時を駆けて、初恋*します。

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1:リリカ@恋歌◆JA:2017/09/03(日) 16:18


*プロローグ*

出逢えたら良かった。
でも。

「私たちは出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ」

私たちは逢ったらダメだった。
彼は、そう言った。

601:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/08(水) 21:21

祝!600
これからも頑張ります!
コメントくださった方々、これからもよろしくお願いします!   
───────────────────

「・・・注文は?」

土方さん、怖い怖い。
目つきがねぇ・・・。

「ヤクザに見えますよ?」

沖田さんが、クスッと笑いながらからかう。
確かに。

「あぁん?総司もやれっ!」

八つ当たりも良いとこだよ。
沖田さんは、わざと優雅な礼をした。
マニュアルどおりだね!

「良い女来るかな〜」

永倉さんが、ぼやく。
原田さんが、

「来るかもしれないけどさ、副長に惚れるに俺は賭けるぜ!」

と、突っ込む。
スゴいなぁ、土方さんの事、良く分かってらっしゃる。

「接客態度、土方さんひどすぎ!」

真帆ちゃんの檄が飛ぶ。
土方さんが、真帆ちゃんに噛みつく。

「あぁん?小娘!」

「小娘って!」

私は、二人の間に割って入って、ニヤニヤ笑う。

「仲、良いんですねぇ・・・。よっ!カップル!」

「仲良くない!」

声まで揃ってる。
ありゃあ?
絶対恋仲になりそうに見えるのになぁ?                     
          
           

602:ルナ◆t/k:2017/11/08(水) 21:52

リリカ!600おめ!
もうすぐで1000だね!
新作期待してます!

603: アーヤ◆TQ:2017/11/08(水) 21:55

土方さんが……とうとうヤクザになってしまって少し受けるけどショック😣
まあまだヤクザは良いけど、不良にはならないで欲しいって願ってしまっている。

あと土方さんに斉藤さんの回待ってます。

604:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 16:27

>>602
ルナ、ありがとう!
新作も考えないとな・・・(←考えてない人)

>>603
ありがとう!
ヤクザと言うか・・・気難しい?だけだと思う(笑)
土方さん&斎藤さん回、そろそろ書くよ〜(*^^*)             

605:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 16:39

5,恋のジンクス

莉子ちゃんが、ポオッと頬を染めながら、

「高等部の花火打ち上げのとき、キスしたカップルは結ばれるって言うウワサあるよね・・・」

と、言う。
もしや・・・?
珠希ちゃんが、莉子ちゃんをつつく。

「誰か、好きなの?」

莉子ちゃんは真っ赤になって。

「・・・山南さん・・・」

えええっ!?
すんごい驚き!
山南さんが好きだなんて!

「私、知的な人がタイプで・・・一目惚れしたの・・・」

莉子ちゃんは、恋する乙女の顔。
よっしゃ。
私が、二人の仲を取り持ってあげようかな。

「私が、仲介しよっか?」

しかし、莉子ちゃんは首を振る。

「私・・・自分で誘ってみる」

スゴすぎるよ!
ましてや、キスなんて。
もしそうなったら・・・。
キャーじゃなくて、ギャー!だなぁ。

「夏音ちゃんこそ、沖田さんと頑張れば?」

陽菜子ちゃん!?
なぜに、そんな事を!?

「乙女の顔で、分かるもん。だだ漏れ」

だだ漏れ!?
私は、分かりやすいタイプなの!?
優衣香ちゃんが、

「キスまで頑張れ〜♪」

気楽に言うけど。
その前に。
二人きりになれるのかな・・・?
斎藤さんやら、土方さんがいつもそばにいるもの。

「告白したい・・・って言えばなれると思うよ」

告白!?
ムリだよぅ・・・。                                                     

606:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 18:02

6,どぎまぎ

「何が、無理なんですか?」

わゎわぁっ!
沖田さん!
心臓のドキドキが、バクバクに変わる。
聞かれちゃ困るよ!

「なっ、なんでも・・・」

答えかけたとき。
陽菜子ちゃんがにっこり、

「告白したいらしいでーす♪夏音ちゃんは」

ぎゃああ!
何ちゅー事を!!
沖田さんの瞳が翳った気がしたけど、沖田さんが聞いた。

「誰にですか・・・?」

うわあぁん!
言えるわけないじゃないですかっ!

「沖田さ・・・」

陽菜子ちゃんが、答えを言う。
私は、必死の思いで、陽菜子ちゃんの口を手で塞いだ。
でも、沖田さんの顔がちょっと赤くなっていた。
ヤバいよぉぉ・・・。

「ほら、私のおかげ〜♪」

おかげじゃない!
どぎまぎしたじゃん。

「沖田さん、気にしないでください!」

それだけ言って、私は、陽菜子ちゃんと一緒に、メイド服を着替えることにして、更衣室へ向かった。                              

607:瑞◆t/k ルナです!:2017/11/09(木) 18:21

新作も恋愛がいいな!とっても面白い!
あっ!もちろんリリカに任せる!

608:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 19:39

>>607
じゃあ、新作も恋愛に決定!
面白くなるかなぁ・・・。
これが終わったら、になるかな。
(掛け持ちで失敗したこと多数なため)      

609:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 19:47

7,当日

その日は、最終チェックして終わり。
滞りなく、一日が終わった。

学祭当日

朝の5:00です。
わぁぁん。
目が、ギンギンしてきちゃった。
仕方ない。
朝食準備。

「おはよーございます・・・って!?」

和室を覗くと、新撰組はみんな起きていた。

「まだ朝早いですよ!?」

聞くと、沖田さんがニコニコ笑って、

「緊張してる土方さんに、たたき起こされたんですよ」

そっかぁ・・・。
土方さん、それはプレッシャーですねっ。
ちなみに、どこにいるの?
沖田さんが指した先には、布団の山。
ハハーン。
引きこもってるのね。

「土方さん〜。おはよーございます〜」

って言いながら、布団の山へと向かう。
布団を引きはがそう。                           

610:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/09(木) 21:12

8,逆の床ドン

布団に手をかけようとした。
と・・・。

ズルッ

誰かの着物の袖に足をとられる。
ちょうど、土方さんが布団をあけた瞬間で。

「ギャーッ!土方さん・・・っ!」

土方さんになだれ込む感じで、倒れる。
必死に床に手をつくと。

「夏音・・・!」

斎藤さんの悲鳴が、聞こえる。
ん?
私は、何かをした?
って!
ちょうど手を置いたところが、土方さんの顔の横。
押し倒した感じになっていて。

「す、すいません・・・っ!」

謝るけど、土方さんの頬が赤く染まってる。
私は、退こうと起きようとしたとき・・・。

「小童・・・」

え?
土方さんが、グイッと私の腕をつかんだ。
そしてその勢いで、押し倒された。
形勢逆転。

「え?・・・土方さん・・・?」

ドキドキどころじゃない。
心臓が、ヤバい・・・!!                                                 

611: アーヤ◆TQ:2017/11/09(木) 21:29

凄い良い逆床ドンは、壁ドンは斉藤さんが良いかな😃
夏音ドキドキして欲しいよ🎵

新作は幼馴染み恋愛が良いかな😃

612:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/10(金) 18:05

>>611
ありがとう!
壁ドンもありかも(笑)←書く気まんまん
新作は、そうしよっかな〜(*^▽^*) 
  
 
 

613:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/10(金) 18:15

9,キス未満

しかも、顔が近づいてくる・・・!
私の心臓、バクバク音をたてる。
ひゃあぁ・・・。
キス、されちゃう系?!
私は、逃げたくても逃げれなかった。

「土方さん・・・。みんな、見てますけど!」

せめてもの反論。
しかし、土方さんは耳を貸さない。
ひゃあぁ・・・ヤバい・・・。

「歳!それは、まだはやい!」

近藤さん!
ホッと溜め息。
近藤さんが土方さんにヒシッと抱きついて、止める。
良かったぁ・・・。
キス未満と言うか、未遂で。

「接吻するなら、ちゃんと付き合ってからだ!あと、俺に報告してから!」

いやいや・・・。
怒るとこ、ソコなの?
脱力。
へたり込む私を、藤堂さんが助け起こす。
ふぅ。

「土方さん、斬りますね」

沖田さんが、にっこり言い放つ。
斎藤さんも、刀の柄に手をかけている。

「ここで斬らないでくださいよ!」

血が付いちゃう。
と言うより、歴史変わっちゃいますから。                                         

614:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/10(金) 19:45

10,学祭へ〜

って!
こんなことしてる場合じゃない!
学祭じゃん。

「みなさん、準備してください!朝ご飯、用意できないけどすみませんね!」

たたきつけるように言って、私も着替える。
朝ご飯、用意できるかな。
準備が終わったのは、6:30。
パンを焼くぐらいかな。
トーストを作って、食べてもらう。

「やりたくねぇな・・・」

土方さんが、ぼそりと言う。
今更!?

