだよ〜?」

176:多々良:2020/04/11(土) 18:39

>>174
ありがとうございます、の略。

177:多々良:2020/04/11(土) 19:20

そう言われると、首を傾げて考え始める。
カルセナ「うーん、何でだろうね〜.....あれじゃね?」
魔耶「何さ〜?」
カルセナ「変身と言うか....入れ替わりだと思うんだよね.....だってもう片方が出てる時に外で何が起こってるか、表側に語り掛けて貰わないと分からんもん。その....説明しにくいんだけど....体が同じでも私とあいつは何か違う存在、みたいな....」
魔耶「ふーん....分かるような分からんような....もう一人の方に聞いてみれば?」
カルセナ「それがよぉ、こう言う平和な場所ではもう片方のやつね、語り掛けようとしてもいつも寝てるんだわ。自分な筈なのに腹立つわ〜....」
魔耶「ははーん....やっぱカルセナはカルセナ、か....」
何気無くボソッと呟く。生憎聞こえたらしいカルセナが魔耶の顔をじっと見る。
カルセナ「む、何だと?」
魔耶「何でもないで〜す。ほら、着いたよ」

外壁もそうだが、玄関もとても綺麗に整備されていた。やはり公共の建物だから、と言うのも勿論あると思うが、それ以上にしっかり整っていて、見ていてスッキリする。
カルセナ「わ、ほんとだ〜。綺麗だねぇ」
魔耶「ね〜。さすが北街の図書館、って感じだわ。さ、何か見つかるかな?」
カルセナ「これだけおっきい図書館だもん。他の世界の情報もきっとあるよ」
二人は玄関の扉の奥へと姿を消していった。雅が他の世界の事を知っていた様に、それ以外の誰かも違う世界に関する書物を残してくれている事だろう。そう願うしか無いのだ。

178:なかやっち:2020/04/11(土) 20:16

カルセナ「魔耶〜。なんかあったぁ〜?」
魔耶「うーむ…ない。」
二人はこの世界と別の世界に関する本を探していた。
受付の女性に聞いてある程度の場所は絞り込めたが、一向にお目当ての本が見つからない。
魔耶「文字ばっか見てて頭が痛くなってきたわ…」
ずきずきと痛むこめかみを押さえて俯く魔耶。
それもそのはず、図書館の大きな時計を見てみると、ここに来てから3時間は経過していた。
ずっと集中して本を探したり読んだりしていたのだ。頭も痛くなるだろう。
(…いや、頭が痛い原因はそれだけじゃないか…)
ちらりと梯子の上に乗っているカルセナを見る。
カルセナ「…ん?どうかした?」
魔耶「…なんでもなーい。」
思いだすと、またおでこの痛みがフラッシュバックしてくる。
…いくら敵の能力でおかしくなってたからって、頭突きで元に戻すのは酷いと思う。他の方法はなかったのだろうか?
まぁ、このカルセナに言ってもしょうがないからやめておくけど。

魔耶「そろそろ休憩しようか。疲れた。」
カルセナ「そうだねぇ。じゃあこの本を調べて今日は終わりにしようか…」
カルセナから一冊の本を手渡された。
その本は暗い赤色をしていて、題名のところが真っ白。傷や破れが多く、結構古い本だろうと予想できる。
魔耶「なにこの本?」
カルセナ「さぁ?適当に選んだ。」
…いかにもカルセナらしい。
魔耶「……まぁいいよ。取り敢えず読んでみよう…」
半分カルセナに呆れながら本を開く。
これだけ探しても見つかっていないのだ、この本にも期待はしていない…はずだった。

179:多々良:2020/04/11(土) 21:17

カルセナ「わぁ、めっちゃ掠れてるわ....何て書いてあるのかな〜」
魔耶「う〜ん.....読みづらい......」
本の見返しは無く、ちゃんと書籍化もされていないかの様な....それ程に読みづらいものだった。
魔耶「えーと.....けん..きゅうほ...うこく?研究報告書って事かな?内容は....」
じっくりと目を凝らして文字を読み取る。箇所によっては、完全に色落ちしている所もちらほらとあった。
カルセナ「あ、ここちゃんと読める。『5月13日....長かった。遂に見つけた。恐らく誰もこんな予想はしてなかっただろう。何せ、我々の世界とは違う景色をしているのだから。』....」
魔耶「どれどれ......『観察を続けた。私の出身との街並みが余りにも違う事に一瞬で気が付いた。異形な世界。私はこの世界を、「異世界」とでも名付けようか....。なお、異世界への往復方法は後日、この報告書にまとめるとしよう。』.....って」
二人は顔を見合わせた。
カルセナ「もしかして....」
魔耶カル「「 これに全部載ってる!? 」」
思わず少し騒いでしまった。図書館の係員に注意されたのは言うまでも無い。
カルセナ「へっへー、やっぱビンゴだったね〜」
魔耶「むぅ....今回ばかりはお手柄と言わざるをえないな.....」
そうして、手段が書き記してありそうなページを探してペラペラと捲っていった。所々に絵や図の様なものが描かれているが、何かはよく分からなかった。そして、それっぽいページを見つけた。このページは掠れや汚れが多い。
カルセナ「お、ここは!?えーっと.....『7...24日....私が異...界へ行けたのは、...る人...の協...があっ...から...。名...は何...言っ...だろう...。』んん....相変わらず読みづらい....」
魔耶「....ある人物の協力があった、とかじゃない?」
カルセナ「ああー、確かにそうかもしれんなー」
魔耶「....取り敢えずその本借りて行かん?宿でじっくり読めるようにさ」
カルセナ「おぉ、それは良い考えだわ。んじゃ借りてこっか」
先程二人に注意した係員の人から貸出のチェックを受け、図書館を出た。

