思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。
↓
電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする
今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る
レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ
何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”
>>100の続き
町の人々は云いました
人形達のせいで
家族が恋人が
友達が消えたんだ
作ったの誰だ
人形師ですよと
貴族様
許さないぞ
人形師
怖くないかい
坊っちゃん 嬢ちゃん
でも見ておいきなさい
町の人々に
貴族様は云います
退治しましょう
悪の人形師を
ガシャリと開いた
檻の音
出ろと云われ出た先は
怒りの町の人々で
人形師に
次々と石ぶつけ
>>101の続き
助けて友達よ
すがる人形師を
冷たく払う貴族様
次にこう云った
ここにおります
人形師
人々惑わす悪の人形師を
この僕が一生閉じ込め致しましょう
高らかに宣言
喜ぶ人々
理解出来てない
人形師
どうなるの ねぇどうなるの
まぁ焦らないで
坊っちゃん 嬢ちゃん
再び閉じ込められた
人形師
ここでようやく気付きます
自分が騙されている事に
でも人形師は
貴族様を責めませんでした
それは何故でしょう
友達だからです
>>102の続き
あぁ何という事だ
それでも信じているのです
余程うれしかったのでしょう
友達と云われた事が
何とまぁ
そして友達と云う言葉程
呪いが強い言葉はありませんね
そう思わないかい
坊っちゃん 嬢ちゃん
なんで泣いているのかな
刻々迫る
命の火が消える刻
人形師は考えます
どうすれば
人々は再び笑顔に
なれるのか そうだ
人形になればいい
早速作ろう
自分の人形
トンカン カントン
できたは良いが
次に何をすれば良い
そうだ
心臓に
心を乗せて
抜き取ろう
でも入れるのは
誰でしょう
人形ですよ
自分に従順な
人形です
自分の心臓と心を
抜いた人形師
人形は入れます
心臓と心を
でも目覚めません
人形は待ちました
自分が朽ちるまで
いつまでも
如何でしたか
坊っちゃん 嬢ちゃん
この愚かで哀れな
人形師の物語
この私の物語は
ぱち ぱち ぱち
拍手をありがとう
来てくれたお礼に
人形をあげましょう
笑顔になりましょうね
(作者ヨリ)
見てみたら100スレ行ってました
…飽き性でネガティブな
22歳の放浪者(バガポンド)が
此処までいくなんて
思ってもいませんでしたよ。
やー めでたや めでたや
おー!
百レスおめ!
>>105
ありがとう!
「フロイント・アーデル」
かぁてんこぉる
ぱちぱち拍手
さぁまた始まるよ
わぁわぁと
寄っておいで
坊っちゃん 嬢ちゃん
開演には
まだ少し待ってくれるかな
ほら赤い飴をあげるから
いい子に三角座り
してようね
ごめんね 待たせたね
糸が絡まっちゃってたんだ
私を貶めた
貴族様
かつての友達
いや違う
今も友達だ
ねぇ早くみたいよ
焦らせないで
いい子にしてろと云ったろう
お城に住んでる
貴族様
民に慕われる
良い貴族様でした
ある日こんな噂を
聞いたとさ
自分よりも人々を
笑顔にできる
人形師がいると
僕の町に
そりゃ一目会ってみたい
僕よりも
慕われる者が
いるのなら
城を出た
貴族様
会う事で
互いの運命の
歯車が
ギギィと歪に音立て
廻り出す事を
まだ知らない
トンカン トンカン
鎚の音
ここにいるのか
町一番の人形師
これは客人
珍しい
こんにちは
何の用でしょう
僕と友達に
なってくれ
人形師よ
城に来てくれないか
君の為に用意しよう
広い工房を
人形師
友と云う初めての言葉に
感激し
友達になった
貴族様と人形師
ここからです
貴族様の心に
魔物が
住みはじめたのは
城に招いた
貴族様
ようこそ
町一番の人形師
僕の友よ
案内しよう
工房へ
逃がしは無い様に
扉に鍵かけて
君をここに
閉じ込めよう
僕の町で
僕より噂に
なるなんて
許せないから
君を招いたんだ
檻の音だよ
気にしないで
頑張って
作ってね
僕の為に
友の為に
地下工房に
鎚の音
トンカン トンカン
作られた人形
何れも今に
動きそうだ
ガタガタタ
突然動く
人形達
貴族様
驚き腰抜かす
人形達
貴族様の方に
ギョロリ振り向き
膝をつく
従います
どうぞ何でも
お申し付けを
それならば
町に行き
民に害を
与えてくれ
これでいい
僕が慕われるなら
民に害があろうが
知った事じゃない
黒笑浮かべる貴族様
そこに
かつての貴族様は
もういません
いたのは
心を嫉妬に燃やされた
己の称賛のみを欲する
一人の人間ではなく
一匹の魔物なのでした
この時の
人形師は
知る由もない
友達が
魔物になって
自分の作った人形が
人々に害を
なすなんて
町に人形降り立った
人々の逃げと悲鳴は
狂気のワルツと
ゲシュライ・プレリュードだ
厄災のギグを用意した
指揮者の貴族様
自作自演のリフは
準備済み
民達よ
あの人形達を
作りしは
町一番の人形師だ
人形師を許さない
怒れる民達に
僕はこう云った
悪の人形師は
この僕が
退治しましょう
僕に対する
拍手喝采
これなんだよ
もっと僕を
慕って敬え
ほらさっさと
民草共が
グズグズするな
僕は貴族様だ
ここから先は
前に話した
通りを参考に
今回のお話
これでおしまい
坊っちゃん 嬢ちゃん
貴族様は
如何なったか
今もここにいるよ
私の人形として
友達として
さぁさぁお帰り
坊っちゃん 嬢ちゃん
親の所へ
朝告げ鶏が
鳴いたから
ここでお別れ
また会おう
会えるかな
「金満虚心」
友の沙汰も金次第
赤の他人に
金積んで
友達装わす業が
本当にあるだとさ
其の場凌ぎの
孤独紛らし
楽しい 楽しい
誰の為
他人の為
そんなわきゃない
自分への上げ指が
欲しいだけだろう
友充あぴぃる代行業
ご先祖様へも金次第
赤の他人に
金積んで
墓へ参わす業が
本の当にあるだとさ
ご先祖様も
馘捻る
こやつは誰だと
墓参り代行業
他にも色々
代行業界
忘れちゃならない
呪祖代行
丑の呪神への
願い事
代わりに
請け負うと
云われとます
宿題工作の
代行業
子にやらせたくないからと
親心
ロクな大人にゃ
なれないね
金が満つりゃ
人の心は
虚となる
「王は故に である」
