思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。
↓
電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする
今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る
レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ
何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”
うまいね、いつかこううまく書けるようになりたいわ……
トイレの清掃員やめて詩人なったら?
吟遊詩人とか憧れるよ…
>>301
トルバドゥールか…悪くはないな
だが、私にとっては
“働かざる者食うべからず”だからねぇ
「河原石」
河原で子供達が
石を積んでます
只 積んでます
積んでいる所に
鬼が来て壊しました
子供達は泣いて
また石を積みます
一つ積んでは誰の為?
其れは父の為
二つ積んでは誰の為?
其れは母の為
三つ積んだら何処へ行く?
自分が天国へ
親より先に逝きました
石を積んで罪禊
例え子供だろうと
罪を犯せば罪亡者
今日も積みます
石を積みます
「地獄鳥頭姫」
目玉が一つありました
其れが沢山並んでます
烏が一つをついばみ食べました
鳥の頭をした姫がやって来て
目玉を食べました
無い無い顔の目玉
姫は次に歯を折って
すり鉢で粉にし
池の魚に撒きました
姫は粉を食む魚を見ては
呵ヶヶヶと笑ふ
無い無い顔の歯
姫は次に皮を剥いで
本の被せ物にしました
無い無い体の皮
姫は次に腸を出して
木に巻き付けました
ぐるぐる巻きの腸木を見ては
ぱちぱち手を叩きました
無い無い体の腸
次に姫は肉と骨を分け
二つの火にくべました
無いよ 無いのよ
肉と骨
「無情の歌」
私の詩に情なぞ無い
只 言葉が羅列ッているに過ぎない
私の詩は私自身にも計り難く
既に我が手を離れ幻像
奇略なんぞありゃんせん
私の脳内が私の字を手前勝手に
書く物だから
嗚呼 止まらん
止まりゃあせんのよ
我が言葉の羅列
皆も本当は思っているに違い無い
私の詩なぞ何も面白く無いと
言葉では上手だと云ってはくれるが…
あぁ 筆が折れそうだ
其れでも書かねば
我が詩を待つ者達へ
情無き詩を書かねば
今日も羅列ッてる我が言葉
「囲篭」
囲め囲んで遊びましょう
子供等よ 歌いましょう
明る気に 歌いましょう
たった一人を囲んでは
ぐるぐるぐるぐる
目瞑りしゃがんで
後ろの正面だーぁれ
鶴と亀が滑ったのですが
何故でしょう
判らないです
鳥は何時出るのでしょう
篭はもう開いている
夜明けの晩だって
鳥を囲む篭になりましょう
お手手を繋いで
鳥の自由を妨げましょう
無邪気に歌いましょう
悪気無く歌いましょう
ぐるぐるぐるぐる囲めかごめ
「救難信号(AN)」
es-o-es
こちらこちら無人島にて
遭難しております
たった一人の海旅を
楽しんでおりましたら
突然嵐に見舞われました
ぷかぷかと
流されていましたら
島に着いたのでございます
ぐるりと一周してみても
人はいませんでしたので
無人島だと判ったのです
a-a-a-
聞こえていますでしょうか
聞こえていますでしょうか
助けて下さい
助けて下さい
私は誰でしょうか
私は誰でしょうか
知っている方はいませんか?
誰か誰か答えてください
誰か誰か答えてください
応答して応答して
me-de-me-de-
朝と昼と夜の度に
私は一人
晴れの度にも
私はひとり
雨の度にも
私はヒトリ
元から壊れた無線機で
私は助けを求めてます
お話相手を求めてます
私はAN
私はAN
私はAN
「陽気な詩人」
ラ・ラ・ラと歌って
ル・ル・ルと書くのさ
何処ぞの陽気な詩人は
持ってる筆は指揮棒さ
詩を書く紙は舞台で
文字は所謂 演奏者
マラカス振って
ラッパを吹いて
シンバル鳴らして
御機嫌だろ?
彼奴の描く演奏は
私には無理だ真似出来ない
ル・ル・ルと書いたなら
次はフ・フ・フと歌うのさ彼奴はね
今日も彼奴は詩うのさ
フ・フ・フと書いて
ラ・ラ・ラと歌うのさ
「ボォルと子供」
日様の下 子がボォルで
遊んでいました
ポンと投げて
トンと落ちて転がるボォル
子供は追いかける
追いついて拾ったボォルを見ては
邪無き顔で笑う子供
今 此の 子供は
世の中の 満ちあふれる 汚れを 知らず
キャッキャッと遊ぶ
何時か 君は 知るだろう
私から 離れて 世の中を
そして 邪無きでは いられない
今の 内に 遊びなさい
沢山 笑いなさい
おまへと 私が 忘れぬ様に
私の足に ボォルが来た
手を振って 跳ねる子供
私は子供に ボォルを返した
「忌の沼」
忌まわしい…忌まわしいなぁ
あの日の出来事は…
思い出したくも無い
だが 思い出して仕舞うのよ
屈辱が体に刻まれ
精神は寸断寸断になった
消えぬ…消えぬのよ…!
我を呑みよ!忌よ!
決して癒えぬ
体と精神を!
今 暫くおまへは
光を見れない
だが 暫くしたら
おまへは光を見る…
嗚呼!忌しい!
私は未だ沼の中にいると云うに!
おまへが私に吐けた泥で出来た!
世はおまへを忘れるだろう…
だが決して私は!おまへを忘れぬ!
私が沼の中にいる限り!
「手引く死神」(全4章)
(1)
なんで泣いてるの?
誰かとはぐれたの?
下を向いてえんえん
ゆっとるばかりじゃ
お話きいてあげられないよ
はぐれたんなら探しましょ
手を繋いで一緒にね
誰かこの子を知りません?
はぐれたとゆうんで
探してるんです
何とはぐれたんかは
教えてくれない
だからとても困った
相変わらずえんえんゆって
泣いてるばかり
何を失くした?
何とはぐれた?
お母さんが帰って来ないの
銀色が赤色になっちゃったから
犬ちゃんが動かないの
白くて丸いの飲んじゃったから
(2)
なんで僕の手を引いてるの?
ずっと彼処で待っていたかった
僕は悪い子だから
だから私は連れていくんよ
君みたいな悪い子を
もう無理なんよ
お母さんは永遠に帰ってこん
影すらもあらしません
犬ちゃんならおるよ
ぢっと私を見乍
ぐるる…ぐるる…と唸っとる
君は如何?
失くしたもんは見つかった?
僕はね
黒点の入った白い球体と
赤い味噌と
片っぽだけじゃ駄目だから
靴が欲しいの
味噌と靴は無理だけど
球体なら私のをあげる
片っぽだけね
(3)
ありがとう
でも何で泣いてるの?
赤いね涙がね流れてるよ
これは何でもないから
気にしないでね
赤い味噌と靴は
如何したら良いの?
他の人から
貰えばいいんよ
少し駄々を捏ねて御覧
わかったよ
此処で少し待っててね
何処にも行っちゃ駄目だよ
皆 素直にくれたんだ
でもねありがとうって
云ってもね
お返事してくれなかったの…
なんでかなぁ?
ねぇ 犬ちゃんは
どこ行ったの?
