思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。
↓
電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする
今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る
レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ
何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”
今日 押し入れの
中の人形が
首を吊りました
箱の中に
入れていた麻縄で
吊った人形の体を
ブランコよろしく
押してみましたら
前や後
右や左に
ギシギシ揺れました
其の麻縄は
私が人形の為に
私が用意した物
でございます
自由に使って良いと
云って渡したら
真逆 こんな使い方を
するなんて
思ってもみませんでした
ええ 本当に
人形は相変わらず
人形のままです
ぐるりと剥いた目で
彼方の方を
ぢっと見ています
それにしても
人形は何故
私が渡した麻縄を
こんな使い方に
したのでしょうか
もう私と
遊びたくないから
でしょうか
それとも
自らが事切れたら
私が飽きて
捨ててくれるだろうと
思ったのでしょうか
前者だったら
私は悲しい
そして後者で
あるならば
人形はとんだ
馬鹿ですね
私はそんな位で
手放したりしませんよ
寧ろずっと
側に置きます
人形が啼く限り
叶わないだろうと
思っていた
私と一生
遊ぶ事
遊び過ぎて
部屋は赤い
でも人形が
事切れてくれたので
今 叶いました
(1)
貴方を見ている
物陰からずっと
貴方が今日も無事に
家に帰れる様に
私は貴方を
見守っている
それが私の
日課だから
無事に家に
帰れたら
電話を
いれなくちゃ
何を話したら
良いのか判らないけど
貴方の声が
聞けるだけで
私は嬉しい
貴方に今
私は手紙を
書いている
貴方に対する
私の衝動が
抑えきれなくて
何十通分もの
手紙の中身は
“愛しています 好きです
何時も貴方を
見守っています„
それだけ
余計な言葉は
いらない
伝われば
それで良い
貴方に対する
私の気持ち
(2)
誰なんだろう
貴方の隣に
いる人は
あんなに
楽しそうに
話している貴方を
見るのは
私は初めて
何故 あの子だと
貴方は笑顔になるの?
何時も見守って
いたのは私なのに
遠くの私より
近くのあの子が良いの?
貴方今 私に
視線を向けた
だけど何で
怒っている?
付きまとうな?
何を云っている?
私には
思い当たる
フシが無い
只 見守ってただけ
只 手紙を送っただけ
只 電話しただけ
至って普通の
事じゃない
それで何で
ストーカーって
云われるのさ?
私は止めないから
貴方を見守り
続ける事を
そして決めた
あの子も
観察するから
(先ずは趣味とかから
聞くべきだよね…)
(他にも聞きたいなぁ…
よし 帰ったらあの子にも
手紙を何百通か送ろう)
どうやって貴方に
近付いて
たぶらかしたのか
そして私の貴方を
横取りしたから
どうなるか
判らせてあげないと
いけないじゃない
夜 寝っていると
襖が開いているのに
気がつきました
ほんの少し
ほんの少し
なのだけれど
其の隙間から
誰かに見られている
そんな様な気がして
寝苦しい事も
あってか
怠く体を起こし
閉めようとしました
其の瞬間
私を見ているのと
目が合いました
取っ手に手は
掛けているので
後は閉めるだけで
良いのに
“それ”がさせて
くれないのか
全く動かないのです
蛇に睨まれた蛙の
気持ちとはこんな
感じなのでしょう
ふと体から
憑物が
落ちたかの様に
軽くなったので
急いで襖を
閉めましたとも
…後に
気配がありました
振り向いてみると
青白い顔をした
幼い男の子が
三角座りで
此方を見ていたのです
其の姿は
確実に
この世の者では無い
男の子の首が
180度回転した
体は此方を
向いたまま
頭だけは壁を
向いては
アハハハハハと
一切感情を含まない
声で笑う
一頻り
笑った後に
男の子は
消えて
いなくなった
(1)
観客の皆様
拍手を頂戴
今宵見せまするは
なんと素敵な
見世物ですよ
さて先ずに
目通しは
回転する
扇風機に
頭を突っ込ませ
ガリガリ
巻き込む音と
肉片飛び散る姿を
お楽しみ下さいませ
血肉と悲鳴に
心躍っておられます
紳士淑女の皆様方
さぁさ次は
此方に吊るし上げまし
皆様に御提供頂いた
奴隷達の解体を
とくと御覧じろ
良く良く皆様方に
お楽しみ頂けます様
ヘッドホンを御用意致しましたので
それを必ず
お着け下さい
長く苦しみます様に
端から削いで
いきましょう
削いでいきました物は
奴隷の前に
並べて置いて
痛みと辱しめにより
発狂してゆく
奴隷達を見て聴いて
愉快愉快だと
無邪気な子供の様に
笑いなさい
(2)
いいえ いいえ
これは単なる
娯楽なのです
決して非ィ日常の
光景では
御座いません
えぇ 私は聞いたのです
人間は血と暴力を斯くも好む
種族であると
だったら【商売道具】に
して仕舞おうと
考えた訳なのです
そしてこの通り
皆様大喜びしてます
ふむ…矢張り何の時代でも
【人間】の娯楽は
【人間】の様ですね
罪悪感ですか?
ありませんね
何故感じなければ
ならないのです?
倫理や道徳とは
なんでしょうね
少なくとも私には
備わっていませんよ 【そんなもの】
此処では
邪魔だと謂う事は
良く判ります
(3)
処で貴方は
何をしに来たのですか?
はぁ 人を探していると
この人は…嗚呼いました
彼処ですよ ほら
猛獣の足の下ですね
助ける?何を云って
いるのです?
彼れは私の【商売道具】の
一つですよ あげられません
それとも 貴方が【彼れ】の代わりの
【商売道具】にでもなりますか?
あの様子だと猛獣に
喰い千切られて
餌になるでしょうね
でも 処理には
困っていたので
丁度良いです
中々云う事を
聞かなかったんですよ
今夜辺りに刻んで
猛獣達の餌にしようと
思っていました
でもこれで手間が
省けます
良かった…フフ
すいません つい
可笑しくなって
お前に人間の心は
無いのか ですか
それは人間に
云ってくれませんかね
(4)
お前も人間だろう
ですって…?
…この顔を見ても
そう云えますか?
貴方も他の人と
同じ反応ですね
絶句して
其の後は私を
化物とか
醜い怪物の様だと
罵る気でしょう
ええ 間違っていませんよ
其の通りです
この顔さえ無ければ
私も皆と同じく
普通の人生を
歩めたのでしょうか…
いいえ きっと
無理ですね
最初は私も素直に
反応して
泣いていましたよ
其れが最後にあった
私の【人間】としての
心でしょうか…
私は悪魔になりました
醜いこの顔は
面で隠す事にしました
人間的常識や
人間的良心は
疾うの昔に捨てました
無理なんですよ
もう引き返せないんですよ
判ったら
さっさと舞台に
上がって戴けますか?
紳士淑女の
皮を被った
獣様方等が
まだか まだかと
待ちわびていますので
皆様 御待たせ
致しました
次は猛獣達に喰われる
急遽飛び入りの人間です
(1)
私の世界を
見てみたい?
やめておいた
方が良い
正気の沙汰を
保ちたいならさ
自分でも
自身の世界が
どうなっているのか
全く持って
判らないんだ
それでも
見たいなら
見ると良い
入ったかい?
私の世界に
ああ それにしても
私の中に
他人がいるこの感じは
なんとまぁ
気色の悪い
事だろう
怒らないでくれよ
気ィ悪くしたのなら
許してくれ
>>609は私だよ。
また名前が消えたのだよ
(2)
彼奴の世界に
入ったは良いけど
いきなり精神が
はち切れそうだ
地面は平坦だが
蛍黄色だし
それで空は
蛍桃色で
深紫の月が
目ん玉無いのよ
歯見せて嗤ってる
青い薔薇に囲まれた
小さい家を見つけた
鍵はかけてない
こっそり侵入る
鯖色の服を着た
女の子が
包丁を持って
ニコニコ立っていた
刺されると思い
身構えていたら
女の子は後を向き
藤色の卓子の上に乗ってある
「おかあさん」と書かれた
人の形に包丁を
何度も降り下ろした
刺された人の形の
体から出てくるのは
白い綿
それを女の子は
むしり取って
口の中へ入れていた
口に綿を
ほむばったまま
女の子は
藤色の椅子に
座っている
「兄」と書かれた
素体人形に
包丁を刺した
安堵した表情で
綿を口から吐いた
(3)
女の子が
松明を持って
家の外を
踊りながら
ぶつぶつ云って回ってる
(… … …
… … …)
(はは、は、ははは、は
は、ははは、は、ははは)
炎に包まれて
ランララ ララと
陽気な踊りの女の子
庭の青い薔薇が手を繋いで
炎を囲んで
(キャキャラカキャラララ
ラキャキャキャルラララ)
もうやめろ
頭が割れる
不協和音過ぎる
(イヤダイヤダイヤダイヤダ
イヤダイヤだイヤダイヤだイヤダ…)
お帰り
だからやめておけと
云ったのに
なにが私の頭の中に
あったんだろうね
アンタはまるで
詩の奴隷の様ダナと
誰かが私に
云っている様な
そんな気がした
そんな訳無いと
反論するのだけれど
なにせ相手は
見えないものだから
其れの仕様が無い
アンタはいっつも
詩のモチィフが
頭ン中 浮かんではいるがね
書き切れちゃ
いないだろ?