「やってください!って言うか、やって!」

トーストにかぶりつきながら、怒鳴る。                

615:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/10(金) 21:20

準備完了。
9:00。
学祭へ〜let's go!
私たちは、一緒に学祭へ向かった。

「クレープいかがですか〜」

「ワッフルは、6ー2ですよ〜」

もう、客引きが始まってる。
人もまだまばらだけど、このあと、たくさん来るはずだ。
私たちは、クラスへ。

「夏音ちゃん、おはよう」

陽菜子ちゃんと、莉子ちゃん、優衣香ちゃん、珠希ちゃん。
私も、新撰組も服に着替えた。

「男子たち、めっちゃ眠そう」

優衣香ちゃんの一言。
確かに。

「マジ寝みぃ」

ぼやいてるけど、頑張ってね。
あっ。
お客さんが来た。                          

616: アーヤ◆TQ:2017/11/11(土) 07:56

キス未満で良かったね、何故良かったって言うと沖田さんからの殺気が来そうだからね。
でも近藤さん違う意味で夏音を助けたけど、斉藤さんの時はどうなるのだろうか気になるよ!?

617:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/11(土) 09:32

>>616
ありがとう!
土方さんのときは、止められたけど、果たして斎藤さんのときは・・・?!     

618:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/11(土) 09:41

11,モテる土方さん

入ってきたのは、二人の女性客。
その目が、土方さんを捉えて、ハートになった。

「キャ♡カッコ良くない!?」

「ヤバいよね・・・♡♡」

おおー。
土方さんは、モテるねぇ・・・。
接客してるのを見ていたら、一応土方さんはニコニコしてるけど、頬がピクピクしている。

「流石、イケメンはモテるねぇ〜」

珠希ちゃんが、感心したように言う。

「女性客の五割は土方さんが占めるんじゃない?」

そうかもね!
しかし、莉子ちゃんが、

「沖田さんと山南さん、藤堂さんや斎藤さん、モテるんじゃない?」

ええっ!?
ヤバいな・・・。
恋が進展するじゃなくて、ライバルが増えてしまう!!

「私、コクれるかな・・・」

莉子ちゃんが、心配そうに山南さんを見てる。私は、コクれるどころじゃない。
心配でしょ、普通に!!
取られたくないし!!                                     

619:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 08:10

12,モテちゃう新撰組

しっかしぃぃ・・・!!
心配しても、事実は変わらないのね・・・。
新撰組、モテまくりでしょ!?
沖田さんと山南さん、藤堂さんに斎藤さんがモテてる。
主に、女性客ね。

「男にモテるって・・・」

陽菜子ちゃんが、感心したような引いたような声を出す。
ほんと。
近藤さん、原田さん、永倉さんはなんとね・・・。
男にモテてる!!

「ご指名が、男とはね・・・」

ビックリだよ。
男モテは、か・な・り、レアなのね。
まあ、極端に新撰組はモテちゃう!!
莉子ちゃんが、

「ヤバいよね・・・。山南さん指名する人たち・・・」

土方さんは、もう安定のモテまくり。
沖田さんも、指名する人が多いし・・・。                                  

620:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 11:14

「格好良いわよね♡」

「優しそうな感じだし♡」

んんんっ!
奪われるなぁ・・・。
しかも、沖田さんは微笑んでるだけだし・・・。

「私ら、ヤバいね・・・」

「居場所がなくなるねっ・・・」

莉子ちゃんと、ひそひそ話してると。
お客さんだっ・・・。
私たちは、にっこり微笑んで営業スマーイル。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

入ってきたのは、小橋先輩。
うわぁぁ・・・。
しかも、小橋先輩は私に向かって、手をクイクイ。

「注文は〜・・・」

よしよし。
まともな先輩だ。
でも、先輩は、天使の笑顔で、

「夏音ちゃんと二人で食べようぜ♡」

嫌だぁあぁ!!
しかし、次の瞬間、先輩の顔が凍った。
視線の先には・・・もみくちゃにされて、ボロボロの土方さん。
目が、笑ってないから怖い。

「俺で良ければ、相手をいたす」

ドスが利いてる!!
流石の小橋先輩も、引きつった顔で、

「いや。やっぱり、一人でいいよ・・・」

ふぅ。
なんか、土方さんのおかげで助かったなぁ!                                              

621:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 13:18

13,告白

「ありがとうございます!!助かりました!」

私は、土方さんに礼を言った。
小橋先輩をすぐ追い払ってくれて。
土方さんは、首の後ろを掻いた。
耳が真っ赤で、可愛い。

「可愛い!!」

と言えば、土方さんの顔が更に真っ赤に。
照れなくても良いのに。        

622:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 14:23

陽菜子ちゃんが、コソリと、

「何かさ、夏音ちゃんの前だと、すごく可愛くなるね」

ええっ!?
んなワケ・・・。
ところが、莉子ちゃんと珠希ちゃんも、果ては優衣香ちゃんまでもが、

「そんなワケがあるんだよねぇ。夏音ちゃん、魔性の女だね〜」

と、ニヤニヤ、冷やかす。
失礼な。
誰が、魔性の女よ!
珠希ちゃんが、

「こりゃあダブルで告白くると思うけどな〜」

えっ・・・と?
ダブルって・・・?

「まぁた、照れちゃって。土方さんと、沖田さんからよ!」

ええっ!?
って言うか、一応、沖田さんには私がコクる(予定)んだからね。
莉子ちゃんがうっとりと、

「コクられたら・・・♡」

うぬぬ。
コクられる前提だと、ダメだと思うけど・・・。

「優衣香、夏音がコクられたら、相談乗るからね」

優衣香ちゃん・・・。
嬉しいけどさ。

「コクられるワケ、ないから・・・」

「おいっ」

土方さんが、私に近づいてくる。
思いつめた顔をしてるけど・・・。

「ちょっと来い!」

ほへっ?!
土方さんが、私の腕をつかむ。
えっ・・・と?
陽菜子ちゃんたちが、ニヤニヤ。

「頑張れ〜」

うっそ!?                                               
    

623:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 15:50

14,胸キュン

「どっ、どぉこに行く、んですか」

緊張。
だってさ、陽菜子ちゃんたちが言ったとおりになったら、って思うと・・・。
土方さんが、こっちを見た。
うん、すごく服が乱れてる。
女性客の人たちに、襲いかかられたからだもんね。

「服が乱れてる。直してくれ」

そんなこと。
良かったぁ・・・。
告白だったら、マジでどーすりゃ良いかわからないし。

「ってか、ムダな筋肉ついてないですね」

触りながら、言うと。
綺麗に切れ上がった目が、私を捉える。
なぜだろう。
ドキッとした。

「当たり前だ。咲と剣術をすれば、誰だってこうなる」

出た!
咲さん。
この際、聞いちゃえ。

「へぇー。咲さんって、そんなに魅力的何ですか?」

「いや。女としては、さして魅力的とか知らない。男色が好みな奴らには、魅力的だろうがな」

へ、へぇー。
ようし。
意地悪な質問をしてやろう!
お返しだ!

「かく言う土方さんに、好きな人いるんですか?」

いたら、その人はどんな人なのだろう。
土方さんは、軽く目を瞬かせた。

「・・・いる」

いるんだ!?
そっちにビックリ!

「その人と、どうしてたいですか?」

恋仲とかそういう感じなのかな。
しかし、土方さんは、

「ずうっとそばにいてもらいたい。・・・それだけで良い」

胸が、キュンと熱くなった。
私の事じゃないのに。
その人は、土方さんに想われていて、幸せだろうな。

「夏音!副長!」

斎藤さん。
斎藤さんが、なぜだか土方さんを睨みつけてる。
仕事に戻らないと。                                                                         

624:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/12(日) 19:38

15,宣戦布告 ※土方side

斎藤が、睨みつけてくる。
あからさまな嫉妬を感じるが。

「副長〜・・・。なんで夏音を攫ったんだ!」

こいつと恋敵になると、厄介だな・・・。
攫うなんて、大袈裟な。
斎藤が、睨みつつ、

「・・・ま、良いや。俺が、夏音を奪う」

さらりと変な事を言った。
奪う?
俺は、斎藤に向けて言った。

「俺が奪うから。斎藤は、無理だな」

斎藤の顔が、怒りで赤く染まる。
先に言ったのは、そっちだろうに。

「・・・流石女たらしの副長だな」

女たらし・・・。
たらしては、ないが。

「何してるんですか!!仕事してください!」

やけに、総司の言葉が空しく聞こえて。
アイツが好いてるのは、やはり総司だからか。だが・・・。
絶対に、アイツを奪うのは俺だ。
それに確信を抱き、仕事へ戻った。                                                      

625:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/13(月) 17:44

16,ダンスの本番

「夏音姉!ダンスの本番だよ!」

可愛い後輩たちが、呼びにきた。
そうかぁ、もう本番だぁ・・・。

「上手くできるかな・・・」

不安そうな、樹里ちゃん。
見渡せば自信たっぷりの、梨理華ちゃんも、美佳ちゃんも不安そうだった。

「頑張ろうよ。上手くできなくても、頑張るだけで良いと思うよ」

僅かに、梨理華ちゃんたちの顔が、明るくなった。
ダンス部の発表は、各クラスのテレビでも見られるから、ド緊張する!

「夏音姉が言うなら!」

ほんと、可愛いなぁ〜・・・。
樹里ちゃんが、

「蘭ちゃんは?出るの?」

ううむ。
実夢ちゃんや、里依紗ちゃんといるからね・・・。

「蘭ちゃんが来なくても、ウチらで頑張ろ」

答えると、樹里ちゃんの顔が曇った。
な、なに。

「私・・・蘭ちゃんも一緒に、おどりたい」

ええっ!?
もう、出演時間まであと少しだし・・・。
仕方ない!
私は、腹をくくった。

「蘭ちゃんに、言ってくるから!!先、待ってて」

梨理華ちゃんに言伝を頼み、私は、恐らく蘭ちゃんがいる場所へと急いだ。                                               
      

626:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/13(月) 21:19

17,迷惑じゃない!

