フェアリーテイルのナツルー限定のスレッドです!
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!attention!
*荒らしは厳禁です
*雑談OKです
*仲良くいきましょう
*投稿された小説にはなるべく感想をお願いします
新入りさん大歓迎です
お気軽に加入してください
ただいまぁ〜♪
いやぁ、ルーシィを壁ドンするナツは本当萌えるよねっ!!!
アニメで観たい。
じゃあ2番を♪
いつでもOKだよ!どんと恋!←
暇人が通りまーす( ^ω^)
804:リト:2014/03/24(月) 18:07 ID:keA あ、暇人さん。気をつけて通ってください。
この世の中何かと物騒なんでね。
他に誰かリレー小説してくれる人いますか?いますか?いますか?
806:リト:2014/03/24(月) 18:20 ID:keAフェアリィ、ゴーシュ誘ってみるね〜
807:カミア:2014/03/24(月) 19:00 ID:q4k お久です!カミアです(^O^)/
皆さん、小5なのに小説うま過ぎ!
私の小説が駄作過ぎて泣けるくらい(T ^ T)
リレー小説やるんですか??私も入れてください(>人<;)
リト、皆っ!是非私もリレー小説に参加させてもらうよっ!!楽しみっ♪♪
それとカミア先輩、私は中1ですからねっ?
ねぇ、リレー小説って、一部ずつ一人一人小説を書いて繋げていけばいいんだよね?違ったら教えて!
810:理央:2014/03/24(月) 19:33 ID:pD. いまかえってきたー!
うちもやりたいなぁ!、
いいー?
フェアリィさん、大変失礼致しました(´Д` )
リレー小説、楽しみです〜♪
順番どうされるんですか??
今のところ
1:由井
2:私
ですね。
3番以降が決まっていません。
じゃあ私三番やるー!
なんか途中からはいんなって
かんじ?なんかごめんね…
私、四番いいですか?
815:由井:2014/03/24(月) 21:26 ID:4Bw 良いですよ!
皆さん入っちゃってください。
リトさんにお声をかけていただいてやって来ました
参加してもよろしいでしょうか?
私、五番がいい!!!!
818:リト:2014/03/24(月) 22:05 ID:keA 今は
1)由井
2)私(リト)
3)利央
4)カミア
5)フェアリィ
ですね。
ゴーシュさんは何番はいります?
では、六番目で。
820:ゴーシュ:2014/03/24(月) 23:02 ID:6eMあれ、皆さんもういらっしゃらないのですか?
821:リト:2014/03/24(月) 23:22 ID:keA 了解です。
6番ですね♪
7番入りたいです (〃▽〃)
823:リト:2014/03/25(火) 13:36 ID:keA 了解です!
はじめまして!かな?
はい、はじめてです (〃▽〃)
825:MARIE:2014/03/25(火) 14:17 ID:Knw リレー小説のとき
それ以外の小説かいていいんですか?
リレー小説のとき
それ以外の小説かいていいんですか?
今からすごく長い小説書きますね
828:MARIE:2014/03/25(火) 15:40 ID:KnwタメOKですよ。
829:MARIE:2014/03/25(火) 16:09 ID:Knw プロローグ 「この街って坂道ばっかじゃねぇ?」
はじめてこの街に来たとき君はそういいった。
海沿いを各駅列車が走るこの街で
ナツ、私たちは何度もキスをしたね
物語入りまーす
いつもの道を私は一人で回りの人の目なんて気にせず全速力で走った。
呼吸を肩で整えて、大声でさ
生まれた!生まれたよ!」
私は、三人に向かって走った。
いとこのグレイ、隆志兄ちゃんとそのお嫁さん
「まじで!?」
「おめでとう」
「ハッピーもついに父親になったのか」
「シャルルすっごくがんばってたんだよー」
隆志はふと時計を見ると
「おいお前ら遅刻だぞ!?早く行ってこい」
「ルーシィ、グレイ。はいお弁当」
「ありがとー!いってきまーす」
「はいよー」
隆志は自分の店をみあげて
「ハッピーに子供できたし、そろそろバイトやとわないとなぁ。」
ーとりあえず中断です。学パロですー
へんなとこありました。
訂正します。
呼吸を肩で整えて大声でさけんだ。
です
私とグレイは急いではしった。
だけど、いつものメンバーはもうすでに集まっていた。
「ルーシィ、グレイ遅ぇーぞ」
「ルーちゃん。おはよう」
「ギヒ。またどうせルーシィの寝坊だろ。」
「む。寝坊だと!」
「エルザ違うよー。三丁目のハッピーとシャルルの子供が生まれたんだよ。」
「おっ。まじで。」
「すごい。今日放課後みんなで見にいこー」
ジェラールに、親友のレビィちゃん、ガジル、やさしいエルザ、
そしてグレイと 私達は、幼稚園のころからの幼馴染みなんだー。
「どの面さげてんだー。あぁ!?」
ふと、声の方を向いてみるとうちの学校の男子生徒三人がこの辺では見かけない
顔の男の子に絡んでいた。
「なにしてんだあいつら。ギヒおもしろそうだな。」
「やめんか。ガジル、バスがもう出発するぞ」
「あの人すっごいイケメンだなぁ。転校生なのかなぁ。」
「ルーちゃん。気づくとこそこじゃないと思う。」
バスが出発し、あの人とはどんどん距離がはなれていった。
中断です
MARIEさん、はじめまして!
フェアリィです!中1です!もう中2になりますが。
ナツルー大好きです!
最強チームとジュビアとメイビスが好きです!
うごメモでもナツルー書いたりしてます♪
MARIEさんのプロフも教えて下さいね
フェアリィさん、すてきな名前ですね。私は、ナツ、ルーシィ、ハッピーの三人組
が好きです^^私は、春から中学に入ります。うごメモ、私もやっています。学パロ
や、コメディを中心的にかいています。ナツルー←グレイ、ルーシィ総受けでナツ
落ちが理想です (o´ω`o)
みなさん ☆(O'U`O)''よろしくおねがいします☆*☆
835:MARIE:2014/03/25(火) 17:15 ID:Knw おそらく、この中で一番年下なんで呼び捨て、タメ口大丈夫です^^
後、英語で MARIEとかくのが面倒くさい場合はマリーでも大丈夫
です (´▽`*)
MARIEさん!よろしくお願いします(^O^)/
カミアです♪呼びタメ大歓迎☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
一応、女子 中2(4月から中3) ナツルー 幕末大好きです♡
では!仲良くしてください(((o(*゚▽゚*)o)))
カミアさん、絵文字上手ですね d(-_☆) グッ!!
(☆´∀`人´∀`☆)よろしくです
MARIEさん、小5の女子です!
よろしくお願いします!
あと、リレー小説夜で良いですか?
そうですね。夜のいつ頃にするんですか?時間帯ですね。
840:由井:2014/03/25(火) 19:17 ID:4Bwそうですね、マリーちゃん(って呼んでもいいかな?私は、呼びタメOKだよん!)は何時ぐらいが良いですか?