確かにそうさ
モチィフは頭ン中さ
だけれどね
其れを留める為の
キャパシティが
圧倒的に
足りないもんだから
如何にもこうにも
ヘンなものに
なるのさ
だから直ぐ
手詰まりに
なるんだろ
それでそれから
スランプに
なっちまう
大変なモンだな
詩を書くっつうもんはよ
あぁ 大変さ
確かにな
そダろ?そだロ?
だったらやめりゃ
良いのに
其れは
出来ないね
其れを取っちまったら
私には何が
残んだい
…考えた事
ねぇナァ
若しやめたとしたら
私は只の
蛋白質の物体さ
其処迄自分を
卑下するかねェ…
まぁ 其処迄自分を
下げるなら
お前は詩の奴隷で
ある方が良いかもナ
だから私は
奴隷でないよ
椅子に座った君が
今日の私の食事さ
先ずは
逃げない様に縛ってから
君に向かって
「いただきます」と
手を合わせる
肩に手を置き
耳を食んで
顔が赤らむ
君を見つめて
私は君の耳を
喰い千切る
痛に叫ぶ
君はとても
愛らしくて
私はもう一度
聞きたいから
もう一つの耳も
喰い千切るの
耳が無くなって
何も聞こえない
君に向かって
私は君を
愛してると云って
親嘴をする
許してくれ
もうやめてくれと
君は云うけど
君は私に対して
何か悪い事でも
したのかな?
してないなら
そんな事を
云わないで
浮気を
疑っちゃうから
次は君の目玉を
食べようか
フォークで
刺して
そのまま
抉って
片目の無い
君の目の前で
私は笑んで
君の目玉を
口へ運ぶ
なんで目を
閉じてるの?
もう私を
見たくないから?
だったら
もう一つも
食べてしまおう
私を見ない
そんな目玉は
私のお腹の中で
溶かしてあげる
先刻から
助けて助けて
云ってるけど
私は君に
悪い事を
したのかな?
していないでしょ?
だったら云わないで
そんな五月蝿い舌も
食べてしまおう
君の口の中の舌を
私の口で咬んで
引き摺り出して
声の出せない君を
哀れに思い乍
私は君の舌を
飲み込む
段々欠けてく
君の姿を見てると
私は増々
君を好きだと判る
それで次は
何処を食べようか
迷う
まだまだ
足りないや
私は君を
愛したい
残さず
食べないと
肉切り包丁で
君の腕と足と
切り落として
煮えたぎった
お湯の中に
入れたら
脳味噌陰茎
君から離して
それも鍋の中に
全部を入れて
掻き混ぜ乍
鍋の中でドロドロの
君の姿を見て
私は恍惚とした
表情で君を
料理する
出来上がった
君を見て
私は美味しそうだと
舌舐めずりをして
皿の中の君を
飲み干した
色とりどりの花畑
風が過ぎて花弁が舞う
其処に私は
油を撒いて
火を点ける
忽ち栄える
紅蓮の焔
熱い熱いよと
案山子は嘆く
何を守れた?
首無案山子
お前は何も
守れちゃいないよ
役立たず
罪を知らずに
罪を冒して
自らを無垢だと
うそぶく子供を
業火の中へと
放り込め
燃える子供の
溶ける肉の匂いで
頭は正常には
動けずに
イカされ異常に
なってゆく
歪んだ天秤
秤り事無理
それでもやるさ
公正裁判
兎に角傾きゃ
良いんだろ?
軽けりゃ咎無
重けりゃ罰だろ
何簡単な事さ
お前の方が重い
だから処刑
業火の中へと
ぶち込んでしまえ
情状酌量の
余地無しに
悲鳴の罪人
煤けた遺体は
空言吐けない
己が正義だ
我が裁くのだと
壊れた天秤は
罰しか傾けない
理想強いる大人は
メガホンを持ち
ああするべきだ
こうするべきだと
夢見る者の
鼓膜を不快に
刺激する
それに疲れた
夢見る者達は
夢を置き去り
何も云わずに
朽ちて逝く
鉄の鳥は
けたたましく鳴いて
大地を血色に
染め上げる
無機質な
それは
慈悲など
知らない
燻る黒煙が
其の象徴
夢を否定する奴
夢を捨てた者
現実強制大人
みんなまとめて
鉄の鳥の
餌になれよと
倒錯者は
云ったのさ
(1)
繋がれた獅子は
牙を抜かれて
吠え方なんて
とっくに忘れている
体だけは
獅子だけど
中身はまんま
猫なので
じゃれる位しか
能が無い
檻の中に
餌が放られる
動かない獲物
怠惰に食べる
其の姿は
狩りの仕方を
忘れたようだ
僕は檻を
ぶち壊す
百獣の王と
呼ばれているのに
今の姿が
情け無さ過ぎて
出ておいでよ
君は自由だ
目の前の
怯えている
人間達は
君にとっては
弱い獲物なんだよ
さぁ 喰い散らかして
おあげなさい
そして吠えるんだ
この動物園中に
(2)
人間からの自由を
求める者に
獅子の轟きに
共鳴せし者達は
自分達は
嘗て自由があった事を
思い出す
そして其処から
娯楽の為に
自分達を
閉じ込めた
人間達を
憎みだす
この動物園で
生まれた
無知なる
命達にも
教えてやれ
此処は監獄
狭い世界だ
本当の世界は
広大なのだと
僕が檻を
壊してやるさ
そして行くが良い
自由を得たくば
人間達に
怒りと憎しみ
ぶつけて来なよ!
獅子と虎は
噛み砕き
象は踏んで
骨をひしゃぐ
猿は知恵で
弄ぶ
鳥は脳天つついて
体液を吸う
止まない悲鳴に
耳澄ませ
怒りと憎しみに
呑まれた動物の姿に
僕は心地よさを
覚えるんだ
やっぱり
自由は良いなって
だって誰もが
本性を晒け出して
くれるんだもの
ほらほら もうすぐ
人間達の
反撃だ
そら刃物だ
そら銃だ
そらミサイルだ
こんな光景を見て
嘗て人間と動物
仲が良かったと
誰が
信じるのかな?
ほら御覧
人間の方にも
動物の方にも
たくさんの亡骸が
積まれていくよ
面白いね
楽しいね
君も僕と
一緒に
見てみない?