本探しに夢中になっている内に結構時間が経っていて、少し空が焼けてきていた。二人は宿を目指して歩き出した。
魔耶「う〜.....疲れた.....結局今日は一ヶ所しか行けんかったな〜....」
カルセナ「そうだね〜.....大丈夫?ちょっと寝れば?」
魔耶「どーしよっかな....ま、宿に着いてから考えるわ」

180:なかやっち:2020/04/11(土) 21:56

魔耶「っ……!」
カルセナ「…魔耶?どうしたの?」
歩いている途中で、突然魔耶が立ち止まった。
俯いていて顔は見えないが…本を選んでいて、疲れてしまったのだろうか?
魔耶「…カルセナ…あのさ、ちょっと…もう歩けない…」
カルセナ「はぁ?」
魔耶は一言発したかと思えば、そのまま道の真ん中でしゃがんでしまった。
カルセナ「ちょっちょっちょ!!なに、どうしたの!?」
突然魔耶がしゃがんでしまったことに驚くカルセナ。
いくら疲れたといっても、歩けなくなるほどのことはしていないはずだが…
魔耶「あれだよ、あれ。悪魔状態の反動その2…」
カルセナ「反動って…角だけじゃなかったの?」
魔耶「実は、たま〜に筋肉痛になることがありまして〜…いまそれがきました。めっちゃ痛いんだけど。」
カルセナ「ええぇ…」
つまり、筋肉痛で動けなくなってしまったのか。
なんとも地味だけどいやなペナルティである。
カルセナ「しょうがない、おぶっていくか…」
魔耶「ありがとーございまーす…」
カルセナ「…なんかイラッとくるわ」
少し暗い顔をしながら魔耶をおぶるカルセナ。
魔耶「ぁ〜、マジで全身筋肉痛…動かしたくない。」
カルセナ「お前もう変身すんなよ…」
魔耶「あらぁ…変身してなかったら君は今頃泥沼のなかで溺死してるよ?」
…正論で返されてさらにイラッとくる。
まぁその通りなんだけど。

カルセナ「…そう考えると、私達、何度も死にそうな目にあってるねぇ。」
魔耶「…そうだね。そのたびにどちらかが助けてるね。」
ドラゴン、巨大な昆虫、毒キノコ、翼事件、泥沼、能力でおかしくなったとき…確かに、私達は全部助けてあってるなぁ。
魔耶「…カルセナと出会えてよかったよ。」
カルセナ「ん?なんか言った?」
魔耶「なんでもありませーん。」
この世界に来たときにカルセナと出会えてなかったら、私はここにいなかったかもしれない。こんな大冒険はできていなかったかもしれない。
今思えば、あのときカルセナと出会えたのは運命というやつだったのかもね。
魔耶「…ありがとう、カルセナ。」
カルセナ「こっちのセリフだっての。」
夕陽を背にし、笑いあう少女の声が赤く染まった空に響く。
彼女達の笑い声に反応したように暖かい風が吹き、二人の肌をくすぐった。

181:多々良:2020/04/11(土) 23:37

カルセナ「....さてと、着きましたよ魔耶サーン」
筋肉痛が辛そうな魔耶をベッドに寝かせた。
魔耶「ありがとー。私暫く動けんから....すまんけどあと何かよろしく〜」
カルセナ「へいへい、んじゃあ私は、またご飯か何か買ってくるわ。何が欲しい?」
ベッドから眠そうに答える。
魔耶「お腹空いたから.....おにぎり〜。あと何かの飲み物〜」
カルセナ「りょーかいよー。行って来まーす」
本をテーブルに置いて、店に向かう為部屋のドアから再び外へ出た。
魔耶「いてらー.....ふぅ、ほんとに代償が大きいなぁ.....帰って来るまで寝るか....」
そうして魔耶は、痛む腕で帽子をやっとこさ脱ぎ、眠りについた。


カルセナ「この時間帯は買い物してる人多いなぁ....売り切れてなきゃ良いけど」
街の中心部は、夕飯の材料や、夕飯そのものを買いに来たと思われる客でごった返していた。

男の子「お母さーん、オムライス食べたいー」
女性「オムライス?うーん、どうしようかなー....」
男の子「お願い!!ぼく良い子になってるからー!」
女性「そうね....じゃあ、今日はオムライスにしよっか!」
男の子「やったー!!お母さん大好きー!!」
不意に目に入った光景だった。お母さんに甘える男の子。別に珍しくも何ともないものだったのに、何故か胸の辺りがギュッと締め付けられる感覚に囚われた。昔を思い出すかの様な、思い出に胸が痛むかの様な。カルセナが小さい頃に、母が亡くなっていたからかもしれない。その思い出が、懐かしくて、寂しくて。
カルセナ「....お母さんねぇ....懐かしいわぁ」
幸せそうな親子を見た余韻に浸りながら店を目指した。向かった先の店もやはり混み合っていた。
カルセナ「わわ....人混み苦手....でも行かないと飯が無いからなぁ」
魔耶に頼まれたおにぎりの棚まで行くと、まだいくつか残っていた。
カルセナ「お、やった。あの人何が良いんだろ.....聞いてくるの忘れちった」
取り敢えず王道と思われる鮭と昆布、そして私のご飯、パスタを買って帰る事にした。
カルセナ「ふぃー、疲れた.........あ、飲み物忘れた....自販機でいっか」
少し寄り道して、自販機が沢山並んでいる道へ向かった。
カルセナ「飲み物も何が良いか分からんもんな〜....やっぱ未知だったわ、魔耶の事」

