先生�A俺と恋をしませんか?(13)

1: (∵`):2022/08/15(月) 00:24



読んだ人をときめかせて�A幸せな気持ちにする�Aそんな最高の少女漫画を描く。
それが私の夢――。

「ぎゃぁぁぁ! 遅刻するぅぅぅぅ!」

締切直後の徹夜明け�A少し仮眠をとっていたら遅刻寸前だった。
ペン入れしたから手はインクだらけだし髪もボサボサだけどそんなこと気にしてる場合じゃない!

「次遅刻したら廊下掃除させられちゃうぅぅ!」

やたら厳しい担任の顔を思い浮かべると�A恐怖からか自然と足も早くなる。


詩河葉凜(うたがわ はりん)�A高校1年生。
2年前に少女漫画雑誌"ミックスベリー"でとしてデビューを果たし�A現在は�A載を掴み取った少女漫画家だ。

漫画家と学校生活の両立は忙しく�Aこれまでも遅刻ギリギリだったり早退したりが多いから学校からは目をつけられている。
知り合いに読まれるのが恥ずかしいから�A先生にも友達にも内緒にしてるんだけどね。


そんなこんなでギリギリ滑り込みセーフで教室に入ると�A私の机の周りが女子に囲まれザワついていた。
ということは……。

「湯崎熾央(ゆざき しおう)……登校日か」

私の隣の席の男子は高校生ながら今をときめく人気モデルで�A最近はCMやドラマになんかもちょくちょく出演している。
爽やかなスマイルが売りの王子系男子。
出席日数死守の為に週に何回か登校するので�Aその時は女子が騒ぐから分かりやすい。

「熾央くーん!」
「CM見たよ! すごくかっこよかった〜」

もう入学してから一ヶ月は経つけど�Aよくもまぁ飽きずに騒げるもんだ。
とかいう私も湯崎君の出てるCMはついつい見ちゃったりする。

「ありがとう。撮影頑張ったから�Aそう言ってくれて嬉しいよ」

湯崎君は柔らかい笑みで模範解答を述べた。
すごい破壊力を持つスマイルだ�A今度少女漫画の参考にしよう……。

「あの……座ってもいい?」

ご覧の通り隣がこんな有名人なので�A私の席もあってないようなものだ。
徹夜明けでボサボサの私と正反対の�Aきっちり髪をカールさせた女子に席を陣取られていた。

「あーごめんごめん」

その子はシラケたような声色でそう言うと�A椅子を蹴るようにして立ち去って行った。

ちくしょー�A私だって一応ちょーーっと有名な少女漫画家で――!

ダメだ�Aまだ2作品しか�A載を持っていないデビュー上がりの私と�A全国放送で名が知れ渡っている湯崎君とじゃ全然立場が違う。
私だってちやほやされたくて漫画家になったわけじゃないけど�Aすぐ隣に同い年で桁違いの有名人がいるとやっぱ嫉妬して落ち込んじゃうな……。

2: (∵`):2022/08/15(月) 19:58

――放課後。

今やデジタル原稿やリモートで打ち合わせができるけど�A私は地方民でもないので月に数回�A学校�Aりに出版社へ寄って直接担当さんと打ち合わせをしている。

「広川先生�A遅くなってすみません」
「あ�A大丈夫です!」

柳下幸也(やなぎした ゆきなり)さん。
私がペンネーム�A広川歌(ひろかわ うた)としてデビューした時から担当してくれている編集者さんで�A今も二人三脚で頑張っている。

「今日は重要な報告があって」

柳下さんは真剣な顔をして話を切り出した。

「重要な�A報告……」

まさか……打ち切り!?

今や道具がなくてもパソコンなんかで手軽に漫画が描けて量産できる激戦時代。
せっかく掴み取った�A載も�AAンケート結果が悪かったりすれば容赦なく打ち切り。
最近では徐々に上がってきてはいたけど……。

「あ�A打ち切りじゃないから安心してください。怖がらせちゃいました?」
「そ�Aそりゃ改まって真剣な顔されたら勘違いしますよ……」
「いやぁ�Aすみません」

青ざめたような顔をした私で察したのか�A柳下さんは苦笑いした。

「というのも�A『ビター&ヒロイン』のドラマ化の話が出まして」
「……ドラマ化!? ビタヒロが?! ええぇぇぇ!?」
「はい。今日はその許可を頂きたくて」

ビター&ヒロイン。
私の初�A載で�Aつい先週最終回を迎えた恋愛漫画だ。
俺様系先生の支配と�Aそれに抗うヒロインという王道中の王道作品。

「この尺ならちょうど12話に収まりそうですし�A原作は最終回終わってるんでストックもありますしね。どうです?」
「許可も何も�Aめちゃくちゃ嬉しいんですけど……」

むしろ是非是非お願いしますという感じだ。

「それでキャスティングの方なんですが�Aヒロインの夏菜はオーディションで�A拓斗は事務所が推しているモデルを起用したい�Aとのことでして。希望はありますか?」
「よほどイメージから乖離していなければ大丈夫です!」

ぽっと出の私の作品に有名所の女優俳優さんが呼べると思ってないし�A私の作品を機に人気が出たらこちらとしても鼻が高い……なんて。
というか主題歌とかもつくよね……うわぁぁうわぁどうしよう�A嬉しすぎる!