841:MARIE:2014/03/25(火) 19:40 ID:Knw由井さんって呼びますね。9時以降なら何時でも大丈夫です
842:由井:2014/03/25(火) 19:46 ID:4Bw 九時半にしよっか。
これない人は言ってね♪
甘甘のナツルー小説を書きます
844:MARIE:2014/03/25(火) 20:04 ID:Knw (あれ…?この匂い…)
蜜蜂が甘い甘い花の香りに惹きつけられるように、
無意識に己の足が、その香りの元へと向かう。
少し歩くと、湖畔のほとりに座っている人影が見える。
すると、隣をふよふよと飛んでいた相棒が、小さく声を上げた。
「あ!ナツ。ルーシィだよ。本読んでるのかなぁ…。」
頭に思い描いていたその人が、 自分の目の前に現れた事に頬が綻ぶのを、
真横で飛んでいる相棒に気付かれないように、
マフラーをグイッと引き上げ緩んだ口元を隠しながら、
「…なぁ、ハッピー。そっと近づいて驚かしてやろうぜ」
と、耳打ちする。
すると、前足を口元に当て
「くふふ。きっとルーシィ、跳び上がるよ。」
と、ニヤリと笑いながら青猫は翼を閉じた。
そっと…そっと…。足音と気配を消しながら。
静かにターゲットの背後から忍び寄る。
5m…3m…1m…。
徐々に距離を詰めて行く。
あと少し…あと少し…。
手を伸ばせば、すぐに華奢な肩に触れる事のできる距離になった。
相棒と目配せをして、思い切り息を吸い込む。
…が、なんだか思っていた様子と違う事に気付き、 そのまま息を飲み込んだ。
「んぁ?」
夢中になって大好きな小説を
一心不乱に読み耽っているのかと思っていたその人は、
読みかけであったのであろう小説が、
力なくダランと地面に投げ出されている左手と一緒に足からずり落ち、
更に頭はコックリコックリと船を漕ぐように揺れていた。
突如、息を飲み込んだ桜髪の少年を不思議そうに見上げてから
、 青猫は下から金髪の少女の顔を覗き込んだ。
「ナツぅ。ルーシィ寝てるよ。」
「だな。」
「どおするぅ?」
「ん…。」
スゥスゥと規則正しい、気持ちの良さそうな寝息が聞こえてくる。
「このまま、もう少し寝かしてやろうぜ。」
「うーん。でも、このままだとルーシィ風邪ひいちゃうよ?」
「だな…。」
まだ昼過ぎで太陽が出ているとはいえ、季節はもう秋。
頬をなでる風はひんやりと冷たい。
(しゃーねーなぁ。)
少女の手から小説を取り上げ、鞄の上に置いてから、
桜髪の少年は両膝の間に少女を挟み、
背中から抱え込むようにそっと抱きしめた。
金髪に顔を埋め、思い切り息を吸い込むと、 魅惑的な甘い香りに
、脳の奥が刺激される。 クラクラとこのまま溺れていきそうな感覚に襲われ
、 意識を浮上させようと、 金髪の少女のお腹の前に回した腕に…
キュッと力を込め、顔を上げた。
「くふふ。ナツ〜幸せそうな顔しちゃって。」 と、
目を三日月にした相棒が愉しそうにからかってくる。
「うるせぇ。 こうしてればルーシィも寒くねぇから、風邪ひかねぇだろ。」
と…口を尖らせながらボソリと言いやる。
火竜である自分の暖かい身体で抱きしめててやれば、
金髪の少女も寒さを感じず、風邪もひかないだろう。
との、考えからの行動なのだが…
「ぐふふ。ナツ顔真っ赤(笑)」
「う…うるせえよ。あんましゃべんなよ。ルーシィ起きちまうだろ。」
「はいはい。…ふぁぁ。なんか…オイラも眠くなってきちゃった…。」
そう言いながら、青猫は少女の膝の上へ登り、クルリと丸くなり、
クゥクゥと夢の中へと旅立っていった。
(オレも…眠くなってきたな…)
華奢な白く剥き出しの肩に頭を乗せ、
目を瞑り耳を澄ますと、 遠くで囀る鳥の鳴き声や、
木々を揺らす風の音、湖面を揺らす波の音…
様々な自然の子守唄のような音色が聴こえてくる。
しかしそれら全ての音を意識から消し、
己の周りだけに集中すると… スゥスゥと金髪の少女と相棒の穏やかな寝息以外、
何も聴こえなくなった。
(世界でオレらだけになったみたいだ…)
もう一度ギュッと腕に力を込め、
金髪の少女との間にある隙間を埋めるかのように、
ピッタリと寄り添う。
自身の体温が彼女に移り、
抱きしめた当初はひんやりしていた華奢な身体が
暖かくなっている事に気付くと、
心がじんわり暖かくなり、 自然と笑みが零れた。
(この…胸の辺りがホコホコする感じ…なんて言ったっけなぁ…)
互いの体温が行ったり来たり。 このまま溶けてひとつになれればいい。
もっと…もっと…ルーシィを感じたい。
もっと…もっと…ルーシィと繋がっていたい。
ルーシィを離したくない。
ルーシィがいれば。 ルーシィがいるから。
色褪せていた日常に、鮮やかな色が付いた。
真っ暗闇だった世界に光が射した。
(ん〜。あぁ…そうか。『幸せ』なんだな。)
そうして桜髪の少年は意識を手放した。
頬を撫でる風はもうひんやりと冷たいけれど、
こうして身を寄せあえば、暖かい。
そぅ。ふたりでいれば、そこはいつも春の日溜まり。
まさに、小春日和。
〈END〉
おまけ
「ぎゃぁぁぁ!?ぁぁぁあんた達!な…な!い!いつ〜!!!」
寝起き一秒、状況が把握できずとも、
きっちり桜色の頭に裏拳を決め吹っ飛ばす。
「んぁ?うるせぇ…ルーシィ。つか、痛ぇ…」
と、桜色の頭をさすりながら恨みがましい眼で、
真っ赤になって捲し立てる金髪の少女を見上げる。
「ん〜どぉしたの?ルーシィ…また拾い食いしたの?」
「寝言は寝て言え!クソ猫!!」
と青猫の頬っぺたをミョンミョン引っ張ってやる。
「てゆうか、あんた達…何でこんなとこに…。」
「オイラ達、あっちの川で魚釣してたんだ。
そしたら、帰り道でナツが急にこっちに向かって歩き出すから…」
「ルーシィの匂いがしたから、驚かしてやろうと思って。」
「えぇ〜。ここって街から離れてて人もほとんど来ないから、
ひとりで静かに読書するには絶好の秘密の穴場だったのに…。
あんたらにバレたら意味ないじゃない…。」
「プッ。秘密の穴場って… オイラ達の方がルーシィより長く住んでるんだから、
この辺で知らない場所なんてないよぉ〜。
ルーシィってほんとバカだよねぇ(笑)」
「うっ…。そ…そうね。一言余計だけど。」
「だいたい、 匂いですぐにルーシィの居場所わかんだから、
隠れたって無駄だぜ?」
「何さらりと怖い事言ってんのよ…。あたしのプライバシーは…?」
と、実りの無い言い合いに、金髪の少女は深いため息を吐く。
「んな事より、ルーシィこれでさ、あれ作ってくれよ。 この前の…
『アクアパンダ』だったか? 貝とかなんか色々入ってたやつ。
あれ、美味かった。」
青猫を胸にギュッと抱きながら、 差し出されたバケツを覗き込むと、
中では三匹の魚が泳いでいた。
「…。『アクアパッツァ』ね? もぉ…しょうがないなぁ。ほら、じゃあ帰るわよ。」
と、桜髪の少年の前に手を差し出せば、
二カッと太陽のように眩しい笑顔を見せ、金髪の少女の手をとった。
『よいしょ』と桜色を起こし、 夕日で橙に染まった帰路を、
二人と一匹でたどる。
繋いだままの手はじんわりと暖かく、 その季節のせいか…
物悲しく心の隙間を抜ける秋の冷気すら忘れるようだった。
(ナツの手…暖かい。)
腕の中でゴロゴロと猫なで声をあげる青猫に、
ふんわり微笑むと、嬉しそうにシッポを揺らした。
(ハッピーも暖かい…。 この先ずっと、いつまでも。
こんな幸せな日が続くといいな…。)
そう思うと、 繋いでいる手に…抱きしめている腕に…自然と力が入る。
この温もりを、この幸せを… 離さないように、離れてしまわないように…。
ぼんやりそんな事を考えていると…
「ルーシィ。オレ…ルーシィといるとな… この…胸の周りがホコホコして、
すごく幸せな気持ちになるんだ。 だから、これからもずっと一緒にいような。
何があっても、この手…ぜってぇ離さないからな!」
無自覚天然爆弾ガ投下サレタ…。
これで終わりです^^どうでしたか?甘甘にできてたでしょうか?