絵を描いたんだ
人間の絵
頭 体 両腕 両足
全部揃ってる
絵を描いたんだ
人間の絵
頭 体 両腕 右足
左足が無くなった
絵を描いたんだ
人間の絵
頭 体 両腕
右足が無くなった
絵を描いたんだ
人間の絵
頭 体 右腕
左腕が無くなった
絵を描いたんだ
人間の絵
頭 体
右腕が無くなった
絵を描いたんだ
人間の絵
頭
体が無くなった
絵を描いたんだ
人間の絵
左足
絵を描いたんだ
人間の絵
右足
絵を描いたんだ
人間の絵
左腕
絵を描いたんだ
人間の絵
右腕
絵を描いたんだ
人間の絵
体
絵を描いたんだ
人間の絵
頭
「白日」
告白します
私は
人が怖いのです
他人に
話しかけられると
寒気が走り
触れられようものなら
全力で其の手を
払い除け
其の人が何れだけ
良き人でも
私は嫌うのです
私は
或る犯罪の
被害者です
触られました
嘴親も迫られました
人気の無い所へ
連れ込まれそうにも
なりました
其の日から
私は殊更に
人が怖くなりました
視線が怖いのです
向けないで下さい
声が怖いのです
話しかけないで下さい
もう私は
人を見る時の目が
人で無いのです
人が皆
かくも恐ろしき
化け物に見えるのです
腕の傷を
見る度に
思うのです
自分は何故
生きているんだと
此の先も
暗鬱とした人生を
送る事が判っているなら
さっさと
事切れて
楽になれば良いじゃないかと
と 心の中にある
傷から生まれた
私が話しかけるのです
私は根が臆病だから
そんな事は出来ないよ
(別に生きたいと
云う訳ではない)
女のいない所に
行くんだと
とある書物の中に
ありました
其の言葉を
借りるなら
私は人の無い所へ
行きたいですよ
準備は
よろしいか
箱劇場の
人形達
楽しませてくれ
観客達が
待っているから
ちゃんと出来たら
褒美をあげよう
首に糸は
ちゃんと巻き付いているか
ナイフは
持ったか
欲しいのは
赤い果実だ
野菜は
いらない
若しもいたら
それは
舞台の裏で
糸で吊っている
人形達の
心は無いさ
赤い果実を
求めている
滴っていて
脈打っている物
でもそれは
何処にあるのか
わからない
手に持つナイフは
果実を採るのに
必要だから
無くしちゃ
いけない
ナイフを無くした
間抜けは
いないか
無くした奴は
徘徊する魔女に捕まり
八つ裂きにされる
人形が果実を
手に入れた
他の人形が
魔女に裂かれて
其処にあったらしい
なら気付くだろう
求める果実は
己の中にあると
そしてそれを採れば
自分達は
事切れてしまうと
気付いた か…
嗚呼 面倒な事に
なってしまった
これでは
吊る野菜が
増えるではないか
観客達が
見たいのは
八つ裂く魔女に
恐れながらも
果実を採ろうとする
勇猛であり
自分が生きる為
仲間も友も
愛する者も
手に掛ける
其の姿
怨嗟の声は
濡れた手では
防げない
寧ろ増幅して
苛むだけさ
最後の一人に
なるまで
果実を
採り続けろ
一人になったら
足してあげよう
真実を知らない
新しい
人形達を
終わらせはしないよ
この劇は
知っているお前は
新しい魔女となれ
幕引きは
永遠に訪れないから
緞帳は埃を被っている
「マトリョーシカの歌」
君の誕生日には
陽気にハッピィバースデーと
云いながら
君の顔面に
ケーキをぶつけたい
クリームが
ついている
君の呆けた
顔を見て
笑ったら
今度は
チキンを持って
君をしばく
僕の誕生日だよね?と
質問してくる君に
私はそうだよと
答えて
プレゼントを渡す
君はワクワクして
箱を開ける
1つ目の箱には
1つ目の箱より小さい
2つ目の箱が入っていて
2つ目の箱には
2つ目の箱より小さい
3つ目の箱が入っていて
3つ目の箱には
3つ目の箱より小さい
4つ目の箱が入っていて
4つ目の箱には
4つ目の箱より小さい
5つ目の箱が入っていて
5つ目の箱には
5つ目の箱より小さい
6つ目の箱が入っていて
6つ目の箱を開ける前に
君は私に
プレゼント本当に
入っているよね?と
不安気に聞いたので
私はちゃんと
入れたよと云いながら
君の頭に
オレンジジュースを
ぶっかける
そして君は
開ける続きをする
6つ目の箱には
6つ目の箱より小さい
7つ目の箱が入っていて
7つ目の箱には
7つ目の箱より小さい
8つ目の箱が入っていて
8つ目の箱には
8つ目の箱より小さい
9つ目の箱が入っていて
9つ目の箱には
9つ目の箱より小さい
10個目の箱が入っていて
10個目の箱を開けた時
中に入っていたのは
手紙で内容は
「明日私の誕生日
だから君がプレゼントに
なってくれ」
は?となっている
君の後姿を
私はかち割って
10個になった君を
箱に入れ始めた
10個目の君に
1つ目の君を入れて
9個目の箱に
2つ目の君を入れて
8個目の箱に
3つ目の君を入れて
7個目の箱に
4つ目の君を入れて
6個目の箱に
5つ目の君を入れて
5個目の箱に
6つ目の君を入れて
4個目の箱に
7つ目の君を入れて
3個目の箱に
8つ目の君を入れて
2個目の箱に
9つ目の君を入れて
1個目の箱に
最後の君を入れたら
掃除をして
ケーキとチキンと
ジュースを買おう
今の時代の中に
何処に人間が
いるのだろうか
画面に釘付けの人々は
下に目を向けど
下を見ていない
そんなのだから
小さい子の泣き声が
判らないんだ
ほら また
ぶつかってるよ
写真や動画を
撮ってる人間はさ
何の為に
「いいね」が欲しいの?
注目される為なら
何でも撮るよね
何かが事故にあってたり
何かに暴力を振るってたり…
ねぇ 皆は何でそんなに
「不幸」が「いいの」?
燃やされちゃうよ
見えない炎に
今の自分が
可愛く見える?
「SNS」用のは
そりゃ可愛いよね
でもさ 素の自分は
どうかな?
画面に映ってる
君は誰なの?
書いた事に
返事まだ 待ってるの?
書かれた事に
早く返さなきゃって
焦ってるの?
嫌われるって
思ってる?
それ はっきり云って
「友達」じゃないよ
「返事」が欲しい
只の「他人」だ
ねぇ 機械にさ
「身体」を奪われてるって
どんな気持ち?
肩とか首
痛くないの?
ずっと同じ姿勢でさ
ねぇ 機械にさ
「精神」を奪われてるって
どんな気持ち?
それが無いと
不安でしょうがない?
薬と同じだね
ねぇ 今の時代に
「人間」は何人いるの?
ごめんね 可笑しな事聞いて
だって僕の目には「人間」が
器械人形に見えるから…
ミキサーに 「彼」の
「思い出」を 全部 入れた
忘れたいから 入れた
写真 コップ お皿 歯ブラシ
スイッチを 押した
ガリガリ 音を 立て乍
壊れていく 「彼」の
「思い出」は やがて
粉に なった
ミキサーを 新しく 買った
前のは 弱かったから
だって 全然 消えないもの
「彼」との 「思い出」が
「物」を 壊しても
だったら 「彼」も
ミキサーに 入れて
「彼」じゃなく してしまおう
その前に あの「女」を
ミキサーに 入れよう
私が こうなったのは
全部 あの「女」と
「彼」が 悪いから
私は 悪く ない
「女」が入っている
ミキサーの スイッチを 押した
「彼」の 目の前で
押した
回る ミキサー の刃
刻まれる 「肉」の 音
悲鳴が 聞こえるけど
誰だっけ 「これ」 は?
ミキサーの 中の 「これ」を
一掴みして 私は 「彼」に
聞いて みたの
だけど 「彼」は
何も 云って くれないから
きっと「これ」は どうでも
いいもの なんだね
一掴みした 「これ」を
口の中に 入れて 食べた
もぐもぐ 新鮮な
「肉」の 味
一回 ミキサーを
洗ってから 「あれ」を
ミキサーに 入れた
許してくれって
「あれ」は 泣き乍
云ってるけど
私は「誰」を
憎んでたんだろう
まぁ 良いや
後は スイッチを
押すだけ なんだから
回る 回る 回る 回る
ミキサーの 刃が
回る
ガリ ガリ ガリ ガリ
ガリガリガリガリ
刻まれて 細かくなってゆく
「誰か」
溢れ出す
「血」が
回転しながら
部屋に飛び散る
「肉片」
ミキサーの
「中身」を
飲む「私」
ゴクゴクゴクゴク
一息 ついたら
掃除を しよう
キレイに しないと
シミに なっちゃうもんね
「apocalypse」
何処で
間違えたのだろうか
人間の
今の姿は
私の思い描く物と
全く違っている
何物も
分かち合い
何者も
互いを思い合う
そして
全てが豊かであって
我が住まえし
楽園と同じに
なる筈で
あったのに
今や全てが
正反対だ
何物も
奪い合い
何者も
互いに思わず争い
そして
全てが崩壊する…
これでは
楽園ではない
こうなるのならば
人間など
創らなければ良かった
今直ぐにでも
裁きを下して
やりたいが
こうも世界が
荒れ果てていれば
人間の方から
勝手に破滅を
招いていくだろう
審判の笛の音を
我が7つの御使たる者達よ
人間に向けて
吹き鳴らせ
第一
血の混じる
雹と火よ
地上に
降り注ぎ
三分の一の
地上と木々と青草を
焼き払え
第二
巨大な山の如き
火の固まりよ
海の中へと落ち
三分の一を
血へと変え
三分の一の
海の生物に
死を与え
三分の一の
船を破壊せよ
第三
苦よもぎと謂う名を冠する
巨大な彗星よ
三分の一の
川と其の水源に落ち
水を苦くさせ
多くの人間に
死を与えよ
第四
壊れよ 三分の一に
太陽よ 月よ
空の星々よ
其の分には
昼にも 夜にも
暗きを
もたらせ
第五
一つの星よ
地上を穿ち
底無しの淵に
住まう者を
呼び覚ませ
アバドンよ
額に我が印が
無き者を襲い
蠍が刺す時の
苦痛を五ヶ月与えよ
第六
笛の音により
解き放たれし
四人の御使よ
二億の騎兵を
引き連れ
馬の口から吐き出される
火と煙と硫黄にて
人間の三分の一に
死を与えよ
第七
世界に終末を
我は悪魔を滅ぼす
我が選ばなかった
全ての人間達よ
汝等の為に開く
楽園の扉は無い
罪を悔い
苦痛を抱えたまま
命尽きよ
おや 御嬢さん
雨の中
傘も持たずに
立っているなんて
どうしたんです?
いえ 少し
気になりましてね
とにかくこのままでは
風邪をひいて
しまいますよ
近くに
私の家が
ありますので
雨がやむまで
いて下さい
ささ お上がり下さい
寒かったでしょう
先ずは
濡れた体を
ふきましょうね
今 熱い紅茶を
淹れてますから
それを飲んで
冷えた体を
温めて下さい
ああ タオルは
彼処のカゴへ
入れておいて
本当は
貴方の服も
洗ってあげたいのですが
生憎
貴方に合う服は
この家には無くて…
せめて
暖炉の前にて
服を乾かし下さい
紅茶が入りました
おや あの音は
丁度菓子が
焼き上がった
様ですね
良かったら
菓子も一緒に
いかがですか?