人はこの世から去るたら
何に先ずなると思う
王様になるんだよ
人から姿は
見えないから
好き放題
何処へだって
行き放題
この浮世を
楽しもう
あっはっはと
笑い乍
飛んで行く
君を空を
私は
見上げる
彼の者は
知らないのか
誤魔化しているのか
何処へだって
行けるのなら
想ひ人の処へも
行けるだろう
生前思いを
伝えられなかった
今度こそ
想ひ人よ
此方を
向いてくれ
そして
云わせてくれ
貴方を思ふ者は何時でも
貴方の傍に
いたと
其の声は
想ひ人に
届かない
なら姿も
見えないさ
大粒の
涙珠を流する
王様は
何とまぁ
孤独な
王様で
ありましょうか
好き放題
していても
想ひ人に
伝える事はもう
出来ないのですから
「喜亡生叫」
(ヨロコビナキハ イケシモノサケビ)
骨はだけた
白手で招く
おいで おいで
此方へと
目玉片方
落ちた顔で
ぎょろりと見つめる
其の先は
三味線
弾き語る
坊主様
うとりと
聞き魅いられて
次々仲間が
浄土か
地獄へ
葦原中つ國を
去る者達への
慰め歌
坊主様は
今日も
弾き語る
亡者仲間に
誘われ今日も
弾き語り
坊主様の元へ
行って来ます
今日は何やら
仲間が怒りだ
何故だろか
坊主様が
弾き語る
三味の線音
あの頃の魅力は
何処へと行った
あの音を聞いて
私も漸く
逝けるかと
浄土か
地獄へ
役に立たぬ
坊主はいらぬ
雑音奏でる
坊主の耳を
引き千切れ
女の事ばかり考える
生臭坊主の
脳味噌を
掻き摺り出して
代わりに
石を詰めようか
今はもう
我等を浄する
歌は無い
代わりに
我等が
歌うだけ
生者よおいで
此方へと
共に歌おう
喜と叫に分けて
「人形が遊ぶ」
人形は遊ばれる
腕を千切られようと
只 其処にあるだけ
目をぶちりと
毟り取られても
人形は
表情を変えない
綿が出てきた
人形にとっては
人間にとっての
内臓である
色々な所を
いじられて
弄ばれて
人形とて
平気な訳がない
そして思う
私達だって
遊びたい
人間で
ねぇねぇ
人間 何して遊ぶ
かごめかごめが やりたいよ
後ろの正面だぁれ
わぁい私達の
かぁち
周りの人形が
騒いでる
何するの
そうだ
私達がやられている事を
しましょうよ
それじゃあ
何しよか
わたしは腕を
千切られたから
腕にしよう
ぼくは目を
毟られたから
目にしよう
それよりも
中身が見たいな
人間の
私達は
綿でしょ
人間は
どうなのかな
人形達は
無邪気な
好奇心で
人間に群がる
ありゃりゃ
綿じゃないんだね
赤い綿なんだね
人間て
「不噛合」(カミアワズ)
月に住む
美しの君よ
餅をつく兎は
其処にいるかい
ぺったん ぺたん
此方の兎は
餅をつかないけど
元気に野山を
走り回るんだ
月の友たる地球に住む
名知らぬ男子よ
そちらの四季は折々ですか
私は一度
地球に
降りましたが
人の美しさ等
霞の様で
もう一度
見に行きたいと
思いました
僕は知りたいな
貴方の名が
なんて云うんだろう
私の名は
輝夜姫と
云うのです
とても素敵な
名前だね
輝夜姫
私は貴方と
話していると
何処か楽しいです
僕もだよ
ねぇ次は何時
会えるかな
わかりません
この文のやり取りは
私と貴方だけの
秘密ですから
私にしかわからない
地球の男子と
僕にしか見えない
月の美しの君との
何処か噛み合っていて
何処か不噛合の
文のやり取り
三匹の子豚
何時も仲良く
暮らしてた
日常平和の謳歌
其れを壊す
腹空きの狼が
涎だらだら
丸腹肥えた
三匹子豚
御飯は彼奴達だ
長男は作る 藁の家
次男は作る 木の家を
三男は作る 煉瓦の家
藁の家と木の家は
狼の息で
びゅびゅうと
飛ばされた
長男 次男
たったか逃げる
狼其れを
だっだ追う
待てこら逃げるな餌共が
三男の家に
逃げ込んだ
狼びゅびゅうと
吹いてても
壊れやしないの
煉瓦だから
しょうがない
狼諦め
帰ってった
其の侭
居座る
長男 次男
掃除しろ
綺麗にして
お腹が空いた
ごはんを用意しろ
家を建てろ
長男と次男の分
建てた
そして三男
火をつけた
二匹の兄の家
ごうごうと
焼ける音
もくもく
いい匂い
釣られ来たぞ
腹空き狼
逃げないと
長男次男
窓から逃げる
けど抜けない
其れを見て
やつれた顔で笑む三男
良かった ぴったりだ
うふふ うふふ
腹空き狼
満腹狼になって
帰ってった
「虫の苗床」
暗い深い
森の中
動かなくなつた体を
虫達が食べに来る
きいきい鳴いて
もそもそ体を
這つて上る
体がこそばゆい
開いた
口に
巣作つて
肉をぶちり
餌にして
蟲育て哉
月を臨む
母蝿は
腐肉に仔を
産み落とす
蛆等は
じゆるじゆる
顔の中
他の虫達も
ぞろぞろ
体の中
気持ちが悪い
筈なのに
気分は何故だか
子を育む
母の様だ
愛おしい
人間ではない
かといつて
屍でもない
今の自分は
虫の苗床だ
そう思える
「白銀問答」
雪降る白空に
目を遣り
其の視線を
地へと移せば
いるみねいしよんが
ちかちか光る
拡声器からは
冬に因む音楽が
飽くる程に
耳に来た
街歩く人々見やば
互いの温もり求むる
男と女が
ちらほらと
人は聞くだろう
こんな時期に
人間観察なぞ
面白いのかと
外に出楽しむのは
如何かと
私は答えよう
面白いさ
ほら御覧よ
彼処で
ぎやんぎやん
云いあう
男と女を
まるで
犬の様だろう
くつくつと
私は口元
隠して目を細め笑う
其れに私には
寒で冷えた手を
暖める者等
居やしない
独り者の
身 故に
外に出
楽しむ勇等
ありやしない
臆病者さ
どうせ
行つたつて
何も無い
ならば
暖かい部屋に
引篭つて
蛞蝓と
なつた方が良い
そう思わないかね
と 私は人に
質を投げ返す
そして青鯖缶を
開けて
一つ口へと放つた
「空の壺は何で満つるやら」
他に汚された私を
貴方は何処まで
消してくれるだろうか
見知らぬ者に
拐わかされ
私の秘所を姦されて
泣きじやいて帰つて来た私を
貴方は只黙つて
抱き締める
其の侭
貴方の匂いが
染み付いた寝の床へ
私は倒され
上に跨がり
貴方は囁く
何処を姦された
云つてみろ
云いたくない
私は拒んだ
云わなければ
消す事が
出来ないだろう
妖しく笑い
艷気を含んだ
声で云つた
震える手で
私は己の体に触れた
忘れさせてやる
消してやるさ
乃公の手で
だから泣くな
記憶の為だけに
啼いて良いのは
乃公の為だけだ
体が重なる
映る影も又重なる
消して欲しい
貴方の手で
記憶を
そして満たして
貴方の物で
何も無くなつた
私の空壺を
「文字館 孤ノ主」
古ぼけた外装に
蔦が張つている
中は蜘蛛の巣ばかり