蘭ちゃんと里依紗ちゃん、実夢ちゃんはクレープのところにいた。
そこだけ切り取ったように、異様な雰囲気があったから。

「蘭ちゃん・・・、ダンス、出ないの?」

途切れ途切れに聞くと、蘭ちゃんが振り向いた。
実夢ちゃんたちも。

「・・・は?出るわけないじゃん」

・・・何でなの?
今まで、一緒に頑張ってきたのに。
蘭ちゃんは、

「私は、迷惑なんじゃない。だったら、出ない方がいいに決まってる」

迷惑・・・。
思わず、叫んでいた。

「蘭ちゃんは、迷惑じゃない!」

里依紗ちゃんが、

「蘭ちゃんを除け者にしたじゃない。ダンス、一人でやれば」

ひどい。
そんな事・・・。
実夢ちゃんも、

「そうよ!蘭ちゃんの気持ち、知らないくせに」

私の血管、プッツーン!
ぶちキレてしまった。

「知るわけない!嫌だったんなら、言ってよ。蘭ちゃんの口から!!・・・ダンス、来てほしいって、樹里ちゃんが」

僅かに、蘭ちゃんの目が揺れた。
私は、それを見ないふりして、また走り出した。                   
                              

627:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/14(火) 16:27

18,斎藤さん、萌える

ふううっ。
ついたぁ!!
梨理華ちゃんが、駆け寄る。

「行こう、私たちの出番だようっ」

えっ、もう!?
そういや、風花のグループが終わってる。
よおっし。

「あっ、蘭ちゃん!」

樹里ちゃんが、言った。
振り向くと、居心地悪そうに、蘭ちゃんが佇んでいた。

「頑張ろうよ!」

声をかけたら、蘭ちゃんがうなずき返してくれた。
しかしなぁ・・・。
振り付けで、投げキスするとこあるんだけど。
憂鬱。

「あっ。沖田さんたち、いるよぉ!」

蘭ちゃん・・・。
一番、見られたくないのにっ!

『続いては、今、話題の・・・』

案内が、始まって。
私たちは、にっこり微笑みあう。

『では、どうぞっ!』

よおっし!
やってみせる!           
                  

628:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/14(火) 18:14

ううう・・・。
舞台に立つと、みんなの視線が集まるような気がして。
頑張れ、私。
勇気を奮い立たせ、音楽が鳴るのを待つ。

『♪loveormoon〜・・・♪』

曲が、鳴る。
とびっきりの笑顔で、真ん中へ。

『♪kissme〜♪』

ようし、恥ずかしながら、投げキスだぁ!
手のひらを、口元に近づけて、ゆっくり離して微笑む。

「夏音〜・・・♡」

バタリと、倒れる音。
誰・・・?
卒倒したのは、斎藤さん!?
なんか、身悶えしてるし・・・。

『♪知らんフリなんて、させない〜・・・♪』

サビがくるよ。

『♪kissmeormoon〜♪』

移動もして、踊り続ける。
大騒ぎしてる、新撰組を見ながら。
そして。

『♪loveplease♪』

終わったあ!
私たちは、にっこり笑って、舞台へ下がる。
みんなが来て、

「ありがとうございましたっっ!」

と、礼。
どっはぁぁ・・・。
終わったよ!
学祭のイベントが!!                             
    

629:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/14(火) 19:49

19,ドキドキ!?

その後、舞台を降りて解散。
真っ直ぐに、新撰組のもとへと急ぐ。

「困ったなあ・・・」

山南さんが、本当に困った顔で私を仰ぐ。
ん・・・??
見れば、まだ斎藤さんが悶えてる。

「夏音・・・可愛すぎだろっ・・・♡」

いやぁ・・・あのぅ・・・。
聞いてるこっちが、照れますけど・・・。

「夏音ちゃん欲しい症だな」

源さん!?
源さんの隣には、宮小瀬奈緒ちゃん。
いつも寝てばっかりの子なんだけど・・・。
めっちゃ、オシャレしてる。
もしや・・・?

「夏音〜っ!」

斎藤さん!?
抱きつかないで・・・。
ちょっと、いや、だいぶドキドキするんですけど!

「さっきのやつ、可愛かった!」

本当!?                         
      

630:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/15(水) 17:47

20,恋の打ち上げ花火

その後、土方さんが女装コンテストに出たり(案の定、ダントツで優勝)、斎藤さんがラブレターをもらったり。
私は、ラブレターをもらった斎藤さんに、ニヤニヤ。

「良かったですね。付き合ったら、どうですか?」

斎藤さんが、きっぱりと、

「付き合う気は、ないな。夏音一筋だし」

さらっと、おかしい事を言う。
まあまあ、みんなモテるんだね〜。
にしても。

「土方さんの女装、すごかったですねぇ」

沖田さんが、ニコニコ笑う。
確かに!
白粉塗って、口紅を塗って。
京風美人の出来上がり!
だったもん。

「総司・・・それは、言うな」

情けない顔の、土方さん。
男子票も女子票も獲得してて、スゴいなぁ。

「夏音ちゃん・・・!」

あっ、莉子ちゃん。
どうしたのかな。

「そろそろ、花火上がるって!」

そう言や、空も薄暗くなってる。
山の稜線に沿って、夕日が疎らに。
綺麗だなぁ・・・。

「あのジンクス、出来るって・・・」

ああっ!
あの、花火が上がったときに、キスしたら・・・って、ヤツ!?

「山南さんと、したいしさぁ・・・」

恥じらう莉子ちゃん。
私も、真っ赤になる。

「か、覚悟できてる・・・?莉子ちゃん・・・」

莉子ちゃんは、ううんと首を振る。
私も、だよな。                                                          
    

631:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/15(水) 21:09

私だって、覚悟できないしっっ!
キス・・・なんてさぁ!

「どうしよ!?」

「で、でもっ。ほら、近くを見て・・・」

莉子ちゃんの言うとおり、近くを見てみると。
うわぁ・・・。
なんか、イイ雰囲気のカップルが多いし!

「ねっ。カップル、もうキスしそうよね」

だよねぇ。
顔と顔が、スゴい近いし。

「あーあ。二人だけになって、告白したい・・・」

なーんて。
とか、思ってたら。

「夏音さん」

沖田さん!?
手を握られて、引き寄せられた。
まさかのっっ・・・!?      
                

632:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/16(木) 17:44

グッと顔が、近づいて・・・。
きゃっ、ファーストキッス・・・♡
ちょっと、期待しながら目を閉じる。
・・・しかしね、世の中には、空気を読むと言うことをもって生まれて来た人もいる。

「駄目だろ、こんな所で」

永倉さーん!
KY発言するなぁ・・・!!
ほぅら。
イイ雰囲気が、あっと言う間に砕けて。  

「すいませんね」

あぁあ!
沖田さんが何で謝るの!?
私は、ジトリと永倉さんを睨む。
せっかく、イイ雰囲気だったのに・・・。

「あのぅ・・・山南さん・・・。私・・・」

おお、莉子ちゃん。
ガンバ!
初々しい莉子ちゃんを見ていたら。                     
  
  

633:◆5YQ:2017/11/17(金) 11:18

3人にドキドキしながらいる夏音がカワユイ

634:◆5YQ:2017/11/17(金) 11:19

夏音は誰とキスするのかな

635:♯アーヤ:2017/11/17(金) 11:23

続き頑張ってね

一応アーヤです小説の更新が遅くなるかもしれません

636:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 16:41

>>633
ありがとう(ございます)!
今は、スゴい揺れ動いてる感じ(´V`)♪

>>634
それは・・・?
まさかのまさかだったりして・・・( ̄ー ̄)

>>635
頑張るね!!
大丈夫。
ゆっくり、待ってまーす!p(^-^)q    

637:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 16:52

「好きです、夏音さん」

ほぇえぇえ!?
今、何かスゴいこと言われたような・・・。
沖田さんの顔が、真剣だった。
うそぉ!?

「・・・・っっ!私も、・・・好きですよぅ!」

あぁ、スゴく頬が熱くなる。
恥ずかしくなって、顔が見れなくて。

ドーン

薄暗くなった、空に打ち上げ花火が輝く。

「ずっとそばに・・・」

言われなくても。
私は、微笑んで返事に変えた。

「絶対認めない!!」

「・・・斬ってやる!!」

後ろで、斎藤さんだか土方さんが、騒いでる。
こんな幸せ、ないっ!
色とりどりの花火が、空で美しく咲いた。
莉子ちゃんと山南さんペアを見れば、なんかイイ雰囲気。
恋の打ち上げ花火だなぁ。
と、思いながら、幸せに浸ってしまった。

──────そのときは、永遠の幸せを願っていた。
そう、彼ら新撰組の“本当”の姿を知るまでは。                                     
       

638:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 17:00

21,エピローグ

恋をして良かった。
こんなにも、あなたの笑顔を愛しいと思えるのだから。

咲さんと言う、恋敵がいるけれど!

絶対に、付き合っちゃうから!
“誠”の旗のように、誠実な人を振り向かせる。

─────たとえ、この先離れ離れになっても─────


(Hへ続く)                   

639:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 18:20

あとがき

ではでは。
Gのあとがきですね!!
何というか・・・。
感慨深いモノがありますね。

Gでは、かなり恋が進みました!!
両想いに・・・!?
果たして、その後はどうなるのでしょうか?!