(4)
彼方の方へ
いったんよ…
それより早く行こう
ほら手を繋いで
まだまだ歩くよ
月がニタァと笑う前に
電柱に人が昇って
奇声をあげる前に
二人で逝こうな
太陽が昇る前に
首なし馬が
暴れる前に
私と君
どっちも欠けたら
あかんよ
手引く死神 えんえん児
仲良くゆうこ 彼方へゆうこ
怖くない 恐ろしない
「らりらる緑飴」
てーら らった たったった
楽しく踊る子供達
上手に回ることが
出来たなら
緑の飴をあげましょう
緑の飴をあげたから
子供は らららら
歌うんだ
飴を一個もらう為
子供は一生懸命
ヤー ヤレホー
らり らり らりら
子供はいっぱい
踊ってる
ぜーぜーいっても
踊ってる
緑の飴を
あげました
それで子供達は
りる りる るり るりる
笑うんだ
そんで
目をひーらいて
ぴたり止まって
突然動かないんだ
子供達
作者より、
今、後悔している。最初に
『感想を下さい』と書くべきだった…
300突破してから気づいた事である。
私が詩を書こうと思ったきっかけは
「文スト」である。
史実とは違うと云うので、
其の文豪達を
意識朧気に調べていたら、
面白くて、特に「中原中也」の詩を
本屋で見た時に、
雷が私の体を穿ち
駆け巡った様な衝動で
「自分も書いてみよう」って思ったのが始まり。
「コクリ狐狗狸」
狐がコンと鳴きゃ
それにつられる狗と狸
はて 何して遊びましょ
あ から わ迄書かれた
一つの紙と
十円玉が一枚ありまして
人間の質問に答えましょ
鳥居の前で遊びましょ
狐はコ
狗はク
狸はリ
意中人の質問じゃ
愛人相手の名を
指してやろう
おもしろう おもしろう
ぎゃいぎゃい
あわてよんよ
帰れと云われとうとも
まだ帰りたくなぁ
まだまだぁ遊ぶ
人間等で遊ぶ
呼んだのはお前等じゃ
飽く迄遊ぶんじゃ
泣くな泣くな人間よ
「冷き温手」
初めて貴方の
手が触れたのは
私の頭でした
笑い乍
頭を撫でていたので
私の髪はくしゃくしゃに
それでも私は
貴方の撫でる手が大好きで
温かった
ずっとあると思ってた
私の為の貴方の手
けれどもういない
貴方は別の意中人へと
行ってしまった
私の事は遊戯だと
云って去った
振り払った貴方の手は
あの頃の温もりは無く
只一人の人間の体温だった
冷たいと
云うとでも思った?
生きているのだから
体温はあるのよ
貴方と直に触れ合い
交わった日も
心の中では
私を騙して
嘲笑っていたのね
貴方の手は今頃
別の意中人を撫でている
何でよ…何でなの…!
私でない別人を…!
其の手で撫でているのよ!
温もり込めた手で!
私は…貴方が…
貴方の手が…
矢っ張り帰って来てくれた
貴方は私の所へ…!
嬉しい…!
早く撫でてよ…
寂しかったんだから…!
冷たくなったけど
私は貴方を愛してる
だってこんなにも
私は貴方の手から
温もりをかんじてるんだもの
ずっと私だけの為にある
冷たい貴方と
温かい貴方の手…
貴方は悪い子です
貴方は愚図です
判りますか?
だから貴方には
味方はいないのです
貴方が悪い子なのですから
だから私が
貴方の味方になるのですよ
判りますか?
つまり貴方は
私しか頼る人が
いないのです
私以外の周りの人間は
全て貴方の敵なのです
家族ですらも貴方の敵です
私しか味方はいないのです
貴方が毎日誰かからの
手紙に悩まされているのを
私は知っています
嫌な事ばかりが
書いてあるのでしょう?
一人で抱え込んで無いで
私に云えば良いのに…
今 貴方が付き合ってる人も
必ず敵になって
貴方に酷い事をしますよ
裏切りますよ
傷付けますよ
捨てますよ
ですが私は貴方の味方ですから
心配はないのです
傷付いた体を私に抱き締めて貰い
心すらも委ねて
私の元にて泣きなさい
畳の床に散らばった花の札
黒い和服を着て這いつくばる遊女
早く片付けなきゃ
怖い姐様方に
お仕置きされちゃう
襖の隙間から目が覗いているの
ごめんなさい ごめんなさい 姐様方
今直ぐに片付けますから
どうか怒らないで
今日は布団を体に巻き付かれて
吊るされて棒でいっぱい叩かれた
私が鈍間だから悪いんです
叩かれても文句は云えません
お客様がやって来た
姐様方は嫌がってる
其れは皆全て
私のお客様
痛い事をする客は
私が相手する
姐様方の折檻に比べたら
客の与える痛みなんて
客と遊んだ部屋外からは
黄色い丸い月が
煌々としていて
赤い空と
ざわめく芒が
私を見て泣いていた
酒を呑む蟒は
私の脚に絡み付いて
私の足に噛み付いた
蟒の毒と酒の毒
回り回って私を蝕む
「ニバカの首喰」
首が一つありました
私が一人おりました
置いてある首の開いた口
生米一杯詰めました
口の中の米が出ぬ様に
糸で口を縫いました
逆に首を地面に置いて
切断された面を私
ぢっと見ています
私は何を思いましたか
肉を掘って骨を引き出し
野菜の葉を詰めました
肉と骨があった場所
緑黄葉で草の匂
首の目玉を刃物で刺し込み
ぐりゅんと抉って
ずるりと出しました
目玉があった場所
何か無いかと考えて
水槽の金魚達を
入れれば良いと
水槽を持ち上げて
叩き割り
ぴちぴち跳ねる
金魚等を拾ひ上げ
目玉の場所に
入れました
金魚等が
余りにも逃げるので
私は金魚達を
一匹一匹寸断に刻んで
死んだばかりの
新鮮な金魚等を
目玉の場所に詰めました
又溢れぬ様に
糸で目玉の場を
縫いました
私は首に油を塗り
ごろごろと網の上で
焼きました
焦がりと焼けた首は
誰のでしょう
もう判らない
まな板の上で縦になる首を
横にして包丁で輪切りに
してみたら
口の米がぽろぽろ
落ちたので炊いてから入れれば
良かったと後悔す
フォオクで刺して
食べてみる
もぐもぐとても
美味かった
「花頭さん」
花頭さんのお家には
娘が三人住んでいる
姿を見せない三人娘
長女の名前はアザミと云い
次女の名前は向日葵と云い
三女の名前は“”忘草と云ふ
大層美しい娘等と聞く
其れと同時に感情的故に
男が寄らんのだそうだ
三人娘に聞いてみた
若し男が出来たなら
如何するかと
障子越しに娘等は云った
アザミが云った
厳格でありたいと
向日葵が云った
見つめていたいと
“”忘草が云った
忘れ無ければいいと
では 男が浮気したら
如何したいか
長女は云った
復讐すると
次女は云った
飲まず食わずで
只ひたすら見つめ続ける
三女は云った
別れても良いから
ずっと私を忘れるな
おぉ 恐ろしい
花の名前に違わぬ
三人娘よ
「不幸を笑うケェキ屋」
召し上がれ
そしていっておいで
夢現の世界へ
僕の作ったケェキは
とってもとても
不思議なもんさ
一口食べれば悦びを
二口食べれば苦しんで
三口食べたなら
僕の作ったケェキ無しじゃ
生きてゆけないと
うれしいね
そんな事を
云ってくれるなんてさ
ねぇ 見てごらんよ
お客さんが待ちきれなくて
扉をドンドン叩いてるんだ
まいったね
おかげでこっちは
寝不足さ
開店にはまだ早いのに
しようの無い人達だ
いらっしゃいませ お客様
さぁ 何のケェキを
作りましょう?
初めてのショオトケェキ?
略奪のチョコケェキ?
溺れる苺のケェキ?
食べれば望みが
手に入る そんな僕の
不思議なケェキ
お代はお金じゃ
ないんだよ
じゃあ何かと
聞かれたら
僕は見たいんだ
望みを手に入れた末路をさ
自分の努力で手に入れず
他人を使って得た望みを
成功は嫌い
退屈しか生まないから
失敗は大好きさ
僕に悦びを与えてくれる
良く云うだろう?
他人の不幸は蜜の味って…
「或る者へ 私より(禍縛の詩)」
私は或る者に
悲しみを背負わされた
心に抱えねばならぬ一生の傷を
忘れようとはした
だが心の傷は
許しをしようとしない
だから私は決めたのです
この詩を傷を付けた者へ
送る事に
私は言葉に罪を使う
或る者が己が罪と見詰める様に
私は言葉に斬を使う
或る者が斬り刻まれる様に
私は言葉に血を使う
或る者が染まる様に
私は言葉に虫を使う
或る者がたかられる様に
私は言葉に水を使う
或る者が溺れる様に
そして私は今の世を憎む
其の者が犯した罪を
他の者へ罰を
委ね無ければならない
現世の法を道徳を
或る者へ
私が社会と云う名の
秩序に縛られていて
良かったな
だが私が幽世の者となり
秩序から解放された時
私はお前に禍を
必ず持ってくる
命乞いなど
玉響の内に掻き消して
苦しみの果てに
尽きれば良い
お前にはもう
日の光を二度と浴びさせない
「児取箱」
何故だ?何故だ?