182:なかやっち:2020/04/12(日) 08:27



…暗い空間の中で、魔耶は独りたたずんでいた。
魔耶「…ここは…?」
なにもない孤独な空間…そこにポツンと立っている魔耶。
この空間…見たことないのに、知っている…?そんな気がした。
魔耶「……!」
遠くの方で小さな子供達が遊んでいるのが目に入った。
一人は縄跳びをし、一人はそれを見てすごいすごいとはしゃぎ、一人は縄跳びの回数を数え…
暗い空間の中で、そこだけが光りを放っていた。
…どうしてだろう。私は、あの輪の中に入りたいらしい。
体が勝手に子供達に向かって進みだした。
魔耶「っ…!い、いやだ…!」
意志とは関係なく進む体。
でも…私は行きたくない。この先の出来事を思い出したから。この先の出来事を知っているから…

魔耶「私も入れて〜」
子供達の近くまで来たとき、自分が小さい子のような声を発した。
その声に反応して振り替える子供達。
三人の目が、魔耶の漆黒の翼に向けられる。その目は縄跳びをしていたときのように輝いてはいなかった。
こちらを恐れるように…私の様子を伺ってるような…そんな目。
子供達「うわあぁぁぁ‼化け物が出たぁ‼‼」
突然子供達は叫びだし、駆け出した。
あっという間に輪はくだけちり、光りも消え、暗い空間に魔耶だけが取り残された。
魔耶「…え…?私、化け物じゃないよ…?」
自分を化け物だと言われて戸惑う、幼い魔耶。
…そうだ。これは…私の過去の出来事…
この暗い空間は、私の孤独ーーーー

183:多々良:2020/04/12(日) 14:39


カルセナ「うーんと....まあおにぎりだし、またお茶でいっかな?予備として何本かジュース買っとけば良いよね」
そう言って自販機に、この世界流通の硬貨をチャリンと入れる。ボタンを押すと、飲料が下にゴトンと落ちる。
現実で起こる選択も、自販機の様に簡単に選ぶ事が出来たら良いのに....。そんな事を考えながら、全ての買い物が終了したカルセナは、ゆっくり宿に戻る事にした。この世界に居ると、何だか時間の流れが速く感じる。もう日も落ちかけ、街の街灯や店の灯りが薄暗い北街の大通りを照らしてくれていた。
カルセナ「はぁ〜....やっぱ良いなぁこの街....何か落ち着くわ〜」
優しい灯りに仄めかされ、安心したカルセナの腹の虫が小さく鳴いた。
カルセナ「.....魔耶大丈夫かしら。筋肉痛は結構続くからなぁ〜....あ、でもあの人魔族だからすぐ治るかな?」
魔耶の心配を他所に、てくてくと道を歩き進める。

「ーーお母さん、待ってぇ〜」
「大丈夫、いくらでも待つから。」

「ねぇねぇ、あれ買ってよー」
「昨日買ってあげたばっかでしょ?ちょっとは我慢しなさい。」

「....お母さん」
「なぁに?」
「....大好き。」

ーー何故こんなにも思い出してしまうのか。さっきの親子を見たせいなのだろうか。
もう思い出さないって決めていた。余計寂しくなってしまうから。
カルセナ「....はぁあ、まだまだ駄目だなぁ私....」

気が付いたら宿に着いていた。建物に入り、魔耶が休んでいる部屋のドアを開ける。
カルセナ「ただいまーっ....て、あら....」

184:なかやっち:2020/04/12(日) 15:05

魔耶「…っはっ!…はぁ…はぁ…」
勢いよく体を起こしたせいで腰が痛くなる。
自分の手を見ると、汗でじんわりと湿っていた。タオルをつくって汗を拭う。
魔耶「…なんで、今になって…?」
ここ数十年はあの夢を見ていなかったのに。
異世界に来た影響だろうか?それとも、久し振りに悪魔状態になったからだろうか。
…考えても分からないなら考えたって仕方ないか。

カルセナ「ただいまーっ…て、あら…」
魔耶「あ、カルセナ…おかえり。」
ちょうどカルセナが帰ってきた。
魔耶「遅かったね?」
カルセナ「夕御飯の時間だったから混んでてね…。魔耶こそ、ずっと起きてたの?」
魔耶「うん。」
カルセナに対して嘘をつく魔耶。
いまさらあんな夢を見たと説明することになるのはいやだった。
カルセナ「…ふーん。体調はどう?」
魔耶「まぁまぁかな。歩いてた時よりはいたくない。」
カルセナ「そう、ならよかった。…おにぎりでもくらえっ!」
魔耶に向かっておにぎりが2つ投げられる。
魔耶「食い物投げるなってば‼」
まだ痛みが残る腕でなんとかおにぎりをキャッチすることに成功した。まったく、とりそこねたらどうするんだ…
カルセナ「うんうん、元気そうでなにより…って、このくだり前もやったな。鮭と昆布買ってきたぜ〜」
魔耶「おお、鮭はナイス。鮭は好きだ。」
カルセナ「昆布は?」
魔耶「普通かなぁ〜」
カルセナ「昆布も好きになれ。」
…カルセナと雑談していると、あんな夢のことなんか忘れてしまうくらいたのしい。
本当、一緒にいられてよかった。
カルセナ「ん?なにニヤニヤしてんの?」
どうやら無意識に顔がにやけてしまったらしい。カルセナが顔を覗きこんでくる。
魔耶「なんでもありませーん。鮭おにぎりが嬉しかっただけでーす。」
カルセナ「お気に召されたようでなによりですわ〜。」
二人でくすくすと笑いながらそれぞれのご飯を食べ始めた。

185:多々良:2020/04/12(日) 17:23

カルセナ「そう言えばさー」
魔耶「ん?どった?」
カルセナ「その借りてきた本に、誰かの協力を得た〜みたいな事書いてあったやん?」
魔耶「あー確かに....それっぽい事は書いてあったね〜」
おにぎりを貪りながらカルセナの問いに答える。
カルセナ「んで、その本めっちゃ古いやん。てことはさ....協力人物はすでにさ....」
魔耶「....あっ!!もしかして、もうこの世界には存在しない.....?」
カルセナ「そうなるくね....?」
困った....そう考えていたが、魔耶はある可能性を思いついた。
魔耶「でもでも、人間じゃなかったらワンチャンあるんじゃ....ほら、妖怪とかだったらさ」
カルセナ「......あー!!ほんとだ!じゃあ、その人が人間でない事を祈るしかないって事か....」
魔耶「それに、もしかしたら他の方法もあるかもしれないしね〜....モグモグ」
他にも色んな事を度々話しながら、夕食を終えた。窓の外はすっかり暗闇に包まれ、北街に夜が訪れていた。