リクエストがあればなんなりといってくださいね^^
(私の小説で良かったらの話ですが…。一生リクエストこないかも
しれませんね Σ( ゚皿゚)ガーン )
リレー小説始めちゃう。
「うあぁ…」
「どうしたの、ルーシィ?」
「ミラさん、相談に乗ってください…」
「良いわよ!」
ルーシィside
実は、昨日今かいてる小説の原稿を出版社に届けにいったらナツに会ったんです。
ちょうど原稿も届け終わってたんで声をかけようかと思ってたらなんか焦ってるみたいだったんですよ。
だから声かけなかったんですけど、つけてみたんです。
そしたらリサーナのとこに着いて。
なんかリサーナは顔真っ赤だし。
なんか居ちゃ行けないなって思って帰ったんですけど、その時からずっと心臓の辺りがドキドキしてるんです。
ミラさんならこの気持ち分かるんじゃないかと思ったんですけど…
リトにバトンタッチ!
リクエストがあればなんなりといってくださいね^^
(私の小説で良かったらの話ですが…。一生リクエストこないかも
しれませんね Σ( ゚皿゚)ガーン )
MARIE、これからはマリーって呼ぶね!
マリーにリクエストがあるんだ!ナツとグレイがルーシィを取り合う話!!それで結局はナツルーになるやつ!
ギャグ要素とラブラブ要素があるやつがいいな!シリアスはなし!!
よろしくです♪(希望多くてごめん)
はーいどうもで〜す。お久しぶりで〜す。
小5で〜す。小説はかけないで〜す
第2期アニメ、ナツルー要素あるかなぁ?早速エクリプスのとこでありそうだけど。原作通りにいけば♪楽しみだなぁ!早く4月5日にならないかな?
854:MARIE:2014/03/26(水) 12:30 ID:Knwフェアリィさん(´V`)了解です♪ 私もそういう話好きなのでぜひぜひ^^
855:MARIE:2014/03/26(水) 13:37 ID:Knw 「ルーシィ帰ってくんの遅くね?」
「あい」
「オレ等より先にギルド出た癖によぉ」
「つーか今日はどう突っ込んでくっかな。あの姫様は」
「オレは荷物ぶん投げてくると思う」
「オレは足蹴りだな」
「オイラはプルーを投げてくると思うよ!あい!」
ギルドの次にたまり場となりつつある、ルーシィの部屋。
そこにはいつもの不法侵入者+グレイがいた。
グレイもナツ達程ではないが、幾度か侵入を繰り返しているプチ常習犯だったりする。
「ってかマジで遅。いくら何でももう帰ってきてもいいのにね」
「まだ18時だろ?そんなに暗ぇ時間帯でもねぇが……ちと見てきた方がいいか」
かれこれ30分近く待っている2人と1匹は、未だ帰ってこないここの住人を心配していた。
「おっ!」
「どしたの?ナツ」
と、急にナツがニッと歯を見せて、満面の笑みを浮かべる。
「帰ってきたみてぇだぞ!匂いがする」
さすがと呟き、ハッピーとグレイもドアが開くのを今か今かと待つ。
だんだんヒールのカツンカツンという音が近付いてきて、玄関が開いた。
――カチャッ
「はぁ…ただい……」
「よぉ!遅かったなルーシィ!」
「オイラ待ちくたびれちゃったよルーシィ〜」
「何やってたんだよ?心配したじゃねぇか」
「ひっ!?」
“ただいま”と言い終わる前に、ベッドの上やら机の椅子には、いる筈もない連中がいてルーシィは度肝を抜かれた。
「なななっ!!何であんた達がいんのよー!?」
ドアに背を預け胸元に手を当てて、飛び上がった心臓を押さえながらルーシィは叫んだ。
「いちゃわりぃのかよ?」
「ギルドを出たらここに来ないとね。オイラ達の日課だし」
「まぁお前に迷惑は掛けねぇよ」
「……約束もなしに、いきなり家に来るコト自体が迷惑だわ…」
恨みがましく睨んでくるルーシィに、侵入者達は不思議そうに首を傾げた。
「あれ?何も投げてこねぇ」
「あい、プルーも」
「足蹴りもねぇな」
何もしてこないルーシィに、珍しいモノでも見たような眼差しで凝視していると、何?と冷たい視線を向けられた。
「あんた等殴られたくて来てるわけ?」
「まっさかぁ。オレ等そんな暇じゃねぇよ」
「…いや十分暇そうだけど?」
上着を脱ぎながら歩いてくるルーシィに、更にどこか違和感を感じる6つの目。
右足を庇っているような、ぎこちない動きかただった。
「なぁ」
「何?」
最初に声を掛けたのはナツだ。
「お前右足どーかしたのか?」
「…えっ!?」
分かりやすいぐらいに反応したルーシィは、ハンガーに上着を掛けたまま固まった。
「べ、別に何も?普通だけど」
「嘘つけ。ぜってぇおかしい!」
「あい。オイラもおかしいと思うよ」
「怪我でもしたのか?」
「ぅ……」
目ざとい、実に目ざといと思いながらルーシィは観念したように言った。
「ちょっとね。軽く捻っただけ」
ナツ達にバレないよう、帰ってきてからは極力びっこを引かないようにしていたが、あっさり見抜かれて小さく息を吐く。
「やっぱな。何で隠すんだよ?」
隠された事を不快に思ったナツが、唇を尖らせた。
「だって言ったらあんた達すぐ大袈裟にするじゃない。大した傷じゃなくても」
「大袈裟かどーかはオレが判断する!いいから見せろ!」
ベッドから腰を上げて彼女に近付いていくナツ。
「だ、だから平気だって!」
右足を引きずるようにしながら後退するルーシィに、グレイも椅子から立ち上がった。
「まぁ癪だがオレもナツと同意見だな。大袈裟かどうかはオレ等が決める。さっさと足出せ」
じりじりと詰め寄ってくる2人に、ルーシィは足を見せる事に抵抗を感じるよりも、ただ単に不気味で彼等から距離を取る
「ちょっ!2人共怖いから!」
「逃げるお前が悪い!ほれ足出せ!」
「わわわ分かった!分かったわよ!出すから迫ってこないで!」
その場に座り込んだルーシィを追って、ナツとグレイも足を覗き込むようにしゃが んだ。
そこを目にした途端、ナツとグレイの眉間に皺が寄った。
「どこが大丈夫なんだよ?めっちゃ腫れてんじゃねぇか!」
「熱持ってんじゃねぇか?真っ赤だぞ」
ルーシィの右の足首は、左足と比べるまでもなく真っ赤に腫れ上がっていた。
白い足だからか、それが一層痛々しく見える。
「何したらココまで腫れるんだよ?」
何があったんだと顔を向けてくるナツに、ルーシィは簡単に答えた。
「ちょっと転んだのよ」
「ドジだなぁ。あんな高ぇヒールばっか履いてっからだろ」
「そ、そんなにしょっちゅう転んでないわよ!」
「しっかしあれだな。こりゃ早いとこ冷やした方がいいんじゃねぇか?」
じっと腫れている患部を見ていたグレイが、そうルーシィに促した。
「そうね。じゃあ湿布…」
「あ、ちょっと待てルーシィ。湿布よりオレが冷やしてやるよ」
「え?」
言うが早いか、グレイは手に魔力を集中させると、その手で患部を包んだ。
「あっ冷たくて気持ちいい」
さすが氷の魔導士と言うべきか、熱を持っているそこは忽ちひんやりし初め、痛み が幾分か和らいだ気がした。
それを面白くなさそうに見ている火の魔導士が1人。
「おいっコラッ変態野郎!何セクハラしてやがんだ!!」
「どこがセクハラだ!腫れを引かせてるだけだろーが!!」
