ウルトラdecomposeバカの武勇伝【第六章】

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238:ミルク牧場◆X. トラウマ鬼丸家10:2018/03/30(金) 15:56

クロノは、はーっ、はーっ、と荒い呼吸を繰り返すカズマの、その震える肩にそっと手を添えた。
あまり大きい声も出せないので、小声で囁くように、カズマの耳元で言う。
「大丈夫、俺はちゃんとここにいるから。」
カズマはこくこくと、子供のように頷いた。
それから、こつんとクロノの胸元に頭を預けて、そっとその腕がクロノの背中に回る。
本当は、叫んでここから逃げ出したい。
しかし、大声をだすことは許されない。お父様がすぐ近くにいるのだ。
クロノの前で、ひどく取り乱すのがなんだか嫌で、僅かに残った理性で、必死に感情を押さえ込む。
「く、ろの.....」
途切れながらも必死に名前を呼ぶカズマに、クロノは、なんというかじわじわとした熱い感覚を覚えつつ、「どうした?」と、優しく問いかける。
「っは、おれにはっ.....なんもなくてっ、...なのに、おまえ、は...クロノはっ、おれを、見捨てないで、いてくれるっ.....」
カズマの手に力が入ったのがわかった。
クロノの服の背中の部分がくしゃりと歪む。
クロノは、カズマの過去を深くは知らなかった。しかし、数年たった今でもこんな状態になってしまうほど、傷ついてきたのだろう。
少しでも落ち着くように、背中をゆるゆるとさすってやるも、未だカズマの過呼吸が収まる様子はない。
「クロノはっ、しらねぇだろ、うけどっ.....おれっ、この家に....必要と、されなくて、.....追い出されたも、同然っ、なんだ.....」
苦しげに呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと告げる。
カズマは、クロノに自分の弱った姿を見せたくなくて、必死に自分を押さえ込んでいたはずだった。
しかしぽつりぽつりと話し出すうちに、なんだかとまらなくなってしまい、涙があふれる。
クロノは、なにも言わない。きっと幻滅したのだ。
ああ、無様だ。
お前の知る東海林カズマはこんなんじゃないよな。
わかってる。ごめん。
せめて、こんな顔を見せないように俯くも、クロノの服の胸元を涙で湿らせてしまったから、もうこいつは気がついてるんだろう。
ぐすぐすと鼻をすすって、しゃくりあげていると、そっとクロノの手がカズマの頬に添えられた。
きっと、そろそろ引き剥がされるのだろうと察し、謝ろうと口を開いたその時だった。
「.....っ、ごめ、んん!?」
ぐいとクロノの目線までに顔をあげさせられたと思ったら、口を塞がれた。
クロノの唇で。


ミルク牧場◆X.:2018/03/30(金) 16:53 [返信]

【その言葉に意味があるなら】
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