カルセナ「ぐぁ〜.....飯食って風呂入ったらめちゃめちゃ眠くなってきた〜.....」
魔耶「昼寝とかもしてないもんね〜、明日の情報収集の為に早く寝たら?」
カルセナ「どーしよっかしら....まだ起きてたい気持ちもあるんだよなぁ....」
とか言いつつもベッドに寝転がって、寝る準備万端な様子だった。時折ちらっと、テーブルの上の本を見ていた。
カルセナ「その本ももうちょっと見てみたいしなぁ〜....」
魔耶「ちゃんと帰る方法載ってれば良いんだけどねぇ」
カルセナ「そんな上手くいくかなぁ〜....載ってたとしてもそっからまた色々しないといけないだろうし」

186:なかやっち:2020/04/12(日) 17:55

魔耶「そうかもね〜。なんで私達がこの世界に来ちゃったのかも知りたいけど…」
カルセナ「その本にぜーんぶ書いてあったら苦労しないよねー…」
魔耶「そうだよね…かかれてたとしてもヒントくらいじゃないかな…?」
テーブルの上の本をパラパラとめくってみる。
ところどころシミがついてたり掠れていたりでまともに読めそうなページが少ない。
カルセナ「まぁ今日は疲れたし、寝よう。眠いと頭も働かないよ〜」
カルセナが目を擦って大きく欠伸をする。
魔耶「そうだね…よし、就寝!」
魔耶の掛け声で部屋の電気が消された。
それぞれが自分のベッドに潜り込む。ベッドはフカフカでとても心地よかった。


魔耶(………)
先程見た夢を思い出す。私の幼い頃の…
またあの夢を見てしまうのではないか。その恐怖からか、なかなか寝付けなかった。
隣からはカルセナの寝息が聞こえる。カルセナはもうすっかり夢の中のようだ。
魔耶(カルセナも疲れてたんだろうなぁ。…どうしよ、まったく寝れない)
懸命に目をつぶって眠気がやってくるのを待ったが、いつまでたっても眠くならない。
魔耶「しょーがない。夜の散歩と行きますかぁ」
もう筋肉痛はほとんど治っていた。
ベッドからよいしょと起き上がり、そっとドアを押して宿から抜け出した。

夜の風はとても涼しかった。少し寒いくらいだ。
上を見上げると、満天の星が青と黒でグラデーションされた空に光を灯している。星が好きというわけでもない魔耶でもハッと息をのむくらい綺麗な星空だった。
魔耶「わぁ、星綺麗…この世界にきたばっかりのときも、こんな星空だったっけ。」
カルセナと一緒に見上げた星空を思い出す。
まだ日はそんなにたっていないのに、カルセナと出会ったあの日が遠い昔のように感じた。
魔耶「カルセナにはいっぱいお世話になったねー…なにかプレゼントでも買ってやろうかしら。」

187:多々良:2020/04/12(日) 19:21



カルセナはよく夢を見る体質だった。夢を見る事に対しては、別に悪くは思わない。
だが、最近見る夢の内容には少し嫌気が差すものもあった。

ーー特に何の変哲も無い我が家。家族の賑やかな声と、生活音が響く。外からは車の走る音や近所の住人の話し声も聞こえる。
ああ、とても良い環境だ。落ち着くし、心地が良い。
でもたまに、突然辺りが真っ暗闇に包まれる。自分の足も見えないくらいの真っ暗闇に。とても遠く離れた場所や、すぐ隣に居るのではないかと思ってしまう様な所から誰かの泣き声が聞こえる。
何が起こっているのか分からない。何がそこに居るのかも分からない。とても怖い。
そんな感情を抱くと、また辺りがパアッと明るくなって元の我が家に戻る。

ーーその夢が私に何を言いたいのか、何を伝えようとしているのかなんて分からない。

ただただ私は夢に操られて、夢の思うがままに動かされるだけ。

夢に弄ばれる、操り人形。

やっぱり夢って、見ない方が良いのだろうか。自分を脅かす、悪いものなのだろうか。


カルセナ「........う〜ん....」
また目が覚めた。明日に向けてしっかりと寝たいのに、私の体は何故か起きてしまった。ふと、魔耶のベッドに目を向ける。
カルセナ「....ありゃ....魔耶...?.......どっか行ったんかな....」

188:なかやっち:2020/04/12(日) 20:14

魔耶「……今日は寝れそうにないかな。」
満天の星空の下で呟く魔耶。
その顔は少し暗いものだった。星を眺めていたときの輝いていた表情ではない。
魔耶「…」
あの夢は、実際に起こったことだ。妄想や幻ではない、本当に起こったことー…
あの子供達は…いや、人間達は私のことを恐れている。
この街の人達はすんなり受け入れてくれたけど…
魔耶(…いや、本当にそうなのだろうか?)
もしかしたら、私が知らないだけで、本当は私のことを恐れている人達がいるのかもしれない。カルセナだって、本当は私のことをー…
夢をみたせいで、嫌なことを考えてしまう。
そんなことあるわけないのに。ちゃんと分かっているつもりなのに。
魔耶「はぁ〜ぁ…私って、嫌なやつかなぁ。」
カルセナ「そんなことないけど…」
魔耶「そうかなぁ………ん?」
自分とは違う声に反応して後ろを振り替える。
そこには、少し眠たそうなカルセナの姿があった。
魔耶「カル…い、いつからそこに…」
カルセナ「たった今だよ〜。魔耶、こんなところでなにしてんの?」
魔耶「ちょっと寝れなくてね…」
カルセナ「ふーん…」
カルセナが魔耶の隣に腰かける。
…わざわざ探しに来てくれたんだろうか。
カルセナ「んで、なんで自分が嫌なやつだと思ったの?」
カルセナが当たり前のように私に質問してくる。
魔耶「……実はね…」
先程まで考えていたことをカルセナに打ち明ける。あの夢のこと。自分を恐れている人達がいるかも知れないと考えたこと…