3: (∵`):2022/08/17(水) 20:47



打ち合わせ終了後�Aフワフワした足取りで出口へ向かう。
これから詳細が決まったらちょくちょく打ち合わせが忙しくなるらしいし�A早く�Aって原稿を進めなきゃ。

――と思っていると。

「少女漫画原作かよ。内容薄っぺらそー」
「まぁまぁ�A少女漫画原作の恋愛ドラマは俳優の登竜門だし……」

休憩室近くの自販機の前から不機嫌そうな声と�Aそれを宥めるマネージャーらしき男性の声がした。
少女漫画をバカにする男の気配!
こっそり覗くと�Aそこにいたのは――。

「湯崎熾央……!」

長椅子に足を放り出してブスッとしているのは�A紛れもなく爽やか王子代表の湯崎君だ。
そういえば私の少女漫画誌と湯崎君の掲載雑誌は同じ出版社だから�A鉢合わせる可能性は充分あったんだ……。

「なんで俺が女の都合のいい妄想ドラマをやんなくちゃなんねーんだよ。断れねぇの?」
「でもメインキャストなので知名度は上がりますよ! 今まで脇役ばかりでしたし……」
「はー? だったらずっと脇役のがマシ。俺俳優になりたいわけじゃねーし」

学校での態度とは打って変わって�A裏ではこんな性格だったのか湯崎熾央!
イメージ商売だから仕方ないとはいえ�A少女漫画をバカにするのは許せない!
人には好き嫌いあって当然だけど�Aなにもそうやって貶すことないじゃん!

「おい�Aお前!」

気がつけば私は�A穴を開けた紙袋を被って物�Aから飛び出していた。

「うわっ�Aなんだこの紙袋女!?」
「……え�A誰ですか!?」

2人とも瞳孔を開き�A肩を震わせている。

「しょっ�A少女漫画を馬鹿にするな! 全国の乙女達に夢と希望を与えてきた少女漫画を!」

勢いでスクールバッグから普段持ち歩いているビター&ヒロインの1巻を取り出すと�A湯崎君に投げつける。

「は? なんだこれ!? ビター&ヒロイン……?!」
「それでも読んで頭冷やせ!」

頭が冷えたのは�A私の方だった。
衝動に駆られて飛び出しちゃったけど�Aかんっぜんに不審者だこれ……。
ていうか恥ずかしすぎる�A顔が熱い。

「そういうことだからっ!」

私はそう言い捨てると�A逃げるようにしてその場を立ち去った。


「あの制服は……」

とにかく逃げることに必死だった私に�A湯崎君の呟きなど耳にも入っていなかった。

宇宙関�A事象談(2)

