*プロローグ*
出逢えたら良かった。
でも。
「私たちは出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ」
私たちは逢ったらダメだった。
彼は、そう言った。
祝、500!
これからも、頑張ろうと思います!
コメントをくれた方々、本当にありがとうございます!
感謝です!
────────────────────
12,興味津々
ショッピングモールの中に入る。
途端に、たくさんの女の人たちが、はぁっと溜め息。
何故か。
それは・・・。
土方さんがいるからだ!
イケメンのフェロモン、ヤバすぎ。
「マジイケメン♡」
「カッコ良すぎ〜」
モテまくってるじゃん。
そのくせ、本人は至って、冷たい。
気にしてないのか?
「なんだ、これ?」
あっ、斎藤さん。
冷たい土方さんとは反対に、斎藤さんは興味津々。
「それは、チークって言って、女の人のメイク・・・お化粧に使うんです」
「へぇ・・・」
斎藤さん、めっちゃ興味津々だね。
沖田さんが、
「進んでる世の中なんですね・・・」
しんみりと、言った。
確かに、江戸時代とはだいぶ変わってる。
スマホとか、チークとか。
SNSとかそういうのが、流行ってるし。
洋服売場に着くと。
「これ、小五郎さんに似合いそう!」
お母さん、大はしゃぎだねぇ。
「サイズ、わかるの?」
お母さんは、んんーっと唸って、
「何となくで良いでしょ。似合えば、それでよし!」
明るく笑った。
何となくで良いのかな。
ピチピチだったり、しないの?
斉藤さんが夏音に似合う洋服を選びそうですね、この状態だったら。
503:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/22(日) 18:17>>502 ありがとう!たぶん、なるね・・・(笑)( ̄ー ̄)
504:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/22(日) 18:25 13,バトル??
「すげぇ・・・」
斎藤さんの口、あんぐり。
顎が落っこちそう。
可愛い・・・。
「夏音なら、これ、似合いそうだな!」
斎藤さんが、可愛い服を持ってきた。
ふふっ。
「嬉しい・・・。ありがとう、斎藤さん」
お礼を言ったら、斎藤さんの顔が、緩んだ。
厳つい感じの顔が、デレーッてなって面白い。
しかも、服のデザインが良い。
レモンイエローで、可愛い。
肩出しで、今時って感じ。
センス、めっちゃあるじゃん、斎藤さん!
「こっちの方が、似合いますよ」
沖田さんも!?
嬉しいなぁ。
しかも何か、負けず嫌い感がスゴいある・・・。
ギャップ萌え!
「土方さんは、どれが・・・土方さん?」
土方さんの顔が、スゴくやりきれない切ない顔で、ドキッとした。
土方だけ参加しないってことは、やっぱり夏音が沖田さんが選ぶ服に?
でも斉藤さん可愛すぎですけどね
夏音初めて土方の切ない表情でドキっと高鳴ったって感じだよね……意外に強気でイジワルしているけどふとあんまり見せない表情を見せたら心配するよね……
夏音揺らいで欲しい沖田さんと土方にずっと一途だったら寂しいよ……
好きなのかなって戸惑って、土方はそんな切ない表情を一瞬で消えずに一人になりたいって弱音を誰かに吐いて欲しい。
私はいつも毎回我慢する土方の切ない表情を今はもう辛いよ見ていたら幸せになって欲しいよ夏音が気付いて欲しいね弱音に弱いところ見せたら良いんだよ……
>>505 ありがとう!確かに、意地悪な人が、切ない顔になったら、少なからずドキッとなるよね(*´ω`*)
たぶん、本音を出せるのも、夏音にだけかも・・・。
素直になるのが、難しいのかも(笑)
その前に何故土方が切なくしたのが気になるから、土方side見てみたい
508:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/22(日) 19:56 14,ホントの気持ち
「ね・・・ぇ・・・土方さん・・?」
どうしたんですか?なんて、言えなかった。
聞いたら、ダメかもしれないって思ったから。
僅かに、土方さんの眉が上がったけど・・・。瞳はずっと、翳りを見せたまま。
そんな哀しい目を見ていたら、周りの音も、景色の色も吸い込まれるように、見えなくなった。
「・・・・・どうしたんですか・・・?」
意を決して、聞いてみる。
そんなに哀しい顔、しないでよ。
「孤独感を感じるんだったら、私がずうっと、隣にいますよ?」
土方さん・・・。
何か言ってよ。
私は、いたたまれなくなってきた。
「・・・ホントの気持ち、教えてください」
私で良ければ。
一人で、抱え込まないでほしい。
「・・・・・・すまないな・・・」
なんで謝るの?
でも、土方さんの顔が少し明るくなったように見えたのは、気のせいじゃないよね。
>>507 ありがとう!書くよ〜(笑)
510:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/22(日) 21:19 15,この気持ちを ※土方side
「嬉しい・・・。ありがとう、斎藤さん」
アイツの顔は、嬉しかったのか、赤くなっていた。
それに競うよう、総司も、
「こっちの方が、似合いますよ」
と、口説いた。
刹那、どこか諦めてしまった。
俺は、素直になれない。
それは性でもあるし、これから先ずっとできない。
そんな事を、どこか遠くで感じている俺がいた。
アイツに想いは、伝えられるのか?
伝わるのか?
どっ、と力が抜けていく。
「孤独感を感じるんだったら、私がずうっと、隣にいますよ?」
優しいな・・・。
ずうっと、か・・・。
それだったら、良いな。
「・・・ホントの気持ち、教えてください」
気持ち、か・・・。
言えるわけない。
少なくとも、しばらくは。
「・・・・・・すまないな・・・」
何に向かって、謝ってるのだろう。
わからない。
アイツに気持ちを────この想いを伝えられるなら。
どれだけ、救われるんだろう。
やっぱり土方が刹那的に諦めてしまう人になる。
土方がこのままずっとこんな感じの状態だと、夏音から遠ざける形で避けるに違いない!!
幸せを祈っています
>>511 ありがとう!土方さん、幸せにさせます(*^▽^*)
513:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/23(月) 18:28 16,可愛い生き物
その後、近藤さんたちの分の服も買い、ショッピングは終了。
お母さんの運転にツッコミながら、心はどこかぼんやりしていた。
土方さんの事が、気になってしまって・・・。
これから、どう接すれば!?
「夏音さん、着きましたよ・・・う゛」
沖田さん、大丈夫ですか?
ビニール袋を差し出して、家へ。
「近藤さん・・・土方さん!?」
リビングに入ろうとすると、土方さんがぐったりと、私にもたれ掛かる。
汗、ヤバい。
「ちょっと、待ってください」
私は、体温計を使う。
土方さんの体温は・・・39°。
熱じゃん。
「ソファーに寝てください。お粥、作ります」
土方さんを横たわってもらって、私は、台所へ・・・。
って。
土方さんが、私の腰を掴む。
「・・・行く、な・・・」
きゅうん!
そんなに、トロンとした目で見ないでよ!
何、この可愛い生き物は!?
あの土方さんが熱を出したとは、驚きだよ!!
夏音にもたれているけど、「行くな」の一言で夏音には素直になって欲しいって思えるよ。
夏音も土方さんの事を、どうしても気にかかっているのは普段の土方さんじゃないからだよね?
沖田さんばっかり想って一途に考えていたけど、今度は土方の事を心配している夏音が可愛い生き物土方さんじゃなくって男性として見て欲しいねだんだんと異性としてね。
この展開は夏音の心が、揺れ動いているって思える二人に(斉藤さんも良いですけどね……(^_^;))楽しみにしてます。
>>514 ありがとう!今回で、素直になれたりして(笑)
今は、生き物でも、異性として見るかもね(*^^*)
多少、揺れてるよ〜(笑)
17,母性?本能
ヤバい・・・♡
トロンとしている、土方さんなんて稀の稀!
なかなか、見ることができないよ!
しかも、なんか子供っぽい、純真な目。
ヤバァイ・・・。
母性?本能が!
「土方さん、可愛すぎですっ!」
思わず、抱きしめちゃった。
「・・・行く、な・・・。夏音・・・」
今、夏音って言ったよね!?
嬉しい。
小童なんかより、夏音ってちゃんと言ってくれて、嬉しすぎる!
膝枕、してあげよっかな。
「土方さん・・・」
言い掛けて、止めた。
もう、スースー寝ちゃってる。
よし。
その間に、お粥作ろ。
離れようとしたら、
「・・・んん」
ぎゅうっと、手を握られた。
無意識のハズなのに。
あぁ!