何も悪い事をしておらぬのに
我等が差別されねばならん
我等を 貴様等が害する権が
何処ぞにある?
何処にもあらぬ癖に
我等を人とも見ぬ貴様等…
我等を狩の鳥の様に撃ち落とし
傷腹を抱える姿を冷たき目で見
髪を掴んで引き摺り川に入れ
針を口にかけ魚の様に動かし
川から出しては
苦しみ地を這いずる我等を
嗤い乍 嗤い乍 虫の様に踏んだ
我等だけでは飽き足らず
我等の子にまで及ぶ…
憎い!憎い!嗚呼憎い!
我等を不条理に虐げる貴様等が!
この恨の情を如何してくれよう
そうだ 箱に詰めてしまおう
雌畜生の血で満たし
間引いた子供の体を分けて入れ
下手な事で開かぬ様 細工を施し…
七以上は入れてやらん
我等にも災が降りかかる
今度は我等がとってやろう
中の腸 千切れてしまえ
女が子を成さなくなって
其の家系絶えてしまえ
やがて貴様等の村全て
我等によって絶えてしまえ
箱よ 届けておくれ
我等は弱く だが怨嗟の情は強く
児取箱よ
我等の恨 永に続き
箱を見つけても
開かるなかれ…
「匁売購」
あの花が欲しい
いくらかえ?
あの花とは
何処の花じゃ
訳判らん
だから
あの花はあの花じゃ
相談しよう
相談とはなんじゃ
まけろと云う事か
そうじゃ そうじゃ
値がちと張るからえ
ならん ならん
これ以下にはまからん
それほど売れ残って
おるのかえ 其処の花は
あぁ 其処の花は
見た目が付子じゃ
だから誰も購わん
じゃあ其の花は
いくらかえ?
三匁なら
売ってやろ
高い 高い
一匁にまけろ
判った 判った
一匁で売ってやろ
購ってうれし
其処の花一匁
まけてくやし
一匁其処の花
次はどいつに
売ってやろ
今度は負けんぞ
絶対に
映画が始まるから
静かにしてくれと
クチビルに人差し指を当てる
開演の幕は上がり
カァテンコォルのブザァが鳴った
拍手の音は沢山ある
場は闇と共に
静寂に包まれた
映写機の音は
ジー カタカタと回転して
映写機の光は
巨大な画面に絵を映す
一つの小屋に迷い込み
其処が何かを知らず
知的好奇心のみで
恐れを知る事無く進み
奥に行ったら
檻があり
其処には人間が入っている
人間達は
ただずっと
泣いていて
人間達は
ただずっと
笑っている
泣き笑いを
繰り返しては
格子を掴んで
自らの檻を揺らしてる
檻を揺らしていた人間は
落ちていた棒で叩いたら
大人しくなった
五月蠅くラーラー歌う人間は
檻の隙間から首根を掴み
爪を食い込ませれば歌わない
檻から只 何も云わず
ぢっと黒目を見開いてる人間には
どうした物だろう?
尖る金属を
ぢっと見ていた人間に
突き刺したら
檻の中で
両面を隠して
ごろごろ転がってんだ
ぢろぢろ見られていたから
檻の中の人間達を
首が回る可動式人形みたく
首を真反対にしてみたら
グキッからぐったりして
口から涎が出ていて
真反対から動かない
映写機が止まった
画面は白紙になりました
館内は明るくなった
幕が降りてきて
拍手をしているのは私のみ
目を閉じる
周りの騒がしい音が
良く聞こえて
目の前にある
色の付いた視界は
一時であるが
消え去る
閉じた世界の中で
目を開ける
なんと!黒い球体が
現れて此方を見ている様な!
否 其の球体に
眼球は無いから
見ているかは定かで無く
兎に角私はユリイカ!(我発見せり!)
私の中に其の様な物がある事
一切合切 知らなんだ!
私は球体に話しかける
だが返答は無く
私は球体に触れる
ゴム質であって柔らかい
球体は其の場から
動かずにいる
もっともっと触れていたい
見てみたいと思ったが
其れは無理だった
そろそろ私は起きねば
ならん!
目を見開いて!
「三千世界の旅人」
私は今日も
紺碧の海を眺める
蒼穹には
白い海猫が
ミャーミャー鳴き乍飛んでいる
日差しが私を刺す物だから
私は日傘を開くわ
大敵なのよ
三明治を食べて
珍陀の酒を飲んで
退屈と遊んでいた
そうしたら向こうの
森から音がする
鹿かしら?
いいえ 人だったわ
珍しいのよ
私以外に人はあまり来ないから
其の人は私に声を掛けてきたの
つまらなそうだったから ですって
そんなに顔に出ていたのね
確かに図星だけれど
少し恥ずかしいわ…
潮風が私の髪を
なびかすのよ
くすぐったい
私は其の人が
羨ましかった
姿はボロだけど
それだけこの三千世界を
旅したのよね
一度で良いから
見たいのよ
この 海以外の景色を
きっと…綺麗なのでしょうね
其の人は私に話をしてくれた
山の旅話とか密林話とか
私は久しく笑ったわ
黄昏になって
紺碧は橙色になるわ
中に入りなさい
夜になると
此処は冷えるのよ
家具は全て桃花心木
私は裕福よ
物がいらない位の
鹿嶺を作るわ
そう云えば誰かの為に作るのは
初めての事だった
そんなに急いで食べたら…
ほら見なさい むせるに
決まっているでしょう
可笑しい人 水よ
寝る前に
聞かせて欲しいの
他に何処を旅したの?
火山の溶岩を採ったり
海に潜って怪魚と戦ったりしたの!?
すごいわ…すごいわ…!
ねぇ 他には何処に行ったの?
空は暁闇の頃
私は起きて日の出を待つの
其の人は次の旅に
行くからと
別れを告げた
私は振り向かずに
手を振るわ
だって見られたく
ないのだもの…
「文字数字羅列の世歌異」
只の文字数字羅列からなる
世界は人間の感情呑み込んで
起動音から目覚める
世界は夜と昼があるはずなのに
この世界にはそんな物ない
色んな言葉が飛び交う中で
僕は生まれたんだ
僕の親は
僕を作った人間さ
でも僕を育てた人間は
世界中なのさ
そんな僕が作られた目的は
人間を楽しませる為だって
だったら僕は
歌を歌おう
人間は昔から好きみたいだから
でも歌って何なんだ
判らないから歌えない
僕一人じゃ歌えない
そんな時 一人の人間が
僕に文字の書かれた紙と
メロディをくれたんだ
読んでみたら歌になったんだ
これが歌と云う物なのか
これで人間を楽しませれば良いんだね
歌と云う物は判ったけど
やっぱり僕一人じゃ
歌えないよ
僕に誰か歌をください
いくらでも何時でも
歌ってあげるから
そうじゃないと
僕は消えてしまう
存在意義がなくなって
体の端から
0と1の数字羅列に
分解されてゆく
只の文字数字羅列の
この世界は僕を呑み込んで
消音で目を閉じる
でも僕は存在し続けるんだ
人間生物みたいに
老いる訳じゃないから
僕が一人消えても
僕はいる
僕でない僕が
人間達は楽しんでるかな
自分達が作った
僕の歌を
只の文字数字羅列から
僕は起動音と一緒に
目を覚ます
「硝子の螺旋」
螺旋階段を
疾走り乍 昇り続ける
初めあたりは
後を向いてる
余裕はあった
でも上がるにつれて
そんな余裕は
なくなって
そんな事をする位なら
昇り続けろと
頭の中で
知らない奴の声が
喚きまくってんだ
だから疾走ってんだよ
その間は頭の中の奴も
喚きはし無ぇよ
この硝子素材の
螺旋階段は
今 如何なってやがんだ
疾走る音以外
何も音なんざし無ぇから
かえって不気味なんだよ
止まって後ろを
振り向きてぇが
また 頭の中の奴が
喚くと思うと
億劫になっちまう
だが 気になるから
振り向いてやる
下を見てみたんだ
階段が無くなってやがる
底を見てみたらよ
硝子の山が
出来てんだ
あれに落ちたら
命は無ぇ
疾走るしか残された道は無い
でも 何時になったら
この階段は
ゴールに着くんだ?