魔耶「…ってなわけですよ。これを聞いても、私は嫌なやつじゃないっていえる?」
少々不安になりながらもそう質問した。
こんな話を聞かされたら、どんな人でも嫌なやつだと思うだろうな…
カルセナ「…うん。いえる。」
魔耶「!?……な、なんで?だって、私は勝手にカルセナに恐れている〜だとか考えて…」
カルセナ「嫌なやつだったら何度も助けたりしないし、一緒に行動してない。それに、そんな過去があったんならそう思って当たり前だよ。」
魔耶「……」
そうなのだろうか…?そういうものなのだろうか…
魔耶「…カルセナはさ、前に私が羨ましいっていってたよね」
カルセナ「あぁ、この街に入る前にそんなこと言ったっけ」
街に入る前にした会話を思い出す。
魔耶「私はカルセナが羨ましかったよ。人間で、いじめられることも恐れられることもない。死んじゃったあとも自由に行動できて…」
…私は、魔族だから…そう続けようとしたが、それ以上の言葉が出てこなかった。

189:なかやっち hoge:2020/04/12(日) 20:15

[あ、恐れられている〜です。間違い多いっ…!]

190:多々良:2020/04/12(日) 20:43

カルセナ「.....ほんとにそう思う?」
意外な言葉だった。そんなことないよ、大丈夫だよ。そんな言葉が出てくると思っていた。
魔耶「え....?」
カルセナ「私、あの時は浮幽霊になって嬉しい事しか言ってなかったじゃん?」
魔耶「....そう言えば、そうだね......」
カルセナ「浮幽霊になってから嬉しい事もあったけど....でも、ちょっと寂しい事もあったんだよね....」
満天の星空を見上げながら話を続ける。
カルセナ「....誰にも、私の存在を気付かれなかった。すぐ近くに居たのに....家族は泣いてばっかで、私の声すらも届かなかった。.....普通に考えればそれは仕方無いって分かってたけど.....」
魔耶「.........」
カルセナ「だからこの世界に来れて良かった。私の声が届いて、私を見れて、私に触れる事が出来る存在。魔耶に出会った時、凄く嬉しかったんだ」
魔耶「カルセナ.......」
カルセナ「....あ、また話脱線しちゃった....すーぐ違う話に飛んじゃう」
そう言って、照れ隠しをするかの様に帽子を顔まで下げた。
カルセナ「.....魔耶を馬鹿にするやつなんて、許せないね。魔耶は魔耶なんだから....悪い奴なんかじゃ無いんだからさ....」
帽子で顔は良く見えないが、声で大体の表情は分かった。
魔耶「.....あははっ、そっか.....ありがと」
カルセナ「.......おぅよ」

二人を包む風は冷たくて悴んでしまいそうなものだったが、今の二人にとっては熱くなった頭を冷ます、丁度良いものだった。
沢山の星は相変わらず、夜空でキラキラと煌めいている。
急にカルセナがバッと立ち上がった。

カルセナ「....よしっ!!一緒に帰ろ、魔耶!こんな夜じゃあ風邪引きそうだしさ!」
魔耶を見るその目は、夜の風に対抗するかの様な、温かい目だった。

191:なかやっち:2020/04/12(日) 21:36

魔耶「…うん」
そうだ、私はなんてことを考えてしまったんだろう。
カルセナが私を恐れるはずないのに。私の正体を知ったときも…
魔耶「クスッ…アハハッ!」
カルセナ「?…なになに、どしたの?」
魔耶「いや…カルセナが言ったかっこよって言葉を思い出してね…カルセナが私を恐れるわけないわ。かっこよ、だもんね…!」
カルセナの言葉を思い出して大笑いしてしまう。
なんだか、私があれだけ悩んでいたことがその一言で全部洗い流されたような…そんな言葉だったのだと、今改めて思った。
カルセナ「あははっ、そういえばそんなことも言ってたねぇ。いや、あれ本音だからね?かっこいいじゃん魔族!」
魔耶「ははっ…幽霊もかっこいいよ」
カルセナ「幽霊は怖いじゃない?」
魔耶「大丈夫、カルセナはまったく怖いと感じれない。」
カルセナ「なんかそれはそれでモヤッとするわ…」
カルセナと話をして、私の悪夢がどこかへ吹き飛んでいってしまったような…そんな気がした。
彼女のおかげで今夜はぐっすり寝られそうだ。
魔耶「よっしゃ、寝るか」
カルセナ「寝るのに気合をいれてる人は初めて見たよ…」
ふたたび部屋に戻り、それぞれの布団に潜り込む。
魔耶「おやすみ、カルセナ〜」
カルセナ「おやすみ〜。」
瞼を閉じると、先程までまったく眠くなかったのが嘘のように、すぐ意識が暗闇の中へ沈んでいった。