可愛すぎる〜♡
どっちも可愛いよ二人
518:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/23(月) 21:12>>517 ありがとう!かわいい系でのほほんとしてるよね(笑)
519:リリカ@恋歌◆JA:2017/10/23(月) 21:19 18,嫉妬心 ※沖田side
「土方さん、可愛すぎですっ!」
癪に障る。
理由は、言わずもがな。
夏音さんだ。
「行く、な・・・。夏音・・・」
土方さんも、土方さんだ。
胸の中が妙にもやもやして、霞がかかったようだった。
夏音さんの頬が、ほんのりと上気したように、紅くなった。
「総司ぃ。どうすんだよ」
永倉さんのにやにや笑い。
苛つく。
「どうも、しませんけど」
答えれば、永倉さんは更ににやにや。
「格好つけんなって」
いっぺん、一さんと一緒に斬ってやろうか、永倉さん。
・・・何回、嫉妬心を燃やしてるのだろう。
そっと、嘆息した。
19,大騒ぎ
土方さんが、寝落ちして、私は、台所へ。
お粥だから、お米の水を多くしてっと・・・。
炊くまで、まだまだ時間がある。
おかずは何にしよう。
玉子焼き?
うーむ・・・。
「沖田さん、土方さんの好きな食べ物、教えてください!」
それなら、土方さんも元気になるかも。
でも、沖田さんは、虚ろな感じで。
代わりに答えてくれたのは、源さん。
「副長が好きなのは、たくあんだよ」
へーっ!
意外。
買ってくるのが良いのかなぁ・・・。
考え込む私をよそに、近藤さんたちが騒ぎ始めた。
「副長の分、食べてやる〜」
「歳、無理するなよ〜。飯は、有り難くいただくからな」
はぁぁ。
もう、ご飯の心配ですか。
土方さん、そっちのけじゃん。
「夏音〜」
斎藤さん!?
そんなに、すりすり寄らないで。
可愛いけどさ。
「飯は、やっぱりなぁ・・」
山南さん、この人たち止めてくださいよ。
原田さんと永倉さんが、肩を組む。
「綺麗な女と、食べるに限るよな〜」
むぅぅ。
どーせ、私は、綺麗な女じゃありませんよぅ。
「・・・ゴホッ、ゴホッ・・・」
土方さんが、咳をした。
汗、ヤバいよ。
さっきから、玉のような汗が流れてる。
こりゃあ、重症だなぁ。
と・・・。
ピーンポーン
ほへ?
誰かが、インターホンを押してる?
誰なんだろ?
「ハーイ」
外に出ると。
そこにいたのは・・・。
20,告白紛い?
廉(れん)だ。
幼なじみの、蓮井廉。
不良っぽくて、そこが良いというマニアックな子がいる。
「何、廉。私、用事あるんだけど」
無愛想に言えば、廉は真っ直ぐにこっちを見た。
そ、そんなに真っ直ぐ見ないでよ。
「・・・俺さ、・・・夏音が、好き・・・だったり」
だったり!?
何よ、それ!
はっきり、言い切ってよ。
スゴいイライラする。
「ねぇ。廉。今は、そんな事・・・」
突然、廉が怒ったように、私をみた。
「そんな事じゃない。夏音は、どうなんだよ!?」
どうなんだよ!?って、言われても。
別にねぇ・・・。
「私には、もう好きな人が・・・」
答えかけたとき、リビングから、
「夏音さん!土方さんが〜・・」
土方さんが!?
何があったの?
沖田さんに返事して、リビングへ向かいかける。
「夏音!」
あーあ。
コイツが居たんだった・・・。
「もうっ!めんどくさい。話したいんだったら、上がってよ!」
そう言いつけて、リビングへ向かった。
21,逆ハーレム?
沖田さんが、私に気づいてにっこり。
だけど、後ろの廉を見て固まる。
私は、ソファーに駆け寄った。
土方さんに顔が赤くなってて、更に熱い。
「冷えピタ・・・どこかなっ?」
あったあった。
棚の中から、冷えピタを取り出す。
土方さんの額に冷えピタを貼る。
「これってさ・・・。逆ハーレムじゃねぇの!?紅一点、ヤバくね?」
確かにねぇ。
逆ハーレムっちゃ、逆ハーレムだよね。
でも、ギリギリ、紅一点じゃない。
「お母さん、いるから紅一点じゃないよ」
廉は、首を傾げる。
「おばさん、女って言っていいのか?」
うーむ。
廉の言い方に、納得。
「それより、学祭のイケメンカフェ、この人たち─────新撰組が執事になるからね」
「嘘、かよ・・・」
何、廉は驚いてんの?
まあ良いや。
22,接近
土方さん、綺麗な顔だな〜。
そこいらのアイドルより、綺麗じゃない?
汗が浮かんでるのが、またさまになってる。
「・・・ん」
僅かに、目が開く。
ふう。
ちょっと、安心。
「はっ!ご飯・・・」
忘れた!
土方さんの目が、またまたトロン。
「・・・やっ・・」
ギャアァ♡
この人、男だよね!?
可愛すぎ〜♡♡
しかも、そのトロンとした目で、見上げないでよ!
キュン死・・・♡
「熱い・・・」
着物、脱いだ方が良いかな。
って・・・!
女の私に、やらせるつもり!?
なんか、照れる。
「永倉さん、お願いします」
私は、永倉さんにお願いして、今度こそ台所へ行った。
23,おかず作り
うーむ。
消化が良いものが、良いよねぇ。
玉子スープとか。
うん!
それが良いな。
「よっし!」
決意を固めた。
と・・・。
「夏音〜?何を作ってる?」
藤堂さんが、声をかけた。
ふふふっ。
「お味噌汁、作るんです」
藤堂さんの瞳が、キランと輝く。
「俺も手伝う!これでも、料理当番、してたんだぜ」
えへへ。
嬉しいな。
私は、藤堂さんとスープを作った。
と・・・。
「晋作ったらぁ♡」
む・・・。
聞き覚えのある声が。
しかもさ、♡が付いてるし。
振り向けば、面長の男の人と、手を組んでるお母さんがいた。
24,修羅場からの!
「・・・・・・茜!?」
あーあ!
此処に、今、きてほしくない人が来ちゃった。
私と、藤堂さんは顔を見合わせる。
よりによって、桂さんだし。
「・・・・まさか、俺を・・・」
ヤバい!
マジ切れしてる!
流石のお母さんも、慌てた顔。
「違うわ、小五郎さん!晋作とは、そんな仲じゃ・・・」
墓穴を掘ったね。
呼び捨てなんて、恋人にしかしないよ。
「小五郎・・・?」
晋作さん────後で知ったけど、高杉晋作の事────は、怪訝そうに見た。
知り合いなの?
だったら、なおさらヤバいやつじゃん。
「俺は、茜を愛してた。なのに・・・」
ヤバい、桂さんの顔が歪んでる。
逃げた方が良いかなぁ・・・。
「俺、帰るな・・・」
廉〜!!
一人で逃げんなぁ!!
と言う願いを無視で、廉は帰って行った。
はぁぁ・・・。
「茜は・・・」
大嵐が来るぞ!
逃げましょう!
何処に、逃げれば良いかなぁ・・・。
「沖田さん、近藤さんたちに伝えてください。・・・外に逃げま〜す!」
私は、それだけ伝えてもらった。
熱に唸る土方さんをよそに、私たちはとりあえず家を飛び出した。
25,沖田さんファンクラブ!?
はぁ・・・。
溜め息。
なんでかって?
それはね・・・。
「綺麗ですぅ・・♡」
「はぁん♡」
沖田さんの周りに群がってる、女の子たちのせいで。
なぜにこうなった・・・。
五分前
暇だなぁ。
なんて、思って近所を、新撰組(土方さん除く)と歩いていた。
「京より、安全なんだな・・・。今の世は」
源さんが、しみじみと言った。
幕末の京都って、かなり治安が悪かったらしいもんね。
「いっそ、此処で暮らすのはどうかね?新八っつぁん」
原田さんが、そんな事を言い出した。
永倉さんも、うなずく。
って、おい!
アンタら、新撰組だろ〜!
新撰組は、京都を守るためにあるんでしょ?
「俺は、賛成!夏音と居れるから!」
斎藤さん・・・。
素直に喜んで、良いのかなぁ?
と・・・。
「キャアッ」
ええっ!?
悲鳴!?
振り向けば、ポオッとした目の女の子たち。
スススと寄っていく。
その先には、沖田さん。
「カッコ良すぎ♡」
惚れちゃった系!?
「ウチらで、あなたのファンになります!」
げええっ。
沖田さん、めちゃくちゃ困った顔。
仕方ないよね。
でも、私は、止める気は毛頭無い。
一人の子が、
「名前を教えてください♡」
と言った。
沖田さんは、戸惑いながら、
「沖田総司ですが・・・」
女の子たちから、黄色い悲鳴が飛び出した。
「ヤッバーい!」
「沖田総司さまぁ♡♡♡」
さまぁ!?
ハハハ・・・。
私は、笑うことしかできなかった。
26,お父さんの思い出
家に戻って、リビングへ入ると。
「だーかーらぁ!晋作とはぁ・・・」
お母さん、防御から一転、攻撃に行ってる。
桂さんの目は、つり上がったまま。
「その言い方が気に入らない!それと」
桂さんは、お父さんの写真を入れた、写真立てを指さす。
「・・・この男は何なのだ!?」
この男って、ひどい!