こんな所に人なんて
住んでいるのか
と里人は頚をかしげる
本当にいるのだ
嘘では無い
外から声がする
喧しい事
この上無いな
目玉の入つた
かんてらと共に
外を見下ろす一人の影
其れこそが
この館の主である
私には
不思議な力があつた
者を物を
文字にす力
だから他に
化物だと
疎まれた
だから私は
人で在り乍
人では無い
以前
迷い込んだ猫は
文字にしてあげたよ
理由は無い
強いてあげると
するならば
私に質問を
したからだ
館の主は
今日も孤である
漂う文字は
今日も意味を成さず
主の為に
「愛閉ジノ檻」(メトジノオリ)
私が入つている
檻の外にいる
貴方に手を添える
貴方は
何を考えているのか
判らない表情で
私の首に
触れ返す
そうだつた
貴方は愛情を
伝えるのが下手だから
私を檻に
閉じ込めたのだつけ
逃げない様に
首輪と紐迄
購つて
色は青だよ
私の好きな
色だから
貴方は云つた
嫌な事はしない
檻の中に
居てくれるだけで良い
だから私は
ずつと檻の中だ
外の世界なんて
知らない
知らなくて良い
私にとつては
貴方が世界だ
貴方が何処か
別の世界へ
逝つたら
私も又
貴方を追い
其の世界へ
逝く事でしよう
貴方は世界で
世界は貴方
なのだから
(作者ヨリ)
私ガ小サイ“ッ”等ヲ
大文字ニシテイルノハ
ワザトデアル
決シテ間違イデハ無イノデ
アシカラズ
「背徳ニ請ウハ道徳カラノ解放」
ねぇ
次は何時
会えるの
何人の誰に
云つたつけ
この言葉
布に
己の体を包み乍
私は呟いた
布には
互いに交合つた
匂いが
未だ染み付いている
私は
奪う事でしか
人を愛せない
こんな私は
可笑しいのだろうか
否 可笑しくは無いな
奪う事が悪いと云うのは
其れは只の周りの
道徳的価値観だ
奪う事は
私にとつての
価値観だ
道徳的で
在る事は
私にとつての
苦痛でしか無い
洗脳的道徳から
解放されたくて
私は他人の愛を
奪つた
背徳と云う
禁断の蜜の味は
とても甘美であつた
他の愛が
私への愛と
変わる様は
私を
快楽の泥沼へ
頭の先から
溺れ堕とさせる
沼からは
もう這い上がれ無い
這い上がら無い
道徳と云う洗脳から
解放されるならば
其れで良い
「音終弾」(ねおわのたま)
乾いた銃弾は
又一つ音を
終わらせた
虚空に目を遣り
吐く息の白さに
寒を感じる
赤に染まる地と
倒れる人間を見て
呟く
駄目だ
今日も
去る事が出来なかつた
この退屈に
崩れ去る世界から
去りたいなら
去れば良いだろう
自らのこめかみに
銃口を向けて
其れで終わり
この世界から
去れるぞ
其れが駄目なんだ
もう一人の自分が
拒むから
我は汝
惨憺たる者なり
汝は我
弱き者による
壊を望まず
強き者にて
壊を望みたり
音に終わりを
告げし者が
涙を流す
御前では無かつた
「病風」(やまいかぜ)
己の不摂生
其処に祟りて寄るは
病風
躰の隙に
入り込んで
凡百病を引き起こす
風の邪
肺が炎か
或いは別か
全が蝕まる前に
医者に診て貰え
針の一射し其で了だ
だが病の魔は
風に乗つて
又やつて来た
全が蝕まりや
動けず仕舞いの
其で了で
天井の
木目仰ぎ
苦を抱えん
「眠 子子 寝」(ネ ネコ ネ)
夜ガ来タリ
命或者ハ
眠リニツコウ
船ヲ漕グ躰ハ
岸ニ着ケテ
コクリ コクリ
羊ガゾロゾロ
メエメエ鳴イテルヨ
数ヲ数エテ
壱匹
弐匹
参匹
眠レ無イナラ
温カイ牛ノ乳ヲ
カツプ一杯
子守唄デモ
聞キマシヨウ
揺籠ニ
躰ヲ埋メテ
金糸雀ガ
唄ツテ
上ノ枇杷ノ実
揺レテ ユラアン
蔦ヲ木鼠
ユサユサ揺スル
夢ニ黄色イ
月ガ出テ
スヤア スヤア
フワア
目ヲ閉ジテ
グウ グウ
「言葉届ど只卑下たる己」
私の綴る
言葉は魚である
逃げる魚を
針と云う
筆で釣り
たもと云う
紙にて捕らえる
さしずめ私は
太公望
私の綴る
言葉は虫でも或
逃げる虫を
蜜と云う
墨で誘い
籠と云う
本にて捕らえる
さしずめ私は
麦藁帽の
夏山駆ける
虫採り少年哉
否 私は只の
年を喰つた
人間の女
美しさも
可愛気すらも
存在しない
居ても居なくても
変わらない
其れが私である
「釘と標本」
釘と云うのは
実に便利だ
物を其の場に
留めて置ける
欠かせないのは
本だ
留めた物を
挟ま無ければ
標本にはならない
釘を片手に
私はアハハと笑う
両手両釘
両足両釘の
君は問う
恨みでも
何か在るのかと
有るには或
私は他者が
嫌いだ
君は
私にとつての
他者だ
けど君が
他者と
笑うのを見るのは
もつと嫌いだ
そして私は
標本が好きだ
生きずして
黙ても尚
生きている様だから
君が
私にとつての
他者で無くなるには
如何すれば
答えは簡単だ
私の好きな
標本にすれば良い
だから君は
私の好きな
物で
在つてくれ
光る釘の切つ先よ
最後の一刺しを
君にあげよう
「脳界異探」
在る者が云つた
私の脳内を
覗いてみたいと
如何やつたら
其んなに言葉が
出てくるのかが不思議だと
止めておけ
迷うぞ
と或国の少女みたく
案内役等も
存在無い
繋がらない
階段は無数に在り
橙と黒の混じる
昼か夜かも判らぬ空に
汚濁なる海と
反して地に白砂が
在るだけだ
其れでも
いいと云うなら
覗くが良い
私の脳内に
道は無いが
猫と足跡に
付いて行くと良い
桃色の象には
触れるなよ
彼奴は凶暴で
頭蓋は
簡単に粉と臓物に
なるからな
地面をうごめく
群毛虫にも
触れないでくれ
私が笑う
猫と足跡が
途切れたら
杉の木を切れ
そうしたら
目が覚める
「言ノ葉の魔法使い」
私は
魔法使いである
あらゆる言語を使い
新たなる呪文を創り出す者
世や人は
其を詩と呼ぶ
私は憧れた
サムボリスト・アン・ノワァルに
其の者は何時も
黒ずくめの帽子と
マントを愛用し
仲間と共に
複雑難解な言葉記されし
高度な魔導書を読み更けていたと云う
其の者の創造せし呪文は
現代においても
数多を惹き付け魅了する
私も又
惹き付けられた者の
一人故
魔法使いと
なった
未だ未熟な
魔法使いだが
私なりの
呪文を描きし
魔導書は
これからも
思いつければ
書いていこうと思う
「傲慢女王 首バケツ」
女王の声は
民の耳に良く通る
民の声は
女王の耳には届かない
女王は
肥えている
民は
飢えている
女王は云う
飢えているのなら
食べ物を食べれば良い
民は云う
食物は何処に在る
女王は指す
其処らに在るじゃない
民は指す
虫や雑草の事か
そうよと
女王はケラケラ
ふざけるな
怒れる民
逆らう者は
首斬りで
兵に女王が命ずる
斬首の民は
バケツの中
絶対独政の
傲慢女王
其の姿は
