「惰する操人ノ形」
誰かに従っている方が
楽だ
自分の考えなんて
等に棄てた
怠惰に生きる事の
何が悪い
別に迷惑を
かけている訳じゃない
操人形は
全てを知り尚
たったった
らぁらぁらぁ
はいで御座います
ご主人様
歌いましょう 踊りましょう
仰せの侭に
糸ぷらりぴんと張り
手足逆でも
構いませぬ
さぁさぁ
どうぞ
操って下さいませ
自分が考えを
持つなんて
ろくな事が無い
災事を招くだけ
だから私は
怠惰に生きる
人の形をした
操で良ひ
人間を棄てた
後悔は無かった
今迄は
操人形は飽きられる
人間もまた飽きられる
私もまた飽きられた
埃を被り
うずくまる
望んだ筈なのに
何故後悔が
まぁ良ひとしよう
もう動かなくて
良いんだ
誰の為にも
欠伸を一つ
眠りませう
考える事すら
面倒くさい
第拾部
『兎に思ひ 角も人』
>>85
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>>87
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>>88
『泥壺』
>>89
『大正明暗混々』
>>91
『惰する操人ノ形』
>>92
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>>116
『金満虚心』
>>117
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>>119
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