スッゴく、腹が立った。
「私の、元夫よ」
「・・・・・何が、元夫よ!」
ついに、私は、口火を切った。
お母さんの言い方も、ひどいし、お父さんに対する言い方が嫌だった。
「お母さんにとったら、お父さんはそんなのだったの!?・・・私にとったら、たった一人のお父さんなのに!」
沈黙が、あたりを包み込む。
お母さんと、桂さんは気まずそうに顔をそらした。
私は、フイッと顔をそらす。
「・・・もういい」
それだけ言って、私は、お父さんの写真を入れた、写真立てを胸に抱えて、リビングを出た。
あんな言い方、しなきゃ良かった。
自分の部屋に籠もりながら、ふと思う。
「どうすれば良いんだろ・・・」
一応、新撰組には私の部屋から出てもらってる。
仮にでも、乙女の部屋よ?
「・・・お父さん」
胸に抱えた、写真を見る。
穏和な顔で、少しふっくら。
目尻が少し垂れている、私のお父さん。
「なんで死んじゃったの・・・?」
お父さんが、死んだのは突然だった。
私が生まれて、一週間後のこと。
交通事故に巻き込まれて、死んでしまった。
事故を起こした犯人は、捕まったけれど・・・。
私は、許せない。
命日になれば、流石のお母さんも、涙ぐんでいる。
「お父さんが居れば、良かったのにな」
お母さんが、現を抜かすこともなかったし、何より、こんなケンカをしなかった。
唯一、お父さんとの思い出と言うか、記憶が残っている。
「夏音」
お父さんがそう言って、私を抱きしめたっけ。
それだけ。
「夏音〜・・・?」
斎藤さん・・・。
気遣ってくれてるのか、声に明るさはない。
ずうっと、引きこもってるのもアレだな。
私は、思い切ってドアを開けた。
目に飛び込んできたのは、永倉さん、原田さん、藤堂さんの驚いた顔。
続いて、沖田さん、近藤さん、斎藤さんの心配した顔。
源さんは、土方さんに付き添ってるのか、居なかった。
「泣いてた・・・?」
永倉さんの声に、ハッとした。
いつの間にやら、涙が頬を伝っていて。
私は、そうっと涙を拭った。
なんだかお母さんにも色々事情があるんだね…
そして、土方さんの風邪が治ってほしいです
>>532 ありがとう!治るよ〜(笑)
(支援あげ、ウザかったですよね。すみません<m(__)m>)
27,健康祈願
新撰組の優しさに触れ、ホッとした。
私は、一人じゃない。
安心して、リビングに戻る。
まだ、修羅場なのかなぁ・・・。
覚悟を決めて、リビングに入ると。
なに・・・これ・・・。
お母さんと、桂さんが泣きながら、抱き合ってる。
「・・・すまんな・・・」
「いえ、私こそ・・・」
いつもだったら、白々しいと思ってたけど。
ふぅ。
なんか、安心。
ただ、高杉さんがマヌケな顔をして、突っ立っていた。
「俺は、どうしたら良いんだ・・・?」
思わず、クスッと吹き出した。
高杉さんの顔が、面白くて。
「副長の熱、下がったぞ」
あっ、山南さん。
良かった。
源さんが、土方さんのそばで眠ってる。
あれ、眠かったの・・・?
「芹沢さん・・・止め・・・」
寝言?
芹沢さんって、誰?
でもあどけない顔で、スゴく可愛い。
土方さんが、微かに目を開けた。
「小童・・・」
あーあ、まぁた小童呼びに戻った。
夏音で良いのに。
「健康祈願って、事で、出掛けるわよっ!」
お母さん!?
桂さんと、手を繋いでるのは良いとして・・・。
「どこに?」
聞くと、お母さんはニヤリと笑みを浮かべた。怪しい・・・。
今まで、この笑顔で何回も騙されてるから。
「ナ・イ・ショ」
ナイショ!?
山南さんが、ニコニコと、
「行きたいなぁ」
と、恐ろしい事を言った。
ゲゲゲ。
そんな事、言っちゃって良いのかなぁ・・・。お母さんは、更にニヤニヤ。
「じゃ、発明室へlet's go☆☆」
ぬぬぬ・・・!!
コイツは、絶対にぃー!!!
「夏音ちゃん♪そっから先は、ナイショよん♪」
かぁぁー!
私の腕、鳥肌が立った。
ぞわわわ〜。
案の定、そこにはタイムスリップマシーン。
「嫌ぁ!」
悲鳴をあげる、私を、お母さんはタイムスリップマシーンに押し込む。
あがこうとしたら、じゃんじゃんと新撰組が乗り込んできた。
私は、溜め息を吐いた。
28,故障
お母さんが、ルンルンと、鼻歌を歌いながら、ボタンを押そうとする。
「ちょっと待て!」
私は、ボタンを押そうとするお母さんを、止めた。
今までの経験と言うか、アレだけど・・・。
「どこの時代と、場所に行くつもりなの!?それだけ教えてよ」
と言うか、教えろ。
半強制的に、お母さんに突っ込む。
お母さんは、にっこり微笑む。
嫌な予感が、頭をよぎった。
「ナイショって、言ったじゃない♪楽しんだ方が、良いでしょう♪」
ピキッと、私の表情筋が、固まる。
怒りと、呆れが入り混じる。
「・・・なぁーにが、楽しんだ方が良いでしょうよ!」
怒鳴り散らすと、新撰組一同+高杉さんと桂さんが固まった。
「結局、困るのは私たちなのよ!」
お母さんは、耳をふさぐ。
ひどいな。
娘の忠告を、聞こうとすらしないなんて。
「ま☆行くわよ〜」
お母さんは、ニヤリと笑ってから、ボタンを押した。
いったい、どこに!?
風圧が・・・来なかった。
お母さんが、ニコッと、
「故障しちゃったみたい☆バラバラになる可能性あるから、誰かと近くにいた方が良いわ☆」
はぁー!?
故障!?
「どういう・・・」
事よ、と聞こうとしたとき。
ピカッ
「キャッ!?」
眩しい光が差して、私は、目を閉じた。
(Fへ続く)
あとがき
ハイッ!
これで、Eが終了です!
Eは、現代編で書いてみました。
もしも、新撰組が現代に行ったら・・・!? そんな突飛な考えで、生まれました(笑)
今回、夏音が少し土方さんを意識しました(笑)そう仕向けたのは、作者ですけど(笑)
Fでは、再びあの時代に。
悲劇の武将・・・(ネタバレ)
いろんな思いが交錯する、Fになったら嬉しいです。
恐らく、Fの後半から、学祭が始まります。
土方さんの女装、イケメンカフェ(新撰組カフェ)は成功するんでしょうか!?
刮目して待っていてください(←偉そう)
オシメンバーがいたら、教えてください(笑)
コメントをくださった方々、ありがとうございます。
Fでも、よろしくお願いします。
『時を駆けて、初恋*します。』F
登場人物
城里 夏音
主人公。
明るく、沖田さんに片想い中。
案外、男勝り・・・?
沖田 総司
新撰組隊士。
優しく、平等。
夏音とは、両片想い・・・?
土方 歳三
新撰組副長。
ドS、夏音に意地悪。
実は、夏音が好きな美男子。
近藤 勇
新撰組局長。
おおらか。
大食い。
永倉 新八
新撰組隊士。
おおざっぱ。
明るく、女と食事が好き。
藤堂 平助
新撰組隊士。
優しい。
夏音とは、苦労人と言う事で、共通するものがある。
原田 左之助
新撰組隊士。
明るい。
大食いで、夏音と平助を困らせる天才。
斎藤 一
新撰組隊士。
明るく、素直。
夏音が大好き。
山南 敬助
新撰組隊士。
上品。
優しく、良識がある。
井上 源三郎
新撰組隊士。
愛称、源さん。
明るく、あの土方を穏やかにさせるおっとり系。
1,意外な時代にタイムスリップ!?
眩しい光が、消えた。
ふうっ。
私───城里夏音は、溜め息を吐いた。
なぜこんな事になったか。
ワケは・・・お母さんのせい。
それだけで、察してください!
「夏音さん」
あっ、沖田さん!
沖田さんが居てくれるだけで、かなり嬉しい〜!
「良かったな、小童」
相変わらずの意地悪っぷりを出してるのは、土方さんですねっ。
「三人だけ、ですね・・・」
沖田さんに言われて、気づいた。
確かに。
さっきまでは、新撰組+高杉さんと桂さんが居たのに。
「なんか、静かですね〜」
ワチャワチャしてた、斎藤さんや永倉さん、原田さんや近藤さんが居ないからね。
って言うか、どの時代にタイムスリップしちゃったんだろ!?
ドキドキと言うより、やっちゃった・・・って感じ。
歴史を歪めないようにしつつ、またみんなと会わないといけないからなおのこと。
と・・・。
「ははっ・・・。面白いな」
男の人の声?