獅子か孔雀か
吼えて荒げ
絢爛装飾
だが其れも
長く続かず
斬首台の上に
女王が居る
取囲み
未だか 未だか
待ちわびる民
女王の姿は
何処にも無い
在るのは
牙無き獅子か
尾羽根毟れた孔雀か
ギロチンは
首を斬った
女王は
バケツの中だ
「叶わぬ夢は己為の娯楽」
遠き座に在りて
手元に残らぬ銭程
虚しい物は無い
朝から夕迄
己の時を贄にし
生くる為に働いた
己が何れだけ
働いたかは
紙に記された
数字のみぞ知る処
紙を持ち乍
私は帰路に着く
皆で働かねば
生活は成り立たない
だが少しでも
娯楽は在る
片方だけだが
もう片方には
殆ど無い
くれる余裕は
無いと云い乍
片方の娯楽を楽しむ姿は
正直羨ましい
余裕は無い事は
知っている
だから私は
我慢を
し続けている
賞与すらも
生活の為に
捧げた
本当は
己の為のみに
使いたかった
叶わぬ夢を
持ち乍
私は今日も働く
目の前の
人参を食べられぬ
馬の様に
「脳界探人」
彼の者の
脳界は
実に不思議だ
階段は
階段の意義を
成してはいなかった
空の色は
目眩がする程の
橙と黒が
白砂を歩いていたら
生物は住んでいない
汚濁な海で
否 生物はいた
生きていない物だったが
コクリコの様に
赤い森の中で
桃色の象が
酔っ払いみたく
機嫌良く踊っている
近付いたら
頭蓋を
潰されそうに
良く見たら
怒って
暴れているのだった
危ない 危ない
案内の
猫と足跡が
跡絶えた
目の前に
杉の木と鋸が
切り倒したら
元の世界へ
帰れたが
戻れなかった
「炬燵漫談」
炬燵の上に
蜜柑が篭に一杯
其の一つを剥いて
口へと放り
端からも見て
自分達からも見て
下らない漫談を交わす
蝸牛と蛞蝓の違いは
何か
答えは殼が在るか無いかと
仲間が云う
では美女や美男の
定義とは何かと
仲間が云う
私は云った
人は性格以前に
見た目を見る
顔と体だろう
幾ら性格が
良くとも
顔と体が
良く無ければ
異性は振り向きにくい
そうだろう
剥いた
蜜柑の皮で
熊が出来た
此方は
皮が途切れずに
此処まで長く剥けた
今度鍋をしようか
材料は如何する
何か適当に
一品ずつで
世間では
其れは鍋では無い
闇鍋と云うんです
炬燵の上で
広がる
漫談と笑いは
下らないが
平和で或
「賽子賭天獄博」
丁か半か
さあ何方だ
選べと急かす
半だ
奇に賭けて
よござんす
賭けた結果は
丁で
負けざんす
又負けた
畜生もう一回
賭ける物は
未だ有るのか
嗚呼 有るさ
自らの命を
賭けてやらあ
次で
倍以上に
してやるよ
あんたさんの
たった一つの
命は
此の二つの
賽子に
委ねられやした
切った
張ったの
丁か半か
選びなすって
今度は丁だ
偶に賭けて
よござんす
結は果にして
如何に
ピンゾロの丁で
ございやす
救われやしたね
賽子に
此れが有るから
止めらんねえ
次のチンチロ
有り金全て
賭けて
賭博長者と
なってやる
丁か半か
何方を選び
天を見るか
獄を見るか
丁に次も賭けてやる
さあ結果は
如何に
おや
あんたさんの
負けでござんすね
有り金全て
戴きやしょう
序でに
命も
戴きやしょう
半でやんすから
「達磨の愛し君」
達磨になった
気持ちって
どんな気持ち
歩ける
立つ事
出来ないよね
お風呂も
ご飯も
日常生活全て
私が居なきゃ
いけないよね
なのに君は
一度も私を
愛しちゃいない
其れ処か
礼も無し
今から私が
君から離れたら
何が出来るかな
歩く足が
無くなって
食べる手も
失って
其の全てを
やっている
私が
でもね
ごめんなさいって
云えたら
私を愛して
くれるなら
許してあげる
其の為に
口だけは
残してあげたんだ
手と足は
何処かと
聞いたね
手はもう
返したよ
君の中に
足も今から
返してあげよう
口を開けてよ
でないと君に
返せない
いらないなら
私が貰うよ
私の中に
ごめんなさいって
良く云えたね
いい子 いい子
でも恐怖から
私を
愛さないでね
心の底の
底から
私を
愛してね
愛し君の達磨さん
「御伽語 夜共浦」
細波白立つ
青の海
其処に似合わぬ
亀苛めの餓鬼達
のろまだ 蹴ってやる
痛みに耐え
助けを願い
現れは
腰簑履きし
釣青年
金で餓鬼釣り
亀助けん
助けた亀に
連れられて
向かいた先は
海底に在りし
絵不描なる
美しき竜宮城
迎えたるは
竜宮の姫君
暫く居なさい
この城に
貴方に退屈
させません
昼の時も
夜の時も
昼は魚が
舞い踊り
夜は
体の遊戯を
致しましょう
楽し時を
過ごし続けて
幾星霜
帰りに
渡された
玉手箱
海から
久しく
地を踏みしめ
母の元へと
急ぎたるも
母は亡し
村の者達は云う
放蕩息子の
お帰りだ
お前の母は
帰りをずっと
待ち続けた
出ていけ
親不孝者が
さ迷う青年
箱を開けるも
僅かな飾り物
時が経ちて
砂浜を
虚ろに歩く
一人の翁
翁は
探し続ける
亀よ
出てきてくれ
其して私を
もう一度
あの場所へと
(作者ヨリ)
此処に書いている詩全ての
題名が決まった故に
載せていきます
引き続き詩の感想を
お待ちシテオリマス
(荒しや悪口は犬に喰わせます)
最初に載せるのは
何を“もちぃふ”にしたかとか
“しりぃず”系から
…どうしよう
無くしてしまった“のぉと”を…
おー!久しぶりに来たらレス伸びてる!相変わらず上手いねぇ
147:ねこさ◆pU:2017/12/28(木) 11:04 久しぶりです。
アビスさんの詞はやっぱり素敵です!新しいのも待ってます
>>146 >>147
嬉し過ぎるわぁ…(嬉泣)
今此処で“たいとる”全部書くから
其れ迄待っててね。
第壱部
>>23>>24
『灰ノ姫』(シンデレラ)
>>25>>26>>27>>28>>29>>30
『少女ノ不思議』(アリス)
第弐部
>>32>>33>>35
『文字館 好奇猫』
>>37>>38
『七人岬 罪数』
>>42
『御伽語 何方葛』(舌切雀)
第惨部
>>44>>45>>46>>47
>>48>>49>>50>>51
『磨羯鋏』(狼と七匹の子山羊)
>>54>>55>>56>>57>>58
『御伽語 猿蟹奇譚』(猿蟹合戦)
第肆部
>>59
『竜胆女 加』
>>71
『竜胆男 虐』
>>61>>62>>63>>64
『御伽語 火茅兎』(かちかち山)
>>65>>66>>67
『災笛』(ハーメルンの笛吹き男)
第伍部
>>69>>70
『怪少年』
>>73>>74>>75
『文字館 愚ノ冒険者』
>>83
『文字館 遣蝙蝠』
>>76
『ネクロ性愛』
>>77
『睡眠フィリア』
>>78
『オキュロ愛好』
第陸部