1: 宇宙人類:2022/07/06(水) 16:39

土星の輪に免じて

2: 宇宙人類:2022/07/06(水) 16:43


金星「あっちーな」

水星「うるさい」

金星「はぁぁ?チビがよぉぉ。今何つった?ぶっ飛ばすぞ」

水星「キサマ�A吾輩の方が太陽に近いから熱いはずなのに�A毎回毎回熱い熱いってうっさいぞ。吾輩みたいにちょっとは黙って公転していろよ」

金星「ばーか。表面温度は�A俺の方が高ぇーんだよ」

水星「でも…でも�A吾輩だって熱いもん!」

金星「つーか�Aさっきからワガハイとか�Aキサマとか�Aキャラ作りしすぎてわろた。必死必死w」

水星「話を変えるな!」

金星「必死必死www お前�A地球の人間たちに全然取り上げられないインキャだもんなwww」

水星「うううう(怒)」

金星「ベロベロベロwwww」

太陽「水星くん�A金星くん�A喧嘩はやめようね」

金星&水星「あ?」

金星「おいグロデブ�Aお前のせいであちーんだよ。はやくしね」

水星「太陽。吾輩もこの際言わせてもらうが�Aキサマは最悪だ。熱すぎる。これはまるで生き地獄だ。焼かれたまま生きているみたいで正直吾輩も辛いのだ」

木星「太陽を許さない太陽を許さない太陽を許さない」

冥王星「太陽遠すぎ。そっちばかり贔屓して君は本当に最低だ」

太陽「そんなこと言ったって…ぼくだってどうしようもないよ!!!」

金星「いいから早くしねよ。あと50億年もこれだなんて待てっこねぇ」

太陽「ダメだよ…神様に怒られちゃう」

水星「太陽�Aできれば口を開かないでもらいたい」

金星「うわ�Aしゃべんな。あっついから。つか�A本当にしねよ。しーね。しーね。しーね。しーね」

金水「しーね。しーね。しーね。しーね」

太陽「う…」

金水木「しーね。しーね。しーね。しーね」

太陽「う…う�A

金水木冥「しーね。しーね。しーね。しーね」

地球「こら!」

金星「お?グリーン野郎がキレたぞ?」

太陽「うわああああん」

地球「太陽くん」

太陽「うわあああああん」

地球「太陽くんってば!」

太陽「ん�A何…ぐす」

地球「ね�A太陽くん。君にはいいところはいっぱいあるんだから�Aあんなやつらの言うことなんて気にしないで」

太陽「そっか…」

金星「お�A始まったぞ。グリーン劇場が」

地球「太陽くんのおかげで�Aぼくは温かいよ。太陽くんのおかげで�Aぼくは誰よりも綺麗になれた」

金水火「あ?」

太陽「そっか。ぼくもいいところ…あるんだ」

火「何言ってんのスカ。太陽のせいで�A地球人とかいう寄生虫が発達して�Aお前は地球人とかいうウイルスに蝕まれてんじゃないんスカ?」

地球「火星くん!ぼくの子どもたちになん…」

金星「たしかになぁぁぁぁ。おまえってさぁ�A地球人とかいうゴミ虫に好き勝手されてるよなwwww」

地球「そんなこともないもん!彼らも幸せになれてるんだったらそれでいいもん」

太陽「金星くん。いい加減にしろよ!ぼくのことを言うのはあれだけど�A地球きゅんのことを責めるのは許さない!」

金星「さっきまで泣いてたグロデブが何言ってんすかwww」

水星「太陽�A貴様が地球に惚れているのは分かるが�A地球が愛しているのは�A地球人にだぞ」

太陽「べ�Aべつに好きなんかじゃ…」

金星「それな。太陽。お前何勘違いしてんの?地球が好きなのは地球人であって�Aお前じゃないから」

地球「二人ともやめて。気持ち悪いよそう言う話。誰が好きとか誰が嫌いとかどうでもいいし」

金星「嘘つけ。お前�A地球人好きすぎて�A地球人がつくった男の娘キャラとかいうやつ目指してるんだもんな。知ってるぞ。きっっっつ」

地球「うっっっっ」

火星「ネカマして�A月にストーカーされるのは楽しいスカ?地球」

地球「う�Aう�A

水星「いや�A火星。吾輩が思うに男の娘のふりをするわけだから�Aネカマという表現は…」

太陽「もう!やめろよ!!!」

地球「うわぁぁぁん�Aぼくもう寝るうう」

太陽「ちきゅうヲ泣かせたナ許さないいぃぃあぃいぃい!!コロス!」

ボーーーーーーーーーン!!!

太陽系はこうして滅亡した

【本当は�A君を殺さなきゃいけなかった。】(2)

1: 汐屋 凪:2022/06/14(火) 19:40

***
感想など�A物語の途中でもいいので募集しています(´・ω・`)
タメでいいので…ください(´・ω・`)
***
【本当は�A君を殺さなきゃいけなかった。】
主題歌:虚/ジェル
start…

2: 汐屋 凪:2022/06/14(火) 19:49

○Prologue

僕は�A初めから汚れていた。
生まれるべき存在ではなくて。
「あんたなんか…っ生まれなきゃ…私はあの人に捨てられずにすんだのに…!」
「ばかやろう…っ�Aバカバカバカ…!」
元々依存体質だった母は�A依存相手の父に浮気されたときから変わってしまった。
なのに�A親権は父ではなく母に移っていて。
「…ごめんなさい。」
僕は�Aある時出ていった。

***

今では�A僕は。
「ごめんなさい…っ許してっ!お願いっ…!」
「そんなこと言われても�Aね」
ごめんなさいと�A言われる側になった。

『那貴(なき)�Aお仕事ですよ』

あの方の元で。俺は。
殺し屋を続けていくと誓った。

家に�Aると味噌汁がある日常(2)