真っ暗で、すぐそばの沖田さんと土方さんの姿しか見えないから、ドキドキ。
しかも、なんか聞き覚えが・・・。
「月が綺麗だな」
へっ!?
最近、聞いたことがある。
ガラッと何かが開いて、外を見下ろすその人の姿が見えた。
ウッソ・・・。
「信長公だな・・・」
土方さんの漏らした声が聞こえたのか、信長さんがクルリとこっちを見た。
「おお!夏音ではないか!」
完全、信長さんじゃん。
細い目も、キュッと引き締まっ顔も、最近見た信長さんのまんま。
信長さんは、快活に笑った。
「入れ、入れ。外は、寒い」
こんな、気のいい人だったけ・・・?
どっかぶっ壊れたとか・・・?
頭のネジ、絶対外れてるよね。
誤字
キュッと引き締まっ顔×
キュッと引き締まった顔○
でした。
────────────────────
2,ご機嫌の理由
招かれて入ったのは、お寺。
信長さんとお寺と言えば・・・。
「此処、何処なんですか」
予想がついてたけど、聞くと。
信長さんはニコニコと、
「本能寺だ」
やっぱり!
恐らく、このあと本能寺の変があって・・・。
信長さんが、自害しちゃう。
うーむ。
いくら、お市さまに対して、シスコンでも、知り合ってるから、なんかビミョー。
「なんで、信長さんはご機嫌なんですか?」
地球が滅んだ頃なら、ありそうな話だと思ってたけど。
まさか、此処で笑顔を見るなんて。
私が聞くと、信長さんはコロコロ笑った。
珍しいな・・・。
「碁を打ってたからだ」
囲碁をしてたからなんだ〜。
ゲームが好きなんだねぇ。
と、信長さんが言った。
「そなたたち、暇なら、光秀のところへ行ってやれ」
暇?ではないんだけどな。
私たちは、顔を見合わせた。
「行くのか?」
土方さんが、問うけど。
うーむ。
よし。
「行きます!」
信長さん、更ににっこり。
怪しすぎる・・・。
ヘンなキノコでも食べたの?
信長さんは、後ろを振り仰いだ。
「結斗。術を使ってやれ」
「御意」
現れたのは、白い水干姿の黒髪を結った少年。どっかで見たような・・・。
少年は、ニヤリと笑ってから、ヘンな呪文を唱える。
途端に。
ピカッ
また、眩しい光が差した。
3,側室騒ぎ
目を開けたら、さっきとは全然違う場所に。
外なのは変わりないけど。
「そこにいるのは、何者だ」
ギョッとして、振り向くと。
甲冑を着ている、涼やかな顔の人。
その人は、不思議そうに眉をひそめる。
「私は、城里夏音ですけど」
自己紹介をしたら、その人は更に眉をひそめた。
何にも言わないから、私は、しびれを切らして、聞く。
「あなたこそ、何者なんですか!」
その人はやっと、視線を上げた。
「明智光秀だ」
えっと・・・。
マジ・・・ですか?
本能寺の変を起こした人!?
「そっちの二人は何者」
光秀さんは、刀の刃を、沖田さんと土方さんに向けた。
「沖田総司です」
「土方歳三だ」
光秀さんは、首を傾げた。
知りっこないよね。
後の新撰組の、天才剣士と副長と知る由もないよね。
光秀さん、更に追及する。
「何処から来た?」
向こうからしてみれば、突然現れたんだもん。
ビックリして当然。
「ほ、本能寺から」
答えたら、光秀さんの頬が、ピクリと引きつった。
光秀さんが、口を開けたとき。
「殿ぉ〜!」
また甲冑を着た、人が駆け寄ってきた。
そして、私を見て目を丸くした。
「・・・殿の新しい側室ですか?」
ハァ!?
「そんなわけ・・・ムガッ」
光秀さんが、私の口を手で塞ぐ。
何をするのよ!
噛み付いてやろうかな。
光秀さんは、表情一つ崩さずに、
「ああ。もちろんだ」
と、答え、私を自分の腕の中に閉じ込めた。
なぜに!?
驚く私をよそに、甲冑を着た人が、光秀さんに言う。
「なかなかのおなごですな」
「・・・うむ」
なかなかの!?
ちょっと憤慨しながら、私は、そうっと光秀さんを見上げた。
目には、なんの感情も浮かんでない。
武将が、チラリと光秀さんを見て、
「殿。羽柴殿のもとへ行きますか?」
光秀さんは、どこか茫洋とした目だった。
「あのっ・・・いい加減、離してくれません?」
私の言葉で、やっと光秀さんは、ハッとした顔になった。
「ああ。いや・・・皆に伝えよ」
そういや、なんか戦支度をしてる。
馬に乗ってる武士たちの、厳つい顔。
全権を、光秀さんに委ねてるんだ。
もしや・・・。
私は、光秀さんの腕の中から抜け出す。
よくよく思えば、沖田さんと土方さんは、光秀さんを睨んだまま。
そこいらの不良より、ヤバいな。
「本能寺の変が起こる・・・」
沖田さんが、ボソッとつぶやいた。
私は、ただただ、嫌な予感が当たってほしくないと祈った。
3,敵は本能寺にあり!?
でも、その予感は的中してしまう。
光秀さんが、カッと目を開ける。
え・・・?
一瞬、光秀さんの目が赤く光ったような・・・。
気のせいか。
「敵は本能寺にあり!」
始まってしまった!
私は、ゾワリと鳥肌が立つのを感じた。
武士たちが、どよめきながら、動いていく。
信長さん・・・!
「お前たちも、来い」
光秀さんの目が、心なしかギラッと光る。
私たちは、それぞれ武士たちの馬に乗せられた。
と・・・。
「あーあ。防げなかったね」
うそ。
空から、白い水干姿の少年が現れた。
しかも、その少年は・・・。
「結斗くん!」
私たちを、此処まで連れてきたあの少年───結斗くん。
結斗くんは、ニヤリと微笑んだ。
「明智光秀が、信長を裏切るように差し向けたのは、僕なんだよ。術を使ってね」
そんな!
結斗くんは、少し溜め息を吐いた。
「術の効果もあったし、光秀も信長を嫌っていたからね。予想外の効果があったよ」
ひどい。
光秀さんに術をかけたなんて・・・!
結斗くんは、クスッと笑った。
人を不安にさせる笑みだ。
「君たちにとっては、良いことじゃないかな。・・・歴史を変えれるんだよ」
それだけ言って、結斗くんとスウッと、空へと昇っていった。
また、土方さんがSに戻って嬉しいけどやっぱり夏音呼びも良かったのでまた名前で呼ぶのを待ってます。
それに、夏音が揺れ動いていた時間が少なかったためにまた惚れて欲しい。
更新は明日になります
>>546 ありがとう!夏音呼び、またあるよ〜(笑)
惚れ直し(?)もあると思うよ(*^^*)
更新、待ってまーす!(^^)!
4,命賭しても
「殿に続くぞぉ〜!」
「お〜!」
ヤバい。
武士たちが、最高潮に興奮してる。
光秀さんの目のギラギラも、更に増している。
「行くぞ〜!!」
私は、先頭に馬を走らせている、光秀さんのもとへと行こうと思ったから、馬から飛び降りる。
っぐ・・・!!
痛い・・・。
「小童!」
土方さん・・・。
土方さんまで、降りなくても・・・。
でも、私は、光秀さんの所へ走る。
武士たちの馬もいるから、走りにくい。
息が乱れる、疲れがドッと、押し寄せる。
それでもなんとか、走り寄ると。
「止めてっ、・・・ください・・・!本能寺に行かないでくださいっ・・・!」
道の真ん中に立って、手を広げた。
此処から先に、行かせたくない・・・!
光秀さんが、刀を抜いた。
「退け。退かなければ、斬るぞ」
その感情のこもってない、目が私を捉える。
怖い・・・!
でも、退くわけにはいかない。
「そんなに、斬られたいのか。ならば、」
光秀さんの刀が、私の目の前に。
ううう・・・。
先端恐怖症になる・・・。
「望み通りにしてやろう」
私、死んじゃうのか・・・。
短い人生だったなぁ・・・。
痛みを覚悟して、目をつぶっても。
あれ・・・?
痛みがない。
目を開けたら、土方さんが、私の前にいた。
「光秀公、どうしても小童を斬るのか?」
土方さんが聞くと、光秀さんがニヤリと笑った。
「もちろん。此奴が、自分から望んだのだからな」
ああ・・・。
私、自分で墓穴を掘ってたんだ・・・。
土方さんは臆することなく、
「ならば、俺が命賭しても小童を守ると言ってもか?」
きゅうん。
こんな場合なのに、胸がキュンとなった。
私を、守ってくれるんだ・・・。
光秀さんは、また笑った。
でも、今度は嫌な笑い方じゃない。
「面白い。では、武力では止めよう。しかし」
何!?