>>97>>98>>99>>100>>101
>>102>>103
『哀愚の人形師』
>>107>>108>>109>>110
>>111>>112>>113>>114
>>115
『フロイント・アーデル』
第七部
>>121
『焼豚』(三匹の子豚)
>>125
『文字館 弧ノ主』
>>142
『御伽語 夜共浦』
第捌部
>>1
『幽追歌』
>>2
『喰魚』
>>3
『黄泉歩』
>>4
『曰招』
>>5
『恋病女』
>>6
『二添』
>>7
『誰か』
>>8
『魔カ宴』
>>9
『螺折』
>>11
『悪戯角灯』
第玖部
>>12
『南瓜の報復』
>>14
『小箱親』
>>15
『鶏絞』
>>17
『林檎化族』
>>21
『一夜限道化』
>>60
『氷女王』
>>72
『華汚』
>>79
『赤クレヨンと少年』
>>80
『色山羊に妄呵責』
>>81
『吉遊情事』
第拾部
>>82
『兎に思ひ 角も人』
>>85
『洗い髪のヴイナス』
>>87
『桜花の正腐虫』
>>88
『泥壺』
>>89
『大正明暗混々』
>>91
『惰する操人ノ形』
>>92
『嫉蛇妬犬』
>>116
『金満虚心』
>>117
『王は故に である』
>>118
『喜亡生叫』
>>119
『人形が遊ぶ』
第拾壱部
>>120
『不噛合』
>>122
『虫の苗床』
>>123
『白銀問答』
>>124
『空の壺は何で満つるやら』
>>126
『愛閉ジノ檻』
>>128
『背徳ニ請ウハ道徳カラノ解放』
>>129
『音終弾』
>>130
『病風』
>>131
『眠 子子 寝』
>>132
『言葉届ど只卑下たる己』
第拾弐部
>>133
『釘と標本』
>>134
『脳界異探』
>>135
『言ノ葉の魔法使い』
>>136
『傲慢女王 首バケツ』
>>137
『叶わぬ夢は己為の娯楽』
>>138
『脳界探人』
>>139
『炬燵漫談』
>>140
『賽子賭天獄博』
>>141
『達磨の愛し君』
やっと…全部書けたぜ…
これで新しいの書ける…
早速書こう
「罪光」
罪の色は
闇に例えられる
罰の与色は
光と例えられる
では
光の罪は無いのだろうか
闇の罰は
聞いた事あるが
光は
凡百物を照らし出す
其の誰もが
光の中で
生きて行ける訳では無い
闇の中でしか
生きていられ無い者もいる
だが光は
闇を潰さんと
輝き続ける
目が眩む
開けては
いられない
光よ
全ての闇を
かき消さんと
照らし続けるのは
やめてくれ
闇でしか
安寧を得られぬ
我等の住を
奪うな
罪光よ
『厨の歌』
右目が疼く
我が目に宿りし
索敵の眼が
闇に潜む
我が敵の所在を
教えてくれる
其の敵は
我にしか
見えぬ故に
我にしか
討てぬのだ
幾度となく
狩りし物の血で
手を濡らし
狩りし物の骸で
道を歩んだ
其処に我以外
何も無い
我の友は
骸である
「酉から戌へ」
今年も時は流れ
新たなる年が始まる
今年を守護せし
干支の酉は
次の年を守護する
戌へと襷(たすき)を渡す
人間に有る百八の
煩悩打ち消す
除夜の鐘が
ごぉーんと鳴り
酉はコケェ
戌はワンと鳴いた
(作者ヨリ)
>>164の詩について
今年も終わりなので
即興で書いてみたよ
では皆さん!
良いお年を!
「自傷王国」
(スーサイドキングダム)
とある国の
住民は
皆何故か
傷がある
どうしてなのかと
聞いてみた
それが
この国だと
住民答え
また傷を作る
腕に
カッタアを当てて
スパリと切った
流れる血を
周りも本人も
止める気は無い
これでもっと
褒めて頂ける
あの方に
突如現る
全身傷だらけの
女の人
女王だ
女王様だ
喜に沸いて
血が飛沫く
住民よ
今日も素敵ね
傷だらけで
光栄です
お褒め頂けるなんて
さぁ皆さん
今日も張り切って
傷を作りましょう
傷を作れば
美も醜も
関係無いんです
平等になれるんです
此処は
自傷王国だ
そう呟き
足に畳み刀を
突き刺した
そうした方が
良いと思ったから
女王様の
仰せの侭に
「自傷規則」
(スーサイドルウル)
奇妙至極たる
其の規則
自分で
傷を作りなさい
傷を作る
部位は
何処でも良い
でも
彼岸の方へ
逝っては
いけません
他人に
傷を付けられたら
付けた方も
付けられた方も
斬首台で
仲良く
斬りましょう
使う物は
何でも
良いのです
鋏でも
カッターでも
氷穿棒でも
兎に角
傷を作れば
良いんです
誰もが
従わないだろう
其の規則
でも
住民は
従がっていて
其れでいて
幸福そうだ
平等だから
皆傷付いて
いるのだから
「自傷女王」
(スーサイドクイーン)
今日も
平等ね
私の国の
住民達は
やっぱり
正解だったわ
自らの傷を
作るのは
最初は皆
恐くて震えて
反発もあったっけ
でも私は
女王だから
住民に見せしめた
先ず自分の足に
釘を刺した
次に
熱した鉄棒を
腕に押し付けたの
住民は其の度に
悲鳴を
上げていたわ
でも私には
私を讃える
歓喜に
聞こえたの
否 そうに
違い無いわ
そうじゃないと
駄目なの
私が
自ら模範に
なったら
自分達で
傷を付ける様に
なったのよ
嬉しいな
判ってくれて
ほら見てよ
住民達が
楽しそうに
傷を付ける
姿を
幸せそうでしょう
平等でしょう
だから私の国は
争いが無いの
平和なの
どうやら女王は
民を憂う余り
心に重症を
負ったようだ
だから彼女は
女王なのだ
「忘れられぬ 忘れられた物」
人が造りし
人に富を
与えたもう物は
大地の嘆きに因って
崩された
其の時に現れた
見えない災は
人に寄り添い
人を蝕んだ
其の禍根は
子孫にも
現れる
常と異なる
姿となって
そして其れは
人以外の
生物とて
例外では無い
茸は化け
魚や獣
動く物は皆
人が造りし
富に因る
災にて
まるで
神話に出てくる
混成獣と化した
其れにも関わらず
人は時が経てば
忘れる生物
新に生まれる
子達に
語り継げようか
忘れられぬ
忘れられた物よ
嘗ての
人の居た場所は
緑の地となりて
「人時計」
人が持つ
時計は
皆其々
違うらしい
刻む時の
速さは
ゆっくりなのか
早いのか
刻む時の
早い時計は
ゆっくり進む事は
無い
刻む時の
遅い時計は
早く進む事を
強いられる
だけどどちらにも
止まる時は
何時か来る
早い分
止まるのが
早い訳では無い
遅い分
止まるのが
遅い訳でも無い
人の持つ
時計と云うのは
判らない
だが
早いのか
遅いのかは
其の人を
見れば
判る事
「人時計」なかなかいいゾ
172:アビス◆wc:2018/01/10(水) 00:52 >>171
ありがとう!