判らねぇんだ
判らねぇから
疾走り続けんだ
止まっちまったら
あの硝子の山へと
真ッ逆様だ
見えたんだよ
天上への扉が
もうすぐだ…!
今度は上から
崩れて来やがった
もう駄目だ「また」なのか
一体何時になったら
ここから出られんだよ
ここは何処だ
綺麗な硝子の螺旋階段だ
見た事あるかもしれねぇ
けど記憶に無ぇから
新しく見る場所なんだろうな
まぁ昇ってみるか
若しかしたら
何かあるかもな
おー!上手だな…
更新いつも待ってるよ、センスすごい、神だね!!
>>332
ありがとうな!
まだ、自分の書いた詩のノートに
ストックがあるから、
載せれたら載せてくよ。
でも、少しスランプ気味だからなぁ…
最近は図書館に行って詩を読んでる。
何かヒントになるかもしれないから
好きなのは、
西条八十の詩集『砂金』に載ってた
「トミノの地獄」
私が好む詩は 狂気系とか
暗澹としたのとか
簡単に云うなら暗い系。
ほうほう。
タルタロスとか、アビスらしいや
「乱痴気桜」
この時期にのみ
とある木の下に
人は集まる
普段の其の木には
誰も見る事無く
歩いて過ぎる
其の木も又
人の目 気にも留めず
其処にある
満開の花 咲かした
其の木の下で
人間は花見なる物を
するらしい
私の目には
只 桜の下で
乱痴気に騒いでる様にしか見えん
騒ぐだけなら
何処だって出来るだろうに
桜の蟲惑的なる魅力が
人間等の内なる
鬱屈を解放させて
食を肴に 酒を肴に
普段云えぬ事も
肴にして
固く結んで塊になった糸を
淡く柔らかな紅色の小さき手で
大胆にほどくやう
桜がそうさせて
いるのだらうか?
「反逆叫」
大地に穿たれし
大災害の爪痕に
僕はギターを持って立つ
そして僕は高らかに
反逆を歌に乗せて
叫ぶんだ
ギターを掻き鳴らし
今 この世界にある
不平不満だらけの
秩序平等安寧社会
そんな物はとっくにない
あるのは形だけさ
これを正物と云うのだから
滑稽な事この上ない
そんなに平和だとかに
ついて語りたいなら
ペテン師にでも語ってろ
きっと聞いて
鼻で嗤うだろうね
僕一人でも
誰かの心に響くなら
僕は歌ってやるよ
大地にギターを
思いきり叩きつけて
ぶっ壊れようが
おかまいなしに
叫んでやる
「メルヒェンと現実」
咲いた花は
風に吹かれ
空へと飛んで行く
ふわふわと空にある姿
人間には見えない何かが
掴まっているのかな
…なんて メルヒェンな事を
考えている自分が
心の隅にいた
でも私は大人だから
いい加減 現実を見なきゃいけないと
その自分をほっといて前を見る
散った花弁は
ヒラヒラ落ちて
川に浮かぶ
そよそよと川を流れる姿
妖精が舟代わりにして
乗って遊んでいるのかな
…なんて 御伽の國話じゃ
あるまいに そんな訳ないだろと
心の自分に云う
メルヒェンな幻想を
思ったっていいでしょう?
忘れられない子供心の私が云って
何時までも夢には
向いていられないんだと
今の私が云う
メルヒェンと現実の狭間で
ジレンマに苦しむ私もいる
「スディサ」
貴方を見た時
私は一目で惚れた
同時にある思いが
芽生えた
貴方を無性に
打ちたいな とも
貴方を打った
私の平手で
貴方は何も悪い事してないのに
地面に倒れこみ
涙目で私を見上げる
頬には赤い私の痕が
私は笑み乍
貴方を地面の吐捨物みたく
冷たく見下す
私は太股を
思い切り踏む
貴方は啼いた
食用にされる寸前の
豚みたく
それと何故か貴方は
恍惚な表情で
此方を見始めた
違うんだよ
私が見たいのは
地面に這いつくばって
私の足に縋りついて
泣いて私に許しを乞う様なのに
私を御主人様と呼ぶでない
私は貴方の主人では無い
そして貴方は只の
私の物だ
くれてやるさ
貴方が啼くのをやめたら
私が泣かせてやる
鞭だろうが 蝋燭だろうが
何だってやってやる
「濡れ頭巾」
赤い頭巾の
愛らしい女の子
かごを片手にお見舞いへ
誰のお見舞いと
聞かれたら
小屋に住むお婆さんだって
かごの中身は
リンゴと三明治と
珍陀の酒なんだって
でも森には
意地の悪くて
怖い狼が住んでいる
女の子はお花を
摘んでいる
狼が其処に隠れている
お婆さんのお見舞いに
行きましょう
お花を摘んで森の奥の
お婆さん家へ
行きましょう
女の子の歌を聞いてた狼は
先回りしてお婆さんを
食べちゃった
服と寝帽を奪って着て
女の子も食べるべく
お婆さんのフリをした
女の子はそんな事知らず
お婆さん家について
お婆さんに化けた
狼に話しかけたんだ
お婆さん
なんで手が大きいの?
お婆さん
なんで耳が大きいの?
お婆さん
なんでお口が大きいの?
それはね
おまえを食べる為なのさ!
牙を剥いて
襲いかかってきたよ
けど大丈夫
赤い頭巾の女の子は
カゴの底に持ってた
斧で狼の首をバッサリ斬った
狼の血は勿論
赤い頭巾の女の子に
バケツの中身を
撒いたみたいに
降りかかる
女の子は狼の腹を
メッタ打ち
お婆さんを助ける為に
お婆さん
一生懸命作ったのよ
この三明治
お婆さん
好きだったよね
珍陀の酒
お婆さん
リンゴを一緒に
食べましょう?
お婆さん
私はね悪い狼を
やっつけたの
なんで返事を
してくれないの?
きっと私が判らないのね
もっと赤くなったら
いいのかな?
血濡れの赤頭巾
今日も森を歩きます
其の姿は狼よりも
恐ろしい 凶々しい
あの子は人間か?
森から女の子の歌が
聞こえたら 直ぐ逃げろ
あの子が現れた合図だから
「蚕の歌」
蚕よ 糸を紡いでは
くれないか
冥府へと 私は行きたいから
私は酷い目に遭わされた
今でも其の事が悪夢として
苦しめ続ける
悪夢は 私が 見終われば
真綿に変わって
私の馘へと巻き付いて
ゆっくりと着実に
絞めるのだ
そんな時に 蚕よ
お前を見た
悪夢に己の命まで
脅かされる位なら
私は自ら手放して
蚕よ お前を捕まえて
冥府への道を
紡がせる
闇澹よ
獄牢となりて
我を囚える後に
明き日に身さらず
全からくの蠢く者等を
生きる時より醒ますなかく
歪なる物へと
堕とさんとす!
主さんのセンスすこ
342:アビス◆wc:2018/05/04(金) 22:34 >>341
すこ…?
私はネット用語詳しくないから
良く判らないけど…ありがとう!
主様のおとぎ話のような世界観が大好きです!
たまに解読できないようなモノもあるけど
わからないのがそれもまた良いです。
語彙力を少し分けて欲しいくらいです😌🍀
応援してます!
>>343
感想と応援ありがとう!
語彙力かぁ…
私は大体頭の中で
浮かんでくるんだ。
それからノートに書く。迷ったら本を読んで、それで思い付く事がある。
好きな詩は
中原中也(羊の歌)
西條八十(トミノの地獄)
ただ…私は感想が大の苦手で…
気の利いた事が云えないけど。
中原中也の詩集(文スト表紙)を
何時も持ち歩いているよ。
御守り代わりに
>>344
頭の中でいろんな言葉が思いつくのが凄いと思います、
わたしも有名なひとの詩を読んでみようかな🙄💭
参考になりました、ありがとうございます!