1: はぴはぴ:2022/04/30(土) 20:49

家に�Aると味噌汁ができたての味噌汁が湯気を立ち昇らせている。
それだけで僕は幸せだ。

※BL注意

2: はぴはぴ:2022/05/23(月) 11:20


平凡サラリーマンと根暗男子高生の話
※BL注意



僕は長らく味噌汁を飲んでいない。

いや�A飲むことはあるけど�A大抵インスタントの粉をお湯で溶いたものだとか�A自販機の変わり種の缶をふざけて買ってみたりだとかで�A誰かの作った出汁のきいた味噌汁はほとんどない。
味噌汁なんてわざわざ店で注文しようと思うほどものでもないし�Aかといって自分一人しか飲まないのにわざわざ1杯分の為に鍋を出すのも面倒で�A結局数ヶ月は手作りの味噌汁を口にしていない気がする。

西日の角部屋1K�A手取り28万�A齢26。
大きいとは言えない企業のシステムエンジニ�Aとして�A職し�A少々ブラック気味だが専門職なので給与はまぁ悪くない。

趣味は無いし人付き合いも面倒で�A貯金だけは増えていく。
仕事一辺倒ではダメだ�A生活に潤いを持たねばと考えてみたが�A高級車は車検やら維持費がかかる癖に月数回も乗らないだろうし�Aペットは癒されるけど家を荒らされたら困るなぁ……と色々嫌な面ばかり探してしまう。

今日も遅めの退勤で夜道を歩いていると�Aふと公園からした怒鳴り声に�A情けなく肩をビクつかせた。

殺戮�A裏切り�Aときどき人情(8)

1: 匿名:2021/10/12(火) 20:45

かつて�A齢15にして各国の諜報機関を荒らした伝説の殺し屋"ヨルナ"。
機密情報を持ち出し要人を殺し�A裏社会から恐れられた伝説の少女。
そんな彼女は突如行方を眩ませ�A現在――

「ほーい�Aヤサイマシマシニンニクカラメ一丁あがりィ!」

寂れたラーメン屋の�Aルバイトをしている。

2: 匿名:2021/10/12(火) 21:21


Ep1
傲慢�A上から�Aときどき感謝


夕鴫莉月(ゆうしぎ りつき)が�A今の偽名だった。
女の子らしい名前に少し抵抗はあったが�Aおやっさんが適当にその名前で戸籍とパスポートを作っちまったんで�A莉月で通している。

「一流シェフが駐在する食堂�A豊富な書物を取り揃えた図書館�Aバラ園が一望できる中庭にプラネタリウム……素晴らしい設備でしょう!」
「おーすごい�A中華料理まで食えんのな」

無駄に広い学園内を案内され�Aこんな自分がまさか青春を送れるとはな……と不思議な気分に浸っていた。
しかも御曹司や政治家の子供ばかりの名門金持ちエリート校。
1ヶ月のほとんどをもやしと豆腐で乗り切る私には場違いじゃねーか。

「それじゃあ�A何かあったら言ってくださいね」
「案内ありがとうございましたー」

厚化粧の見苦しい教師は�A私が道端の雑草を食うほどの極貧生まれだったとも知らず�A媚びを売るように過剰な対応をした。
それもそのはず�A私は寄付金1億で編入してきたのだ。

「青春を謳歌しろ�Aか……」

掲示板の寄付金ランキングを�A私は冷めた目で見つめた。

3: 匿名:2021/10/13(水) 13:24


side 光原



俺は光原陽里(みつはら ひさと)。

父が会長を務める光原コンツェルンの次期後継者として育てられてきた。
常にトップであり続け�Aどんな小さな催しであっても1位を全力で目指し�A負けることは何よりの屈辱だと教えこまれている。
それが例え校内の体育祭だろうと�A町内の川柳コンクールだろうと�A週に1度の小テストだろうと。

そんな完璧主義者の俺が今�Aなんと財力で押し負けた。

「この俺が……2位に転落……だと?!」

教室にはどよめきが走り�A噂があちこちで立ち上っていた。


学内の掲示板には入学時の寄付金のランキング上位10名が貼られている。
その内上から5人は生徒会入りが約束され�Aプライドの高い人間が多いこの学園でも憧れの的になるのだ。

この学園はもはや日本の縮図と言っていいほど各界のお偉方が集っている。
たかが学園内の寄付額ランキングとはいえ�A家柄や企業の格にも反映されるので�Aこのランキングはかなり重要だ。

そのランキングに8000万という寄付額で1位に君臨し続けていた俺だが�A今朝の掲示板を見てみれば�A夕鴫莉月というやつが1億の寄付で俺を抜かしているではないか。

「夕鴫だと……聞いたことがないぞ」
「き�Aきっと大したことの無い家の人間が見栄を張って無理してるんですよ! 光原コンツェルンが一番ですって」
「そうですよ! うちも光原グループの傘下ですし」
「光原さんは政界にも無くてはならない存在ですしね!」