「拙者の話を聞いてもらう」
斬られたくないから、聞いてあげよう。
光秀さんも、聞いてほしそうな顔してるしね。
土方の命懸けが良い、夏音の胸キュンも最高だから揺れ動いて欲しいね。
ずっとこのまま二人に揺らいで欲しい。
>>550 ありがとう!これからも、夏音は揺らぐと思う〜(笑)
5,恨み
場所を改めて、私たちは光秀さんと向かい合う。
「はぁ」と、光秀さんが溜め息を漏らす。
「なぜに拙者は、殿に嫌われてるのだ」
早速の本題。
光秀さんが言う、殿は、信長さんね。
光秀さんが、涙目になりながら、
「何時も何時も、『金柑頭』と呼ばれるのだ・・・!」
金柑頭・・・。
そりゃ、怒るよね。
光秀さんは、怒りにワナワナと震える。
「拙者よりも、秀吉の方が金柑頭ではないのかっ!」
あーあ。
こりゃあ、何時、本能寺の変が起きてもおかしくないワケだったんだ。
「恨みますぞ・・・」
あわわ。
私を睨むなぁ!
と言うか、光秀さんのお怒りはかなり深いようで。
沖田さんが、ボソッと、
「どうしますか?」
と、聞く。
うーむ・・・。
歴史を変えたら、ダメなんだろうけど・・・。信長さんを、死なせたくない・・・。
ならばっ!
「光秀さん、思ってた事全部、信長さんに吐いてください」
それなら、互いにイライラする事もないよね〜。
6,肝の据わった女
光秀さんが、眉をひそめる。
なっ、何よ。
「言えたら、こんな事になってはおらぬ」
ケチをつけるの!?
あんたの事を思って、ない頭を振り絞ったのに!?
私の怒りも、MAXに。
「ハァ!?光秀さん、意気地なしじゃん!」
少なくとも、教科書に載ってる光秀さんは、意志が強そうだなぁとか思ってたのに!
光秀さんの頬がピクッと、引きつる。
「意気地なし・・・だと!?」
全然、怖くないし。
沖田さんと土方さんの顔が、青ざめてるけど、私は気にしない。
「本当の事じゃない!怒られるって、恐れてるところが!」
「斬る!」
刀を抜かれても、私は、動じない。
こんな事で動じてたら、今まで生きてないわよ。
私と光秀さん、暫しにらみ合う。
先に視線を外したのは、光秀さん。
「妙に、肝の据わった女だな」
褒めてんの!?
それとも・・・。
クマとか、動物みたいって事!?
むうっと膨れる私を見、光秀さんがコロコロ笑い出した。
7,お怒り
意外と、かわいい顔だなぁ・・・。
なーんて、のんびりと思ってたら。
「夏音さん・・・」
「小童・・・」
ひっ!
沖田さんと土方さんが、仁王立ちで私を睨む。
怖い怖い・・・!
「許されたから良かったですけど、斬られたらどうするんですか!」
ひぃぃ・・・!
そんな事、考えてなかった・・・。
土方さんが、ギロッと、
「そんな事、考えてないんだろうな。ったく、俺が守った意味がない」
呆れたように、言う。
うっ・・・。
図星で何にも言えない。
「すいません・・・」
謝ったら、もっと二人の目がつり上がった。
ヤバい・・・。
「謝ってすむわけない!」
「もうちょっと考えてくださいよっ!」
流石、鬼の副長と天才剣士。
お怒りが、激しいです・・・。
ひたすらに土下座する、私と、顔を背ける沖田さんと土方さんを見て、光秀さんが更に笑った。
さすがの夏音も,この二人の言葉で動じるはずは無いよな。
心配させないことだよ!
あと斉藤さんもこの場に居るのであれば、出てきて欲しい
>>555 ありがとう!二人を心配させたら、かなりヤバいよ(笑)
斎藤さんは、別のところにいるんだけど、それについては、おまけで書きます!
8,キュンキュン
何回、土下座したんだろう・・・。
頭を下げるのが、痛くなってきた。
「次は、ないですからねっ!」
「今度は、守れないぞ」
「はーい」
良かった。
お説教が終わった!
と・・・。
「まあ、総司が守らないなら、俺が夏音を守るぞ」
斎藤さん!?
なんで、此処に??
斎藤さんは、ニカッと笑った。
「なんか、眩しくなって、気づいたら夏音が居たな」
ええっ!?
そんな適当な!?
「近藤さんたちは、どうなんですか」
と聞くと、斎藤さんはまたまたニカッ。
「知らねえ」
ガクッ。
知らねえって。
適当と言うか、雑だね・・・。
「んな事より、」
近藤さんたちの事、『んな事』でまとめるなんて・・・。
ほっとかれた、近藤さんたちに合掌。
「俺は、夏音が好き!」
ほへっ!?
そんなに、まっすぐ見ないでよぅ。
照れるよ・・・。
「私は、」
答えようとしたとき。
「一さん・・・?何をしてるんですか!」
沖田さんが、ギュインッと目を吊り上げて、来た。
沖田さんと斎藤さんが、言い争ってる。
でも、私は、キュンキュンしてしまった。
斎藤さんのまっすぐな感じと、懇願するような、可愛い目に・・・。
9,ドS?
私の頬が、火照る。
コクられた事、12年間なかったもの!
意識、しちゃうじゃん・・・。
「馬鹿か。何を、浮かれてる」
土方さん。
ちょっと、浮かれても良いじゃない。
土方さんが、ニヤリと笑う。
「想いを伝えられた事、ないんだろ」
しっ、失礼な!!
私は、ムキになって、反論。
「土方さんは、モテるんですか!」
絶対、モテないでしょ。
こんなに、意地悪でドSだし。
ヒョイッと、斎藤さんが入り込む。
「こう見えて、副長は女を釣るんだぜ〜」
うそでしょー。
信じないよ。
「まっ、夏音は落とせてないけどな」
斎藤さん、鈍感にもほどが・・・。
またまた、沖田さんと土方さんを敵に回したね。
お笑いかなぁ。
10,和解
呆れながら、見てると。
光秀さんが、
「で?おまえは、何をしてほしい」
あっ!
そうだった。
「私がしてほしいのは、信長さんとの和解です!」
「はあ!?」
光秀さんが、口をあんぐり。
マンガだったら、下顎は床に落ちてる。
だってね・・・。
「信長さんなんかを殺したら、秀吉さんが絶対入ってきます。そんな事より、ついて行く方が楽じゃないですか?」
なんて言いながら。
本当は、本能寺の変を起こしてほしくないの。信長さんが・・・知り合った人が、死んでほしくないから。
光秀さんは、考え込んだ。
「だが・・・」
うーむ。
こやつ、なかなか頭が切れるな・・・。
言いくるめるのが大変だよ。
めんどくさぁい!
仕方ない。
話術公使!!
「だがも何もない!お願い。それとも・・・」
にっこり笑って、上目遣い。
必殺、乙女の上目遣い!!
ちょっとドスを利かせて、
「うら若き乙女の願いを、聞けないの・・・?」
言う。
後ろで、斎藤さんがボソッと、
「うら若き乙女って・・・」
クスッと笑ってる。
失礼なぁ!!
光秀さん、しばらく考え込む。
そして、にっこり。
「仕方ない。行ってやろう」
何よ、超上から目線!
と、内心ムカつきながら、それをおくびに出さないように、微笑む。
「ありがとうございます」
さぁて!
本能寺にlet's go!
11,火傷からの・・・?
「ちょっと待て。飯を食べてから」
ええっ!?
そんな事!?
光秀さん、ニヤリ。
「腹が減っては、戦はできぬ」
ぐぬぬ・・・っ!
仕方ないなぁ。
「私が、ご飯、手伝ってきます」
私が立ち上がると、斎藤さんも、立ち上がる。
ニコニコと、
「俺も行くぜ!」
ええっ!?
なぜに?
かく言う事で、私と斎藤さんは、台所へ。
昔の道具は、使いにくいな〜。
なーんて、思ってたら。
「キャッ」
火傷しちゃった。
むう、しかも、人差し指。
はああ。
やっちゃった〜。
「どうした、夏音」
斎藤さんが、ヒョイッとのぞき込む。
「火傷しちゃったんです〜」
ま、舐めときゃ治るかな。
斎藤さんが、ズイッと近づく。
どうしたの・・・?
「俺、水汲んでくる!」
あっ・・・待ってよ!
って・・・。
聞いちゃいないし。
舐めときゃ治るかな発言が、アレだったのかな。
約七分後。
あっ、斎藤さん戻ってきた。
「斎藤さん〜・・・って!」
たらいいっぱいに、水汲んできた!