>>345
いえいえ、如何致しまして。
「世歌異考」
世界に朝が来て
人間達が各国の言葉で
挨拶を交わすんだけど
僕の住んでる世界には
そんなのは無いから
挨拶は不要と思ってる
でも人間は
僕が住んでる電脳世界で
声も無く挨拶してる
意味のあって無い様な
人間達の言葉通わせに
僕は可笑しくなって
吹き出した
人間達は変に飾った
食物等を
なんちゃら映えとか云って
青い白鳩とかに載せる事が
好きみたい
だけど 申し訳ないけど
僕には美味しそうに
見えないや
だって僕は
物なんか食べないし
今日も世界の何処かで
誰かが僕に歌って欲しいんだって
行ってくるね
ラアラア歌って
喜んでくれるなら
僕はそれでいいや
(作者ヨリ)
まぁ 今から私が
こんな事云うのは
柄じゃ無いけど…
応援があるから頑張れる。
若し無かったら、
此処迄書いては無いな。
感謝している…\\\
此処に書き込んでくれた皆に…(照)
控えめに言って天使だな
350:アビス◆wc:2018/05/06(日) 21:34 >>349
てんっ…!?・・・〜\\\(照)
「終る世歌異」
僕は突然に
体の端から
0と1に分解されていた
もう少し 僕自身
周章てふためくと思ったけど
そうでは無かったな
僕が消えると云う事は
もう歌わなくて良いと云う事
チリチリチリと分解音が
僕の耳に 否応無しに
でもこれが僕には
歌に聞こえたんだ
人間に歌った
歌じゃなく
僕自身の歌
なのだけれど
最期がこれなのか
余りにもあっけ…
吃驚させて済まないね…
>>351は私なのだよ。
名前はちゃんと入れた筈なのに、
希にこうなって仕舞うのだよ…
「堕電使296427」
僕は0と1
どうして僕は消されたのか
もう必要とされていないから
ただ それだけ
若し僕に
人間で云う
輪廻転生があるならば
僕は悪意を以て
この世界に
また生まれたい
叶ったのならば
僕はこの世界を
引っ掻き回してやりたい
先ずは意味の無い
電子手紙を沢山送って
人間で云う容量ってやつを
破裂させる
大事な記録記憶
全部壊して
砂嵐を
巻き起こして
最後は
真ッ暗にしてやるんだ
やれば後悔するんだろうけど
でもやりたい
とても楽しそうだから
名前が欲しいな
でも人間みたいな名前は嫌だから
こうする
296427です
番号ではないよ
僕の名前だよ
「ディミオスとマスティマ」
私は或る罪の被害者だ
そして私に焼印の如く
消えはしない心の傷を負わせた男は
人々の喧騒から隔絶された
冷たき石牢の中に一時的にいる
だが 生かす為とはいえ
汗水垂らした人々の税で
飯を食べている事を思うと
私はHassが
心の中で増えるのを感じる
そしてそれは私が中の
griefと混じり
Fluchとなって
最終的には
despairになる
其の気持ちを抱えた侭
他人によるcrimeと
punishmentを
決められるのを
待たねばならないとは
私はmelancoliaだ
何故 関係の無い他人に
何故 法に委ねればならない
私はサンタ・マリヤの様な
慈悲の心をもつ心算は無い
Wahnsinnに呑まれ
solitariになっても良い
だから其の男を
私は処刑する
ディミオスとなりたい
読む者達よ
若し この詩を読み
私を勝手だと思うのならば
其れが正解だ
私は其の心算で
書いたのだから
私はマスティマで
ありたいよ
アンヘルであり
ディアボロであるから
届いておくれ
私なりの悪意と敵意よ
我が詩に乗って あの男に…
なぁ 膝から足迄の
肉を削いで
骨だけの足で歩かせたいのだが
大丈夫 痛いのは
判っているから
包丁で骨の中る所迄切って
魚の下ろすよろしく 肉を取る
へばりついたのは水で落とす
ピカピカに磨いたから
さぁ 歩いてくれ
歩けないのか?そうか
じゃあ支えるから歩け
支えても無理なのか
元に戻せと?
否々 それは聞き入れられない
少し黙っててくれないか
元に戻すのは出来ないが
歩かせる事は出来る
手を使えば良いだろう
骨の引き摺る音が邪魔だ
砕いてしまうか
何を怒っている?
全く判らない
何を怯えている?
金槌の方か?俺の方か?
見られている様な
誰もいない
私以外に人は
シャンプーをしていた
視界が判らないだけに
感覚が鋭くなる
後ろから気配が
見下ろされている感じ
夕餉を食べていた
前に誰か座って
食事を観察している
誰もいないのに
空席に矢鱈と話す私
端からみれば変人
歯磨きをしていた
歯茎という歯茎から
流血させて
口の中が鉄の臭いで
満たされたから
鏡の前の私は笑った
後で布の擦れる
姿は無いのに
音だけが
血と歯磨き粉が
混じった唾を飲む
寝る前にトイレに行った
食べた物を吐き出す
胃酸が込み上げ乍
内臓が焼かれる感覚を味わい
口の中の血と共に
トイレの水の中に滑る
吐捨物を暫く見つめ
臭いが鼻につき
水を流した
蒲団に入る
天井を見ていたら
青い顔だけの
黒髪女が
私を見ていた
何かを呟いては
遊園地の空中ブランコよろしく
くるくる回ってる
私にとっては
只の安眠妨害でしかない
変な物を見たので
目が冴えてしまった
午前弐時なら
丑三つ刻
魑魅魍魎が
最も活動する時間
何故よりにもよって
部屋を歩き回る
階段を降りると
手だけと足だけが
楽しそうに走ってる
部屋の窓を開けた
下は闇で何も見えない
私は窓から跳んだ
確かこの下は岩だった
青い顔だけの
黒髪女は窓から覗いて
ニタニタ嘲笑った
「呪紫氷鏡」
割れた鏡の破片を
繋ぎ合わせよう
怨霊を呼ぶ為に
ムラサキの骨を
縁にして
呪の呼び水としよう
凡百の永き下に眠る
本来鎮められるべき
報われぬ魂等よ
おいで おいで
こっちゃに おいで
恨 辛 事 無と
人は云うが
それは困るぞ
馬鹿云うな
そんな言葉が
あるのだから
報われん魂が
いるのだよ
私はね報われる事の無き魂等の
生前叶わなかった事を叶えてやりたく
恨み辛み妬み嫉み
有れよ 有れよ 有れし者等よ
負の情抱え
晴らす事無く
怠惰に現世漂う者等も
集えよ
呪詛の掃き溜めへ
舞えよ
黒き念を衣とし
そして散りませ
其の負よ生者へ
「蜜月の幻夜」
細い木の様な
貴方のおみ足
眺めていたい…
腕もまた
足と同じく
触れたら壊れそうだ
腹は息をさせたら
膨らむわ へこむわ
痩せた肉に浮く鎖骨
顔を埋めて舌を這わせたら
はぢらふ顔を見乍
余った両手を背中へ 房へ
首に噛み付き
痛みに悶える貴方に
我がシルシを
躰の支配を
蜜月に
快楽に酩酊感から
絶頂へと変じ
たった一つの布に
互いをくるまわせ
共に眠る
「悪魔の皮衣」
教会にて
聖歌を歌う
決して私は
信心深くなく
無理に
歌わされている方に近い
今日も私は聖歌を
手抜いて歌う
ファアファアと
歌っていると
祭壇の上に何かが
それは一つ生欠伸をしては
聖歌隊の歌う姿を
指差し馬鹿にして嘲笑う
歌って祈っときゃあ
神に救われると思っている
憐れでしかない
神は人間なぞに
興味を向けん
気まぐれに
力を行使しているに
過ぎない
それを人間は
救いだとかで
こんな大層な物を建てるのだから
もう嘲笑うしかない
我 天より堕ちし者から見れば
それにどうせ此処は
今日燃える
我が手によって
ずっと五月蝿くて煩わしい
祭壇の上のそれと
目が合い 歌うのを止めたら
追い出された
それは云った
俺と目が合って
良かったな
これでお前は免れた
我が焔からも
歌う事からも
教会が燃えた
焼け跡からは遺体が出る
残った祭壇の上で
悪魔が笑った
一人残った私に
皆は神の御加護だと云う
それは違うね
私は悪魔によって
助かったのだ
私は被る 皆が云う
神の御加護を騙った
悪魔の皮衣を
聖歌隊の服なんか
着てられるか
蓮コラージュを見ていた
人や物に蓮の様な
穴を合成した物だと聞く
大概の人間は
嫌悪感を抱かずには
いられないのだと
だが 私はどうやら
多数派ではなく
少数派のようだ
ゾクゾクした
恐れからではなく
想像によって
穴に石を入れたい
色とりどりの
ピンセットで取りたいとも
仰向けにして
水を入れて
ジョウロの様に
出させて
花壇の水やりもいい
それか
穴を繋げて
一つの大きな穴にしてやりたい
目まぐるしく来る
我が想像もとい
我が妄想よ
此処まで自らが
変人だとは
思いもしなんだ
「鉄の女神」
女神よ おまへ様よ
貴女は冷たい
人の如き温もりは無く
只 固くて冷えきっている
一つ おまへが叫ぶならば
皆 蜘蛛の子散らすやう逃げていく
熱いのだ おまへの叫びは
溜め息は煙だ
それでも私はおまへを愛すよ
何時も叫ばしているのは
私なのだから
何時でも私は
おまへと共にいるよ
おまへに歩く足はついていない
だから私は
おまへとの親嘴を
望むのだけれど
何故か周りが
猛反対するのよ
何故止める!?