192:多々良:2020/04/13(月) 17:17



ひまり「「おはよう、二人共っ!!!」」

ドアが勢い良く開く大きな音がしたせいで目が覚めた。
その音の元凶は、ノックも無しに部屋に飛び込んで来たひまりだった。
魔耶「.....うぅ〜ん......何だ何だ.......」
カルセナ「はっ.......あぁ朝だ〜....」
ひまり「急にごめんね!でも、朗報よ!!めぐみさんがまた二人に用があるって!」
寝起きのボサボサの髪を手で軽く整えながらそれに応える。
魔耶「えっ.....本当!?やっばい、早く準備しないと.....」
時計を見るともう八時を回っていた。昨日の夜、散歩しに行ったり話をしたりしたときの僅かな疲れが、こんな時間まで体を寝かせたのだろう。
二人は急いで、着替えなどの朝のルーティーンを済ませてギルドへ向かった。
カルセナ「めぐみさんかぁ〜....て事は、何か分かったのかなぁ?」
魔耶「こんな短い時間で分かるもんなのかね?」
カルセナ「まぁまぁ、うちらもちょっとだけ分かった事あったやん?きっとそんな感じでしょ」

ひまり「着いたよ!ほら、早く行ってきな!!大事な事だったら尚更ね!」
そう言って、大きく手を振って二人を見送った。それを見るに、今日はとてもご機嫌そうな様子だった。

193:なかやっち:2020/04/13(月) 18:19

魔耶「ひまりなんかいいことあったのかな。ご機嫌。」
カルセナ「さぁね…朝から元気で羨ましいわ…」
軽く話しながらめぐみのいる部屋の扉をコンコンとノックする。
カルセナ「めぐみさーん?入っていいっすか?」
めぐみ「カルセナさんと魔耶さんですか?どうぞー」
めぐみの一声に反応し、扉をガチャリと開けた。
めぐみ「朝早くからすみません。」
魔耶「いえいえ、大丈夫ですよ。…んで、なにか見つかったんですか?」
めぐみ「はい。旅人からいい情報が入りまして…まずはお掛けになってください」
そういわれて、二人で近くにあったフカフカなソファーに腰かける。ソファーは体が沈んでしまうくらい柔らかくて座り心地がよかった。
めぐみ「では、これをご覧になっていただけますか?」
私達が座ったタイミングを見計らって、めぐみが懐からなにかを取りだし机の上に置いた。よくよく見ると一冊の分厚い本だった。保存状態が良かったようで、破れや汚れが見当たらない。
カルセナ「…これは…?」
めぐみ「私は旅人さんにこんな話を聞いたんです。それから、この本を手渡されまして…この本の内容はそのお話に基づくものなので、先にそのお話を聞いてもらいましょうかね」


めぐみ「これは、この世界のある地域に古くから伝わるおとぎ話らしいです。」
めぐみはふぅと息を整え、一気に語り始めた。
めぐみ「昔々、とある王国に、みんなから厄介者扱いされている王子様が住んでいました。王子様はとてもやんちゃで、よく城から抜け出して森の中を駆け回っているような子でした。
そんな王子様に王様もお妃様もあきれ果て、国の民からもやんちゃ王子と呼ばれるほどやんちゃな王子様なのでした。

ある日王子様はまたお城を抜け出し、森で走り回っていました。
原っぱを走り、転げ回り、自由な時間を楽しみ……
すると、近くの湖の方から泣き声が聞こえてきました。いつもはそんな声が聞こえないので王子様は不思議に思います。そして、泣き声につられて湖の畔まで行ってみることにしました。

湖の畔で泣き声をあげていたのは見知らぬ少女でした。
畔でうずくまり、悲しそうに声をあげる少女。
王子はその少女に、なぜ泣いているのかと尋ねます。すると、少女は不思議なことを言い出しました。
『なぜ私はこんなところにいるのか分からない。こんなところ知らない。お家に帰りたい』と。
詳しく話を聞くと、どうやら少女はこことは違う世界から来たようです。
王子はここの世界のことを教え、少女は元の世界のことを教えてくれました。ずっとやんちゃ王子と呼ばれ、誰からも厄介者扱いされてきた王子にとって、少女と話した時間はとても楽しく感じました。いつしか少女も泣き止み、二人は話に花を咲かせました。

少女と話をしていたらすっかり日が落ちてしまいました。
辺りは暗くなり、森の中は真っ暗です。
王子はお城に帰ろうとしましたが、少女を置いてはいけません。少女はこの世界に住んでないので家も家族もないのです。
やんちゃな王子は、少女を元の世界に返してあげようと考えました。王子にとって初めての友達と呼べる存在。ずっと家族と離ればなれでこの世界で生活していくのは可哀想だと思ったのでした。
王子はこっそりお城に戻り、冒険に必要なものを揃え、少女を元の世界に戻すために冒険に出ました。」

194:多々良:2020/04/13(月) 19:23


めぐみ「....とまぁ、冒頭の物語はこんな感じです」
今自分がいる場所を知らない、別の世界から迷い込んだ少女。それを解決する為に動く王子。
このままスタンダードな童話の物語なら、二人が帰る方法もそこで見つかりそうだった。
魔耶「へぇ.....やっぱりそんな昔から、異世界って言うのは存在してたんだね〜....」
カルセナ「ねー。でもこんなに時間が経ってるのに、何で異世界へ行き来出来る方法が載った資料が少ないんだろう.....」
めぐみ「今の私の知識では分かりません........では、続きを....」

めぐみ「王子が最初に旅した場所は、何度も何度も遊び呆けた、見慣れた森。まずはここで何か見つかれば....そう思い、森の中を、少女を連れて冒険しました。少女を連れながら森を歩くのは中々大変でした。しかし、王子は困っている人を見逃せません。自分の足が疲れても、お日様が山の陰へと沈み始めても、少しずつ休みながら諦めずに探し回りました。

ですが森には何の手掛かりもありません。困ったな....。王子はそう溢しました。でも、少女をお家に帰してあげたい....その一心で、次の冒険先を考えました。

次に二人が向かった先は、城下町から遠く離れた広大な岩場でした。ここには絶対に行ってはいけない。王様とお妃様に固く言われていましたが、今はそんな事は気にしていられない。少女を助けるんだ。そう決心して、恐る恐る岩場を登り始めました。