「ベタベタ触ってんじゃねぇ!!」
「ベタベタなんかしてねぇだろ!?」
ギャーギャーと騒ぎ出した2人の目の前にいるルーシィは、うるさいと思いながら 自分の上体を抱き締めて軽く擦り始めた。
「ん?ルーシィどーした?」
それに気付いたナツが、グレイから目線をずらして尋ねる。
「いや、足冷たくて気持ちいいんだけど、さすがにちょっと寒くなってきちゃっ
て」に続きます
860:MARIE:2014/03/26(水) 14:00 ID:Knw グレイに申し訳なさそうにしながら、遠慮がちにそう告げる。
すると、ナツが閃いたようにルーシィの背後に回った。
「んじゃオレが温めてやんよ!」
「え///?」
「温めんのはオレの得意分野だかんな!」
そう言うと、ナツはギュッとルーシィの体に腕を巻き付けた。
「ちょちょちょっ…/////!?」
予想外のナツの行動に、ルーシィは顔を赤らめながら慌てふためく。
「なななナツ!何何何///!?」
「何ってさみぃんだろ?」
「そりゃそうなんだけど…///」
「あったかくねぇか?」
「…まぁ…あったかい///」
確かにさっきまでの震えが嘘のようになくなった。
常人よりも温かいナツの体温は、本人に言えはしないが心地良い。
と、今度はグレイが不愉快そうに顔を歪める。
「てめぇそれこそセクハラだろーが!」
「あぁ?どこがだよ?」
「思いっきりルーシィの胸に触れてんじゃねぇか!」
「てめぇ不可抗力って言葉知らねぇのか?当たっちまうんだからしょーがねぇだろ!?」
「しょーがねぇわけあるか!とっとと離れやがれ!!」
「うっせぇよ!何でてめぇにんなコト言われなきゃなんねぇんだ!服も着てねぇ変態野郎こそとっとと離れろ!!」
マリー、超絶感謝!!早く続きが読みたいよっ♪♪♪
862:MARIE:2014/03/26(水) 14:03 ID:Knw 「オレは腫れを冷やしてやってんだよ!」
「オレだってルーシィが寒がってっから、あっためてやってるだけだ!!」
「……〜〜〜/////」
前後で言い争いを始めた2人に、その会話を黙って聞いていたルーシィは真っ赤に なった。
でもたぶんこのくだらない争いに終止符を打てるのは自分だと感じたルーシィは、 上体と足に纏わり付いている腕と手を退かす。
「も、もぉいいから!どっちも離れて///!」
言いながら左足に体重を掛けて立ち上がる。
「あ?まだ全然腫れ引いてねぇぞ」
「肌もまだ冷てぇぞ」
「う、うっさい!あたしが大丈夫って言ってるんだから大丈夫なの///!!」
「「…っお、おぅ」」
鋭い眼差して睨まれたナツとグレイは、情けないぐらいに小さくなった。
それを無視して、ルーシィは救急箱を取り出し湿布と包帯を巻き付ける。
「よしっ」
救急箱を片したルーシィは、なにやらキッチンから物音がするのに気付いた。
「ん?」
入口を覗くと小さな青い背中が見え、ルーシィは腰を屈めて近付く。
「ハッピー?」
「あっルーシィ!もう抱き合いっこは終わったの?」
「違うから///!!で?あんたは何してるの?」
「オイラお腹が空いたからお菓子漁ってるんです!あい」
「漁ってるって……」
ハッピーの前にはクッキー缶があり、肉球にはしっかり食べかけのクッキーが乗っかていた。
「…相棒と一緒で自由ねぇ」
「あい!」
「じゃあなんか作るからクッキーはしまって」
「…1人でこのクッキーを食べる気なんだねルーシィ。ずるいよ」
「あのね……別に食べたきゃ食べてもいいけど、そんなので腹膨らませないの!あ んた用の魚焼いてあげるから」
「魚ーっ!?」
ウパーとはしゃぎだしたハッピーから、視線をリビングにいるナツとグレイに向け る。
「あんた達は?ご飯食べるんでしょ?」
「おぉ、そーいやぁ腹減ったな」
「夕飯時だしな。つーかお前足大丈夫なのかよ?」
「足痛めたぐらいでご飯作れなくなる程柔じゃないわよ。あたしだって食べるんだ し、ついでよついで」
そう言うと、ルーシィはさっそく冷蔵庫を開けて作り始めた。
手伝うと言い出した男連中に最初は感動したものの、よくよく考えれば逆に捗らな いと感じて大人しく座ってるよう指示する。
数分後には出来上がり、うるさいけれど笑いが絶えないまま食事を終えた。
「ほら、もう23時なんだから早く帰りなさいよ」
風呂から上がったルーシィは、未だくつろいでいる2人と1匹に帰るよう促す。
「あぁ〜…オレ今日泊まってくわ」
「オイラも。もう眠いです…」
「オレも今から帰んのかったるいし、泊まってく」
「はぁ!!?」
何を言い出すんだ、この連中は!と思ったルーシィは、冗談じゃないと慌てて玄関 を指差す。
「何言ってんのよ!ダメに決まってんでしょ!?帰りなさいよ!」
「今から帰れってか?残忍だなぁルーシィ」
「何が残忍なのよ!常識でしょ!?だいたいこんな時間までいたあんた等が悪いん でしょーが!」
「ルーシィといたいって思っちゃわりぃのかよ?」
「なっ…///!?」
腕を組んで真顔で言うナツに、ルーシィは何度目か分からない赤面をした。
「なっなっなっ…何言ってんの///!?」
「あ?だからルーシィと」
「繰り返さなくていいから///!!」
「お前が何言ってんの?って言うからだろ」
「……っ///」
言葉を返せなくなったルーシィに、ハッピーとグレイも口を開いた。
「あい!オイラもルーシィといたいです!」
「こいつ等と同じってのは納得いかねぇがオレもだな」
「なななっ…/////」
「よしっ!んじゃ寝よーぜ!!」
「あいさーっ!」
部屋の主の了承を得る前に、ベッドに潜り込んだナツとハッピー。
「ちょっ!何やってんのよ!?出なさい!!」
赤面したまま固まっていたルーシィだったが、ナツ達の行動にさすがに追い出さないとと思い、マフラーを引っつかむ。
「何だよ?」
「何だよじゃない!ココはあたしのベッド!あんた達は床で寝なさいよ!!」
「ひでぇ。いいじゃんか」
「いいわけないでしょ!」
ナツを追い出す事に集中していたルーシィは、背後に近付いているもう1人の男に気付かなかった。
ナツを引っ張り出そうとしていたルーシィは、不意に背後からヒョイッと持ち上げられた。
「きゃっ!?」
体が浮いたと思ったら、すぐにベッドの上に乗せられる。
何が起きたんだと理解する前にギシッとスプリングが軋み、そっと肩を掴まれたかと思えば横たわされた。
「な、何?」
キョロキョロと周囲を見回せば、左隣りにナツがいるのは理解出来た。
そしてこんな状況を作ったのが、右隣りにいるグレイだと言う事も。
「ぐ、グレイ///!?」
「しゃーねぇから3人で寝ようぜ」
「何がしょーがないのよ///!?」
「まぁルーシィが隣りならパンツがいても我慢できる」
「おいクソ炎、オレだってお前みてぇな単細胞と一緒でも我慢してんだぞ!」
「んだと!?」
左右でガルルと威嚇し合ってる2人の間で、ルーシィがこれでもかというぐらい赤くなりながら叫んだ。
「あたしが我慢できない///!!」
抜け出そうと上体を起こすが、肩と腰に腕を回されまた引き戻された。
「我が儘言うなよルーシィ」
「どこが我が儘なのよ///!?」