「脳界脱法」
どうすれば良い
自分の体に
戻る方法は
脳界に
長く居すぎた
桃色の象が
長鼻を振り回し
怒り狂うて
追って来てる
走った
走ったのだけれど
象が思ったより早い
白砂に潜む
ヤドカリが
足をつまづかせ
象が踏み潰した
私ではなく
ヤドカリを
ヤドカリは
バラバラの
片になっても
ウゴウゴと
こっちだよ
白黒の少女が
手招く其の方へ
危を免れた
でもまだ
根本的問題が
脳界から
脱するには
どうすれば
探人は問う
少女は云った
金の鍵を
探しなさいな
この脳世界の
何処かに有るよ
少女は消え
声のみが響く
嘲笑か
戻りたいと
思っては
いるようだけど
其れが
本当に
貴方にとって
喜終と
なるのかしら
相変わらず難しい言葉多くて解読が少し難しいけど、
やっぱり世界観がめっちゃ好き!
声はかけれてないけど、ちょくちょく顔だして読ませて貰ってるよ(-'ロ'- )
>>174
うぉわあああ!?
本気(マジ)でかあぁぁ!
ありがとうおおぉ!
あー…矢張り難しいかぁ。
何気(なにげ)に
昔の言葉とか使ってるからなぁ。
「強か狐と欲針鼠」
瓦屋敷の
其の下で
怪しく取り引き
狐と針鼠
鼠は差し出す
狼の皮
狐は
鼠へ渡す
山吹の束
鼠はそそくさと
袖の下
何時も
有難い
御狐様
いえいえ
此方こそ
御鼠様
狼共は
私等にとって
疎ましい者でと
鼠が口開き
狼の皮は
高く捌ける
ものでと
狐が
手摺擦り
強欲狐と
針鼠
クックッと
笑う二匹の影を
狼が見ていた
窓の外から
「憤怒の月下狼」
疾走る
疾走る
狼が
憤怒を
其の身に
たぎらせて
どうしてだ
どうして
他に疎ましいと
思われてるだけで
同胞があの様な目に
遭わねばならない
奴等め
許さぬぞ
喉笛を
喰い千切り
助けを乞えない様に
膓を
喰らい漁り
臓物其処等に
散らしてやる
瓦屋敷の
其の下で
狐と針鼠が
己等の
私腹を肥やして
笑っている
狼は
声を荒げ
狐の喉笛を
喰い千切り
針鼠の
腹を
喰い破り
狐と針鼠
どちらの臓物か
判らぬ程に
散らしに
散らした
憤怒に
呑まれた狼は
血光る
月下にて
又声を荒げた
「脳界橙黒空」
橙と黒の交じる
空の上にある
意味の成していない
階段を
歩いていたら
何かがいた
赤子のいない
乳母車を押す
鴉の羽が生えた
乳母がいた
おぎゃあ
おぎゃあと
泣き止んでくれないのよ
なんでかしらと
乳母は
空の乳母車を
指差し云う
確かに
泣き声はする
でも姿は何処に
橙黒空に
一匹の幼鳥が
飛んでいた
坊や坊や
私の児よと
乳母が云う
危ないから
降りて来て頂戴
乳母の警告も
素知らぬ顔で
橙黒空を飛ぶ
幼鳥よ
乳母鳥に抱かれた
其の世界を
全ての世界と
誤りて認した
気分はどうだろうか
嬉しいか
恐ろしいか
其のどちらで
幼鳥よ
お前は鳴いている
坊や坊や
もう戻って来ないのね
私の子
この腕の中に
もういないの
「脳界市場」
扉があった
其の先を潜ると
市場の様な
行き交う人々に
顔は無くとも
すれ違う度
此方を
見てくる
其の視線に
悪意は無く
又善意も無い
此処は何処かと
聞いてみた
市場だと
人は答えた
成程
商品を
見てみた
鴉の首が
突き刺さっている
棒があったり
片腕の無い
双子に
様々な色の
髪の束
割る口が
何処にあるのか
胡桃割り人形
お勧めは
何れと
聞いてみた
人は答えた
この南瓜だと
美味しいのだと
其れは
南瓜と呼ぶには
とても形容し難く
肌色の硬皮
割ったら赤い
種は白く
葉の色は黒くて
蔓の色は
中身と同じく
赤く滑りがある
金の鍵は
此処に無さそうだ
何も買わず
出て行く私を
商と人は
黙って
凝視していた
また直ぐ
賑やかになった
「脳界心晶森」
金の鍵は
何処に
当ても無く只歩く
ふと周りを
見てみる
木々は全て
水晶で
とても幻想的
地面はまるで
絵の具の
中身を撒いて
全て混ぜた
何の色と
判らない
此処は
心の中だろうか
だとしたら
水晶の森は
大人を表していて
彩色の地面は
子供の部分か
目の前を
何かが
横切った
金の鍵を
頸に下げた
猫だった
追いかけた
追い付け無い
猫は時々
此方を向いては
ニャアと一鳴き
歯を見せて
ニヤニヤ笑う
木の上で
余裕尺々眠る猫
木を蹴つたら
簡単に捕まえた
猫から
金の鍵を奪い
帰れると思つた
猫は云つた
蹴つたニャア
蹴つたニャア
心を蹴つたニャア
桃色の象が
赤になつて
お前を
踏み潰しに
来るニャア
笑い乍
猫は消えた
「脳界怒濁象」
金の鍵を
手に入れた
象がいない
今なら帰れる
白砂に現れた
無機質の扉の
鍵を回そうとしたら
汚濁の海より
現れた
怒りに因り
桃から赤へ
変わった象が
津波を
起こして
扉は白砂の
向こうの方へ
流された
コクリコの様な
赤い森から
杉の木茂る
森へと変わる
杉の木薙ぎ倒し
怒濁の象は
踏み潰さんと
追って来る
根につまづいた
もう駄目だ
怒濁の象
眠り転ける
余りの怒りに
身体が
追い付け無かったか
今度こそ
扉を回し
元へと帰ろう
帰って来たが
帰れない
私の身体
燃えている
めらめら
ぱちぱち
少女は現れ
こう云った
だから云ったのに
(作者ヨリ)
今皆の詩をチラリと
覗いてみたけど
清い恋愛系が多いなぁって思う
其して其れを上手に書ける皆が
正直云って羨ましい
私の詩は「歪」な「愛」なら何とか
書ける。
「清」な「愛」は不得手だ。
だから私の詩は皆より
「質」が「異」なるなのだよ。
「不思議」なのだよ。
只其れだけだ。
「一一七の詩」
