「お父様が来てる。」
そんなカズミの声がやけに病室に響いた。
「......は?」
カズマは一瞬「何言ってんだ」とでも言いたげに口の端を吊り上げ、強がろうとした。しかしすぐにカズミのその真面目な表情を見て、それが事実なのだと悟り、顔を青ざめさせた。
「なんで今更....」
しばらくして呟いた声は震えていた。そんな自分に気がついたカズマは、居心地が悪そうにそっと目を伏せた。
「大丈夫。」
カズミがカズマと繋いでいる手を、ぎゅっとより強く握る。カズマの手はやけにひんやりとして冷たい。
「次は、何があっても絶対に、お前を守ってみせる。」
「....っ」
カズマは、顔を赤らめさせた。
この人はなんてことを言ってくれてんだ。
そんなセリフ、女の子が聞いたら卒倒するんだろうな、と冷静な自分が言う。
というか、クロノがいるんだぞ。見えてんのか。いや、二人だけの時ならいいとかいうわけでもないが。
でも。
カズマは、大きく息を吐いた。
「だったら、頼りにしてるぜ。兄さん。」
からかうように、発せられたその声はもう震えていなかった。
カズマは、決意したように顔を上げる。
病室への扉が、今、ゆっくりと開かれた。
【今のところまとめ】
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【その言葉に意味があるなら】
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