Hのプチ情報を少し。←偉そうなヤツ
舞台は何度目かの、幕末!
好きすぎですが、すいません!

夏音と咲さんの初対面!?
夏音に幕末での友達ができたり!
はたまた、悲しい出来事があったり。
Hも、ぜひ読んでいただきたいです!

最後に、お礼を。
コメントしてくださった方々、本当にありがとうございます!
今後とも、よろしくお願いいたします。

ではでは、Hで会いましょう!             
                     

640:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 18:32

『時を駆けて、初恋*します。』H

登場人物

城里 夏音
本作の主人公。
明るく、常に元気。
沖田さんと両想いになったけど・・・?

沖田 総司
新撰組隊士。
天才剣士。
夏音に想いを伝え・・・?

土方 歳三
新撰組副長。
かなりモテる。
夏音が好きで、夏音に関すると人が変わる。

近藤 勇
新撰組局長。
人情味がある、大食らい。
しかし・・・?

永倉 新八
新撰組隊士。
常に明るい!
しかし、女と酒が好き。

藤堂 平助
新撰組隊士。
優しい。
料理が得意。

原田 左之助
新撰組隊士。
大食らい。
永倉さんと話が合う。

山南 敬助
新撰組総長。
賢く、参謀。
莉子に想いを寄せられるが・・・?

斎藤 一
新撰組隊士。
夏音大好き。
明るく、まっすぐ。


新撰組の準隊士。
男装をしている。
沖田さんが好きで、夏音の恋敵。

芹沢 鴨
新撰組筆頭局長。
暴れん坊と有名だが・・・。

お梅
芹沢さんの愛人。
夏音と咲と女子として、仲良くなる。


新撰組を恨む、辻斬り。
しかし、夏音と仲良くなって・・・。                                                                  

641:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 18:36

1,ソイツは現れた

学祭が終わって、数日後。
ソイツは現れた!

「うふふ♪忘れ物したわぁ」

言わずもがな。
ソイツの名は。

「お母さん!?」

お母さんは、桂さんと手を繋いで微笑んでる。
端から見れば、仲がよい夫婦だけど・・・。

「幕末に、忘れ物したわぁ♪みんな、来てよね♪」

迷惑を被るな!
怒鳴りたくなったけど、あえて堪える。    
          

642:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 19:48

「・・・何を忘れたの?」

お母さんだけ、行けばと言う意味も込めて。
お母さんは、にっこり。

「簪よ!」

言ってしまった。
私は、

「たかが、簪でしょ!?そんなの、お母さんが行けば」

お母さんが、拗ねたように、

「だーめ。夏音来てよ。恋人の二、三人できるわよ」

二、三人!?
それって、浮気じゃ・・・。
沖田さんが、懐かしむように、

「屯所にも、戻りたいなぁ」

よし!
私は、コロッと態度を変える。
沖田さんが行きたいなら!
かく言う事で、幕末にタイムスリップする事に!        
                

643:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 20:01

2,辻斬り燦ちゃん

ううう・・・。
思わず、体をブルリと震わす。
ちなみにね、幕末の京都ですよ、はい。

「前川邸は、隊士で手狭だ。芹沢さんに頼んで、八木邸に泊まれ」

うぬぬ。
土方さんめぇえ!
いくら近いとはいえ、充分に暗い夜道だし。
提灯の光を頼りに、歩いていると。

「天誅!」

ギャッ!
誰かの、声。
しかも、なぜかスゴく近い。
白刃が閃いた。

「お前・・・見たな」

ぬぅっと、暗がりから誰かの顔が覗く。
ギャーッ!!
つり上がった目が、僅かに見えた。
男が、ゆっくり近付いてくる。
恐怖で、動けなくて。

「先ほどから見ていたら、お前は浪士組と関係あるな」

ひいぃっ!

「名は?」

あなたこそ。
そう思って、恐る恐る男を睨む。

「あなたこそ。そっちから、名乗りなさいよ」

男の目が、見開かれた。
そして、いきなり男が笑った。

「ははは・・・。面白い女だ。俺のことを、燦と呼べ」

「燦ちゃんね〜。私は、夏音。友達だねっ!」

燦ちゃんが、目をぱちくり。
間抜けな顔で、つり上がった目が可愛く見えた。

「怖くないのか?」

ううん。
私は、首を振った。

「もう、友達だし。怖くないよ」

燦ちゃんがやっと、笑った。
笑ったら、スゴい可愛いな。
八木邸に着くのは、近くだったけれど、私と燦ちゃんは古くからの知り合いのように、しゃべったのだった。                    
                                          
                  

644:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/17(金) 21:20

3,お梅さんと芹沢さん

八木邸に着いて、燦ちゃんと別れた。
また、会える気がする。

「こんばんは〜。土方さんの紹介で、来ましたぁ」

戸を開けて、奥に声をかけると。

「こんな夜半に、誰?」

あれっ!?
女の人!?
現れたのは、スゴく色っぽい“オトナ”の女の人。

「私、城里夏音と言います。浪士組の土方さんの小姓として雇われました」

これは、あらかじめ土方さんに覚えろと言われた。
女の人は、奥に向かって、

「旦那様、どういたしましょ?」

奥から、野太いオッサンの声が返ってきた。

「上がらせろ」

女の人は、微笑んだ。

「私は、お梅。さ、夏音。上がりなさい」

お梅さんは、スゴく丁寧な物腰だった。
私は、思い切ってお梅さんに聞いた。

「旦那様って・・・?」

お梅さんは、ころころ笑って。
それもまた、色っぽかった。

「浪士組筆頭局長、芹沢鴨よ」

芹沢さんかぁ〜。
いい人なのかな。
不安を抱きながら、奥に向かう。                                                    

645:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 15:24

「ほお、そっちが夏音か」

何、このオッサン・・・。
ガタイが良いって言うか、圧力的なのを感じる。
オッサンのそばには、目つきの鋭い人。
どことなく、燦ちゃんと似てる。

「俺が、芹沢だ」

オッサンが、名乗る。
オッサン─────否、芹沢さんがまじまじと私を見る。
変態か・・・?

「新見、部屋を当ててやれ」

新見と言われた人が、かしこまった。

「はっ」

こんなに芹沢さんが偉いのかな。
土方さんに聞いてたのは、京都の大店を脅して金を巻き上げてる悪人。
何のことはない。
ただの、酒好きな気のいい酒豪のオッサン。

「新見さん・・・でしたっけ?何で芹沢さんと仲が良いんですか?」

部屋に向かいながら、聞くと。
新見さんは、僅かに笑った。
燦ちゃんとめちゃくちゃ似てるじゃん!

「考えも似てるからだ」

素っ気ない言葉だったけど、心から信頼してるのがわかる。
よし!
あだ名を付けよっかな。

「新見さんの下の名前は?」

新見さんは、少し不審げな目で私を一瞥してから、

「錦だ」

ふうむ。
あだ名・・・。
決まり!

「しーちゃんね!よろしく!」

新見さん─────否、しーちゃんは照れたようにそっぽを向いた。

「私は、夏音で良いからね」

しーちゃんが、頷いて部屋の戸を開ける。
和室だ・・・。
当たり前か。

「風呂は、お梅さんと入れ」

ん!
わかった!

「近藤一派に、報告しなくて良いのか?」

近藤さん・・・?
って!
忘れてたぁ・・・。
土方さんに報告しないとダメだったぁ!

「行って来ます!」

私は、慌てて八木邸を出たのだった。                                                                                      

646:アーヤ◆PY:2017/11/18(土) 16:10

夏音と沖田さんが両想いになったのかこれからは切なくなりそうだね??

647:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 17:24

>>646
ありがとう!
うん、スゴく切なくなりそう・・・。゚(゚´ω`゚)゚。  

648:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 17:35

4,報告と悪評

「すいません!」

私は、土方さんの前で土下座をした。
しかし、土方さんの憤りはおさまらず。

「何故忘れんだ!!野良猫以下だな」

ガーーーン!
野良猫以下!?
普通にショック!!

「命令を忘れたら、切腹だ!わかったな!」

ひえぇぇ!
わかりませーん!
土方さん、嘆息する。

「おい、総司。咲を呼んでこい」

「わかりましたよ」

ええっ!?
いきなりの、恋敵と対面なの!?
うぬぬぅ。

「それより、芹沢さんの事だ」

不意に、土方さんがマジな顔になる。
芹沢さん・・・?

「どうだった」

どうだったって・・・。
ねぇ。

「普通の、酒豪で気のいいオッサンでしたけど・・・」

土方さんは、また嘆息した。
何を、あきれてるの?
私、何かした?

「お前、好かれたな。豪傑な奴として」

ひょえっ!?
芹沢さんに!?
豪傑な奴として・・・!?

「ってか、芹沢さんの悪評は何なんですか?」

ごくふつうに、聞いてみる。
土方さんが渋い顔で、

「・・・京都の大店を脅し、金を巻き上げた。でもって、その金で遊郭で豪遊」

うええっ!?
お金を取って、遊郭でめちゃくちゃ遊んだの!?
そりゃ、悪評だわ。

「だから、浪士組の悪評が広まったんだ!」

土方さんの目が、怒りでめらめら燃えてる。
芹沢さん・・・かぁ。
もしかして、しーちゃんもなのかな・・・。

「土方さん〜。咲を呼びましたよ」

咲さんと初対面だ!
ちょっと、怖い。
どれだけの美女なの!?     
                                                            

649:アーヤ◆PY:2017/11/18(土) 18:38

だんだん夏音も土方に逆らえなくなってきてない?

650:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 18:52

>>649
ありがとう!
うん、確かにね(^^;)
それは、副長だからかな(笑)
  

651:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 19:02

5,恋敵と初対面

沖田さんの後ろから、スススと入ってきたのは。
着物と袴姿のどうって事ない、普通の美少年。
美少年のまつげは長くて、それが目に影を落とし、どことなく色っぽい。
頬も赤らんでいて、パッと見、照れてるみたい。
この人が、咲さん・・・。
土方さんが、えらそうに、

「ほら、見て見ろ。咲の方が、男装上手いし命令もきくじゃねえか」

ふぬぬっ!
えらそうに!
土方さんが意地悪く、

「咲。お前と同じ、女だ」

途端に、咲さんの赤らんでいた頬が、さらに赤らむ。
えっ・・・と?

「嬉しい・・・。俺だけが女かと思ってたから」

“俺”!?
一人称が“俺”!?
でも、声はスゴく澄んでいて、綺麗で。
咲さんは、私の手を握って。

「よろしく、夏音!」

そして、耳元で。

「恋敵としても」

ええっ!?
もう、知られてるの・・・?
どうしてと言う顔をしてたからだろう、咲さんが微笑む。

「総司から聞いた。たとえ、共に想っていても、負けないからな」

ふええっ!?
沖田さんのバカ!
知らさなくても〜!!                                              
                 

652:アーヤ◆PY:2017/11/18(土) 20:33

恋敵強しだね1人称俺っていうのもいいね

653:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 21:09

>>652
ありがとう!
咲さん、かなり強いよ(笑)
男っぽくて良いよね(*^^*)   

654:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/18(土) 21:23

6,認められない!?

「だっ・・・そんなんじゃ・・・」

照れてしまって、大声を出してしまう。
咲さんは、にっこり。

「そんなんって・・・?俺、わかんないよ」

あぁぁ、S!!
咲さん、Sだあぁ!
私は、こっそりと言った。

「沖田さん・・・との両想い・・・って事!!」

咲さんは、わざとらしく大声で、

「総司と恋仲!?」

ひいぃっ!
咲さん・・・!!
何を言っちゃってるんですかぁっっ・・・!!土方さんが眉間に皺を寄せる。
怖い!
ところが。

「咲っっ!!それは、本当か!?」

ほへ、近藤さん!?
なぜに・・・。
咲さんは、飄々とうなずく。

「夏音!総司は止めとけ!」

ええっ!?
認められない!?
何でよ!
近藤さんは、土方さんの背中をぐいぐい押す。

「歳の方が、良いぜ!これでも、何人も女を落としてるからな」

いやいや、そんなキラキラと言わないで・・・。
しかも、なぜに土方さん?

「はやく妻をもって、局長を安心させろ」

あぁ!
親心ね。
咲さんも、にっこりと耳元で囁く。

「恋敵が減るな」

腹黒い!!
そんな簡単に、諦めれないし!

「俺の養子にして、歳の嫁に出してやる!」

ええっ!?
近藤さん、いい加減に諦めてください。
沖田さんはにこにこ。
でも、目が笑ってないような・・・。
咲さんが、助け舟を出す。

「風呂、入ってこよう」

私は、藁にもすがる思いで、うなずいた。                                                                         

655:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 12:29

7,お風呂でガールズトーク

私と咲さんは、着物を脱いでお風呂へ。
体を洗っていると。

「夏音さぁ。総司のどこが、好き?」

ほへー?
どこって・・・。
考えて、

「優しいところです」

無難な答えを口にした。
咲さんは、柔らかく微笑んだ。
美少女の微笑みって、スゴいんだよ。
同性でも、うっとりしちゃう。

「やっぱり?・・・私も、そこかな」

「えっ・・・。一人称、本当は“私”なんですか?」

咲さんは、ころころ笑った。
それは、花が咲き誇ったような感じで。

「ん。局長とかの幹部以外の前では、“俺”。一応、男になってるから」

へええ!
スゴいなぁ・・・。

「私も、“俺”にしたほうが良いですかね?」

咲さんは、にっこり。

「そっちが良いかもね。ここの野郎たちは、女に飢えててよく遊郭に行くから」

飢えてるの!?
それは、なんかドンマイ。
あっ。
咲さんに聞きたい事がある。

「菊乃さんの事、知ってましたか?」

沖田さんの元恋人の。
綺麗な印象を受けたっけ。

「・・・風の噂程度に、聞いてた。見たことは、なかったけど」

風の噂になってたんだ!?
発信元はたぶん、永倉さんあたりでしょ。
咲さんが、聞く。

「私に、勝てる?」

えっ・・・?
私は、風呂に浸かる咲さんを追って、入った。

「・・・自信、ないです。正直」

私は、顔をうつむかせた。                
            
                                                  

656:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 13:17

咲さんはSの腹黒なのに,やっぱり1人称は私を使っているのは良いけど近藤さんは少し親心が有ってビックリだね😅

657:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 13:21

咲さんはSの腹黒なのに,やっぱり1人称は私を使っているのは良いけど近藤さんは少し親心が有ってビックリだね😅

658:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 14:33

>>656
>>657
ありがとう!
咲さん、Sなんだよね。
意外に(笑)
土方さんが心配で心配で・・・(笑)   
  

659:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 14:39

「ふうん」

咲さんが、私の顔をのぞき込む。

「じゃ、私が奪うからね」

ええっ!?
それも何か・・・。
やきもきするよ。
でも、咲さんはにっこり。

「恋敵としても、隊士としてもよろしくね」

咲さん・・・!!
嬉しい。

「風呂は、一緒にこの時間帯に入ろう。他は、隊士たちが使う。女と知られても、困るだろう」

確かに。
私は、咲さんと仲良くなれた気がして、あったかい気持ちになった。
お風呂でのガールズトークは、その後もかなり続いた。

「お前ら、はやく上がれ!入るぞ!」

と言う、土方さんの脅しが聞こえるまで。                                     

660:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 16:00

8,色気のなさ

ふうう。
暖かかったなぁ。
暖まったし、微妙に頬が熱いのがわかる。

「なんか、熱いね」

咲さんの頬も、赤い。
でも、咲さんの赤い顔が、さらに色気を増してるんだけどっ!?

「よぉ、咲」

原田さんが、咲さんに声をかけて、私と一瞥する。
何?!

「夏音と比べたら、咲の方が色気あるな」

むぅ!
どーせ私には、色気がありませんよっ!
永倉さんも来て、

「色気のなさは、天下一品だな」

と、貶す。
ふんっ!
知らないっっ!
原田さんが鼻の下を伸ばして、

「お梅さんの色気、すごいよな。ぱっつぁん」

永倉さんも、うなずく。

「大人な感じだよな。艶っぽくて」

お梅さんの事、そんな目で見てたの!?
芹沢さんに、怒られますよ?                                     

661:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 17:28

9,お酒の力

「うめぇ!」

あれ、斎藤さんかな?
酔ったような声だけど・・・。
永倉さんと原田さんの目が、ピカーン。

「酒!」

はやいな、スゴい素早い。
咲さんとついて行けば、酔っている近藤さんと土方さん、沖田さんに斎藤さん、源さんが。
顔が、赤いね。

「酒臭い・・・」

咲さんの言うとおり、スゴイ酒臭い。
ツーンと鼻について、嫌な臭い。
いつだったっけ・・・・。
あっ。
信長さんや茶々ちゃんと会ったときだ。
あのときも、酒宴で・・・。

「お酌しろ〜・・・」

斎藤さんが、ベロベロに酔ってる。
稀だな。
銚子を持って、斎藤さんのところへ。
うっ・・・。
酒臭い・・・・。

「夏音〜」

はいはい。 
スゴイ酔ってんなぁ〜。

「夏音〜」

はいはい・・・って!
土方さんじゃない。
小童呼び、なくなって良かった。

「夏音さん・・・」

はいはい。
次は、沖田さんですかね。
半分疲れながら、向かう。
咲さんがお酌したほうが、 良いんじゃないの?
卑屈に思ってしまう。                                      

662:アーヤ◆PY:2017/11/19(日) 20:29

久々の斎藤さんに、久々の土方さんの夏音呼びきた〜

あとS差では土方さんと咲さんの二人だったらどっちがドがつくSですかね教えて下さい

663:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 21:15

>>662
ありがとう!
確かに、斎藤さん久しぶりだね(*^^*)
うーん。
土方さんがドSかも(笑)
咲は、腹黒いかな(笑) 
    

664:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/19(日) 21:23

「咲に何か言われました?」

ひょえっ!
沖田さん、鋭いよっっ!
うーぬ。
これは、何か言われたって言った方が、得策かな?
でもなぁ・・・。
不安にさせたくないし、さして嫌なことじゃないし。

「何にもありませんよ」

沖田さんは、ちょっと私の顔を覗き込んでから、安心したように微笑んだ。

「良かった」

きゅん!
胸が高鳴る。

「八木邸で、新見さんとかに何かされてませんか?」

しーちゃんの事か。
えっと・・・。
うん、何にもない。

「大丈夫で〜す」

沖田さんが、私の髪に触れた。
仕草とか、全部にうるさいほど反応する私の心臓。

「悪い虫なんか、付けませんから」

お酒の力なのかな・・・?
スッゴい沖田さんが、ピュアな気が。
率直に心配されて、嬉しい。                                         

665:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/20(月) 19:00

10,恋する乙女のトーク

八木邸に戻ると。
お梅さんが、ぴったりくっついてきた。
何?