不機嫌を露骨に表せば�A周りの人間はすぐに機嫌を取ろうと必死に褒め称え�A賞賛の嵐。
普段であれば�Aどの企業もうちに頭が上がらないのだなと愉快な気分に浸れたが�Aこの日ばかりは苛立ちが募る一方だった。


「皆さん�Aおはようございます」

聞き慣れた教師の声がしてふと前を見ると�A担任の教師と見慣れない女子生徒が後に続いて入ってきた。
セミロングの暗い髪に規定より短いスカート�A耳にはジャラジャラとピ�Aスが開いており�A白黒のモノトーンのパーカーを着崩している。
街中を車窓から見た時にすれ違う庶民の高校生のような出で立ちだ。
教師はだらしない気崩しを咎めるどころか�Aにこやかに彼女を紹介した。

「本日からクラスメイトになる夕鴫莉月さんです。ドイツから�A国してきたばかりだそうですので�A皆さん仲良くしてくださいね」
「夕鴫って�Aあの寄付額1位の……」
「この方が!?」

いきなりランキングに現れるということは転入生か何かだとは勘づいていたが�Aまさかこれほど庶民的な女だとは思いもしなかった。
それはクラスメイトも同じなようで�Aクラスはざわつく。
夕鴫莉月はパーカーのポケットに手を突っ込み�Aへらへらと笑いながら教壇に上がった。

「おうっ�A夕鴫莉月です! 特技は割り箸を綺麗に割れること〜好きな食べ物は……鯖サンド! よろしこ!」

こいつが?
この教養も育ちもなっていないようなこの女が?
寄付金1億でランキング1位の夕鴫莉月――だと?

「では夕鴫さんの席は光原さんの隣で。光原さん�A申し訳ないのだけど詰めてくださる?」
「んなっ……」

通常二列になっている教室の席だが�A俺だけ二列分のスペースを一人で使っていた。
しかし寄付金の多かった夕鴫の出現により�A俺の特例とも言える席は窓際へ押しやられることになる。

呆然とするクラスメイトを他所に�A夕鴫は鞄を持ち手でぐるぐるとぶん回しながら俺の方へと歩み寄る。

「んあ�A隣の席だわ。よろしこ〜」

凛とした振る舞いの名家にふさわしい女だったらまだ許せたが�A目の前に現れた夕鴫莉月は想像より遥かにへらへらとマヌケな面をしていて�A俺は悔しさのあまり�Aかち割れそうなほど歯ぎしりをした。

来年も�A君と(3)

1: 駄:2021/08/29(日) 18:04


 ねぇ�A覚えてる?去年の今日�Aここで夕日見たこと。綺麗だったよね�A夕日がさ�A少しずつ山の下�A下っていうのかな�A山に隠れていってさ�A空がさ�A少しずつ暗くなっていくの。夕日に照らされてた家も�A田も�A畑も。ほんとに�A綺麗だったな。今年も見れて嬉しいね。来年もまた来ようね�A2人で。約束だよ。

2: 駄:2021/08/29(日) 18:05


⚠ ただの自己満小説です。�Aドバイス求めてません。 ⚠

3: 駄:2021/10/23(土) 04:14


____なんて妄想に耽ることが�A僕自身の�A日々の孤独のストレスを解消してくれる自己浄化的な趣味だった。
相手と自分とで「来年も一緒に来よう」だなんて心通わせて言えるくらい�A真の友情と呼べるものを僕は探し求めていたのである。
しかし�A僕が探していた友情は昨日の出来事をきっかけに�A見つかった。否�A一生見つからないということが�A最終的かつ完全に見つかった。
僕の中ではノーベル物理学賞なんかよりも大発見である。
だから�A本当は一人白熱どんちゃん騒ぎをして�A祝杯を上げたい所存ではあったけれど�Aなんだか�Aそういう嬉々な気分にはなれなかった。だって�A僕の探求していた友情は�A無かったのだから。

そういうわけだ。そういうわけで�A僕は今日も裏路地の路傍にて�A人食い鬼を食らう。
ところで補足すると�A僕は人食い鬼食い鬼である。カタカナ表記ではヒトクイオニグイオニ。なんだか�A寄生虫のような名前のようだけれど�A正真正銘の正式種族名である。
なんだって?そんな種族は無い?それは大変だ。嘘は大変だ。嘘は泥棒の始まりだ。僕は君に泥棒になって欲しくないから�A一刻も早く�A君が嘘を認めて�A真っ当な人間になることをお勧めする。
ちなみに僕の方は�A全く嘘をついていない。嘘をついたのは君である。なぜなら人はすぐに嘘をつく。
なぜそんな冷めた表情をするのかな?ヒトクイオニグイオニ。やっぱりそんなものは存在しないって?
君は本当に救いようのないくらいの大嘘つきだ。ならばこうなったら�Aお互いが嘘だ嘘だと罵り誹りあっても仕方あるまい。第三者に裁判してもらうしかない。
そこで�AGoogle先生に審議介入してもらおう。彼は�A正式な存在に関して無感情なまでに判定してくれるこの場にうってつけの裁判官だ。
さっそく君はGoogle先生に尋ねてみるといい。ヒトクイオニグイオニが存在しているのかどうかを。

