「人形が遊ぶ」
人形は遊ばれる
腕を千切られようと
只 其処にあるだけ
目をぶちりと
毟り取られても
人形は
表情を変えない
綿が出てきた
人形にとっては
人間にとっての
内臓である
色々な所を
いじられて
弄ばれて
人形とて
平気な訳がない
そして思う
私達だって
遊びたい
人間で
ねぇねぇ
人間 何して遊ぶ
かごめかごめが やりたいよ
後ろの正面だぁれ
わぁい私達の
かぁち
周りの人形が
騒いでる
何するの
そうだ
私達がやられている事を
しましょうよ
それじゃあ
何しよか
わたしは腕を
千切られたから
腕にしよう
ぼくは目を
毟られたから
目にしよう
それよりも
中身が見たいな
人間の
私達は
綿でしょ
人間は
どうなのかな
人形達は
無邪気な
好奇心で
人間に群がる
ありゃりゃ
綿じゃないんだね
赤い綿なんだね
人間て
第拾部
『兎に思ひ 角も人』
>>85
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>>87
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>>88
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>>89
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>>91
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>>92
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>>116
『金満虚心』
>>117
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>>118
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>>119
『人形が遊ぶ』