そんなにいらないよ。
とは、言えず・・・。
「指、水に浸けろ!」
ジーンときた。
斎藤さん・・・。
気にかけてくれて、嬉しい。
水に、人差し指を浸す。
パチャッ
私は、水をすくって、斎藤さんにかける。
「夏音!やったなぁ」
うわっ。
やり返されたぁ。
12,青春ぽい
そんなこんなで、水のかけあい。
顔に当たったり、着物に的中したり。
ハッとしたのは、少ししてから。
「ご飯作らないと!」
私と斎藤さんは、慌ててご飯を作る。
水遊びに、時間取られちゃった。
ご飯を作って、光秀さんと沖田さん、土方さんのいる部屋へ戻ると。
「わはは・・・」
なんか、談笑してるし。
「ご飯、出来ましたよ」
光秀さんは、手を合わせてから、ご飯に飛びつく。
その間、私は、沖田さんと土方さんから追及を受ける。
「・・・なんで、着物と袴が、濡れてる?」
「何をしてたんですか?」
怖い!
目が、笑ってないし。
そういや、青春ぽい水遊びだったなぁ・・・。MV(ミュージックビデオ)とか、CMでありそうな。
現実逃避しながら、私は、斎藤さんをチラリと伺う。
「総司ぃ・・・。べ、別にヘンな事はしてないし・・・。な、夏音!」
「あっ、・・・何ですか?」
聞いてなかった。
斎藤さんが、涙目になる。
はて?
土方さんの額に、青筋が浮き出る。
「斎藤・・・何をやった?」
「ひぃぃ!」
ドンマイ。
私は、アハハと苦笑いした。
斉藤さん本当に大物ってキャラだよね天然だけど、夏音に惚れている土方達に本人目の前で惹かれていない発言している事や夏音のまさかのまさかって惚れてないって思える感じと土方がモテるのを否定的だってことに凄い
565:リリカ@恋歌◆JA 久しぶりの更新です(小声) :2017/11/05(日) 07:19 >>564 ありがとう!天然はヤバいよね(いろんな意味で)(笑)
土方さん、モテるのを嫌がってるのが、なんか面白いよね(笑)
13,恋のライバルの名は・・・
沖田さんが呆れたように、
「本当、一さんは咲(さき)から好意を持たれてるのに、よくそんな事できますね」
むむっ!?
聞き慣れない名前が・・・。
「咲さんって、誰ですか!?」
聞くと、沖田さんはやっと笑った。
「隊内でも秘密の観察方で、夏音さんと同じく、女です。普段は、男装してます」
へええ・・・。
ちょっといや、だいぶ気になる。
「咲さんって、美人ですか?」
美人じゃないことを祈る。
沖田さんはにっこり微笑む。
「綺麗ですよ」
ガーーン!!
ソイツは、もしや・・・。
ショックを受ける私を、沖田さんは不思議そうに見る。
「でも、一さんとよく一緒に居ますよ。時々、私と出かけたりします」
ガーーン!!
斎藤さんは兎も角、沖田さんと出かける!?
土方さんが意地悪く、付け足す。
「隊内でも、有名な話だ。お似合いだとか言ってるのもいたな」
ガーーン!!
人生、終わった・・・。
咲さんは、十中八九、沖田さんが好きなんだ!
絶対に。
美人だろうし、私の恋のライバルだ・・・。
新しいライバル出現
568:リリカ@恋歌◆JA 久しぶりの更新です(小声) :2017/11/05(日) 11:54 >>567 ありがとう!咲さん、強敵だよ(笑)
ノンネちゃん(←覚えてる?)以上だよ!
14,敗北感
はぁあ。
勝てるわけないよぉぉ。
追い討ちをかけるように、斎藤さんが、
「気立ても良いし、そこいらの男より、剣術も立つし。文句なしのいい女だぜ」
『文句なしのいい女』・・・。
私は、気立ても良いとは思えないし、剣術も立たないし。
いい女の基準以下だよ・・・。
沖田さんが、ニコニコと笑う。
「そう言えば、咲になんやかやとかんざしをあげれなかったな」
ガーーーン!!
かんざし・・・。
好きな人に、プレゼントを貰うなんて・・・。憧れるよ。
「約束してたんですか?」
NOだと言って!!
「ええ。監察方の仕事をこなしたご褒美で」
ガーーーン!!
ウソだよねぇっ!?
土方さんが、
「ねんごろな仲だな」
と言う。
沖田さんが、反論したんだろうけど、私は、ショックのせいで聞こえなかった。
咲さん・・・。
そんな所まで、進んでたの!?
頭の中で、まだ見ぬ咲さんが沖田さんと、腕を組んで『ゴールイン』していた。
イヤだよぉぉ!
夏音やっぱり土方さんがモテるってことに嫉妬じゃあないんだけど、ショックして嬉しいよ🎵
いまだに土方さんにまで揺れ動いているって自覚していないところが、夏音らしく思えて沖田さんにまで強敵ライバル咲といるって考えてしまう悪夢を見る夏音が最高😃⤴⤴
今のところの夏音が好きなのはまだやっぱり沖田さんですよね…?
土方さんにも揺れ動いている風に見えるけど、夏音の心で沖田さんは今はどのくらいで、土方さんはどのくらいなのか気になるっていうより気になり過ぎているのでもしも夏音が土方に好意的なのを持っているって自覚してくれると嬉しい異性としてね
>>570 ありがとう!今の夏音、大荒れだよ(笑)
うん、咲と沖田さんが寄り添ってる悪夢が頭をよぎってるハズ(笑)
今のところは、沖田さん一筋だけど・・・。
沖田さんが七割、土方さんが三割かなぁ。
これからも、じゃんじゃん意識すると思うよ(笑)
グス。
ガチでショック!
見たくない、悪夢がさらに頭をよぎる。
『咲・・・』
『総司・・・』
そして二人が、ヒシッと抱き合う。
二人の顔が、だんだん、近付いていって・・・。
「イヤだぁぁ!」
好きな人が、別の人とキスするなんて!
誰も見たくない!
不思議そうに、沖田さんが私を見る。
咲さん・・・・。
黒い気持ちが、胸の中でうずく。
「苦しい・・・」
沖田さんが、咲さんと一緒にいる悪夢を見るだけで。
そんな私を知ってか否か、斎藤さんがにっこり笑う。
「本能寺に行くぞ、夏音。俺の後ろに乗れよ!」
嬉しいな。
私は、にっこり笑って、返事にかえた。
夏音が初の我を忘れて悪夢に入ったね……
さてさて、夏音が斉藤さんに嬉しいっていう気持ちも少しは気になるけど弟って感じかな?
沖田さん、土方さん、斉藤さんの3人の視点が見てみたい夏音が壊れている感じをどう見ているか気になる。
>>573 ありがとう!夏音は、嫉妬でちょっと壊れたね(笑)
三人sideもやるね(*^^*)
15,壊れた夏音T ※斎藤side
咲の話を始めたら、夏音の様子が変わった。
胸に何かがつっかえたような。
わかった!
総司と咲に対して、嫉妬してるのか!
「苦しい・・・」
嫉妬で苦しむ、夏音を見て、俺は、総司を睨んだ。
知っているはずなのに、何も声をかけないとか。
腹が立つ。
副長は副長で、やるせなさそうな顔だし。
自分と重ねているのか。
よし!
俺が、夏音をもとに戻してやる。
何せ、好きな女だからな。
「本能寺に行くぞなる夏音。俺の後ろに乗れよ!」
言ったら、やっと夏音の目に、光が見えた。
副長と総司ばっかりに、いい格好はさせないぜ。
16,壊れた夏音U ※土方side
俺と同じだ。
そんな事をアイツを見て、思った。
咲の話で、堪えたのか。
俺と同じ─────嫉妬か。
「苦しい・・・」
歯痒かった。
アイツは、総司で苦しんでいる。
握った両の拳を、開けると、爪の痕がついていた。
「本能寺に行くぞ、夏音。俺の後ろに乗れよ!」
斎藤にいい格好をさせてしまった。
アイツの理解者面は、しなくていい。
どす黒い感情を閉ざして、斎藤とアイツの後ろについて行った。
誤字
「本能寺に行くぞなる夏音。俺の後ろに乗れよ!」
ではなく、
「本能寺に行くぞ、夏音。俺の後ろに乗れよ!」
でした。
────────────────────
17,壊れた夏音さん ※沖田side
自分は、何もできなかった。
菊乃のときも、今の咲のときも。
『総司!沙羅って、誰よ!?』
『行かないで・・・』
菊乃も咲も、守れずに。
私は────いや、俺は。
やきもち妬かせてたのだろう。
夏音さんの気持ちは、わからないけれど、思い出すのは、菊乃と咲。
「苦しい・・・」
壊れたとかじゃない。
俺が、苦しくさせているのか。
「本能寺に行くぞ、夏音。俺の後ろに乗れよ!」
一さんのように、気が利かない。
俺に原因があるなら。
俺は、何ができるのだろう───────?
リリカさん°ʚ(*´꒳`*)ɞ°.