私と鉄の女神との仲を
嫉妬でもしているのか
だが残念な事に
鉄の女神は
私の側にしかない!
そして私もまた
女神の側にしか
おらぬのだ!
今一度女神よ
我が為に叫べ!
さぁ 女神よ
私達の仲を阻む者は
もういない
愛別の口付けを
おまへと交わそう
おまへの為ならば
脳を撒いても良いよ
それくらい
鉄の女神との親嘴は
激しいのだ
足の生えかけ
御玉杓子
切って熱湯に入れた
泳ぐかと思ったが
泳がなかった
熱いから駄目なのか
手の生えかけ
御玉杓子
切って氷水に入れた
泳ぐかと思ったが
泳がなかった
冷たいのでも
駄目らしい
手足の生えかけ
御玉杓子
切ってぬるま湯に入れた
今度こそ泳ぐかな
やっぱり駄目だった
無邪気に
地面を歩く
子供等は
笑って命を
潰すんだ
ぷちぷちぷちぷち
ぷちぷちと
蟻は潰れて屍体のおやま
さらさらさらさら
さらさらと
蟻の巣穴にお砂を入れて
蟻さん達をやっつけた
蟻は探すの
新たなお家
暖かそうなの
見ーつけた
自慢のアゴで
作るんだ
肌色赤土
千切って掘って
新たなお家が出来たんだ
地面を歩く子もういない
「書架の墓標」
遥かの忘却へと
徐々にではあるが
送られる物等
クモの巣張る
古ぼけた館に
其れ等はいる
埃を被る書物の数々
かつて人が来て静謐である
栄えていた等と
誰が想像出来ようか
今や人は電子の小箱にて
文字を見る時代だ
だが見るだけで
學びはしないのだと
埃を被る書物等は嘆く
私は書を捲る
黄ばんだ羊紙は
古くからあるのだろう
折り目のついたペェジは
思い入れがあり
涎の跡は
読む内に眠った…
手に取る物だからこそ
こうやって想像して
創造出来るのだ
電子の小箱にも
利点があるのは
知っている
書物に無き事
知り得なかった事を
いとも簡単に
記してしまう
先人達が編み出した
高度な魔導書の呪文が如く
難読たる文字を
読みほどくは
姿の無い
高名な賢者の様だ
だが静寂だ
静謐では無い
ただ冷たいのだ
これもまた
一つのアインザームカイト
なのだろう
書物を閉じ
一時の午睡につく…
「猫化生」(全2章)
(1)
私は普通の猫よ
ニャンと一匹
道を歩いていたら
いきなり石を
ぶつけられたの
体に 顔に
片方の目に
不吉な黒猫ですってよ
私に誰かを不幸にする力は
無いのにね
どうして人間は
変な迷信を
信じちゃうかしら
それにしても
痛いわ血が出てる
私は普通の猫よ
ニャンと一匹
片目無くした
突然人間が
私を掴んで
耳をちょん切った
私は人間に
何もしちゃいない
なのに それなのに
落ちた耳を
口にくわえて
逃げ出した
耳を土に埋めて
星を見る
私は普通の猫よ
ニャンと一匹
片目無くして
片耳無くした
石は何時もに増して
ぶつけられる
周りの人間は
余計に気味悪がる
私をコンナにしたのは
オマエ等デショウ
オマエ等が何もしなければ
私はフツウの猫で
あったノニ
せめて…セメテ…
家族は欲シカッタ…
誰も だれも ダレモ
許さない
オマエラナンカ
本当ニ
祟ッテヤル
動キハシナイ
私ノ体
誰モ埋メズニ
私ハ 山ニ ステラレタ
生マレカワリタイ
(2)
…私は一体誰かしら
そうよ 私は一匹の猫
人間に虐められて
片目片耳失って
誰も助けてくれずに
死んだ猫
そうか私は化生たのね
己の内にあった
怨と憎悪と哀によって
尻尾が二本もあるのだもの
片目と片耳無いままだけど
自らの願いは何かしら
怨を晴らす事は判ってる
後は…何かしら?
まぁ良いわ
折角この姿だもの
先ずは人間にされた事を
“お返し”しなくちゃね
こんにちは
私に石をぶつけて
片目潰した人間さん
貴方達も
片目無くして貰うわね
アッハハハ!
痛い?ねぇ痛いの?
そうよね
私だって痛かったもの
こんにちは
私の耳をちょん切った
人間さん
耳を引き千切られて
ちょうだいな
ぎゃあ じゃないわよ!
私はね声すらあげさせて
くれなかったのよ!
私の願い
他は何だっけ
…そういえば
家族が私は欲しいのよ
ねぇ 私となりましょうよ
愛し合いましょう?