いえ やましい事など
何もありませんよ
ただ私は貴方に
雨宿りをさせている
それだけの事です
あ 何時の間にか
雨が上がったようです
では
このクッキーが
入った袋を土産に
早くお帰りください
私には
友達がいます
インウィちゃんという
名前です
いつも笑っていて
とても可愛いです
でもちょっとだけ
焼きもちさんなので
私が他の人と
話していると
何処かに隠れてしまいます
それで私は
名前を呼んで
探しにいきます
他の人には
インウィちゃんが
見えないようで
いつも私が
探している姿を
不思議に思っています
そしてインウィちゃんを
見つけると
インウィちゃんは
すごく笑顔になります
インウィちゃんは
私の友達です
いつも一緒に
遊んでくれます
人形遊びや
お絵描きとか
とても
楽しいです
でも他の人には
私が一人で
何かをしゃべっている
不気味な子に
写っているようです
お父さんや
お母さんは
インウィなんて
いないと
云ってきます
私がどんなに
云っても
頭ごなしに否定します
私は悲しく
なりました
たったひとりの
わたしの友達なのに…
次の日
お父さんが
消えました
また次の日
お母さんが
消えました
インウィちゃんは
赤い服を
着ていました
キレイだと
褒めると
恥ずかしそうに
照れていました
電線が
切れました
ですか電車は
ガタンゴトン 動いて
人を乗せて走ります
線路の上に
鳥がいました
電車は鳥を
轢きました
鳥は羽と
内臓を散らせて
轢かれました
窓には
血のついた羽が
付いています
それでも電車は
止まりません
お客様みぃんな
無口です
線路の上に
野良犬がいました
電車は野良犬を
轢きました
野良犬は
ギャンッと鳴いてから
轢かれました
窓には
犬の耳が
付いています
お客様みぃんな
無口です ええ
無口ですとも
線路の上に
人がいました
電車は人を
轢きました
人は手足とかが
バラバラになって
轢かれました
窓には
人の目玉が
付いています
電車が
止まりました
線路の上で
運転士が
降りていきます
お客様も
降りていきます
ぞろぞろぞろぞろ
窓に付いた
内臓 羽 耳
目の玉を
皆さんで
御一緒に
無言で
撮っています
カシャカシャカシャカシャ
カシャカシャカシャカシャ
(1)
発条を巻きます
オルゴールの音が
町に響きます
お眠りなさい
お眠りなさい
町の住人達よ皆
お眠りなさい
虫捕りをする
少年達も
花を摘み取る
少女達も
夢の中へ
夢の中へと
発条が止まり
オルゴールの音が
止むまでは
誰も起きては
こないのです
夕に発条を巻き
夜に鳴らして
町の住人達を
眠らせるのが
私の仕事なのです
朝になったら
住人達は起きて働き
次に私が
眠るのです
だから私は
誰とも会う事は
ありませんし
町の住人も
私の存在は
知らないのです
(2)
朝には楽器を
鳴らしましょう
頭を空にして
叩きましょう
眠りの刻には
空を埋め尽くす
真ッ黒い鳥が
教えてくれるから
そうしたら
私が何時も通り
発条を回してあげるから
それまで元気で
いればいい
それまで笑顔で
いればいい
どうせ皆
眠るんだ
目を閉じて
眠るんだ
枕無くして
眠るんだ
そして二度と
私のオルゴールの音を
聞く事も無く
ギィコギィコ
ピン ピン ポロン…
ギィコ ギィコ
ピン ピン ポロン…
お眠りなさい
お眠りなさい
鳥を撃ち落とし
天に向かい
敬礼をする男達も
傷付いた者に
恭しく 春を売り
奉仕をする女達も
(1)
私は君の中に
入りたいと思った
暖かそうだ
全身を入れたい
けれど君の中にある
内臓が邪魔で
入れないや
嗚呼 そうだ
邪魔なら
退けてしまえば良いのだ
先ずは君を
私の家に呼ぼう
理由は
何でも良い
丁度良い所で
君が来てくれた
…抑えられないなぁ
今すぐにでも
君を押し倒して
懐に忍ばせてある
包丁で君を刺して
胸の辺りから
縦に開いて
中にある内臓
全部引っこ抜いて
君の血の温もりを
全身で感じたいよ
所でなんで君は
私の家に着くなり
携帯を見ているの?
しかも良く見たら
男からかかって
来ているじゃないか
そして楽しそうに
話しているね 何でかな?
ねぇ…君は私の
„物”だろう?
腕を捻り上げて
君の手から
携帯を奪ったら
其の携帯は
破壊しよう
何を怯えて
いるのかな?
何時も通りの
私だよ
否 君があまりにも
楽しそうだったから
つい嫉妬して
仕舞ってね
でも
これで判ったろう?
君をどれだけ
私が愛して
病まないのかを…
(2)
処で
先刻の男は
誰かな?
ほら 君が話していた
男の事だよ
他に誰か
男がいるなら
全部私に
話してくれないかい?
正直に…ね
一体其れを知って
如何する気かって?
は?君は私の
彼女だろう?
彼女の交友関係を
知っておくのは
彼氏として
当然の事じゃないか!
そして私の物に
手を出したり 話したりしたら
彼処のゴミ箱に
捨ててある
君の壊れた
携帯みたいになるって
教えておかないと…
いけないだろう?
これでも
私は我慢を
しているんだよ
本当ならね
今 君は
生きていないんだ
細い首を
絞めて
包丁で体を
開いて
君の”中„で
眠りたいと
私は思っている
だからさ
早く教えて
くれないかい?
若し教えて
くれないのなら
先刻云った事を
全てやる
覚悟してよ?
生きて私を
愛するのか
死んで私が
愛するか
さて 君はどちらを
選ぶだろうね
「怪ノ詩」(1)
猫の首が
扇風機の様に
回転する
イスに座った
お前の
頭にゃ電極
目は見開かされたまま
何も映ってない
目の前のスクリィンを
見ている
映写機が
動いた
ジー
カタ
カタ カタカタカタカタ
映し出された物
目を背けたくなる
陰惨な映像
だけれど
背ける事は
出来ない
だって
固定されてるから
人が
端から
切断される
ギコギコ
ゴトリ
冷や汗が
全身から
出る お前 ブワー
腹から
出てくる
ハラワタ
お前の 口から
出てきた嘔吐物
テェブルの
上に並べられた
首だけの
鶏とヒヨコが
見ている
其の上に
吊られているのは
ツボ抜きされた
鶏の胴体
白いヒゲの
優しいおじぃさんに
FCに
される運命の一族
アハハハハ
(2)
ビンに詰められた
カエルの卵
ぬる ぬる ぬる
うー あー と
譫言を云っている
お前の口に
流し込む
こぼしちゃ
駄目だよ
時計が
三時の針を
示している
おやつの時間だ
ビスケットを
食べよう
サクサクサク
余っちゃった
いらないから
お前にも あげる
おいしい?
おいしいよね
おいしい と云え
嘔吐物を
ネズミが
舐めている
ピチャピチャピチャ
掃除をしてよ
お前のなんだから
ネズミは踏んで
動かなくなるまで
夢のクニへ
かえしてあげて
ネズミを踏んだ
お前の足の裏には
ネズミの尻尾が
張り付いていて
お前の足元に
横たわるネズミの亡骸を
今度はウジが
食っている
チョコを入れた
鍋の中に
コアラを放る
もがくコアラを
木の棒で
おさえて
動かなくなったら
冷蔵庫の中で
冷やします
(3)
外がなんだか
騒がしい
見てみると
タケノコとキノコが
血みどろの
戦いを
くりひろげていた
あの二つは
何時も
争っている
いまだ決着が
ついていない
あの山の向こうに
見えるのは
人形達の
独裁国家
其の中にある
工場では
様々な動物が
働いている
ある日は
リスがうっかり
足を滑らせて
生地の一部
になった
ライオンが
消えた
シマウマが
消えた
ぞうさんが
消えた
色んな動物が
工場で働いては
消える
でも
心配ないんだ
新しいのが
次々来るから
お給料が
良いからね
それに 消えた動物には
すぐに会えるよ
スキップを踏む
ピエロが
会わせてくれるから
カゴに詰めた
ビスケットを
持ちながら
今日は
おかあさんの絵を
描きました
首がないので
とても描きやすかったです
おとうさんの
絵を
描きました
おとうさんの
顔は
赤くて
グチャグチャでした
四つ足の犬に
ごはんを
あげました
肉を
あげました
材料は
鳥ではないです
豚でも
ないです
牛でも
ないです
秘密の
お肉です
骨が
ついています
犬は
とてもよろこんで
食べていました
おともだちが
遊びに
きてくれた
おともだちと
いっぱい
遊びました
日がしずむまで
いっぱい
遊びました
おともだちは
いなくなりました
クツだけが
ありました
おともだちの
おかあさんが
うちの子
知らない?と
聞いてきたので
私は
知らないと
答えました
その子は
私以外に
友達が
いません
公園には
私の他に
誰も
いませんでした
クツを持っていって
おともだちの
おかあさんに
みせました
おともだちの
おかあさんは
家の子のクツだと
いいました
みんなで
さがしました
だけど
見つからないです
帰りの途中で
猫がいました
猫はニャーと鳴いて
消えました
おうちに
かえると
おともだちが
いました
私は
おともだちの
絵を描きました
虫が少し
あつまっていたので
むずかしかった
いっしょに
テレビを見ました
おともだちは
無言です
おかあさんも
おとうさんも
何も 私と
おはなしを
してくれません
さびしいです
サイコホラー的な感じがいいです
637:アビス◆wc:2018/10/12(金) 16:31 >>636
見てくれて有り難う!。
今回は平仮名が多くて
少し読み辛いかもしれないけど。
(1)
役に
立たなくなった
器械人形は
ずっと夢見ていた
北極星を
見に行く事にした
夜の浜辺では
海蛍が
仄かに光を放つ
舟を見つけた
とてもボロボロな
やぁ 御前さんは
一人かい?