「あっちで、旦那様の噂、何か言われた?」

お梅さんは知ってるの・・・?
芹沢さんの悪評を・・・。

「いいえ」

答えると、お梅さんの顔が柔らかくなった。
安心したみたい。

「旦那様の悪評はなくて、良かったわ」

ズキッ。
嘘、言っちゃった・・・。
お梅さんが、私に向かってにこにこ。

「夏音は、誰が好きなの?」

ひえぇぇ!
突然!?
此処で!?

「夏音の部屋でしましょ」

そこは、良かった。
廊下でしーちゃんとすれ違った。
しーちゃんの目が、わずかに見開かれる。
お梅さんが隣にいるからだろう。                              

666:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/20(月) 21:11

「で、好きな人は?」

部屋に入るなり、お梅さんが聞く。
あのぅ・・・。
お梅さんの目が、めっちゃ輝いてるんですけど・・・。

「藤堂さん?可愛い人が好きなの?」

ちがーうっ!
確かに、可愛い人は嫌いじゃないけどさ・・・。

「あっ。咲?色気あるわよね」

咲さんでもない!
私が、男だったら惚れてたかもだけど。

「思い切って、土方さん?」

絶対ない!
あり得ません!
ってか、お梅さんかなりいい線言ってるけどなぁ・・・。

「あっ、沖田さんね」

そうですよっ!
お梅さんが納得したように、

「確かにね。優しいから、惚れるのね」

ん!
優しさが一番。
ドSは論外!!
でも、お梅さんは意味深な笑顔を浮かべていて。

「あの人、意外と意地悪かもよ?」

ええっ!?
・・・んーん。
でも、隠れSなら。
むしろ、魅力的かもなぁ・・・。

「思い切り、惚れてるのね・・・」

お梅さんが、クスリと微笑む。
綺麗だなぁ・・・。
こりゃああの変態コンビが噂するのも、わかる。
恋する乙女のトークは、深夜まで続いた。                    
                            

667:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/21(火) 18:26

11,かんざし

ふわわぁ〜。
眠い〜。
だって昨日、深夜まで恋する乙女のトークは続いたんだよ。
あくびをかみ殺しながら、居間に行くと。
あれっ?
何で隊士の人たちが・・・?

「夏音!はやく飯を!」

斎藤さん!?
何で私が、ご飯を・・・。
でも、隊士の人たちはマジメな顔で、

「城里。お願いだ!」

と、頼むもんだから。
仕方なく、台所に。
何で、私なんだろ?
私の心を知ってか、藤堂さんが言う。

「咲の料理は、腹痛がよく起こるからな」

ええっ!?
咲さんの手料理、そんなにヤバいの!?

「はーい。できましたよ、朝ご飯」

隊士の人たちが、早速食べ始める。
そんなに我慢してたの・・・?
しーちゃんが、目を丸くする。

「・・・夏音、すごいな」

へへっ。
そうですかぁ?

ガタッ

「城里。此処に、隊士たちが・・・居たな!」

咲さん!?
咲さんが、にっこり微笑む。
でも、心なしか黒い笑顔。

「俺が用意した物を、食べろよな・・・?」

「ひいぃっ!」

隊士たちが、悲鳴を上げる。
逃げ回っても、無駄。
咲さんが刀を抜く。

キラッ

白刃が閃く。
隊士たちが避けるけど、咲さんは追いかける。

「総司は食べたのに、お前らは食べねえのかよ!?」

ええっ!?
沖田さん、食べたの!?
姿を見せないって事は・・・。
咲さんがキョトンと、首を傾げながら、

「なぜか、厠に飛び込んだけど」

・・・ご愁傷様です・・・。
土方さん、近藤さん、変態コンビもかな・・・。                         
                                                            

668:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/21(火) 19:47

修羅場(?)な、朝ご飯も終わり。
なんかヒマ。
前川邸にいる、誰かに遊んでもらおっかな。

「・・・で?何で俺だっっ!」

土方さんが、吠える。
まあまあ。
そんなに、怒らなくても。

「ヒマですもん〜」

だだをこねてみる。
本当にヒマだし〜。

「団子でも買ってこい!」

えーっ。
お団子ぉ!?

「何なら、咲と行ってこい」

咲さんなら、沖田さんと出かけた。
かんざしを買って貰うとか。
うぬぬ。
妬ける!!
何時、そんな関係になったの!?

「わかりましたよ!しーちゃんと、行ってきます!」

叩きつけるように、言ったら。
土方さんが驚いたように、私を仰ぐ。
まっ。
良いや。

「しーちゃん。お団子買いにいこっ!」

「おっ、おいっ!」

戸惑うしーちゃんの腕を組んで、私は外に飛び出した。                                        

669:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 17:53

12,デート阻止作戦

ふんっ!
私は、内心憤る。
咲さんめっ!
油断も隙もない。
不安なのは、咲さんが美形で、沖田さんとお似合いだからで。

「で?どこの団子屋に・・・?」

しーちゃんに突っ込まれて、私は、ハタと気づく。
そう言えば。
んんっ、団子と関係ないけど、京都だし私は、行きたいところがある。

「清水寺に行きたいな・・・」

「じゃ、行くか」

しーちゃん!?
あっさりと承諾され、驚く。
まっ。
良いか、気晴らしにでも・・・。

「清水寺に行きたい」

おっ。
私と同じ考えの人、いるんだ。
少し嬉しい。

「そうしましょう」

ぬっ!?
聞いたことがあるような声が・・・。
気のせいかな。                                  

670: アーヤ◆TQ:2017/11/22(水) 19:07

咲さんの手料理ってどれ程……なんだ?
デート気になるね

671:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 19:35

>>670
ありがとう!
咲さんの手料理・・・ある意味必殺技(?)になりそうかも(笑)
剣じゃなくて料理で敵を倒す・・・みたいな?
デートで夏音はどう暴走するかな〜(他人事かよ)      
        

672:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/22(水) 19:50

「わあぁ!綺麗〜」

思わず、叫んだ。
周りの人たちが、何事かとこっちを見る。
やっちゃった。
てへっ。
しっかし・・・。
あそこの恋人(かな?)がスゴイ気になる。

「非番は少ないからな。来れて良かった」

「明日から、また隊務がありますし」

隊務・・・?
聞いたことが、あるな・・・。
女の人の方も、聞いたことがある・・・。
うっすらお化粧していて、頬を赤らめている綺麗な・・・。

「あーーっ!・・・モガガ!」

叫びかけた私の口を、しーちゃんが手で塞ぐ。
また周りの人が、怪訝そうに見る。

「しーちゃん。あれ、沖田さんと咲さんだよっ・・・!」

しーちゃんが、私の指した方を見て、うなずく。

「間違いないな」

ひえぇぇ!
こんな所で一番見たくないヤツ!
ちゃっかりと言うか、咲さんの武家の娘風に結った髪に、かんざしが。
絶対あれは・・・。

「あいつら、恋人らしい感じだな」

しーちゃん・・・。
トドメの一言を言わないでえぇ。
ぬうぅ。
咲さんのデート阻止してやる!
グッと力を込めて、欄干をつかむ。
手汗(?)なのか、手が少し滑った。

「ひゃあぁ・・・!!」

怖いよ!
落ちたら、ひとたまりもない。
しーちゃんの着物の袖がはためき、私の手を引き寄せる。
ふうう。
助かったぁ!

「ありがとう、しーちゃん!」

ぶわっと、しーちゃんの顔が赤くなった。
よぅし!
デート阻止作戦、実行だ!                    
                                                                 

673: アーヤ◆TQ:2017/11/22(水) 22:12

デート阻止ってやり過ぎだけど土方さんとデートする夏音も見てみたい

674:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 08:29

>>673
ありがとう!
いいね(笑)
そのときの夏音、どうなるかな?(笑)   

675:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 08:43

13,禁句

屯所に戻ったときは、くたくた。
精神的に・・・ね。
デート阻止するために、わざと咲さんにぶつかったりしたんだけど・・・。

『お前が見苦しくなるから、止めろ』

と、しーちゃんに止められた。
確かにね・・・。
私が、ヤキモチで見苦しくなる気がするし・・・。

「歳から聞いた!団子は!?」

近藤さん・・・。
ああ!
団子買い忘れた!!
まあ、団子屋には行ったんだけど・・・。

『やけ食いしてやる!』

って言って、やけ食いしてきちゃった。
結果、団子五本は食べた。
近藤さん、がっくし。
何か・・・・すみません。

「お前、やけ食いしただろ?」

ひゃあぁ!!
土方さん!?
わいて出てきた!!