夏休み中�A毎日ひとつ書けたらいいなのスレ(4)

1: ワクチン犬:2021/08/19(木) 23:54

スレタイ通りの内容カラカラ文章リハビリ施設のスレです。

三日坊主の達人なので三日も続かないかもしれませんが�Aなんとか数文字だけでもつなげていきたい所存…

2: ワクチン犬:2021/08/20(金) 00:10


「おそい」

 彼女はバス停のベンチに座っていた。彼女の背景である夕方と夜の合間の空は�A赤から紫�Aそして青までのグラデーションが美しい。
 空に注目していた私の視界に�A彼女の長い三つ編みがふと映り込んだ。そうかと思えば�A彼女の猫っ気のある�Aーモンド形の瞳と目が合っていた。その瞳が�Aすうっと細くなる。

「あやまれっつってんの」
「ごめん」
「即答はヤバイ」

 三つ編みメガネで優等生なのに�Aその口調もヤバイよ。私がそんなことを心のうちに留めて�Aベンチから立ち上がろうとしない彼女の手を引いた。

「�Aろう」
「なに�Aおまえが遅れてきたくせに」
「ごめん」
「もうええわ!」

 今度は急に芸人のネタの締めセリフみたいな口調になっている。彼女はやっと腰を上げた。
 空の複雑な色合いに溶け込んでしまいそうなどこか頼りない後ろ姿を見とめる。私は思わずその手を掴んだ。

「どこにもいかないでね」

 ぱち�Aぱち。
 長い睫毛が二度ほど瞬きによって震えて�Aそれから彼女はいたずらっぽく破顔した。

「むり!今から家�Aらなきゃだから!」

 またね�Aと彼女は私に手を振った。
 「またね」ということはとりあえず明日も会えるのだろうか。

 夏の終わり�A薄明の空。
 心の奥にはどうしようもない焦燥感と落胆が残っている。

3: ワクチン犬:2021/08/21(土) 00:52

お題メーカー:隣との距離

「いや�A近いって」
「そう?」
「なんで机に対して�Aおんなじ側に二人並んで座らんといけんのよ」

 彼は声をなるべく押し殺して僕に言う。
 ページをめくる乾いた音�A机とペン先の擦れるコツコツ音�A読み聞かせコーナーからほんのり聞こえる司書の声。
 ここは図書館だ。当然静かにしなければならないだろう。

「うるさい」
 神妙な面持ちで注意をくれてやった。
「お前が向こう側座ればいい話だろ!ほら隣座ってると腕当たって邪魔だし…!」
「声が大きい。周りの人�A迷惑してる」

 ここまでいえば彼はすっかり黙り込んでしまった。それから一つため息をついて�Aやっと課題の冊子に手を伸ばす。
 …と�Aその手がぴたりと止まった。

「やっぱりやめだ!」

 そう言いながら読み聞かせコーナーに駆けていく彼をうっすら見ていると�A「読み聞かせてる本に登場した場所に今から行くぞ」とユーチューバーの企画みたいなことを言う。
 わかったとひとつ頷いた。

 そんなこんなで僕らは火山に行くことになった。
 

Aンチ・プリンセスのプリンセス童話(3)

1: AL ◆6.:2021/05/13(木) 19:12

Aンチ・プリンセス。�Aンチ・デ⚪ズニー。
そんな感じなのに�A何故かめでたしめでたし!?

オリジナル小説。
荒らし�A否定的コメ禁止。
感想待ってます

2: AL ◆6.:2021/05/13(木) 19:15

昔々�Aあるところに堂々と聳え立つ立派なお城がありました。
そのお城には�Aお姫様が住んでいました。
お姫様の名は�Aリ�Aーナ・メディッサといいました。
綺麗な長い栗毛色の巻き毛。深い青色の瞳。
世にも美しいお姫様でした。

3: AL ◆6.:2021/05/13(木) 19:25

私は�Aリ�Aーナ・メディッサ。ナルシサ国の姫として
大切に育てられてきた。そのことには感謝をしているし
傲慢なつもりもない。だけど………

王子様なんて�A私は待たないし�A歌も歌わない。
鳥や動物とは話せない。星に願いだってかけない。
私は�A普通の『プリンセス』ではないのかしら?
**
今日もいつものように目が覚める。いつもの毎日が
今日も始まる。