又一つ
あの時を
迎える
かつて荒れた地に
恐れを抱き乍
災に呑まれし者達への
鎮魂の儀が
一九九五 一一七の
午前 五四六
災禍の襲来
地は盛り
天へは
黒炎吐かれ
人の造った
生命の線は
容易く切れた
其して代わりに
人が
積み重なった
天地に
刻まれた
其の傷は深く
人の心にも又
深い傷が
だが人は
立ち止まっては
いられない
手を取り合い
復興を
忘れまじと
碑を建て
館を建て
言の葉描きし
蝋燭に灯をともせ
祈りを捧げよ
災に呑まれた
御魂の為に
今此の瞬間を
生きる者達よ
其して語り継げ
災を知らぬ
者達へ
「星と共の」
人よ
御前達が
造りあげた
星々より
強き光放つ物を
消してはくれないか
星の歌が
聞こえないから
星は瞬きで
歌を紡ぐんだ
人の様に
口を持たないから
若し星々に
口が或るのなら
瞬き乍
歌うのだろうね
人が定め
名を付けた
星々は
古の人が
そう見えたから
そう付けたんだ
名を付けられた
星々は
如何思うのだろうか
人は何かを
疑問に思う時
馘をかしげるけど
星はかしげる馘を
持たない
若し星々に
馘が或るのなら
疑問に
思うのだろうね
我等は
人間には
そう見えるのかと
今日も空を
見上げるか
星の歌を
聞く為に
望遠鏡と
清涼珈琲水を
共にして
「思い想い重い」
思いが
想いになって
其の想いが
重いになった時
人は如何いった
行動を
起こすのだろうか
最初に
君を見て
思ったよ
嗚呼君は
其んな感じかと
其して私は
其んな君を
想う様に
なったんだ
でも君には
他の想い人がいた
私じゃ駄目かな
其の想い人は
君との思い出は
楽しかったよ
会えない時は
電話で
話したよね
私は照れて
何も話さなくて
君も照れて
直ぐに電話を
切ったんだよね
手紙も
送ったんだよ
でも君は
全く返事を
くれなかった
或れは流石に
傷ついた
今から
君の所へ
会いに行くよ
君への想いを
持ち乍
私の重いを
届けなきゃ
君への想い人は
此の私だけ
待っていてね
「薬黙録」
其れは
吸ったり
飲んだり
打ったりして
快楽を得る物
一度味わって
仕舞えば虜となり
もう二度と
人には戻れない
其れが魅せる
まやかしが
切れれば
現実と云う
地獄が待っている
夢と現の
境目で生まれた
幻覚と幻聴が
責めに
襲い掛かって来るから
幾ら幻に
叫ぼうが
喚こうが
消える事は
無い
だから又
其れに
手を伸ばす
逃れる為に
今の自分の姿を
見て御覧よ
顔色は如何だ
歯は何本有る
髪は
今の啓発広告に
其れの恐ろしさを
伝える力は無い
昔は有ったさ
だが
怖いと云うだけで
今から姿を消した
ほら又
欲しがってる
其れに
助けて貰えると
思って
だが違うんだ
其れは
助けてるんじゃ無い
「影陽」
目が覚めると
何時も誰かが
膝枕をしている様な
感触が有った
でも私以外
人なんて
居ないのに
判らない侭
私は又
眠りに尽く
夢の中で起きた
妙な言葉だが
黒い影が
膝枕を
していた
黒い影は
私の顔を
覗いていた
目は無く
鼻も無い
口は有ったが
影の手は
私の頭を
幼児みたく
慈しみて
撫でていた
目線を
上に遣る
顔面を
削がれた
二匹の金魚が
くるくる
くるくる
回り乍
泳いでる
其れを見て
私は又
眠くなる
夢の中で
妙な言葉だが
黒い影は
眠る私を見て
ニコリと笑って
子守歌を歌った
眠れ眠れ
可愛い児
今日の辛い事を
全て忘れて
此の安寧は
他でも無い
貴方だけの物だから
閉じて
開けよ
陽光が
御早うと
云っているから
「鬱屈と爪」
かじかじ
かじかじ
爪を噛む
父指
母指
順番に噛む
鬱屈が溜まると
かじりたくなる
口の中に貯まる
爪の破片
其れ等全て
鬱屈の破片
かじかじ
かじかじ
爪を噛む
兄指
姉指
赤子指
順番に噛む
ぽろぽろ
ぽろぽろ
口の中から
出て来る
爪の破片
床に落ちた
爪の破片は
抑え切れない
鬱屈の表れ
勿体無いから
何時もの
瓶の中へ
かじかじ
かじかじ
爪を噛む
けれども
噛む爪が
存在無い
だけど
噛ま無きゃ
落ち着か無い
じわじわ
じわじわ
血が滲む
爪と皮の
かじり過ぎ
ぽたぽた
ぽたぽた
血が落ちる
溜まった血は
落ち着きの表れ
勿体無いから
ぎゅうぎゅう詰めの
瓶の中へ
「愛目」
目隠しをされた
君が目の前にいた
カタカタと
震えている
寒いのかな
だから僕は
暖める為に
君を抱き締める
君は云った
何で私は
目隠しを
されているの
僕は云った
君の事が好きで
僕は
恥ずかしがり屋
だから
君に姿を
見られたく無くて
家に帰して
此処は何処なの
何を云ってるの
君の家だよ
違うよ
此処は私の
家じゃない
御免ね
間違えた
君と僕の
家だった
君は今は
視界が
判らない
だから僕が
手を引いて
あげよう
嫌がっている
様だけど
まぁ良いや
目隠しが
解けたら
本当に
無くして
仕舞えば
良いだけ
「崇」
貴女は今日も
素敵です
有り難うと
微笑む姿は
正に
僕にとっての
女神様だ
貴女の
云う事ならば
僕は
喜んで
聞きましょう
重い物とか
持ってあげる
持って苦しんでる
貴女を
見たく無いから
飲物とか
欲しいなら
直ぐに持って来よう
僕だけに
有り難うと
云って下さい
僕だけに
其の微笑みを
向けて下さい
若し貴女が
鬱屈の捌け口を
求めてるなら
僕を
捌け口に
して下さい
打って下さい
貴女の拳で
蹴って下さい
貴女の足で
貴女の手で
此の命が
果てようと
僕は何も
惜しく在りません
寧ろ
喜こばしい
事なのです