「オレはねみぃんだから大人しく寝ろ」
「じゃあ床で寝て///!!」
仰向けに横たわっているルーシィは、こちらを向いて寝転んでいる2人の視線から逃れようと藻掻く。
が、筋肉質な2本の腕に邪魔され思うようにいかなかった。
「…もぉ…どいてったら///!!」
ありったけの力を込めて手足をバタつかせた瞬間、ズキンッと捻った右足首が悲鳴を上げた。
「痛っ……!?」
「お、おいルーシィ!?」
「何やってんだよ!?」
顔を歪めて声にならない声を上げたルーシィに、慌ててナツとグレイが起き上がった。
自由に動けるようになったルーシィは、枕に顔を埋めシーツを握り、右手で足首を押さえながら唸る。
「足痛めてんのに暴れんなよルーシィ」
「……っっっ」
痛さのあまり声を出せないルーシィは、上目遣いで目の前にいるナツを睨んだ。
誰の所為だと言わんばかりに。
「大丈夫か?」
背後から声を掛けてきたグレイにも、痛さで生理的に出てきた涙の滲む目で睨んだ。
大丈夫なわけあるかと。
「…あ…あんた達ねぇ」
痛みが引いてきたルーシィは、ゆっくり上体を起こすと2人を睨みつける。
「…今すぐベッドから下りないと、この部屋出禁にするからね!!」
「「で、出禁!?」」
「そーよ!」
「い、いや…そりゃあんまりだろ?」
「何が?」
「出禁は重ぇって」
「じゃあ出て」
「……一緒じゃダメなのかよ?」
唇を尖らせているナツに、ルーシィは白い目を向けて言った。
「一緒に寝たら出禁」
「うっ…」
「万が一出禁になった時、約束破って入ってきたら絶交だからね」
「「ぜっ絶交!?」」
「当たり前でしょ?あたし約束事はうるさいわよ?たとえ出禁になっても入っちゃえばこっちのモンだとでも思った?」
「「う……」」
どうやら図星らしい2人は言葉に詰まる。
「分かったらさっさと出て!!」
「「お、おぅ!」」
慌ててベッドから飛び降りた2人は、大人しく床に正座した。
ルーシィは情けとばかりに毛布を取り出すと、2人にそれぞれ渡す。
「ん?」
毛布を掛けながら横たわろうとしたナツは、自分の相棒がいない事に気付いた。
「ハッピー?」
自分の周囲を見回しても姿が見えず、どこにいるんだと再び腰を上げようとした刹那、ルーシィが「ここよ」と指を差した。
ってかマリー、書くの早!!!
868:MARIE:2014/03/26(水) 14:11 ID:Knw 「なっ!ハッピー!!」
ルーシィの細い指の先には、横向きに寝ている彼女の胸元で、丸くなって寝ているハッピーの姿があった。
「な、何でハッピーがそこで寝てんだよ!?」
「枕元で丸くなって寝てたから、あたしが運んだのよ」
「「…何でハッピーだけ」」
男2人がわなわなと拳を握っているとも知らず、ルーシィは柔らかなハッピーの体をギュッと抱き締めた。
「あ〜…あったか〜い」
「「……っ!?」」
もう我慢ならないとナツが床から起き上がり、ルーシィに近付く。
「ルーシィ」
「…何よ?」
目の前にいるナツに冷たい視線を送ると、そんな事ものともせず口を開いた。
「ハッピーよりオレの方があったけぇぞ!」
「……」
自身の胸元をトントンと親指で叩きながら言うナツの顔に、ルーシィは無言で鉄拳を食らわせた。
――ドカッ
「…さっさと寝なさいね?」
「…あい」
へし折れてなきゃいいなと思いながら、ナツはジンジン痛む鼻を摩り毛布に包まる。
「……」
それを一部始終見ていたグレイは、今日はもうルーシィに声を掛けない方が無難だと感じ、静かに眠りについた。
――翌朝
朝食を済ませたルーシィ達は、ギルドに行く支度を始める。
支度といってもルーシィだけなのだが、待っている間ナツとグレイは足を痛めている彼女にどっちが付き添うかで揉めていた。
「だからルーシィの付き添いはオレだけで十分なんだよ!」
「女の扱いも知らねぇてめぇより、オレの方がぜってぇ役に立つ!」
「変態がなんの役に立つんだよ!!」
「野獣よりかマシだ!!」
「……」
額と額をぶつけ合いながら言い争う2人を、ルーシィは端から相手にしていなかった。
坦々と支度を済ませると、ルーシィはダイニングテーブルでバトルを見物しているハッピーに歩み寄る。
「ハッピー行きましょ」
「あい」
ルーシィはハッピーに運ばれながら玄関から出て行った。
それに気付かないナツとグレイは、突如窓から聞こえた声に顔を向ける。
「ねぇ」
「ん?…なっ!何でルーシィ、ハッピーといんだよ!?」
「いつの間に!?」
「玄関鍵閉めちゃったから、出るなら窓からね。開けっ放しにしたら許さないわよ」
「オイラ達先に行ってるからね〜」
自慢の翼を広げたハッピーに連れられ、ピュ〜と飛び去ったルーシィを、唖然と見ていたナツとグレイは慌てて追い掛けた。
「てめぇの所為だぞ!」
「てめぇが邪魔すっからだろーが!」
ギルドに向かっている最中も口喧嘩は続行されていた。
砂埃を舞い上がらせて走る2人の前方には、ギルドに入ろうと着地するルーシィとハッピーの姿が目に入る。
「「ルーシィ!!」」
「ひっ!?」
血走った目で歯を剥き出しにしているナツとグレイに、ルーシィの背筋がゾッとなった。
「怖いからー!!」
逃げようと足を引きずって門を潜るルーシィに、追い付いた2人は押し倒さんばかりに飛び付く。
「きゃっ!!?」
「てめぇ離れろ!!」
「てめぇこそウザいんだよ!!」
入ってきた瞬間から賑やかな3人に、頬に手を当ててニコニコ笑っているミラジェーンがルーシィに声を掛けてきた。
「おはようルーシィ」
「あっミラさん!おはようございます……ってか助けて〜!!」
「うふふ、相変わらず仲良いわねぇ」
「あたし関係ない〜!困ってるんですけど!」
「あらあら。あっ!ルーシィにお客さんが来てるのよ」
「え?お客さん?」
「えぇ、とっても可愛らしいお客さん」
「……?」
「「……?」」
ミラの言葉に言い争っていたナツとグレイも首を傾げる。
彼女の視線を辿っていくと、カウンターに見知らぬ女性とその子供らしい3、4歳ぐらいの男の子がいた。
「あっ!」
顔見知りなのか、ルーシィがその親子に近付いていったので、彼女の金魚の糞をしている2人もついていく。
「こんにちは」
ルーシィがそう声を掛けると、それに気付いた男の子がスツールから降り、一目散に駆け寄ってきた。
「あっ!お姉ちゃん」
目線が合うようしゃがみ込んだルーシィに男の子が飛び付く。
それにムッとしつつ、ナツとグレイが問い掛けた。
「何だぁルーシィ?知り合いか?」
「誰だ?」
「あっ、この子は…」
ルーシィが説明する前に、この子の母親である女性が頭を下げてきた。
「昨日は本当にありがとうございました」
「あっ、いえ!あたしは別に!」
ペコペコと謝っている様子の母親に、更に訳が分からない2人はもう1度同じ質問を繰り返す。
「だから誰なんだよルーシィ」
「昨日なんかあったのか?」
「あぁ…ちょっと助けただけ」
「はぁ?助けた?」
中身が全くない内容で理解出来る筈もなく、ちゃんと説明しろとばかりに詰め寄るナツとグレイ。
それに助け舟を出したのはミラだった。