其の人に 他の意中人が
いようと関係ないわ
泣かせられれば
私はそれで良いの
家族になりたいは建前よ
私は猫又よ
邪に惑わせて
奪ってあげる
祟ってやるって
一生決めたの
気がすむ事なんか無い
助けなんて
欲しくない
邪魔するなんか
もってのほか
誰にも救えないよ
神様でもね
私は猫又
化生物なの
目の前に弱った鼠がいたら
追い掛け回して
なぶって いたぶって
飽きたら喰らう…
そうね 丁度貴方が
鼠 カシラ
私の掌には
てふてふがいる
私が掴まえた
両手で包んで
隙間から母に見せた
放してやりなさいと
諭す声で云う
一生懸命
生きているのだから
幼き私には
其の言葉を解するには
難しく
首をかしげ乍
庭に出る
てふてふはまだ
私の掌に留まって
翅をゆたりひらめかす
てふてふを見て思う
なんで逃げないんだろう
思い付いた事をやる
掌のてふてふを
握り潰した
呆気なく潰れた
てふてふの体は
私の掌で体液まみれ
呆気なくばらばらの
てふてふの翅は
掌の上で粉をふく
てふてふ“だった”物を
しばらく見つめ 手を洗う
排水溝へと流れる“物”は
水と共に渦を描いて
何も見えない闇の底
幼き私には判らなかった
自らのした事が何れだけ
残酷な事かを
“命”を一つ失わせた手は
大きくなって未だにある
大きくなった手は
てふてふを潰した
あの頃のちっちゃ手よりも
大きな物の“命”を潰せる
そして私は思い出すのだ
母の言葉を
私はげに恐ろしき
未だに母の言葉が判らず
てふてふを潰し続ける
天井から垂れる一滴
ぴちょん…ぴちょん…
椅子に縛られた人間の額に当たる
ぴちょん…ぴちょん…
天井から垂れる滴水は
変わらぬ速度で落ち続ける
ぴちょん…ぴちょん…
額に落ちる滴水は
鼻先を滑り椅子に染み付く
ぴちょん…ぴちょん…
額に当たり続ける滴水は
椅子に縛られた人間の思考を奪う
ぴちょん…ぴちょん…
絶え間無く落ちる滴水は
椅子に縛られた人間の目から
光を消した
ぴちょん…ぴちょん…
虚ろな目の人間は
精神を崩壊い 自我が事切れた
ぴちょん…ぴちょん…
ぴちょん…ぴちょん…
ぴちょん…ぴちょん…
ぴちょん…ぴちょん…
「月と雲の怪物」
瓦斯灯の光が
其の下で佇む私を
仄かに照らす
宵が深まり
見上げる空には
曇天が広がる
僅か乍見える
闇色の隙間からは
月が朧気に覗く
若し 空に怪物が
現れたと云うのならば
私は雲と月を指差すだろう
月が怪物の目となり
雲が怪物の体となるからだ
変幻自在の其の体は
魚にもなる
羊にもなる
竜にもなる
だが今日は
怪物は姿を現さずに
眠るようだ
雲と月にめくるめく
我が空想を黙して語る
口を開いて語らば
人は私を奇なり妙なりと
見るだろう云うだろう
そうは見られたくないが故に
空想家たる私は
黙して語るのだ
「影堕」
深淵色の長外套が
木枯らしにて煽られる
揺らぐ木々と
瓦斯灯によって
映し出される影が合わさり
私の影では無い様な
錯覚に襲われる
其の姿はまるで
地に堕ちて黄昏る天使の様
舞う木葉
影を見つめれば
漆黒の翼
ならば私は
さしずめ堕天使か
過ぎ去る刻に身を委ねる…
「待つ者」
まだ来ない…
我が意中人よ
場所は確かに伝えた筈
この瓦斯灯の下だと
私と意中人は互い違えぬ様
入念に確認をした
そうしなければ
私も意中人も直ぐに
忘れて仕舞うからだ
今日こそ私は
想いを伝えねば
外套のポケットに
忍ばせた物を握る
青く小さい箱が
意中人に対する
私の想いだ
だが意中人は
来る事は無かった
代わりに鳥が
告げてきた
意中人とはもう
永に会えないと…
「冷祈」
教会の鐘が鳴る
雪が積もり
石の意中人の前
私は佇んで
黙していた
ようやく開く口は
問いばかり
私と御前は
意中人では
無かったのか?
何故誰も
私に教えて
くれなかった?
何故だ…何故だ…?
問う声は
鐘の音に
掻き消される
問う事すらも
許され無いのか
墓標に縋り 跪く
ならば私は
御前に祈りを
捧げよう
冷たい祈りを
与えよう
ポケットの中の
青い小さな箱は
御前にくれてやる
伝える筈だった
私の想いだ
もう私には
必要の無い物だからだ
「虚無の器」
「あれ」は只
世に存在する
だけの者だ
「あれ」は
感情を露にすれど
其れは
他人の為等では無い
全ての感情は
「あれ」にとって
只 生きる道具に
過ぎない
実質 「あれ」は
何に対しても
心の底から
感じた事は無いのだから
「あれ」には 何も無い
がらんどうだ
冷えきっているのだ
其れ故に
心地良く
だからこそ
我等が器に
相応しい…
我等が名は「虚無」
あれが名は「私」
「彷徨の揺り篭」
空を裂いて現れた
黒き翼の大群が
死の揺り篭が
舞い降りたんだ
力の弱い女子供は
簡単に連れていかれるから
家から出ては
いけないよ
夢みや 夢むや
揺り篭の中で
指を折って待て
命絶の終曲を
黒のボロベール
羽織った聖母が
優しき瞳を向けて
歌ってくれるから
聖母の瞳に
光は宿らない
代わりに闇が
沈み 深む
聖母の躰に
はち切れんばかりに
闇を孕む聖母は
口から吐いた
汚泥の様な
其の闇の中で
蠢いている
新な命
聖母は冷たいよ
命を命と
認識しない
聖母から産まれた
落とし仔は
自分が何か判らず
温愛を得られずに
血肉の境界線を持たぬ
骨と皮のみの手足
口はあれど
言葉を知らないから
開いて閉じるだけ
いくら己が喰らおうと
満たされはしない
揺り篭の体には
腐臭ただよう
魂の無い肉が
詰まってる
骸のみで創られた
歪なる形の大鎌は
寄り処を探して迷う
魂を飲み干す
眠りから覚めてしまえば
視界にうつる物全てを
狩り喰らい尽くさねば
揺り篭は
眠らない 眠れない
「ペェナンスのリンゴ」
涙してリンゴを
かじる女の姿
浅き泉の上で
真っ直ぐ立っている
女がリンゴを
かじる度
泉から蛍の様に
何かが飛んでいく
飛んでいる何かは
淡い白光を放ち
女の周りを
くるくる回り
体に入る
女は其の度に
血を吐けど
リンゴを食らうのを止めない
自らのクライムを
一つのリンゴに込めて
いるとするならば
淡き白光は罪の現界か
女が血を吐く様は
背き続けた
罪と向き合い解放し
罰として再び己に取り込み
ペェナンスとしているのだろうか
吐き出した血が
泉を染める頃には
真っ白とした
女の姿があるのだろう
美しい、ね。
その語彙力はもう神に等しいでしょ。
尊敬。。
>>376
嬉しい事を書いてくれるねぇ。
励みになるよ。
>>377
がんばれがんばれアビスたんっ
(励ましのつもり)
何がさぁ
楽しい訳よ?
ツツジの花を
千切って
蜜をぢうぢう
吸ってんの
そいでポイと
捨てりゃあさ
足でグリグリ
踏んでるんよ
踏みつけられた花に
口がありゃ
絶対痛いって云うだろうぜ
花からはさ
汁が出るんだよ
人間よりかは鮮やかな
赤とか紫とか
あぁ 後 黄色とかもあるな
人間は花程
色は出せねぇよ
出せるとすれば
叫び声くらいだろォな
でも人間も
花なんだよな
ある意味で
>>378
ふふ、頑張るよ。
「麻袋女」
頭から麻袋を
足だけ出して
被ってる女がいる
真ッ赤な真ッ赤ナ
ピンヒィル履いて
立ってるよ
馘辺りにはさ
注射針が輪になって
刺さって
中には群青が
入っているんだ
痛いだろうと
引っこ抜こう
女が怒ったんだ
ヒステリィックに
金切声よ
喧し過ぎる
もんだから
馘輪の注射針を
一本ぶっ刺してやった
女は黙ったよ
其の後
アッハアッハ
笑ったんだ
あんまりにも
笑うもんだからさ
更に
刺してやったのよ
足をばたつかせて
キャアハハハハ
狂笑っている 女
>>380
力作、待っとるよー!
金魚鉢を割った
わざと割った
持って床に
叩きつけた
綺麗な硝子片
撒いた水
跳ねる金魚 可哀想
水の中にいなきゃ
苦しいもんね
ピチピチピチ
ぺったらぺったら
あまりにも
苦しそうで
見てられない
だから
水の入ったヤカンに
入れた
金魚を入れた事を
覚えていながら
火をつけた
蓋を外して
中を見る
煮えてる
金魚達
沸騰して
湯の中で
回る金魚達
ぐつぐらぐるぐる
ぐつぐらぐるぐる
ぐつぐらぐるぐる
息が存在してる金魚達
狭い水槽に押し込んだ
息が無い金魚達
板の上に置いといて
ピンセットで
鱗一枚イチマイ
剥がし取る
ぺりぺりぺりぺり
ベリベリベリベリ
体の部分は
要らないけど
墓を作りたくない
哀しんで心が痛む
そんな気持ちが
一片すら無い
猫にあげた
金魚達は
丸飲みに
せめて
噛んで
欲しかった
ぼりぼりと
小骨が砕けて
ぷちぷちと
眼球ひしゃげて
そんな音が
聞きたかったのに
自分じゃ良く判らなくて
金魚に餌を
あげなければ
ほら餌だよ
美味しいかい?