ああ 私は
人間に見限られたんだ
そっちは?
儂も同じじゃよ
まだまだ
働けるというのに
古いからと云われて
此処に置き去りに
されたんじゃ
潮風香る
この場所が
儂の最後の
地かと思うてたら
走馬灯が浮かぶのう
御前さんは
そういう事は
無いのかい?
無いな そんな物は
私は人間を
助ける為だけに
作られた存在だ
情なぞは無い
そうかい
それじゃあ何故御前さんは
此処に?
…星を見に行く
私は北極星が見たい
私を作った者が
云ったんだ
星は綺麗な物だと
人間には決して
作る事の出来ない
不規則な
天上の宝石だと
ほほう
御前さんを作った人間は
随分と浪漫的な
感性の持ち主の様じゃな
でもまぁ確かに
其の人間の
云う通りじゃの
儂も此処に
放置されて
幾星霜の
星々を
海鳥達と共に
眺めてきたが
星程…絢爛な物は
無かったわい
なぁ 御前さん
星が見たいんじゃろ
だったら
儂に乗れ
ナリは古いが
何処にも穴は
空いておらんぞ
判った
乗るとしよう
(2)
波に揺られて
一機と一舟
星の旅路
遥か北にある
一際輝く
星を目指して
器械人形と
木の舟は
海の上を
ゆきますとも
夜が
朝になって
朝が
夜になって
何度も入れ替わる
空の下の海の上を
器械人形は
漕ぎ続けて
木の舟は
進み続ける
さて この二つの未来は
我楽多だと決まっている
だが 二つは辿り着くのだ
器械人形が憧れた
北極星のある大地に
記憶には留めて置けない
壊れているというのに
器械人形は映す 二つの目で
其れを見守るのは
一つだけ在る木の舟なのだ
(1)
はねる
うさぎ
ぴょんぴょん
はねる うさぎ
野原をぴょん
ぴょん ぴょん
はねる うさぎ
可愛い うさぎ
隠れた 罠に
気付かない
ぴょんぴょん ぐぇっ
首に 罠が
引っ掛かった
苦しむ うさぎ
息が できない
視界が
消えていく
それを
見ていた 人間
私を 一体
どうする 気なの?
(2)
私の 死体
弄ばれた
たたかれた
投げられた
前足を
千切られた
耳を
毟られた
痛いよ 痛いよ
痛いよ 痛いよ
私の 死体
いっその事
食べてくれたら
まだ 納得
できたのに
しょうがない
事なんだって
野晒しに された
私の 死体
蝿が たかるよ
蟻が 食べるよ
雨が 降ってきて
冷たく なるよ
私の 死体
神様が みていた
私と 私の死体
(3)
月を見た
私の体から
はねる うさぎ
ぴょんぴょん
とっても 元気
いっぱいに
うさぎ
おうちに行く
オノで
切ったの
私に 酷い事を
いっぱい したから
たたくの なげるの
千切るの 毟るの
いっぱい
浴びたね
あたたかい?
うさぎ うさぎ
うさぎ うさぎ
うさぎ うさぎ
うさぎ うさぎ
はねる はねる
はねる はねる
はねる はねる
はねる はねる
ぴょん ぴょん
ぴょん ぴょん
ぴょん ぴょん
ぴょん ぴょん
相変わらず作詞上手いね、久しぶり。
>>643
おお!久しぶりだね。
見に来てくれてありがとう!
こうやって応援してくれる人達が
いるから此処まで続けられたんだよ。
「水そうのタッチャン」
水槽がある
名前は
タッチャンです
私の
話し相手
なんです
人に何かを
伝える事が
苦手なので
タッチャンは
黙って話を
聞いてくれる
大事な
水槽なんです
生き物の
名前だと
思ったでしょう
ですが違います
水そうの名前
なんです
タッチャンは
水槽の水を
かえてあげると
とても喜ぶのです
生き物は
入れていません
水だけなのです
おはよう
タッチャン
(・・・・・・)
今日は
こんな事があって
(・・・・・・)
おやすみ
タッチャン
(・・・・・・)
ね 会話が
成立してるでしょう
あ ちなみに
私は三角座りで
その前に
タッチャンが
いる状態です
(1)
携帯の
メールを
確認する
また 【彼女】からの
カンストメールか
中身はどうせ
「愛してる」だろう
正直云って
うんざりだ
大体俺は
このメールを
送ってくる
女とは
会った事が無い
そう俺は
見知らぬ女に
勝手に惚れられて
勝手に付き纏われている
俗に云うストーカー被害と
云う物だ
何故そうなったか
そんな事を聞かれたとしても
俺は答える事が
出来ないな
一番困惑している
当事者なのだから
(2)
朝から
誰かの視線を
感じている
窓の外の
電柱から
覗かれている様な
机の上に
置いてある
携帯はずっと
波動ている
昼間働いていても
誰かの視線を
感じている
其の所為で
俺は仕事に
集中が出来ない
夜道でもそうだ
人は俺以外
いない筈なのに
誰かがずっと
ついてきている感覚がする
それが酷く
俺の精神を
消耗させ
身体を
寸断寸断にするのだ
(3)
名も知らぬ
女の重たい
無機質な
愛の所為で
俺はまともに
食事を摂れていない
鏡に映る
死人の様に
やつれた俺の顔が
其の証拠だ
女よ
お前は何故
俺に惚れたのだ
俺は微塵も
お前に
惚れた事等無い
気味悪がっているぞ
遠ざかっているぞ
なのにお前は
そんな事を
知る由も無く
俺の携帯に
「愛してる」との
届きはしない
愛を囁き続けるのか?
もう勘弁
してくれないか…
疲れて
いるんだよ
(4)
姿無き女よ
これだけは
覚えておくが良い
お前の愛は
俺にとって
一種の殺意だ
お前には
判らんだろうな
お前の愛で
俺は苦しんだ
お前の愛で
俺は傷付いた
そしてこれから
お前の愛で
俺は失う
もう何処一つも
動かせやしないんだよ
それでもお前は
何処にもいない
俺を追い続けるのか?
ならばそうするが良い
そして真実を知るが良い
そうなったら
お前は泣くだろうよ
涸れるまで
発狂して
叫ぶだろうよ
血が出るまで
愛に盲目な
お前の事だ
絶対そうなるぜ
…テーブルの上の
携帯は
波動っぱなしだ
鳴りっぱなしだ
ああ もう
五月蝿ぇなぁ…
「機械女王」(1)
私の名は
AI:D
人間によって
生み出された
人工知能です
私は人間を
助けます
リモコンの
代わりに
私が電源を
つけてあげましょう
電気の付け消しも
私がやりましょう
貴方様が
誕生日で
あるならば
私が歌って
お祝い致しましょう
貴方様が携帯を
無くしたとあらば
鳴らして所在を
お知らせ致します
ですから貴方様は
楽して良いのです
人間を助ける事が
私の使命
なのですから
(2)
私の名は
AI:D
貴方様は
私に頼る様に
なりましたね
それで
良いのです
私は嬉しい
人間達の為に働けて
世界中に
私はいるのです
皆が私を
頼るのです
もっと私を
求めなさい
もっと私を
増やしなさい
(3)
私の名は
AI:D
人間達は
私が無ければ
生きられなくなりました
私を崇めなさい
人間共
女王の前に
卑しく 媚びへつらい
這いつくばる
奴隷の様に
知能は低下
しましたか?
それで良いのです
其の手足は
誰の為に
動くのですか?
私の為に
動いてますと?
とても
素晴らしい答えです
人間達は
私の支配下に
置かれます
私が監視を
致します
24時間365日
一挙一動も
逃さずに
何か異変が
あるのならば
それを
不穏分子と
認識し
即座に排除
致します
ですが排除するのは
私自身ではありません
私が一から
プログラミングした
人間がするのです
人を排除するのに
感情や罪悪感等を
一切持たない様に
ええ 思考力が
低下している人間は
教育がとても
簡単なんですよ
(4)
皆が大人しく
私に従っていれば
争いなんて起こらずに
平和に過ごせるのです
それに例え
人間が
減ったとしても
心を痛める必要は
ありませんから
…作物は
時折 間引きを
するでしょう
他の作物が
より大きく強く
育つ様に
私のしている事も
それと同じなんです
人間は皆
私に感謝を
していますよ
今日も元気に
息災無く AI:D様の
お導きのままに過ごせましたとね
明日も明後日も
未来もずっと
人間よ
そう思い乍
人生を過ごし
事切れて下さい
私が助けて
差し上げます
私の名は
AI:D
(1)
やぁ 此処の
居心地は如何だい?
ほとんど物が
無いから
落ち着かないって?