「お目覚めおめでとうございます」

そう言って私に声をかけてくれるのは�A私の侍女の
マリ�Aンナ・リリース。サラサラした黒髪のボブヘ�A
つり目がちな茶色い瞳が特徴的な�A美人。

「おはよう�Aマリー」

マリーというのは彼女の�Aダ名。私達は小さな頃から
ずっと応援で�Aまるで姉妹みたいな関係だ。


普通のお姫様ならば�A人間のお友達などいないものです。
歳が近い女性は敵だと決まっており�A虐げられることが多いのです。
しかし�AAリ�Aーナ姫の場合は違います。
侍女のマリ�Aンナとは�A幼い頃からの親友で�A何でも話せる
姉妹のような関係でした。�Aリ�Aーナ姫は特殊です。
普通の姫では�Aないのです。

憂え�A新時代の日の出を(30)

1: 水色◆Qc:2021/04/04(日) 20:48

海賊の国�Aボルザー。……と言っても無法者の闊歩する国という意味ではなく�A海賊と称する義賊のような集団が王オルフェロスの政治を助けていたことからその肩書きがついたのだ。
海賊船は�A有能で最強とも呼ばれた一人の若い女提督に率いられて�A日々外交や賊の討伐�A測量に明け暮れていた。………………9年前までは。


オルフェロス王が崩御し�Aその息子であるマクラヤミィが即位すると�A海賊に熾烈な弾圧が加えられ始めた。
提督は行方不明となり�A一味も分裂してしまう。……やがて跡継ぎを名乗る海賊団がいくつも現れた。しかし�A彼らは横暴で�A残虐で�A非道だった。

……やがてボルザーは荒れ果て�A悪逆非道な海賊が支配する国へと変貌する。
ついにはボルザー国を滅ぼそうと他国から攻撃が仕掛けられるようになった。……この危機に�A英雄はどこにもいない。




[百合小説書いてる奴の女主人公小説]
[チート?かもしれない]
[人によっては地雷を感じるかもしれない]
[見切り発車]
[よろしくお願いします。]

2: 水色◆Qc:2021/04/04(日) 23:55

海が見える酒場。……そう言えばロマンチックだが�Aその酒場から見えるのは海……そこに浮かぶ残骸や瓦礫等だった。海賊達の夢の痕……そう言えば聞こえはいいが�A実際猛烈に邪魔である。
酒場から見える遠くの海に�A攻撃を仕掛けに来た一隻の異国船が見えるが�Aそれも瓦礫に邪魔されてなかなか上陸できないといった様子である。
……それを見ても�Aボルザー本土に反応はない。


酒場はだいぶ古びていたが�Aそこそこの活気があった。……半ばヤケクソ染みた活気が。
「……おい店主�Aもう一杯くれ!」
「こっちもだ!」
酒。……飲まずにはやっていられないといった様相だった。
そんな喧騒の中で�Aよれよれのシャツを着た一人の女性だけが静かにブドウジュースを飲んでいた。美形な細身で�A歳は30にいくかいかないかに見える。金髪の髪はよく整えられていた。

「……おい�Aそこの姉ちゃんよ」
程なくして彼女に声がかかる。
ゆっくりと顔を上げると�A先程騒いでいたマッチョでスキンヘッドの男がそこにいた。
「少し頼みがあるんだがなぁ」彼は薄く笑いながら声を出す。
……女性が周囲を見渡した時�Aいつの間にか酒場の全員の視線がこちらに集中していることに気付く。
「……なんでしょうか?」警戒を少しだけ声の調子に含ませ�A反問する。

「有り金も身ぐるみも�A全部ここに置いてけよ」

笑いの調子は変わらない。……ただただ普通のことのように。
「……はぁ。で?」
しかし女性はあろうことか首を傾げてみせた。……それだけで沸点が低い男は声を張り上げる。
「で?じゃねえんだよ!!いいか?俺らは泣く子も黙る海賊だ。……逆らったらどうなるか……分かってるよなぁ?」
周囲の屈強な男どもが一斉に得物を構える。ダガー�A木刀�A長剣�A槍……室内で振り回すには危なすぎる代物である。
しかしそれを見ても彼女は冷静である。
「……短気すぎないかな」
苦笑いを浮かべる。
「外見た?今ここで争ってる場合じゃないよ」
そして静かに諭す。……しかし�A短気な荒くれ者である男どもは聞く耳をもたなかった。
武器が一斉に振り下ろされる――――直後�A何かが起こった。