「人を虫みたいに言うな!」

ひえぇぇ!
わかったから、鬼みたいな顔をしないでよぅ。

「って。何でやけ食いしたことを・・・?」

聞くと、土方さんはサラリと、

「口に団子のかすが、付いてる。その様子じゃ
五本食べたな」

ドキドキイッ!
当たってる・・・。
そこまでは言って良かったけど、土方さんは要らない一言を。

「太るぞ」

ひどい!
と言うか・・・。

「女に向かって、『太る』は、禁句です!ひどい!」

反論すれば。
土方さんは、唇の端を歪めて笑う。

「お前は、女のうちに入らん」

むっかあ!
失礼な。
そりゃ、自分でも女みたいとは言えないけど。
そんなにはっきり言わないでよ!

「そう言や、総司は?」

沖田さん・・・。
急にしょぼくれた私を見て、土方さんは大方察したらしい。                                                                           

676:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 10:49

14,思い遣り

「端から見れば、衆道だな」

「衆道?」

何それ?

「男同士の恋愛だ」

要は、ホモなのね!
ホモ要素はないけど、咲さんが女だと知らなかったら、そう見えるよね。

「・・・まあ。お似合いですよね・・・」

私なんかより。
卑屈だな。
私。
見苦しくなっちゃうよ・・・。
土方さんが、真顔で、

「じゃ、今度俺と出かけるか?」

わぁ!
嬉しい。
思い遣りだと思うけど、なんかキュンとなる。何やかんや気遣ってくれるし。
さりげない優しさが、沁みる・・・。

「はい!お団子、おごってください!」

「お前な・・・」

呆れたようだけど、なんだか嬉しそうに見える。

「帰ったよ〜」

咲さん。
沖田さんと手を組んでいる。
ふんっ!
知らん顔で私は、土方さんに笑いかけた。

「お団子だけじゃなくて、お饅頭も食べに行きましょうよ〜」

世の中、甘いものは別。
土方さんの財布が軽くなろうが気にならない。
おごられるからね。
私は、唖然とした顔の咲さんと沖田さんを放って、前川邸を出た。                                             

677: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 11:27

夏音と土方さんのデートどうなるのか気になるよ!
でもって、やっぱり土方さんが奢るんだねまあ男だから当たり前……かな?

678:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 14:32

>>677
ありがとう!
確かに、いろんなアクシデント(?)がありそうだし。
おごるのは当然だね(笑)     

679:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 14:45

15,妬かせるのも恋のテクニック?

八木邸に帰ると。

「旦那様ったら〜・・・」

お梅さんと芹沢さんの笑い声。
仲良いなぁ〜・・・。
今の、咲さんと沖田さんみたいで。

「夏音。お帰りなさい」

「お梅さん、ただいま」

にっこり微笑むお梅さん。
オトナの女の人は、私と違うなぁ・・・。
余裕があるって感じで。

「どうしたの?何か、あったの」

お梅さんが、覗き込む。
私、どんよりした顔だったかな?

「ええっと・・・。今日、沖田さんと咲さんが二人だけで出かけてて。妬いたって言うか・・・。ヘンな気持ちになったんです」

答えると、お梅さんがまた微笑む。
オトナだからか、何でも相談できるな・・・。

「・・・それは、ヤキモチね。恋をすれば避けては通れぬ道よ」

へっ?
そうなの・・・?

「それより、夏音。沖田さんを妬かせましょう!」

ほへー?
沖田さんを妬かせる・・・??
お梅さんがにっこり笑う。

「夏音ばっかり妬くより、あっちに妬かせないと。押してだめなら、引いてみるのよ」

ふうん。
それも、恋のテクニックなの?

「何か、今度予定ある?」

予定ねぇ〜・・・。
あるっちゃあるね。

「土方さんと出かける事、ぐらいです」

お梅さんの目が、キラーンと光った。

「思い切りイチャイチャしなさいよ。間違いなく、妬かせる事ができるわ」

へっ?
そんな事で?
まあ・・・お梅さんが言うんだったら、そうなんだろうけど・・・。                             
                                               

680: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 15:04

梅さんが言っている押して駄目なら引くをやるんだったら、夏音と土方さんの二人がイチャイチャするのであれば…逆に土方さんの甘い言葉が欲しいって思うよ🎵

夏音の思惑を通り越して先行きが見えない、逆に夏音が土方さんのエスコートに胸キュンして欲しいって思うよ❤
小説は更新しましたので👼

681:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 16:11

>>680
ありがとう!
ツンデレ・・・最近、ツンツンばっかりだったからね(笑)
ここでデレが出るかな?(笑)
胸キュン絶対出すよ!(*^▽^*)
読んでるよ〜!
スゴイ楽しみ!       

682:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 16:24

16,ドキドキのデート?

翌日

ふわわぁ。
眠いけど〜・・・。
今日は、土方さんとデート(?)だったっけ。
時間遅れたら、後々うるさそうだし。

「私が、髪を結うわ」

お梅さん。
おはようです〜・・・。
お梅さんの腕は、確かだった。
綺麗な武家娘風に、結われていて。

「夏音、似合うわ!後は、土方さんからかんざしをさしてもらうだけよ!」

ええっ!?
かんざしを・・・!?
うーん。
失礼ながら、私にかんざしをあげる、土方さんの姿が思い浮かばない。

「お梅さん。私に、甘い言葉を囁く土方さん、思い浮かびます?」

「ううん・・・」

だよね。
そんなの、ヘンなキノコを食べたら起こりうるかもだけど・・・。

「さっ。この着物を着て」

お梅さんが、綺麗な着物を私に着せる。
わぁ・・・。

「行ってらっしゃい!沖田さんには、私から言っておくわ」

お梅さんの笑顔に見送られ、私は八木邸を出発。
前川邸へ。

「土方さん〜。団子とお饅頭、食べに行きましょう!」

声をかけたら、うるさそうに土方さん登場。
目の下に隈があるような・・・。

「行くか」

まあ良いや。
お団子とお饅頭、食べにlet's go!                                                                 

683: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 16:53

絶対に絶〜対に夏音とのデートが楽しみで眠れなかったパターンだよねきっと!
何かシチェーション無いかなぁ、土方さんの時に絶対お約束の邪魔者が来るから今回は、来ないで終始良い雰囲気にデートを楽しんで欲しいからkY来ないでね

684:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 17:44

>>683
ありがとう!
恐らく、狂喜乱舞してた(笑)
もはやお約束に定着した、永倉さんor原田さん(笑)
KYは、出ないよ(*^^*)       

685:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 18:07

17,新撰組のそばに居させて

はぁ・・・。
私は、恋文をもらってる土方さんを一瞥。
こんな時なのに、モテるんだ・・・。
呆れかえってしまう。

「お団子、食べに行きますよ!」

半強制的に、土方さんの腕を引っ張る。
デート(?)なのに、京美人をはべらせるなんて!
憤慨しながら、団子を食べる。

「おいしい!」

甘くて、それでいて食感も良いし。
この世に、こんなおいしいモノがあるなんて!

「あと、六本はいける!」

宣言したら、土方さんがため息。
はて?

「饅頭は・・・?」

あぁっ!
お饅頭があったんだ!
うーん。
まだまだ食べたいけど。

「”太る”から我慢します」

ちょっと皮肉る。
おっ。
土方さんの頬が、ひきつった。
そっちが言ったんだからね!
・・・とまあ。
お団子も食べたら、満腹。

「散歩してくか?」

「はい!」

なんかさぁ・・・。
今まで、永倉さんとかがいたから、イイ雰囲気になれなかったけど。
本当、今はイイ雰囲気。
再びの清水寺。
欄干に掴まりながら、京都の街を見下ろす。
─────この街で、人が斬られているのか。なんだか悲しくて。

「・・・新撰組は、この街をどうしたいですか・・・?」

質問になってるか、怪しいけど。

─────そのときの土方さんの顔は、ずうっと忘れられない。

真面目な顔だけれど、気負ってる感じでもない瞳で。
此処ではない、何処かを見ていて。

「守り抜く。・・・お前も、だけど」

えっ・・・。
さりげなく、スゴイ事を言われたような。
私が今、願うのは・・・。

「私は、新撰組のそばに居させてほしいです」

現代に今は、帰りたくなくて。
涼しい風が、私の頬を撫でた。
この先の新撰組を思うと、胸が切なくなる。
でも。
私は、そばに居させてもらいたい。
たとえどんな別れがあっても。


しかし。
その別れは、もう近くまで来ていた。                                                                                                                  

686: アーヤ◆TQ:2017/11/23(木) 20:38

キャー土方さんが初めての凄い台詞を言い放ったんだけど…、夏音を守るも付け加えたけど本人も「えっ👀⁉」になったけど……
やっぱり夏音の人生観が始めから今では、成長しているけれど夏音にとってはもうかけがえのない人になっていつでも傍に居たい願いってことよく伝わるよ!

もう終盤ってことになるのかな、別れってことは?
切ないけど夏音と新撰組達はどうなるの夏音と土方さんの平和にして守るが戦争に思えるよ………

687:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 21:14

>>686
ありがとう!
ものすごい発言したよね(天然ぽい(笑)
最初は、最悪だったけど今は、大切な人かな。

まだ終わらないよ〜(*^^*)
一応、戊辰戦争まで書こうかと(マニアなヤツ)

この別れは、夏音と仲良くしてる人たちで・・・。
   
最後のストーリーは、どうなるかな(無責任な)      
          

688:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/23(木) 21:25

18,永遠の友達

ふふん〜。
楽しかったな〜・・・。
ルンルン気分で、土方さんと手を組んで帰ると。

「副長・・・っ!?」

ありゃ。
藤堂さんが、目をむいた。
まあ、端から見ればおかしいよね。

「総司〜、副長がついに、夏音に手をっ・・・あれ。どこ行った?」

藤堂さん・・・。
素直で可愛いけどさ。
沖田さんどこ行ったの?
でも、土方さんの顔がサッと強張った。

「藤堂!行くぞ。夏音、屯所で待ってろ」

ええっ!?
何が、あったの・・・!?