「ルーシィは昨日この子が馬車に轢かれそうになったところを助けたんですって」
「馬車に?」
「えぇ。転んだこの子をすんでのところで助けたそうよ」
「…それって帰り際か?」
ナツが確認するように尋ねると、ルーシィはコクンと頷いた。
「そうよ?」
「あぁ…」
「それでか…」
ナツとグレイは、ルーシィの右足首に目を注ぐ。
「何?人の足見て」
「いや、さすがルーシィだと思ってよ」
「あぁ」
「は?」
何を言っているんだと首を傾げているルーシィに、ナツがニカッと笑った。
「さすが“オレの”ルーシィだ!」
「はぁ///!?」
“オレの”を強調して言うナツに、頬を赤らめたまま固まるルーシィと、ピキッとこめかみに青筋を立てるグレイ。
「おいっ!いつからルーシィがてめぇのモンになったんだよ!?」
「あん?そんなんハルジオンで会った瞬間からに決まってんじゃねぇか!!」
「てめぇ何ふざけたコト吐かしてやがる!?勝手に思い込んでんじゃねぇ!!」
「んだとコラーッ!!」
「やんのかよオラーッ!!」
「……///;」
好き勝手に言い合っている2人に、ルーシィは無視を決め込んでいたが、純情な性格故に赤らむ頬を隠せない。
それを見たハッピーは、いつもの如くぷくくと笑っていた。
そんなハッピーをひと睨みして、ルーシィは親子の方に顔を向ける。
「ルーシィさんモテるんですね」
口元に手を当てて微笑んでいる母親に、ルーシィは「違います!」と、やはり赤面しながら答えた。
「あ、これ昨日のお礼にと思いまして、よかったら召し上がって下さい」
そう言うと、母親は綺麗にラッピングされた箱を差し出す。
「え?いやあたしは別に何も!」
「いえ息子を助けて下さったじゃないですか」
「でも」
「お姉ちゃんこのケーキおいしいんだよ!食べて」
足元でニコニコと愛らしい笑顔を浮かべている男の子に、ルーシィもニコッと微笑む。
「じゃあ喜んで頂きます」
「はい」
箱を受け取ったルーシィは、またしゃがみ込んで男の子と目を合わせた。
「よかったら今から家に来て一緒に食べない?」
「え?いいの!?」
「もちろん!あのよかったらお母さんも」
顔だけ母親に向けてそう誘ったが、女性は首を横に振った。
「いえ私はこれから仕事がありますし。それよりご迷惑では…」
「全然!お仕事があるなら家で一緒に遊んでますよ。ね?」
「うん!」
それならと頭を下げて母親はギルドを出て行った。
「じゃああたし達も行こう!」
「うん!」
ルーシィは男の子と手を繋ぎながら、未だバトルをしているナツとグレイの横をスゥと通り過ぎる。
「ん?おいルーシィどこ行くんだ?」
それに気付いたナツが、グレイを突き飛ばしてルーシィの前に立った。
「どこって帰るのよ」
「今来たのにかよ?」
「そうよ」
「んじゃオレも」
「あんた達は来ちゃダメ!!」
「ひでぇ!何でだよ!?」
「今日はお客さんがいるんだから喧嘩でもされちゃ迷惑!」
「客?…ってそいつか?」
ナツがルーシィの隣りにいる子に目を遣る。
「子供と2人じゃ無用心だろ?オレが一緒に行ってやるって!」
「いやいらないから!」
「そうだな。おめぇよりオレの方がいいだろ?ルーシィ」
ドンッとナツを押し退けたグレイが、彼女の前に立つと、更に目を釣り上がらせたナツが掴み掛かった。
ナツを引っ張り出そうとしていたルーシィは、不意に背後からヒョイッと持ち上げられた。
「きゃっ!?」
体が浮いたと思ったら、すぐにベッドの上に乗せられる。
何が起きたんだと理解する前にギシッとスプリングが軋み、そっと肩を掴まれたかと思えば横たわされた。
「な、何?」
キョロキョロと周囲を見回せば、左隣りにナツがいるのは理解出来た。
そしてこんな状況を作ったのが、右隣りにいるグレイだと言う事も。
「ぐ、グレイ///!?」
「しゃーねぇから3人で寝ようぜ」
「何がしょーがないのよ///!?」
「まぁルーシィが隣りならパンツがいても我慢できる」
「おいクソ炎、オレだってお前みてぇな単細胞と一緒でも我慢してんだぞ!」
「んだと!?」
左右でガルルと威嚇し合ってる2人の間で、ルーシィがこれでもかというぐらい赤くなりながら叫んだ。
「あたしが我慢できない///!!」
抜け出そうと上体を起こすが、肩と腰に腕を回されまた引き戻された。
「我が儘言うなよルーシィ」
「どこが我が儘なのよ///!?」
「オレはねみぃんだから大人しく寝ろ」
「じゃあ床で寝て///!!」
仰向けに横たわっているルーシィは、こちらを向いて寝転んでいる2人の視線から逃れようと藻掻く。
が、筋肉質な2本の腕に邪魔され思うようにいかなかった。
「…もぉ…どいてったら///!!」
ありったけの力を込めて手足をバタつかせた瞬間、ズキンッと捻った右足首が悲鳴を上げた。
「痛っ……!?」
「お、おいルーシィ!?」
「何やってんだよ!?」
顔を歪めて声にならない声を上げたルーシィに、慌ててナツとグレイが起き上がった。
自由に動けるようになったルーシィは、枕に顔を埋めシーツを握り、右手で足首を押さえながら唸る。
「てめぇ邪魔すんじゃねぇ!!」
「あぁ?邪魔なのはてめぇだろ!!」
「……」
ルーシィは殴り合っている現場を男の子に見せないように目を隠して、足が痛む事もあるからかゆっくり出入口に向かう。
「ルーシィ、オイラは行っていい?」
「ハッピーならいいわよ」
「あい!」
2人+1匹がギルドにいない事をナツとグレイが気付いたのは、それから30分も経ってからだった。
ルーシィの来るなと言う言葉を聞く筈もなく、2人は朝と同様、砂埃を立てながら彼女の部屋に向かう。
マリー、何で戻る?↑のはさっき…?
877:MARIE:2014/03/26(水) 14:20 ID:Knwフェアリィさん(´V`)了解です♪ 私もそういう話好きなのでぜひぜひ^^
878:tFAB:2014/03/26(水) 14:23 ID:wu.???えー
879:MARIE:2014/03/26(水) 14:23 ID:Knw ナツルーになるところはまた別の話でも良いですか?終わりかたが変になってしまうので…。
他の要素は、取り入れたつもりです^^ご感想、お待ちしております
マリー!!よかったよ!すごく!!
ナツルーというより、ナツルーグレ?何て言うかナツルーグレルーが合わさった感じだったね!最高に好きだよ!
私もリクエスト待ってるよ!
874 877読まなくて良いです。tFABさん教えて頂きありがとうございます。
フェアリィさんこれは、サイトの倉庫に眠っていたのを持ち出してきたの
で早く書けるんです^^
フェアリィさん、では海でのルーシィ総受けのようなものをリクエストします^^
883:MARIE:2014/03/26(水) 14:35 ID:Knwナツのやきもちをかきますね
884:フェアリィ:2014/03/26(水) 14:39 ID:wu. マリー、tFABってのは私だよ。名前入力し忘れるとこうなるのw
海でのルーシィ総受けって、ナツ以外の誰かも攻めに入るって事かな?
ルーシィ「…もういい加減にしてーっ!!!!」
何でこんな事になっちゃってるの!?