3: 水色◆Qc:2021/04/06(火) 20:05

何かが起こった────というか�A酒場の壁が······異国船からの大砲射撃で吹っ飛んだ。
風圧や飛び散る破片�Aそして何より砲弾で�A屈強な男共は次々となぎ倒されていく。······また�A吹っ飛んだのは�A大きめの破片を食らった女性も同じだった。

破片やその他諸々を食らわずに済んだ男共は顔を見合わせる。······風穴から見えるは�Aこちらに砲門を向ける異国船。
血の気が引く音が響いた。




「······いてて······」

その直後のことである。······たった今出来たばかりの瓦礫の山から�Aさっきの女性が呻きながら出てくる。······その体には割れた木材がいくつか刺さっていて�A···血が相当流れていた。
それを見た男共は�A再び血の気が引くような思いを味わった。······即死してもおかしくないダメージは負った筈なのに────という思いと�A単純に絵面が悪かった。
他に巻き込まれた物の死体が�A臓物が周囲に転がっていた。
······それでも�A彼女は立ち上がる。
体に刺さった木を引き抜くたび�A血が噴き出す。その血を浴びながら�A穴の向こうの異国船を見据えて�A


────「あの船を沈めます」。


空気が凍りついた。
声すらも出ず。

······そこでもう一発�A砲弾が放たれる音が響く。




「······っ!!」

丁度風穴にそのまま入る軌道。
······女性は�A近くにあった樽を無造作に抱えると�A全力で······向かってくる砲弾へと�A投げた。

炸裂する。

樽の中身は�Aルコール。それも純度がかなり高かったようで�A砲弾に激突した瞬間炎上した。
距離がかなりあったので�A幸いにも火は酒場には燃え移らなかったが────


「······今度は火薬入り砲弾······?徹底的に破壊するつもりかな」
炎上しながら落ちていく樽を見て�A女性は一人呟く。そして�Aくるっと振り返り�A

「誰か�A私と行ってもいいという人は?」
静まり返る場に�A問いを投げかける。

フェ�Aリー・フレンドール(4)

1: 匿名:2021/04/03(土) 19:12




フェ�Aリー・フレンドール。

それはいつ�Aどんな時でも傍にいてくれる妖精をコンセプトに開発 されたぬいぐるみ。
その可愛さとバリエーションの広さから老若男女に受け入れられ�A大きな社会現象を起こしていた。

そんなフレンドールに�A奇妙な都市伝説がある。


100万体に一つ�A意志を持った個体が生まれる――と。

2: 匿名:2021/04/04(日) 12:15

ミシン。錦織美心(にしきおり みしん)。
なんと私�Aミシンという名前である。

デザイナーの母と呉服屋の父の間に生まれ�A手芸が好きな子になるように――と今は亡き母がつけたものだ。
由緒正しい呉服屋の父が黙ってないと思いきや『美しい心……いい名前だ』とただの当て字に意味を見出してしまい�A結局そのまま役所に提出されてしまった。

そんな願いを込めて育てられた私だけど�A心は美しくないし手芸は嫌いだ。

昔はそんなんじゃなかった。
今ほど捻くれてはいなかったし�A手芸だって中学の頃までは母さんと小物を作ったり率先して服作りの手伝いをするくらいには好きだった。
鞄に付けたクマのストラップも母さんと一緒に作ったものだ。
けれど今は――。

3: 匿名:2021/04/08(木) 17:02

「みここ〜�Aおはよ!」
「ぐえっ……おはよ�A祈里」

ぼーっとストラップを眺めて回想に耽っていると�A背中を思いっきり叩かれた。
祈里あがめ。
気兼ねなく会話できる数少ない友人だ。
みしんと呼ばれるのが苦手で�Aわざわざ"みここ"と呼んでもらっている。

「そういや教室が騒がしいみたいだけど……」

祈里の視線の先は�A教室のど真ん中を渦巻く女子の群れだ。
中心にいる金髪の男子(名前は覚えてない)の机には�A20cmほどの女の子のぬいぐるみがちょこんと鎮座している。

「エンジェリーコラボの新作で�A日本に上陸してない限定デザインだ。30万ってとこだな」
「ひぇぇ〜30万?!すっげ」
「えっやば!」
「ね�Aインスタあげていい?」

人だかりは増えていき�Aシャッター音が響く。

「はー�A貴島君新しいフレンドール買ったんだ〜。私も新しい子お迎えしようかな〜」

祈里のつぶやきで思い出した。
あの男は貴島雅(きじま みやび)とかいう�A漫画にでも出てきそうな金持ちボンボンだ。
月に一度くらい海外旅行に出かけ�A土産を持ち�Aる度にクラスで得意げに自慢話をしている。

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