登っている最中、少女に何か思い出せる事があるか聞いてみました。ですが少女は何も覚えていなかったのです。何も分からないまま、やっとこさ岩場の中腹らへんまで登り終えました。そこから見る景色はとても綺麗で、お城の一番高い窓から見るよりももっともっと高い場所でした。」

195:なかやっち:2020/04/13(月) 20:25

魔耶「高くて大きな岩場…場所のヒントになるかもね」
おとぎ話を聞きながらぼそりと呟く。
カルセナ「森にはなにもなかったんだよね。だから森を探すのは意味が無いのかな…」
めぐみ「このお話では王子達はたくさん歩いて散策しても見つからなかったから…そうですね。森にはなにもないと考えていいかもしれません。場所のヒントにはなりますがね…。では、続けます」


めぐみ「王子は綺麗な景色を見て、疲れが薄くなっていったように感じました。病は気からと言うように、体の疲れは精神の疲れによることが多いのかもしれません。
景色を見て元気を取り戻した王子様と少女は、高く険しい山をぐんぐん登り…ついに頂上までたどり着きました。

山の頂上になにか手掛かりはないかと探し回る王子達。すると、洞窟のなかでたき火をしていた一人の魔女に出会いました。魔女は事情を聞くと、王子達に向かってこう言います。
『この世界には、己が望む世界へと繋がる不思議な扉が存在する。だがその扉には鍵がかかっていて、鍵を見つけないと開かないんだよ。鍵はこの世界のどこかに3つ散らばっている。元の世界に帰りたいと願うのであれば、鍵を探してごらん。』
王子達は有力な情報が得られて大喜びし、心優しい魔女にお礼を言いました。

こうして、王子様と少女の大冒険が始まるのですーー」

めぐみ「これでおとぎ話は終わりです。」
いきなりの終わりに目をぱちくりする二人。
カルセナ「え、もう終わり?これからがいいところじゃん!」
魔耶「うん、その大冒険が聞きたいのに…」
お話の突然の終わりに文句を言う二人。
これでは、王子と少女がそのあとどうなったのかが分からないではないか。
めぐみ「まぁまぁ、落ち着いてください。おとぎ話は、ですよ。本のことを忘れてません?」
めぐみの言葉にあぁと納得する。そういえば本もあったな…
魔耶「でも、おとぎ話に全部入れちゃえばいいのに。少女と王子様はどうなったのか気になるじゃん。」
めぐみ「おとぎ話なのであまり長くては子供に読めないでしょうから…。それに、小さい子が自分なりにそのあとのお話をつくってみる、っていうのもおもしろいですよね。」
カルセナ「…なるほど、おとぎ話だもんね…そういうものか。っていうか、この話はただのおとぎ話なの?本当にあったことじゃないの?」
めぐみ「すこし事実とは異なりますが、実際にあったことに基づいて作られたおとぎ話らしいですよ。その実際に起こったことについてが、この本にまとめてあります。この本は物語にでてくる王子様が記した日記なんです。まぁ複製なので本物ではないのですが…内容はそっくりそのままです。」
なんと、実際の王子様が記した日記帳があるとは…と驚く二人。
もしかしたら、ここにすべてが記されているのかもしれない。どこで鍵を見つけ、少女は自分の世界に帰れたのか。どうしてこの世界に来たのか…
魔耶「…内容を、教えてくれる?」

196:多々良:2020/04/13(月) 21:18

めぐみ「....ええ、勿論です」
そう言って、先程机に置いた分厚い本と持ち替え、一番最初のページを開いた。
めぐみ「因みに私はこの日記帳、最初の数ページしか読んでいません。その後の事は、今初めて知る事になります」
ゆっくりと、日記帳の朗読を始めた。

めぐみ「....3月25日、今日も森の中でたくさん遊んだ......この辺は普通の日記ですね」

「....4月2日、湖の近くで、泣いてる女の子に出会った。お家に帰りたいのに帰れないらしい。どうにかして僕が帰してあげないと。」

「....4月5日、岩だらけの洞窟で、おかしな格好の人と話をした。この子がお家に帰るには、3つの鍵が必要なんだって。二人で助け合えば、必ず見つかるよね。絶対諦めないぞ。」

「....5月3日、たくさん歩いて、色んな所を探してみたけど全然見つからない。まだ一個も見つけてない。本当に鍵なんてあるのかな。.....お月様、どうか僕達に、少しでもお恵みをください。」


めぐみ「私はここまで読みましたが....後はどうなるんでしょうか....本当に帰る方法が載っていれば良いんですが.....」
魔耶「うーん....でもまだ先があるんだから、多分結構参考になることは載ってると思うけどなぁ.....」
カルセナ「なんか今んとこ怪しいけどね....」

197:なかやっち:2020/04/13(月) 22:01

めぐみ「続きを読んでみましょう。」
次のページをペラリとめくる。

「…5月8日、今日も鍵を探す。まったく見つからない。せめて手掛かりでもあればなぁ…」

「…5月20日、不思議な街にたどり着いた。僕達よりもずっと小さい人がたくさんいる街…。聞き込みをしたけど、みんな鍵のことを知らないみたい。あの人は嘘をついていたんだろうか?」

「…5月28日、やっと情報が得られた。あのおじさんが言うには、この街から北へ進んだところに大きな塔があって、そこに鍵があるんだって!はやく行ってみなくちゃ…」

「…6月2日、塔に来たものの、塔の中には大きな怪獣がいて入れない。もしかして鍵を守っているのだろうか…でも、あの子を元の世界に返してあげるって決めたんだ!怖いけど、行かなくちゃ…」

魔耶「王子よりもずっと小さい人たちの街…?」
カルセナ「なんだろうね…小人とかかなぁ。その街から北へ行くと塔があって、そこに鍵があるけど怪獣がいて…」
めぐみ「まだ幼いでしょうに、怪獣がいる塔に行くなんて勇気がありますね…すこし飛ばします。」
2、3ページをパラパラと読み飛ばして、日記の続きを語り始めた。