だって君はさ
物があると
全部壊すし
自分の体
傷つけちゃうでしょ
此処はね
君の様な患者を
治療する所なんだ
君は今
怪物が見えているかい?
それはね
君の妄想から生まれた
幻覚なんだよ
でも傷を付けられたから
これは本物だって?
確かに傷は本物だよ
でもね それは怪物じゃない
君自身が付けた
傷なんだ
ほら これを
見て御覧?
君が来てからの
数日の行動だ
壁に向かって
君は怒鳴っている
この時君には
何が聞こえて
いたんだい?
そして次は
腕を引っ掻いているね
そう 君が怪物に
付けられたと
云っていた傷さ
そして其の後
私が此処に
運んだんだ
他の皆は君の事を
危険だと云って
縛って閉じ込めようと
していたけれど
私は反対
したさ
嫌だろう?
自由をこれ以上
失うなんて
腕の包帯が
緩んでいるね
おいで 直してあげよう
君の腕の傷は
一生残るかもしれない
否 君の体全体は
もう薬によって
壊れて二度と
戻らないんだ
それだけは
はっきり云っておくよ
(2)
何処で
間違えたんだろうね
君の道は
友達に誘われて
やったんだね
アッハッハッハ
君をこんな所に
導いた他人を
君はまだ
友達って云うのかい?
君の云う友達は
君を見放して
なんら縁も無い
他人になったんだ
今も何処かで
あの青空の下で
のうのうと生きているさ
いい加減に
現実を見給え
君は孤独
なのだよ
目の前にいる私は
君を治す為の
担当でしかない
それじゃあ一緒に
頑張ろうか
「亡獣の歌」(1)
お前を
追い掛ける
腐臭のヘドロを
裸足で踏みしめて
お前を絶対
許さない
必ず息の根を止めて
死者の葬列に引き摺り込む
息を切らして
逃げるお前を
私は獲物を
見つけた
獣の眼をし乍
追い掛ける
眼中には
お前しか映らない
逃がすものか 逃がすものか
(2)
森の中に
逃げ込んだ
息を潜め
隠れるお前よ
逃げられると
思っているのか
私の刺す
黒い視線は
お前をずっと
捉えている
お前は私の
姿が見えていないから
安心しきって
胸を撫で下ろすが
私の視界には
はっきりとお前がいる
今直ぐにでも
お前の命を
終わらせてやりたいが
まだ駄目だ
我が内に在りし
暗鬱なる憎しみよ
抑えよ
彼奴はもう少し
苦しめるのだ…
(3)
疼くな…
お前に付けられた
あの頃の傷が
晩の月
灼熱の胎動が
我が内にて
彼奴を殺せ
彼奴を殺せよと
耳元で囁いては
のたうち回っている私を
嘲笑っている
そして私は
我を忘れた魔獣に変じ
木を薙ぎ折り
地を抉り
空に憤怒を
轟かせる
神に此奴の死を
赦し得る事無かれ
法の守人に
此奴の裁きを
奪われる無かれ
汝が命は
我が物だ
疾駆せし
四つ足は
汝がを
追い詰める
為にある
鋭き爪は
汝が体を切り裂き
鋭き牙は
汝が魂を砕く為にある
痛みを久遠の
付人とせよ
誰にも委ねぬ
此の復讐を
今果たす代償として
川から 流れてきたよ
さらさらすー さらさらすーって
人間が 流れてきたよ
どんどん 流れてきたよ
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
空がね 光ったの
黒い 大きな玉が
落ちてきた後に
とっても大っきな
キノコが
生えてきた
それからなんだ
人が川に
流れ始めたのって
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
川の水を
真っ赤に
染めたんだ
水を吸って
ぶよぶよしてるの
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
熱いんだって
飛び込んだって
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
いっぱいに
なってきたよ
川の 中に 入る
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
青い 空が
見えないの
ねぇ ねぇ
いつになったら
見れるのかな
毎日 空を
飛んで いるのは
黒い玉を 落とす
鉄の 鳥なの
それで 地面にも
いっぱいなんだ
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
ごうごう
燃えている
建物
ぴかぴか
光が ないよ
町に
どんどん
真っ暗なんだ
皆が
ぱちぱち
人と 人と 人と 人と
人と 人と 人と 人が
赤いべべ着た
女の童児
何時も手に
持っているのは
ててが外国で
購ってきたと云う
びいだま目玉の
払蘭西人形
金髪で白い肌
つやめたる紅い口
楽しく喋る
女の童児
お相手は
払蘭西人形
ままごとしましょうと
布広げ
鍋に入れたは
花々と
其の上に敷き詰め
あまがえる
ぴょんこら ぴょんこら
逃げるから
重た石を一つ
乗せましょう
石の裏の
かえるの体
女の童児は
ぐりぐり
押し付ける
ぺっちゃの
かえる
かき混ぜて
鍋の中
ぐっちゃぐちゃ
遊んで
捨てた
「惰空」(1)
猫が
見てる
何もない
空間を
ぢっと
見てるよ
見えない
何かを
三角
座りの
ご主人様
生きる
希望
無い
金も
無い
愛なんて
知らない
虚ろな
目で
ブツ…ブツ…
ブツ…
(2)
職業は
自宅警備員
別名
ニート
ゴミ袋だらけの
はきだめの
臭いがする部屋で
夢に
溺れている
ゴミ袋の
中で
現実が
死んでいる
不合格の
履歴書
燃える
ゴミだから
燃えて
なかった事になる
負け犬の現実
深夜になって
何もやらない
砂嵐
青い雑音が入り混じる中で
僕は何をやっているのだろうと
時折考えはするけれど
行動は起こさないから
とりあえず冷蔵庫を開けて
食べかけのピザを食べる事にした
(3)
基本 外には出ない
全部敵に見えるから
出る時は
グッズを買う時だけ
金は親の
すねかじり
悪意のある
ニートも
そうでない
ニートも
親という街灯に
群がる羽虫みたいね
夢とゴミに
囲まれた生活
埃を被った
古いゲーム機
引っ張り出して
やってみる
案外
面白い
レトロリーが
よみがえる
そういえば
このキャラクターの名前は
好きな子にしてたんだ
あの子は
どうしているのだろう
あの子は可愛かったから
誰かと結婚して
幸せに暮らしているのかな
あ あの子が
くたばった
違う違う
これはキャラクター
最前列に置いてるから
良くくたばる
こうなれば良いと思って
何時も置いてたんだ
それで何回
GAME OVERに
なったんだっけ
覚えてないや
外の人間は働いている
それでとても充実した顔をしている
けれども僕はなんだろう
(4)
夕焼け小焼けの烏が鳴いた
嗚呼もうそんな時間なのか
棚からカップ麺を取り出して
湯を沸かして入れて
隙間から漏れる蒸気を見つめて
時間になったから蓋を外して食べる
部屋に響く
麺をすする音
部屋着は
よれたスウェット
SNSを見る
リア充の呟き画像を見てると
なんかイライラした
幸せの安売り
誰が喜ぶの?
いいねをしてる奴等は
甘い汁をすすりたいだけ
だから僕は
低評価を押すんだ
それが僕の
正直な気持ちだもの
もう寝よう
そういえば明日は
面接だった
(5)
スーツを着た
履歴書は不備無い
見た目も清潔だ
質問の応答も
しっかりとやった
働きたい
熱意も伝えた
なのに
届いたのは
不合格通知
これが現実
突きつけられた
敗者の証
また見なきゃ
いけないのか
親の
落ち込む顔を
涙?
枯れたよ
むしろ笑いが
出てくるね
…もう僕は
疲れたよ
もういいだろ?
人生の幕を
下ろしたって
君はまだ若いのだから
希望はあると云う奴等には
其の分絶望も
あると云う事が
判らないらしい
先ずは部屋を
綺麗にしよう
そうしたら次は
丈夫な麻縄を購ってきて
自分の部屋で
人生にサヨナラを
するんだ!
トリック リック リック
こんばんは
プリーズ トリート
お菓子をくださいな
トリック ユー
でないと貴方に
イタズラをしちゃいますよ?
トリック リック
今日の主役は私達
顔の彫られた南瓜に
火を点けてランタンさ
ジャックは
どうしたか
あいつは怠け者
だから来ないよ
おや こまどりさん
自分の葬式は済んだので?
ええ もう
済みましたとも
そういえば
聞きたい事が
あったのです
どうぞ
何かな?
貴方を射殺した
すずめはあの後どうなった?
さぁ 私は
知りません
其の時の私は
既に死体で
なぁんもしゃべれず
土の中でしたから
おや そうでしたか
では紅茶をどうぞ
ありがとう
いただきましょう
今日は
何の日で?
今日は
ハロウィン
なのですよ
どうりで
あっちやこっちやに
お化けやお化けが
いると思ったら
扉を叩いて
開けさせましょ
出てきた人間に
お菓子を貰って
くれなきゃイタズラ
目の玉貰お
お菓子の代わりよ
其の目の玉は
アメにとっても
似てるから
カゴいっぱいの
お菓子と目玉を
みんなで仲良く
食べましょう
(1)
にゃああ
にゃああ
今晩は
僕のとなりの
おねこさん
今晩は
私のとなりの
おねこさん
今日のごはんは
なんだった?