ちょっと(じゃないかも)来なくなって間に、斎藤さんがヒーロー的存在に躍り出てるー!!めっちゃかっこいいじゃないですかー!!さり気なくくっつこうと(「俺の後ろに乗れよ!」から)している所とかも、最高!今までの斎藤さんじゃないよね、本当にかっこいい。全然感想言えてなかったから、何処から言ったらいいのかわかんないから最近のやつだけになるんやけど、もう兎に角何話見てもかっこいいですなぁ..‧˚ このままその格好よさを貫いていって欲しいですね、でも、その前に土方さんとか沖田さんとかに、斬り殺されてしまいそうですけど。
沖田さんと土方さんも可愛い..‧˚ ギャップ最高!!土方さんが熱を出した時はやばかった..‧˚ もっかい熱出してくれないかな((殴 次はインフルとか((蹴 沖田さん流石、よくモテてますね!身近に沖田さんのことを愛している(?)人がいるということを忘れないでいてほしいです、本当に。夏音さんの気持ちわかんないの!?((黙 乙女心が分からんやっちゃなぁ((黙 まぁ何となくそんな希ガス((おい 歩いていてファンクラブが出来るほどとはね、それくらいになったら乙女心くらい..‧˚
源さんやばす(( ぴたーって、土方さんのそばにいるとことかやばい(語彙力)。可愛いし、優しい。まさに男子の鏡!(おい)その時の斎藤さんもよかったけどねー。やっぱり源さんと斎藤さん最高!!もう少し源さんの出番を..‧˚
E完結おめでとうございます!続きめっちゃ楽しみだし、いつでも読んでいたくなるような話を、いつもありがとうございます!!謎すぎるリクとか、伝わらない感想とかが多いかもしれませんが、ざっと目を通していただければ幸いでございまする((殴 私が言えることではありませんが、更新頑張ってください!!
>>578
ありがとうございます!
斎藤さん、ヒーローとして活躍します(笑)
今までどこか遠慮してた感があったけど、これを皮切りに、じゃんじゃんヒーローになりたがるかもです(笑)
斬り殺されるときは、夏音がストッパーになると思いますよ(恐らく)
乙女心に鈍感な沖田さんです(笑)
土方さんの熱話、書いててもヤバかったです(笑)
弱気になったり、意地悪になったりと、ギャップがヤバくなります(笑)
源さんもそれとなく、純粋なキャラですね(笑)
男子の鏡!
確かにです(笑)
周りにいないから(笑)
源さん、斎藤さんと一緒にこれから、活躍します(笑)
これからも、いつでも読んでみたくなるように、頑張ります!
期待に応えられよう、精進します(*^^*)
18,ありがとう
斎藤さん、優しいな・・・。
それとなく、話をそらしてくれて。
思いやりにキュン。
馬に乗るときも、
「手ぇ、掴め」
と、手を出してくれた。
おかげで、たいした苦労なく、馬に乗れた。
沖田さんや、土方さんと違った感じで、キュンキュンしてしまうよ。
「絶対、離すなよ」
「はい!」
私は、斎藤さんの背中にしがみついた。
「ありがとう、斎藤さん」
私が言えば、斎藤さんの顔が真っ赤になったように、チラッと見えた。
「行くぞ!」
光秀さんの声がして、私たちの乗る馬も、走り出す。
しがみつけば、斎藤さんのあったかい体温が伝わって、また嬉しくなった。
斉藤さんも異性として見ているのだったら何割ぐらい?
本当に今のところ斉藤さんがヒーローだね
>>581 ありがとう!沖田さんと土方さん、斎藤さんの三人で分けたら・・・。
五割が沖田さん、三割が土方さん、二割が斎藤さんかなぁ。
今のところ、斎藤さんな回だよ(笑)
19,裏切り
ふわわぁ。
斎藤さんの体温を感じながら、眠くなる。
と・・・。
「着いたぞ」
もう着いたの??
斎藤さんが先に降りて、私を気遣って降ろしてくれた。
ガタリ
「夏音か。はやく入れ。・・・光秀?」
信長さんが顔を出して、私に笑顔を向ける。
でも、光秀さんを見た、瞬間に。
笑顔が凍り付いた。
「何用だ・・・?」
すごい迫力。
凄みがあって、こりゃ誰も逆らえないわけだ。
信長さんは、吐き捨てるように、
「金柑頭など見たくないわ!」
光秀さんの頬が、ピクリ。
ひどすぎる!
金柑頭!?
しかも、見たくないなんて!
私は、抗議。
「金柑頭ってひどくない!?」
信長さん、ニヤニヤ。
な、なによ・・・。
「事実じゃ」
いくら、事実としても!
・・・って、光秀さんは何にも言わない。
にっこり笑ってるだけ。
「・・・して、用は??」
「いえ、確認だけでございます」
信長さん、フンと鼻を鳴らした。
馬鹿にしたみたい。
かく言うわけで、和解とはいかず。
本能寺を出た瞬間。
「殿・・・!」
光秀さん!?
怖いよ。
光秀さんは、クルリと振り向いた。
今度は、赤い目じゃなかった。
「・・・本能寺に火を放て」
え!?
嘘・・・!?
私は、光秀さんにすがりつく。
「そんなの・・・!?」
時すでに遅し。
ボオオっと、火の手があがった。
真っ赤に燃える炎は、じわじわと本能寺にかかる。
見てられない。
私は、顔を覆った。
20,歴史は変わらない
光秀さんの顔は、無表情。
何を考えてるの・・・?
私は、光秀さんの真意が読み取れなかった。
と・・・。
「やっぱり、歴史は変わらないんだよ」
え?
空から、白い水干の子が降りてきた。
黒髪を後ろで結っていて、瞳の色は、深い翠色。
でも、その子の目は閉じていた。
「君たちも、結斗から逃げなよ。特別に、現代に戻してあげるから」
何なの・・・この子。
私の気持ちを知ってか、その子は微笑む。
「僕は翡翠。また、会うよ。絶対に」
翡翠くんが微笑み、その瞬間、眩しい光が差した。
私は、目を覆った。
21,学祭準備
目を開けると・・・。
わゎわぁ!
沖田さんの顔が、目の前にぃぃ!
ドキドキ。
心臓、壊れちゃいそう!
「現代ですね」
沖田さんの顔が、すうっと離れる。
ふぅ・・・。
ドキドキがおさまる。
「夏音〜。良かった、無事なのね♪」
ドキドキがおさまり、かわって憎たらしいほどのぶりっこ風の声。
毎日、聞いていたお母さんの声だ。
「無事よっっ!それより、お母さんたちは、何処に居たのよ!?」
お母さんののほほんとした顔を見て、憎しみや怒りと言った感情が沸く。
「うーん。幕末よっっ!芹沢さん、良かったわぁ♡」
また、浮気かぁ。
呆れるよ。
・・・って。
今日、何日なの!?
もしかして・・・。
「9月12よ!」
ぎゃああ!
学祭まで、後少し!
明日、はやく行かないとなのに。
「ごめん、夕食は、レトルトカレーね!」
「えぇえ!?レトルトカレー!?いやよぉ」
お母さんが、反論。
私は、バンッと机をたたく。
近藤さんたちが、ビクッとした。
「文句なしよ!」
私は、怒鳴りつけた。
うーん、学祭が楽しみぃぃ!
(Gへ続く)
斉藤さんの回もっとして欲しい夏音とツーショットが欲しい。
斉藤さんも良いけど、土方さんの回をまたみたいので宜しくお願いします🙇⤵
斉藤さん男らしいよ🎵
あと思春期シンデレラも、更新しているよ
>>587 ありがとう!斎藤さんと土方さんの回、Gで書くよ!
斎藤さん、夏音に関すると、男らしいよね(´V`)♪
読むよ(*^▽^*)
あとがき
ハイッ!
リリカです!
F完結です!
あっと言う間でしたね〜(遠い目)
今回、Bと同じく、幾度か迷走してしまい(苦笑)
ストーリーもあまり考えられなかったような。ぶっちゃけ、Gは私が学祭+新撰組の組み合わせをやってみたかったからです(キッパリ)
夏音と沖田さんの恋も進んだり・・・?
はたまた、斎藤さんや土方さんと接近したり。
ドキドキしてもらえたら、嬉しいです!
コメントしてくださった方々、本当に力になってます!
これからも、ばしばし意見してもらえたら助かります(笑)
では、Gで会いましょう〜(*^^*)
『時を駆けて、初恋*します。』G
登場人物
城里 夏音
本作の主人公。
沖田さん一筋だが・・・?
沖田 総司
新撰組隊士。
新撰組きっての、天才剣士。
最近、やきもちをよく妬いてるが・・・?
土方 歳三
新撰組副長。
美男子。
意地悪だが、夏音一筋。
近藤 勇
新撰組局長。
人がいい。
大食漢。
永倉 新八
新撰組隊士。
豪快で、女と飯が大好き。
藤堂 平助
新撰組隊士。
優しく、夏音と同じく、大食いメンバーに困ってる。
斎藤 一
新撰組隊士。
夏音大好き。
最近、男らしく・・・?