ーあたしは今、マグノリアから少し離れた所にあるビーチランドに来てるの。ここの近くで仕事があって、それが早く済んだから来てみたって訳。あたしとナツ、グレイにハッピーの4人?で来たの。エルザはケーキ屋さんでバイキングがあるからって来れなかったのよ。ウェンディとシャルルもエルザの付き添い。家賃が危なかったあたしは暇そうだったナツとハッピー、グレイを誘ったのよ。
ナツ「ルーシィ、このアイスうめぇぞっ!食えよ!ほら!」
グレイ「誰がお前のすすめたアイスなんか食うかよ!ルーシィ、これの方がうまいぞ!」
ロキ「ナツもグレイもわかってないな。ほら、ルーシィ。あーん!」
ルーシィ「いらないわよっ!てか、ロキは出てくんなっ!!」
ビーチパラソルの下でナツとグレイ、ロキにアイスをすすめられているあたし。何がしたいのかしら、コイツら。
ハッピー「ルーシィ、モテモテだね!一生で一度の…ふぎゃ!!」
ルーシィ「一生で…何かしら?」
憎たらしい猫ちゃんにはお仕置きが必要よね。あたしはハッピーの髭を引っ張った。
マリー、こんな感じかな?まだまだ続くよ!
はい!お久です♪リレ小説いきます。
「あらあら、可愛いのね〜」
「?何がですか?」
「ルーシィが。」
「だから!相談乗ってくださいよ〜」
「もう乗ってるわよ?」
「だーーー!!!で、答えは?」
「ルーシィは可愛い。」
「答えになってるようでなってませんよミラさん!」
「無自覚なの?なおさら可愛いわね」
「可愛いって言ってくれるのは嬉しいですが何の話か全く分かりません!」
「何か分からないの?それはね……」
「それは………?」
「“恋”なのよ?」
「えっ?!ちょ///////」
理央………!!続きをたのむ!
リレー小説やります♪♪
私は下手なので、カミアさん、カバーお願いします!!
ではー!!(・ω・)ノ
ルーシィ 『ちょっ…////』
私の顔はきっと真っ赤になってた。
ミラ 『あらあら?真っ赤よ?ルーシィ』
ルーシィ 『うぅーー』
私、恋してんだ…ナツに……
そういえば最近おかしかったんだよね…
ナツの顔を見るとホテッてなってなし…照れるし…
ルーシィ 『…!』
噂をすれば!っだね。ナツがリクエストボードを見ていた。
その横には…リサーナ…
私はカウンター席から離れ、思い切ってナツに言った!
ルーシィ 『ナツー!仕事??どんな仕事にした?』
ナツ 『ああ、悪りぃ!今日はリサーナと行くから、ごめんな、』
その言葉を聞いた瞬間ーーー……
ルーシィ 『もーいぃ!、ナツのバカ!』
そういってギルドを飛び出した。
なんでだろう。ナツは何も悪くないのに……
ごめんねぇ!カバーお願いします!!
お腹いたいよーう
889:カミア:2014/03/26(水) 23:01 ID:q4k か、カバーなんてできないけど、頑張ります!
リレー小説続きです♪
「はぁ…。なんであんなこと言っちゃったかなぁ。」
ギルドを飛び出したあたしは、そのままマグノリアの町を歩いていた。
別に、家に帰ってベッドで落ち込んでいてもよかった。
けれど、自分のやったことの恥ずかしさや、良く分からない嫉妬に
じっとしていられなかった。
「あれ?ルーシィちゃん、今日お仕事おやすみ?」
よく話しかけてくれる優しい町の人に、笑って手を振りかえす。
「そうなんです。だから、ちょっとおでかけ?」
「ははは。そっかぁ。じゃ、またね〜。」
そう言って別れたものの、行く当てがない。
適当に歩いていればいいじゃないか、とも思ったが
歩いていても、見慣れた街並みで特に変わった様子もなく。やはり、暇なのだ。
かといって、ギルドに戻るのは気まずい。
「どうしたらいいんだろう。でも、ナツはリサーナと仕事行くんだもんね。
謝るのは、帰ってきてからになっちゃいそうだし。どこか落ち着けるところ探そう。」
ふらりと、歩を進める。適当に足が進みたいようにいけばいい。
どこか人のいない場所にたどり着けると思うから…。
軈て、木々の多い場所へと入った。
枝が邪魔をしてうまく進めない中、あたしが見たものは…。
会話文少なくってすいません!!
しかも、ルーシィの独り言多しw
フェアリィさん、バトンタッチです。
カ、カミア先輩ぃ〜!難しいところでバトンタッチですかぁ!うぐぅ…とにかく頑張りますっ!!
ルーシィ「…嘘。」
………木の下で楽しそうに笑うナツとリサーナ。背を木の幹に預けて話している。あれ?胸がチクッとなった…。
ミラさんが言ってた通り、恋しちゃってたんだ、あたし…。でもナツとリサーナはもう………。あたしはそっとその場から離れていった。まるで二人から逃げるかのように…。
グレイ「…なぁエルザ。」
エルザ「何だ?」
グレイ「最近…ルーシィ来ねぇな。」
ギルドの片隅で、カウンターで笑うナツとリサーナを見ながら話していた。
エルザ「…ナツという奴は本当に仕方のない奴だな。」
ため息混じりに言うエルザ。
グレイ「全くだ。何考えてんだか。」
グレイは頬杖をつき、リサーナと笑っているナツを軽く睨みつけた。
次の人、バトンターッチ!!
リレー小説って結構難しいね!
マリーリクエストの続きだよ!
ナツ「変態とホストは引っ込んでろ!!!」
グレイ「ァア!?誰が変態だっ!?炎野郎とサングラスは黙ってろ!!」
ロキ「…二人とも、僕だけ悪口になってないよね?」
…確かに。ホストもサングラスも特に悪口って訳じゃないわよね。ってかそんな事はどーっでもいいのよ!!!
ルーシィ「あんた達、いい加減にしてくんないっ!?暑いのよ!離れて!」
あたしは腕をブンブンと振り回した。もちろん当たる訳ないけどねっ。
グレイ「オレが冷やしてやろっか?」
ルーシィ「ちょっ、ひゃあ!!」
グレイにいきなり腕を触られたっ!つ、冷たっ!!ってかこれって、
ナツ「おいグレーイ!!てめぇソレセクハラだろうが!!!」
…そうよね。
グレイ「うっせぇな!ルーシィが暑いって言ったからだよ!誰かさんのせいでー!!」
ナツ「うぐぐぐ…」
ロキ「だけど女性の腕…いや体を、急に触るのはセクハラの一種になると僕は思うよ?」
ルーシィ「さっすがロキ!そういうのにはプロ?ね。」
…あ。調子乗らせちゃったかな。ロキのサングラスが一瞬キラリと…
ロキ「ルーシィ、僕を認めてくれたって事かな?じゃあこの二人は置いて二人で楽しもうじゃないかっ!!」
ルーシィ「きゃっ!?」
ロキってば急にお姫様抱っこを…グレイよりセクハラよ!これはっ!!!
ナツ グレイ「ロキ!!!てめー!!」
ルーシィ「ちょ!!あんた達やめっ…」
ロキに、いやロキとあたしにタックルしてきた二人。倒れるぅ!!