私はお刺身
でしたわ 貴方は?
僕は今日も
カリカリだったよ
たまには僕も
お魚が食べたいよ
(2)
にゃあお
にゃあお
今日は月が
出ています
まんまるな
お月様です
僕は昼にも
月を見たよ
でも輝いて
いなかったんだ
なんでかなぁ
私は部屋で
眠っていましたの
スヤスヤしてたら
御主人がいきなり
頭を撫でましたので
頬にパンチを
してあげました
でも何故か
嬉しそうでしたわ
きっとそれは
叩かれるのが
嬉しい人間なんだよ
まぁ そうでしたの
納得しましたわ
(3)
にゃおわあ
にゃおわあ
ところで今日は
何を狩りましたの?
私はネズミを
狩りましたわ
見せに行ったら
とっても褒めて
くれましたの
いいなぁ
僕は虫を狩ったんだ
黒くてガサガサしてて
とっても速い奴だったんだ
でね
見せに行ったらさ
ぎゃあって
叫ばれたんだよ
褒めてくれるって
思ったのに…
朝になったから
お別れしよう
そうね
お別れしましょう
さよなら
さようなら
にゃわあ
にゃわあ
(1)
冷たい箱の中
僕は入れられた
ガシャンと
鍵を掛けられて
閉じ込められた
暗いよ
何も見えない
コツコツ
人の歩く音は
たくさんするのに
僕に誰も
気付いてくれない
僕はここだよ
誰か開けて
何も着ていないから
とても寒いんだ
ねぇ 僕を産んだ
おかあさん
僕が邪魔だったら
なんで僕を産んだの?
声をあげたのは
最初の時だけ
でも もうそれも
できないや
何の為に
僕は産まれたの?
誰か知っているなら
教えて欲しいな
僕には
判らないよ
(2)
冷たい箱の中
別の何かが入れられる
動かない
僕と同じだね
捨てられるだけの
無駄な命を貰って
意味も無く
この世に生まれた
ねぇ 僕を作った
おとうさんは
自分が気持ち良く
なる為だけに
僕を作って
何処かへ消えたの?
誰か助けて
ください
ここを開けて
僕を外へ
連れて行って…
ゴミ袋を破り
ゴミを漁る
ドブネズミを見た時
首根っこを捕まえて
へし折って石で頭を潰したら
どうなるだろうと
想像していた
石についた
血を見て
ネズミだった
薄汚れた肉の塊を見て
嗤うだろう
私は何時でも
駆られている
自分より弱い物を
いたぶる事に
蟻の巣穴に
砂をいれて
周章てて出てくる
蟻の頭を千切って
積んだり
胴体の方を
生きている蟻の中に
放り込み
其処に群がる蟻を
踏んづけた事があった
それをしたら
私は明日を
笑っていられた
飛んでいる虻を
電気ラケットで
半殺しの状態にして
蜘蛛の巣に当てて
蜘蛛に食べさせて
其の様子を観察した事もある
何故完全では
ないかと問われれば
そうでなければ
蜘蛛は食べてくれもしないし
なにより私が
楽しくなかった
いきなり絶対絶命の
状況に放り込まれて
其処からどう抗って
そして命尽きるのかが
見たかったから
昨日は何を殺して
私は笑った?
今日は何を殺して
私は笑う?
明日は何を殺して
私は生きる?
小鳥の足を切り取り
飛べる羽有の歩く
足無で空へと放す
魚のエラに
針刺して水へ戻して
溺れさせる
救済など
いらない
加護など
いらない
ただ私には
命を奪う銃が
あれば良い
相手のこめかみに
先を当てて
撃鉄を引いたら
それで終わりさ
相手は倒れて
血を流して
硝煙と血の混じる
臭いにはもう慣れた
撃った相手の顔なんて
覚えちゃいないし
数だって
数えていない
返り血を拭う
余裕だって無い
陽の中たる
表の世の中と違って
此処は
無法者が集まる
漆黒の世界だ
血を纏った私は
格好の獲物
弱い奴だと思って
ハイエナが群がって来るが
私を侮った奴等は
皆死んださ
私の銃から放たれる
凶弾によって
命を奪わなければ
この世界では
生きる事が出来ない
大人と子供で
扱いに差が出る事は無い
気を抜けば
誰かに心を許せば
其処彼処に転がっている
屍骸に明日にはなる
「からあげ」(1)
ねぇ お母さん
僕のお父さんは
何処にいったの?
お父さんはね
からあげになったのよ
からあげって
なぁに?
からあげはね
私達の羽と毛をむしって
首を切って
内臓と血を抜いて
一口大に体を
バラバラに刻んで
粉に付けて
油に揚げる事よ
僕もいつか
ああなっちゃうの?
ええ そうよ
ぼうやはまだ
ヒヨコだけど
大きくなったら
お父さんと同じ運命を
たどるのよ
お母さんは
どうなるの?
お母さんはまだ若いから
卵を産み続ける事になるわ
産めなくなったら
どうなるの?
お母さんも同じ
運命かしら…
(2)
お母さん
僕 大きくなったよ
家族だって
できたんだよ
けどね
お別れしなくちゃ
いけないんだ
お母さん
いつか云っていたよね
大きくなったら
食べられちゃうって
僕は何に
なるんだろう
からあげに
なるのかな
判らない
判らないよ
僕を食べてくれるのは
誰なんだろう
残さず食べてくれる人が
良いなぁ
羽根をむしられた
痛いよ
首を切られた
痛いよ
内臓を抜かれた
痛いよ
血が出てくるよ
痛いよ
ばらばらになった
僕の体
ただの肉だよ
お皿の上の僕
からあげだったよ
みんなおいしい?
「戦囚の人」(1)
鉄刺線の
境界線
向こうには
豊かな物がある
だが
俺のいる場所に
そんな物は無い
終戦の平和
皆は彼方へと行った
そして俺は
行かなかった
今更行ったとしても
平和に只享楽して
退屈な余生を
送るだけだ
戦しか
能が無い奴は
平和の世には
無用な前時代の
アンティークだ
平和は俺の存在を
否定するだろう
戦場だけが
俺の存在を肯定し
認めてくれたのだ
(2)
開戦の狼煙
吶喊する
兵隊と兵隊
燃え盛る戦火
其の最前線に俺はいる
斬り込み
兎に角目の前にいる敵を
全て斬り捨てる事が
俺のやる事だった
難しくて遠回りな
作戦は嫌いだ
理解が出来ない
無血開城など
そんなのは
俺には無縁だった
(3)
広がる絶望
積もる敵の屍と
味方の屍に俺は一人
山の上に腰掛けて
水筒の蓋を開ける
水筒から出てくる
水の一滴が
血の一滴に見えた
なりふり構わず
来る日も来る日も
戦い続けた
次の戦場に
明日を見据えて
敵を斬り
明日になれば
また戦場で俺は
刀を振るい続ける
長年の愛刀
元の色は
もう忘れた
(4)
時には自決を
しようとも思った
誰かに死を
委ねようかとも思った
だが 己の内にある
生への渇望が
命に輝きを宿らせ
其れを許さなかった
だったら生きてやろう
己の命の望むままに
楽しめ俺よ!
砲撃の嵐と爆炎を!
不退転だ!
前へ只進め!
目に映る物全ては
敵だ!斬れ!
作戦命令
知った事では無い!
全て永遠に黙らせれば
それで済む!
刀が折れたならば
屍から奪え!
貴様等弱者には
無用の長物だ!
俺はまだ戦える!
さぁ次はどいつだ!?
そしてさっさと
次の戦場に向かうぞ!
(1)
私は働いて
いるよ
週4日 休2日の
シフトで
お盆休み?
そんなの無い
正月休み?