山南 敬助
新撰組隊士。
知将。
上品な優しい人柄。
井上 源三郎
新撰組隊士。
通称、源さん。
穏やかで、癒し系。
ノンネ・ワーグナー
アメリカ人。
夏音のクラスメート。
沖田さんに一目惚れ。
夏音の恋敵。
小橋 蒼馬
夏音の先輩。
チャラい。
自称『夏音の恋人』。
夏音からは、嫌われている。
1,小橋先輩
「夏音、やるじゃん」
へへへ。
私────城里夏音は、陽菜子ちゃんに向かって微笑む。
理由は簡単。
みんなに、新撰組を紹介したの!
「スッゴい!」
「流石、城里博士!」
こんな時は、お母さんが居てくれて嬉しい。
他の時は、たいして役に立たないし。
「好きですっっ!」
あー、告白タイム?
土方さんにコクって、ふられてるクラスメートに呆れながら、私は、教室の内装を整える。
ノンネちゃんが、
「沖田さん、カッコいい。惚れちゃう」
惚れてるくせに!
ノンネちゃんの目は、ハート。
わかんなくもないよ、私だって、目がハートになるかもしれないよ。
沖田さんが、執事の格好!
何それ、萌える!!
「僕のマイハニー♡」
ぞわわっ。
私の後ろから聞こえる声は・・・。
小橋蒼馬先輩だ。
茶髪でカッコいいのだけど・・・。
「陽菜子ちゃん、可愛いよっっ♪」
あっちの女子を口説いてみたり、チャラいのだ。
「夏音ちゃーん♪相変わらず、可愛・・・」
ドゴッと音がしたのは、私が先輩のお腹を殴ったから。
ヘンな事を、言わないで。
桜星学園は、“お姉さま”“お兄さま”が徹底してるけど。
私は、小橋先輩に対して、お兄さまなんて言いたくない。
「夏音さん・・・」
沖田さんが引いてる!?
ヤバい。
私は、慌てて作り笑い。
「それより、夏音ちゃーん。学祭、僕と回ろうよ〜」
「死んでもイヤです」
先輩となんか、行きたくないわ。
と言うか、沖田さんたちと行くつもりなのに。
「そーんなぁ・・・」
しょげ返る先輩の後ろから、のしのしと一華お姉さま。
目がスゴいつり上がってる。
「蒼馬は、私と学祭!って、約束したわね!?夏音ちゃんゴメンね。こんな奴をほっぽといて」
いえいえ。
助けてくださり、ありがとうございます。
先輩が帰った頃。
「やめろ!」
土方さんの悲鳴と言うか、絶叫?
見れば、女子たちが土方さんの着物を脱がそうとしている。
「実際に、服を着てもらいます!」
真帆ちゃんが、テキパキ指示。
土方さん、ドンマイです!
2,グループ
「私の好きなタイプよねぇ〜」
蘭ちゃん・・・。
私は、思わずあんな意地悪野郎に惚れなくて良いんだよと忠告したくなった。
「蘭ちゃんにぴったりよ!」
「そーそー!」
里依紗ちゃんと実夢ちゃんが、ねぇとうなずきあう。
あう・・・。
私、里依紗ちゃんと実夢ちゃん、苦手なんだよね・・・。
「えぇ。そうよね。やっぱり、学祭は里依紗と実夢に決定!他の子は、なしね」
蘭ちゃん、ひどい!
・・・って、私はそんな約束してなかったし。仕方ないね。
陽菜子ちゃんが、
「夏音ちゃん。私と、学祭いこ!莉子ちゃんたちもいるけどいい?」
陽菜子ちゃん、天使!!
莉子ちゃんたち、私は好きだし!
「良いよ。それより、あの新撰組も一緒で・・・」
「いいよ!」
陽菜子ちゃんは即答。
イケメンパワー、スゴいなぁ。
と、蘭ちゃんと里依紗ちゃん、実夢ちゃんグループがこっちをチラチラ見ている。
なに・・・。
「・・・あっちのグループなんて、気にしなくて良いよ!」
陽菜子ちゃん・・・。
「そうよ。こっちの方が、団結力あるんだから!」
莉子ちゃん!?
珠希ちゃんと優衣香ちゃんも、うなずいてる。嬉しいな・・・。
「みんな、頑張るよ!」
真帆ちゃんの掛け声に、みんな一斉に、
「オーー!」
と、答えた。
3,メイド服
その後、みんながそれぞれの役目を頑張ったおかげで内装は整った。
後は、服なんだよね。
イケメンカフェとは名ばかり。
新撰組カフェなのだ〜!!
女子も、メイド服を着るらしいけど。
「ダンス部の練習、行ってくるね!」
陽菜子ちゃんたちに言うと、四人はにっこり。
「楽しみにしてるからね〜」
「絶対見に行く〜!」
嬉しいな。
蘭ちゃんと居たのとは違う、ほっこり感。
私たちダンス部がおどるステージは、多目的ホールの舞台。
集合場所の使われなくなった、教室へ。
「夏音姉!ほら!できたよ」
桜ちゃん!
四、五年生の後輩がCD流して、ダンスをおどってる。
うんうん!
「夏音姉。蘭ちゃんは?」
んんん。
何にも、言えない。
私は、慌てて話題を打ち消す。
「それより、サビと場所カンペキ!私らの本気、見せてやるよ!」
「うんっ!」
可愛いな。
後輩たちが。
曲は、今話題のアイドルグループ。
恋愛について歌ってる。
沖田さんたち、見てくれるのかな?
「最後の練習、頑張るよ!」
ダンス部長の、花野志緒理ちゃんが明るく言う。
私たちはにっこり微笑む。
「YES!」
練習が終わっても、ついに蘭ちゃんは来なかった。
練習が終わり、再びクラスへ。
クラスへ戻ると、真っ白に燃え尽きた新撰組がいた。
燕尾服なのが、良いよね。
「夏音ちゃんも着替えて。女子全員参加だから」
陽菜子ちゃんが、私の分のメイド服を持ってくれていた。
「ありがとう。着替えてくるね!」
陽菜子ちゃんに礼を言い、更衣室へ。
裾が短い気がするけど・・・気のせいか。
「ハーイ。戻ったよ」
前日とは言え、雰囲気があって良い。
男子たちは裏方で、料理を作る役。
イケメンがいなかったのも理由のひとつ。
斎藤さんが、目の色を変えて、飛びついてきた。
「夏音!可愛いな!」
へへへ。
照れるよ〜。
「学祭まで後少し!やるわよ〜」
真帆ちゃん含め、女子たちが声を掛け合う。
私も、接客の練習しないとな。
絶対的にこの文化祭で、恋が進展しそうだね🎵
それよりあの先輩は……私も無理だね
>>596 ありがとう!恋は絶対進展するよ( ̄ー ̄)ニヤリ☆
小橋先輩、かなりチャラいからねぇ(苦笑)
4,接客練習
「えーと、最初は・・・」
接客のマニュアルを読む。
『お帰りなさいませ、ご主人様』。
うぬぬ。
たとえ、どんなに個性的な人が来ても、コレを言わなきゃなんだよね。
いろいろ、複雑。
優衣香ちゃんが、
「優衣香、ムリ。オタクっぽい人とか、そんな個性的な人だったら」
賛成。
と言うか、同じ。
でも真帆ちゃんは、
「お客さまは神さまなのよ。オタクだ何だ言ってられないわ!!」
お客さまは神さま・・・。
よし、思いこもう。
「新撰組が、だらけてない?」
陽菜子ちゃんが、苦笑い。
確かにだよねぇ。
私は、のしのしと新撰組のところへ。
沖田さんなんか、目が虚ろ。
ダンス練習の間、恐怖体験をしたのかな・・・?
土方さんに至っては、魂が抜けてる。
ふぅ。
仕方ないな。
ここは、活を入れてやろうじゃない。
「皆さん、恥ずかしくないんですか?」
私が聞けば、土方さんがぼんやりと、
「いや・・・」
と、答える。
んもう!
鬼の副長が聞いてあきれるわ!
「新撰組じゃなくて、だらけ組ですね!」
途端、近藤さんの目が光り。
「だらけ組・・・!!歳、やるぞぉお!」
熱い熱い。
熱血タイプだったんだ。
しかし、土方さんはやる気なさそう。
「・・・俺は、やらねえ」
あーあ。
一番、女性客を呼びそうな人なのに。
「だらけ組で良いのか!?会津藩に知られたら・・・!!」
やっと、土方さんの目に輝きが戻る。
そして、沖田さんの肩をつつく。
「総司!!やるぞ!」
「あ・・・。はい」
沖田さんが、慌てて答える。
何はともあれ、新撰組がやる気になってくれて助かる!
やっぱり夏音は小学生とは思えないしっかりまとめ役だね、夏音の言葉は動くもの、動かないものがあるんだね……
600:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/08(水) 21:10 >>599 ありがとう!夏音の言葉で動くのは、単純な(?)近藤さんかなぁ〜(笑)