「はーい」

なんて答えたけど、ソッと後をつける。
気付かれないように。
そして・・・。
私は、見てしまった。
しーちゃんが、綺麗な人と、歩いていて。
隊士が、声をかけ。
スッとしーちゃんは、目線をあげた。
私、見つかった・・・?
しーちゃんの顔が、あどけなく崩れ。
そのまま、隊士の人たちと、何処かへと歩いていく。
追いたかった。
でも────────────。
足が、縫いつけられたように動かない。

「しーちゃん・・・」

あの瞳は、何だったの・・・?
覚悟の色が見えたけど。
嫌な予感を感じながら、屯所に戻った。


それが、私の見た、しーちゃんの最後の姿だった・・・。                                                       

689: アーヤ◆TQ:2017/11/24(金) 16:56

しーちゃんどうしたの?

あと一番気になることがあります、>>1プロローグの「私達は出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ!」は誰が言うのか今からドキドキワクワクします。
沖田さんか土方さん辺りって思っていますけど発言的には土方さんが言うのかなぁ……なんて?

690:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/24(金) 17:25

>>689
ありがとう!
実は、しーちゃんは・・・。
プロローグの真相は、もう少し後かな(後回しすんな)
さて、どっちの発言でしょ?(笑)
今日、予定があってこのあと更新できないかもです(´-ω-`)              

691: アーヤ◆TQ:2017/11/24(金) 17:25

分かりました明日楽しみにしてます!

692:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:14

>>691
ありがとう!
やっと落ち着いて更新できます(*^^*)
  

693:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:28

「・・・なぁ。夏音。ちょっと、来てくれない?」

藤堂さんから呼び出された。
何・・・?
告白?
だったら、断るけど。
ちょっとウキウキしながら、藤堂さんの近くに行くと。

「来て」

それだけ言われて、手を握られた。
あれ?
このシチュエーションは・・・!?
若干のドキドキ感を隠せなかった。
屯所の裏。

「・・・実は。よぉく落ち着いて、聞いてくれ」

えっ・・・?
重苦しい雰囲気。
必死に絞り出そうと言葉を選んでる、藤堂さんの顔を見ていたら。
嫌な予感・・・。

「夏音の言うところの・・・しーちゃん・・・新見さんが、切腹した」

しーちゃん、が、切腹、した・・・。
頭の中が、真っ白になった。
クラリと軽いめまいを感じる。
嘘だ・・・・・・!
でも、藤堂さんの表情が、全てを物語っていた。
嘘じゃなくて・・・。

「ば、かぁぁ・・・・。しーちゃんの・・・」

そこから先は、言葉にならなかった。
あのときの。
あどけなく、澄んだ瞳が意味するのは。

『自分の死』。

嗚咽した。
こみ上げてくる涙を止められなかった。
なんで・・・。
切腹したの・・・!?

「おーい。平助、夏音を泣かせたな〜」

気楽な永倉さんの声。
聞きたくなかった。
藤堂さんは、それを無視して、私に紙を渡す。

「それは、新見さんから預かった文だ。夏音に渡せって」

しーちゃん・・・。
私は、ソッと礼をした。
ホッとした顔の藤堂さんを見てから、私は屯所に戻る。
パサッと広げた紙には、読めない字が。
お梅さんに読んでもらおう。
涙を拭って、空を見上げると。
綺麗な青空が広がっていた。                                                
                          
                  

694:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 21:16

お梅さんに読んでもらうと。
内容は、

『もうそばには居られない。少しだけだが、夏音と居られて良かった。俺が行った事は許されない。だが。俺は、夏音とずっと友達でありたかった。
俺は、お前が』

そこで手紙は終わっていた。
そこから後は、何を書きたかったのか。
大方わかっていた。

「旦那様も、大荒れだわ・・・」

お梅さんが、悲しそうにつぶやいた。
芹沢さんが、しーちゃんを失って悲しんでいる。
それは、わかっていた。
酒のなくなりがはやいから。

カラン

えっ・・・?
手紙から、何かが落ちた。
それは・・・。

「まあ。綺麗な真珠のかんざしじゃない」

お梅さんが、驚いたように拾う。
確かにそれは、薄桃色で、綺麗な真珠のついたかんざしだった。

「これって・・・。しーちゃんが・・・」

私に、遺してくれたのだろうか。
また涙が、こみ上げてきた。

「夏音に、似合うわ」

お梅さんの言葉で、私は、そうっとかんざしを受け取った。
光を反射し、真珠は一層美しく見えた。

『さしてあげたかった』

そんな、しーちゃんの言葉まで聞こえた気がして。
頭の中に浮かんだしーちゃんは、強く笑っていた。

「しーちゃん・・・」

何度泣いたのだろうか。
しゃくりあげる私の背を、お梅さんが撫でてくれた。                                                                    
            

695: アーヤ◆TQ:2017/11/25(土) 22:36

悲しい別れだったんだ……

696:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:27

>>695
ありがとう!
うん・・・。
切ないと言うか、悲しいんだよね。゚(゚´ω`゚)゚。  

697:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:35

「うっ・・・うっ・・・ひっく・・・」

お梅さんには、大丈夫と言って、八木邸を出たけど。
青空が悲しく見えた。
もう二度と、しーちゃんとは空を見ることができない・・・。

「・・・しーちゃん・・・うっ・・・」

ギュッと、かんざしと手紙を持った手に、力を込める。
私と、しーちゃんは永遠に友達なんだ、って。もう会えないだけ・・・。
泣くつもりはないのに、涙が溢れる。

「夏音さん・・・」

沖田さん・・・。
ごめんなさい、今は、誰とも話したくない。
沖田さんの目が、かんざしに視線を向けている。
ん・・・?

「誰からもらったんです?」

「そ、れは・・・」

言えない。
しーちゃんがくれた事。
ゾッとするほど、沖田さんの目は、暗く光っていた。                               
                

698:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:49

19,恐怖

「・・・なんで教えないんですか?」

えっと・・・。
これは、ヤキモチなのか・・・?
普段の沖田さんだったら。
私は、喜んでいたけど。
今は・・・。
何だか怖かった。

「・・・良いじゃないですか。・・・関係ないですし」

しーちゃんの想いを、教えたくないから。
私は、フイッと顔をそらす。

「関係ない・・・?」

ヤバい。
そう思ったのは、本能で。
逃げよう。
でも、もう遅かった。

「貸してください」

「ムリ・・・!!」

何となく、今の沖田さんに渡しちゃダメ。
そんな気がした。
ガッと音がして、壁と沖田さんの間に挟まれて。
いわゆる、壁ドン状態。
でも、ぜんぜん嬉しくない。

「やっ・・・!」

ドンッと、私は、沖田さんを突き飛ばした。                                   
 

699:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:28

怖かった。
やるせなさそうで、切なく、暗く冷たい瞳が・・・。
私は、必死で逃げた。

ドンッ

誰かにぶつかってしまった。

「夏音・・・?」

斎藤さん・・・!
私は、恐怖と悲しみを交えた涙を流す。

「どうし・・・た!?」

驚く斎藤さんをよそに、私は抱きついた。
今は、誰かの胸にすがりつきたかった。
落ち着きたくて。
この気持ちを、整えたくて。

「大丈夫・・・か?」

戸惑う斎藤さんの顔が、涙でぼやけて見える。
ポンポンと、温かい斎藤さんの手が私の頭を撫でた。
優しい・・・。
嬉しい・・・。

「ありがとうございます・・・」

見上げると、赤くなった斎藤さんの顔が。
ふふふ。
可愛いな・・・。
やっと、私は、笑えた。
しーちゃんが切腹したり、怖い沖田さんを見たりで泣いていたのに。

「で、なんで泣いてたんだ?」

心配そうな顔で、斎藤さんが聞く。
私は、しーちゃんの事から、沖田さんの事まで話す。

「そっか・・・。夏音、泣きたいときは、俺の胸を貸すぞ」

マジですか。
なんだか、笑いがこみ上げてくる。
素直に嬉しかった。
優しさが、沁みる。

「じゃ、今度もよろしくお願いしますね」

私は、涙を拭って笑った。                                                                    

700:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:35

20,部屋割り

その夜。
私は、土方さんに呼ばれた。

「失礼しま〜す」

一応、挨拶(?)をして部屋に入ると。
熱心に、文机に向かってる土方さんの後ろ姿が見えた。
はて?

「何、書いてるんですか?」

気になるなぁ。
もしやのラブレター??

「あぁ・・・って!いつ、入りやがった!?」

入りやがったって・・・。
挨拶したんですけどねぇ・・・。

「で、話って何です?」

用件によっちゃあ、すぐ帰りますけど。
土方さんが、真面目な顔で、

「お前は、八木邸じゃなく、こっちに泊まることになった」

ええっ!?
なんで、急に!?

「いや、芹沢さんがいつお前に乱暴するかで、心配だからだ」

ひぇ、乱暴!?
そんなのないハズだけどさぁ・・・。
部屋割りは?

「それを、今から考えるんだ」

なんだ、今か。                                      


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