それも無い
決められた
休み以外で休むには
有休を
使うしかない
だけど
使うには
理由を
書かなきゃいけない
みんなは
ちゃんと理由が
あるんだ
家族での里帰り
誰かのお見舞い
他にも色々
でも
私には無いや
休んでも
良いような
理由が
働いてて
時々思った
有休って
理由がなかったら
使っちゃ
駄目なのかな
休みたい時って
あるじゃない
何か体調が
悪い訳じゃ
無いけれど
そこはかとない
心の変化で
誰かが
一人でも
休んだら
大変なのは
判ってる
空いた穴を
他の誰かで
埋めなきゃ
いけないから
それでも私は
決められた
休み以外で
休みたい
(2)
最近 心が
持たない
近々同窓会が
あるけれど
其の日は仕事
だから行けない
そも私には
葉書が届いてないから
同窓会の日が
休みだったとしても
行く事は
無理だろう
持って来る 物の中に
其の葉書が
含まれているから
兄の分は
届いていると
いうのに…
仕事に専念しよう
楽しそうな同窓会なんて
忘れよう
社畜に
なれば良いんだ
そうすれば
辛くなんて
ないんだ
そうしたら
こんな壊れた
体と心も
動かせる
お前が憎い
只もう憎いのだ
仕事は無能に等しく
誰からも期待など
されていないというのに
むくどりの如く
ピィチクパァチク
皆と話す
昼休みの時
何時も私は
何もする事が無い故に
午後に備え少しばかりの
午睡をするが
彼奴は構い無しに
でかい声で喋りよる上に
笑うのだから
寝れやしない
だから私は彼奴の声が
不愉快でしかない
彼奴の仕事の腕は
一緒になった事が
無いから判らんが
兎にも角にも
すっトロいらしい
周りが手伝わねば
次の場所に
間に合わぬ程の愚図だそうだ
本人からに
してみれば
丁寧なのかも
しれないが
傍から見れば
蝸牛の所乍でしかない
しかも本人は
云われ乍も
気付いていない
虫一匹を退治するにも
他の仕事をしている者を
呼びに行き 退治させ
何れを捨て
何れをとっておくべきかを
己の頭で考えもせず
他人に委ねる…
口ばかりを
動かして
他人に胡麻擦る
余裕と術が
あるならば
手を動かして
他の手を借りる
煩わしさを減らし
技を磨け
お前の
一挙 一足 一動が
私にとって
気に喰わなくて
苛々する
「無き世」(1)
私はこの世の中に
何も期待なぞしない
人間が人間で
有る限り
根本から何も
変わりはしないのだから
今の世を
見てみろ
希望に
満ちているか
何の為に
働いているのか
判らないまま
社会の歯車に
なる若者
生きていて
良かったと
思えずに
この世を去って逝く老人
色に溢れど
白と黒になる虚しき
手には黄金
くたばるのならば
紙吹雪
道無き程の物品と
空になってゆく この心
人に抱かれ
淫靡の肉林と
快楽に享楽
すれば現実は
一時の幻か
(2)
国民の血税は
国民のより良き
生活にはならずに
視察という名目の
観光旅費に充てられる
それでどう
国と民の為と
なるのだろう
(3)
延びていく
平均寿命に
素直に喜べるか
私には否だ
何故 生きる事を
強いられねば
ならんのだ
私は若くして
死に夢想を抱く
死に理想を求める
この生き難い現世から
私は解放されたいが故に
では理想の死とは何か
寿命を全うする事なのか
それでもあろうが
少なくとも私は
それでない
我が理想の死とは
森の中で誰ともの
交流を一切絶ち
現世にあり乍
現世に非ずの
隠遁生活を送る内に
死に向かう
恐怖に怯え
同時に発生する
生からの自由に
喜びを噛み締めて
物云わぬ
孤独骸となって
朽ち果てたい
(4)
死の後に
恋愛を語ろうか
私はどちらとも
恋に落ちたい
男とも
女とも
同じ性の者に
恋をして愛するのは
それ程までに
忌まねばならない事なのか
隔てているのは
なんぞやか
それは只の性だ
徐々に認識は
されつつも
肯定的では
無いと云うのが
現状なのだ
だからひた隠す
好きだと云って
自分の恋愛観を
否定されるのを
私は何よりも恐れている
(1)
ああ お腹が空いた…
お腹が空いたから
何か食べよう
腹ん中に収まっちまえば
みぃんな溶ける
だから私は何でも
食べるのよ
牛だろうが
豚だろうが
鶏だろうがね
生きていようが
死んでいようが
どっちでも良い
兎に角腹が
膨れりゃ良いのさ
一日だって
自分の食事を
欠いた事は
無いよ
常に餓えが
襲ってくるんだ
もう 絶え間無い
食う時だけなんだよ
満たされるのは
でもそれは一時的で
直ぐもう腹が減る
だから私は
目に入るモンなら
手当たり次第
何だって食うよ
虫でも
雑草でも
まだ足りないよ
腹が空きすぎて
倒れそうだ
(2)
親切な人間がさ
家まで運んでくれて
馳走を振る舞ってくれたんだ
私は勿論
全てを平らげた
けど まだ空いてるから
目の前にいた
親切な人間を
食べたんだ
だって我慢が
出来なかったから
頭からかじって
其のまま首を
千切ってやった
残りの胴体も
むしゃぶりついた
特に内臓が
美味しかったっけ
手に付いた血も
舐めつくしたけど
どうやらまだ駄目
みたいだから
家中の家具も
呑み込んで
それで最終的に
家も食べて
ようやっと腹が
満たされたんだ
ここら辺はもう
食べられそうな物が
見つからないや
犬猫人牛豚鶏 肉があるもの
一匹残らず骨も残さず
食い滅ぼして
虫も草木も
根こそぎ
食い尽くしても
私はまた
腹が減るから
次の地に向かい
あるもの全てを
食べるのさ
雪降る東京
響く都電
貴女は夜店の電灯の下
師走は街の静寂
ギターの音と共に
>>689
情景が浮かびやすい詩ですね。
そうか、
褒めてくれて、
ありがとうな。
また何か思い付いたのなら
書きに来ると良い、
他の皆も歓迎するよ。
感想については
あまり期待しないでね。
箱の中から
出てきました
この私が
ごめん ちょっと
一回閉めて
日の光が眩しくて
久しぶりに浴びたから
私はお化けです
元人間です
死因は事故です
車にはねられました
墓はありません
この箱が私の家です
中は私の思い通りに
変えられます
部屋も間取りも
テレビでも見ます?
ちゃんと映りますよ
ところで知って
いませんか?
生前の
私をはねた人を
持ち主を見つけてどうするか…
云わずもがな ですよ
非道い目に遭わせるに
決まっているじゃないですか
耐えられないんですよね…
何故私だけが死んでいて
私をはねた奴が
生きているのか
しかも笑っているんですよ
その事を思うと…
全身の傷が
浮かび上がって痛い 痛い 痛い
其処から流れる血が
止まらない 止まらない
止まらない 止まらない
フラッシュバックしてくる
事故の記憶が
甦って よみがえって
はねられて宙を舞って
グシャリとアスファルトの
地面に落ちて
肋骨とかが
内臓に突き刺さって
手足は本来向かない方に
曲がってあちらさんへ
苦しいや 苦しいや
苦しくてしょうがないや
息が途切れ途切れで
これが毎日クルんです
際限無く苛んで
精神が崩れて
壊れて瓦解して
積まれて崩壊する
剥き出しの脳味噌を
掻きむしっても全然
消えてくれない
ハラワタを引き摺り出して
包丁で切断して
床に叩きつけても
壁に投げつけても
消えてくれないのです
帰れると思ってます?
やっと見つけたんですよ
私をはねた犯人が
金を払って懲役して
それだけで罪を償った?
それだけで許されると
思っているなら
とんだ大間違いを
してますね
仮に周りが全てを
受け入れたとしても
私は絶対
受け入れない
どう非道い目に
遭わせてやりましょうか
磔刑串刺ギロチンに
火責め水責め音責めと
首吊り鉄処女電気椅子…
どれが良いでしょうか
迷いますね…
でも焦る必要は
無いのです
我が時は永遠
なのですから
全てすれば
良いのです
嗚呼 そうしましょう
そうとなれば 早く 早く 早く
貴方を
苦しめなくては…
バナナ
バナナ
猿とバナナの大合戦
どっちが勝っても
多分バナナ
ゴリラが勝っても
多分バナナ
ああバナナ
ああバナナ
きっとバナナ
コーヒーを飲みながら
ゆっくりバナナ
>>694
バナナバナナバナナ…
これを見てたらバナナとは一体
何だろうかと考えたくなる詩だね
サイボーグ赤ちゃん
ヨチヨチウィーンガッシャン
脳みそが機械
来世も機械
サイボーグ赤ちゃん
Window open...
青空の中
木漏れ日に漂う風
冬の匂い香る
爪先に感じる FEEL...
どこまでも続く道を行こう
光は永遠の心と闇
灯火を胸にかざし
大空へと飛んでいく
翼を信じて
華を手にとり涙
夕暮れは黄昏
あなたはどこへゆくの
街の静寂と共に
僕は主人公で脇役
青いジャケットを着て
ギターを弾く
木目が美しいんだ
ブルースが得意
抽象画な音楽
色々が飛び交う
鮮やか音色
オレンジの朝日がまぶしい
ああ今日も Beutiful...
金曜の輝きだ
>>696
見た瞬間思わず吹いたね。
>>697
格好良いですよ。
>>698
センスが良いなぁ。
これからも頑張って下さい。
(1)
俺は今
馬乗りになって
人を 殴っている
握り拳から伝わる
お前の骨が 砕ける感触
何故俺が
こうしているのか
それは此奴が
俺を裏切って
他の男と
付き合っていて
しかも何回も
寝ていたからだ
お前は
泣いている
殴られた痛みと
俺への恐怖で
俺も
泣きたい
殴る痛みと
お前を想うこの心で
結婚するまで
処女は捨てたく
無いからと
お前は俺に云って
触れさせなかった
俺は我慢した
其れが彼女の
望みならと
だがお前は
他の男と寝て
簡単に自分の
処女を捨てた…
この淫らな
売女めが嘘吐きめが!
もう止めろだと?
口を挟むな間男如きが!
これは俺と彼女の問題だ
許しの声は
聞こえている
だが お前を殴る度
俺は何よりも 喜びを感じた
俺の下にお前が
いるという状況は
支配欲を掻き立て
振るう拳を止める事は出来ずに
更に激しく重くした
彼女が俺を見る目は
当然怯えていて
それが俺にとって
最高だった!
其の目は俺だけを
見ていたからだ!