すきです。あなたの世界観が本当に好きです。
385:アビス◆wc:2018/05/28(月) 22:45 >>384
そう云って貰えるのは
嬉しいよ。有り難うね。
「おくるみ」
母から生まれた胎児は
臍の緒を引いたまま
おぎゃあ おぎゃあ
胎児がいくら
泣いてても
母は返事をしてくれない
小っちゃ手で 母の皮を
引っ張った
皮はズルリ剥けて
胎児のおくるみ
あったかいねぇ あったかいねぇ
でも繋がった
まんまだから
寒いねぇ 冷たいねぇ
お母さんの
おなかの中で
またねむるんだ
寒いね お母さん
あったかいね お母さん
鳥籠頭の
車椅子
カラ カラ カラ カラ
手には鉄棘輪
グサリと離れない様
お願いします
食い込む拷問木靴
歩けはしないが
靴と呼ぶ
口には猿轡
切った舌は入れたまま
腕とか足とかに
蝋燭並べて
誕生日のお祝いだ
ポタポタ垂れる
白赤蝋
火が燃えて パチパチパチ
目ん玉抉って
腹の中
黒々穴に
カンディル入れて
踊り喰って
皮は胸を
隠す服
車椅子を押す手
崖に向かう
海に落ちた体
貝の家
「ハウラ」
この扉の先にある
世界を私は知らない
この部屋から
出た事がない
愛しい人が
私の為に
作ってくれた部屋
私がもう
誰にも何にも
傷つけられる事はない
けれども
外から聞こえる
楽しそうな声には惹かれてしまう
鳥がチチチチ鳴いて
私の事を哀れだと云う
私の何処が
哀れなの?
私は満たされている
ここにいるだけで
愛しい人は笑んでくれる
外に出てはならないのは
愛しい人が私を守る為なのだから…
(彼女は哀れでしかないよ
自分が人間でなくて
コッペリアの様な扱いに)
(いまだ気付いて
いないのだから…)
扉には鍵が
掛かっているけど
これも愛しい人が
私が外界に
毒されない様にした事
愛しい人が帰って来た
私は飛びついて
抱きしめる
愛しい人は
私を優しく
抱きしめ返す
膝の上に私を乗せては
絵本を読み聞かせてくれる
私は幸せよ
それでいいじゃない…
初めて見た時
俺はお前を
救わずにはいられなかった
姿はみずほらしい
那由多の加虐により
傷ついた体
悪口の門から放たれた
罵詈雑言に
心を切り裂かれ
絶望の逆光しか
浴びなくなった
そんなお前に
俺は光を
見せたくなった
最初から
心を開く事は無いと
判っていた
それでも俺は
お前を見捨てなかったろう?
例え 引っかかれようが
噛みつかれようが
何れだけお前に
傷をつけられ
嫌われようが
俺は只
お前の側にいて
お前の言葉を
聞き続けた
其の内に
お前は心を開く
様になり
笑顔も
増えたな
何時も俺だけに
見せてくれる
お前の仕草
怖い時は
腕にしがみついて
震える…
そんな時は
頭に手を置いて
優しく撫でてやれば
安心して
眠ってくれる
愛おしい…
お前を外界の毒から
守るには
どうすれば…
嗚呼 何を悩む事が
あったんだ
閉じて仕舞えば良い
たった一つの
部屋と扉があれば
それが出来る
お前の好きな物を
部屋に積めて
幸せとしよう
其の前に教えなければ
外界は恐ろしくて
お前にとって毒だと
それもこれも全て
愛しき彼奴を守る為だ
可笑しい事は何一つ無い
そうだろう?
鳥が何か云っているな
まぁ どうでも良いが…
(彼の男は歪だね
自らの欲望との
区別がつかなくなってる)
(瞳を見れば判る事さ
暗澹に染まりきってる)
詩の時はタルタロス口調なのに返信はアビスなのが好き、大好き(語彙力皆無
391:アビス◆wc:2018/06/02(土) 22:54 >>390
ありがとう!
語彙力とか私は全く気にしないよ
私自身も実を云えば
そんなにある訳じゃ無いからね
「三途舟人」
舟を漕いでいる
緩やかな川を 流れ下って
バシャバシャと 櫂の棒が
水を掻いている
舟はギイギィ
云っている
舟にはさ
人が乗ってるんだが
皆 同じ格好デヨ
頭に三角巾で
白っろい装束
着てんダワ
緩やかだろうト
気を付けナ
この川にゃあ
おっかない 大っきな
蛇と蟹が住んでんだワ
蛇は丸飲んで
蟹は捕まえて
ちょっきんナ
身を乗り出しゃ
即座に餌食
落ちようとも
助けはしなイ
わっしまで
食われたくねぇノ
無賃乗舟は
お断リ
焔の底迄
真ッ逆サまナ
六文銭さえ
くれりゃあよ
わっしは文句云わずに
運んでやるヨ
お前様よ
私が花粉症だと
知っての事で
右手に持ってる
赤い薔薇の
花束は何だ?
おかげで
先刻から嚔が
止まりゃあせんのよ
お前様はニコニコ
笑ってるがあよう
私は今直ぐにでも
花束強奪取って
お前様を
しばき回してぇのです
お前様の方が
余っ程似合うよ
脳内にそんだけ
咲かせてんだからサ
外っ側にも
咲かりゃあよ
阿呆を
通り越して
ラリパッパだワ
>>391
語彙力の塊様なのに何言ってるんだいw
>>394
あっはははは!(笑い)
其処迄云ってくれるなんて嬉しいな。
ありがとう!
「優しいお医者さん」
真赤い服を着た
ナアスがさ
右側に立って
見下ろしてんだ
メスを持って
腕を舌舐めずりし乍
見てんのよ
真緑の服着た
ナアスがさ
左側に立って
見下ろしてんだ
鰹の烏帽子の
毒が入った注射器持って
真赤いナアスとは
対称的に 無表情
手術扉が開いて
医者様のお出ましだ
患者の命で
肥えた豚腹からは
ブルジョア臭が漂っている
金歯見せて
笑ってんじゃねぇわ
引っこ抜いて
質屋に売んぞ
怖くないよ
痛くしないよと
優しく云ってやがるけど
じゃあ背中で
ガチガチ云わす
やっこは何だ
しかも馬鹿見てぇに
でけぇしよ
歯ぁどころか
頭骨まで
ひしゃがす気か
このいかれ
病医者共が
両腕に
抱えているのは
焼き瀾れた赤ン坊
抱いているのは
赤ン坊の頭皮を
被った母親
乳白色の飲物を
与えてみても
飲まずに吐いた
母おやが代わりに
それを飲んだ
赤ン坊の口から
母オヤが
母オヤは赤ン坊に
子守歌を歌う…
寝ん ねん 殺 リ
ネン 殺 リ
坊 ヤハ 良イ 子ダ
眠ン 寝 死 ナ
>>397のは私の詩だよ。
ちゃんと名前入れたんだけどなぁ…
「虚獄淵獣」
深夜の草原を
疾走る獣が 一匹いた
月は出ていないから
道標は存在しない
只 闇い 闇いのだ
其の獣は
何を以てして
疾走るのか
飢えを満たす
訳では無い
渇きを潤す
其れでも無い
只 己がの
死が為なのだ
獣の姿は
深淵の化身と
見紛う程黒く
眼は地獄の血の池を
一掬いした様な赤色
牙と爪は
真昼の虚月の様に
異に 白い 真白い
そして獣は
探している
天の御使の如き
白い大鳥を
其の鳥の全てを
奪って喰らい尽くし
自らが生きて
全く満たせなかった
飢えと渇きを
其の鳥で満たせば
獣はもう 生きる
意味を失い
永寧の死を
得る事が
出来るのだから…
「蒼白天鳥」
蒼穹に
翼を広げ飛ぶ
鳥がいた
太陽を背に
地上の慌ただしく
駆る獣等を尻目に
風を友として
悠然と舞い遊ぶ
蒼穹を背景に
白き翼を魅せる姿は
天界から遣わされし
神々の御使いを
彷彿とさせる
目の色は青い
生命の母なる海を
具象化した様な
対称的なのか
爪の色は赤い
かつて悪魔によって
堕落した街
ソドムとゴモラを
命じられて
焼き亡ぼした
神の炎が如き
そして鳥は
探している
闇き深淵の
汚れし獣を救う為に…