「…7月20日、鍵が1つ手に入ったし、あの人が言ってることは嘘じゃなかったんだ!これであの子は元の世界に戻れる…。2つ目の鍵も探さなくちゃ!」

「…8月1日、2つ目の鍵も手に入れられた。あの子が元の世界に帰れる日はそう遠くないだろうな。…でも、やっぱりお別れするのは寂しい…あの子には元の世界に帰ってほしいのに、帰ってほしくないって思っちゃう。僕って意地悪なのかな…」

「…8月18日、あの子と喧嘩してしまった。僕が帰らなくてもいいんじゃない?なんて言っちゃったから…。僕が悪いよね。でも、あの子が帰ったら僕はまた独りぼっちなんだよ。」

カル魔耶「っ……」
王子が思っていることは、私達が思っていたことと同じだった。
相手に帰ってほしいけど一緒にいたい…
魔耶達には王子の気持ちが痛いほど分かった。
だからこそ、王子が喧嘩したり、独りぼっちになるのを怖がったりする理由もなんとなく想像ができる。

198:多々良:2020/04/14(火) 17:38

「....9月2日、ようやく3つ目の鍵を見つけた。こんな不思議な所にあるなんて。でも良かった。これであの子はお家に帰れる。本当に良かった....だけど、何だろう....何か寂しいな。これで良いはずなのに。」

「....9月6日、最初に鍵のことを教えてくれたあの人に出会った。「鍵が全部集まったんだね。二人が良ければ、その鍵を使って違う世界への扉を開けてあげるよ」....って言ってくれた。....あいにく今日は決められなかったよ。明日、絶対明日で決めよう。」


めぐみ「.....ここから先は、白紙になっていますね。何故日記がここで途絶えているのでしょうか.....」
途絶えたページの後をペラペラ捲ると、白紙だと言う事を確認し、そのまま日記帳を閉じた。
魔耶「.....でも、それなりのヒントは得れたかも」
カルセナ「そうだね、色々場所の情報もあったしね〜」
めぐみ「この二冊、良ければお貸ししましょうか?少しの期間なら大丈夫なので....」
魔耶「それだったら......ちょっとだけ借りて行こうかな....?」
めぐみは二人に、童話と日記帳を手渡した。
めぐみ「私はこれから、その鍵の在りかを出来るだけ探ってみようと思います」
魔耶カル「お願いしまーす」
そうして部屋を後にした。
カルセナ「う〜......何か色んな所探さないといけないっぽいね〜.....」
魔耶「まぁ、そんな簡単にいくもんじゃないだろうし....仕方無いんじゃね?」
カルセナ「それはまぁ....せやな」

199:なかやっち:2020/04/14(火) 18:07

トコトコと宿までの道を歩きながらあの日記の内容について話してみる。
魔耶「…大きなヒントとしては『大きくて高い岩山の洞窟にいた魔女らしき人』、『鍵は3つで、怪獣が守っているかも…』ってところか」
カルセナ「うーむ、道のりは長そうだ…」
はぁとため息をつくカルセナ。
カルセナ「詳しい街の名前とかどこに鍵があったとかは分からないんだよね〜」
魔耶「うん、それが厄介だよね。場所が分かんないと探しようがないし…。めぐみの情報を待とうか…」
日記について話をしていたら、いつのまにか宿に着いていた。
二人で受付をそそくさと通り部屋に入る。
…すると、ある本が目に入った。
魔耶「あ、そういえば私達が見つけたこの本のこと忘れてた…」
そう、テーブルに置きっぱなしにされていたあの赤い本である。朝からめぐみに呼び出されたので、この本の存在をすっかり忘れていた。
カルセナ「あぁ…この本にもいい情報が載ってるかもね…!昨日は軽くしか読んでないし、しっかり読んでみよう。読めないかもだけど…」
童話や王子の日記とは違いぼろぼろで薄汚れた本をみて、すこしだけ不安が過る。
魔耶「うーん…読めることを祈ろう…」
二人で椅子に座り、テーブルの上の本を開いてみた。

200:多々良:2020/04/14(火) 19:19

カルセナ「どれどれ.....えーと?」
魔耶「最初の方はちょっと読んだから良いよね....こっからかな?」
そのページは、本の真ん中らへんに位置していた為か、保存状態は良かった。

「.....前ページに記述したある協力者とは、まるで魔女の様な、不気味な風貌をした者であった。確か、鍵が何とか.....なんて言っていたかな?」

「....色々な交渉を経て、魔女は私を異世界へと連れていってくれる事になったのだ。.....奇しくも、それ相応の代償は奪われてしまったが....」

魔耶「....これって、童話に出てた魔女のことかな....?」
カルセナ「ぽいね〜....絶対同一人物でしょ」
魔耶「だったらますます興味沸いてくるな〜.....何なんだろう、この魔女は....」
カルセナ「て言うか代償って.....私達が帰る時も、代償みたいなの払わないといけないのかな....」
疑問を抱きながら、ページを捲っていく。

「....具体的な魔女の話では、この世界に散らばる3つの鍵を集めれば、代償を払わずに異世界へ行けるらしい。だが、せっかちな私はすぐにでも異世界へと旅立ちたかった為、簡単に代償を払ってしまった。何と愚かな事をしたのだろうか.....」

魔耶「.....成る程ね」
二人は顔を見合わせた。
魔耶「.....カルセナは、さっさと代償払って帰りたい....?」
そんな質問をすると、微妙な顔をされた。
カルセナ「む、代償?払うかそんなん!帰るんだったら地道に鍵探してから帰ろ!!」
当然の答えだったし、魔耶もそう思ってると考えてこそのものでもあった。


続きを読む 全部 <<前 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新