ードサッ
いったぁ…?あれ?なんか乗って…ってかこの感触は…………
ルーシィ「…んっ!?むぅ!?」
あたしは驚いた!驚いただけじゃ足りないくらいよっ!!だって、だって、転んだあたしの上に…ナツが乗っててし、しかも…………
グレイ「なっ、ななななっナツてめぇーっ!!!!!」
ロキ「…ナツ…、僕のルーシィに、目の前でキスするなんて………。」
…そう。あろうことかナツはあたしに馬乗りになり、キ、キキキスしていたのっ!!しかも今だに…
ナツ「…むっ、んー…」
ルーシィ「…んん!!むっ、ん!」
離れてよぉ!!///////
グレイ「ってか!いつまでやってんだアホーッ!!!!」
ロキ「…待つんだグレイ。ルーシィも離れようとしないって事はもう僕達は負けたという事だ。」
…え?何言ってんのよ!どかせないのよ!!助け…
グレイ「…そっか、なら仕方ねぇよな….。帰ろうぜ。」
ルーシィ「んーっ!!!」
ナツ「…ぷはぁーっ!!疲れたぁ!」
ルーシィ「…//////」
何なのよー!!
ナツ「ルーシィ?か、顔赤い、ぞ?」
ルーシィ「だ、誰のせいかしらっ!!!??………もう」
ナツ「嫌、だった、か?/////」
ルーシィ「うっ…/////」
赤い顔するな馬鹿っ!!可愛いじゃないのっ…
ルーシィ「い、嫌では、なかった…。」
ナツ「そっか!!!!じゃあもう一回…」
ルーシィ「帰れ!!!!!!!」
やっぱりこの二人がお似合いだよね!
…グレルーもちょっと好きなんだけどねっ!
フェアリィさん、すごく素敵な小説です。ご感想遅れてしまいすみません (´`:)
リクエストにお答え頂き (o´∀`)ありがとうございます♪
自分で書いたら?
リクエストすんじゃなくて
そっちの方が面白いんじゃなーい?
あっ、通りすがりのものです。
仲良くしなくていいっす。
帰ります。すんませんー
こんにちは('-'*)
リレー小説なんですけど、もう少し待ってください!
後1時間程で書き上げます。
では、今度は私書きますね♪ Unrequitedというタイトルで【ナツ→ルーシィ】です
897:MARIE:2014/03/27(木) 18:45 ID:Knw& ◆C6さんがんばってください (*´∀`*)ノ
898:MARIE *☆*(○´3`○)〜♪:2014/03/27(木) 18:52 ID:Knw 「あたしは一緒にドライブとかしたいかも」
これがルーシィの理想のデートらしい。
「……」
――オレ無理じゃね?
――……
本日は晴天。
天気が良いからか、はたまたそんな事は関係ないのか。
此処・妖精の尻尾は今日も賑やかだ。
「……」
だがそんなギルドの一角のテーブルでは、いつもならその賑やかな輪の中心となっている人物が、珍しく静かに項垂れていた。
「ナツぅ?どうしたの?」
そこへ彼の相棒である青い子猫が、桜色の主の顔を覗き込むように、テーブルへとしゃがみ込んだ。
「ん……ルーシィまだ来ねぇのか?」
「まだだね。確かに今日遅いよね」
そろそろ時計の針は13時を刺そうとしていた。
まだその姿はおろか、匂いすら感じられない。
「…つまんねぇ」
彼女がいないと何もする気が起きないのか、ギルドに来てからほとんどこの姿勢を崩していない。
初めのうちはグレイやエルフマンを相手に喧嘩をしていたが、どうも気分があまり乗らず、結局はテーブルの上に頭を傾ける。
と、そのナツの視界が一瞬暗くなり、誰かが立っているのが分かった。
「どうしたの?ナツ。今日は静かじゃん」
「…あ?」
顔を上げると、ルーシィと大の仲良しであるレビィが立っていた。
「…なんだレビィか。なんか用か?」
「なんだって…あからさまに失礼」
「ナツはルーシィがなかなか来ないから寂しがってるんだよ。あい!」
ナツの気持ちを代弁するように、ハッピーが手を挙げて答えた。
「なっ!寂しがってねぇ///!!」
「え?違うの?」
「レビィまで何言ってんだよ///!?」
「どこからどう見ても寂しがってるよね?レビィ」
「うん」
「違ぇし///!!」
見事に自分の心境を当てられたナツは、顔を真っ赤にして否定する。
「別に恥ずかしがるコトないじゃん。だってナツ、ルーちゃんのコト好きなんでしょ?」
「……っ/////!?」
その気持ちはハッピーにすら言った事がないのに、なぜレビィが知っているのかと、口をパクパクさせる。
「なっなっなっ…何で知ってんだよ///!?」
「…もしかして隠してたつもり?誰が見ても分かるよ?」
「マ、マジか///!?」
「うん」
「つーか誰が見てもって…ル、ルーシィもか///!?」
当の本人にまで知られていたら、さすがに恥ずかしいぞと思っていたが、レビィはそれを否定するかのように首を横に振った。
「ルーちゃんは全く気付いてないよ。他の人のコトなら敏感に察知するのにねぇ」
「そ、そっか…」
気付かれてなくて安心したような残念なような、ナツの心情は複雑だ。
「あっ!言い忘れてたけどルーちゃんならさっき本屋にいたよ」
「本屋?」
「うん、買いたい本がいくつかあるらしいんだけど、金欠だからどれか1冊に絞るんだって。だから選ぶのに時間掛かってるみたい」
「ふぅん…」
「もう少ししたら来ると思うけど……ねぇナツ」
「あ?」
レビィはどこか楽しげに笑いながら、片目を瞑って言った。
「私協力してあげるよ!」
「は?協力?」
「そぉ!ルーちゃんの好みのタイプとか、今好きな人いるのかとか知りたくない!?」
「へ//?」
「知りたいでしょ?ねぇ知りたいでしょ!?」
「いや…何でおめぇが興奮してんだよ?」
「知りたい!?そーだよね!?よしっここは私に任せて!バッチリ聞き出してあげるよ!」
「だから何でおめぇが鼻息荒くしてんだよ!?そんな女々しいコトしなくてもだな…!」
「ナツは耳いいんだから、聞き耳立てるぐらいわけないよね!?」
「…おい人の話聞いてっか?」
「ルーちゃんのタイプってどんなだろーね!」
「……」
もう自分の話は耳に入っていない様子のレビィに、ナツは何も言えなくなってしまった。
「ルーちゃん早く来ないかな〜」
今か今かとギルドの入り口を凝視しているレビィ。
そんなレビィの願いが通じたのか、噂の人物が姿を見せた。
「あっ!ルーちゃん!」
「レビィちゃん!」
その姿を確認した途端にレビィは一目散に駆け出すが、ナツと言えば柄にもなくうっすら頬を染めていた。
「……っ//」
もうすぐルーシィの好みのタイプやら云々が分かる。
これはレビィが頼んでもないのにする事だ。
自分の意思じゃない。
などと言い訳を繰り返している自分が、より情けなくなり溜息を1つ。
「ルーちゃんどんな本買ったの?」
「これよこれ!」
「……っ!?」
あれこれ考えていたからか、気付いたら自分が座っている席の2つ後ろの席から、2人の声が聞こえてきた。
常人には聞き取りにくい距離でも、ナツの耳にはしっかり聞こえて来る。
周囲の連中には聞き耳を立てている事がバレないよう、寝てるフリをした。
腕に顔を埋めながら、ナツは彼女達の会話のみに神経を集中させる。
「あっ!これ私も読んでみようかなって思ってたの」
「レビィちゃんも!?じゃあ読み終わったら貸すよ」
「えっ本当!?やったー」
「面白そうだもんねこれ!だから買ったんだけどさ」
「ルーちゃん冒険物好きだもんね」
「レビィちゃんもじゃない」
きゃっきゃっとはしゃいでいる2人とは裏腹に、ナツは軽く苛ついていた。
「……」
――おいレビィ。
本の話なんかどーでもいいんだよ!
いつ聞き出すんだいつ!?
聞き耳を立てて相手の好み等を知るなんて、やり方が女々しいと思っていたナツだったが、しっかり耳をダンボにしていた。