クロノの唇で。
「んっ、.....んんっ!!」
苦しげに、カズマの眉が歪められる。涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
そりゃ苦しいだろう。過呼吸中に口を塞がれているのだから。
クロノは、罪悪感を感じつつ、今日写させてもらった保健のノートの内容を思い出す。
【応急処置について】....だったか。
まさにタイムリーである。その中に過呼吸の対処も載っていた。
過呼吸は、【血液中の二酸化炭素濃度が下がり、酸素濃度が上がっている状態】らしい。
だから、【息を止めさせる】という行動は、一時的に二酸化炭素を体内に増やすことができるので対処として間違っていない。
よって、キスも間違いではない....はず、だ。
そんなふうに、自分を正当化していると、自分もだんだんと苦しくなってきた。
一度、口を離すと、互いに荒く呼吸をする。
カズマと。
あの東海林カズマとキスをした。
心臓がずっとばくばくいっている。
その瞬間、クロノは改めて実感した。
.....俺はコイツのことが好きなんだ、と。
「....ごめんな。カズマ。」
ぐったりとクロノに身体を預けるカズマの髪をそっと撫でる。
しばらくして、カズマから言葉が返ってくる。
「べ、つに....いい。」
まだ完全に過呼吸が治ったわけではないらしく、まだ苦しそうにしながらもカズマは余裕なさげに囁いた。
「....もっとしろ」
「....え?」
おもわず聞きなおすと、カズマはもともと赤かった顔を今度は耳まで真っ赤にして、外に聞こえるかどうかの音量ギリギリで叫んだ。
「....もっと、ちゅーしろって言ってんだよっ!!」
これには流石にクロノも完全に動揺し「お、おう...?」とだけ返事を返す。
さっきのキスは勢いで、というかなんだか限界を感じて、おもわずやってしまったものだ。
だから、改めてやれと言われると、少しためらいが生まれる。
戸惑っていると、カズマはクロノにもたれかかっていた身体を起こし、ぎゅっと目をつむった。
まだ呼吸を荒くしているせいか、その口は半開きになっていて、見た目的に非常にまずい。
心臓がもっとうるさくなったのを感じる。
カズマの頬に手を添えると、カズマはびくりと震えた。
その反応が可愛くて、おもわず笑いをこぼす。
ああ。コイツをもっと知りたい。守ってやりたい。
そんなことをぼんやりと考えながら、クロノはそっとカズマに口付けた。
....結局、会議が終わるまで。
いや、終わっても二人はずっとこうしていたという。
【その言葉に意味があるなら】
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