だって貴女は
僕の女神だ
其して僕は
貴女の
下僕
なのですから
「頭見」(ずみ)
ねぇ知ってる
人は歳をとったら
頭に雪が
積もるんだ
でも空から
降って
積もる訳じゃ無い
知ってる哉
人は歳をとったら
頭に蛍を
飼い出すんだよ
中には
富士山に
なるのも
有るのだけれど
若いみそらでも
頭に何かを
飼い出す人はいる
例えば
鶏とか
此の國の
四季みたく
人の頭も又
四季折々である
「七大罪の徒」
楽園より
云いつけを守らず
追放されし
アダムとイヴ
彼の者達が
侵した原初の罪
其れと共に
解き放たれた
七大罪の徒等
傲慢の徒たる
獅子と孔雀
地を切り刻み
嫉妬の徒たる
蛇と犬
水に毒を
憤怒の徒たる
狼
燃える血を
怠惰の徒たる
熊
育みを止め
強欲の徒たる
狐と針鼠
命を奪う
暴食の徒たる
豚と蝿
天を喰らい
色欲の徒たる
山羊と蠍
汚れを生む
七つの罪は
やがて
父と母たる
原初の罪へ
還る
後に生まれる
人間等の為に
「茶会の詩」
甘いケェキが
食べたいわ
ケェキは一体
誰が持ってるの
貴方が
ケェキかしら
いいえ いいえ
私はケェキじゃ無い
私は私は
苺よ
貴方が
ケェキかしら
いいえ いいえ
私はケェキじゃない
私は私は
スポンジよ
貴方が
ケェキかしら
いいえ いいえ
私はケェキじゃない
私は私は
クリィムよ
じゃあ一体
誰がケェキを
持ってるの
私よ私
苺が答え
私よ私
スポンジ答え
私よ私
クリィム答えた
私だけじゃ駄目
苺が云い
私だけじゃ駄目
スポンジが云い
私だけじゃ駄目と
クリィムが云った
貴方は誰なの
苺が問い
貴方は誰なの
スポンジが問い
貴方は誰なの
クリィムが問うた
私は私は
ケェキじゃないわ
其れでも私は
貴方達の仲間
私は私は
紅茶よ紅茶
「銃と鳥」
青い空に
鳥が飛ぶ
其処に
向けられた
鉄の銃口
ぱぁんと一つ
音鳴った
ばさばさ
翼のはためかせ
ぼとんと
墜ちた
血と息
途切れ途切れ
首を持って
途切れ途絶えた
「狩られ」
何時までも
狩りし者で
有れると思うな
最初に知り
最期となった
爪で皮と臓を
切り裂かれ
牙で骨を
ボリボリ砕かれた
地に伏し
眠る獅子の横で
血に伏したる私
「蛙の解剖」
蛙を捕まえた
昔から有る
あの実験を
私はずっと
やってみたかった
下呼鳴く蛙を
押さえつけ
臍に天を
仰がせた
手術用短刀を
蛙に中て
上から切って
縦一文字
赤くたらたら
流れる液は
鳴く蛙を
鳴か無い
蛙に変えた
開いた腹から
ヒクヒク動く
蛙の臓物
まじまじと
観察していた
触れてみた
生暖かい
其して
柔らかかった
トクントクンと
脈打つ心臓に
一突きしてみたら
たらたら流れる
赤い液は
だらだら
流れて
全部が全部
動か無くなった
其う云えば
此の蛙は
如何なるのだろう
埋めたらいい
棄てたらいい
「玩具遊べ」
ぱぁぷう
ぱぁぷう
玩具のラッパ音
箱から
出てきた
ガチャラガチャ
皆勇し
行進 行進
ザッザッザッ
お隣さん家へ
遊びに行こう
ニコニコ笑顔
今晩は
お隣さん家の
玩具達
寝惚け眼を
擦ってさ
でないと
貴方達のお八つを
食べちゃうよ
其れが
嫌なら
遊ぼうよ
皆で一杯
遊んだよ
ぽこぽこ
叩いたり
ひゅんひゅん
物を
投げたりさ
きゃはは きゃはは
楽しいね
ぱぁぷう ぱぁぷう
玩具のラッパ音
帰ろう 帰ろう
箱のお家に
一杯
眠って
また遊ぶんだ
「心の中歌」
一人で
何処か別の世界へ
行こうと思っていた
首に紐を
掛けてみた
けど行けない
炭を焚いてみた
けど行けない
眠る薬を
飲んでみた
けど行けない
水に
入ってみた
けど行けない
何故だろう
何故邪魔を
するのだろう
何処か
別の世界へ
行きたいと云うのに
此の世界から
疾く去りたいのに
理由を
聞かれれば
飽きたとしか
云い様が無い
一人で行くのが
虚しく
なってきた
此んな気持ちを
残した侭
行けたとしても
きっと心には
後悔しか
残ら無いだろう
其処の人よ
若し心の中の
気持ちが
同じならば
私と共に
来ては
くれないか
二人で行こう
誰にも
邪魔を
されない様に
「ケェキの歌」
苺が云った
紅茶は何処に
クリィムが云った
ケェキを探しているよ
スポンジが云った
紅茶は知らないの
私達が
ケェキだと
云う事に
紅茶は聞いた
ケェキは何処と
ラスクに聞いた
ラスクは云った
ケェキじゃないから
僕は知らない
クッキィに
聞いて御覧
紅茶は聞いた
ケェキは何処と
クッキィに聞いた
クッキィは云った
ケェキじゃないから
私は知らない
苺と
クリィムと
スポンジに
聞いて御覧
でも個別に
聞いちゃ駄目
三つ一辺に
聞くんだよ
紅茶は聞いた
ケェキは何処と
苺とクリィムと
スポンジに聞いた
私よ私よ私と
一辺に云った
気づいた
気づいた
漸く気づいたの
ケェキは私達
誰も欠けちゃ
ならないの
だから私達が
ケェキなの
「深淵因り出づる」
(200スレ突破記念詩)
私の詩を
善か悪かと
問うならば
人は悪だと
云うだろう
私も書いて
そう思う
私は日常が
得意では無い
非ィ日常が
好きなのだ
皆は
綺麗な詩を
書けている
其れが
多々暗くとも
だが私は
全く違う
兎に角
暗いのだよ
一時は
皆が書く
綺麗な詩に
憧れた
だが私は
光に手を伸ばし
此の身焦がされ
滅っされる事を
恐れる故の
臆病者
だから私は
不思議と
云われる
暗き
詩しか
ほぼ書けんのだよ
我 深き淵因り
出でし者なり
其処から連なりし
凡百闇よ
我が身を
包みて
光焦がれぬ
者へと…!